※この話は過去のわりとどうでもいい話をだらだら描いたものです。 過度な期待を抱かれると作者のストレスがマッハ。 なお今回の話は、巻の三十一のネタバレを多分に含んでおります。 天晶花・昔語り②「晶と隙間とお袋の味と」紫「ご相伴を与りに来ました」晶「うわぁっ! ひゃ、百十番!?」紫「酷いわ。このマンションの名義は私にあるのに」晶「あ、すいません。けど僕、今トイレに入ってるんで……」紫「可愛い貴方の顔が今すぐみたいの」晶「トイレに入ってる子を愛でるのは変態のする事です!」紫「大丈夫、トイレ関係なく貴方を愛でたいだけだから。セーフね」晶「いや、そのりくつはおかしい」紫「……開けて良い?」晶「ダメです!! あと、扉の前に立たないでくださいっ!」紫「妖怪は存在する事すら認められないと言うのね。しくしく」晶「そういうのを世の中では、拡大解釈と言うんです!」紫「素敵な言葉よね、拡大解釈って。判別するための境界がブレてる所が特に良いわ」晶「まさか気にいるとは」紫「これからは拡大解釈娘と呼んでくれてもいいのよ」晶「同い年にも使いませんよ、娘なんて呼称」紫「人は大人になっていくのね」晶「悲しい事ですが」紫「なら、今の貴方を愛でられるのも今のうちなんでしょう? 開けて良い?」晶「貴方は変わりませんね」紫「妖怪は変われないわ。そういう生き物だから」晶「悲しい事ですね」紫「悲しみは生きる上で欠かせないモノよ。人と妖怪では少し種類が違うけれどね」晶「そんな高尚な話でしたっけ」紫「賢者は風呂から零れる水すら学問に変えるわ」晶「ある意味頭悪いですね」紫「そして愚者は世界の真理すら笑いに変えるの」晶「普通に頭悪いですね」紫「開けて良い?」晶「どうぞ。もう出るモノも出なくなりました」紫「レディの前でする話ではないわね」晶「凡人は、トイレでトイレ以外の話が出来ないようになってるんです」紫「それは真理ね。おめでとう、貴方は今この時から賢者になったわ」晶「ありがとうございます」紫「賢者には後世に残るほどの至言が必要よ。何か一言どうぞ」晶「トイレは住む所じゃない」紫「本が一冊書けるわね。人間の複雑な内面世界を表しているのかしら」晶「いい加減トイレから出たいだけです」紫「解説しちゃダメよ。賢者は常に物事を難しく考えてなければいけないの、本当の答えに関わらずね」晶「ある意味頭悪いですね」紫「けれどある意味賢いわ。世界は主観でしか見る事が出来ないと、賢者は知っているのよ」晶「目に入ったもの全てに名前を付けても、キリが無いと思いますがね」紫「分かっていても止められないのよ。だって賢いから」晶「僕、愚か者で良いです」紫「なら今度は、何も考えない事を考えないといけないわね」晶「愚者の真理はやけに哲学的ですね」紫「馬鹿と天才は紙一重なのよ」晶「どうとでも取れる台詞ですね」紫「そうね。取り方次第で貴方に付く呼称が変わるだけの台詞よ」晶「……そろそろトイレから出ます」紫「おめでとう、貴方の評価は後世の誰かがやってくれるわ」 ~少年少女移動中~晶「ところで、紫ねーさまは何しに来たんですか?」紫「ご相伴を与りに来たのよ」晶「……バレバレですか」紫「なんの事かしら」晶「そんな分かりやすいすっとぼけ方しなくても……」紫「はっきりとした形にしない限り、未来も物事も確定しないものよ」晶「確定するよう誘導してるじゃないですか」紫「それが未来を作ると言う事よ」晶「えらく壮大ですね」紫「ワクワクしてこないかしら」晶「ちょっとしたサプライズから何を始める気ですか」紫「全ての道はローマに続いているみたいよ。どこから始めてもゴールは一緒みたいね」晶「まぁ、生きていればやがて死と言う名の目的地に辿り着きますけど。それはちょっと遠大過ぎませんか?」紫「千里の道も一歩から、コツコツ進めていけばいいわ」晶「それ、自殺って言いません?」紫「人はやがて死ぬものよ」晶「気分で人を惑わすのは止めてくれませんか」紫「妖怪ですもの」晶「……出来たての試作品、今から持ってきます」紫「あら、そんなものがあったのね。びっくりだわ」晶「どーぞ、サプライズの肉じゃがですよ」紫「わーびっくり、お上手ね」晶「練習しましたから! はっきり言って自信作です!!」紫「では、頂きます」晶「はいどうぞ」紫「(ぱくっ)」晶「(じー)」紫「(もぐもぐ)」晶「(ドキドキ)……どうです?」紫「……………」晶「ゆ、ゆかりねーさま?」紫「………要練習、ね」晶「(しょんぼり)やっぱりそうかぁ」紫「ふふっ。完成したと思ったら、またご相伴を与りに来るわ」晶「出来ればこちらが招いてから来て欲しいんですが……」紫「全ての道はローマに続いているのよ」晶「過程無視ですか」紫「成長したわね」晶「最初からこう返してれば良かったと反省している所です」紫「それじゃあ、また今度顔を出すわ。ごちそうさま」晶「はい……って、もういないや。相変わらず神出鬼没だなぁ」晶「あ、いつの間にか机の上に臨時のお小遣いが」幻想郷、某所?「あ、紫様大変です! 藍様が、藍様がーっ!!」?「……ゆ……かり………さま……式を通じて………何を……送ってきたんですか」紫「御免なさいね。私にも保護者としてのメンツってものがあるのよ」?「毒の……一気………飲みでも……頼まれ………ぐふっ!?」?「らんしゃまっ!? らんしゃまぁーっ!!!?」?「ちぇ…………私がいなく……ても………元気で……」紫「それは無理でしょう、貴方の式なんだから」?「わかりました藍様! 私、私強く生きていきますっ!!」?「ふふ……それ………で……安心して……逝ける……よ」紫「……治療はしておくから、気が済んだらお風呂沸かしておきなさい」 続く(?)