騙されたショックも何時もの事と割り切り気にしない事にした。
折角悪魔の実を食べたのだから使わないのはもったいないしな。
今日は師匠の監視のもと能力の検証をする事になった。
しかしその前に皆さんに言っておかなければならない事がある。
それは……
「私の道力は530000です。」
勿論嘘だ。
一度くらいこんなセリフ言ってみたいよね。
第二十話
「しかし本当に”ドラドラの実”とはな…嘘から出た実とはまさにこの事だな…いや私の読みにより一層の磨きがかかって来たのかもしれん。」
何やら感慨深く呟く痴呆老人の戯言は聞き流して早速始めよう。
動物系と言うからにはやはり六式と合わせての戦闘がいいだろうな。
人獣化してみると確かに身体能力が上がっている。
一通り動いてみたが剃のスピード、鉄塊の硬度が上がっていた。
指銃、嵐脚の威力も段違いだ。
ただ飛ぶことは上手く出来なかった。
いや飛ぶ事は出来るのだろうがまだ慣れずに上手くコントロールできないと言った所だ。
(そりゃそうだよな、翼があれば誰でも飛べるなら全部の鳥は飛ぶ練習なんかしないでも最初っから飛べるはずだもんな。)
しかし空を飛ぶと言うあこがれは俺を強く訓練に駆り立てた。
バランスを崩して落ちても俺には月歩があるので別に怖くもなかった。
これは後々の課題だな、最も2、3日で飛べるようになるとは思うが。
そして……
「竜と言えばやっぱりブレスだよな…どうやって撃つんだろう?」
とりあえず口から何かを飛ばす感じで行ってみよう。
「ハァァァァァーーーーー!!!」
精神を集中して体内に眠る力を感じ…それを吐きつける!
「ハァァァァァ…ゴホッ!ガハァ!う……オェェェェェ……。」
何か違う物が出てきた。
暫くお待ち下さい。
何とか落ち着いた俺の目に映ったのは、爆笑してゴロゴロ転げ回る師匠の姿だった。
ムカついたので
「嵐脚」
「うおっ!?」
突然の攻撃に驚きながらも慌ててかわしやがった。
「ちっ!」
「何舌打ちしとる!当たったらどうするつもりだ!!」
舌打ちした俺に怒鳴りながら立ちあがった師匠に
「当たればよかったと思う。」
と言ってやった。
「なにを!この馬鹿弟子!!」
この後暫く何時も道理の喧嘩になった。
暫くお待ち下さい。
何時ものようにボコボコにされた俺は痛みを押して検証を続けることにした。
しかしさっきの喧嘩は全くの無駄ではなかった。
人獣化した時に何やら強い興奮状態に陥った。
それは戦う時間が長引くにつれて徐々に強くなってきて、もしかしたらこのまま暴走状態に入るのではないかと思ったほどだ。
(そう言えば肉食種の動物系は凶暴性が増すんだったよな。)
そう考えていると師匠が声をかけてきた。
「お前の能力は長時間使わない方がいいな、特に獣型…私が監視している時以外に竜になるのは止めておけ。」
「やっぱり変だった?」
「それはお前が一番わかっているだろう。」
「うん、別に人獣型や獣型になるだけなら何ともないけど、戦ったり興奮するような事があると理性が飛びそうになる。なんかこう…破壊衝動的なものが。」
「それは動物系なら全てに共通したことだ、変身する動物により差はあるがな。肉食系は特にそれが顕著に出てくる、しかしお前さんのはその肉食系の中でも飛びぬけて凶暴性が増すようだ。これは身体能力が他よりも飛躍的に強化される代償みたいなものと推測される。人獣型よりも獣に近い…と言うかそのまま獣になる獣型はより強い破壊衝動をお前にもたらすだろう。」
「どうしよう、そんなんじゃ使えないよ。」
「なに、要は慣れだ慣れ、本来なら破壊衝動に飲み込まれないように精神力を上げる修行をするんだろうが生憎私はそんな修行方法知らん、これから暫くは私と人獣型になって戦え、そして慣れろ。」
「荒っぽいけどそれしかないか…この間杖の時に暴れたら20分くらいで暴走しそうになって慌てて元に戻ったからな。」
そう考え獣型は封印しようかと苦渋の選択を考えていると
「よし、次は獣型になって私と戦え。」
俺の決意をあっさり叩き壊してくれた。
「え!?何で…危ないから封印する位の覚悟してたのに。」
「馬鹿たれ折角使えるのだから使わねば損だろう。心配するな、お前が暴走した位で私がやられる訳ないだろう。」
非常に馬鹿にしたような回答をしてくれた。
「泣いて後悔するなよ!!」
そう叫ぶと共に俺は竜になり師匠に飛び掛かった。
「(………この状況の時ってたしか)知らない天井だ…って言うんだよな、外だから天井ないけど。」
お約束をしつつ起き上がろうとしたが…
「いっ!……たぁ、なんだこの痛みは……。」
激痛に襲われ起き上がることができなかった。
何やら体がだるく節々が痛い。
「おお、起きたか…具合はどうだ?」
「どうって…何があったんだ?体中が痛いんだけど。」
俺の言葉を聞いた師匠はどこか納得したように
「ふむ、覚えておらんか…まあ当然だろうな。お前さん戦いだして暫くは普通じゃったんだが…いやパワーとかは普通じゃなかったが、それはそうと大体2分くらいで意識が飛んで、後は本能のままに暴れているだけのようだったぞ。」
「!!?本当に…俺、何も覚えてないんだけど…。」
「まあ予想はしていたいたがな、前に動物系の能力に目覚めたばかりの者が暴走したのを見たことがあるのだが、それと似ておった…もっとも食べた実の差か体格の差か此処までの事にはならなかったがな。」
そう言った師匠の言葉を聞きながらようやく俺は周りの状況をみたが驚いた。
地面は割れ抉れ、岩などは砕け、地面が凍っている所もあった。
何より15番MGの木が何かが突っ込んだように抉り割れていた。
「師匠…あれは、もしかして俺が何かしたんでしょうか?」
師匠にむかい恐る恐るそう問いかけると
「ああ、あれはお前が突っ込んだせいでああなったんだ。まあそれで止まったから良しとしておけ、体中が痛いのはそのせいだろう。意識があれば鉄塊が使えて無事だったのだろうがな。」
俺は問題を忘れる事にした。
「暫くは能力のコントロールだな!さて明日から頑張らないと!!」
「お前、自分のした事から目を反らす気だな。」
「そ、それよりも何で凍ってるんですか?」
「それはお前さんがブレスを吐いたからだろう。良かったな無意識とはいえ出せたのだから訓練次第で使えるようになるだろう。それよりもあの折れたMGはどうするつもりだ?」
「あー!あー!きーこーえーなーいー!!」
そう言って俺は耳を押さえながら家に向かい走りだした。
「あーあー、どうするかな…海軍に言いつけようかな。」
そしてそんな俺をからかうように追ってくる師匠。
お前は小学生か!!
そんな馬鹿らしい追いかけっこをしていると本当に向こうから海軍が来てしまった。
(海軍をやり過ごさないと家まで大分当周りになるな…。)
俺は真面目に考えているのに
「おお!噂をすれば…まああれだけ派手に暴れれば当然だな。あ~あ、暴れた誰かさんは逮捕されるのだろうな~。」
馬鹿師匠が悠長にそんな事を言っているのが頭にきて
「師匠。」
「ん、なんだ?」
「囮作戦です。」
そう言って隙をつき海軍の方に師匠を投げ飛ばし
「冥王シルバーズ・レイリーが居るぞ!!!」
と力いっぱい叫んだ。
その後、大騒動になるのを予想し、近くの物陰に潜んで逃げる隙を窺っていたが一向に騒動の音が聞こえてこない。
どうしたのだろうと思い様子を覗いてみると…覇気であっさりと片づけた師匠がこちらに歩いてきていた。
(ヤバい!海軍より厄介な敵を作ってしまった…なんとかせねば。)
急いで思考を巡らすがいい案が思いつかず剃で逃げる事にした。
急いで逃げようと足に力を入れた所で
「何処に行くのかな?シュバルツ君。」
満面の笑みで俺の肩に手を置いてこられた。
「い、いや…かっこいい師匠の勇士をシャッキー達に報告せねばと思いまして。」
「ああ、それなら構わんよ…シャッキーは私の実力はよーく知っているからね。それよりも私は愛弟子が修行中に非業の死を遂げた事を皆に告げねばならんのだよ。」
「いや俺まだ生きてますが……。」
「なに、後数秒だけさ。」
「誰か助けてーーー!!」
これから俺の修行はより一層厳しさを増す事だろう。
生きてればの話だが……。
あとがき
能力について書いてみましたがこんな感じでいいのかな?
と自分自身で考えています。
もっとこうした方がいいと思った方は感想掲示板まで。
作者が納得する設定なら使わせてもらうかも。