はじめまして、haniwaといいます。
この作品はエヴァンゲリオンの二次創作、一応再構成ものとなっています。
オリジナル要素が強く、また過激な表現、グロテスクな表現があります。また、このSSはシンジ君がダークになる予定です。そしてそのダークになる過程をシンジ君の幼少時代から詳しく書いていこうという思い付きから始まっています。
更に、皆様の認識されているようないわゆる【ダーク物】または【痛いもの】とは多少違ったものになるかもしれません。明るい話もありますが、大半が暗いお話、またはシンジ君がひどい目に遭うお話です。
こういったものがお嫌いな方は、閲覧の際にご注意ください。もし、目を通していただいた方の中でご気分の悪くなった方、また不快な思いをされた方は、メール、感想版のほうにお知らせいただければ直ちに変更、場合によってはhaniwa自身で削除いたします。またその際は、不快に感じた部分の具体的な箇所を教えていただけるとありがたいです。
また、ダークな物がお好きな方へ、この作品はいわゆるアンチ物、ヘイト物にはなりません。ご了承ください。
利用規約には違反しないよう気を配ったつもりです。
これから、ちょろちょろ皆様のお目をお汚しすることになりましょうが、できれば暖かく見守っていただけるとうれしいなと。
後タイトル適当に決めたので「どこか別の作品とかぶってんぞこのヤローが」なんてことがありましたら教えていただければすぐに変更いたしますので連絡を下されば幸いです。
長くなりましたが、どうぞこれからよろしくお願いします。
プロローグ
真っ赤な夕日が印象的だった。
この日も暑い日で、夏がずっと続いてる、この日本でも特に暑い日だったと思う。
僕は一人、俯いて歩いていた。あたりに人は見受けられなかった。
そこが住宅街という場所のせいか、それとも夕暮れ時という時間帯のせいなのか、
それとも……
ふと気づくと、いつの間にか目の前に男の人が背を向けて立っていた。その背中の向こうは夕陽が沈みかけていて、その背中は真っ黒な影のようにしか見えなかった。
「ねぇ、お父さん……」
「……」
僕はその人を父と呼んだ。でもその人は特に振り返るわけでもなく、黙ってたっていた。このとき自分が五歳くらいの時の姿をしていることに気がついたが、特に気にならなかった。
不意に男の人が歩き始めた。僕もその人について行った。その人は僕がついてくるのにかまわず、歩幅を狭めるでもなく、どんどん歩いていってしまう。
「どこに行くの?」
僕は必死にその人に、父と呼んだその人について行こうとした。おいていかれたくなかった。一人にしてほしくなかった。
「……」
聞いてもその人は答えてくれなかった。その歩く速さも変わることもない。
「……ねぇ、」
どうやら僕をどこかに連れて行くと言うわけではなさそうだ。
「……」
いくら呼びかけてもその人は振り返りもしない。むしろ僕のことを……。
僕は今、胸を締め付けるかのように湧き上がってきた考えを振り払うかのようにさらに質問をしたようだ。
「……お母さんはどこに行ったの?」
その質問は少しおかしかった。だって母さんはもう、
「! ……」
初めてその人は、歩く速さをゆるめ、こちらを少し向いた。
「あそこからまだ帰らないの?」
あそこってどこだったっけ? 確か……
「……シンジ……」
その人やっとたちどまって、僕の方を向いた。僕は少しうれしかった。
「なぁに?」
「……明日から、叔父のところで世話になれ」
でも、その人の口から出た言葉は僕の予想外のものだった。声色も僕を突き放すようなものだった。
「……どうして? お父さんは?」
一緒じゃないの? ……ううん、それよりも僕のことが……
「私は仕事がある」
その人はまた背を向けようとする。僕は必死でその人を繋ぎ止めようとした。
「違うよ! そうじゃない!! ・・・・お父さんは僕が必要じゃないの?」
「……」
その人は答えない。僕の方をみてくれない。まるで見えない壁があるみたいに。そう、きっとその人と僕の間には見えない壁がある。なにもかも跳ね返し、閉ざし、吸収して何もかも無効に通してくれない、何も返してくれない。
そんな絶対の壁が
「……ねぇ」
「話はそれだけだ」
そんな壁が確かに、僕とその人の間には存在した。その人は元通り背を向けて歩き始めてしまった。さっきよりも早く。もう僕の足ではついて行けない、追いつけない。
「……いかないで、お父さん。僕も一緒に連れて行ってよ……」
僕は泣きながら言葉をかけ続けた。僕も連れて行ってほしかった。
「……」
でもその人は答えない。
「……なんで」
僕がいくら言いつのっても、
「……」
答えてくれなっかたね、……父さん。
「どうして、お父さんは、僕をみてくれないの?」
だってその人は、あの人しか見ていなかった。
「……シンジ」
いつの間にかまた、その人はこちらを向いていた。……あれ? このときその人は……
「どうしていつも、いつも僕をおいていってしまうの?」
僕は気づかずに質問し続けていた。
……そうか、これは――――
―――――夢だ。
「おとうさんは……」
あの人なあのまま立ち止まらなかったし、
「……シンジ」
僕の名前を呼ぶこともなかった、僕はそのひとの言葉を待ちもしなかった。
「……」
そしてその後のその人の言葉は、僕が自分でたどり着いた結論だったはずだ。
「おまえが私に何を感じ、何を求めているか知らんが……」
うん、知ってる。あなたは僕をみなかったし、理解もしなかった。そしてそれは僕も同じ。
「そんなものは、幻想にすぎん。そんなありもしないものを私に求めるな。……迷惑だ」
そういって夢の中のあの人は切り捨て、再び僕に背を向けた。
あるいは僕の勘違いだったかもしれない。
でも僕にはその背中が、すべてを振り切って過去を見続けるその人の背中は、確かにそういっているように見えた。そうして僕は掛ける言葉も見失い。ただ泣くしかなかった。
そう、……ごめんね? あなたを困らせた
でも実際に切り捨てたのは僕の方
「そんな…モノ…?」
子供の僕はゆっくりとその言葉をかみしめるように呟いた。その今の僕がたどり着いたその言葉を、あのときの僕が、あの人の口から聞けたならどんな反応をするのだろう。そんな願望が、僕にこんな夢を見せたのかもしれない。それはきっと悪夢ではないはずだ。
だってそのことに気づけた今の僕は、とっても幸せで、間違っても不幸ではない。
そんなモノ。
でも僕がそのことに気がついたのは、そのすこしあとで、もう少し人を信じて裏切られることを繰り返した後だったんだ。
夢の中のその人は、、二度と振り返らなかった。
僕はもうその後ろ姿を見つめることしかできなかった。日がすっかい落ちて辺りが暗くなっても僕は立ちつくしたままだった。
そして僕は暗闇の中を歩き始めた。
不安を胸一杯に押し込めて、けれど自分でも気づかないくらいの小さな希望を抱えてどこへつくかとも解らない道を、歩き始めた。
そうして、一組の親子は、お互いに別の道を歩み始めた。
その道が再び交わるときがあるのかは、誰にも解らない。
※(11/30) チラシの裏に移動