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No.187の一覧
[0] ちぇんぢ とぅ ASUKA![ルッコラ](2006/04/30 10:48)
[1] 第壱話 <碇シンジ育成計画>[ルッコラ](2006/04/30 10:53)
[2] 第弐話 狡猾たれ。[ルッコラ](2006/04/30 11:01)
[3] 第参話 THE FEAR[ルッコラ](2006/04/30 11:14)
[4] 第参話 THE FEAR(2)[ルッコラ](2006/04/30 11:39)
[5] 第参話 THE FEAR(3)[ルッコラ](2006/04/30 13:26)
[6] 第四話 アスカ、逃げ出した先に[ルッコラ](2006/04/30 14:36)
[7] 第四話 アスカ、逃げ出した先に(2)[ルッコラ](2006/04/30 14:44)
[8] 第四話 アスカ、逃げ出した先に(3)[ルッコラ](2006/04/30 14:50)
[9] 第四話 アスカ、逃げ出した先に(4)[ルッコラ](2006/04/30 15:14)
[10] 番外編 炎の転校生[ルッコラ](2006/04/30 15:29)
[11] 第伍話 THE FURY[ルッコラ](2006/04/30 16:27)
[12] 第伍話 THE FURY(2)[ルッコラ](2006/04/30 16:46)
[13] 第六話 Kamerad[ルッコラ](2006/04/30 16:59)
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[187] 第六話 Kamerad
Name: ルッコラ 前を表示する
Date: 2006/04/30 16:59
 ――ネルフ本部 作戦部長執務室

「ハイ、これが関係各省庁からの抗議文と、被害報告書」
「うぁぁ……」
 リツコの指示で運び込まれた、机を埋め尽くす書類の山を目の前にして、ミサトは憔悴しきった表情で肩を落とした。
「で、こっちがUNからの請求書。広報部からの苦情も、同封しておいたから」
 トドメとばかりに、リツコは封筒をミサトに手渡す。
 渋面のミサトは乱暴に椅子へ腰を落とし、封筒を団扇代わりにしながら、溜息まじりに天を仰いだ。
「ちゃんと目を通しておいてよ」
「お役所の連中が言いたいことなんか、わかってるわよ。自分の管轄に面倒を持ち込むな、よそに行けってことでしょ?」
 クギを刺すリツコに向かい、しかめっ面のまま、ミサトがぼやいた。
「御明察」
 リツコは「仕方がない」と言いたげな苦笑を浮かべつつ、傍にあった椅子に腰掛けながら、手にしていたクリップボードの書類に目を通す。
「副司令、カンカンだったわよ? 今度恥をかかせたら――」
「左遷かしらね? 司令がいないのが幸いだったわ……」
「……そうとも言えないわよ?」
「? どういうこと? それ」
「さっきのブリーフィングで、アスカが副司令に噛み付いたのよ」


「ゲッ! マジ!?」





ちぇんぢ とぅ ASUKA!





 第六話 Kamerad

 1、 シンジ視点

「しかしアスカ、本当に反省してるのかい?」
 自販機から、コーヒーの紙コップを取り出して、加持さんは椅子に座りながら、惣流さんに問いかけた。
「む。してるわよ、流石に先のアレは、拙かったなって思ってる…」
 唇を尖らせて反論する惣流さんを、微笑を浮かべて、じっと見つめる加持さん。
「言ったことは反省している、か。でも、思っていたことは反省していないだろう?」
「う。それは……だって、あのシビリアンじじいがムカついたのは事実だし……」
 加持さんの指摘に俯きながら呟く惣流さん。また、あの言葉……
「おいおいアスカ。副司令の耳に入ったら、またどやされるぞ?」
「あの、惣流さん……」
「ん? どうかした? シンジ」
 割って入った僕の声に反応して、二人がこちらを向く。
「さっきも言ってたけど、その、『シビリアン』って何?」
 僕は先程から疑問に思っていたそれを、惣流さんに投げかけた。
「――ああゴメン、わからないわよね。
 これはね、英語で文官や、非戦闘員、一般市民を表す言葉なんだけど、ここでは政治家や官僚――お役所の人間を指す言葉よ」
 人差し指を立てて、説明してくれる惣流さんは、何だか学校の先生みたいに思えた。
「あのじい様の、杓子定規で上っ面でしか物事を見ていないところは、いかにもお役所的じゃない? 戦場も知らないクセに、偉そうに文句
つけてさ。だからさっきもつい、口に出ちゃったのよね。腹が立って……」
 そう言って惣流さんは顔をしかめた。どうやら、ブリーフィングルームのことを思い出しているらしい。
「大体、子供の頃から訓練しているあたしならともかく、ついこの間まで普通の中学生だったシンジに、恥だの醜態だの……考え無し
でものを言い過ぎよ」
 そこで言葉を切り、惣流さんが顔を下に向ける。
「……シンジの戦闘記録を見たけど、酷いものだわ。第参使徒戦では頭、第四使徒戦では腹部を貫かれて、第五使徒戦では全身を
焼かれている。そこまでして戦ってくれてるってのに…あんな言い草ってない」
「惣流さん…」
 吐き捨てるような惣流さんの呟きに、僕は驚いて言葉も出なかった。
 それじゃさっき、ブリーフィングルームであんなに怒ったのは、自分が馬鹿にされたからじゃなくて、僕の為に…?

 Pririririri!

 突然、甲高い電子音が、周囲に響いた。
「おっと失礼。俺のだ」
 加持さんは片手を上げて僕達に謝りながら、懐にある携帯を取り出し、液晶を確認して耳に当てる。
「やあ、どうした? ……ああ、二人とも俺の傍にいるよ? …そうか、わかった。それじゃあ俺が送って行くよ。なに、構わんさ。俺もこっち
には着任したてで、ヒマなもんでね。ん? 何だ? …ああ」
 通話を終えた加持さんが、携帯をたたんで懐にしまう。
「葛城からだ。二人とも、今日はもう上がっていいそうだ。次の命令まで普段通りにしていていいそうだが、連絡だけはすぐに取れるように、
携帯の電源はONにして持ち歩けってさ」
 言いながら、加持さんはコーヒーを一気に飲み干し、残った紙コップをくずかごに放り投げると、椅子から腰を上げた。
「じゃ、俺が送って行くから、帰るとしよう」
「あの、加持さん、ミサトさんは…?」
 そのまま出口に向かおうとする加持さんに、僕は先程のブリーフィングから姿が見えなかった、ミサトさんの行方を尋ねた。
「ああ、アイツはこの一件で残業だ。責任者は、責任を取る為にいるからな」

 2、 
 ――ドリンクコーナーでの、シンジ達のやりとりの少し前――
「――そんなことがあったの……」
 リツコから、ブリーフィングルームでの出来事の顛末を聞き、ミサトは背もたれに体重を預けながら、天井を見上げて嘆息した。
「覚悟が足らない、か。耳が痛いわね……」
 呟いて体を起こし、目の前の書類を手に取る。
 その表情は普段のおちゃらけたものではなく、任務遂行の為に感情を殺す、軍人のそれへと変貌していた。
「リツコ、エヴァの修復はどの位かかる?」
「今からフルピッチでやって、六日ってところね」
「使徒の方は?」
「現在自己修復中。MAGIの予測では、第ニ波は七日後と出たわ」
「予測である以上、安心は出来ないけど、取り合えず時間は稼げたわね。後は、あの使徒に対する戦法をどうするか……」
 パラパラと書類に目を通しながら、何かいい策はないものかと、ミサトは苛立たしげに親指の爪を噛む。
「その戦法に繋がるアイディアがあるんだけど…いらない?」
 白衣のポケットからフロッピーディスクを取り出しながら、リツコが微笑む。
 ミサトはガバッとリツコの方を振り向き、その手にあったフロッピーをひったくった。
「いるいる! さっすがは赤木リツコ博士! 頼りになるわぁ!」
「残念。私のアイディアじゃないわ」
「――へっ? じゃ、誰が」
 キョトンとしながら、手にしたフロッピーを何気なくひっくり返すミサト。
 すると、シールを貼られた記載欄の、『マイハニーへ(はぁと)』という文字が目に付き、ミサトは「う″」とくぐもった声を上げた。
「加持君よ」
 笑顔で立案者の名を上げるリツコ。
「ウ~~~~……ハァ」
 フロッピーを睨みながら、暫し唸りを上げていたミサトだったが、溜息を吐きながらそれを胸ポケットに収めると、改めて書類に向き合い、
目を通し出した。
 それを見ながら、「あら?」っと、幾分か驚きの混じった声を漏らすリツコ。
 その反応が気に食わなかったのか、ミサトは手を止め、横目でリツコを睨む。
「…………あによ?」
「てっきり、突き返されるものだと思っていたから。意外な反応に驚いたのよ」
「子供が、『勝つ為なら泥水だって啜って見せる』なんて言葉を口にしてるのよ? 私がつまんない意地張るワケにいかないでしょうが」
「そう。まあ、面倒がかからないから、こちらとしては楽でいいわ」
「人を子供みたいに……」
 クリップボードのチェックが終わったリツコは、それを小脇に挟んで立ち上がると、半眼で唇を尖らせるミサトを尻目に、出口に向かう。
「ああ、そうだ、ミサト。チルドレン達はまだ本部に待機状態になってるから、連絡しておいた方がいいわよ?」
 加持君にも、お礼を言っておきなさいよ? と釘を刺して、リツコは部屋を出た。

 3、

「さてと、一体どうなっているのかしら……」
 手にしていたクリップボードにチラリと目をやり、リツコは通路を歩きながら独白する。
 そこに挟まれていたのは、先ごろ、よくやくドイツ支部から送られて来た、アスカと弐号機に関する詳細なデータだった。
 やっとこれで、まともな分析に入れると思ったのも束の間、今度はデータ不足の嘆きから、不可解なデータの山に、悩まされることに
なったのだ。
「本部のデータと向こうのデータ……こうも齟齬そごがあるのは何故かしらね」
 リツコの言う齟齬、それはシンクロ率やハーモニクスのことではない。
 彼女が言っているのは、アスカのメンタルな部分――性格や対人関係のことである。
 記録にあるドイツ支部のアスカと、本部でのアスカのそれが噛み合わないのだ。
「いえ、全部ではないようだけど……」
 データを見る限りでは、一定の時期を境に、性格が変わったと言うべきであろう。
「このデータがニセモノでなければ、ATフィールドの発動実験の前後といったところね、あの子が変わり出したのは……」
 人が変わったということ自体は、別に珍しいことではない。ちょっとしたことが切欠で、憑き物が落ちたかのように性格が変化することなど、
よくあることだ。だが――
「あのATフィールドの応用力は、何?」
 ガギエル戦で見せた技はまだ納得がいく。足場としての利用は斬新ではあったが、考え付かないことではなかったし、巨大なATフィールド
の剣も強大ではあるが、そのシンプルさから、感情の爆発で生み出した産物としても十分に許容できる範囲内のものだ。
 しかし、今回の戦闘方法はどうだろうか?
 そもそもATフィールド自体、ネルフ初の実戦で暴走した初号機が展開させたのが初めてである。
それも、技巧もへったくれもなく、完全な力技で相手を押し切るような使い方だった。
そこから得たデータを元に、チルドレン達にATフィールドの展開、中和が出来るよう指導してきたのだ。
つまり、現在のネルフは使徒のATフィールドに、理論も技術もまるで追いついていないのだ。
 にもかかわらず、そんな現状下で弐号機は、あのような技を見せた。
「暴走であんな戦い方が出来るというの? 初号機とまるで違うあの動きが、暴走だというの?」
 初号機と弐号機の暴走には、あまりにも差異がある。
 たとえるならば炎と氷、力と技、狂戦士(バーサーカー)と暗殺者(アサシン)、両者の違いは、誰が見てもその位の隔たりがあった。
「あの娘は、アスカは一体……」
「あっ! センパーイ、ここにいたんですか!」
 一人考え込んでいたリツコは、背後からかかった声に、我に返って後ろを向いた。
 胸に資料を抱えたマヤが、小走りにこちらへやって来る。
「あら、マヤ。どうしたの?」
「どうしたのって……初号機と弐号機の修復作業に入るから、メンバーを集めておくようにって、先輩が言ってたじゃないですか! なのに
肝心の責任者がケイジにこないんですもん……」
「あ、そうだったわね。ごめんなさい」
 子供のように頬を膨らませるマヤに苦笑しながら、リツコは頭を下げた。
「もういいですよ。それよりも、もうみんな集まってますから、早く行きましょう?」
「そうね」
 二人は横並びになってケイジへと歩を進める。
 リツコはマヤの報告を聞きながら、思考を切り替え、初号機と弐号機の修復プランを心中で描く。
 しかし、アスカと弐号機に対する疑問は消えることなく、彼女の脳裏にしっかりと焼きついていた。

 4、 シンジ視点

「はぁー…」
 使徒との戦闘からほぼ一日経った放課後。ミサトさんからの命令も無いまま普段通りに学校での授業を終えた僕は、西に傾いた
日差しの中、溜息をつきながら、家へと続く道を歩いていた。
「惣流さん、学校来なかったな…」
 平気そうにしていたけど、やっぱり使徒に負けたのはショックだったのかな?
「大丈夫かなぁ、元気ならいいけど……」
 僕はいつの間にか目と鼻の先に迫っていた、コンフォート21の正面玄関を通り、もう一度溜息をつきながら、エレベーターの入り口
前に立った。


「あれ?」
 自宅のドアの前。
 ドアノブにカギを差し込んだ僕は、手ごたえの無さに、思わず声を上げた。
「カギが開いてる…」
 ミサトさんが帰って来てるのかな?
 僕はカギを抜いてポケットにしまうと、ドアを開いて中に入る。
「ミサトさーん、いるんですかー?」
「あ、シンジ。お帰りなさい」
「えっ!?」
 部屋の奥から現れたその人物に、僕は思わず目を丸くして声を上げてしまった。
「? どうしたの?」
 そんな僕を見ながら、その人物――惣流さんは、不思議そうに首をかしげた。
「え、あ、な…何で惣流さんがここに……?」
「は? ちょっと待って、ミサトから何も聞いてないの?」
 惣流さんの言葉に、無言で首を縦に振る僕。
「全く…ちゃんと説明しとけって言ったのに……」
 惣流さんはおでこに手をやり、深い深い溜息をついた。
「ただいまー。あ、アスカ、引越しは済んだのね?」
 と、そこへ、僕の背後でドアが開き、挨拶とともにミサトさんが帰って来た。
「ちょっとミサト、シンジにちゃんと言ってなかったの?」
「あはは、ゴミンゴミン、ちょっち忘れていてね……」
 じっと睨む惣流さんに、ミサトさんは頬をかいて苦笑する。
 一体何がどうなってるんだろうか。
「まあ、とりあえず中で話しましょ。さ、入ってシンちゃん」
「あ、はい…」
 僕はミサトさんに促されるまま、玄関の奥へと向かった。




「ええっ! 一緒に住む!?」


 ダイニングの椅子に腰掛けたところで始まった、ミサトさんの説明に、僕は思わず腰を浮かせて声を上げた。
「そ。六日間ほどね」
「な、何で?」
「今度の作戦の準備の為よ」
「作戦って?」
「MAGIの計測の結果、あの使徒は互いに補完しあっている、一心同体の存在であることがわかったの。つまり、第七使徒を倒すには、
二つのコアに対して二点同時荷重攻撃を行なう以外にないわ。
 そこで初号機と弐号機の完全な協調――ユニゾンが必要なの。それをものにする為に、同居して特訓を受けてもらうってワケ。
 寝食をともにして、心身ともに完璧なユニゾンをものにするのよ」


 同居…?


 僕と惣流さんが同居……?
 同じものを食べて、
 同じ風呂に入って、って――


「む、むむむむ無理ですよ、そんなこと! 絶対無理!」


「もう、シンちゃんたら照れちゃってぇ。素直に喜んでも、誰も怒りゃしないのよ?」
 力いっぱい拒否をする僕を、ミサトさんは目をニヤつかせて笑うミサトさん。
「よ、喜んでなんかいませんよ! 僕が言いたいのはそういうことじゃ――」
「何? シンジはあたしが嫌いだから、一緒になんか暮らせないってこと?」
 突然の声に横を向けば、麦茶を片手に持ちながら椅子に座った惣流さんが、僕を睨んでいた。
「そ、そうじゃないけど…」
「じゃ、問題ないでしょ? あ、あたし荷物そんなに無いから、あっちの狭い方の部屋でいいわ。何となく落ち着くし」
 口ごもる僕にはお構いなしに、さっさと話を進めてしまう惣流さん。
 それでこの話題はおしまいとばかりに、コップを口につけて、麦茶を一気に流し込む。
 そこから反論も許さない態度が見え隠れして、僕は諦めの溜息をついた。


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