うっかり迷い込んでしまったスリラーバーク。
しかし俺はめげずに探検を続けた所飛んでもない事に気が付いた。
そう、それは……ゾンビや透明人間、ゴーストまで出るなんて、此処はまるでゴーストアイランドのようだと言う事に!!
……え?皆、知ってたって!!?
第二十五話
ブルックを捜し屋敷を彷徨う事約1時間、何かもうこの屋敷の中にはいない気がしてきた。
仕方なく俺は近くにいる奴に聞いてみる事にした。
「おい、この屋敷の中にガイコツの剣士はいないのか?」
「え?お、俺のこと見破ってたのか!?」
行き成り声を掛けられて驚いた様子の絵画ゾンビにもう一度質問する。
「だから、この屋敷の中にガイコツの剣士はいないのか?って聞いてんだよ。」
「お、俺はそんな奴知らないな~。」
おそらく知っているのだろうが、しらばっくれる絵画のゾンビの横に刀を刺してもう一度聞いた。
「最後だ、この屋敷の中にガイコツの剣士はいないのか?」
「そ、そいつならもう屋敷の外に出て行った!!」
「そうか、ありがとよ。」
慌てて答えたゾンビにそう言って背を向けたとたんに無数のびっくりゾンビが俺に向かって飛び掛かってきた。
一々相手をするのも面倒なので、俺は近くの窓を割り外に飛び出した。
そのまま月歩で屋敷の外を飛んでいくと屋敷の前の方が光っていた。
何かと思い行ってみると
「屋敷を囲めェ~~♪レッツフェスタナイッッ♪」
ゾンビ達がミラーボールの下、ノリノリで踊っていたのでこっそり混ざる事にした。
「エッビッバァリ~フーワッフーワッゾンビナーイッ♪」
「ゾンビナイッ!!!」
「ラウンドandラウンandターンandダーイ♪」
「ゾンビナイッ!!!」
周りを見ながら、見よう見まねで踊っているとようやく一体のゾンビが俺の存在に気が付いた。
「おい!新しい獲物が紛れ込んでるぞ!!」
ゾンビ達が一斉にこちらに注目したが
「あ、どうぞお構いなく、続けて下さい。」
「「「「「「あ、こりゃすいません。」」」」」」
そう言って続けようとしたが、動きが止まり
「「「「「「って、そんな訳あるか!!!!」」」」」」
ツッコミを入れてきた。
「仕方ない、ではお前たちに二択をやろう……。」
「「「「「「ギャーーーーー!!!!」」」」」」
こうしてさらに多くの人達に影が戻った。
一仕事終えた所で向こうの方から剣と剣がぶつかる音が聞こえてきた。
急いで音の聞こえた方に向かうと、ついに目的の人物を見つけ出した。
sideブルック
最悪だ、本当に私の二度目の人生は最悪だ。
死した仲間たちの躯に囲まれ、ただ一人舵の利かない船に寂しく揺られ、今日か明日か日の変わり目もわからない海で数十年もただ波に揺られさ迷い続け、やっとのことで辿りついたこの島。
しかしここは恐ろしいゾンビ達の住むゴーストアイランド、私はゾンビに掴まり影を取られてしまった。
このもう盗る物も大してない体から影まで盗られてしまい、どうにか取り返そうとしたが、私お化けとかそう言った怖い物苦手なんですよね。
ある日私と同じように影を盗られた人が偶然差し込んだ日の光を浴び消滅するというガイコツなのに身の毛もよだつような光景を見てしまった。
この光景を見て、影を取り戻さねば私の目的は果たせない。
そう思い森に潜んで機会をうかがう事数ヶ月、偶然ゾンビの影が抜ける所を目撃し、弱点を知る事ができた。
魚と思っていたら実は塩だったりと、少々見当違いでしたが結果的に弱点を見つける事ができ、それから島中に彷徨うゾンビ達を次々浄化し、そしてようやく私の影が入ったゾンビを見つける事ができた。
(待ってて下さいラブーン、貴方はもう待っていてくれてないかもしれませんが、影を取り戻したら必ず貴方の元に戻ります!!)
そう決心して挑んだが、まるで私じゃないかのような強さ、太刀筋こそ同じだが根本的な身体能力に差がありすぎる。
「その邪魔そうなアフロ、切ってあげましょうか?」
「え…や…やめろ!!!アフロには手を出さないでください!!」
覚えていないのか!?
「…なぜわからない!!?……私の影なら…このアフロの大切さがなぜわからないんだ!!?……私の体の成長は止まっているからもう二度と伸びてはこないんですよ!!?」
「ヨホホホそれが何ですか?あなたに従っていた日の事など全て忘れました!!私は今モリア様アブサロム様を”主人”っとしているのですから……アフロを大切にするガイコツなどただ滑稽にしかうつらないのです!!!」
そう言いながら私のアフロに向かって突きの連打を繰り出して来た。
「うわァ!!!や…やめてくれっ!!!アフロだけはっ!!アフロだけはっ!!!」
必死で突きを防ぐが次第に防げなくなって行きついに目の部分に突きをくらってしまった。
「惨めな姿だ元ご主人。」
(強い…今の私では勝てない……なんとか、なんとかしてこのアフロだけは守らなければ!!)
「……すいません…参りまし「おい!!そこのゾンビ!ガイコツの代わりに俺が相手だ!!」…な!?なんですか!!?」
ガキッ!!
行き成り誰かの声が聞こえたと思ったら私の目から剣を抜いた私のゾンビと誰かが鍔迫り合いをしていた。
sideシュバルツ
あぶない所だった。
もう少し遅ければブルックと入れ違いになる所だった。
しかし…ついつい俺の悪い所が出てしまった。
ブルックが負けて逃走するのを見計らい声掛けるつもりだったんだが…俺も腐っても天竜人のようで、欲しいと思ったものに関しては周りに迷惑がかからない範囲なら少々強引に入手しようとする所がある。
今まで特に語る事は無かったが俺は武器の収拾が趣味の一つだ、海に出て冒険しながら見つけることがあれば是非集めようと思っていた。
特に気に入れば、刀や剣は名刀、業物、無名に拘わらず集め、その日の気分でもう一本持ち歩く刀を増やす時もある、もっとも二刀流はほとんど出来ないのだが。
ようするに俺はリューマの持つ刀に釣られ、飛び出してきてしまった。
こうなったらもうやる事は一つ
「おい、ゾンビ俺と勝負しろ、そして俺が勝ったらその刀俺によこせ。」
「ヨホホホ、行き成り斬りかかってきたと思えば、これまた行き成りですね。いいでしょうもし私に勝つ事が出来たならこの刀”秋水”を差し上げましょう。しかし私が勝ったら貴方の影を頂きますよ!」
「やってみろよ!!」
「酒樽舞曲(ポルカ)・ルミーズ!!」
「紙絵」
連続で放たれる突きをヒラヒラとかわしながら懐に潜り込み
「下威上辰!」
下から斬り上げたが体を反らした交わされた。
「おいおい、避けんなよ。」
「ヨホホホ、御冗談を!」
そう言いながら斬り合いをするが
(強い、いや重い!)
筋力が向こうの方がやや上で斬り合うたびに俺の腕に負担が掛る。
(長引けば長引くほど不利だな、獣化すれば筋力でも勝てるだろうが…コイツ相手に獣化すると負ける気がする。)
明らかに気のせいだが、そんな気がするので俺はあえて獣人型にならずに戦った。
しかし、長引けば不利になって行くので俺は出来るだけ早く決着を付ける事にした。
最も普通に時間をかけても勝てるだろうが、ネガティブなゴーストに会いたくないのでな。
(仕方ない…少々厳しいがあえて受けるか。)
「夜明歌(オーバード)・クー・ドロア !」
「迷狂死彗!」
お互いに勢いをつけて刀を振り斬撃を飛ばした。
斬撃同士がぶつかった事で衝撃波が起き、墓石等を吹き飛ばし周囲が荒れて行く。
粉塵が舞い上がったせいで、悪くなった視界にゆっくりと歩く様に向かってくる影があった。
「鼻唄三丁矢筈斬り!!」
「鉄塊”剛”!!」
得意の早斬りを繰り出して来たので間一髪鉄塊でガードした。
そのまま振り向きざまに追撃をかまし
「なっ!?」
驚くリューマの刀を持つ右腕を斬り落とした。
「何故っ!?確かに斬ったはず!!?」
「さあな、何故でしょう?」
驚くリューマに軽口を叩く様に返してはいるが、内心は冷や汗ものだった。
かなりギリギリで鉄塊を使ったため、もう少しで本当に斬られる所だった。
(最初から一撃くらうふりをして隙をつくつもりだったから間に合ったが、そうじゃなかったら斬られてた。)
「しかし利き腕を斬り落とされたからには俺の勝ちだろ。」
「ええ、そですね。左でも戦う事は出来るでしょうが貴方に勝つことはおそらく不可能でしょう、私の負けです。」
俺は未だ地面に刺さった刀についているリューマの手を外して投げ渡した。
そして地面に刺さっている秋水を抜き
「それじゃあこの刀は貰って行く「ドカァン!!」!グッ……!!」
行き成りの爆発に襲われ俺は刀を持ったまま十数メートルにわたって吹き飛ばされ、何本も木を突き破った後、ひときわ太い木にぶつかって止まった。
「なっ!?一体何が!!?」
驚くブルックが原因を探して辺りを見回すが何も見つからないようだ。
「クソ…これはっ!!」
「おいおい、折角伝説の侍に影を入れたのにやられちまったじゃねぇか!!」
「な、何者ですか!!?」
声のした方に視線を向けるがなにも居ない。
そう思った時空間に何かが現れた。
「何者、だって?おいらの名はアブサロムこの墓場を支配する男だ!」
「な、何ですかあの顔は!?まるでライオン…いやそれよりも今何もない所から現れた!!?」
「新しい侵入者が来たって言うから見に来たら、てめぇ俺の部下達を次々と浄化しやがって!…しかしお前ほどの使い手ならいい将軍(ジェネラル)ゾンビになるな。影を寄こせ!!」
(刀を手に入れて隙ができた時を狙っわれたか…これは暫くまともに戦えないな。)
何とか起き上がり刀を構えるが暫くまともな戦闘は無理そうだ。
「無理すんな、モロ直撃だったんだ動ける訳がねぇ…大人しくしてな、こっちもお前に死なれると困るんだよ。」
そう言って片手をあげてバズーカを構えながらこちらに近づいてくる。
そのアブサロムに向かい駆けだした奴がいた。
「ヨホーーー!!!」
ブルックだ。
「何!?」
意表を突かれたアブサロムはブルックの繰り出した突きを何とかかわしたが
ズバッ!!
かわした時に俺に背中を向けたため、後ろから飛び掛かった俺に背中を斬られた。
「やらっぱなしでいるかよ!!」
しかし飛び込むように斬りかかったためにそのままの勢いで俺は倒れた。
「この!てめぇよくも!!」
地面に倒れたままの俺に向かってバズーカを構えるアブサロム。
「させません!!」
再度アブサロムに斬りかかるブルック。
そのまま連続突きでアブサロムを攻撃しながら俺に向かって叫んだ
「逃げますよ!走れますか!?」
「すまない、俺は走れないが大丈夫だ。ラジャ!」
リューマに飛び掛かる時に下しておいた斧状態のラジャが虎型になり俺の元に駆けだして来た。
俺が吹き飛ばされた時もアブサロムに飛びかかろうとしたが、逃げるの隙を窺うために止めておいたのだ。
なんと俺とラジャはアイコンタクトで意思疎通ができるのだ、まあある程度何と無くだが。
だってラジャ喋れないもんね。
しかし俺…どうやって斧とアイコンタクトしたんだ?
やっぱりノリかな。
走り去るラジャの背中で船を目指しながらそんなくだらない事を考えていると。
「ヨホホホ、どうも御無事で何よりです。」
「あんたは?」
追いついて来たブルックに知っているが一応名前を聞いた。
「これは申し遅れました、私”死んで骨だけ”ブルックです!!どうぞよろしく!!先ほどは危ないところを助けていただき有難うございました。」
「気にするなお互い様だ。俺はシュバルツこいつはラジャだ。」
「ガウ。」
俺の紹介に合わせるように軽く鳴くラジャ、まるで、よう!とでも言っているようだ。
「どうもこれはご丁寧に、シュバルツさんとラジャさんですか…って!?と、虎!!?」
「気づいてなかったのかよ、並走までしておいて…まあ気にすんな噛みつきゃしないよ。それよりいいのか?影を取り戻さなくても。」
「仕方がないでしょう、どの道あのままだと取り戻せなかったでしょうし、恩人の貴方を見捨てて行くなど男として出来ません。」
「(男として、か……やべえ、このガイコツ素でカッコいい、俺もいつか使ってみよう。)どうする、俺はこのまま島を出るつもりだが。」
「そうですね、私も一度出るとしましょう、このままではどの道影を取り戻せないでしょうし。」
「そうか、それじゃあ島を出るまで協力するか。」
「それは心強い、是非お願いします!」
こうして俺達は協力してスリラーバークを脱出する事にした。
補足説明
下威上辰(かいじょうたつ)………下段から振り上げる技。
迷狂死彗(めいきょうしすい)……斬撃を飛ばす技。
あとがき
えーと、まず一言
ゾロ、ごめん!君の刀は頂いた!!
さてとなんかアブサロムに一撃入れられましたね…まあまだまだ未熟というこで。
それよりもどうしよう…ハンコックとの再会は近いうちに書こうと思うのだが、もうこうなったらシュバルツには墓場に入ってもらおうかな…人生の。
以上、こんなあとがきでごめん!!
ではまた次回!!