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No.231の一覧
[0] Kiddy EVA《改訂ver》[SAe](2005/06/22 01:30)
[1] Re:Kiddy EVA《改訂ver》[SAe](2005/06/23 02:21)
[2] Re[2]:Kiddy EVA《改訂ver》[SAe](2005/06/29 00:09)
[3] Re[3]:Kiddy EVA《改訂ver》[SAe](2005/06/29 02:05)
[4] Re[4]:Kiddy EVA《改訂ver》[sa](2005/07/29 03:09)
[5] Re[5]:Kiddy EVA《改訂ver》[sa](2006/01/19 00:40)
[6] Re[6]:Kiddy EVA《改訂ver》[SAe](2006/06/24 17:46)
[7] Re[7]:Kiddy EVA《改訂ver》[SAe](2007/02/05 03:09)
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[231] Kiddy EVA《改訂ver》
Name: SAe 次を表示する
Date: 2005/06/22 01:30
Kiddy EVA   プロローグ

『ここが地球と同じであり違う場所…、何の感慨も湧かないのはわたしが……だからかな』
 宇宙の果てから来たものが呟いた。眼下の星に何も気取られることなく近づき、大量の情報と一人の幼子と共に果てへと帰り行    
く者が残した最初の言葉……。
 一人の子供が泣いていた。その子はまだ幼稚園にいそうなくらい幼く。いま、この場所にいるにはかなり不合
いな子供だった。だが、誰もその子を見ない。
 それもそうだろう、西暦2000年に起こった大災害―セカンドインパクト。ひ弱な人類が遭遇した災害の中では異常なほどに大きく、それに見合うようにたくさんの犠牲をそれは出した。南極大陸の蒸発を筆頭に、それによる水位上昇、更には地軸の歪みを生み出した。大陸は断絶し、交通機関は麻痺を起こし、病院では突如起こった停電によりその機器の恩恵により生きていた大勢の人々の命を奪った。その大災害からまだ四年、復興のあまり進んではいない。そんな時代において他人、しかも働き手としての価値も無い小さな子供に対して慈悲をかけてやれる者がどれほどいるのだろうか。


 だからこそ、それが出来る者は稀有であり、心無いものが見れば偽善と罵る物にしかならないのだろうが。


「どうしたの?」
 声をかけられた子供。男の子は、突如として掛けられた優しい声に顔を上げた。目の前にいたのは女性、艶やかな濃い茶色の髪を腰の辺りまで伸ばし、蜂蜜色の大きな瞳には強い意志が宿っている。そして、その表情には慈しみをたたえた笑みを形成している。男の子は状況を忘れて見惚れていた。女性の笑みはそれほど美しく、自分に向けられたその溢れんばかりの感情が男の子の心を捕らえていたから。
「どうしたの?」
 もう一度、女性が聞いた。男の子は先程まで自分の置かれていた状況を振り返り、その瞳に涙を溜めて口を開いた。
「…お父さんに置いていかれて、っぐ、そのときお父さん『お前は入らなくなった』て…」
 男の子はそこまでで精一杯だった。母親が突然いなくなった『実験』から態度が豹変した父親の仕打ちは男の子の精神を酷く傷付け限界にまで打ちのめしていた。其処に掛けられたやさしい言葉に涙が溢れ、言葉が紡げなくなる。そこへ、柔らかな感触が男の子を包む、女性が男の子を抱きしめていた。
「いいよ、もう…」
 女性はただ一言、それだけを言った。その一言は、男の子の感情を決壊させるには充分で、人目も憚らずに泣いた。大声で、その全てを吐き出すように…。
 ひとしきり泣き、どこかすっきりとした表情の男の子に女性は切り出す。
「ねぇ、私と一緒に来る?」
 切り出された言葉に男の子は眼を見開く。会って間もない自分にそんなことを言われるとは思わなかったのと、自分が父親から捨てられた事実から、自分を受け入れてくれるものは無い。と無意識に思ってしまっていたのだ。
「どうして?…」
 男の子からでたのは疑問、それは子供でありながらも複雑な感情の籠もった物であった。それを見抜きつつも女性はあっけらかんと笑いながら返した。
「簡単なことよ、居場所がなくなったのなら新しい自分の居場所は必要でしょ。それに君は、私にどこか似てるから」
 実に明快で簡単な答えだった。これ以上のものは無いと言える位に簡単で、それ故に、その言葉は男の子の心に強く深く根付いた。
「いいの?」
 これは確認だった。父親に捨てられて間もない、男の子の真に心の奥底から出た純粋な願いをのせた。だから女性は満面の笑み
でこの言葉を返した。
「ええ、一度言った言葉は訂正しないわ。だから、私と一緒に来る?」
 男の子に女性の言葉が浸透してゆき、次第に表情が変わってゆく。そしてその意味を完全に理解したとき
「ウン!僕、お姉ちゃんと一緒に行く!」
 男の子は言葉とともに、女性にはじめての笑顔を見せた。それは、年相応でありながらとても魅力的な微笑み。さながら、天使の微笑みと冠されるものを女性に向けた。それに答えるように女性も笑みを返し、気合を入れる。
「よし、じゃあ行こうか!まずは、リュミエールと合流しなくちゃいけないわね」
 女性は言いながら男の子の傍らに置かれていた不似合いなバッグを左手に持ち、右手で男の子の手を握る。歩き出すと男の子が女性に聞く。
「お姉ちゃん、リュミエールって誰?」
 問われて女性が気付く、自分とこの少年が自己紹介も無いままにここまで来ていたことを
「ああ、リュミエールは私のパートナーよ、とっても大切な。それと、自己紹介してなかったね。私はエクレール、君は?」
「しんじ、いかり しんじ」
「よく出来ました。じゃあ、改めて行こうか、シンジ君」
「うん、エクレールおねえちゃん」
「そうだ、リュミエールに会ったときもさっきみたいに元気に挨拶するんだぞ」
「わかった、リュミエールおねえちゃんでいいの?」
「そうね、その呼び方でいいわ、と言うかそうとしか呼び様が無いわね」
 そうして二人は歩く。この出会いが、外道と愚者のシナリオを崩壊させる出会い。宇宙の彼方から来たエクレールとリュミエールが後年語る運命の出会い。歯車は廻る。外道と愚者の手を離れて、クルリクルリと独自の音色を奏でながら。
 だが、このときの三人は知らない。後にこの星の全生命に関わる重大な計画が後に発見され、それの阻止のために再びこの地に降り立つなど。
 この続きは西暦2015年、再びこの地に三人が訪れた年に全ての事態が動く。
あとがき
 SAeです。色々私事で中途半端になるために撤収いたしていましたが落ち着いてきたためにもう一度掲載する事にしました。今回は少し改訂もしてゆきたいと思いますのでご指摘お願いします。
追記
 ここの検索掲示板で拙作を探していただいたJIN様には感謝を。貴方のおかげでこの作品を見捨てずに済みました。これからも頑張ってゆきます。


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