舟が届いてから半年、今日でヒナとの鍛錬も最後だ。
もともとフィッシャー・タイガーが襲撃してくる事を知っている俺はこれを機会に家を出るつもりだ。
だからヒナに責任が行かないように訓練は一年半という期間の元行ってきた。
なんでもこれは正式な任務としてヒナに言い渡されていたらしく、この任務を行う際にヒナは中尉に昇格していたらしい、しかも上の方では無事に戻ると思われていなかったらしく、戻った際には大尉に昇進させると言い渡されていたらしい。
これを聞いた時はやはり海軍も天竜人に良い感情はないんだなと思った。
しかし結果としてヒナは一年半で二階級昇進したわけだし、顔も知らない奴らにどう思われようとどうでもいいからな。
この一年半で大分成長したと思う重りを外せば、四人にも簡単には負けないようになった……能力なしでの話だけどね。
第十三話
「それじゃあ最後の組み手と行きましょうか。」
「うん!お願いします。」
そう言って俺はヒナに向かって駆けだした。
今は重りを付けていないので思いっきり動ける、予想に反して俺の体が耐えれたので今の重りは80キロになっている、そのおかげかここ一ヶ月でどうにか剃が形になってきた。
剃を使いヒナの後ろに回り込むが、既に組み手で何度か使っているためかこちらの動きに目がついてきている。
俺の回し蹴りを片手で受け止めてもう片方の手で突きを放ってくる。
しかし俺は体を後ろにそらしてかわし、そのまま地面に手をつきバク宙の要領で回り蹴った足とは違う方の足で顎を狙うがヒナは一歩下がるだけであっさりとかわしてしまった。
俺は舌打ちしながら下がり間合いを取る事にした。
「流石ですね、あっさり見切られるとは。」
「大分形には成ってきてるけど貴方の剃はまだ不完全、というかまだ地面を蹴る回数が少ないのね、普通の剃より少し遅いわ。」
「そうですか……」
そう言って俺はまた地面を蹴った。
今度は正面から数発の突きを放つがこれをヒナは落ち着いてガードする、今度はお返しとばかりに打ち込まれて俺は守り一辺倒になってしまった。
(なんとかしないと。)
焦る自分を落ち着かせ一つ一つをしっかりとガードしながら反撃の機会を伺う。
(ここだ!!)
ヒナが俺を蹴り飛ばそうと足を振り上げた瞬間俺は軸足に足払いをかけた。
しかし逆に読まれていたようでヒナはそのまま軸足で飛び足払いを避けて上から蹴りおろしてきた。
ガードをしたが元々体重が軽い俺は数メートル後ろまで蹴り飛ばされておまけにガードした腕までしびれてしまった。
この威力から考えてガードしていなかったらそれだけでお終いだっただろう。
そんな事を考えているうちにヒナが追撃を仕掛けてきた。
休んでもいられないので剃で素早く回り込み蹴りを入れるという方法でなんとか抵抗するが何時までも持たずにこのままではいずれ捕まるのが目に見えている。
仕方がないので俺は一か八かの賭けに出る事にした。
俺はその場で動かずにヒナを迎え撃った。
「どうしたの?もう逃げないの?」
「ええ、勝たせてもらいます。」
「上等、見せてもらいましょうか。」
そう言って突っ込んでくるヒナに向かって俺も剃で突っ込んだ。
先ほどまで迎え撃つ姿勢でいた俺がまさか突っ込んでくると思わなかったのかヒナは一瞬驚いた顔をしたが構わずに突っ込んでくる。
俺はそこで先ほど拾っていた石をヒナの顔にめがけて投げつけた。
お互いに突っ込んで居たためにかなりの速度で石は飛びそれに驚いたヒナはとっさに顔をそらして石をかわしたが石を見送った直後に俺が既に懐に潜り込んでいたので、ガードも間に合わず俺は勝利を確信しながら全力で突きを放った……
「で?何で俺が倒れてるの?」
「ふふふ、御免なさいね、でも一年半で此処まで出来るなんて驚愕よ、ヒナ驚愕。」
そうヒナは間に合わないと思った瞬間能力を発動させたようだ。
対応が間に合わないと悟ったヒナは何とか体をひねり突きだけを避けて後はあえて自分の体を通らせることで俺の体と片腕を拘束し、さらには驚き硬直してる俺の両足を振り向きざまの蹴りで拘束しやがった。
こうして結局一回もヒナに勝つことなくヒナとの組み手は終了した。
「まあ、色々な事があったけどありがとう、おかげで勉強になったよ。」
「あらそれはお互いさまよ、私は能力だけでなく昇進までしたんだから、それにきっと普通に訓練してるよりもずっと実力が付いたわ、感謝よ、ヒナ感謝。」
「それならよかったよ、今までありがとう、俺も感謝してる。」
「それはよかったわ、それじゃあこれで訓練は終了するけれど、元気でね。」
「はい、そちらもお元気で。」
最初に言われた通りにヒナとの訓練は厳しかった、全然手加減をしてくれないが……俺の望んだ通りだったので嬉しくもあった、仮にも天竜人の俺にこんな対応の出来る奴は少ない。
そう思うい俺はヒナに心から感謝した。
こうして俺達とヒナの訓練は終了した。
ヒナとの訓練が終わった次の日、俺達は久しぶりにシャッキーのバーへ顔を出していた。
「久しぶりね、ごめんなさいまだレイリー帰ってこないのよ、こんなに長いのは私も初めてだわ。」
「久しぶり、シャッキー、気にしないで、別に焦ってる訳じゃないし、まだしばらくは旅に出たりしないよ。」
「今日はなんの御用?」
シャッキーが訪ねてきたので挨拶もそこそこに本題に入る事にした。
「うん、実は俺近々家出をしようと思うんだがレイリーに弟子入りしたいし、この近く、出来ればこの店の近くに住みたいと思うんだ。それでいい場所ないかな?」
「それなら家に住んでもいいわよ。」
「本当!?ありがとう、じゃあお言葉に甘えさせてもらうとするよ、それと俺付きのメイドの人達の行く所を探しているんだ。三人にはもう事情を話して了解してもらったんだけど別の働き口を紹介しないといけないし、ほら俺が出て行ったとなるとあの人達が責任取らされるかもしれないでしょ?」
「そうね……、それなら家で働いてもらおうかしら、人数的には今でも問題ないけど、あの子達が入ってくれると大繁盛するでしょうし。ふふふ、大儲けできそうね。」
などと、笑顔で話すシャッキーを見ててチョット未来の客に同情したがこれであの人達の働き口を見つけられたので一安心だ。
そんな時に俺に新たな問題が叩きつけられた
「所で貴方料理とかの家事は出来るの?」
「!!!?」
し、しまった~~~~!!武器とか船とかは用意万端だが此処に来て初歩的な問題を抱える事となった。
「その様子じゃ全然ダメみたいね……。どうするの?今から覚える?それとも今から家事ができる仲間を探すの?覚えるなら此処でメイドさん達に家事を教えてもらえば?航海術なら私が教えてあげるわよ。」
「そうするしかないか…じゃあそれもよろしくお願いします。」
「はいはい、お願いされるわね。」
こうして俺はまたやることが増えた。
まあ、まだ時間は幾らでもあるしいいか。
「そう言えば貴方達三人とも能力者になったらしいわね、どんな能力なの?」
「ああ、私は”メロメロの実”を食べた。」
「私は”ヘビヘビの実”モデル:アナコンダよ。」
「私は”ヘビヘビの実”モデル:キングコブラ。」
「超人系と動物系なのね。」
そうハンコック達が食べたのは、原作通りの実だった。
二人の体型は別に変ったりしなかったが、それだと本当に何があったんだろう?
そんな事を考えながらも勝手に話に花を咲かせる4人を見ていたがある程度時間も経った。
結局今回もレイリーは帰ってきていない見たいなので、後は適当に町を捜して帰ることにした。
「じゃあ、俺達そろそろ帰るよ。」
「あら、まだ早いいんじゃない?」
「うん、でも町でレイリーさんを捜してから帰ろうと思ってね。」
「そう、それなら多分賭博場のある無法地帯かパークかだと思うけど。」
「わかった、ありがとう無法地帯の方を調べてみるよ。」
「気を付けてね、貴方達目立つから。」
「わかったよ、気を付ける、じゃあね。」
シャッキーに手を振るとハンコック達と4人で無法地帯に向かった。
賭博場を中心に捜したところ自分でも驚くほどあっさりとレイリーは見つかった。
しかしそれ以上に驚いたのは……
「目立つな。」
「ええ、目立つわね。」
「一発で見つかったわね。」
「人違いか?…いや人違いであってほしい。」
ハンコック、サンダーソニア、マリーゴールド、俺の順にそんなコメントを貰った本人は
「ぶわっくしょん!!!」
と大きなクシャミをしながら賭博場から出てきた……パンツ一枚で……
あとがき
はじめてまともに戦闘を書いてみたが難しいですね。
あと、これ読んでレイリーのイメージ壊れた人、ごめんなさい。