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No.8576の一覧
[0] 東方天晶花 (東方project+オリ主)【完結+未来語りⅡ追加】[ラリアー](2011/04/19 08:33)
[1] 巻の起「はじまり はじまり」 ~Welcome the beginner of the fantasy~[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[2] 東方天晶花 巻の一「百聞は一見に如かず」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[3] 東方天晶花 巻の零点五「口は災いの元」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[4] 東方天晶花 巻の二「女心と秋の空」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[5] 東方天晶花 巻の三「人の振り見て我が振り直せ」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[6] 東方天晶花 巻の四「袖振り合うも多生の縁」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[7] 東方天晶花 巻の五「芸は身を助く」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[8] 東方天晶花 巻の五点五「知らぬが仏」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[9] 東方天晶花 巻の六「帯に短し襷に長し」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[10] 東方天晶花 巻の七「暗がりに鬼を繋ぐ」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[11] 東方天晶花 巻の八「鬼が出るか蛇が出るか」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[12] 東方天晶花 巻の九「親しき仲にも礼儀あり」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[13] 東方天晶花 巻の十「身から出た錆」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[14] 東方天晶花 巻の十点五「親の心子知らず」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[15] 東方天晶花 巻の十一 「縁は異なもの味なもの」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[16] 東方天晶花 巻の十二「玉磨かざれば器を成さず」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[17] 東方天晶花 巻の十三「藪を突突いて蛇を出す」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[18] 東方天晶花 巻の十四「精神一到何事か成らざらん」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[19] 東方天晶花 巻の十五「竹馬の友」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[20] 東方天晶花 巻の十五点五「呉越同舟」[ラリアー](2012/01/16 10:42)
[21] 東方天晶花 巻の十六「鷺を烏」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[22] 東方天晶花 巻の十七「無用の用」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[23] 東方天晶花 巻の十八「羹に懲りて膾を吹く」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[24] 東方天晶花 巻の十九「上に交わりて諂わず下に交わりて驕らず」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[25] 東方天晶花 巻の二十「用心は勇気の大半なり」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[26] 東方天晶花 巻の二十一「烏に反哺の孝あり」[ラリアー](2012/01/30 18:40)
[27] 東方天晶花 巻の二十二「子は三界の首枷」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[28] 東方天晶花 巻の二十三「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」[ラリアー](2012/01/16 10:47)
[29] 東方天晶花 巻の二十三点五「画竜点睛」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[30] 東方天晶花 巻の二十四「情けは人の為ならず」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[31] 東方天晶花 巻の二十五「コチョウノユメ」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[32] 巻の承「それから それから」 ~The world of extending fantasy~[ラリアー](2009/11/21 02:27)
[33] 東方天晶花 巻の二十六「その日その日が一年中の最善の日である」[ラリアー](2009/11/06 15:56)
[34] 東方天晶花 巻の二十七「真の友愛においては、 私は友を自分のほうにひきつけるよりもむしろ自分を友に与える」[ラリアー](2009/11/06 15:56)
[35] 東方天晶花 巻の二十八「青春は短い。宝石の如くにしてそれを惜しめ」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[36] 東方天晶花 巻の二十九「時というものは、 それぞれの人間によって、 それぞれの速さで走るもの」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[37] 東方天晶花 巻の三十「不幸な人間は、いつも自分が不幸であるということを自慢しているものです」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[38] 東方天晶花 巻の三十一「食卓は、最初の間は人々が決して退屈することのない唯一の場所である」[ラリアー](2012/01/30 18:41)
[39] 東方天晶花 巻の三十二「軽信は大人の弱点であるが、子供にとっては力である」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[40] 東方天晶花 巻の三十三「怒りは他人にとって有害であるが、憤怒にかられている当人にとってはもっと有害である」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[41] 東方天晶花 巻の三十四「進歩とは、価値の置換によって生ずる錯覚にほかならない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[42] 東方天晶花 巻の三十四点五「雨は一人だけに降り注ぐわけではない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[43] 東方天晶花 巻の三十五「主よ、助けてくれとは申しません。私の邪魔をしないで下さい」[ラリアー](2015/01/19 22:38)
[44] 東方天晶花 巻の三十六「命と引き換えに金を欲しがるのは強盗であるが、女はその両方とも欲しがる」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[45] 東方天晶花 巻の三十七「苦痛には限度があるが、恐怖には限度がない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[46] 東方天晶花 巻の三十八「成功する人は錐のように、ある一点に向かって働く」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[47] 東方天晶花 巻の裏側「教えろ! 山田さんっ!!」[ラリアー](2009/11/06 15:59)
[48] 東方天晶花 巻の三十九「事を行うに当って、いつ始めよう等と考えている時には、既に遅れをとっているのだ」[ラリアー](2009/11/06 15:59)
[49] 東方天晶花 巻の四十「善良な性格は法律よりもさらに信頼ができる」[ラリアー](2013/05/27 22:17)
[50] 東方天晶花 巻の四十一「人間が幸福であるために避けることのできない条件は勤労である」[ラリアー](2012/02/06 13:03)
[51] 東方天晶花 巻の四十二「良い判断は無分別な親切に勝る」[ラリアー](2013/05/27 22:20)
[52] 東方天晶花 巻の四十三「病気は千もあるが、健康は一つしかない」[ラリアー](2009/11/16 01:55)
[53] 東方天晶花 巻の四十四「この瞳を、どうしてにごしてよいものか」[ラリアー](2009/11/21 02:31)
[54] 東方天晶花 巻の四十五「公にされることを望む慈善はもう慈善ではない」[ラリアー](2013/06/10 19:50)
[55] 東方天晶花 巻の四十六「報酬への期待を行動のバネとする人にはなるな」[ラリアー](2013/04/22 19:40)
[56] 東方天晶花 巻の四十七「言葉で説教するよりも、あなたの生き方そのものがより良い説教となろう」[ラリアー](2013/05/06 23:58)
[57] 東方天晶花 巻の四十八「真実には特定の時などない。真実はどんな時代にも真実である」[ラリアー](2012/02/06 13:06)
[58] 東方天晶花 巻の四十九「正義は永遠の太陽である。世界はその到達を遅れさせることはできない」[ラリアー](2012/02/06 13:07)
[59] 東方天晶花 巻の五十「希望に満ちて旅行することは、目的地にたどり着くことより良いことである」[ラリアー](2010/01/07 20:28)
[60] 東方天晶花 巻の五十一「人間の真の性格は、彼の娯楽によって知られる」[ラリアー](2010/01/14 13:33)
[61] 東方天晶花 巻の五十二「恋愛は人を強くすると同時に弱くする。友情は人を強くするばかりである」[ラリアー](2013/05/06 23:58)
[62] 東方天晶花 巻の五十二点五「不思議なものは多い。しかし人間ほど不思議なものはない」[ラリアー](2010/01/24 18:04)
[63] 東方天晶花 巻の五十三「最強者の理屈が、いつも最も良いとされる」[ラリアー](2013/06/10 19:50)
[64] 東方天晶花 巻の五十四「怒りの結果は、怒りの原因よりはるかに重大である」[ラリアー](2010/02/07 06:05)
[65] 東方天晶花 巻の五十四点五「自負は常に他人の感嘆によって強化される」[ラリアー](2010/02/14 09:54)
[66] 東方天晶花 巻の五十五「友情は最初、残酷なほど明確にものを見る」[ラリアー](2012/02/18 15:06)
[67] 東方天晶花 巻の五十六「至上の処世術は、妥協することなく適応することである」[ラリアー](2010/02/24 21:21)
[68] 東方天晶花 巻の五十七「あまり道徳的になるな。自分を欺いて人生を台無しにしてしまう」[ラリアー](2010/03/03 17:18)
[69] 東方天晶花 巻の五十八「慣習とは反対の道を行け。そうすれば常に物事はうまくいく」[ラリアー](2010/03/10 21:29)
[70] 東方天晶花 巻の五十九「自尊心は美徳ではないとしても、それは多くの美徳の両親である」[ラリアー](2010/03/30 01:45)
[71] 東方天晶花 巻の五十九点五「まず事実をつかめ。それから思うままに曲解せよ」[ラリアー](2010/03/23 17:54)
[72] 東方天晶花 巻の六十「活動的な馬鹿より恐ろしいものはない」[ラリアー](2010/03/30 01:46)
[73] 東方天晶花 巻の六十一「行動するためには、いかに多くの事に無知でなければならぬ事か」[ラリアー](2012/02/26 08:32)
[74] 東方天晶花 巻の六十二「勇敢な行為は、決して勝利を欲しない」[ラリアー](2010/04/20 00:01)
[75] 東方天晶花 巻の六十三「忍耐とは、肉体的な小心と道徳的勇気の混じり合いである」[ラリアー](2012/02/26 08:56)
[76] 東方天晶花 巻の六十四「神の存在を立証しようとするあらゆる試みは、すでに神に対する冒涜である」[ラリアー](2012/02/26 08:57)
[77] 東方天晶花 巻の六十五「行動はいつも幸せをもたらすものではないが、行動なくしては幸せはない」[ラリアー](2012/03/03 12:21)
[78] 幻想郷うろ覚え童話「モモタロウ」[ラリアー](2010/05/08 00:56)
[79] 東方天晶花 巻の六十六「運命は我々の行為の半分を支配し、他の半分を我々自身にゆだねる」[ラリアー](2012/03/03 12:25)
[80] 東方天晶花 巻の六十七「王国を統治するよりも、家庭内を治めることのほうが難しい」[ラリアー](2010/05/20 10:28)
[81] 東方天晶花 巻の六十八「常識の有無は教育の有無とは関係ない」[ラリアー](2010/05/27 01:01)
[82] 東方天晶花 巻の六十九「不正の存在を前にして黙する人は、実は不在の共犯者にほかならない」[ラリアー](2010/06/02 00:17)
[83] 東方天晶花 巻の七十「馬は死ぬ前に売ってしまうことだ。人生のコツは、損失を次の人に回すこと」[ラリアー](2012/03/15 18:46)
[84] 東方天晶花 巻の七十一「人間は自分の知っていることなら半分は信じるが、聞いたことは何も信じない」[ラリアー](2013/05/12 23:50)
[85] 東方天晶花 巻の七十二「友人の失敗には目をつぶれ、だが悪口には目をつぶるな」[ラリアー](2012/03/15 18:47)
[86] 東方天晶花 巻の七十三「今が最悪の状態と言える間は、まだ最悪の状態ではない」[ラリアー](2012/03/26 23:52)
[87] 東方天晶花 巻の七十四「学校での成績がよいからといって、社会で認められるとは限らない」[ラリアー](2010/07/07 00:16)
[88] 東方天晶花 巻の七十五「神はあらゆる人間のうちに住むが、すべての人間は神のうちに住まず」[ラリアー](2010/07/21 10:29)
[89] 東方天晶花 巻の七十六「苦しんで強くなることがいかに崇高なことであるかを知れ」[ラリアー](2012/03/26 23:53)
[90] 東方天晶花 巻の七十六点五「家庭はどこで始まるか? 若い男と若い娘が恋愛に陥ることから始まる」[ラリアー](2010/07/28 01:23)
[91] 東方天晶花 巻の七十七「長いこと考え込んでいるものが、いつも最善のものを選ぶわけではない」[ラリアー](2010/08/04 00:06)
[92] 東方天晶花 巻の七十八「男に惚れられるような男でなければ、女には惚れられない」[ラリアー](2012/04/10 09:56)
[93] 東方天晶花 巻の七十九「二人の女を和合させるより、むしろ全西欧を和合させる事の方が容易であろう」[ラリアー](2010/08/25 00:02)
[94] 東方天晶花 巻の八十「友情は瞬間が咲かせる花であり、そして時間が実らせる果実である」[ラリアー](2010/09/07 22:54)
[95] 東方天晶花 巻の八十一「文学は商売と芸術が半々であるとき最も栄える」[ラリアー](2010/09/08 00:07)
[96] 東方天晶花 巻の八十一点五「さすらいと変化を愛するものは生ある者である」[ラリアー](2010/09/13 00:07)
[97] 東方天晶花 巻の八十二「絶望とは、闘う理由を知らずに、しかもまさに闘わねばならないということだ」[ラリアー](2010/09/27 01:22)
[98] 東方天晶花 巻の八十三「真の勇気というものは、極端な臆病と無鉄砲との中間にある」[ラリアー](2010/09/27 01:23)
[99] 東方天晶花 巻の八十四「今日は堂々と勇ましく、そして明日は墓の中」[ラリアー](2012/04/15 23:09)
[100] 東方天晶花 巻の八十五「賽は投げられた」[ラリアー](2012/04/23 22:15)
[101] 巻の転「むかし むかし」~the end of fantasy~[ラリアー](2010/10/20 23:50)
[102] 東方天晶花 巻の八十六「未知になるって言うのは、死んじゃうのと同意義なのさ」[ラリアー](2010/10/30 18:11)
[103] 東方天晶花 巻の八十七「宴には上等の酒と上等の肴があれば充分よ」[ラリアー](2012/04/23 22:24)
[104] 東方天晶花 巻の八十八「幻想郷は、宴会も自由だなぁ」[ラリアー](2010/11/06 11:22)
[105] 東方天晶花 巻の八十九「溜まったツケを払わないと、新しい事は始められないでしょ?」[ラリアー](2010/11/13 00:39)
[106] 東方天晶花 巻の九十「世間から必要とされない音楽はこうやって消えていくのね~」[ラリアー](2010/11/20 00:02)
[107] 東方天晶花 巻の九十一「この幸せ者共め! お代は聞いてのお帰りだよっ!!」[ラリアー](2010/12/02 00:44)
[108] 東方天晶花 巻の九十二「他人のペースに合わせて自分を見失ってはダメなの」[ラリアー](2010/12/09 00:03)
[109] 東方天晶花 巻の九十三「人や妖怪と一緒、家にも色んな形があるの」[ラリアー](2010/12/16 10:51)
[110] 東方天晶花 巻の九十四「まるで、巌流島の決闘みたいね」[ラリアー](2010/12/23 00:57)
[111] 東方天晶花 巻の九十五「きっと貴方自身ですら知らない秘密を教えてくれるわよ」[ラリアー](2010/12/30 00:21)
[112] お正月特別変「フタマルイチイチ、ヲトシダマ異変」[ラリアー](2012/05/14 17:48)
[113] 東方天晶花 巻の九十六「正直で結構! あたいも生きてる奴を運ぶほど暇じゃないからね」[ラリアー](2011/01/13 00:03)
[114] 東方天晶花 巻の九十七「半端な智慧は時として、無知よりも罪深き業となります」[ラリアー](2012/05/29 01:47)
[115] 東方天晶花 巻の裏側弐「スキマ妖怪が教えてア・ゲ・ル♪」[ラリアー](2011/01/26 10:35)
[116] 東方天晶花 巻の九十八「やがて辿り着く結果までは、この閻魔にも見通せません」[ラリアー](2011/02/02 00:55)
[117] 東方天晶花 巻の九十九「胸を張れとは言わないけどさ、お礼くらいはちゃんと受け取りなよ」[ラリアー](2011/02/09 00:02)
[118] 東方天晶花 巻の百「譲れないモノがあるなら死んでも守り切りなさい」[ラリアー](2011/02/16 00:20)
[119] 東方天晶花 巻の裏側参「もう一度教えろ! 山田さんっ!!」[ラリアー](2011/02/23 02:18)
[120] 東方天晶花 巻の百一「幻想郷らしく、力尽くで居場所を‘奪って’きます」[ラリアー](2011/03/01 00:02)
[121] 東方天晶花 幕間「誰が為に鐘は鳴る」[ラリアー](2011/03/08 11:09)
[122] 東方天晶花 巻の百二「つまりはいつも通り、一か八かの出たとこ勝負をするワケね」[ラリアー](2011/03/15 01:59)
[123] 東方天晶花 幕間・弐「久遠の空に舞い踊る風花」[ラリアー](2011/03/22 00:01)
[124] 東方天晶花 巻の百三「―――切り札ならありますよ。最低最強、とっておきの一枚がね」[ラリアー](2011/03/29 08:04)
[125] 巻の結「めでたし めでたし」~The fantasy continues~[ラリアー](2011/04/11 23:50)
[126] 東方天晶花 キャラ紹介(第九十五話まで[ラリアー](2012/05/29 01:48)
[127] 天晶花・昔語り①「晶と隙間とお茶会と」[ラリアー](2009/11/26 19:11)
[128] 天晶花・昔語り②「晶と隙間とお袋の味と」[ラリアー](2009/12/17 01:51)
[129] 天晶花・昔語り③「晶と巫女とカラオケと」[ラリアー](2010/08/18 04:29)
[130] 天晶花・昔語り④「早苗と神と悪戯メールと」[ラリアー](2010/11/27 00:04)
[131] 天晶花・未来語りⅠ「次代のユウウツ」[ラリアー](2012/06/04 21:40)
[132] 天晶花・未来語りⅡ「賢人のわりといつも通りな一日」[ラリアー](2012/06/04 21:41)
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[8576] 東方天晶花 巻の六十三「忍耐とは、肉体的な小心と道徳的勇気の混じり合いである」
Name: ラリアー◆536635cd ID:5c171fc7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/02/26 08:56

巻の六十三「忍耐とは、肉体的な小心と道徳的勇気の混じり合いである」




 どうも、熱い心に不可能は無いと信じている久遠晶です。
 フランちゃんとの、未来と友情と命をかけた弾幕ごっこに挑む事になった僕と美鈴ですが。

「よ、ようやく出られた」

「はぁ……ようやく外だー」

「ううっ、誰ひとりとして外への道順を知らないだなんて思いませんでした」

 ――今の今まで、外への出口が分からず右往左往しておりました。フランちゃんも一緒に。
 いや、しょうがないじゃないですか。そもそも僕等迷子になっていたワケですし。
 フランちゃんが外への道順を知っているはずも無いのだから、こうなるのは言わば必然だったワケなんですよ。
 ……まぁ、それも結局は言い訳なんですけどね。
 長時間迷ったおかげで、全員テンションがダダ下がりですともさ。

「はぁ……とりあえず、広間に移動しましょうか」

「え、家の中でやっちゃって良いの?」

「あまり大丈夫ではないんですが、外には太陽の光がありますからね」

「ああ、なるほど」

 そういや、フランちゃんも吸血鬼だったっけ。
 レミリアさん曰く、日光がダメなんじゃなくてただ苦手なだけらしいけど、どちらにしろ外でやり合うのはあまりよろしくないか。
 
「でも……後片付けは一緒に頑張りましょうね?」

「まぁ別に、それくらいは構わないけど」

 ソレ、後片付け程度で何とかなるのかなぁ……。
 そもそも、そこまで生き残れるかどうかがすでに怪しい気がする。
 何しろフランちゃんと対峙している間、僕は暴走対策として常に狂気の魔眼を使用しておかないといけないのだ。
 と言う事はつまり、魔眼を軸にした技――主に面変化等は使えなくなるわけでして。
 ううっ、こういう時にこそ攻撃の幅が増えて防御能力が上がる四季面と天狗面が必要なのに。
 さっきは根拠も無く大丈夫だなんて言ったけど、段々不安になってきたよ。
 
「よーし、それじゃあ始めよっか!」

「委細承知っ!」

 しかしそんな状況でも、フランちゃんのテンションが戻った瞬間に臨戦態勢へと入ってしまうパブロフの狗な僕。
 どうして、マイボディはこんなにも物分かりが良いのだろうか。
 少しは逃げる素振りを見せても罰は当たらないと思うんだけどなぁ――ま、最終的には諦める事になったでしょうがねっ。
 ……なるほど、僕の身体は僕よりも賢いワケですか。
 
「ところで始めるのは良いんですけど、何か作戦みたいなものは無いんですか?」

「そうだなぁ――作戦は『おのおのかってに』で」

「何だか凄いイヤな予感のする作戦名ですが、具体的にはどんな事をするんですかね」

「個人で戦いつつ、相方がピンチになったら殴ってでも助ける」

「うわぁ、適当だぁ……」

 いや、一応深い考察の元に決めた作戦なんですよ?
 文姉クラスの実力者ならともかく、美鈴や僕の力量じゃ格上相手にお互いを常にフォローするのは難しい。
 アリスと違って攻撃タイプの住み分けも出来てないから、即席のコンビネーションも危険だろうし。
 ……その、器用貧乏な癖に近接寄りの僕が悪いんですけど。
 こればっかりはどうしようも無いので、結局一番互いの実力が発揮できる個人プレーに走るしか無かったのでございます。
 ヘッポコオールマイティキャラでごめんなさい。

「……まだ作戦会議?」

「あ、すいません。始めてください」

「じゃあ、早速行くよーっ!!」

 元気良く右手を掲げたフランちゃんが、スペルカードを宣誓した事でやっと弾幕ごっこが始まった。
 って、しまった!? あっさり彼女に先手を譲っちゃったぁーっ!



 ―――――――禁忌「クランベリートラップ」 



 発動する、彼女のスペルカード。
 紫色の弾幕が、フランちゃんを中心として無秩序に広がっていく。
 さらに合間を縫いながら、こちらを目指して青い弾幕が僕と美鈴それぞれに近づいてくる。
 ランダム弾とホーミング弾を組み合わせた弾幕か、これは厄介だね。

「……でもっ!」

「ちょ、晶さんっ!?」

 僕は真っ直ぐフランちゃんに向けて駆け出した。
 紫の弾は避け、青い弾は強化された手甲と足鎧で全て叩き落とす。
 弾幕ごっこの回避方法としては三流だけど、フランちゃんを楽しませる大道芸としては充分だ。
 手足の痺れを感じつつも前進し、僕は彼女の目の前まで辿り着いた。
 そのまま、勢いよくフランちゃんに向けて拳を打ち出す。
 
「あははっ! 凄いよ晶、カッコイイ!!」

 しかし、その一撃はあっさりと彼女に受け止められてしまった。
 まるで触れるような軽い握られ方なのに、僕の右手はピクリとも動かない。
 恐るべし吸血鬼の腕力。わりと全力で殴ったはずなのに、まさか歯牙にもかけられないとは。

「でも残念、飛んでっちゃえっ!!」

「うにゃぁぁぁあ!?」

 そして、凄まじい勢いで放り投げられた。
 視界が逆さまになり、あっという間にフランちゃんから遠ざかっていく。
 ただし追撃は無い。一応、扱い的にはクランベリートラップの最中となっているためだろう。
 それなら――

「隙在りっ!」

 僕は着地を完全に捨てて、スペルカードを発動させた。



 ―――――――幻想「ダンシング・フェアリー」 



 巻き起こる氷と風の弾幕がフランちゃんを包み、そのダメージが彼女のスペルカードを解除する。
 うーん、この技が真っ当に決まったのは初めてかもしれないね。
 戦闘中でありながら、そんな事に感激してしまう呑気な僕。
 ちなみにその間にも僕の身体は、無防備な姿勢で勢いよく壁へと向かっていた。 
 そろそろ歯を食いしばるべきだろうか。……最低でも、意識くらいは保っていたいなぁ。

「あ、危ないっ!」

「おぶっ!?」
 
 そんな僕を、割って入ってきた美鈴がしっかりと受け止めてくれた。
 ナイスフォローだ。何だかんだで美鈴は本当に頼りになるなぁ。
 受け止める姿勢がお姫様だっこで有る事は気になるけど、とりあえず先にお礼を言う事にしよう。
 
「ありがと美鈴、助かったよ」

「助かったじゃないですよ! いきなり無茶をし過ぎです!!」

「は、はわわ。スイマセン」

 怒られてしまった。いや、気持ちは分かるけどね。
 だけど、僕も無計画に殴りにいったワケじゃないんですよ?
 これでも一応、色々考えた上で行動しているんです。
 いやまぁ、確かに半分くらいは勘と思い付きで動いてるんだけどさ。

「その、聞いてよ美鈴」

「なんですか?」

「確かに無茶だった事は認めるけどさ。スペルカード発動中なら、普通に殴りかかるより実はずっと安全だと思わない?」

「そりゃ、相手が弾幕メインなら近接の方が楽になりますけど……吸血鬼の腕力はそれでも充分脅威じゃないですか」

「うん、それはちょっとびっくりした」

 ある程度覚悟はしていたんだけど、まだまだ甘く見ていたって事だろう。
 僕がそう言うと、美鈴は呆れた様に溜息を吐き出した。

「予測していたのなら、ちょっとは自重してくださいよっ! 怪我したらどうするんですかっ」
 
「その時は、大人しく諦めてたよ」

 呆れきった様子の美鈴に、僕は肩を竦めながらはっきりと断言した。
 そんな返答はさすがに予想外だったらしく、彼女はキョトンとしながら僕の顔を覗き込んでくる。
 少し気恥ずかしいが、今はそういう場合じゃ無い。
 僕はお姫様だっこの姿勢から抜け出すと、苦笑しながら自らの解答に補足を加えた。

「スペルカードを使わないフランちゃん相手にやられる様なら、彼女と遊び続ける事なんて出来やしないよ」

 弾幕ごっことは、人と妖怪が対等に戦うためのルールだ。
 だけどそれにだって限度があると言う事を、僕は以前幽香さんに教えてもらった。
 そう、僕は示さなければいけないのだ。フランちゃんに、自分が彼女と対等に戦える相手であるという事を。
 そうでないと僕は、フランちゃんの友達を名乗る事が出来ない。
 ……確かに、友達だからこそ必要な気遣いというモノはある。
 力が無ければ仲良くなる事が出来ないと言うのは、幾らなんでも悲し過ぎるとも思う。だけど―――

「我慢をするのは、男の子の役割だからね」

「……晶さん」

 僕も、自分が卑怯な人間だって自覚はわりとあるつもりだ。
 必要ならプライドだって投げ売りするし、清廉潔白に括るつもりも全くない。
 ヘタレだとかチキンだとか散々言われたとしても、命さえあれば何も気にしない。
 だから、その呼称自体に文句を言うつもりは全くない。けど。
 意地と覚悟だけは、何を言われようと最後まで貫き通すつもりだ。
 
「はぁ……分かりました、もう無茶をするなとは言いません。けど――私の事も、ちゃんと頼ってくださいよ?」

「保証は出来かねます」

「そ、そこは頷いてくださいって!」

 いやぁ、難しいでしょう。
 ……どうも今ので、フランちゃんのスイッチが完全に入ったみたいだし。

「あはははは、凄いねっ! ならこれはどうかなっ!!」 



 ―――――――禁忌「カゴメカゴメ」 



 氷の山を吹き飛ばしたフランちゃんが、二枚目のスペルカードを使用する。
 緑色した直線状の弾幕が、檻のように僕と美鈴を閉じ込めた。
 出口は――無い。
 
「えっ!? と、閉じ込められた!?」

「落ち着いてください。次の弾幕で包囲が崩れますから、その隙にっ!」

 美鈴がそう言うのとほぼ同時に、巨大な黄色の弾幕が大量にばら撒かれる。
 さらに彼女の言った通り、列を成していた弾幕はゆっくりと無秩序にバラけていった。
 ただし、その大半はこちらを目指して降り注いでくる。
 って、隙じゃなくて攻撃じゃんかコレ!? とりあえず、出来る限り避けて行かないと!

「はぅあっ!? おっと! わっはぁっ!」

 僕はロッドを展開して、避けられそうにない弾を幾つか叩き落とす。
 それでも、回避するのに精一杯で攻撃には移れそうにない。
 ……そういえば、何気に全方向から襲いかかってくる弾幕は初めてだ。
 今までの弾幕はだいたい使用者を中心に全方向へ広がっていくタイプだったから、これはちょっとやり難い。
 やり難いと言うか、正直ヤバい。ロッドで裁く量が増えてきた。
 このままだと、一発当たった瞬間雪崩れ込むように弾幕の山を喰らってしまいそうだ。
 美鈴は――裁くのでいっぱいいっぱいなのは僕と一緒だけど、まだ隙を窺う余裕は持っているみたい。
 あの様子なら、フォローすればイケるかな?

「美鈴!」

「あ、はいっ?」

「僕は無理そうだけど、突破するなら援護するよ! 何する!?」

「えーっと……ではなにか、障害物のようなものを」

「了解!」

 そういう小細工は、はっきり言って得意分野ですともっ!
 僕は思いっきり地面を踏みつけ、無数の氷の柱を隆起させる。

「必殺! 毎度おなじみ氷壁畳み返し応用へぶっ!!」

 その隙に弾を二、三発喰らったのは、まぁその御愛嬌と言うか何と言うか。
 でも弾幕雪崩れ込みは防いだよ! 脇腹が痛くても頑張りますっ!!
 ちなみに、美鈴とフランちゃんは氷柱の方に注目してて僕のドジに気付いてない。セーフ。

「うわぁ、すっごぉい! キラキラしてて綺麗!!」

「ナイス援護です。これならいけますっ!」

 障害物が出来た事で一瞬乱れた弾幕を掻い潜り、美鈴が駆け出した。
 まるでスーパーボールのように、彼女は柱を土台にして縦横無尽に跳ねまわる。
 凄いなぁ。良くあの速さで動きまわって、頭をぶつけたりしないもんだ。
 僕も氷翼展開時には似たような動きをするけど、当たらないようにしてるだけで見えてるワケじゃないからなぁ。
 もっともフランちゃんは、かく乱するような彼女の動きをそもそも気にしていないようである。
 完全に見切っているのかそれとも、始めから見切るつもりが無いのか。
 前者でもまずいけど、後者だとしたら……。

「妹様、御覚悟をっ!」

「ふふふっ、待ってたよめーりん!」

「くっ!?」



 ―――――――禁忌「恋の迷路」 



 先ほどの弾幕のスペルブレイクと同時に、次のスペルカードが宣誓された。 
 螺旋を描くような弾幕が、光のカーテンとなって全体へと広がっていく。

「美鈴!?」

「―――甘いですっ!!」



 ―――――――星気「星脈地転弾」



 しかし弾幕が美鈴へと到達する前に、彼女のスペルカードが発動した。
 膨大な量の「気」が美鈴の手に集まっていき、巨大なエネルギー波として放たれる。
 何とも強大で、恐ろしく発生の速いスペルカードだ。
 さすがは本家本元、気の扱い方が桁違いに上手い。
 ―――しかしそれでも、フランちゃんのスペルカードを破るには至らないらしい。
 二つの弾幕は、ぶつかった所で完全な拮抗状態になってしまっている。
 マズいね。広域技であるフランちゃんの弾幕と、一点突破を主眼に置いた美鈴の技が互角って言うのは。
 
「あ、晶さぁん! 見てないで手伝ってくださいよぉっ!?」

「あっ、ゴメンゴメン」

「援護してくれるんじゃなかったんですかーっ!?」

 そう言えばフランちゃん、さっきスペルブレイクしていたっけ。
 新しいスペルカードを使ってはいるけど、美鈴が拮抗しているおかげでこっちには弾幕があまり来ないし。
 援護し放題じゃないか。確かに、ぼーっと見ている場合じゃ無かった。

「それじゃあフランちゃん、覚悟!」

「わっ、あきらも来るの?」

 美鈴に当たらない場所へ移動し、僕もスペルカードを宣言する。
 とりあえず、一番威力のある弾幕を叩きこもう!



 ―――――――零符「アブソリュートゼロ」



 放たれた蒼い閃光は、余波で床を凍らせながらフランちゃんに直撃した。
 それにしても我ながら凄まじい威力だ。多少減殺されたものの、光は相手の弾幕を見事に凍らしている。
 確か、幻想化した「凍結」の概念が混じってるんだったっけ。
 弾幕すら凍りつかせると言うのは、自賛を抜きにしても相当な威力である気がする。
 気で出来た美鈴の弾幕も、まるで水晶のように美しく固まっていってるし。

「あわわわわっ!? ちょっと晶さん!?」

「……あ、ゴメン。なんか思ったよりも効果範囲が広かったみたい」

「びっ、びっくりしましたよ。さりげなくこちらを巻き込まないでくださいっ!」

 すいません。こんなに強烈だとは思わなかったんです。
 発射口である手が凍る前に何とか離脱した美鈴へ、僕は苦笑いと共に謝罪を送る。
 でもこのスペカ、最初のヤツより大分弱体化してるんですぜ?
 今更だけど、「フリーズ・ワイバーン」ってハードルの高いスペルカードだったんだなぁ。

「ぷはっ、私もビックリしたよ!」

 そしてあっさりと、自身を拘束していた氷を破壊する妹様。
 なるほど、付与された概念は強烈でも威力は大した事無いんですね。生まれつつあった自信が見事に死にました。
 しかもダメージは皆無、相手のテンションだけは急上昇。一瞬回れ右したくなった僕を誰も責められまい。

「あきらもめーりんも強いねー。私一人だと辛いかも」

「いや、当方フランちゃん一人でいっぱいいっぱいなんですが」

「同右です……」

「だから、私も二人に負けないよう‘増える’ね」

 そういって彼女は、ニヤリと笑って二人に……えっ、二人に?
 どうやら僕の目は少しおかしくなってしまったらしい。長時間魔眼を使い過ぎていたせいだろうか。
 軽く目を擦り、改めて僕は目の前の光景を見直す。
 ――今度はなんと四人に増えておりました。何でやねん。

「ほえっ!? ちょ、うぇっ? あれぇ!?」

「お、落ち着いてください晶さん。アレは妹様のスペルカード、「フォーオブアカインド」ですっ!」

「増えるの!? スペルカードを使うと増えちゃうの!?」

 今まで見てきたスペルカードの中で、一番無茶苦茶な技なんですけどソレって。
 そもそも、増殖とフランちゃんの能力には何の関わりも無いっすヨ?
 アレか。自分と言う個体が一つしかないと言う事実を破壊したワケですか。ねーよ。
 
「うふふふふっ、安心して良いよ。他の三つは弾幕を放つ事しか出来ないニセモノだから」

「ぐ、具体的に言うとどの程度の事が出来るニセモノなんですか?」

「弾幕ごっこなら一通り出来るよっ」

「めーりんさん、トイレ行ってきて良いですかね」

「あはは、男の子なら最後まで意地と我慢を貫くべきですよ?」

「ですよねー」

 や、逃げる気はありませんでしたけどね。一応確認しておきたかったんデスよ。
 どこぞの四○の拳なら個々の実力は弱体化するのに……。
 さすがは幻想郷、質量保存の法則なんてクソ喰らえって事ですか。
 そしてフランちゃん×4は、各々の手に巨大な炎の剣を――ってちょっと待ったちょっと待った!?

「い、妹様!? それって「レーヴァテイン」……他のスペカの弾幕じゃないですかっ」

「どぇぇぇええ!? ちょ、フランちゃん。幾ら枚数制限が無くても、スペカの同時発動はダメだよ!?」

「ふふっ、大丈夫だよ。‘コレ’はそういうスペカだから」

「えーっと……それはつまり」

「じゃあ、行くよっ!」
 


 ―――――――禁忌「フォーオブアカインド・ジャックポット」



 本体と思しきフランちゃんが、炎の剣を振り下ろす。
 その一撃は、僕と美鈴を綺麗に分断した。
 そして分身と思しきフランちゃん達が、美鈴の所に二人、僕の所に一人向かってくる。
 数的有利を確保した上で、各個撃破を狙ってくるなんて……フランちゃんってば無邪気な割に意外とクールね。
 比較的僕より技量の高い美鈴に二人行ってるのは、まだ僥倖だと思うけど。
 
「あはは、私も行くよーっ!」

 ――ああ、そういえば本体が残ってましたネ。うっかりうっかり。
 もちろん彼女は、まっすぐこちらを目指している。
 ヤバい。とりあえず一対一の状況の内に、目の前の分身フランちゃんを倒しておかないと!

「と言うワケで分身フランちゃん、かくごふっ!?」

「あ、晶さぁーん!?」

 わーい、分身なのにフランちゃんってば超つよーい。
 そういやさっき近接戦であっさりブン投げられてましたね、忘れてました。
 ましてや今度はスペルカード付き。そりゃあっさりとド突き回されてしまうはずですよ。
 何とかロッドでレーヴァテインを受け止めて致命傷は避けたけど、困った事に手が痺れてまともに動けそうに無い。
 そして、そんなこんなやってるうちに本人がやってきてしまいました。

「わーいっ、隙在りー!」

 声だけは和やかに、勢いは凄まじく炎の剣を振り下ろすフランちゃん。
 一方の僕は、分身の攻撃を受けたせいで反応する事が出来なくなっていた。
 ……あ、ヤバい。これは確実に避けられない。それに多分、この一撃を受けたら僕は―――

「ふっとんじゃえーっ!」

「あ、晶さん!?」

「あっ……」

 炎の剣が当たる直前、僕は思わず目をつぶってしまった。
 近づいてくる轟音と肌を焼く熱風が、死をもたらす攻撃がすぐ近くまで迫っている事を教えてくれている。
 ……もうダメだ。
 この状況を打開する手が、今の僕には存在していない。


 ――ゴメンよフランちゃん、友達になるって約束したのにあっさり死んじゃって。


 ――美鈴もゴメン、面倒な事態を全部押しつける形になっちゃった。


 僕は頭の中で色んな人に謝罪していく。幸か不幸か、文姉や幽香さんやアリス、にとりに親分と謝る相手には事欠かなかった。
 やがて紫ねーさまに謝り、最後に外の世界の友人への謝罪を思い浮かべようとして、さすがに僕も違和感を覚え始める。
 長い。幾らなんでも着弾に時間がかかり過ぎだ。そろそろ、身体中に炎が引火してもおかしくない頃なんだけど。
 ……そういや、前にも似たような事があったっけ。
 あの時は文姉が助けてくれたんだよね。もしかして、今度もまた?
 僕は恐る恐る目を開けてみる。すると―――
 
「ピンチの時は、頼って安心魔界神!」

 灰色に染まった世界で、半透明な謎のお姉さんがぷわぷわ浮かんでいた。
 ええー、何これ。これが噂のバッドエンド後のショートコントって奴ですか?
 赤いと思われるゆったりとしたローブを身に纏い、銀色と思しき髪をサイドポニーにしている謎のお姉さんは、人差し指を両頬に固定したままニコニコしている。
 ……ひょっとして、これツッコミ待ち?

「私が‘再生’されたと言う事は、アリスちゃん、死ぬようなピンチに陥ったと言う事ね」

「アリス? アリスの関係者なんですか?」

「危ない真似ばっかりしているみたいで、ママちょっと悲しいわ」

「ママって――まさかアリスのお母さん!?」

「でも大丈夫! この鎧にこっそり仕込んだ魔法が、アリスちゃんをしっかりと守ってくれるから!!」

「……あのー、すいません。僕の話も聞いてもらえませんかね」

 ガン無視で話を薦めるアリスのママ(仮称)さん。
 僕がストップをかけると、キョトンとした顔でマジマジとこちらを見つめてくる。
 凄く可愛らしい人だ。とてもじゃないけど一児の母だとは思えない。

「あら、アリス……ちゃん?」

「あはは。いやその、大変申し訳ないんですが」

「髪型と髪の色と瞳の色と服と体型と顔の造りと性別変えた?」

「そこまで違ったら別人の線を疑いましょうよっ!?」

 この恰好した僕の性別を当てる所は、素直に凄いと思うけどさぁ!
 そこまでボケ倒されると、逆にツッコミ辛いですよ?

「アリスちゃんは心配性ねぇ。ママだってそういう時はちゃーんと疑うわよ?」

「いや、だから僕はアリスじゃなくてね」

 ……アリスがしっかりしている理由、何となくわかった気がする。
 おでこをつつきながら、可愛らしく僕を叱るアリスのママ(半確定)さん。
 これは、現状を把握するだけでも時間がかかりそうだなぁ。
 あまりに突飛過ぎる状況に、僕は思わずため息を漏らすのだった。





「それにしてもアリスちゃん、細くなったわねぇ。ご飯ちゃんと食べてる?」

「本人聞いたら大激怒しますよソレ」

 ――とりあえず最初に、この変な誤解を解かないとなぁ。
 


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