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No.8576の一覧
[0] 東方天晶花 (東方project+オリ主)【完結+未来語りⅡ追加】[ラリアー](2011/04/19 08:33)
[1] 巻の起「はじまり はじまり」 ~Welcome the beginner of the fantasy~[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[2] 東方天晶花 巻の一「百聞は一見に如かず」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[3] 東方天晶花 巻の零点五「口は災いの元」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[4] 東方天晶花 巻の二「女心と秋の空」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[5] 東方天晶花 巻の三「人の振り見て我が振り直せ」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[6] 東方天晶花 巻の四「袖振り合うも多生の縁」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[7] 東方天晶花 巻の五「芸は身を助く」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[8] 東方天晶花 巻の五点五「知らぬが仏」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[9] 東方天晶花 巻の六「帯に短し襷に長し」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[10] 東方天晶花 巻の七「暗がりに鬼を繋ぐ」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[11] 東方天晶花 巻の八「鬼が出るか蛇が出るか」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[12] 東方天晶花 巻の九「親しき仲にも礼儀あり」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[13] 東方天晶花 巻の十「身から出た錆」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[14] 東方天晶花 巻の十点五「親の心子知らず」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[15] 東方天晶花 巻の十一 「縁は異なもの味なもの」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[16] 東方天晶花 巻の十二「玉磨かざれば器を成さず」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[17] 東方天晶花 巻の十三「藪を突突いて蛇を出す」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[18] 東方天晶花 巻の十四「精神一到何事か成らざらん」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[19] 東方天晶花 巻の十五「竹馬の友」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[20] 東方天晶花 巻の十五点五「呉越同舟」[ラリアー](2012/01/16 10:42)
[21] 東方天晶花 巻の十六「鷺を烏」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[22] 東方天晶花 巻の十七「無用の用」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[23] 東方天晶花 巻の十八「羹に懲りて膾を吹く」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[24] 東方天晶花 巻の十九「上に交わりて諂わず下に交わりて驕らず」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[25] 東方天晶花 巻の二十「用心は勇気の大半なり」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[26] 東方天晶花 巻の二十一「烏に反哺の孝あり」[ラリアー](2012/01/30 18:40)
[27] 東方天晶花 巻の二十二「子は三界の首枷」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[28] 東方天晶花 巻の二十三「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」[ラリアー](2012/01/16 10:47)
[29] 東方天晶花 巻の二十三点五「画竜点睛」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[30] 東方天晶花 巻の二十四「情けは人の為ならず」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[31] 東方天晶花 巻の二十五「コチョウノユメ」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[32] 巻の承「それから それから」 ~The world of extending fantasy~[ラリアー](2009/11/21 02:27)
[33] 東方天晶花 巻の二十六「その日その日が一年中の最善の日である」[ラリアー](2009/11/06 15:56)
[34] 東方天晶花 巻の二十七「真の友愛においては、 私は友を自分のほうにひきつけるよりもむしろ自分を友に与える」[ラリアー](2009/11/06 15:56)
[35] 東方天晶花 巻の二十八「青春は短い。宝石の如くにしてそれを惜しめ」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[36] 東方天晶花 巻の二十九「時というものは、 それぞれの人間によって、 それぞれの速さで走るもの」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[37] 東方天晶花 巻の三十「不幸な人間は、いつも自分が不幸であるということを自慢しているものです」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[38] 東方天晶花 巻の三十一「食卓は、最初の間は人々が決して退屈することのない唯一の場所である」[ラリアー](2012/01/30 18:41)
[39] 東方天晶花 巻の三十二「軽信は大人の弱点であるが、子供にとっては力である」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[40] 東方天晶花 巻の三十三「怒りは他人にとって有害であるが、憤怒にかられている当人にとってはもっと有害である」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[41] 東方天晶花 巻の三十四「進歩とは、価値の置換によって生ずる錯覚にほかならない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[42] 東方天晶花 巻の三十四点五「雨は一人だけに降り注ぐわけではない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[43] 東方天晶花 巻の三十五「主よ、助けてくれとは申しません。私の邪魔をしないで下さい」[ラリアー](2015/01/19 22:38)
[44] 東方天晶花 巻の三十六「命と引き換えに金を欲しがるのは強盗であるが、女はその両方とも欲しがる」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[45] 東方天晶花 巻の三十七「苦痛には限度があるが、恐怖には限度がない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[46] 東方天晶花 巻の三十八「成功する人は錐のように、ある一点に向かって働く」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[47] 東方天晶花 巻の裏側「教えろ! 山田さんっ!!」[ラリアー](2009/11/06 15:59)
[48] 東方天晶花 巻の三十九「事を行うに当って、いつ始めよう等と考えている時には、既に遅れをとっているのだ」[ラリアー](2009/11/06 15:59)
[49] 東方天晶花 巻の四十「善良な性格は法律よりもさらに信頼ができる」[ラリアー](2013/05/27 22:17)
[50] 東方天晶花 巻の四十一「人間が幸福であるために避けることのできない条件は勤労である」[ラリアー](2012/02/06 13:03)
[51] 東方天晶花 巻の四十二「良い判断は無分別な親切に勝る」[ラリアー](2013/05/27 22:20)
[52] 東方天晶花 巻の四十三「病気は千もあるが、健康は一つしかない」[ラリアー](2009/11/16 01:55)
[53] 東方天晶花 巻の四十四「この瞳を、どうしてにごしてよいものか」[ラリアー](2009/11/21 02:31)
[54] 東方天晶花 巻の四十五「公にされることを望む慈善はもう慈善ではない」[ラリアー](2013/06/10 19:50)
[55] 東方天晶花 巻の四十六「報酬への期待を行動のバネとする人にはなるな」[ラリアー](2013/04/22 19:40)
[56] 東方天晶花 巻の四十七「言葉で説教するよりも、あなたの生き方そのものがより良い説教となろう」[ラリアー](2013/05/06 23:58)
[57] 東方天晶花 巻の四十八「真実には特定の時などない。真実はどんな時代にも真実である」[ラリアー](2012/02/06 13:06)
[58] 東方天晶花 巻の四十九「正義は永遠の太陽である。世界はその到達を遅れさせることはできない」[ラリアー](2012/02/06 13:07)
[59] 東方天晶花 巻の五十「希望に満ちて旅行することは、目的地にたどり着くことより良いことである」[ラリアー](2010/01/07 20:28)
[60] 東方天晶花 巻の五十一「人間の真の性格は、彼の娯楽によって知られる」[ラリアー](2010/01/14 13:33)
[61] 東方天晶花 巻の五十二「恋愛は人を強くすると同時に弱くする。友情は人を強くするばかりである」[ラリアー](2013/05/06 23:58)
[62] 東方天晶花 巻の五十二点五「不思議なものは多い。しかし人間ほど不思議なものはない」[ラリアー](2010/01/24 18:04)
[63] 東方天晶花 巻の五十三「最強者の理屈が、いつも最も良いとされる」[ラリアー](2013/06/10 19:50)
[64] 東方天晶花 巻の五十四「怒りの結果は、怒りの原因よりはるかに重大である」[ラリアー](2010/02/07 06:05)
[65] 東方天晶花 巻の五十四点五「自負は常に他人の感嘆によって強化される」[ラリアー](2010/02/14 09:54)
[66] 東方天晶花 巻の五十五「友情は最初、残酷なほど明確にものを見る」[ラリアー](2012/02/18 15:06)
[67] 東方天晶花 巻の五十六「至上の処世術は、妥協することなく適応することである」[ラリアー](2010/02/24 21:21)
[68] 東方天晶花 巻の五十七「あまり道徳的になるな。自分を欺いて人生を台無しにしてしまう」[ラリアー](2010/03/03 17:18)
[69] 東方天晶花 巻の五十八「慣習とは反対の道を行け。そうすれば常に物事はうまくいく」[ラリアー](2010/03/10 21:29)
[70] 東方天晶花 巻の五十九「自尊心は美徳ではないとしても、それは多くの美徳の両親である」[ラリアー](2010/03/30 01:45)
[71] 東方天晶花 巻の五十九点五「まず事実をつかめ。それから思うままに曲解せよ」[ラリアー](2010/03/23 17:54)
[72] 東方天晶花 巻の六十「活動的な馬鹿より恐ろしいものはない」[ラリアー](2010/03/30 01:46)
[73] 東方天晶花 巻の六十一「行動するためには、いかに多くの事に無知でなければならぬ事か」[ラリアー](2012/02/26 08:32)
[74] 東方天晶花 巻の六十二「勇敢な行為は、決して勝利を欲しない」[ラリアー](2010/04/20 00:01)
[75] 東方天晶花 巻の六十三「忍耐とは、肉体的な小心と道徳的勇気の混じり合いである」[ラリアー](2012/02/26 08:56)
[76] 東方天晶花 巻の六十四「神の存在を立証しようとするあらゆる試みは、すでに神に対する冒涜である」[ラリアー](2012/02/26 08:57)
[77] 東方天晶花 巻の六十五「行動はいつも幸せをもたらすものではないが、行動なくしては幸せはない」[ラリアー](2012/03/03 12:21)
[78] 幻想郷うろ覚え童話「モモタロウ」[ラリアー](2010/05/08 00:56)
[79] 東方天晶花 巻の六十六「運命は我々の行為の半分を支配し、他の半分を我々自身にゆだねる」[ラリアー](2012/03/03 12:25)
[80] 東方天晶花 巻の六十七「王国を統治するよりも、家庭内を治めることのほうが難しい」[ラリアー](2010/05/20 10:28)
[81] 東方天晶花 巻の六十八「常識の有無は教育の有無とは関係ない」[ラリアー](2010/05/27 01:01)
[82] 東方天晶花 巻の六十九「不正の存在を前にして黙する人は、実は不在の共犯者にほかならない」[ラリアー](2010/06/02 00:17)
[83] 東方天晶花 巻の七十「馬は死ぬ前に売ってしまうことだ。人生のコツは、損失を次の人に回すこと」[ラリアー](2012/03/15 18:46)
[84] 東方天晶花 巻の七十一「人間は自分の知っていることなら半分は信じるが、聞いたことは何も信じない」[ラリアー](2013/05/12 23:50)
[85] 東方天晶花 巻の七十二「友人の失敗には目をつぶれ、だが悪口には目をつぶるな」[ラリアー](2012/03/15 18:47)
[86] 東方天晶花 巻の七十三「今が最悪の状態と言える間は、まだ最悪の状態ではない」[ラリアー](2012/03/26 23:52)
[87] 東方天晶花 巻の七十四「学校での成績がよいからといって、社会で認められるとは限らない」[ラリアー](2010/07/07 00:16)
[88] 東方天晶花 巻の七十五「神はあらゆる人間のうちに住むが、すべての人間は神のうちに住まず」[ラリアー](2010/07/21 10:29)
[89] 東方天晶花 巻の七十六「苦しんで強くなることがいかに崇高なことであるかを知れ」[ラリアー](2012/03/26 23:53)
[90] 東方天晶花 巻の七十六点五「家庭はどこで始まるか? 若い男と若い娘が恋愛に陥ることから始まる」[ラリアー](2010/07/28 01:23)
[91] 東方天晶花 巻の七十七「長いこと考え込んでいるものが、いつも最善のものを選ぶわけではない」[ラリアー](2010/08/04 00:06)
[92] 東方天晶花 巻の七十八「男に惚れられるような男でなければ、女には惚れられない」[ラリアー](2012/04/10 09:56)
[93] 東方天晶花 巻の七十九「二人の女を和合させるより、むしろ全西欧を和合させる事の方が容易であろう」[ラリアー](2010/08/25 00:02)
[94] 東方天晶花 巻の八十「友情は瞬間が咲かせる花であり、そして時間が実らせる果実である」[ラリアー](2010/09/07 22:54)
[95] 東方天晶花 巻の八十一「文学は商売と芸術が半々であるとき最も栄える」[ラリアー](2010/09/08 00:07)
[96] 東方天晶花 巻の八十一点五「さすらいと変化を愛するものは生ある者である」[ラリアー](2010/09/13 00:07)
[97] 東方天晶花 巻の八十二「絶望とは、闘う理由を知らずに、しかもまさに闘わねばならないということだ」[ラリアー](2010/09/27 01:22)
[98] 東方天晶花 巻の八十三「真の勇気というものは、極端な臆病と無鉄砲との中間にある」[ラリアー](2010/09/27 01:23)
[99] 東方天晶花 巻の八十四「今日は堂々と勇ましく、そして明日は墓の中」[ラリアー](2012/04/15 23:09)
[100] 東方天晶花 巻の八十五「賽は投げられた」[ラリアー](2012/04/23 22:15)
[101] 巻の転「むかし むかし」~the end of fantasy~[ラリアー](2010/10/20 23:50)
[102] 東方天晶花 巻の八十六「未知になるって言うのは、死んじゃうのと同意義なのさ」[ラリアー](2010/10/30 18:11)
[103] 東方天晶花 巻の八十七「宴には上等の酒と上等の肴があれば充分よ」[ラリアー](2012/04/23 22:24)
[104] 東方天晶花 巻の八十八「幻想郷は、宴会も自由だなぁ」[ラリアー](2010/11/06 11:22)
[105] 東方天晶花 巻の八十九「溜まったツケを払わないと、新しい事は始められないでしょ?」[ラリアー](2010/11/13 00:39)
[106] 東方天晶花 巻の九十「世間から必要とされない音楽はこうやって消えていくのね~」[ラリアー](2010/11/20 00:02)
[107] 東方天晶花 巻の九十一「この幸せ者共め! お代は聞いてのお帰りだよっ!!」[ラリアー](2010/12/02 00:44)
[108] 東方天晶花 巻の九十二「他人のペースに合わせて自分を見失ってはダメなの」[ラリアー](2010/12/09 00:03)
[109] 東方天晶花 巻の九十三「人や妖怪と一緒、家にも色んな形があるの」[ラリアー](2010/12/16 10:51)
[110] 東方天晶花 巻の九十四「まるで、巌流島の決闘みたいね」[ラリアー](2010/12/23 00:57)
[111] 東方天晶花 巻の九十五「きっと貴方自身ですら知らない秘密を教えてくれるわよ」[ラリアー](2010/12/30 00:21)
[112] お正月特別変「フタマルイチイチ、ヲトシダマ異変」[ラリアー](2012/05/14 17:48)
[113] 東方天晶花 巻の九十六「正直で結構! あたいも生きてる奴を運ぶほど暇じゃないからね」[ラリアー](2011/01/13 00:03)
[114] 東方天晶花 巻の九十七「半端な智慧は時として、無知よりも罪深き業となります」[ラリアー](2012/05/29 01:47)
[115] 東方天晶花 巻の裏側弐「スキマ妖怪が教えてア・ゲ・ル♪」[ラリアー](2011/01/26 10:35)
[116] 東方天晶花 巻の九十八「やがて辿り着く結果までは、この閻魔にも見通せません」[ラリアー](2011/02/02 00:55)
[117] 東方天晶花 巻の九十九「胸を張れとは言わないけどさ、お礼くらいはちゃんと受け取りなよ」[ラリアー](2011/02/09 00:02)
[118] 東方天晶花 巻の百「譲れないモノがあるなら死んでも守り切りなさい」[ラリアー](2011/02/16 00:20)
[119] 東方天晶花 巻の裏側参「もう一度教えろ! 山田さんっ!!」[ラリアー](2011/02/23 02:18)
[120] 東方天晶花 巻の百一「幻想郷らしく、力尽くで居場所を‘奪って’きます」[ラリアー](2011/03/01 00:02)
[121] 東方天晶花 幕間「誰が為に鐘は鳴る」[ラリアー](2011/03/08 11:09)
[122] 東方天晶花 巻の百二「つまりはいつも通り、一か八かの出たとこ勝負をするワケね」[ラリアー](2011/03/15 01:59)
[123] 東方天晶花 幕間・弐「久遠の空に舞い踊る風花」[ラリアー](2011/03/22 00:01)
[124] 東方天晶花 巻の百三「―――切り札ならありますよ。最低最強、とっておきの一枚がね」[ラリアー](2011/03/29 08:04)
[125] 巻の結「めでたし めでたし」~The fantasy continues~[ラリアー](2011/04/11 23:50)
[126] 東方天晶花 キャラ紹介(第九十五話まで[ラリアー](2012/05/29 01:48)
[127] 天晶花・昔語り①「晶と隙間とお茶会と」[ラリアー](2009/11/26 19:11)
[128] 天晶花・昔語り②「晶と隙間とお袋の味と」[ラリアー](2009/12/17 01:51)
[129] 天晶花・昔語り③「晶と巫女とカラオケと」[ラリアー](2010/08/18 04:29)
[130] 天晶花・昔語り④「早苗と神と悪戯メールと」[ラリアー](2010/11/27 00:04)
[131] 天晶花・未来語りⅠ「次代のユウウツ」[ラリアー](2012/06/04 21:40)
[132] 天晶花・未来語りⅡ「賢人のわりといつも通りな一日」[ラリアー](2012/06/04 21:41)
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[8576] 東方天晶花 巻の五十八「慣習とは反対の道を行け。そうすれば常に物事はうまくいく」
Name: ラリアー◆536635cd ID:9d10842d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/03/10 21:29


巻の五十八「慣習とは反対の道を行け。そうすれば常に物事はうまくいく」




 前回までのあらすじ。
 レイセンさんと仲良くなったと思ったらドつきあいする羽目になった。
 概ね間違ってないから困る。

「それじゃあ二人とも、準備は良いかしら?」

「あ、はい」

「出来れば無期限停止にして欲しいです……」

 訓練自体に文句は無いんだけど、相手がレイセンさんと言うのはちょっと。
 せっかく少しは仲良くなれたと言うのに、また嫌われてしまうのは正直困ります。
 え? 正々堂々戦えば問題ないって?
 ――それで勝てないから、こうして悩んでるんですヨ?
 前に軽くやり合った感触だけで分かるけど、レイセンさんは相当強い。
 狂気の魔眼に注視しがちだけど、総合能力の方もかなり高めである。
 少なくとも、ドつきあったら確実に負ける。
 ……まぁ、負けても良いなら正々堂々戦っても良いんだけど。

「弾幕、スペルカード以外は「何でも」あり。判定は、有効打相当の攻撃を先に当てた方を勝ちとするわ」

「有効打相当で勝ち、ですか?」

「ええ、当てても構わないけれど、‘何度かやりたい’から出来れば寸止めするようにしてね」

「……うぐぅ、了解」

 お師匠様の意図を考えると、そういうワケにもいかないんだよなぁ。
 この模擬戦は、新たな武器を与えられた僕がどう戦うのかを図る為のモノなのだろう。
 後々の指導に関係する事を考えると、さすがに手段を選ぶワケにはいかない。
 だけど、手段を選ばないとレイセンさんの好感度がガタ落ちするのは確定的に明らかなんだよねぇ。

「晶、変な遠慮はいらないわよ」

「姉弟子?」

「私は私の流儀でやるから、貴女は貴女の流儀で戦いなさい」

 ニヤリと笑って、レイセンさんがお師匠様から渡された棒を構える。
 むぅ、気を使われてしまった。まさか姉弟子にそんな事を言ってもらえるなんて……。
 でもそうだよね。遠慮して手段を選ぶのは、別の意味で彼女に失礼だよね、うん。

「よーしっ! 全力で行きますよ、姉弟子!!」

「ええっ、かかってきなさい!」

 僕も銀の棒を、あえて‘展開させないで’構える。
 場の空気が締まっていく中、お師匠様が厳かに訓練の開始を宣言した。

「―――始めっ!」

 その声とほぼ同時に、レイセンさんがこちらに向かって駆けだす。
 なるほど、先手必勝で優位に立つつもりか。そうなると実力的に劣勢な僕は、勢いに押されて負ける可能性が高い。
 だけど……スイマセン。姉弟子の性格上、絶対そう来るだろうなーと思ってました。
 僕は軽く棒を前後させて、相手の動きを見守っている‘フリ’をする。
 そして、彼女がある一定の距離を踏みこんできた瞬間。僕は自らの腕を滑車の軸にして、仕掛けていた罠を釣り上げた。

「どっせぇいっ!!」

「きゃあっ!?」

 踏み出したレイセンさんの右足が、勢いよく空に上がる。
 その脚には、半透明のツタのようなモノが巻きついていた――いや、僕が作って巻きつけたのですがね?
 そのツタは真っ直ぐこちらに伸び、腕を通して棒に繋がっている。
 ……思いの外上手く行ったなぁ。
 氷による鞭。以前は、持ち手の部分の頑丈さと振りまわす部分の柔軟性が両立出来なくて断念したんだけど。
 持ち手の部分を棒で代用したらイケたね。やっぱり意外と使い勝手いいかも、この武器。
 ――おっといけない、トドメをささなくちゃ。

「ブレイク!」

「あわわっ」

「ほぉあちょっ!!」

「しまっ!?」

 捕縛している鞭を思いっきり引っ張り、レイセンさんの体勢をさらに崩しつつ相手を引き寄せる。
 その状態で氷の武器を破壊。そのまま棒を展開し、姉弟子の額に目掛けて一撃を叩きこむ。もちろん寸止めで。
 
「そこまで、晶の勝ちよ」

 同時に、お師匠様が僕の勝利を宣言してくれた。
 ――良かった。今のが有効打に認定されなかったらどうしようかと思ったよ。
 僕は安堵の息を吐き出しながら、伸ばした棒を元の長さに戻す。
 そしてそれと同時に、顔を真っ赤にして掴みかかってくるレイセンさん。
 ああ、やっぱりこういう展開になりましたか。

「いきなり何やってるのよアンタは! 最初くらい、普通に打ち合おうとは思わなかったの!?」

「あはは。その、姉弟子ならそう考えるだろうと思っていたので、僕らしく裏をかいてみましたスイマセン」

「ぐっ……」

 あ、堪えた。
 激昂するかと思いきや、僕の言い訳にレイセンさんは言葉を詰まらせた。
 ああ言った手前、怒る事は出来ないと考えたのだろうか。
 本当に真面目な人だ。色々な意味で汚い自分が情けなくなってくる。
 不意打ちしてゴメンなさい、レイセンさん。
 でも、出来ればもうちょっとヒートアップして頂いて、もっと冷静さを失って貰えると大変ありがたいです。
 
「貴方「何でもあり」になった途端、活き活きとし始めたわね」

「そ、そうですか?」

「師匠の言うとおりよ。……何を企んでいるのか知らないけど、その胡散臭い笑顔は引っ込めなさいな」

「いやその、自分としてはポーカーフェイスを貫いているつもりなんですが」

「あら、なら貴方には策謀の才能があるわね。能面よりずっと相手を混乱させられるわよ、その笑顔」

「……左様でございますか」

 褒められているのだろうか、ソレは。
 自分の頬をむにむに弄りながら、思わぬ後見人の影響に唖然とする僕。
 ひょっとして、以前紫ねーさまと将棋指していた時に色々考えていた僕を、あの人が複雑そうな顔で見ていた理由はコレだったのだろうか。
 今まで良く出なかったなぁ。……今後は少し気をつけよう。

「あ、あははっ、とりあえず次を始めましょうよ」

「そうね。うどんげも準備は良いかしら?」

「ええ、今度は引っかかりません!」

 その警戒心が美味しくてたまりません、とか考える僕はもう手遅れかもしれない。
 いや、ぶっちゃけ警戒して頭を固くしてくれないと、こっちに勝ち目が無いだけなんですけどね。
 再び武器を展開した僕は、こちらの一挙手一挙動も見逃さないと言わんばかりの視線を向けてくる彼女と相対した。

「それでは二本目―――始めっ!」

 お師匠様の合図に合わせて、今度は僕が駆けだす。
 警戒を高めていたレイセンさんは、一瞬だけ反応が遅れてしまったようだ。
 よしっ、予定通り!
 僕は中央の掴みから手を離し、棒の端に氷の取っ手を生み出して、そこを片手で掴み取る。
 反対側には三日月を半分にした形の刃を生成した。平たく言えば大鎌だ。
 僕はその鎌を、相手に向かって思いっきり振りかぶる。

「ふん、今度は射程を変えた武器による奇襲? だとしたら甘いわっ!」

 それなりに不意を突いた攻撃を、レイセンさんはあっさりと受け止める。
 明らかに強度的に劣る木の棒であっさりと、刃に触れないように柄を抑える技術はさすがとしか言いようがない。
 
「片手で、しかも端を持つような不安定な持ち方で、有効打を与えられると思わない事ね」

「あー、やっぱ無理ですか」

「不意を突くにも限度があるわ。奇天烈な行動をとれば良いってものじゃないのよ?」

「まぁ同感ですね。僕も、‘捕縛目的’じゃなければこんな事しませんよ」

「――えっ?」

 僕が苦笑いすると同時に、鎌の刃が根元からへし折れるように曲がり姉弟子の棒を包み込む。
 二人の棒の先端が、丁度十字に交差した状態で固定された。
 レイセンさんの表情が驚愕に染まる。何しろ、抑えられた相手と抑えた相手が綺麗に入れ替わったのだ。
 そしてその動揺が、今この瞬間では致命的な隙に繋がる。
 僕はあえて空けていた片手に、氷製武器を生成した。

「アイシクルゴールデンハンマーっ!」

「くっ!?」

「ふむ……そこまで、晶の勝ちね」

 氷で出来た小さめのハンマーを、レイセンさんの頭の上で止める。
 特にゴールデンである事に意味は無い。ついでに言うとハンマーである意味さえ無い。
 僕は決着の宣言を聞くと同時に、氷製武器とくっつけていた棒の接合部分を解除して距離をとった。
 その理由は……言うまでもないだろう。

「ふ、ふふふ、ふふ―――とことん真っ当に戦う気が無いみたいね。貴女の持ってる武器は飾りか何か?」

「いや、僕の中では大分有効利用してるつもりなんですが」

「どこがよっ! ちょっとは師匠から貰ったその武器を使って、正々堂々戦ってみなさいよっ!!」

「むぅ……分かりました。やってみます」

「…………」

 あ、疑惑の視線。全然信じてない。
 まぁ、信頼されてない理由は分かるし、実際裏をかく気満々なんだけど。
 ……これは、せっかく生まれつつあった絆ぶち壊し確定かなぁ。

「準備は良いみたいね。それじゃあ三本目――始めっ!」

 段々険悪になってきた空気の中、お師匠様のマイペースな合図がかけられる。
 さっきよりもより身構えるようになったレイセンさんに対し、僕は展開した棒を構え―――そのまま、空高く放り投げた。

「……へっ?」

 呆然と、宙をクルクル回る棒を見つめるレイセンさん。
 その隙に「魔法の鎧」を装着し、僕は一気に彼女へ向かって駆けだした。
 相手が呆然としている内に、気で強化した手甲を腹部へと叩きこむ! ……振りをする。
 
「そこまで……晶の勝ちね」

「へっ? へっ?」

 放り投げた棒は、特に何の問題も無く地に刺さる。
 それでようやく何が起きたのか理解出来たレイセンさんは、ついに自分を抑える事を止めた。

「あ・き・らぁぁぁぁぁっ!! 私が言った事、理解できていなかったのっ!?」

「いや、理解してましたよ?」

「どこがよっ!」

「だから、お師匠様から貰った武器を(囮に)使って、正々堂々(拳で)戦いましたが」

「全く別の文章になってるじゃないっ!?」

「……ダメ?」

「ダメに決ってるでしょっ!?」

 ですよねー。
 自分でも今の受け取り方は無理があると思った。思ったけど曲げない、絶対曲げない。
 僕はニコニコ笑いながら、レイセンさんの怒りを受け流す。
 姉弟子はその態度に大分イライラしているようだけど、僕は鋼の意思で表情を固定した。
 今回の手は、正真正銘一発限りの使い捨てネタだ。二回同じ事をしても間違いなく返り討ちに遭うだけだろう。
 しかし、‘僕が二度とこの手を使わない’事をレイセンさんに悟られてもいけない。
 疑惑は片隅にあるだけで足枷になる。張り子の虎でも、中身が張りぼてだと知られなければ相手には脅威となり得るのだ。
 
「上等よ、もう引っかからないわ。何をやってこようと絶対に見破ってやる」

「……良い感じに疑心暗鬼になってるわねぇ」

 全くです。僕のせいですが。
 割れよと砕けよと言わんばかりのレイセンさんの殺意溢れる視線に、この後どうやって永遠亭を逃げ出すか考え始める僕。
 ゴメンなさいてゐさん、いつも通りにしていたら嫌われてしまいました。

「ところで晶。貴方のソレ、何かしら?」

「あ、この前アリスから貰った魔法の鎧です。普通に殴るより効きそうだったんで使ったんですが、ダメでしたか?」

「いえ、鎧自体に問題はないわ。‘何でもあり’だと言ったでしょう?」

「それは良かった。……で、何か?」

「何でも無いわ。ちょっと気になっただけよ」

 そうですか。じゃあ細々と聞こえてくる「やっぱり比率が……」とか「もっと厳しく……」とかも空耳ですね。
 良かった良かった。―――オウチニカエリタイ。
 
「それじゃあ二人とも、四回目行くわよ?」

「……らじゃあ」

「ふふふふふ、お願いします。ふふふふふ」

「では、四回目―――始めっ!」

 お師匠様の合図と共に、レイセンさんがとった選択は待機。
 最早完全に待ちの姿勢である。……勝算があるならともかく、ただの受け身でソレは良いカモですよ?
 僕は放り投げた武器を拾い―――真っ直ぐレイセンさんに向かって‘歩いて’行く。
 戦う気があるのかと言いたくなるほど悠々と歩を進めていく僕に、レイセンさんの警戒はどんどん増していった。
 それでも僕はマイペースに足を動かし続ける。それに合わせて身を固くする姉弟子。
 歩く僕、固まる姉弟子。
 それでも歩く僕、しつこく警戒する姉弟子。
 歩みを緩めも早めもせず進み続ける僕、色んな意味でガチガチになっている姉弟子。
 そのまま僕は射程に入るまで歩みを進めて、何の飾り気も無い一撃を姉弟子へ振り下ろした。何度も言うけど寸止めで。
 
「……あれ?」

「はい。晶の勝ち」

 目の前に突き付けられた棒を、呆然と見つめるレイセンさん。
 まさか今まで散々不意打ちしてきた僕が、普通に攻撃してくるとは思わなかったのだろう。
 だからこそ、このタイミングで‘正々堂々’攻撃をしかけたんだけどね。
 
「ちょ、何よそれ! 何で普通に戦うのよっ!!」

「毎回‘卑怯な戦い方’を選ぶ必要が、特に無いからですが」

「ぐっ……」

 これもまぁ、相手に与える足枷の一つだ。
 馬鹿正直に不意打ちし続けるのは、愚直に真っ直ぐ戦う事と何も変わらない。
 所詮、奇策とは正道あっての有効手なのである。
 とは言え正道上等と言わんばかりに突撃を仕掛けたら、返り討ちに遭うのは目に見えている。
 正々堂々でモノを言うのは普段の努力。それが足りないからこそ、こうやって小細工を色々仕込んでいるのであります。
 あれだけ無警戒に歩いていけば、ある意味不意打ちと変わらない気もするけどね。
 相手が‘普通に戦った’と認識しているなら問題無し。
 これからは巻いた種育てるように、清濁入り混ぜて攻めていけば紙一重の差で勝ち続けていけるはず。多分。
 ……模擬戦って言うより詰め将棋だよなぁ、コレ。

「またその胡散臭い笑い! 今度は何を企んでるのよ!?」

「いや、今のは考え事をしていただけで」

「それは……企んでると言うんじゃないのかしら?」

「う、うぐぅ」

 それにしてもこの模擬戦、勝利難易度の割に実入りが少なすぎる気がするんですが。





 
 



 十分後、僕はそれから四回程行われた模擬戦全てに勝利した。
 ……ある意味、今までで一番キツい戦いだった。
 何しろただ勝つだけでは、数を重ねるうちに相手が調子を取り戻してしまう。
 そうなってしまってはこちらの負けだ。それを防ぐためには、相手の気勢を削いだまま勝つ必要がある。
 つまり――こちらの必須勝利条件、秒殺完封勝ちのみ。
 これなんて無理ゲー? いや、何とかやり切りましたけどね?
 
「ぐぅう……」

 そろそろネタ切れの感が否めない僕の目の前で、レイセンさんが後頭部を抑えて蹲っている。
 八戦目の決め手となった、僕のジャーマン・スープレックスがまだ効いているのだろう。
 さすがにアレは寸止め出来なかった。そんな加減出来ない技をトドメにチョイスするのもどうかと思ったけど、ネタ切れだからしょうがない。

「いやー、今のは派手に決まりましたねー」

「芸術的なブリッジね。往年のカール・ゴッチを思わせる素晴らしいフォールだったわ」

「姫様、適当な本から適当な引用して語るの止めなよ」

「えー? 今回のはそんなに外れてなくない?」

「ふ、二人とも黙っていてくださ――いたた」

 五戦目あたりから観戦を始めたバカ殿――もとい、永遠亭の主が好き勝手な野次を飛ばす。
 輝夜さんは相変わらず、お伽話のイメージを爽快にぶち壊してくれるなぁ。
 お座敷セットまで用意して優雅に観戦と洒落こんでいる彼女に、かつて思いをはせた竹取物語の姫の姿を重ねてブルーになる僕。
 ちなみに、その隣で当たり前のように実況をしているてゐに関してはノーコメントで。あの兎はもう何でもアリな気がする。

「もういっそ、形振り構わず逃げに走ったらどうかしら? 意外と面白いモノが見れるかもしれないわよ?」

「しませんっ!!」

 見ているだけの輝夜さんの無責任な煽りは、レイセンさんの調子を削ぎたい僕にとってこの上ない援護だ。
 だけどたまにこうやって、さりげなく彼女にアドバイスを送るから侮れない。
 かなり湾曲な伝え方だから、真面目なレイセンさんは馬鹿にされてると思ってるみたいだけどね。
 ……実際のところ、逃げに走られると僕はかなり困ります。
 こちらが八戦全て優勢でいられたのは、姉弟子がずっと攻めに逸っていたためだ。
 そういった精神の相手ほど、その勢いを挫いてやれば容易に隙を見せる。
 だけど逃げられるとそうはいかない。何しろこっちは、勝負に時間をかけるワケにはいかないのである。
 必然、そうなると今度はこちらから攻める必要が出てくるんだけど――その状況で余裕が無くなるのは間違いなく僕だろう。
 つまり負け確定である。……敗北条件多いんだから、アドバイスは程々にして下さい輝夜さん。

「さて、今日の所はこれくらいにしておきましょうかね」

「ほへ?」

「っ、師匠! 私はまだ戦えますよ!?」

「勘違いしないのうどんげ。これはあくまで‘晶のための’模擬戦よ?」

「……ううっ」

 ヒートアップするレイセンさんに、お師匠様がクールなお言葉をかける。
 嗚呼、お師匠様の姿が神様に見えますっ!
 思わぬ救いの言葉に、内心で小躍りするネタ切れな僕。
 ちなみにこのまま戦い続けていたら、九戦目で僅差勝ち、十戦目でめでたく詰みとなっておりました。
 いやほんと、絶妙のタイミングでストップかけてくれましたよ。
 まるでその事を読んでいたみたい……みたい?

「ふふふっ」

 ――確実に読まれてましたねコレは。天才マジ怖い。
 僕は改めて、己が師匠の恐ろしさを実感した。
 さらにお師匠様は、ニッコリ笑顔で僕に難題を押し付ける。

「それじゃあ晶、今度は復習としてうどんげの応急手当てをする事。良いわね」

「……え?」

「あら、何かおかしな事を言ったかしら? 薬師の修業も貴方には必要でしょう?」

 いやまぁ、確かにおっしゃる通りですが。
 僕はこっそりと、蹲っているレイセンさんの方に視線を移す。
 寸止め推奨とは言え、戦っている以上不慮の事態は必ず発生してしまう。
 僕は頑丈だし、攻撃されないよう上手くやってきたから体力の消耗だけで済んでいるけど、レイセンさんは違った。
 八戦全てやり込められた彼女は、物の見事にボロボロになっている。

「それほど重症では無いから、今の貴方には丁度良い練習台よ。ふふっ」

 ……まさか、この人ここまでの展開を全部読んでた?
 いや、さすがにそれは無い。幾らなんでも有り得無さ過ぎる。
 それが事実なら、お師匠様は僕が戦う前から僕の戦い方を察していた事になるじゃないか。
 幾らお師匠様だって、さすがにそこまで予知していたなんて事は……。

「そうそう、そんな事あるワケないじゃない」

「……………」

 絶妙なタイミングで合いの手を入れられた。天才ギガンテック怖い。
 いやしかし、お師匠様の言葉自体にはウソが無いはず。確かに練習台として今のレイセンさんは最適だと言える。
 強いて問題があるとするなら、レイセンさんの警戒度がマックスだと言う事だろうか。
 好感度が一度上がってから下がった分、説得するのは難儀しそうだ。
 僕はフォローの言葉を考えつつ、姉弟子へと顔を向ける。
 ……とりあえず、最初は謝罪の土下座から始めた方が良いかな。

「―――はぁ、意地を張ってもしょうがないわね」

「はい?」

「てゐ、薬箱取ってきて。晶はその間に、手順の再確認をしておきなさい」

「あいあいさー」

 深々と溜息を吐いたレイセンさんが、僕の土下座より早く口を開いた。
 あっさりと敵意を引っ込めて、姉弟子はてゐに指示を飛ばす。
 その変わり身の早さに、むしろ僕の方がついていけずポカンとしてしまう。

「……あの、姉弟子?」

「なによ」

「その、良いんですか? 続きをやらなくて?」

 レイセンさんの性格と僕に対する印象を考えると、最悪で試合続行を主張してくると思ったんだけどなぁ。
 ちなみに、最良の展開でも五分くらいはゴネられると思ってました。
 僕のそんな問いかけに、レイセンさんはどこか悟ったような笑みを浮かべる。
 彼女は遠い瞳で虚空を見つめながら、ポツリと呟くように声を漏らした。

「今回の一件で、私は貴女と言う人間を少し理解出来たわ」
 
「はぁ……分かられてしまったのですか」

「ええ、要するに貴女は――てゐと同じスタンスのキャラなのね」

「はぇっ?」

「そんな人間に真正面から挑もうとしていたなんて、私も馬鹿だったわ」

 慈愛すら感じさせる笑顔で、レイセンさんは僕に笑いかける。
 ただしその表情には、微妙に諦観の念が込められている気がしないでもない。

「物腰が柔らかで話が通じるように見えるから、まさか‘そっち系’の人間だとは思わなかったわよ」

「あのー、姉弟子?」

 どこか自分に言い聞かせるような態度で、姉弟子は何度も頷いた。
 何だか良く分からないけど泣けてくる。主に、彼女に対する憐憫と僕の扱いに対する二つで。
 そして変なスイッチが入ったのか、悟りがボヤキに変わっていくレイセンさん。
 そろそろ同情の涙で身体の水分を使い切りそうです。

「ふふ、分かってみれば簡単じゃない。単にトラブルメーカーが増えただけの話よ」

「姉弟子ー、俯かれながらブツブツ言われると超怖いんですがー」

「タイプ違いの悪戯兎が増えた、それだけの事だったのね。ふふっ、ふふふふふ……」

 どんよりと黒いオーラを放ち続けるかつてレイセンさんだったモノ。
 どうして良いか分からなくなった僕は、藁にも縋る思いで相変わらず観戦モードの輝夜さんに話しかけた。

「輝夜さん、これは歩み寄れたと判断すべきなのでしょうか?」

「少なくとも敵よりは近くなったんじゃないの? ある意味、今までより遠くなった気がするけどね」

 どうでも良さそうな輝夜さんの言葉が、心に染みいる模擬戦となりました。
 



 

 ―――ちなみにお師匠様は、笑ったまま一度も助け船を出してはくれませんでした。天才マジェスティック怖い。


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