※この話は過去のわりとどうでもいい話をだらだら描いたものです。 過度な期待を抱かれると作者のストレスがマッハ。 なお今回の話は、巻の七十三以降のネタバレを多分に含んでおります。 天晶花・昔語り③「晶と巫女とカラオケと」早苗「晶君、私達ってお友達ですよね」晶「僕はそのつもりだけど……早苗ちゃんは違ってたの?」早苗「いいえ、私にとっても晶君は大切なお友達です! そこを否定するつもりはありませんっ!!」晶「そう言ってくれるのは嬉しいけど、それじゃあ何でそんな事を聞くのさ」早苗「……どうも、周囲から見ると私達の関係はそう見えないようなんですよ」晶「ほへ?」早苗「実は最近、良く聞かれるんです。私と晶君の関係について」晶「聞かれるって、誰に?」早苗「色んな人ですよ。いつも話している皆さんとか、全く知らない人に『貴女、久遠君とどんな関係なの?』って」晶「……あー」早苗「その度に『大事な友達です』ってお返事してるんですが、皆全然信じてくれないんですよ」晶「ねぇ、早苗ちゃん」早苗「何ですか?」晶「実は―――僕も全く同じ事を言われたんだよ」早苗「晶君もですかっ!?」晶「そう。知り合いとか知らない人とかに会うたんびに、『お前、東風谷さんとどんな関係なんだよ』って」早苗「う~っ、酷い話です。私達こんなに友達してると言うのに」晶「傍から見ると、まったく違う風に見えているのかもしれないねぇ」早苗「う~、う~っ」晶「まぁまぁ、落ち着いて早苗ちゃん。例え他人からどう見られようと、僕等の友情に変わりは無いわけだし」早苗「私はイヤなんですっ! 大切なお友達との関係を疑われるなんて!!」晶「……早苗ちゃん」早苗「と言うワケで晶君、カラオケに行きましょう!」晶「カラオケとな」早苗「実はずっと楽しみにしていたんですよね~、お友達と一緒にカラオケへ行くの」晶「ん? 他の子と一緒に行った事は無かったの?」早苗「……人前で歌うのって、凄く恥ずかしいじゃないですか」晶「なるほど、その気持ち良く分かります。――というか、僕に聞かせるのはアリなの?」早苗「晶君は良いんです。もう、私の秘密をいっぱい知ってるんですから」晶「なんか、ちょっと恥ずかしくなる言い方だね」早苗「そうでしょうか? 事実を言っただけですけど。……それで、どうします?」晶「う、うん、そういう事なら喜んで付き合うよ」早苗「あは、やりました! 今日は私のカラオケ記念日です!!」晶「(………サラダ記念日?)」早苗「やってきました、カラオケボックス!」晶「何故か薄暗いね。照明代節約?」早苗「まずは予め飲み物を頼んでおきましょう。歌ってる最中に来られると困りますから」晶「はて、何だろうこの機械。リモコンにしては色々とオプション多い気が……わっ、触れたら変わった!?」早苗「選曲も今のうちにやっておくのが基本らしいです。この日のためにちゃんと予習をしてきましたからね、遅れはとりませんよ」晶「あ、これ曲の検索とか出来るんだ。じゃあ早速――ってアレ、何で同じ曲名が二つも三つもあるの? 本人映像ってどういう事?」早苗「…………なんで、晶君の方が理解出来て無いんですか?」晶「スイマセン。大人しく白状しますが―――当方「からおけ」と言うモノに挑んだ事がございません」早苗「そうなんですか? お友達と一緒に行った事は……」晶「あ、あはははは。お小遣いの八割が本とか移動費に使われる僕には、カラオケなんて高嶺の花なんですよ」早苗「晶君、わりと計画性無いですよね」晶「付き合いが悪いワケじゃないんだよ!? 出来る限り皆で遊ぶ時には参加するよう努めては居るんだからねっ!? カラオケに参加した事が無いだけで!」早苗「じゃあ、晶君にとっても初体験なんですね!」晶「間違っては無いのに異議を唱えたい。この気持ちはなんだろう」店員「お待たせしましたー。アイスティーにウーロン茶です」晶「わーい」早苗「あ、どうもありがとうございます」店員「失礼しましたー」早苗「で、異議は申し立てます?」晶「なんか今ので冷めちゃったや。素直に歌おう、どばどばっと」早苗「晶君は紅茶にも容赦がありませんねぇ。そんなに砂糖とミルクを入れるなんて、茶葉に何か恨みでも……?」晶「強いて言うなら、甘くない恨み? ちなみにコーヒーにはこの五倍投入します」早苗「燃費が悪いんですかね」晶「いえ、カロリーを求めているワケでは無いです。と言うかいい加減歌おうよ」早苗「そうですねっ! それでは一番、東風谷早苗歌います!」晶「わーわーぱちぱちー」 ~♪~少女歌唱中~♪~早苗「あは、お粗末様でしたー」晶「いやいや、凄く上手だったよ! 自信持って良いって!!」早苗「えへへ~、そう言われると照れちゃいますねぇ。さ、次は晶君の番ですよ」晶「う゛ぇっ!?」早苗「……どうしたんですか?」晶「いやその――早苗ちゃんが歌いなよ。僕ももっと聞いておきたいし」早苗「ダメですよ。カラオケでは交互に歌うのが暗黙の了解になっているんですから」晶「うう、やっぱダメかぁ」早苗「どうしたんですか? さっきまであんなにノリノリだったのに」晶「うん。何と言うか……笑わない?」早苗「保証は出来かねますが、真面目に聞く気はあります」晶「ある意味誠意のある返答ありがとう。実は、ね」早苗「はい」晶「僕……わりと音痴な方なの」早苗「――はい?」晶「だから、歌が下手なんですよ! だから今までカラオケに行かなかったの!! 悪い!?」早苗「悪くは無いんですが……それなら何で私の誘いに乗ってくれたんです?」晶「いや、あんな信頼してます感全開の誘い方されたら、断るわけにはねぇ。それに早苗ちゃんも初めてだって言ってたから……」早苗「そうです、私も初めてです! 初めて同士上手くいかない事なんて多々あるんですから、気にせず歌ってくださいよ」晶「(その初めての人の歌が超絶上手過ぎて、気後れしたとはさすがに言えないよなぁ)」早苗「八坂様は仰いました。歌は心、こぶしは魂、演歌の道は人生の花道だと」晶「思うんだけど、早苗ちゃんトコの神様ってやけに俗っぽいよね」早苗「そりゃーまぁ、神様だって今を生きてるワケですから。俗っぽくもなりますよ」晶「(どうしよう、居間でゆったりしながらテレビを見る神様の映像が……さすがにコレは無いよね、そもそも実体があるワケ――)」早苗「と言うワケで晶君、どうぞ」晶「どうぞって言われても……結局何が言いたかったのか、良く分からないんですが」早苗「要するに歌えば良いんですよ。私は友達を馬鹿にしませんから、一緒に歌って楽しみましょう?」晶「早苗ちゃん―――分かった。二番手久遠晶、歌います!!」早苗「ひゅーひゅー、待ってましたーっ!」晶「では―――――――っ!」 ―――音波式破壊兵器起動中―――晶「……申し訳無い」早苗「そ、そんな事ありませんよ。二曲目が終わる前に追い出されてしまいましたが、カラオケの雰囲気は楽しめました!!」晶「音痴どころのレベルじゃ無かったね。アレはもう人災の一種だったね」早苗「そんなに自分を卑下しないでくださいよ。えーっとその……マイクも拾えない高域音波を出せるって凄いじゃないですか!」晶「死んでやるっ! 死んでジャ○アンリサイタルした過去を無かった事にしてやるっ!!」早苗「無茶言わないでくださいよ、そんな事出来るわけ無いじゃないですか!」晶「ハクタクさーん! お客様の中にハクタクさんはおられませんかー! この際ワーハクタクでも可!!」早苗「お客様ってどこに居るんですかー?」晶「ふぅ、落ち着いた。まぁ、友達と遊ぶ所は一つじゃないよね。今度は別の所に行こうか」早苗「……復活早いですね」晶「それだけが取り柄です。ところで、一つ問題が起きたんですが……」早苗「あ、それ私もです。多分同じ事だと思うんですけど」晶「やっぱり早苗ちゃんも?」早苗「ええっ、何故かは知らないんですけど―――カラオケに行ってから、前より聞かれるようになったんですよ」晶「うん、僕もそうなんだ。と言うか聞かれ方に殺意が籠ってきた。良く分からないけど怖い」早苗「何ででしょうね。……カラオケだけじゃ足りないんでしょうか?」晶「そうかもねー。よし、なら今日は一緒に映画に行ってみようか」早苗「映画ですか! そういえばここ最近、映画館まで行って映画を見る事はありませんでしたね!」晶「よーし、それじゃあ今回は昨日迷惑をかけたお詫びに僕が奢っちゃうよーっ!!」早苗「わーっ、晶君素敵ですっ! よっ、色男!!」晶「あはは、ついでにお茶も御馳走しようかな――ってアレ、なんだろう。また同じ様な寒気が?」 続く(?)