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No.8576の一覧
[0] 東方天晶花 (東方project+オリ主)【完結+未来語りⅡ追加】[ラリアー](2011/04/19 08:33)
[1] 巻の起「はじまり はじまり」 ~Welcome the beginner of the fantasy~[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[2] 東方天晶花 巻の一「百聞は一見に如かず」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[3] 東方天晶花 巻の零点五「口は災いの元」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[4] 東方天晶花 巻の二「女心と秋の空」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[5] 東方天晶花 巻の三「人の振り見て我が振り直せ」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[6] 東方天晶花 巻の四「袖振り合うも多生の縁」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[7] 東方天晶花 巻の五「芸は身を助く」[ラリアー](2009/11/06 15:51)
[8] 東方天晶花 巻の五点五「知らぬが仏」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[9] 東方天晶花 巻の六「帯に短し襷に長し」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[10] 東方天晶花 巻の七「暗がりに鬼を繋ぐ」[ラリアー](2009/11/06 15:52)
[11] 東方天晶花 巻の八「鬼が出るか蛇が出るか」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[12] 東方天晶花 巻の九「親しき仲にも礼儀あり」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[13] 東方天晶花 巻の十「身から出た錆」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[14] 東方天晶花 巻の十点五「親の心子知らず」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[15] 東方天晶花 巻の十一 「縁は異なもの味なもの」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[16] 東方天晶花 巻の十二「玉磨かざれば器を成さず」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[17] 東方天晶花 巻の十三「藪を突突いて蛇を出す」[ラリアー](2009/11/06 15:53)
[18] 東方天晶花 巻の十四「精神一到何事か成らざらん」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[19] 東方天晶花 巻の十五「竹馬の友」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[20] 東方天晶花 巻の十五点五「呉越同舟」[ラリアー](2012/01/16 10:42)
[21] 東方天晶花 巻の十六「鷺を烏」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[22] 東方天晶花 巻の十七「無用の用」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[23] 東方天晶花 巻の十八「羹に懲りて膾を吹く」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[24] 東方天晶花 巻の十九「上に交わりて諂わず下に交わりて驕らず」[ラリアー](2009/11/06 15:54)
[25] 東方天晶花 巻の二十「用心は勇気の大半なり」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[26] 東方天晶花 巻の二十一「烏に反哺の孝あり」[ラリアー](2012/01/30 18:40)
[27] 東方天晶花 巻の二十二「子は三界の首枷」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[28] 東方天晶花 巻の二十三「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」[ラリアー](2012/01/16 10:47)
[29] 東方天晶花 巻の二十三点五「画竜点睛」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[30] 東方天晶花 巻の二十四「情けは人の為ならず」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[31] 東方天晶花 巻の二十五「コチョウノユメ」[ラリアー](2009/11/06 15:55)
[32] 巻の承「それから それから」 ~The world of extending fantasy~[ラリアー](2009/11/21 02:27)
[33] 東方天晶花 巻の二十六「その日その日が一年中の最善の日である」[ラリアー](2009/11/06 15:56)
[34] 東方天晶花 巻の二十七「真の友愛においては、 私は友を自分のほうにひきつけるよりもむしろ自分を友に与える」[ラリアー](2009/11/06 15:56)
[35] 東方天晶花 巻の二十八「青春は短い。宝石の如くにしてそれを惜しめ」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[36] 東方天晶花 巻の二十九「時というものは、 それぞれの人間によって、 それぞれの速さで走るもの」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[37] 東方天晶花 巻の三十「不幸な人間は、いつも自分が不幸であるということを自慢しているものです」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[38] 東方天晶花 巻の三十一「食卓は、最初の間は人々が決して退屈することのない唯一の場所である」[ラリアー](2012/01/30 18:41)
[39] 東方天晶花 巻の三十二「軽信は大人の弱点であるが、子供にとっては力である」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[40] 東方天晶花 巻の三十三「怒りは他人にとって有害であるが、憤怒にかられている当人にとってはもっと有害である」[ラリアー](2009/11/06 15:57)
[41] 東方天晶花 巻の三十四「進歩とは、価値の置換によって生ずる錯覚にほかならない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[42] 東方天晶花 巻の三十四点五「雨は一人だけに降り注ぐわけではない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[43] 東方天晶花 巻の三十五「主よ、助けてくれとは申しません。私の邪魔をしないで下さい」[ラリアー](2015/01/19 22:38)
[44] 東方天晶花 巻の三十六「命と引き換えに金を欲しがるのは強盗であるが、女はその両方とも欲しがる」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[45] 東方天晶花 巻の三十七「苦痛には限度があるが、恐怖には限度がない」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[46] 東方天晶花 巻の三十八「成功する人は錐のように、ある一点に向かって働く」[ラリアー](2009/11/06 15:58)
[47] 東方天晶花 巻の裏側「教えろ! 山田さんっ!!」[ラリアー](2009/11/06 15:59)
[48] 東方天晶花 巻の三十九「事を行うに当って、いつ始めよう等と考えている時には、既に遅れをとっているのだ」[ラリアー](2009/11/06 15:59)
[49] 東方天晶花 巻の四十「善良な性格は法律よりもさらに信頼ができる」[ラリアー](2013/05/27 22:17)
[50] 東方天晶花 巻の四十一「人間が幸福であるために避けることのできない条件は勤労である」[ラリアー](2012/02/06 13:03)
[51] 東方天晶花 巻の四十二「良い判断は無分別な親切に勝る」[ラリアー](2013/05/27 22:20)
[52] 東方天晶花 巻の四十三「病気は千もあるが、健康は一つしかない」[ラリアー](2009/11/16 01:55)
[53] 東方天晶花 巻の四十四「この瞳を、どうしてにごしてよいものか」[ラリアー](2009/11/21 02:31)
[54] 東方天晶花 巻の四十五「公にされることを望む慈善はもう慈善ではない」[ラリアー](2013/06/10 19:50)
[55] 東方天晶花 巻の四十六「報酬への期待を行動のバネとする人にはなるな」[ラリアー](2013/04/22 19:40)
[56] 東方天晶花 巻の四十七「言葉で説教するよりも、あなたの生き方そのものがより良い説教となろう」[ラリアー](2013/05/06 23:58)
[57] 東方天晶花 巻の四十八「真実には特定の時などない。真実はどんな時代にも真実である」[ラリアー](2012/02/06 13:06)
[58] 東方天晶花 巻の四十九「正義は永遠の太陽である。世界はその到達を遅れさせることはできない」[ラリアー](2012/02/06 13:07)
[59] 東方天晶花 巻の五十「希望に満ちて旅行することは、目的地にたどり着くことより良いことである」[ラリアー](2010/01/07 20:28)
[60] 東方天晶花 巻の五十一「人間の真の性格は、彼の娯楽によって知られる」[ラリアー](2010/01/14 13:33)
[61] 東方天晶花 巻の五十二「恋愛は人を強くすると同時に弱くする。友情は人を強くするばかりである」[ラリアー](2013/05/06 23:58)
[62] 東方天晶花 巻の五十二点五「不思議なものは多い。しかし人間ほど不思議なものはない」[ラリアー](2010/01/24 18:04)
[63] 東方天晶花 巻の五十三「最強者の理屈が、いつも最も良いとされる」[ラリアー](2013/06/10 19:50)
[64] 東方天晶花 巻の五十四「怒りの結果は、怒りの原因よりはるかに重大である」[ラリアー](2010/02/07 06:05)
[65] 東方天晶花 巻の五十四点五「自負は常に他人の感嘆によって強化される」[ラリアー](2010/02/14 09:54)
[66] 東方天晶花 巻の五十五「友情は最初、残酷なほど明確にものを見る」[ラリアー](2012/02/18 15:06)
[67] 東方天晶花 巻の五十六「至上の処世術は、妥協することなく適応することである」[ラリアー](2010/02/24 21:21)
[68] 東方天晶花 巻の五十七「あまり道徳的になるな。自分を欺いて人生を台無しにしてしまう」[ラリアー](2010/03/03 17:18)
[69] 東方天晶花 巻の五十八「慣習とは反対の道を行け。そうすれば常に物事はうまくいく」[ラリアー](2010/03/10 21:29)
[70] 東方天晶花 巻の五十九「自尊心は美徳ではないとしても、それは多くの美徳の両親である」[ラリアー](2010/03/30 01:45)
[71] 東方天晶花 巻の五十九点五「まず事実をつかめ。それから思うままに曲解せよ」[ラリアー](2010/03/23 17:54)
[72] 東方天晶花 巻の六十「活動的な馬鹿より恐ろしいものはない」[ラリアー](2010/03/30 01:46)
[73] 東方天晶花 巻の六十一「行動するためには、いかに多くの事に無知でなければならぬ事か」[ラリアー](2012/02/26 08:32)
[74] 東方天晶花 巻の六十二「勇敢な行為は、決して勝利を欲しない」[ラリアー](2010/04/20 00:01)
[75] 東方天晶花 巻の六十三「忍耐とは、肉体的な小心と道徳的勇気の混じり合いである」[ラリアー](2012/02/26 08:56)
[76] 東方天晶花 巻の六十四「神の存在を立証しようとするあらゆる試みは、すでに神に対する冒涜である」[ラリアー](2012/02/26 08:57)
[77] 東方天晶花 巻の六十五「行動はいつも幸せをもたらすものではないが、行動なくしては幸せはない」[ラリアー](2012/03/03 12:21)
[78] 幻想郷うろ覚え童話「モモタロウ」[ラリアー](2010/05/08 00:56)
[79] 東方天晶花 巻の六十六「運命は我々の行為の半分を支配し、他の半分を我々自身にゆだねる」[ラリアー](2012/03/03 12:25)
[80] 東方天晶花 巻の六十七「王国を統治するよりも、家庭内を治めることのほうが難しい」[ラリアー](2010/05/20 10:28)
[81] 東方天晶花 巻の六十八「常識の有無は教育の有無とは関係ない」[ラリアー](2010/05/27 01:01)
[82] 東方天晶花 巻の六十九「不正の存在を前にして黙する人は、実は不在の共犯者にほかならない」[ラリアー](2010/06/02 00:17)
[83] 東方天晶花 巻の七十「馬は死ぬ前に売ってしまうことだ。人生のコツは、損失を次の人に回すこと」[ラリアー](2012/03/15 18:46)
[84] 東方天晶花 巻の七十一「人間は自分の知っていることなら半分は信じるが、聞いたことは何も信じない」[ラリアー](2013/05/12 23:50)
[85] 東方天晶花 巻の七十二「友人の失敗には目をつぶれ、だが悪口には目をつぶるな」[ラリアー](2012/03/15 18:47)
[86] 東方天晶花 巻の七十三「今が最悪の状態と言える間は、まだ最悪の状態ではない」[ラリアー](2012/03/26 23:52)
[87] 東方天晶花 巻の七十四「学校での成績がよいからといって、社会で認められるとは限らない」[ラリアー](2010/07/07 00:16)
[88] 東方天晶花 巻の七十五「神はあらゆる人間のうちに住むが、すべての人間は神のうちに住まず」[ラリアー](2010/07/21 10:29)
[89] 東方天晶花 巻の七十六「苦しんで強くなることがいかに崇高なことであるかを知れ」[ラリアー](2012/03/26 23:53)
[90] 東方天晶花 巻の七十六点五「家庭はどこで始まるか? 若い男と若い娘が恋愛に陥ることから始まる」[ラリアー](2010/07/28 01:23)
[91] 東方天晶花 巻の七十七「長いこと考え込んでいるものが、いつも最善のものを選ぶわけではない」[ラリアー](2010/08/04 00:06)
[92] 東方天晶花 巻の七十八「男に惚れられるような男でなければ、女には惚れられない」[ラリアー](2012/04/10 09:56)
[93] 東方天晶花 巻の七十九「二人の女を和合させるより、むしろ全西欧を和合させる事の方が容易であろう」[ラリアー](2010/08/25 00:02)
[94] 東方天晶花 巻の八十「友情は瞬間が咲かせる花であり、そして時間が実らせる果実である」[ラリアー](2010/09/07 22:54)
[95] 東方天晶花 巻の八十一「文学は商売と芸術が半々であるとき最も栄える」[ラリアー](2010/09/08 00:07)
[96] 東方天晶花 巻の八十一点五「さすらいと変化を愛するものは生ある者である」[ラリアー](2010/09/13 00:07)
[97] 東方天晶花 巻の八十二「絶望とは、闘う理由を知らずに、しかもまさに闘わねばならないということだ」[ラリアー](2010/09/27 01:22)
[98] 東方天晶花 巻の八十三「真の勇気というものは、極端な臆病と無鉄砲との中間にある」[ラリアー](2010/09/27 01:23)
[99] 東方天晶花 巻の八十四「今日は堂々と勇ましく、そして明日は墓の中」[ラリアー](2012/04/15 23:09)
[100] 東方天晶花 巻の八十五「賽は投げられた」[ラリアー](2012/04/23 22:15)
[101] 巻の転「むかし むかし」~the end of fantasy~[ラリアー](2010/10/20 23:50)
[102] 東方天晶花 巻の八十六「未知になるって言うのは、死んじゃうのと同意義なのさ」[ラリアー](2010/10/30 18:11)
[103] 東方天晶花 巻の八十七「宴には上等の酒と上等の肴があれば充分よ」[ラリアー](2012/04/23 22:24)
[104] 東方天晶花 巻の八十八「幻想郷は、宴会も自由だなぁ」[ラリアー](2010/11/06 11:22)
[105] 東方天晶花 巻の八十九「溜まったツケを払わないと、新しい事は始められないでしょ?」[ラリアー](2010/11/13 00:39)
[106] 東方天晶花 巻の九十「世間から必要とされない音楽はこうやって消えていくのね~」[ラリアー](2010/11/20 00:02)
[107] 東方天晶花 巻の九十一「この幸せ者共め! お代は聞いてのお帰りだよっ!!」[ラリアー](2010/12/02 00:44)
[108] 東方天晶花 巻の九十二「他人のペースに合わせて自分を見失ってはダメなの」[ラリアー](2010/12/09 00:03)
[109] 東方天晶花 巻の九十三「人や妖怪と一緒、家にも色んな形があるの」[ラリアー](2010/12/16 10:51)
[110] 東方天晶花 巻の九十四「まるで、巌流島の決闘みたいね」[ラリアー](2010/12/23 00:57)
[111] 東方天晶花 巻の九十五「きっと貴方自身ですら知らない秘密を教えてくれるわよ」[ラリアー](2010/12/30 00:21)
[112] お正月特別変「フタマルイチイチ、ヲトシダマ異変」[ラリアー](2012/05/14 17:48)
[113] 東方天晶花 巻の九十六「正直で結構! あたいも生きてる奴を運ぶほど暇じゃないからね」[ラリアー](2011/01/13 00:03)
[114] 東方天晶花 巻の九十七「半端な智慧は時として、無知よりも罪深き業となります」[ラリアー](2012/05/29 01:47)
[115] 東方天晶花 巻の裏側弐「スキマ妖怪が教えてア・ゲ・ル♪」[ラリアー](2011/01/26 10:35)
[116] 東方天晶花 巻の九十八「やがて辿り着く結果までは、この閻魔にも見通せません」[ラリアー](2011/02/02 00:55)
[117] 東方天晶花 巻の九十九「胸を張れとは言わないけどさ、お礼くらいはちゃんと受け取りなよ」[ラリアー](2011/02/09 00:02)
[118] 東方天晶花 巻の百「譲れないモノがあるなら死んでも守り切りなさい」[ラリアー](2011/02/16 00:20)
[119] 東方天晶花 巻の裏側参「もう一度教えろ! 山田さんっ!!」[ラリアー](2011/02/23 02:18)
[120] 東方天晶花 巻の百一「幻想郷らしく、力尽くで居場所を‘奪って’きます」[ラリアー](2011/03/01 00:02)
[121] 東方天晶花 幕間「誰が為に鐘は鳴る」[ラリアー](2011/03/08 11:09)
[122] 東方天晶花 巻の百二「つまりはいつも通り、一か八かの出たとこ勝負をするワケね」[ラリアー](2011/03/15 01:59)
[123] 東方天晶花 幕間・弐「久遠の空に舞い踊る風花」[ラリアー](2011/03/22 00:01)
[124] 東方天晶花 巻の百三「―――切り札ならありますよ。最低最強、とっておきの一枚がね」[ラリアー](2011/03/29 08:04)
[125] 巻の結「めでたし めでたし」~The fantasy continues~[ラリアー](2011/04/11 23:50)
[126] 東方天晶花 キャラ紹介(第九十五話まで[ラリアー](2012/05/29 01:48)
[127] 天晶花・昔語り①「晶と隙間とお茶会と」[ラリアー](2009/11/26 19:11)
[128] 天晶花・昔語り②「晶と隙間とお袋の味と」[ラリアー](2009/12/17 01:51)
[129] 天晶花・昔語り③「晶と巫女とカラオケと」[ラリアー](2010/08/18 04:29)
[130] 天晶花・昔語り④「早苗と神と悪戯メールと」[ラリアー](2010/11/27 00:04)
[131] 天晶花・未来語りⅠ「次代のユウウツ」[ラリアー](2012/06/04 21:40)
[132] 天晶花・未来語りⅡ「賢人のわりといつも通りな一日」[ラリアー](2012/06/04 21:41)
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[8576] 東方天晶花 巻の八十五「賽は投げられた」
Name: ラリアー◆536635cd ID:5c171fc7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/04/23 22:15



 ―――自分の能力を使う時、いつも頭の中ではキリキリと幻想の機械が動いていた。

 幾つもの歯車で動くその想像の‘機械’は、僕の持つ幻想の力を分かりやすい形にした、ある種のイメージなのだろう。
 
 多くを知る程、力の使い方を覚える程、「他人の力を写し取る程度の能力」を動かす歯車はその速さを増していく。

 そしてその度に、僕は妙な‘違和感’を覚えずにはいられなかった。

 自分の中の‘機械’が大きくなればなるほど、その奥にある‘何か’が見えなくなる気がする。

 その‘幻想の違和感’の正体を、僕はこれから知る事となる―――










 目を覚ますと、そこには見覚えの無い天井が広がっていた。
 和風建築に良くある板作りの天板や、恐らく機能を失っているのであろう蛍光灯が視界に映る。
 ……訂正、見覚えはあった。
 寝転がって眺める機会は無かったけれど、僕はこの天井を、多い時には週一で眺めていた事もあったはずだ。

「ひょっとして、ここって社殿の中?」

「正解。物分かりが早くて助かるよ」

 独り言のつもりで呟いた台詞に、思わぬ答えが返ってきた。
 ゆっくりと上半身を起こすと、自身の置かれた状況が分かってくる。
 どうやら八坂様との弾幕ごっこの後、気絶した僕は守矢神社の中で介抱されていたらしい。
 いつもの腋メイド服は数々のオプションパーツを外され、文姉の服とほぼ同じ仕様になっている。ウェスト緩い。
 僕は落ちかけている頭の上の布巾を抑えながら、軽く部屋の中を見回した。
 声の主は、すぐ隣に腰掛けている。

「それで、気分はどうだい?」

「すこぶる良いです。身体の節々は痛いですが」

「あははははっ、そんな軽口が叩けるようなら安心だね」

 カラカラと謎の少女は笑う。
 外見の幼さに反して、その笑顔には妙な貫禄があった。
 こんなにも分かりやすくタダモノで無いオーラを出せるのは、ある意味凄いと思う。
 しかし何者なんだろう、この人は。
 見た目はもう完全にただの少女なんだけど、琥珀の様な瞳の奥には底知れない神々しさを感じ取る事が出来る。
 格好は、紫と白のツートンカラーで彩られた服に山吹色の麦わら帽っぽい帽子。
 服にやたらリアルな蛙の絵が張り付いてたり、帽子に変な目みたいなモノがくっ付いてたり、おかしな所は多いけど……まぁ可愛いと言い切れるだろう。
 
「およ、どうしたんだい? そんなに私の事を見てさ」

 けれど残念ながら、その格好から身元を割り出す事は難しそうだった。
 多分、守矢神社の関係者なんだろうけどなぁ……。
 ここに蛙の神様なんていたっけ? ミシャグジ様は確か蛇の神様だったよね。あれ、山神だったっけ?

「んふふ~。なに? 私の姿に見惚れちゃった?」

「いえ、特には。それよりちょっと聞いても良いですかね」

「断言されると結構凹むなぁ。それで何だい?」
 
「えっと―――ひょっとして貴女がスワコ様ですか?」

「……驚いた、良く分かったね」

 こちらの問いかけに、目を丸くするスワコ様。
 だけどスイマセン。実はかなり当てずっぽうでした。
 前に名前だけは聞いていたので、外れても良いやの気持ちで尋ねたんです。
 まさか当たっていたとは。何とも不思議な雰囲気といい、‘スワ’って名前といい、やっぱりタダモノでは無い気がする。

「じゃあ改めて。私は洩矢諏訪子、君には『土着神の頂点』って名乗った方が分かり易いかな」

「――まさか、洩矢神!?」

「んふふふふ~、本当に物分かりの良い子だねぇ~。キュンキュンしちゃうよ」

 洩矢神。八坂様――建御名方神に諏訪地方の支配権を奪われた、ミシャグジ神の‘別称’の一つだ。
 もっとも支配権は奪ったモノの、前支配者の影響が強すぎてミシャグジ信仰を追い出す事は出来なかったらしいけど。
 ……ってそうか。信仰が残るなら神様も残るよね。
 何となく事情を察した僕は、何度も頷きながら諏訪子様の姿を眺める。
 つまりこの人は、ある意味では守矢神社の真の神様になるんだね。
 ……凄い状況に居るはずなのに全然ビックリしないのは、諏訪子様が当たり前の様にしているからなんだろうなぁ。

「あ、ちなみに私は様付け要らないから。諏訪子ちゃんとかで良いよ。ケロちゃんでも可」

「じゃあ諏訪子さんで」

「わりと引かないね、君も」

「これくらいの抵抗はセーフだと判断しました」

「あっはっはっはっはっ! ほんと面白い。面白いよ君!!」

 良く分からないけど、僕の返答に何やらご満悦な諏訪子さん。
 お前の挙動全てが気に食わんと言った様子の八坂様とはえらい違いだ。
 何だろうね、この極端すぎる評価の違い。

「ところでちょっと良いかな。聞きたい事があるんだけど――」

「晶さんがまた無茶をやらかしたと聞いて音速で駆けつけました!!」

「神奈子様がロクでも無い事をしでかしたと聞いてマッハで参上致しました!」

 諏訪子さんの疑問を遮り、襖を乱暴に開いて現れる僕の姉と親友。
 その後ろには、何だか疲れている様子の幽香さんと露骨に落ち込んでいる八坂様の姿も。
 状況はさっぱり理解できないけど、何やらひと悶着あった事は理解出来た。
 我先にと言った感じの二人は僕を見つけると、物凄い勢いでこちらに近寄ってきた。正直怖い。

「晶君大丈夫ですか!? 何やら、神奈子様が大変な粗相を……」

「いやいや、弾幕ごっこは同意の上だったしさ。ぶっ倒れたのも自分が原因だから、早苗ちゃんが謝る必要は無いよ?」

「……そうですか?」

「だから言っただろう。お前が思っているより久遠晶は頑丈に出来ているんだと――」

「神奈子様は黙っていてくださいっ!!」

「……スイマセン」

 いえ、概ね八坂様の言う通りなんですがね?
 早苗ちゃんの尋常ならざる迫力に、そんなフォローの言葉も出てこないチキンな僕。
 だけど、この構図は正直どうなんだろう。
 神と風祝というより、父と娘と言った方がしっくりくる気がする。
 それも、シチュエーション的には娘の日記を親父が読んでしまったその直後、みたいな感じだ。
 信徒激減間違い無しな光景である。幸運な事に、話を広めそうな新聞記者はそれどころじゃないみたいだけど。

「まったく晶さんは……少しは自分を大切にしてください」

「面目次第もありません」

 さすがにお馴染過ぎて誤解し様が無いのか、文姉の方は呆れ顔で僕の額を突いてくる。
 いやほんと、さすがにあの突進はやり過ぎたと思っています。
 ちょっと欲を出し過ぎたね! と言うか絡め取る弾幕半分くらいで止めとけば確実に勝ってたんじゃ――うん、深く考えない様にしよう。

「幽香さんも気を付けてくださいよ? 晶さんは『右腕一本失くすだけで勝てるなら、喜んで差し出してやるわぁーっ!』とか言いだす人なんですから」

「文姉の中で、僕はどれだけデンジャラスな人になってるんですか」

「事実でしょう?」

「あら、事実じゃない」

「事実ですよねぇ」

「事実だろ」

「あはは、事実っぽいねぇ」

 まさかの全員肯定である。生まれてきてスイマセン。
 前から思っていたけど、僕の周りの人は僕より僕自身の事に詳し過ぎやしないかな。気のせい?

「けどそうね、少し期待が過度になっていた事は否定しないわ。晶、どうやらまだまだ修行が足りないみたいね」

「うう、修行不足でスイマセン」

「……まぁ、まだ‘狩る’には早いかしら」

 幽香さんのお言葉に、僕は何の反論も出来ず項垂れた。
 僕自身、成長していたつもりだから余計落ち込む。
 だけど何故だろう。良く分からないけど、ギリギリの所で救われた気がする。

「んふふ~。幽香さん、今ちょっと安心しました? 安心しました?」

「――最近の貴女のウザさは、筆舌し難いモノがあるわね」
 
 そして何やら楽しそうにじゃれてる二人、仲良さそうで何よりです。瞬く間に殴り合いに発展しかけてるけど。
 僕がそんな二人を眺めていると、何かを思い出した諏訪子さんが徐に喋りだした。

「そういや、君の戦い方でちょっと聞きたい事があるんだけど」

「はい? 何か問題でもありました? というか見てたんですか?」

「バッチリとね。でまぁ、問題というか疑問なんだけど。……何でそんなに効率悪い戦い方してるの、君?」

 わぁお、いきなり人の心を抉りますねケロさん。
 心の底から不思議そうな顔で、諏訪子さんは非情な質問をしてくる。
 うう、僕だって好きで頭の悪い戦い方をしてるワケじゃないんですよ!
 半泣きになりながら、僕は羞恥プレイを受けている心境で彼女の質問に答えた。

「そりゃ、僕がヘッポコだからですよ。ぐすん」

「ヘッポコって言っても限度があるでしょ? 絶対おかしいよ、‘能力で能力を作って戦う’なんて」

 こちらの自虐的返答にも、あくまで疑惑の態度を崩さない諏訪子さん。
 そろそろ泣いても良いかもしれない。ケロさんは僕の肉体では無く精神を攻めるおつもりですか。

「うう、しょーがないじゃないですかー。僕の「相手の力を写し取る程度の能力」はそういう仕様なんですからー」

 言い訳が出来なくなって、ほとんど泣き言に近い愚痴を漏らす僕。
 ……そう、僕は気付かなかった。諏訪子さんの発言の真意に。
 それだけ僕にとって‘当たり前の事’だったのだ、自分の能力も、おかしな‘条件’も。



 ―――だけどそれは、たった一言で崩されてしまう程度の‘確信’でしか無かった。



「何言ってるのさ。‘君の能力はそれじゃ無いでしょ’?」

「えっ? あの、どういう事で……」

「これでも神様だからね。‘自分と同じような能力を持ってる’なら、見るだけでも分かるって事だよ」

「……えっ? えっ?」

「何だったらもう一度言ってあげようか? ‘君の能力は「相手の力を写し取る程度の能力」じゃないよ’」

 何でも無い事の様に、諏訪子さんが言う。
 その言葉が意味する所に気付いた瞬間、僕の意識は暗転していった。










巻の八十五「賽は投げられた」









 
『飛べる、飛べる、僕は飛べる……』
 
 あれ? 何だこれ。
 どこかで見たようなちびっ子が、やっぱりどこかで見たような家の屋根でブツブツと何か言っている。
 危ないよ、君。落ちたら死ぬって。

『……こわい』

 ほら、そうでしょ?

『やっぱりこわくないっ』

 どっちやねん。
 男の子はぶるぶる震えながら気丈に空を睨みつける。
  
『げんそーきょーでは、皆飛べるのが当たり前なんだっ』

 そういって彼は………ってあれ、誰かと思ったら僕じゃないか。
 何故か客観的な視点になっていたため分からなかったけど、屋根の上にいる少年は間違いない、八年前の僕だ。



 ―――というかこの回想シーン、大分前にも同じ様に振り返った事があったよね?



 以前とまったく同じ映像をぼんやりと眺めながら、僕はその事を‘思い出す’。
 あの時は確か、親分に凍らされて……そうそう、アリスに介抱されながら夢見心地でこの光景を眺めていたんだっけ。
 ……我が事ながらうっかりし過ぎだよなぁ。
 色々とアレな記憶まで思い出し、口の中が酸っぱくなる僕。
 さらにこの後の展開まで想起したせいで、僕は在りもしないムービースキップボタンを探してしまう。
 
『で、でも、飛ぶのは難しそうだから、まずは浮くことから』

 もうほんと勘弁してください。この頃の僕は、信じれば何でも出来ると信じてたんです。
 その結果がアバラ三本なワケですが――ん、そういえば?
 苦々しさを抑えながら、僕は‘今まで忘れていた’記憶を引っ張りだす。
 もしこれが、以前に見たモノと全く同じだとしたら……この後見る光景は僕の「事故シーン」では無いはずだ。

『と、とりゃあー!』

 ミニマムな僕が、良く分からない勇気を振り絞って飛ぶ。
 本来なら重力に囚われてしまうはずの身体は、何故かふわふわと宙に浮いていた。
 ……何で忘れてたんだろう。この‘記憶にない記憶’の事を。
 以前見たはずの光景を改めて見直しただけの話なのに、僕は状況を理解出来ず唖然としてしまう。
 一方知らない記憶の中の僕は無邪気に浮いた事を喜んでいたが、やがてそこから動けない事に思い当たり愕然とし始めた。
 なるほど、ここらへんは今の僕が持っている「飛ぶ能力単体」の制約と良く似ているね。
 あれも、他の能力と組み合わせなければ移動する事すらままならないワケだし。
 ――それでどういう事なんだろう、これは。
 何と言うか、色々とややこしくなってきた気がする。そもそも今更だけど、ここはどこなんでしょうか?

『うぅ………うわぁぁぁあああああん』

 等とこっちまでテンパッている間に、あっちの方の僕の限界が先に来てしまったようだ。
 まぁ気持ちは分かるけど、さすがに二度目ともなると冷静に見てしまう。
 ――ん、二度目? そういえばこの後、浮いた事よりもっとビックリする事があったよね。
 何だったかなぁ。どーもさっきから記憶が渾々沌々として落ち着かない。忘れたり思い出したりを繰り返してる感じだ。

「それは、貴方が今‘どっち付かず’な状態に居るからですよ」

「……どっち付かず?」

「そう。全部忘れることも、全部思い出す事も出来る、中途半端な立ち位置」

 確かに、言われてみるとそんな感じだ。
 相変わらず頭の中はゴチャゴチャしているけれど、自身の状況を把握できた分楽になれた気がする。
 ――それで、ねーさまはなんで当たり前の様にそこに居るんですか?
 妙な空間の裂け目から上半身だけを出している紫ねーさまは、泣いていたチビっこい僕を抱きかかえ微笑んでいる。
 そういえば、こういう事もあったような無かったような。ああもう面倒臭い、これからは細かい事は気にしない様にしよう。
 ちなみに、抱きかかえられたちぃちゃい僕は火が消えた様に静かになっている。
 しかし落ち着いたと言う様子では無い。どちらかと言うと、話しかけるまで無意味に同じ動作を繰り返しているイベントキャラみたいな感じだ。

「ふふ、面白い例えですね。あながち間違ってはいませんわ」

「ま、間違っていないんですか?」
 
「ここはあくまで過去の記憶なのです。だから、どれほど克明に映っても現実では無いのですよ」

「つまり、超リアルな3D映画を見ている様なモノなんですね」

「そういう事です」

「………ねーさまもCGなんですか?」

「それに近いですわね」

 近いんだ。気にしないって言った直後でアレだけど超気になる。
 そんなこっちの表情で疑問を察したのか、紫ねーさま(CG)は妖艶な笑みを湛えて説明を付け加えた。

「より正確に言うなら、私は『力の残滓』で『記憶のストッパー』なのです」

「ほへ?」

「久遠晶、私は貴方に選択を迫らねばいけません。ですがその前に、貴方の身に何が起こったのかを話しましょう」

 ねーさまがそう言うと同時に、世界にノイズが走る。
 右も左も分からないモノクロの場所には、僕とねーさまだけが存在していた。
 全身を露わにしたねーさま(仮)は、本物と変わらない優雅な仕草で僕に語りかける。

「まずは結論から説明致します。『八雲紫』は貴方の記憶にある改変を行いました」

「あー、みたいですねー」

「……意外と冷静に受け入れましたね」

「いやぁ、そこを受け入れないと話が進まないでしょう?」

「くすくす、仰る通りです。では話を続けましょう。――記憶改変はたった一度、貴方が最初に‘能力に目覚めた’時に行われました」

 それは何時の話なのか、等と改めて聞く必要は無い。
 幾ら頭の中がゴチャゴチャしていると言っても、ほんのちょっと前の事を忘れるほど混乱しているワケでは無いのだから。
 僕の記憶とは違う。紫ねーさまとの恐らくは‘本当の’ファーストコンタクト。
 それが、僕の改変された記憶なのだろう。

「なるほどね。つまりその‘本当の記憶’の中に僕の能力を知る答えが―――」

「ありませんわ」

「……無いんですか」

 そう簡単に行くワケねーだろ。と言わんばかりの笑顔を浮かべるねーさま。
 ちょっと期待していただけに地味にヘコむ。

「けれど、答えを見つける『切っ掛け』にはなります。だからこそ、八雲紫は‘私’を残したのです」

「―――ほへ? ねーさまは紫ねーさまじゃ無いんですか?」

「私は、八雲紫が行使した能力の残滓に‘式’を加えたモノです。少し変則的な式神だと思ってください」

「式神なんですか!? それが僕の頭の中に!?」

「ええ。もっとも与えられた能力は限定的で、式神と呼ばれて良いのかは微妙な所ですがね」

 そういって、紫ねーさま(式)はちょっと恥ずかしそうに肩を竦める。
 言われてみれば今更だけど、本物のねーさまよりちょっと言葉遣いが丁寧になっている気が。
 しかし分かんないな。切っ掛けにしかならないと言うのなら、何でねーさまはワザワザ式まで残して記憶改変を行ったんだろう。

「改変したからこそ、些細なモノになったのですよ」

「……どういう事です?」

「思い出せば分かりますよ。八雲紫が記憶を改変した‘意味’も」

 式のねーさまがそう言うと同時に、背後に二つの扉が現れた。
 何の変哲もない木の扉には小さな窓が付いており、そこから中の様子が窺えるようになっている。
 片方の窓から見えるのは、気を失う前に居た守矢神社の社殿だ。皆の姿もチラホラ見える。
 そしてもう片方の窓から見えるは、さっきまで見ていた記憶の光景だ。紫ねーさまが子供の僕を抱きかかえている。
 えっと、これってもしかして……。

「さて、説明した所で選択の時間です。このまま過去の出来事を思い出すか、それとも完全に忘れるか」

「……あー、やっぱりそうなるんですか」

「ええ、そうなります」

「ちなみにコレ、選び直す事なんかは当然……」

「出来ません。慎重に考えてください」
 
 まぁ、そうなりますよねー。
 しかし意外と親切な仕様だよね、望めば忘れる事が出来るワケだし。

「知らない方が良い。という事もありますから」

「……そんなにヤバい事なんですか?」

「どうでしょう、私には分かりません。ですが………ひょっとしたら貴方は、事実を知る事で八雲紫を恨むかもしれません」

 さらりと嫌な事を言う、式だけど忠誠心は無いらしい紫ねーさま。
 どうやら本物のねーさまは、改変される前の記憶で色々とやってたらしい。
 ……そこらへんは、何となくでも思い出せないな。さすがにそこまでサービスはしてくれないって事か。
 さて、どうしたもんかな。
 思いだしたら全て引っ繰り返る可能性があるみたいだけど、忘れてしまうと僕自身の謎を解く事が難しくなってしまう様だし。
 これは中々に難しい選択かもしれないね。
 何しろ、式のねーさまは‘完全に忘れる’と言っていた。
 つまりここで『忘れる』を選べば、僕にとってこの記憶は完全に「アバラを三本折っただけ」の事になると言うワケである。
 とは言え、それで何が変わるワケでも無い。
 むしろ今まで通りに戻るだけだ、困る事なんて何一つ無いだろう。だったら……。

「決まりましたか?」

「はい。―――記憶、戻しちゃってください」

 選ぶのは、より‘面白い’方に決まっている。
 どうやら僕は、根っからの冒険野郎であるらしい。
 例え自分の事であろうと、知らない事があるのは‘つまらない’と思ってしまうのである。
 他に選考基準があるだろうに、真っ先に出てくるのがソレなんだから。我が事ながら呆れると言うか何と言うか。

「私は、それで良いと思いますよ。貴方らしい、真っ直ぐな選択で」

「……褒められてるんですかね」

「はい。褒めています」

 にっこりと紫ねーさまが微笑むと同時に、社殿が見えていた方の扉が薄れて消える。
 それに合わせて、ねーさまの身体も半透明になっていった。
 どうやら僕の選択の結果が、早速反映されている様だ。――で、何故に紫ねーさままで消えかけているんですかね?

「私は記憶のストッパーですから。記憶が解放された以上、私が存在する理由はもうありません」

「それは……何と言うか悪い事しちゃいましたかね」

「お気になさらず。どちらを選んでも結果は変わりませんでしたよ」

「へ? そうなんですか?」

「記憶を完全に消すためには、私を構成する『力の残滓』を全て使いきらなくてはなりませんから」

 あーなるほど、本当にねーさまは‘この選択のためだけ’の式神だったんだ。
 消えかかっているのに、どこか満足そうな顔をしているのも納得できようモノである。
 まぁ、こっちの心象的にはあまりヨロシク無い光景ですが。
 いよいよ式のねーさまの身体が白黒の背景に溶け込んできたので、僕はこれから消えるねーさまへ一言だけ告げる事にした。

「ねーさま。どうもありがとうございました」

「……?」

「いやなんか、まだ記憶ごっちゃなんですけどね。式のねーさまは今まで僕の事を守っていてくれた気がするんですよ」

 改変される前の記憶を見れば分かるんだろうけど、その時にはもうお礼を言えないワケだしね。
 僕がお礼を言うと――式の紫ねーさまは、本当に嬉しそうな笑顔で優雅に一礼してきた。

「こちらこそ。貴方の記憶を見るだけの存在でしたが、存分に楽しませて頂きました」

 そう言って式の紫ねーさまは、思いの外あっさりと消えていった。
 役割上無理な事とは言え、もう少しお話したかったなぁ。
 というか最後の台詞。邪推すると凄い嫌味に聞こえる気がするんですが、考え過ぎですか?
 何ともやりきれない気分になりつつ、僕は最後に残った過去の記憶への扉を開く。










 ―――さぁて、鬼が出るか蛇が出るか。じっくり見せて貰おうじゃないか。
 



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