あの訳のわからない時間が終わってからもしばらく状況がつかめずにいた俺だが耳元で行われる会話などで情報を集めること数日……
ここがあのワンピースの世界で俺はこの世界に転生してしまったようだ。
しかも幸か不幸か…いや絶対に不幸だあの世界貴族ロズワード一家の長男に生まれてしまった。
しかもチャルロスの双子って……鼻水決定じゃないかorz
第二話
あれから一週間の日々に渡るお祭り騒ぎが模様され次々に祝いに来る金持ち達…
しかし見事なまでに全員がロズワードより低姿勢だ、顔には出さないが完全に義務のようなもので来ている、おそらくすでに取り入ることすら諦めているのだろう、この父親を見ていればわかる、完全に来る奴らに対しての態度が上から目線で、この男の目には完全に自分達「天竜人」とそれ以外の人間が別の生き物に見えているかの様だ。
(こんな奴に育てられればあんな奴らになるだろうな…)
不覚にも一瞬チャルロスとシャルリアに同情してしまう程だった。
ワンピースには色々と不遜な奴が多いけどこれ程なで不遜な奴も珍しいだろう。
しかしその反動か身内には中々に甘かった。
口調には現れなかったが行動の所々にそんな所が見え隠れしていた…ような気がする。
俺とチャルロスにはそれぞれ大きな部屋と10人もの世話係がつけられ常に万全の状態で育てられた。
俺が生まれて半年、最近は赤ん坊という無駄に時間のある生活の中でこれからの身の振り方を考える…
1.このまま天竜人として権力者となり君臨する。
2.まだ見ぬ珍しいものを求めて旅に出る
3.海賊王に俺はなる!!
1はないな、3も別に海賊王になりたいとは思わないし…やはり2だな、別にそれ以外にも考えれば選択肢はあるだろうが、せっかくワンピースの世界に生まれたからには冒険したいと思う、しかし保障もなくそんな危険な旅に出る勇気はない。
となると護衛をつけるか実力をつけるになる訳だが…護衛をつけていたらやりたい事も満足にできないし天竜人だと名乗っているようなものだ、此処は後者だな。
天竜人だというのは権力を振りかざすにはいいかもしれないが、旅をするには邪魔なことこの上ないだろう……しかも無条件で嫌われそうだし。
しかし実力を付けるか…親父に言えば稽古をつけてもらえる奴を呼べるかもしれないし、最悪自分の原作知識で師匠を探すしかないかな?
そうなるとまた天竜人だというのは邪魔になるな……
(ルフィの兄弟とかならよかったのに……いや風船に括りつけられて飛ばされるのはイヤだ。)
そんなこんなと考えていると部屋の外が騒がしくなってきた、おそらくチャルロスがまたなにかしているのだろう。
チャルロスは最近ハイハイが出来るようになりそれにともなって悪戯を始めるようになった、と言っても精々まだ物を壊したり誰かを困らせたりする程度でまだ銃をぶっ放したりはしないが、
このまま咎める者が誰もいなくて我がままに育っていけばそう遠くない日に人を撃つ奴になるだろう、咎める者がいないから悪い事だと認識せずにそれが常識となる、おそらくロズワードも
そんな感じなんだろうけど…まあ考えていても仕方がないな、それよりどう強くなるかだ。
(いっその事悪魔の実でも食うか?)
普通ならそうそう手に入れる事の出来ない悪魔の実を宝物庫に複数保管してあるという天竜人ならでわのとっておきの手段ともいえる。
(しかし泳げないのは嫌だな、でも悪魔の実の能力は鍛えれば鍛えるほど強くなるっていってたしな、どうせ食べるなら先延ばしにせずにさっさと食べる方がいいし…)
どちらにしてもまだ鍛えることは不可能なので考えるのをやめた…それにしてもチャルロスの野郎うるせーな、一回叩いてやろうか。
side使用人
外が騒がしい、おそらくまたチャルロス様が悪戯をなさっているのだろう、日々悪戯の対応をしそれに対して文句どころか嫌な顔一つ出来ないこの職場では半年前の日にどちらのお子様に配属されるかでこうも環境が違うなんて思いもしなかった。
騒がしく我がままで周囲を困らせてばかりのチャルロス様、怖いくらい物静かでほとんど手のかからないシュバルツ様、シュバルツ様はまるで何時も何かを考えているようだ。
赤ん坊など思ったことをそのまま行動に移すはずだ、深く考えてから行動するなど生後半年ではありえないはず、しかしまるで様々な事に対して観察し理解してから行動しているように見えて仕方がない。
もしもこの段階で思考能力があるとしてそんな思慮深い権力者へと成長したなら…よそう、こんな考え恐ろしくて仕方がない、それにもしそうなろうとも赤ん坊の悪戯にも注意出来ない私たちにそんなことどうしようもない。
sideシュバルツ
さっきから使用人の一人がジッとこっちを見ている。
(何だ?……はっ!!)
俺の頭に一瞬にして答えがはじき出された。
おそらく俺の今の状況が羨ましいんだな…そう俺は今俺の世話係のメイドで一番かわいいのマリンに抱き上げられている。
その豊満な胸に体を預ける俺が羨ましくて仕方がないとみた!!
どうだこの俺の名推理は、何だ?文句あんのかあるならかかってこいや使用人!!ただし大将が来るけどな!はっはっは……はっ!!?
イカンイカン思考が天竜人風に毒されてきていた。
家具から哺乳瓶の一本一本まで超高級品で用意されているこの生活によって感覚が麻痺してきている今日この頃、思い出せあの飢えた日々を!!
週五回一日五時間休日は十時間レジを打ち続けPS3を手に入れようと奮闘したあの日々を!!
……ふう、落ち着いた、どうしたんだね君?悩み事があるなら受付はこっちだよ。
sideマリン
(どうしたんでしょうか?)
今私の腕の中におられるシュバルツ様について考える、シュバルツ様は今のところ見ている限りいい意味でチャルロス様とは似ていない。
お父上様に似ているチャルロス様はすでに頬に肉がつき始め少々お肥りになられているがシュバルツ様はそんなこともなく顔立ちもお母上様に似ておられて将来的にこのお二人の双子は全然似ていない顔立ちになるだろう。
しかしシュバルツ様はときに妙な行動をされる時がある、今も何かを考えた様に見えるが急に何か思いついたように使用人の一人を見て笑いだしたと思ったら……また何かを思い出した様な顔をして今度は決意をした様にその使用人に向けて手招きのようなものをしだした。
このようにシュバルツ様は一人で百面相をしたりすることが時たまあるが、赤ちゃんが百面相?あり得ないシュバルツ様はただ表情が豊かなだけだ。
それにしても……
(かわいい……)
そうシュバルツ様は大変かわいらしいお子様だ、それは私だけではなく同じ世話係りのメイド全員の共通認識だ。
どうも男の使用人の人達には通じない認識らしいが…それよりも将来どのような方になられるのかそれはこれからの教育しだいだ。
将来は立派な方に成られるように今は全力でお世話にあたろう。
sideシュバルツ
「シュバルツ様、何か御用でしょうか?」
(あ、ヤベっ、ホントに来ちまった。)
手招きしていたら本当に来てしまった使用人の男に対し俺は誤魔化すようにマリンに抱きつく。
不思議そうに下がる使用人をしり目に反省する俺。
どうも俺は考えている事が顔に出やすいらしい、気をつけねば……
つーか赤ん坊に何か御用でしょうかって聞くなよ、普通答える訳ないだろう。
まあ、仕事だから仕方ないか。
今までメイドなどの女性のまえでは極力不審かつ嫌われないようにふるまってきたつもりだ、だいたい女性に嫌われたくなどない。
俺は普通に男の子なんだ。
将来鼻水になって嫌われても、せまてまだ赤ん坊の内位は可愛がられたいんだ。
恐怖ではなく普通に愛されたいんだ。
そんな俺のささやかな夢を叶えるためにはやはり家出は必須、そして家出をするからには遠くに行く、遠くに行くには強くなるしかないと俺は思う。
何度も言うがやはり強くなるしか今の俺には思いつかない、だが今は無理なのでとりあえず眠いし寝よう。
結局この後およそ四年半にわたり特に俺は行動を起こさなかった……そして五歳のある日親父に初めて連れて行かれた奴隷オークションである三人と出会う。
あとがき
スイマセンまた勢いで書きました。
駄文ですがどうかこれでご勘弁を。
主人公は決して善人ではありませんただ女性の前では猫を被ります。