「蛇髪憑き”八岐大蛇”!!」
「剃」
サンダーソニアの髪が七つの蛇の頭の形をとり俺に向かってくるが俺はそれを難なく避ける。
ギア2を使ったルフィの剃について行けなかったソニアとマリーはやはり俺の剃についてくる事は出来なかったようで、2人の攻撃は明らかに俺の通った後の場所を攻撃している。
何故俺がこの2人と闘っているかと言うと、俺の懸念した通りに俺の実力に疑問の声が上がったからだ。
九蛇海賊団の者達からは無かったが護国の戦士達が言いだしたようだ、最もごく一部の者達らしいが。
ハンコックは適当に圧力をかけて黙らせようとしたが、それじゃあ不満が残るだけなので、俺とその一部の戦士とで闘技場で戦う事にした。
「いいよ、要するに俺が弱いかもしれないからこの島に居てほしくないんだろ?だったら勝負でも何でもして実力を見せるさ。」
生意気に聞こえたが軽く見られてると思ったのかは知らないが、直訴に来た戦士達はえらく怒って帰って行った。
まあそんな事がありこの状況になっていると言ったわけだ。
正直自分で言い出して置いて全然やる気が起きない。
どうする…覇気を使って倒すか、いやあえて使わずに実力を見せるか……めんどくさいが覇気を使うのはある程度力を見せてから使う事にした、いや実際覚えたてで使ってみたかったりするし。
開始の合図と共に、それぞれが武器を構え一斉に飛び掛かってきた。
「消えた!?」
剃で移動するとどうも正面に居た奴には消えた様に見えたらしい。
これは近くに居たせいだろう、遠くに居た奴には俺の動きは見えてる様だ。
一番近くに居た2人の間を通り過ぎるついでに腹部に掌底を入れて気絶させ、そのままやや遠目に居る奴に向かって行った。
そいつは俺に向かって矢を放ってきたが余裕で見切れる速度だっために、的確に避けスピードを落とすことなく目標に到達、気絶させた。
他の奴らはあっさりと仲間がやられた事に動揺していた。
ぶっちゃけて最初から6人しかいないわけだし、既に半分やられた訳だ。
特に難しい事もなく、あと2人を気絶させ残ったリーダーっぽい奴と一対一の状況になった。
(あれ?こいつよく見ると原作にで出た気がする…。)
そんな事を考えながらも取りあえず覇気を叩きつけ気絶させた、周りで俺の実力を見ようと観戦してた奴らにまで被害が出てしまったが、まあいいだろう死ぬわけじゃないし。
こう言っちゃ悪いが
(俺って強くね?)
とか思っちゃうほどの圧勝だった。
思わず調子に乗って
「ソニア、マリー……久しぶりに遊ぼうぜ。」
軽く手招きしながら生意気な事を言ってしまった。
その途端周りの観客から物凄いブーイングを貰った。
第三十二話
sideマリーゴールド
シュバルツとシュバルツの実力に疑問を持つ者が戦う事になった。
あれからどれだけ腕を上げたかわからないが、そう簡単には負けないでしょ…船の子達から聞いた話だと物凄い覇気を放ってたらしい。
船に乗れる子たちは国でも特に腕の立つ子達、その子達を1人で圧倒したシュバルツ…一体どれほど成長したのか。
考え事をしているうちに姉様が開始の宣言を始めた。
「それではこれより武々を開始する、この勝負でシュバルツが勝てばこの島に住む事に今後一切異論をはさむ事は許さん、よいな?」
「「「はい!」」」
「ああ。」
戦士達の気合の入った声に対してシュバルツはあんまりやる気が感じられない。
この勝負の結果次第で今後が左右されると言う事がわかってるのかしら?
「では…始め!!」
姉様の開始の言葉と共に、一斉に戦士達がシュバルツに飛び掛かって行った。
その瞬間シュバルツは凄いスピードで移動して戦士を倒してしまった。
あっという間に残り一人に追いこんだシュバルツは私達の予想以上に腕を上げていたようだ。
杞憂だったわね。
そう考えていた時シュバルツが凄まじい覇気を放った。
「!!?…こ、これは!?」
「嘘!?覇王色!!?」
私も姉様もソニア姉様も驚いたがすぐにその驚きも治まった。
「驚いた…けど、シュバルツだものね。」
「そうね、何故かシュバルツだとありそうよね。」
「流石はシュバルツじゃ。」
確かに覇王色の覇気は数百万人に一人と言われる凄い覇気だが、それを出したのがシュバルツだと何故か根拠もなく納得出来てしまった。
あと姉様、それは何か違う。
そんな事を考えていると、いつの間にか武々は終わっていた。
予想以上の成長をしている様だ。
「ソニア、マリー。」
行き成りシュバルツに呼ばれた。
何かと思うと
「久しぶりに遊ぼうぜ。」
不敵な笑みを浮かべて、手招きをしながらそう言ってきた。
その途端周りから物凄い歓声があがった。
この国は強いものには寛容だ、護国の戦士を倒した事と珍しい男のせいか、シュバルツはあっという間にこの国の人気者になってしまった様だ。
まあ元からシュバルツの事を追いだしたがっていた者達はもうすでに闘技場に転がっているしね。
彼方此方から黄色い声援が送られてる、一番はしゃいでるのは姉様だけど…。
余りにも大きな声援で、慣れていないシュバルツは居辛そうだ。
此処は早く出て行ってあげよう。
「ソニア姉様。」
「そうね、行くわよマリー。」
そうして私達は闘技場に降りて行った。
闘技場に降りた私達はシュバルツの前に立った。
シュバルツは心此処にあらずと言った雰囲気を全身から醸し出している。
「どうしたの、ボーっとしちゃって。」
「いや…やっぱり背が高いなと思って。」
こうして対峙してみると完全に私達が見降ろす形になっている。
「貴方ね…本当にどうでもいい事ばかり気がつくわね。」
「本当に、これから私達と闘うのに余裕よね。」
私達が呆れていると行き成りシュバルツの姿が消えた。
「「!!?」」
驚いていると私の肩に重さが掛ったので急いで横を向くと、私とソニア姉様の肩に肘を置き宙ぶらりんに浮いているシュバルツがいた。
「どうだ、少しはやる気になっか?」
「そうね…思った以上に成長した見たい。」
「これは最初から全力ね、ソニア姉様。」
そう言って私達は人獣型になった。
「貴方は変身しないの?」
ソニア姉様の問いに
「まあ、使わないといけないみたいなら使うよ。」
「あら、随分生意気になったわね。」
「それじゃあ行くわよ!!」
そう言って飛び掛かったが、私達の攻撃がことごとく避けられる。
剃のスピードが段違いに上がっていて目では追えるけれど攻撃が追い付かない。
勿論私達は手を抜いたりしてない、それは子供の頃から当たり前として来た事だ。
「マリー、手数を増やすわよ。」
「わかったわ。」
ソニア姉様は髪を七匹の蛇に形を変えて攻撃し、それに合わせて私も攻撃をより激しくする。
しかしシュバルツはそれを容易くかわし全く当たりもしない。
ソニア姉様の八岐大蛇に合わせて取って置きの攻撃をする事にした。
「蛇髪憑き”炎の蛇神”!!」
今現在これが私達の最高の攻撃。
その攻撃も
「竜陣」
二本の刀で全て叩き落された。
避けられるかもしれないとは思ったが、まさか全て叩き落されるとは思っていなかった。
ソニア姉様もそれは同じだったようで一瞬体が硬直し、次の瞬間私達の目の前にそれぞれ刀が突き付けられていた。
「俺の勝ち…かな?」
そう言ってくるシュバルツを見て素直に負けを認める事が出来た。
成長した弟に追い越されたみたいね。
これでシュバルツがこの国に居る事に反対する者は居なくなり、むしろより一層の歓迎ムードになった。
sideシュバルツ
あの戦い以来、周りが俺の行動に対して過敏な反応をするようになった。
どうも調子に乗ってサンダーソニアとマリーゴールドに勝ったせいで、この国でハンコックの次に強いと認識されてしまったようだ。
原作でもハンコックの妹として美人よりも強さでキャーキャー言われてた2人を倒したせいか俺もこの国の人達にキャーキャー言われるようになった。
前世から合わせてのモテない人生に初めての訪れた転機…まあ見た目じゃなくて強さ重視のこの国だけの事だがな。
つーか転機が訪れたのはいいが、もうすでに墓場に片足突っ込んでるしな、いやその事についての後悔は全くないけどね…むしろハンコック見たいな美人と結婚出来るとか。
4年後にルフィが来たから別れろとか言われないよね?………いやいやいやいや、よくよく思い出してみれば俺冒険家だった!此処で一生過ごす訳にはいかない!!
危なくこの数日でモテまくり冒険心が消えかけていたようだ。
何年も修行しといて1ヶ月も旅してないうちに冒険終了とかないわ。
此処来るのも確かに目的の一つだから別に一月、二月いても構いはしないが、永住はごめんだ。
しかし此処から出るとなると方法は一つ、来た時と同じように九蛇海賊団の船に引っ張ってもらうしかない。
今この島には俺の船もあるが普通に出港すると海王類の餌食になるだろう、一匹二匹ならどうにかなるだろうが、船を丸のみにするような怪物が次々と襲ってくるとか身が持たん。
あのインペルダウンの最大の防御壁とも言われるこのカームベルトを越えるのは不可能だろう。
俺の刀を船底に刺しても意味ないよな。
しかし俺の一存で九蛇の船を出す訳にはいかないし。
ハンコックに言うしかないか。
「旅の準備?」
「うん…何時出るの?」
「そうじゃな…一週間後か、一ヵ月後か、一年後か……そのうちじゃ。」
「気まぐれか!!」
「良いのじゃ、わらわは暫くの間この生活を楽しむのじゃ!!」
なんかやたら力強く宣言しやがった。
「でも俺冒険家だからさ、冒険は続けるって言っただろ、このカームベルトを越えるには九蛇の船に送ってもらわないと。」
「何を言っている、そなたは此処に住むのじゃろう?ならばいつ出てもいいではないか。」
「いや、冒険家として…此処を拠点に動くのはいいけどずっとこの島に拘束される気はないよ。」
ハンコックも俺の言い分を無下には出来ない様で暫く考えた後
「嫌じゃ!わらわはまだしばらくそなたと此処に居る!!」
力一杯却下しやがった。
「でも俺は此処に居てもやることないだろう?」
「わらわと共に居る事だ。」
即答しやがりました。
仕方がないこれはハンコックをその気にさせるしかない様だ。
「いいかハンコック2人旅だ、その間2人きり…何をしててもいいんだぞ。」
その言葉にハンコックは反応した。
「何をしていてもいいとは…ずっとくっ付いていてもいいと言う事か?」
「ああ、それに俺の船は狭いぞ、自然と距離も近くなる。」
「そうか…自然と距離が近くなる、2人旅…甘美な響きじゃ。」
よし!乗って来た。
「それじゃあ早速準備しよう、そう言えば俺達2人とも能力者だし海に落ちた時とかのこと考えて誰か付き人的な人を乗せない?」
「それは…折角の2人旅なのに。」
どうもハンコックは付き人に否定的のようだ。
しまった話の展開が急すぎた、2人きりを強調してやる気を出させたのに速攻で前提を覆してしまった。
「まあ…あくまで乗りたいって人がいたらの話だし、それに誰かが舵を取っていてくれるならその間2人で一緒に居られるじゃないか。」
苦しい言い訳だが納得してくれたようだ。
どうも2人っきりはハンコックにとって魔法の言葉の様だ。
「とにかく検討してみてよ。」
そう言って今日はもう寝る事にした。
起きた時にホールドされてるのはもうお約束と言う事にしよう。
補足説明
竜陣(りゅうじん)…紙絵で相手の動きを読み間合い内には行った攻撃を即防ぐ技(制空圏)。
あとがき
戦ってみた、なんかシュバルツ強くね?って思った。
実際に今回の戦闘はほぼ原作のルフィの戦いをまねただけだし、そう考えるとシュバルツが能力なしてギア2と同等の動きしてるし。
まあそこら辺はいいか、どうせまだ七武海には勝てないだろうし。
ではまた次回。