巻の百一「幻想郷らしく、力尽くで居場所を‘奪って’きます」 藍さんの案内に従い、僕は紫ねーさまに会うべく魔法の森方面へと向かっていた。 具体的な目的地に関しては聞いていない。……と言うか、藍さんが怖くて何一つ聞けてません。 何故か分からないけれど、どうも僕は彼女に良く思われていないらしい。 前方を進んでいる藍さんからは、話しかけてくるなオーラがビンビンに伝わってくる。 いやでも、このまま無言で進むワケにもいかないよね。とにかくここはコミュニケーションを図ってみないと。 「あのー、藍さん?」「……………」「ら、藍さぁーん」「………何でしょうか」 うわぁ、露骨に嫌そうな顔してるー。 何故に? 何故にここまで嫌われているんですか? 彼女の嫌いっぷりは尋常で無く、あの姉弟子の態度ですら可愛く見える程だ。 これ、下手すると敵として認識されてない? いきなり襲いかかられてもおかしくないレベルの殺意を感じるんですが。「いやその、ちょっと色々とお話したいと言いますか……」「質問や疑問は紫様にお願いします」 と、取り付く島すら存在しないとは。完全に必要最低限の会話しかしない気だこの人。 おかしい、幾らなんでもこの反応はおかし過ぎる。 そもそも藍さんと僕は初対面なのだから、特に嫌われる要素は無いと思うんだけど……一体何が気に食わないんだろう。「えっと、これからどこに行く予定なんでしょうか」「着けば分かります」「そ、そうだとしても、出来れば事前に知っておきたいと言うか」「必要ありません」「……さ、左様でせうか」 藍さんの殺意で胃が痛い。キリキリ痛い。 結婚式直前に花嫁殺された味覚音痴の花婿だって、もうちょっとくらい愛想が有ると思うんですが。本当に僕が何をした。 うう、目的地がどこかは知らないけど、一刻も早く着いて欲しいです。 もしくは、今すぐ誰かに出てきて欲しい。今の僕には会話できる相手が必要です。「…………分からん。何故紫様はこんな輩を」「ほへ? 何か言いました?」「……………」 ああ、答えは返してくれないワケですね。話しかけてスイマセンでした。 それだけ言って、藍さんは完全に沈黙してしまう。 後はもう、黙々と進むのみである。本当に心がへし折れそうです。 しょうがないので、風景を眺める事で精神の平静を保とうとする情けない僕。そしてそれすらもシカトする藍さん。 てっきり入ると思っていた魔法の森をスルーして、彼女はギリギリ道と呼べるような細い脇道に入っていく。「こちらです。逸れぬ様に」「は、はい」 ……こんな所に道があったのか。空を飛んでたら絶対に気付かなかっただろうなぁ。 藍さんの案内で妙に入り組んだ獣道を進んでいくと、段々と‘見慣れた光景’が目の前に広がり始めた。 覚えている。ここは以前、紫ねーさまに「招待」された場所――天晶の花畑だ。 道理で今まで探しても見つからないワケだ。横着せずにちゃんと歩いて探せば……いや、それでも無理か。 「この先で紫様がお待ちです。くれぐれも失礼の無い様に」 「くれぐれ」の部分に力を込めて、藍さんが花畑の入り口と思しき部分で足を止める。 ここから先は一人で行け、と言う事なんだろう。 僕は、大きく息を吸い込んで花畑の中へと足を進める。 夜とはまた違う姿を見せる天晶の花の中、以前と同じ格好で紫ねーさまはそこに佇んでいた。 しかし、遠目から見えるその表情と雰囲気は以前と大きく違っている。 「妖怪の賢者」としての迫力が、ここからでもはっきりと伝わってくるのだ。 ……どうやら、あまり良い話では無さそうだ。僕は気を引き締めて彼女に近づいた。「お久しぶりです。紫ねーさま」「………」「えーっと、紫ねーさま?」「久方ぶりですね、『異邦人』久遠晶。今日は、重要な話のために呼び出させて頂きました」 ああ良かった。藍さんに続き、ねーさまにも無視されたらどうしようかと。 ――って、そこじゃない。もっとツッコミを入れるべきポイントがあっただろうに、僕。 紫ねーさまは冷たさすら感じる口調で、淡々と言葉を重ねていく。 「すでに‘思い出して’いる事と思いますが、私は貴方の祖父より貴方の行く末を見守る様頼まれておりました」「僕の記憶を弄った時の話ですね」「そうです。……記憶を改変した私を、恨みますか?」「いえ、それは別に。正直思い出したは良いけど若干持て余し気味なので、弄って貰って良かったとすら思っていますよ」「ふふっ、記憶を弄って感謝されたのは初めてね」 そう言って一瞬いつもの様に微笑んだ紫ねーさまは、すぐにその表情を先ほどまでの冷たいモノへと戻した。 うむぅ……僕としてはもうちょっと気楽にお喋りしたいんですが、やっぱりそうもいかないみたいだなぁ。 「ですが、『力ある者』の態度としては疑問が残ります。幻想郷の管理者として、私は貴方の存在を見逃す事は出来ません」「………と、言いますと?」「外の世界と幻想郷。その双方に悪影響を与える恐れがある以上、『対応』は必要だと言う事です」 一旦言葉を切った紫ねーさまが、手にした扇を開いて口元を隠した。 以前にも感じた、得体のしれない存在感が僕を威圧する。 彼女は真っ直ぐ僕の瞳を見つめると、幻想郷の管理者としての『対応』を口にした。「久遠晶。―――貴方を、幻想郷から追放します」 あまりショックを受けなかったのは、何となくその言葉を予測していたためだろう。 ねーさまが頑なに管理者として振舞っていたのは、身内としての態度を優先させないためだったのか。 ――それとも、今までの保護者としての顔が嘘だったのか。 とりあえず、アリスやにとりの演技ですら見抜けなかった僕に判別出来ない事だけは確かだ。「尚、幻想郷に関する記憶と全ての能力は、追放の際に全て封じさせて頂きます」「……えっ、封じる?」「ええ。理由は、言わずとも理解出来るでしょう? 全ては幻想郷の平和を守るために必要な対処です」 つまり紫ねーさまも、僕が外の世界で‘暴発’する危険性を警戒しているワケか。 なるほど確かに、彼女の危惧はもっともだ。 古今東西あらゆる物語で言われている事だが、半端な封印ほど解けてしまいやすいモノは無い。 やるなら徹底的に、それこそ全ての情報を消してしまうレベルの封印を施さないと僕を追放する意味は無いだろう。 ……存在そのものを抹消される可能性もあった事を考慮すれば、紫ねーさまの対応の柔らかさが良く分かる。 恐らくこれが、幻想郷の管理者としての『妥協点』なのであろう。「他に、方法は無いんですかね」「有りません。これが、『八雲紫』に出せる無二の結論です」 僕の問いかけに、紫ねーさまははっきりと否定の姿勢を示した。 僕自身を信じ、能力も記憶もそのままにすると言う選択肢はやはり無いらしい。 当然か。そんな何の根拠も保証も無い言葉に、幻想郷の管理者が頷けるはずも無いだろう。 以前パチュリーが、フランちゃんの一件で言っていた事を思い出す。 そう、‘させない’事と‘起きない’事は完全に別の話なのだ。 具体的な対策が無い以上、僕が何を言ってもそれはただの‘楽観的な希望’に過ぎないのである。 「話は以上です。……明日の朝、迎えに参ります。それまでに帰還のための準備を整えておいてください」 最後まで事務的な口調でそう告げると、紫ねーさまは空間に出来た裂け目の中に消えていく。 残された僕は、彼女の言葉を頭の中で反芻しながら呆然とする他なかった。 そこから、太陽の畑に帰るまでの間の事はあまり覚えていない。 頭の中が今まで以上にグルグル回っていて、周囲に気を配る余裕が一切無かったからだ。 ……そんな不用心さで無事にここまで戻れたのは、幸運だったとしか言いようが無い。 「晶さん、帰って来たんですね! 脳筋妖怪をぶっ潰すのを止めてお姉ちゃんが迎えにきましたよー!!」「ふふ、無事に戻れては来れたみたいね、おかえりなさい。――そこの煩い鳥は後で消しズミにしてあげるわ」「幽香さん、文姉。……その、ただいま」 家のそばまで辿り着いた僕の前に、戻ってきた幽香さんと文姉が現れる。 二人とも、微妙に汚れていたり血の跡が見えたりするのは、今の今まで喧嘩していたからに違いあるまいて。 普段なら思わず苦笑してしまう光景だけど、今の精神状況はそんな事すら許さないらしい。 何とか絞り出せたのは、場にそぐわない普通の挨拶だけだった。 当然、僕の保護者達がそんな心の内を見逃すはずも無く、二人は表情を引き締め詰め寄ってくる。 「晶さん、どうかしたんですか? にとりに何事かあったらしい事は聞きましたが……」「あの河童も、どこか様子がおかしかったものね。出掛けた先で何かショックな出来事でもあったのかしら?」「ショックと言うか何と言うか……その、色々ありまして」「話しなさい」「話してください」「……はい」 元々隠すつもりも無かったけど、ステレオで責められたらもう僅かに残った反抗心も諸手を挙げて逃げ出しますよ。 結局僕は、冥界であった事から今まで相談した事、それに紫ねーさまの事を全部ゲロってしまったのでした。 何度も言うけど話す気はあったよ? それでも気分的には、二人に尋問されている感じでしたけどね!「何と言う事でしょう………あそこで幽香さんの挑発に乗らなければ、晶さんのお悩み相談者第一号になれたと言うのにっ」「あ、やっぱりそこなんだ。気にする所は」「どうしようも無い天狗は放置するとして――貴方は、どうするつもりなの?」「あははっ。どうするもこうすうも、どうしようもありませんよ」 幻想郷の安全を考えるなら、紫ねーさまの言葉に従うのが一番良いに決まっている。 僕の力無い笑顔に、幽香さんはヤレヤレといった具合に肩を竦めた。 まぁ、呆れるよねそりゃ。この人の性格上、どんな内容でも他人の命令に従うなんて考えられないだろうし。 ……その割には、視線の方に軽蔑とか呆れとかの感情が無い気がするけど。 むしろ、まぁコイツならそう考えるだろう的な、そんな生温かい感情が込められている様な。……気のせい?「僕の能力が危険なのは事実ですし。現状、外で安寧に暮らす方法も幻想郷を乱さない生き方も思いつきませんから」「晶さんは、それで良いんですか?」 僕の答えに、トリップ状態から回復した文姉が心配そうな顔で問いかけてくる。 だけど、それに対する僕の返答はやっぱり一つしか無いのだ。 そう、幻想郷の平穏を守るためには、あの人の提案を受けるしか。「あはは、仕方無いよ。うん、仕方無い仕方無い」「……まったくもう、晶さんは」「それより文姉、一つお願いがあるんだけど」「なんです?」「期限が明日の朝だからさ、僕はこれから‘準備’に取り掛からないといけないんだ。だから、僕の代わりにお別れしておいて欲しいんだけど……」 不義理なのは分かっているけど、こればっかりは仕方が無い。 やらなきゃいけない事はたくさんあるのだ。挨拶周りなんてしていたら、全部終える前に朝になってしまう。「はいはい、分かりましたよ。不出来な弟の代わりにお姉ちゃんが皆に挨拶しておいてあげます」「あ、ありがとう。それとなんですけど、幽香さん」「……好きになさい。‘帰り支度’を邪魔する程、野暮では無いわよ」 二人とも、僕の言葉に意外なほどあっさりと頷いてくれた。 正直、理解が良過ぎて逆に怖いデス。 文姉の性格なら、意地になって引きとめると思ったんだけどなぁ。 幽香さんとも何かひと悶着あると思ってたんだけど。僕の思い過ごしだったのか。「そ、それじゃあ二人とも、失礼しますね。別れの挨拶はまた後ほど」 何となく居づらくなった僕は、急いで以前宛がわれた部屋へと逃げ込んだ。 そんな僕を見て、再びヤレヤレと肩を竦める二人の姿がやけに気にかかるのだった。 ―――そして、時刻は深夜。 まさしく草木すら眠る丑三つ時となった時間を見計らって、僕はこっそりと部屋から抜けだした。 服装は毎度おなじみ腋メイド服。ロッドもちゃんと腰に差しているし、魔法の鎧も最初から装備済みである。 とりあえず、忘れ物をしてうっかりと言う展開は防げそうだ。 下手すればこれが‘最後’になるワケだしね。情けない死因は極力潰しておきたいワケですよ。あははははー。 ……いやぁ、まったくもって笑えないなぁ。「今回ばかりは確実に死ぬかも。うぐぅ、何でこんな事に」「妙な意地ばかり張るからですよ。本当に困った弟さんですね」「ふふ、それもいつもの事じゃない。私はもう慣れたわ」「………ほへ?」 あれ、おかしいな。今幻聴が聞こえたぞ? と言うか、それに合わせて幻覚すら見えているんですけどどういう事なんでしょうか。 太陽の畑のど真ん中、僕の予定進路上には何故かここにいないはずの姉と保護者の姿があった。 二人は僕が部屋に逃げ込んだのとほぼ同じ姿勢で、唖然とした僕がおかしくて堪らないとばかりに微笑んでいる。 うん、間違い無い。これは幻覚だ。絶対に幻覚であって欲しい。 しかし困ったな。だとすると僕は万全で無い状態で賭けに出る事に―――「いい加減現実を認めなさい」「げふぅ!?」 容赦ない幽香さんの平手打ちが、僕を正気に戻させる。 どうやら、二人がここに居るのは間違いの無い事実らしい。 えーっと……何で?「おや、それはこちらの台詞ですが? 何故ここに帰還準備中の晶さんが?」「いやその、眠れなくて最後の散歩に行こうかと」「フル装備で? 随分と厳重な散歩ね」「あぶぶ……」 これはダメだ。明らかに真意を見透かされている。 二人がすでに‘分かっている答え’を待っている状態だと気付いた僕は、大きく溜息を一つ吐いた。 こういう展開にならない様、気を使ったつもりなんだけどなぁ。 あのやたら生温かい笑顔には、やっぱり「お見通し」の意味が含まれていたみたいだ。「八雲紫に会いに行くつもりなんでしょう? 彼女の決定に異を唱えるために」 文姉の言葉に、僕は無言で頷いた。 紫ねーさまに言われてから、ずっと考えて決めた事だ。 僕は、あの人の提案に従う事は出来ない。「ふふふっ、あのスキマの言っている事は正しい……んじゃ無かったのかしら?」「いやぁ、今でも正しいと思ってますよ。ですけど――」 この‘答え’を、色んな人に相談した結果と呼ぶのは少々ズルいのかもしれない。 だけど皆が好き勝手言ってくれたから、僕も気付く事が出来たのだ。 僕は、幻想郷の平穏を守る正義の味方でも無ければ、妖怪の楽園を守る幻想の守護者でも無い。 ――好き勝手に生きてる、ただの人間なのである。「結局、従う義理なんて無いんですよね。例え恩義の有る紫ねーさまの言葉でも、そんな気に入らない提案に」「言うわねぇ。大好きな幻想郷の平和が守れるなら、本望じゃないのかしら?」「本望じゃないです。だって、僕が忘れたら‘幻想郷が平和だったとしても意味が無い’じゃないですか」「……言い切りましたね」 ええ、言い切りますとも。白々しいお為ごかしで‘本音’を隠す方が、よっぽど間違っているでしょうからね。 滅私奉公して、幻想郷の平和に貢献する? 言葉面は良く聞こえるかもしれないけど、その結果として僕が居なくなるのならそんな行為には何の意味も無いのだ。 僕が幻想郷の安寧を望むのは――端的に言ってしまえば、そんな幻想郷を楽しみたいからなのだから。 だから、記憶を消される事には反対だし。このまま帰るつもりも無い。 ―――僕はまだ、‘幻想郷を遊び切っていない’のである。 ……今にして思うと、帰るか残るかの選択を「どちらが正しいか」で考える事自体どうかしていたのかもしれない。 そんなのどちらも正統性があるに決まっているし、仮に片方の正統性がもう片方より上だったとしても答えに間違いが無くなるワケでは無いのだから。 結局僕は、「後ろめたさを隠すための口実」欲しさにアレコレ理由を探していたのである。「楽しみたいから残る。理由なんて、それで充分なんですよ。周りへの影響とか、選ばなかった方はどうするかなんて事は、後で考えれば良いんです!」「後々、後悔するわよ?」「どんな答えを選ぼうと、結局は後悔するに決まってますよ。なら、したい様にするのが一番です」 無意味に胸を張りながら、僕はそう断言した。 最早、完全にただの開き直りで有る事は特に否定しない。 けれど今の僕に必要なのは、どんな形でもどんな理由でも良いから走り出す事なのだ。 走った先に有るモノの様子を窺って進まないでいたら、何かを選ぶよりも遥かに後悔するのは分かりきっているのだから。「やれやれ、いつもの晶さんに戻ってくれたのは嬉しいですけど……そんな理屈であのスキマを説得出来ると思っているんですか?」「無理だと思います」「そ、そこは断言しないでくださいよ」「元々、説得する気なんて欠片もありませんからね」 何度も言ったけど、今回の話の‘分’は紫ねーさまの方にある。 それを僕自身が認めてしまっている以上、彼女に言葉で分かって貰う事はまず不可能なのだ。 だから――――「幻想郷らしく、力尽くで居場所を‘奪って’きます」 弾幕ごっこ。幻想郷における、揉め事その他の解決方法。 少々本来の用途からは逸脱しているかもしれないが、こういう使い方もありだろう。 何しろ幻想郷は、全てを受け入れるらしいのだ。 僕一人の我儘くらい、丸ごと飲み込んで貰わないと困る。 「うふふふふ、やっぱり貴方は最高よ。それだけの理由で‘異変’を起こそうとするなんてね」「ほへ? いやその、幽香さん? 僕は別に異変を起こすつもりは……」「いいえ。貴方のやろうとしている事は‘異変’よ、間違い無くね。そもそも貴方は、異変というモノをどう思っているのかしら」「えーっとですね。困ったちゃんが起こす、幻想郷でも受け入れられない騒動の事かと」「その理屈だと、異変を起こした妖怪たちは皆追放されてますよ、晶さん」 言われてみればそうだ。僕の知り合いのほとんどが異変に関わっていたけれど、それが原因で追い出された人は一人もいない。 なら、異変とは何なのだろうか? 幽香さんは不敵に微笑むと、彼女なりの答えを口にした。「決まっているじゃない――‘祭り’よ。幻想郷の新たな住人を受け入れるための、盛大な、ね」 ……何とも、幽香さんらしい解釈の仕方だ。 この人にかかれば、幻想郷の根底を揺るがしかけた大異変もただの乱痴気騒ぎに過ぎないらしい。 いや待てよ。そういえば文姉も、呆れてはいるけど否定はしていない。 と言う事は多少の差異があるにしても、共通認識なのに間違いはないのか。凄いね幻想郷。「まぁ、異変と言うには限りなく規模が小さい気がしますがね」「うふふ、そういう所も晶らしいじゃない」「はぅう……」 言いたい放題二人に言われて、戦う前から別の何かに負けそうな僕。 一方言い切った二人は、満足そうに笑いながらアイコンタクトを交わし合った。 「さてそれじゃあ、話もまとまった所で一異変起こしに行きますか」「そうね、軽く一暴れと行きましょうか」「え、あのちょっと? 何で二人がついてくる事になってるんですか?」「姉であるが故です」「戦いたいからよ」 理由になって無い理由を堂々と言ってのける二人。ただし、僕自身似た様な境遇なので否定は出来ない。 二人は、反論できない僕を見て「黙っていたオシオキだ」と言わんばかりにニヤニヤ笑っている。 ……やっぱり二人とも、仲良いですよね。「仲は悪いわねぇ」「むしろ最悪ですよ?」 すいません、聞いた僕が悪かったです。「と言うか文姉、僕の代わりに挨拶周りしてくれるんじゃ……」「とっくの昔に終わりましたよ。幻想郷最速を舐めて貰っちゃ困ります」「ゆ、幽香さんも止めといた方が良いですって。満足出来る様な戦いが出来るとは限りませんよ?」「貴方がどれほど拒否したとしても、私の意志は変わらないわ。――全てを賭けた極上の勝負、愉しませて貰うわよ?」 ダメだ。これはどっちも説得できそうにないや。 いや、そもそも僕がこの戦いの‘正統性’を投げ捨てた時点で、説得する方法なんて無くなってしまったんだろう。 ……まったく、本当に困ったもんだ。 一人でどうにかしようと考えていたクセに、二人がついてくる事をこんなにも喜んでいるなんて。 まぁ、このくらい抜けてる方がよっぽど僕らしくて良いか。 「じゃあ行きましょうか! 文姉、幽香さん!!」 両手を叩き合わせ気合いを入れ直し、僕は氷の翼を展開する。 そのまま笑顔の二人へと振り返り、ニヤリと笑って夜空に飛び立って行く。 ―――さぁて覚悟を決めようか。これが、最初で最後の反抗期だ。 ◆白黒はっきりつけますか?◆ →はい いいえ(このまま引き返してください)【色々教えろっ! 山田さんっ!!】山田「どんなに殺伐としようが二人は仲良し☆ 山田さんです」死神A「いやまぁ、特に否定はしません。死神Aです」山田「……えっち」死神A「言いたかっただけですよね? 何の理由も無く言いたかっただけですよねソレ!?」山田「今の台詞にハートをぶち抜かれた人はちゃんと自己申告しておくように。晒し者になれますよ」死神A「何の得も無いですよ!?」 Q:晶君の料理のレパートリーは肉じゃがしか無いと言ってましたが、レパートリーを増やす事はないのですか?山田「今後、彼がレパートリーを増やそうとする可能性は有ります」死神A「……その場合、味とかはどうなるんですかね」山田「はいここで選択肢ドン! ① ハンサムな晶君は突如料理の才能に目覚める。(他の料理はまともに作れるよルート) ② 仲間が来て慰めてくれる。(どう努力しても増えないよルート) ③ 変わらない。現実は非情である。(デスクッキングマスター晶ルート) さて、答えはどれでしょう」死神A「えーっと、とりあえず①でお願いします」山田「分かりました。では、正解はIFストーリーで」死神A「そういういい加減な前フリは止めてくださいよ!?」山田「第二期でも可」死神A「だから止めてくださいって!」 Q:晶君→各人の評価は一体どうなってるんですか。山田「フリーダムの化身山田さんは、ダチョウ的フリにもちゃんと答える親切仕様です。崇め奉りなさい」死神A「作者発狂しますよ……」山田「ちなみに、予測している人もいましたが普通にやると「友人、親友」関連の評価が大多数になるので、そこは省略させて頂きます」死神A「なんかまた、ロクでもない評価になりそうですねぇ」山田「まぁ、概ね予想通りですよ。では参りましょう」晶君による人物評価(100話現在)文―――――頼りになる姉。大分慣れたけどスキンシップが重い。幽香――――幻想郷での保護者。さりげに一番まともな妖怪。にとり―――驚異の技術力。お風呂は勘弁してください。アリス―――ツッコミ兼常識人兼駆け込み寺。何かあったらとりあえずアリス。メディスン―良い子なんだけど、いつか毒を喰らいそう。フラン―――可愛い妹分。自分が付いていないとダメな子。レミリア――カリスマ。プライドが高過ぎるのがちょっと……。咲夜――――仕事の出来るダメな人。ナイフ怖い。美鈴――――苦労人仲間。でもまぁ、自分の方が僅差でマシかな。パチュリー―本の虫仲間。良い人だけど扱いが難しい。小悪魔―――残念な子。バッテンで挟むのは止めてください。慧音――――面白い先生。頼りにして良いのか分からない。妹紅――――江戸っ子。でも多分、隠れ乙女だこの人。阿求――――憧れの人でした。地味に毒舌家、そしてコスプレ魔。てゐ――――アマゾンとかヤフオクとか。役に立つけど当てにしたくない兎。うどんげ――苦手な先輩。黙ってる時が一番怖い。永琳――――凄い師匠。天才怖い、テラ怖い。輝夜――――色んな意味でかぐや姫。なまじ綺麗だから対処に困る。チルノ―――優秀な親分。何だかんだで頼りになる子。大妖精―――微妙に避けられてる? 親分とワンセットで安心。椛―――――射命丸文被害者の会仲間。毎度ご迷惑おかけしています。雛―――――雛さんが悪いワケじゃない、ワケじゃないけど会いたくない。秋姉妹―――居たんだ。早苗――――良い子だけど疲れる。疲れるけど一緒に居ると楽しい。神奈子―――怖い神様。何が気に食わないのかが分からない。諏訪子―――変な神様。祟り神……なんですよね?ルナサ―――三姉妹の良心。しかしストッパーでは無い。メルラン――フランちゃんと絶対にセットにしたくない人。ソロは勘弁。リリカ―――てゐと同じ匂いのする子。……幻想の音いるの?妖夢――――困ります。憧れられても困ります。幽々子―――大食いライバル。底知れない感じのする人。小町――――おっぱ……姐御肌な「らしくない」死神。自分以上にうっかりしてる。映姫――――はっきりとモノを言う人。厳しさの中に優しさがある。紫―――――アレコレあったけど、やっぱり大好きな保護者。 死神A「山田様、私の評価が凄いアレなんですけど」山田「もげろ」死神A「いや、そこもですけどね。主人公以上にうっかりしてるって……」山田「本編だけで考えると、強ち間違った評価でも無いでしょう。前回ワザと抜いたのにツッコミすらされなかった秋姉妹よりマシですよ」死神A「……そういや、居ませんでしたね」山田「ちなみに抜いた理由は、姉妹でセットにするか単品扱いにするか悩んだためです」死神A「悩んだ結果、評価表から外したんですか?」山田「まぁ、秋姉妹ですしね」死神A「そ、それはさすがに酷いと思いますが」山田「とりあえず、抗議が入るまで秋姉妹はこの扱いで行こうかなーと」死神A「………もう、話もクライマックスですよ?」 とぅーびぃーこんてぃにゅーど