熱い日ざしの中、駅前のベンチにに一人腰掛けている少年が居た。
「・・・。」
疲れた様な目をしながら、流れていく雲を眺めている。
「・・・ふぅ。」
その姿は、何処か疲れた老人を連想させた。
ゴォォォォォオオ!!
突然地響きが伝わってくる。
そして、戦闘機と共に巨人が現れた。
「・・・。」
少年はそちらに目もくれず、ただ、流れる雲を見ている。
やがて、巨人に攻撃していた戦闘機が、巨人の腕から銛のように伸びた光に貫かれた。
その戦闘機が少年の近くに墜落し、それを巨人が踏みつけ、爆風が少年を襲いそうになったとき、青い車が遮る様に走ってきた。
「ごめ~ん、お待たせ。」
~ネルフ本部内~
「ここ、さっきも通りましたよ?」
シンジは遠くを見ながらそういった。
「うっ・・・」
ミサトは、シンジをジト目で見る。
「でも、大丈夫。システムは利用するためにあるんだものね」
シンジは、うっすらと苦笑いしながら言った。
「おねがいしますよ。ミサトさん・・・?」
・・・しばらく進むと、エレベーターの前で止まった。
チーン
「うっ・・・、あら・・・リツコ。」
リツコはズイッとミサトに近寄ってから。
「なにやってたの?葛城一尉。人手もなければ、時間もないのよ?」
「えへへ、ゴメン!」
いつの間にか後ろに立っていたシンジが自己紹介もなしに言った。
「さあ、いきましょうか。」
~ケージ~
「真っ暗ですよ?」
ガシャン!という音が鳴って一気に照明がついた。
「ああ、驚きました。顔・・・巨大ロボットですか?」
あまり驚いていないように見えるシンジに少し不信感を抱きつつも。
「ええ、正確に言うと、人の作り出した究極の人方決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン。その初号機よ。」
とリツコが説明をした。
「そうですか。ところで、これは一体どんな人が乗るんですか?」
遠い目をしながら。
「まさか、僕が乗るっていうのではありませんよね?」
と、つぶやいた。
不意に上から声がかかった。
「お前が乗るのだ、シンジ。」
シンジはやはりそちらを見ずに言った
「父さん・・・久しぶりだね。」
「フッ、出撃。」
シンジは首をかしげて言った。
「出撃?何の話?」
「上に居た怪物は見たか?」
「うん。見たよ。」
「お前がこれに乗って、あれと戦うのだ。」
シンジは、無造作に
「いいよ。」
といった。ただし、条件付でね、とも続けた。
ゲンドウは、頷き
「いいだろう。」
といった。
「シンジ君、時間がないから後にして頂戴。急いで!」
リツコがせかすように言った。
~エントリープラグ内~
「エントリープラグ、注水」
ブクブクブク・・・
「気持ち悪いですね・・・」
「ごめん、シンジ君。我慢してちょうだい。」
シンジが頷いたのを見てからリツコが言った。
「落ち着いてるわね、彼。」
「そうなのよね・・・。」
と、ミサトも同意し、落ち着きすぎてる気がするわね、と続けた。
「第二次コンタクトに入ります。」
プラグの中が七色に光っていく。
「A10神経接続、異常なし。」
「L.C.L電化率は正常」
「初期コンタクト、すべて問題なし。」
「シンクロ率・・・えっ?90.7%?!」
リツコは驚きながら。
「すごいわね・・・。」
と、言った。
「発進準備!!」
「第一ロックボルトはずせ!」
「第二ロックボルトはずせ!」
「エヴァ初号機、射出口へ!」
「発進!!」
「・・・っ!!」
突然のGに耐えるシンジ。
ガシャン!!
「シンジ君・・・死なないでよ?」
それに答えるかのように、エヴァが目を光らせた。