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No.8576の一覧
[0] 東方天晶花 (東方project+オリ主)【完結+未来語りⅡ追加】[ラリアー](2011/04/19 08:33)
[1] 巻の起「はじまり はじまり」 ~Welcome the beginner of the fantasy~[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[2] 東方天晶花 巻の一「百聞は一見に如かず」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[3] 東方天晶花 巻の零点五「口は災いの元」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[4] 東方天晶花 巻の二「女心と秋の空」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[5] 東方天晶花 巻の三「人の振り見て我が振り直せ」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[6] 東方天晶花 巻の四「袖振り合うも多生の縁」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[7] 東方天晶花 巻の五「芸は身を助く」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[8] 東方天晶花 巻の五点五「知らぬが仏」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[9] 東方天晶花 巻の六「帯に短し襷に長し」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[10] 東方天晶花 巻の七「暗がりに鬼を繋ぐ」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[11] 東方天晶花 巻の八「鬼が出るか蛇が出るか」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[12] 東方天晶花 巻の九「親しき仲にも礼儀あり」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[13] 東方天晶花 巻の十「身から出た錆」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[14] 東方天晶花 巻の十点五「親の心子知らず」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[15] 東方天晶花 巻の十一 「縁は異なもの味なもの」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[16] 東方天晶花 巻の十二「玉磨かざれば器を成さず」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[17] 東方天晶花 巻の十三「藪を突突いて蛇を出す」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[18] 東方天晶花 巻の十四「精神一到何事か成らざらん」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[19] 東方天晶花 巻の十五「竹馬の友」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[20] 東方天晶花 巻の十五点五「呉越同舟」[ラリアー](2012/01/16 10:42)
[21] 東方天晶花 巻の十六「鷺を烏」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[22] 東方天晶花 巻の十七「無用の用」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[23] 東方天晶花 巻の十八「羹に懲りて膾を吹く」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[24] 東方天晶花 巻の十九「上に交わりて諂わず下に交わりて驕らず」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[25] 東方天晶花 巻の二十「用心は勇気の大半なり」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[26] 東方天晶花 巻の二十一「烏に反哺の孝あり」[ラリアー](2012/01/30 18:40)
[27] 東方天晶花 巻の二十二「子は三界の首枷」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[28] 東方天晶花 巻の二十三「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」[ラリアー](2012/01/16 10:47)
[29] 東方天晶花 巻の二十三点五「画竜点睛」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[30] 東方天晶花 巻の二十四「情けは人の為ならず」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[31] 東方天晶花 巻の二十五「コチョウノユメ」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[32] 巻の承「それから それから」 ~The world of extending fantasy~[ラリアー](2009/11/21 02:27)
[33] 東方天晶花 巻の二十六「その日その日が一年中の最善の日である」[ラリアー](2009/11/06 15:56)
[34] 東方天晶花 巻の二十七「真の友愛においては、 私は友を自分のほうにひきつけるよりもむしろ自分を友に与える」[ラリアー](2009/11/06 15:56)
[35] 東方天晶花 巻の二十八「青春は短い。宝石の如くにしてそれを惜しめ」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[36] 東方天晶花 巻の二十九「時というものは、 それぞれの人間によって、 それぞれの速さで走るもの」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[37] 東方天晶花 巻の三十「不幸な人間は、いつも自分が不幸であるということを自慢しているものです」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[38] 東方天晶花 巻の三十一「食卓は、最初の間は人々が決して退屈することのない唯一の場所である」[ラリアー](2012/01/30 18:41)
[39] 東方天晶花 巻の三十二「軽信は大人の弱点であるが、子供にとっては力である」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[40] 東方天晶花 巻の三十三「怒りは他人にとって有害であるが、憤怒にかられている当人にとってはもっと有害である」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[41] 東方天晶花 巻の三十四「進歩とは、価値の置換によって生ずる錯覚にほかならない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[42] 東方天晶花 巻の三十四点五「雨は一人だけに降り注ぐわけではない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[43] 東方天晶花 巻の三十五「主よ、助けてくれとは申しません。私の邪魔をしないで下さい」[ラリアー](2015/01/19 22:38)
[44] 東方天晶花 巻の三十六「命と引き換えに金を欲しがるのは強盗であるが、女はその両方とも欲しがる」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[45] 東方天晶花 巻の三十七「苦痛には限度があるが、恐怖には限度がない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[46] 東方天晶花 巻の三十八「成功する人は錐のように、ある一点に向かって働く」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[47] 東方天晶花 巻の裏側「教えろ! 山田さんっ!!」[ラリアー](2009/11/06 15:59)
[48] 東方天晶花 巻の三十九「事を行うに当って、いつ始めよう等と考えている時には、既に遅れをとっているのだ」[ラリアー](2009/11/06 15:59)
[49] 東方天晶花 巻の四十「善良な性格は法律よりもさらに信頼ができる」[ラリアー](2013/05/27 22:17)
[50] 東方天晶花 巻の四十一「人間が幸福であるために避けることのできない条件は勤労である」[ラリアー](2012/02/06 13:03)
[51] 東方天晶花 巻の四十二「良い判断は無分別な親切に勝る」[ラリアー](2013/05/27 22:20)
[52] 東方天晶花 巻の四十三「病気は千もあるが、健康は一つしかない」[ラリアー](2009/11/16 01:55)
[53] 東方天晶花 巻の四十四「この瞳を、どうしてにごしてよいものか」[ラリアー](2009/11/21 02:31)
[54] 東方天晶花 巻の四十五「公にされることを望む慈善はもう慈善ではない」[ラリアー](2013/06/10 19:50)
[55] 東方天晶花 巻の四十六「報酬への期待を行動のバネとする人にはなるな」[ラリアー](2013/04/22 19:40)
[56] 東方天晶花 巻の四十七「言葉で説教するよりも、あなたの生き方そのものがより良い説教となろう」[ラリアー](2013/05/06 23:58)
[57] 東方天晶花 巻の四十八「真実には特定の時などない。真実はどんな時代にも真実である」[ラリアー](2012/02/06 13:06)
[58] 東方天晶花 巻の四十九「正義は永遠の太陽である。世界はその到達を遅れさせることはできない」[ラリアー](2012/02/06 13:07)
[59] 東方天晶花 巻の五十「希望に満ちて旅行することは、目的地にたどり着くことより良いことである」[ラリアー](2010/01/07 20:28)
[60] 東方天晶花 巻の五十一「人間の真の性格は、彼の娯楽によって知られる」[ラリアー](2010/01/14 13:33)
[61] 東方天晶花 巻の五十二「恋愛は人を強くすると同時に弱くする。友情は人を強くするばかりである」[ラリアー](2013/05/06 23:58)
[62] 東方天晶花 巻の五十二点五「不思議なものは多い。しかし人間ほど不思議なものはない」[ラリアー](2010/01/24 18:04)
[63] 東方天晶花 巻の五十三「最強者の理屈が、いつも最も良いとされる」[ラリアー](2013/06/10 19:50)
[64] 東方天晶花 巻の五十四「怒りの結果は、怒りの原因よりはるかに重大である」[ラリアー](2010/02/07 06:05)
[65] 東方天晶花 巻の五十四点五「自負は常に他人の感嘆によって強化される」[ラリアー](2010/02/14 09:54)
[66] 東方天晶花 巻の五十五「友情は最初、残酷なほど明確にものを見る」[ラリアー](2012/02/18 15:06)
[67] 東方天晶花 巻の五十六「至上の処世術は、妥協することなく適応することである」[ラリアー](2010/02/24 21:21)
[68] 東方天晶花 巻の五十七「あまり道徳的になるな。自分を欺いて人生を台無しにしてしまう」[ラリアー](2010/03/03 17:18)
[69] 東方天晶花 巻の五十八「慣習とは反対の道を行け。そうすれば常に物事はうまくいく」[ラリアー](2010/03/10 21:29)
[70] 東方天晶花 巻の五十九「自尊心は美徳ではないとしても、それは多くの美徳の両親である」[ラリアー](2010/03/30 01:45)
[71] 東方天晶花 巻の五十九点五「まず事実をつかめ。それから思うままに曲解せよ」[ラリアー](2010/03/23 17:54)
[72] 東方天晶花 巻の六十「活動的な馬鹿より恐ろしいものはない」[ラリアー](2010/03/30 01:46)
[73] 東方天晶花 巻の六十一「行動するためには、いかに多くの事に無知でなければならぬ事か」[ラリアー](2012/02/26 08:32)
[74] 東方天晶花 巻の六十二「勇敢な行為は、決して勝利を欲しない」[ラリアー](2010/04/20 00:01)
[75] 東方天晶花 巻の六十三「忍耐とは、肉体的な小心と道徳的勇気の混じり合いである」[ラリアー](2012/02/26 08:56)
[76] 東方天晶花 巻の六十四「神の存在を立証しようとするあらゆる試みは、すでに神に対する冒涜である」[ラリアー](2012/02/26 08:57)
[77] 東方天晶花 巻の六十五「行動はいつも幸せをもたらすものではないが、行動なくしては幸せはない」[ラリアー](2012/03/03 12:21)
[78] 幻想郷うろ覚え童話「モモタロウ」[ラリアー](2010/05/08 00:56)
[79] 東方天晶花 巻の六十六「運命は我々の行為の半分を支配し、他の半分を我々自身にゆだねる」[ラリアー](2012/03/03 12:25)
[80] 東方天晶花 巻の六十七「王国を統治するよりも、家庭内を治めることのほうが難しい」[ラリアー](2010/05/20 10:28)
[81] 東方天晶花 巻の六十八「常識の有無は教育の有無とは関係ない」[ラリアー](2010/05/27 01:01)
[82] 東方天晶花 巻の六十九「不正の存在を前にして黙する人は、実は不在の共犯者にほかならない」[ラリアー](2010/06/02 00:17)
[83] 東方天晶花 巻の七十「馬は死ぬ前に売ってしまうことだ。人生のコツは、損失を次の人に回すこと」[ラリアー](2012/03/15 18:46)
[84] 東方天晶花 巻の七十一「人間は自分の知っていることなら半分は信じるが、聞いたことは何も信じない」[ラリアー](2013/05/12 23:50)
[85] 東方天晶花 巻の七十二「友人の失敗には目をつぶれ、だが悪口には目をつぶるな」[ラリアー](2012/03/15 18:47)
[86] 東方天晶花 巻の七十三「今が最悪の状態と言える間は、まだ最悪の状態ではない」[ラリアー](2012/03/26 23:52)
[87] 東方天晶花 巻の七十四「学校での成績がよいからといって、社会で認められるとは限らない」[ラリアー](2010/07/07 00:16)
[88] 東方天晶花 巻の七十五「神はあらゆる人間のうちに住むが、すべての人間は神のうちに住まず」[ラリアー](2010/07/21 10:29)
[89] 東方天晶花 巻の七十六「苦しんで強くなることがいかに崇高なことであるかを知れ」[ラリアー](2012/03/26 23:53)
[90] 東方天晶花 巻の七十六点五「家庭はどこで始まるか? 若い男と若い娘が恋愛に陥ることから始まる」[ラリアー](2010/07/28 01:23)
[91] 東方天晶花 巻の七十七「長いこと考え込んでいるものが、いつも最善のものを選ぶわけではない」[ラリアー](2010/08/04 00:06)
[92] 東方天晶花 巻の七十八「男に惚れられるような男でなければ、女には惚れられない」[ラリアー](2012/04/10 09:56)
[93] 東方天晶花 巻の七十九「二人の女を和合させるより、むしろ全西欧を和合させる事の方が容易であろう」[ラリアー](2010/08/25 00:02)
[94] 東方天晶花 巻の八十「友情は瞬間が咲かせる花であり、そして時間が実らせる果実である」[ラリアー](2010/09/07 22:54)
[95] 東方天晶花 巻の八十一「文学は商売と芸術が半々であるとき最も栄える」[ラリアー](2010/09/08 00:07)
[96] 東方天晶花 巻の八十一点五「さすらいと変化を愛するものは生ある者である」[ラリアー](2010/09/13 00:07)
[97] 東方天晶花 巻の八十二「絶望とは、闘う理由を知らずに、しかもまさに闘わねばならないということだ」[ラリアー](2010/09/27 01:22)
[98] 東方天晶花 巻の八十三「真の勇気というものは、極端な臆病と無鉄砲との中間にある」[ラリアー](2010/09/27 01:23)
[99] 東方天晶花 巻の八十四「今日は堂々と勇ましく、そして明日は墓の中」[ラリアー](2012/04/15 23:09)
[100] 東方天晶花 巻の八十五「賽は投げられた」[ラリアー](2012/04/23 22:15)
[101] 巻の転「むかし むかし」~the end of fantasy~[ラリアー](2010/10/20 23:50)
[102] 東方天晶花 巻の八十六「未知になるって言うのは、死んじゃうのと同意義なのさ」[ラリアー](2010/10/30 18:11)
[103] 東方天晶花 巻の八十七「宴には上等の酒と上等の肴があれば充分よ」[ラリアー](2012/04/23 22:24)
[104] 東方天晶花 巻の八十八「幻想郷は、宴会も自由だなぁ」[ラリアー](2010/11/06 11:22)
[105] 東方天晶花 巻の八十九「溜まったツケを払わないと、新しい事は始められないでしょ?」[ラリアー](2010/11/13 00:39)
[106] 東方天晶花 巻の九十「世間から必要とされない音楽はこうやって消えていくのね~」[ラリアー](2010/11/20 00:02)
[107] 東方天晶花 巻の九十一「この幸せ者共め! お代は聞いてのお帰りだよっ!!」[ラリアー](2010/12/02 00:44)
[108] 東方天晶花 巻の九十二「他人のペースに合わせて自分を見失ってはダメなの」[ラリアー](2010/12/09 00:03)
[109] 東方天晶花 巻の九十三「人や妖怪と一緒、家にも色んな形があるの」[ラリアー](2010/12/16 10:51)
[110] 東方天晶花 巻の九十四「まるで、巌流島の決闘みたいね」[ラリアー](2010/12/23 00:57)
[111] 東方天晶花 巻の九十五「きっと貴方自身ですら知らない秘密を教えてくれるわよ」[ラリアー](2010/12/30 00:21)
[112] お正月特別変「フタマルイチイチ、ヲトシダマ異変」[ラリアー](2012/05/14 17:48)
[113] 東方天晶花 巻の九十六「正直で結構! あたいも生きてる奴を運ぶほど暇じゃないからね」[ラリアー](2011/01/13 00:03)
[114] 東方天晶花 巻の九十七「半端な智慧は時として、無知よりも罪深き業となります」[ラリアー](2012/05/29 01:47)
[115] 東方天晶花 巻の裏側弐「スキマ妖怪が教えてア・ゲ・ル♪」[ラリアー](2011/01/26 10:35)
[116] 東方天晶花 巻の九十八「やがて辿り着く結果までは、この閻魔にも見通せません」[ラリアー](2011/02/02 00:55)
[117] 東方天晶花 巻の九十九「胸を張れとは言わないけどさ、お礼くらいはちゃんと受け取りなよ」[ラリアー](2011/02/09 00:02)
[118] 東方天晶花 巻の百「譲れないモノがあるなら死んでも守り切りなさい」[ラリアー](2011/02/16 00:20)
[119] 東方天晶花 巻の裏側参「もう一度教えろ! 山田さんっ!!」[ラリアー](2011/02/23 02:18)
[120] 東方天晶花 巻の百一「幻想郷らしく、力尽くで居場所を‘奪って’きます」[ラリアー](2011/03/01 00:02)
[121] 東方天晶花 幕間「誰が為に鐘は鳴る」[ラリアー](2011/03/08 11:09)
[122] 東方天晶花 巻の百二「つまりはいつも通り、一か八かの出たとこ勝負をするワケね」[ラリアー](2011/03/15 01:59)
[123] 東方天晶花 幕間・弐「久遠の空に舞い踊る風花」[ラリアー](2011/03/22 00:01)
[124] 東方天晶花 巻の百三「―――切り札ならありますよ。最低最強、とっておきの一枚がね」[ラリアー](2011/03/29 08:04)
[125] 巻の結「めでたし めでたし」~The fantasy continues~[ラリアー](2011/04/11 23:50)
[126] 東方天晶花 キャラ紹介(第九十五話まで[ラリアー](2012/05/29 01:48)
[127] 天晶花・昔語り①「晶と隙間とお茶会と」[ラリアー](2009/11/26 19:11)
[128] 天晶花・昔語り②「晶と隙間とお袋の味と」[ラリアー](2009/12/17 01:51)
[129] 天晶花・昔語り③「晶と巫女とカラオケと」[ラリアー](2010/08/18 04:29)
[130] 天晶花・昔語り④「早苗と神と悪戯メールと」[ラリアー](2010/11/27 00:04)
[131] 天晶花・未来語りⅠ「次代のユウウツ」[ラリアー](2012/06/04 21:40)
[132] 天晶花・未来語りⅡ「賢人のわりといつも通りな一日」[ラリアー](2012/06/04 21:41)
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[8576] 東方天晶花 巻の三十六「命と引き換えに金を欲しがるのは強盗であるが、女はその両方とも欲しがる」
Name: ラリアー◆536635cd ID:9d10842d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/11/06 15:58
巻の三十六「命と引き換えに金を欲しがるのは強盗であるが、女はその両方とも欲しがる」




 目を覚ますと、眼前で謎の儀式が行われていた。
 右に左に移動しながら、同じ言葉を繰り返す不審人物。
 何これ、邪神召喚の儀式か何か?

「えーりん! えーりん! 助けてえーりん!! えーりん! えーりん! 助けてえーりん!!」

 儀式に参加しているのは、少女と呼んでも差支えない年頃の女性一人だけ。
 彼女を一言で表現しろと言われれば、僕は迷わず「お姫様」という呼称を用いるだろう。
 それほどの優雅さと気品が、今の彼女からも感じ取れるのだ。
 いや、本当ですよ? 怪しげな舞踏しているようにしか見えないのに、それでもお姫様っぽいんですよ。
 ……結局の所、怪人物には変わりないんですがね?

「ああもう、なんでこないのよ!? こういう時に来るのが従者の役割でしょ!?」

 途方に暮れた様子で、頭を掻き毟る謎の少女。
 って従者? あ、じゃあ今の、「えーりん」って永琳さんの事か。
 そういえばてゐが僕を落とす前に、トップにどうこうとか言ってたっけ。
 ……ひょっとしてこの人が、永遠亭のトップ?
 なるほど、そうして見ると確かにそれっぽい風格が漂って……漂って? うん、漂っているね?
 いや、おべっかじゃないよ? 本当にカリスマっぽいんですよ?
 例えて言うならレミリアさんみたいな――ああ、いや何かそれは両方共にごめんなさい。

「どうしよう、とりあえず鈴仙でも呼んで……」

 それにしても、どうしてこの人こんなにもパニくっているんだろうか。
 事あるごとに視線がこっちに向くんだけど、僕何かした?

「いや、その前にこのタライを」

 ――――タライ?
 彼女の呟きのおかげで、今僕がどういう状況に陥っているのかを確認できた。
 どうやらうつ伏せになった背中に、何かが乗っているらしい。
 彼女はそれをタライだと言っているけど……こんなに重いタライが存在するのだろうか。
 まぁいいや、とりあえずとっとと抜け出そう。

「よいしょ」

「あら?」

 自分でも驚くほどあっさりと立ち上がる事が出来た。
 以前氷精との戦いで得た教訓から、常に自分の身体を気で強化していたおかげだろう。
 戦闘時ほど強力に強化しているワケでもないというのに、ここまで身を守ってくれるとは……気を使う程度の能力様々だね。
 でも、出来れば罠そのものに引っかからないようになりたいよなぁ。
 ちらりと背後を振り返ると、そこには石が積まれまくったタライが転がっていた。
 てゐの奴め、何と言う手加減無用っぷりか。彼女とはいつか決着をつけないといけないようである。
 身体の調子を確かめるように全身を動かしながら、僕は思いっきり溜息を吐くのだった。

「……ってうわっ、何これ全然痛くない。むしろ休んだおかげでオシオキの痛みまでなくなってるじゃん」

 何と言う治癒能力。これ程の回復力があるなら、美鈴があれだけ頑丈なのも頷ける。
 だけどこれ、微妙なダメージなら避ける気力を無くしちゃうよね。何しろ、受けた直後に治っちゃうんだもん。
 便利だけどあんまり頼れそうにないなぁ……僕の場合は、油断してたらダメージが蓄積しててやられるとか充分ありそうだし。
 
「ふふっ、落ちついたかしら?」

「落ちつ……あれっ?」

 タライを見つめながら思考に浸っていたら、邪教崇拝の少女に話しかけられた。
 しかし、振り返っても彼女の姿はさっきの場所に無い。

「こっちよ、こっち」

 言われるままに、声のもとへと視線を移動させる。
 今まで余裕が無くて気がつかなかったけど、この部屋は御簾で部屋の一部を隠してあるらしい。
 さっきまで右往左往していた彼女は、いつのまにかその中に入って笑っていた。
 ……そういえば平安時代ぐらいの高貴な身分の女性って、人目を避けるのが嗜みだったんだよね。
 求愛する男性側も、ストーカー行為をしなければ顔合わせする事すら出来なかったらしいし。
 ちなみにこの場合の顔合わせは、イコール同衾の事です。
 なるほど、屋敷だけじゃなくて主人の振る舞いも平安時代的なんだね。
 ―――さっきの暗黒舞踏が無ければ、完璧なお姫様登場シーンだったのになぁ。

「ようこそ御客人。私はこの永遠亭の主、蓬莱山輝夜よ」

 あ、なんか普通に続けてる。
 どうやら彼女は、今までの失態を無かったことにするつもりらしい。
 こっちの戸惑いお構いなしに、彼女は優雅な仕草で妖艶に微笑んでみせた――のかな? シルエットだけじゃ良く分かんないや。
 それにしても、かぐや……ねぇ。
 平安貴族のような振る舞いに、竹林の中の屋敷。さらに月から来たというてゐの言葉。
 ここまで揃った上でその名前を聞かされたら、出てくる発想は一つしかない。

「アナタには、なよ竹のかぐやと名乗った方が良いかしら」

 そこに居たのは、かの竹取物語の主人公。
 あらゆる立場の男性から求愛され、当時の帝すら魅了したという絶世の美女――かぐや姫。
 まさしく伝説上の人物が、僕の目の前に存在していた。
 「驚かなかった」と言えば嘘になる。だけど、本音を言えば「繋がった」という感情の方が大きかった。
 ヒントは充分にあったからねぇ……むしろ今まで出てこなかった自分にビックリだ。
 ―――で、どうしよう。
 彼女の精神衛生上の安寧を考えれば、何事も無かったかのように振舞うのがベストな選択である事は間違いない。
 間違いないんだけど、さすがにそこまで切り替え速くないんでそれは無理です。

「…………」

「…………」

 彼女も、自分のフリが急過ぎた事は理解しているようだ。
 こちらの様子を窺うような空気が、 御簾越しからも伝わってくる。
 とりあえず、返事しとこう。

「えっと、僕は久遠晶と申します。あやね……鴉天狗、射命丸文の付き添いとしてお邪魔させてもらってます」

「知ってるわ。そこらへんの話は永琳から聞いてるもの」
 
「そうですか」

「そうよ」

「…………」

「…………」 

 うわぁい、見事に話がブツ切れた。
 今の挨拶で何かしら変化が起きると思ったのに、まさかお見合い状態に逆戻りとは。
 相手もアテを外したようで、随分とバツが悪そうにしている。……多分。
 それもこれも皆てゐのせいだ。彼女が変な罠を仕掛けなければ、こんな気まずい思いをせずに済んだのに。
 やはり、三日徹夜してでもヤツの枕元で泣くしかないか。
 
「あぁぁぁぁあああああ、もぉうっ!!」

 あ、ついに癇癪起こした。
 御簾の向こう側で手足をジタバタさせるかぐや姫。
 文字通り千年の恋も冷める光景だ。シルエットなのがまだ救いか。

「なんでよっ!? なんでノーリアクションなのよっ!!?」

「す、すいません」

「謝るぐらいなら驚きなさいよっ」

「う、うわー、かぐやひめだびっくりー」

「死んでしまえっ!」

 大根役者でスイマセン。
 だけど、僕は思ってもない事を言うのは苦手なんです。
 ……ここらへんのバカ正直さが「僕の態度には敬意が無い」と言われる原因なのかな。
 少なくとも今回は、本当に敬う気持ちゼロだしね。

「あーあ、ひっさびさに姫っぽい事しようと思ったのに、がっかりよー」

「…………そうですか」

「色々言いたい事がありそうね。ならとりあえず、そこの紐弄ってこの御簾引き上げてくれない?」

 可動式なんですかこれ。そして僕の発言権とその行為に何の関係が。
 シルエットの上からでもわかるほど適当な仕草で、手をひらひら振るがっかり姫様。
 いくら何でも無作法過ぎる。これは怒っても許されるレベルのはずだ。

「はい、ありがと」

 ……とか思ってる間に、身体の方は指示に従っていたようだ。
 ううっ、いつのまにか身についていた従者根性が憎い。
 やけに近代的な仕組みの滑車を使って、御簾が軽やかに上がっていく。
 シルエットで覚悟していたとはいえ、テンションだだ下がりで頬杖ついているかぐや姫を見るのはやっぱりショック。
 しかも奥の方にスーパーファミコンが見えるんですけど。今まで会ったどの妖怪より現代的だよ、この人。
 あー、もう怒りもどっかに行ってしまいました。

「えーりんもさぁ、映画の予告編みたいに色々と期待させてくれるわけよ」

「何で幻想郷在住の貴女がそんなに分かりやすい例えを出せるんですか」

「あら、伝わるとは思わなかったわ。外の世界の「あるあるネタ」って結構幻想郷でも需要があるのね」

 上半身だけを捻って、かぐや姫は後ろから一冊の本を取り出す。
 タイトルは、「明日職場で使えるあるあるネタ百選!」――断言してもいいが、明日使えば職場でドン引き間違いなしだと思われる。

「やっぱり百点の評価を取っただけはあるわね。何でか、永琳達にはウケが悪かったけど」

 違うんです。その安っぽい装丁に張り付いたシールは、投げ売り百円の意味なんです。
 そういえば幻想郷って、通貨単位も明治時代基準だったっけ。金銭の単位に百なんて殆ど使わないのか。
 良く見ると、奥のスーパーファミコンにも無理やり解体したような跡が見受けられる。
 しかも、電源やテレビが見当たらないのだ。恐らくは、使い道を模索してバラバラにしてしまったのだろう。
 ―――ああ、本当に暇なんだねこの人。

「でもおかしいのよ。この点数を付けた人、自分の名前を書いてないの」

「……姫様は、このような書物を読まない方がよろしいです」

「あら、アナタも永琳と同じ事を言うのね?」

 何と言うか、最初の印象とは違う意味でお姫様してる人だ。
 頭も良いし好奇心も旺盛なんだけど、知ってる世界が微妙に狭い。
 彼女の言葉通りなら、都合千年以上は生きてるはずなのに……何故こんなにも世間知らずなんだろうか。
 まるで、ずっと長い間引きこもっていたみたいだ。
 あ、そういえば永遠亭って、つい最近までは世間から隔絶した生活を送っていたんだったっけ。
 なら、入ってくる情報に制限があったのはむしろ当然のことなのか。
 ただでさえお姫様なんて世間知らずになりがちなポジションのかぐや姫が、千年以上も情報統制されてたら世界も狭くなるよね。
 なるほど、納得納得。
 
「ところで永琳さんが色々期待させたって、結局どういう事ですか?」

 問題が解決すると、また新たな疑問が湧いてきた。
 ツッコミどころが他にあったからスルーしてしまったけれど、あの人はどうも彼女に何かを吹き込んようだ。
 てゐと策をやり取りするような人の「期待を匂わせる」言葉は、色んな意味で聞き逃せない。

「楽しそうに言ってたわよ。久しぶりに五つの難題を吹っ掛けれそうな男の子が来たって」

「……五つの難題って、竹取物語でかぐや姫が五人の皇子に出したアレですか?」

「そうそう、その獲得難解な五つの宝の事よ。まぁ、この場合の難題はそれを模したスペルカードの事を言うんだけどね」

「そこは、幻想郷のルールに合わせているんですか」

「私、尽くす女だもの」

 当時の帝にすら尽くさせた姫が何を言うか。
 いや、当時の世情を考えるとそこは仕方ないのかな?
 ……どうせ断るから、断るなりに誠意は尽くしたという事だろうか。
 それはまったく上手くないですね。

「で、その五つの難題を吹っかけられそうなのが、僕?」

「ちょっと、少しは反応なさいな」

「で、その五つの難題を吹っかけられそうなのが、僕?」

「……そうよ。まぁ、当てが外れたけど」

「ほへ?」

「最近は同性相手にしか使ってないけど、本来は異性相手に使うべきスペルカードだと思わない? 五つの難題って」

「貴方の「最近」は知りませんけど、確かにそうですね。元々難題は求婚のための条件だったワケですし」

「そうそう、私を連れ出そうとする男に使ってこそ、五つの難題は正しく効果を発揮すると思うのよ!」

「……なるほど」

 暇ならそんな括り捨てればいいのに、という言葉はギリギリ呑み込んだ。
 彼女には彼女なりのこだわりがあるのだろう。
 プライドも高そうだもんなぁ。……いや、良い意味でですよ?

「とりあえず納得しました。かぐや姫さんの仰る通り、僕は貴方を連れて行くつもりはありませんから」

「呼び方は輝夜、敬称は自由でいいわ。後、ソレ以前の問題だって気づきなさいな」

「じゃあ輝夜さんで。……でも輝夜さん、ソレ以前の問題って何の事ですか?」

「……自分の性別を思い返してみなさい」

「……………性別?」

 本当に、何を言ってるんだろうかこの人は。
 思い返すも何も、僕の性別は見ての通り……通り。

「――――すいません、言い忘れてました」

「なによ」

「こう見えて、僕は男です」

「あらそうなの。じゃあ、勘違いしていたのは永琳じゃなくて私だったのね」

「……あれ?」

 うっかり忘れていた衣装の事を思い出し、僕は慌てて彼女の間違いを修正しようと試みた。
 すると輝夜さんは、我ながら説得力の欠片もないその言葉をあっさり受け入れる。
 これは、どういう事なのだろうか。
 説明の手間が省けたのはありがたいけど、何か釈然としないなぁ。

「そんなに僕って女装しそうに見えますか?」

「女装しそうも何も、今女装してるんじゃないの。理由までは知らないけど」

「さようですか……」

 くだらない事を聞くなと言わんばかりに呆れてみせる輝夜さん。
 その態度から、嫌悪や驚愕の感情が伝わってくる事はない。
 ―――そういえば、聞いた事がある。
 昔は、いろんな事情から女装する皇子とかが結構居たらしい。
 そもそも某十字教が入ってくるまで、日本って一夫多妻や、多夫一妻、同性愛すらも上等なお国柄だったはず。
 なら今更、輝夜さんが女装程度で動揺するわけないのか。
 ……こういうのも、ジェネレーションギャップと言うのだろうか。

「それにしても……ふぅーん」

「な、なにか?」

「いやいや、永琳の言ったとおり面白い人間だなぁーと」

「――しまった!? 今僕、回避できる危機を自ら招き寄せたっ!?」

 彼女は僕の眼を覗き込むように顔を近づけ、にんまり笑う。
 そこでようやく、輝夜さんの発言が意味するところに気がついた。
 ―――要するに輝夜さんは、強力なスペルカード吹っ掛ける相手を探していたのだ。
 そして永琳さんが彼女の要望に従い連れてきた相手が僕。
 暇を潰すイコール弾幕ごっこになっているあたり、なよ竹のかぐやもだいぶ幻想郷に馴染んでいるようである。
 ではなくて。

「ややや、止めよう!? それはさすがに止めよう!?」

 勢いに任せて首を左右に振りまくる。
 かなり気安い態度をとっていたが、相手は仮にも永遠亭の主だ。
 最強ではないにしても、確実に強大な力を持っている事は間違いない。
 少なくとも、幻想郷のトンデモ妖怪たちを見続けてきた観察力とあまり当てにならない危険感知センサーは、全力で僕の意見を肯定してくれている。
 そんな彼女にその気になんてなられたら、いったいどんな目にあわされるか。

「……安心なさい。さっきアナタも言ってたけど、難題の主眼はあくまで「私を連れ出す者」よ」

「え? それじゃあ」

「いくら暇だからって、泣いてる子に喧嘩を吹っ掛けはしないわ」

 そういって、軽くウィンクする輝夜さん。
 ううっ、良かった。微妙にズレた所もあるけど、常識的な人で本当に良かった。
 安堵から、思わず至近距離で溜息を吐いてしまう僕。
 いけないいけない、いくら気が抜けたからって失礼を働いていいわけじゃ……。
 ―――あれ? なんか輝夜さん、急に目つきが険しくなってません?

「ご、ごめんなさい。別に嫌がらせしたつもりでは……」

「――――顔、上げなさい」

「へっ?」

「顔上げて私の眼を見なさいって言ってるのよ」

「は、はいっ」

 言われるがままに、輝夜さんと視線を合わせる。
 まるで全てを見透かすような深遠な瞳が、じっと僕の眼を見据えてきた。
 ……どうしたんだろう?

「ねぇ、晶。一つ聞いていいかしら」

「なんでしょう?」





「―――――――アナタ、八雲紫とどんな関係なの?」





「………えっ?」

 彼女の口から、ありえない名前が出てくる。
 永遠亭に来てから、あの人の話をした事などなかった。
 そもそも、僕は他人にねーさまの話を積極的にした事はない。
 なのに何故、彼女は僕の後見人―――紫ねーさまの名前を口にしたんだろうか。

「……ふぅん、‘仕掛けた’のか、‘仕組んだ’のか。どちらにせよ、本人に自覚はないわけね」

 え? 説明する気どころか答えを聞く気すらないの!?
 輝夜さんは僕から目を離し、ブツブツ考え事を呟きながら部屋の中を行ったり来たりし始める。
 あの、思わせぶりな言葉を言うにしても、もう少しヒントを……。

「スキマ妖怪め、今度は何を企んでいるのかしら」

「あのー、輝夜さん?」

「ふふんっ。随分と面白くなってきたじゃない」

「すいません。かぐやさーん?」

「だとすると……鍵となるのはこの子ね」

 あ、あれ? こっちを向いてくれたのは良いけど、やたらと目が怖いよ?
 無邪気なお姫様から、策謀渦巻く世界を生き抜く腹黒い姫様にシフトチェンジしてないですか、ちょっと。 

「ねぇ、晶?」

「……なんでせう」 

「――――ちょっと、五つの難題に挑戦なさい」

 拒否権? お姫様の命令にそんなものありませんよ。










「で、そのまま理由も分からず弾幕ごっこするはめになった、と」

「おっしゃる通りでございます」

 永遠亭の庭に連れ出された僕は、文姉やてゐ達と合流した。
 取材を終えてニコニコ笑顔を振りまいていた彼女は、僕の事情を聞いた途端笑顔を引っ込めて呆れ顔で呟いたのだった。
 ……しょうがないじゃん。
 輝夜さんは僕が何を聞いても、はぐらかすだけでまともに答えてくれなかったのだ。
 あまつさえ、「知りたければ私の難題に応えて見せなさい」とか言ってくるし。

「呆れてものも言えません」

「……僕だって、途方にくれてるんだよ」

 ちなみに元凶たる輝夜さんは今、文姉と一緒に居た永琳さんと雑談している。
 ここからでは、二人が何を話しているのかまではわからない。死んだら実験材料とか聞こえるはずがない。
 あ、今やっぱり一緒に居たレイセンさんから、輝夜さんが謎のエールを受けた。
 同時にあの失礼な人間を地獄に叩き落としてくださいね、なんて雑音も聞こえた気がするけど……まぁ幻聴だろう。

「さすがの晶も、姫様相手じゃ小賢しい知恵も出てこないかー」

「うん。何故かこっち側にいるてゐにツッコミを入れる余裕もないくらいピンチです」

「あらら、マジで余裕無さそうだね。さっきから視線が一定してないよ」

「正直、勝つためのビジョンがまったく浮かんできません」

 今までも勝てそうにない勝負は多々あったけど、一矢報えそうな隙はそれなりにあった。
 だけど、今回は違う。
 何となくだが断言できる。あの姫様は、絶対僕との勝負で手を抜かない。
 笑顔の裏に、僕をボッコボコにしてやるという気概が垣間見えるのだ。理由は分からないけど。
 ……恨まれてはいないんだよね、多分。
 本気を出してくるのは、本人の気質もあるだろうけどそれ以上に――さっきの呟きが関係しているのだろう。
 彼女は、僕の中に何かを見たのだ。
 僕自身ですら知らない、得体のしれないナニカを。
 ううっ、せめてちょっとくらい見たモノの説明をしてくれても、バチは当たらないと思うんだけどなぁ。

「なるほど、今回は本当に被害者なんですね」

「文姉? なにその、いつもは僕にも責任があるみたいな言い方は」

「文面を良く読んだ上で契約書に署名をした人間に、何の責任も無いと?」

「的確過ぎてぐぅの音も出ません」

 言われてみると、今までの弾幕ごっこって僕も最終的にOKを出しちゃってるんだよね。
 僕を庇おうとする文姉が引っ込んできたのも、それが原因だったはずだし……。
 あれ? 今までやられてきたのって、実はかなり自業自得?

「その例えで行くと、今回は侠の人に脅されて無理やり署名されたようなもんか」

「てゐ、自分のトコの偉い人をヤクザ扱いするのはどうかと」

「いや晶さん、ツッコミどころはそこじゃないでしょう」

「余裕なくてもそういう所は変わらないんだね」

「うぐぅ……」

「―――さ、それじゃそろそろ始めましょうか」

 輝夜さんの宣言に合わせ、永琳さんとレイセンさんが離れていく。
 しまった。僕たちの話が脇道に逸れている間に、逃げ道を防がれてしまった。
 相手はすでにヤる気満々、ゲームオーバーの予感がプンプンしてくる。
 ええいっしょうがない、覚悟を決めろ、僕っ。
 とにかく生き残る事を念頭に、相手の弾幕を避けまくるんだ。
 とりあえず、頭と胴体が無事なら生還はできるかなぁ。

「……やれやれ、仕方ないですね」

「無駄な手助けは止めた方がいいよー? 今更ブン屋が何を言っても、姫様は弾幕ごっこ止めたりしないって」

「わかってますよ。だから、提案するのは決闘中止じゃありません」

 覚悟っぽいモノを決めた僕とワクワクしながら構えてる輝夜さんの間に、文姉が立ちふさがる。
 突然の闖入者に、さすがの輝夜さんも怪訝そうな顔をした。

「なによ烏天狗、取材なら後にしてくれない?」

「いえ、私は晶さんの姉として、この決闘に一言物申したいのですよ」

「……姉なの?」

「はい、一応自慢の姉です」

「一応ってなんですか一応って……まぁいいです。それより輝夜さん、幾らなんでもこの弾幕ごっこ一方的過ぎではありませんか?」

「ちゃんと同意はとったわよ? それに彼、鈴仙に勝てる程度の実力はあるそうじゃない」

「妖怪兎に勝つ程度の力しかない相手、の間違いでしょう?」  
 
 ヒドイ言われようだ、事実だけど。
 実際、レイセンさんも悔しそうな顔をしているけど、反論はしてこない。
 そのくらいの実力が、輝夜さんにはあるって事だ。
 からかう様な文姉の言葉に、輝夜さんは不機嫌さを隠そうともしないで言い返す。

「胡乱な物言いは、自称雅な公家共の愛の言葉を思い出すから止めて。結局のところ何が言いたいの?」

「晶さんに、勝つためのハンデをいただきます」

「おおっ、わかりやすいねー」

「分かりやすいけど……図々しいわよ」

 文姉の単刀直入な言葉に、レイセンさんが苦々しく呟いた。
 確かに、強気に言ってるがかなり情けない言い分だ。
 だけど実際文姉の言うとおり、ハンデをもらわないと僕に勝ち目はないんだよね。
 別に正々堂々戦わないと死んでしまう、みたいなプライドは持ち合わせていないから、その提案自体に文句はないけど。
 それで、何とかなるのかなぁ?
 後そこの兎詐欺。安全そうな場所に率先して移動するのはいいけど、少しは申し訳なさそうにして。

「ふふっ、本当に分かりやすい提案ね。でも、私が手を抜いた程度で勝ち目が生まれるのかしら?」

 意地の悪い笑みを浮かべ、輝夜さんは高慢とも思える台詞を口にする。
 ……だけど、それが過信だとは思えない。
 少なくともこの場に居る誰もが、その言葉を真実だと認めていた。

「確かにそれでは無理でしょう。ですから私が提案する「ハンデ」は、晶さん側の戦力を強化するものなんです」

「……戦力を、強化?」

 文姉? なんでそんなに笑顔が黒いんですか。
 ひょっとして無理やりねじ込まれたこの弾幕ごっこに、結構怒ってます?
 表面上はニコヤカに笑ったまま、文姉が「ハンデ」の内容を口にする。
 それは、僕にとっても驚くべき提案だった。

「2対1の変則マッチ、というのはいかがでしょうか。もちろんメインで戦うのは、あくまでも晶さんですけどね」

「へ? それって……」

「はいっ、そういう事です」

 文姉がニヤリと笑い、懐からスペルカードを取り出す。
 反対の手に握られたのは、カメラではなく葉団扇。
 それは、新聞記者から僕の味方へシフトしたという確かな証。
 瞳に宿った闘争心を隠そうともしないで、文姉は葉団扇を輝夜さんに突き付けた。
 その意味を察し、輝夜さんの口が三日月形に歪む。
 圧倒的なプレッシャーの中、それでも文姉は挑戦の言葉を口にするのだった。





「―――貴方ご自慢の五つの難題には、私と晶さんの二人で挑ませていただきます」
 


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