魔の三角地帯を抜けてウォーターセブンを目指している俺は只今飛行中である。
何故と問われれば少しばかり時間を戻す必要がある。
遡る事3時間前
思わず寝てしまいそうに穏やかな海、のんびりと舵を取りながらログを辿っていた俺はいきなり襲ってきた衝撃に眠気が吹っ飛んだ。
急いで船を揺らした元を探ると頭にコブを作った大きなカエルがクロールで逃げて行った。
「あいつがぶつかったのか…穴が空いてる!?」
どうもぶつかった時に側面の一部が割れてしまったようだ。
いくら軽量化したからってこんなに簡単に穴が空いてたらこの先やってけないよな…ベニヤ板かよ。
丁度いい機会だ修理ついでに改装でもしてもらおうかな。
とりあえずこのままでは不味いので簡単に塞いで俺が獣化して引っ張る事にした。
以上が現在のこの状況だ。
しかし飛んでいるためにログが見えない。
手でエターナルポースを持つと壊してしまうし、船に乗せてると小さくて見えないのだ。
大体の感覚で飛んでいると海列車が走って行くのが見えた。
(やったこれを辿って行けば島に着く。)
そう思い俺は海に浮かぶ線路を辿って行った。
第二十七話
線路を辿って行くうちに駅が見えてきた。
(もしやあれはシフトステーション!?ってことは俺一度ウォーターセブン過ぎたのか?)
どうも俺の勘は大外れだったようで目的地を通り過ぎていたようだ。
船を引っ張って飛ぶことおよそ3時間半疲れてきた俺はステーションで休ませてもらう事にした。
「すいませーん!ちょっと休ませてもらいますよ!」
船が流されないようにしてから、一応中に向かって叫び外にあるベンチに座った。
座って間もなく中の方からどたどたと騒がしい足音と子供の声が聞こえてきた。
「ばーちゃんばーちゃんホントだって!ホントにドラゴンが飛んでたんだって!!」
「ニャー!!」
「んががが!!ドラゴンらんて伝説の生き物らよ、こんなとこに居る訳らいさ。」
どうも俺が飛んでるのを見て、慌てて婆さんを連れて飛び出してきたようだ。
飛びだしチムニーを見るとやはり原作より大分小さい。
俺に気がついたようで俺に訪ねてきた。
「あ、ねえねえ兄ちゃんさっきドラゴンが飛んでるの見なかった!?」
「いや…俺は飛んでる姿を見てないが。」
嘘ではない、俺が飛んでる姿を自分で見た訳ではないからな。
「だから言ったらろ?ドラゴンなんているわけらいって。おめェら酔っ払ってんじゃらいかい?ウィ~~~~ッ!!」
「いや、酔っ払ってんのはあんただろ。」
思わず酔っ払いの戯言に突っ込んでしまい、ようやく婆さんは俺の存在に気が付いたようだ。
「何らいおめェ…客かい?」
「いや、船乗りだ…冒険家をやっている。勝手に休ませてもらってすまないな。」
「んがが!!そりゃ構わねぇがこんな所で止まるなんて珍しいね、此処から少し行けば島があるのに。」
「船に穴が空いてな、そいつと格闘しながら船を進めてやっと此処を見つけたもんで、一息つきたくなってな。」
「そりゃ大変らったね。此処から北に進んで行くとウォーターセブンって言う世界一の船大工の溜まり場があるら、そこに行って直してもらったらどうら?」
「ええ、元々そこへ行くつもりだったんで、そのつもりです。」
「そうかい、じゃあこれも何かの縁ら、紹介状れも書いてやろうかい?」
「紹介状?いいんですか?」
「ああ、丁度知り合いのアイスバーグって奴が新しい造船会社を立ち上げたとこら。腕は確からよ、元々船大工をしてたやつらを纏め上げて作った会社らからね。」
恐らく紹介状は宣伝代わりだろう。
「それじゃあお願いしてもいいですか?」
「まさせら、今……チムニー!ゴンベ!そんなとこに登るんじゃらいよ!危ねェだろ!!」
叫んだ婆さんにつられて上を見上げると2人が向こう側のホームに行くための橋の手すりに登っていた。
どうらやまだ探していたようだ。
婆さんが声と掛けたとたんお約束のように2人は海の向かって落っこちた。
「チムニー!ゴンベ!」
叫ぶ婆さんをほったらかして俺は仕方なく2人を助けるために駆けだした。
ホームから飛び出して人獣化して2人を受け止めた。
「ええ!?兄ちゃんが変身した!!?すごーーーーい!!!!」
「ニャーーーー!!!!」
そのまま空中を飛ぶ俺の腕の中で2人は落ちた事も全く気にせずにはしゃぎ回っていた。
「コラ!おめェ達危ない事すんじゃねェ!!」
ホームに着地した俺の方に慌てて駆け寄ってきた婆さんが俺の腕の中に居る2人に説教するが全く聞かないで
「兄ちゃんもっかい飛んで!」
「ニャー!」
もう一度飛んでほしいとねだってくる。
どうするか困って婆さんを見ると
「悪いが面倒みてやってくれらいか?その間に紹介状をかいてやるよ。」
諦めたように頼んで来た。
「仕方ない、行くぞ2人とも。」
「チムニーだよ!こっちはゴンベ、それであっちがココロバーちゃん!!」
「ニャー!」
「そうか俺はシュバルツだ。」
そう言って俺は獣型になり背中に2人をの出て飛び出した。
はしゃぎ回る2人を落とさないように気を付けながら飛んでステーションに戻ると婆さんに紹介状もらいステーションを後にした。
「気付けて行きらよ。んががが!!」
「じゃーねー!!シュバルツの兄ちゃん!!」
「ニャー!!」
3人に見送られ俺はまた船を引きずってウォーターセブンを目指した。
飛ぶ事2時間やっとの事でウォーターセブンにたどり着いた。
俺は海賊ではないため堂々と正面に船を止めてヤガラブルを借りて俺は造船所を目指していた。
造船所に辿り着いた俺は早速修理と改装を頼もうとしたところで何やら騒がしい声が聞こえてきた。
「だから言えばわかるってんだろが!!」
「社長は御会いしないとのことですので、お引き取り下さい。」
言い合いをしているのはフランキーとCP9のカリファだった。
(いきなりあのシーンかよ。)
カクとルッチに両側から抑えられ放り出されるフランキーを見ながら原作キャラが動いているのに少し感動してしまった。
(ハンコック達は登場回数とか少なかったし、ブルックの時はのんびりと見ている状況ではなかったためにそんなに感動などなかったな。)
そんな事を考えながらボケっと突っ立っていると何時の間にやら此方に来ていたカクとカリファに声をかけられた。
「おぬし、そんなところで何ボーっとしとるんじゃ?」
「わが社に何か御用ですか?」
「え?あ、すいません見たこともない規模の造船所だったもので思わず立ちすくんじゃって…今日は船の修理と改装を頼みに来たのですが…あ、それとコレを此処の社長さんに見せると良いって言われたのですが。」
そう取り繕って、紹介状をカリファに渡した。
「シフトステーションのココロさんからの紹介状ですね。わかりました、では此方へ…カク、船の様子を見てきて頂戴。」
「わかった。船はどこじゃ?」
「ああ、正面の港に停めてある小型で船の後ろにスクリューが付いてる奴だ。」
「スクリュー?何じゃそれは?」
「回転させる事で前に進めるようにする道具さ。」
「それは面白そうじゃ、是非見て来よう。」
そう言ってカクが俺の船の様子を見に行ったので待ち時間の間本社の中で待たせてもらう事になった。
「どうぞ、コーヒーです。」
「どうも。」
カリファに出されたコーヒーを飲んでいると扉を開けて誰かが入って来た。
「カリファ俺にもコーヒーを一杯くれ。」
「既に此方にご用意してあります。」
「ンマー!!流石だなカリファ。」
「恐れ入ります。」
「それはそうとそいつは…見ねえ顔だな、客か?」
「はい、ココロさんの紹介で…船の修理と改装を。」
そう話しているとカクが戻ってきた、パウリーを連れて。
「今戻った。」
「あ、俺の船どうでした?」
「ああ、あの穴は塞がないとダメじゃな。普通の海でもあれで航海するのは難しいじゃろ、ましてやこのグランドラインではあの穴でも致命傷になりかねん。しかし修復自体は別に大した時間はかからんじゃろう、4、5日で直せると思うぞ。」
「よかった、助かります。」
そう言ってるとパウリーが割り込んで来た。
「コイツの船か?面白い物が付いてたってのは。」
「面白い物?」
パウリーの言葉を聞いたアイスバーグさんが聞いて来た。
「ああ、俺は直接見てないんですが、カクから聞いた話だと…ってカリファ!!てめェまたそんなハレンチな服着やがって!!」
行き成り騒ぎ出したパウリーに驚いたが、そう言えばこんな奴だったな…と思いだしていた俺の横で
「で?面白い物ってのは何なんだ?」
何時もの事なんだろう、アイスバーグさんは騒ぐパウリーを軽くスルーしてカクに同じ質問をしていた。
「ああ、コイツの船にスクリューと言う船を加速させる装置がついとったんじゃ、造りは単純じゃが効率は良さそうじゃった。最も人力で常に漕いでるのは無理じゃろうがな。」
「そうか…船ってことはログを辿って此処まで来たのか?」
「いえ、俺はシャボンディ諸島から逆走して来たんですよ。」
「逆走?そりゃまた何でそんな事を?」
「ちょっと目的があって。」
「そうか、まあ何をしようとお前さんの勝手だ…しかしシャボンディから此処まででもう船を壊したのか?」
「此処の近くまで来た時にクロールする大きなカエルにぶつかられて。」
「大きなカエル?ンマー!!そりゃヨコヅナだな。そうかそりゃ悪かったなそいつは俺の知り合いでな、修理費はサービスしてやるよ。」
「本当ですか!?」
「ああ、カリファコイツの船の修理費を…。」
「こんなもので如何でしょう?」
そう言って既に計算された金額を提示して来た。
正直元がどれくらい掛かるのかわからなかったので困っているとカクが助け舟を出してくれた。
「大体修理費が半額位じゃな。改装は何をしてほしいんじゃ?」
「船の強度をもっと上げたいんだそして出来るだけ軽くしたい、あとスクリューをもっと軽く漕げて沢山進むようにしたいんだ。」
中々に無茶な注文だと自分でも思った。
しかし意外な事に
「ンマー!!これは面白そうな注文だ、今特に大口の依頼は無い事だしお前らでやってやれ。あと、ルルとタイルストンとルッチも連れていけ、俺も後で顔を出す。」
「「はい。」」
そういってカクとパウリーは行ってしまった。
これは、そうそうたる顔触れだな。
「いいんですか?そんなに人を割いても。」
「いいんだ、今は特に忙しくないしな、それにパウリーは職人として俺が育てたんだが、まだまだ一人前と呼べるようになったばかりでな。後、ルルってのは鍛冶などを担当してて船の補強には必要だろう、他の奴らも木びきや何やらで結局誰かが行かなきゃなんねえからな、これからいろんな経験を積ませてやりたいところなんだ。」
「まあ、其方さえよければ俺は一向に構わないんですけどね。ゆっくりした旅ですし時間は幾らでもありますから。」
「おーい!船まで行くぞ、お主も来い。どう改装するか細かく話し合わんとな。」
そう言って呼んできたカクの所に行くと未来の一番ドック職長達が居た。
5人と話しながら船まで行き船の改装の打ち合わせをしているうちに結構仲良くなった。
特にカクと何故かタイルストンと。
タイルストンはやたら五月蠅いが豪快で何故か気が合った。
改装の打ち合わせも終わり船をカク達に任せ、俺はこの町で会っておきたい男に会いに行く事にした。
あとがき
板変更させてもらいました。
今回はあまり実のない話しですね。
まあそれは今後に繋げるための布石ってことで。