「人殺しの息子」・・・碇シンジはそう呼ばれ、虐げられてきた。が、ある日・・・。
ドカアッ!!
「な、何だよ!?」
そこには男が立っていた。黄金の山羊を模した甲冑に身を包み、マントを翻して。
「大の大人が数人がかりとは・・・恥を知れ!!!」
男は強かった。自分をいじめていた大人達が次々と蹴散らされていく。
「ひいいいっ!!」
逃げ出す大人達を一瞥し、男は優しく手を伸ばす。
「強く、なりたいか?」
「うん・・・僕、強くなりたい。」
シンジは男の手を強く握った。
「良い瞳だ・・・俺と来るか?」
「うんっ!お兄さんの名前は?」
男は微笑を浮かべて言った。
「シュラ・・・黄金聖闘士、山羊座のシュラだ。」
「僕、シンジ・・・碇シンジ。」
そして、出会いから10年が経過し・・・ギリシャ・聖域。
「くそっ、何故当たらん!?」
「遅いよ・・・。」
シンジは右手を振りかざす。
「受けよ、我が師シュラ譲りの・・・エクスカリバーを!!!」
拳は音速を超え、凄まじい衝撃の刃となって相手を切り裂いた。
「見事だ、シンジ・・・お前も晴れて聖闘士の名を冠するようになれたな。」
シュラは満足げに頷いた。最初こそ弱音ばかりのシンジであったがこの10年で見違える程に実力をつけていた。今のシンジなら、その辺りの不良が何百人来ても軽く掃討してのけるだろう。
「さて・・・これが私のプレゼントだ。」
そこには、白銀に輝く山猫を模した聖衣が鎮座していた。
「先生・・・!」
「碇シンジ・・・黄金聖闘士シュラの名の下に以下の者を青銅聖闘士、山猫座リンクスとする!」
新たな戦士、誕生の瞬間だった・・・。