あれから二ヶ月、謹慎も解けて訓練に入ったのだが……
誰かあの二人を止めてくれ
「ええい!いい加減にやられてしまえ!!」
「謹んで遠慮させてもらうわ。」
そうハンコックとヒナの二人です。
なんかこの二人非常に仲が悪いんです。
どちらかと言うとハンコックが突っかかって行ってヒナがあしらうみたいな感じなんですけどね……
未来の七武海と大佐が戦うと洒落になりません。
いや本来なら大佐じゃ話にならないだろうけど、今の二人はちょうど同じくらいの強さ見たいなんだよね、成り立てとはいえ一応二人とも能力者だから中々に洒落に成らん。
今も巻き込まれたサンダーソニアとマリーゴールドがオリオリの力で拘束され転がっているし、今俺はラジャにまたがって二人の戦いを見ている状態だ。
(これって、俺の訓練じゃなかった?)
毎回思う疑問を持ちつつ転がっている二人の枷を解きに行った。
だってこの二人の力が無いとあの二人止らないし……
第十二話
話は遡る事一月半前一向に堪える様子の無い俺に対して諦めたのかそれとも気づいてないのか親父は約二週間の謹慎を解いた。
そして早速その次の日からヒナを交えて六人で鍛錬を始めたのである。
とは言ったもののラジャはほとんど居るだけだが時々サンダーソニアやマリーゴールドとじゃれるように戦い?をしてる……そして俺は当たり前の事だが集中的にボコられている。
それと始める前にヒナから『六式全書』という分厚い本を貰った。
前に話し合った時に
「六式とか使いたいな。」
って言ったのを覚えていたらしい。
驚いた事に別に六式は別にCP9秘伝とかではなくこんな本が出る程に海軍や政府内では有名な技らしい。
もっともその技を会得するのにかなりの身体能力が要り大半が挫折するらしいし、能力者に成れば動物系以外はあまり必要じゃなくなるので使用者はいないらしい。
居ても大体は一つか二つ使えればいい方だそうだ。
中身に軽く目を通したが確かに生半可な身体能力で使えるものじゃない、普通に考えても何も鍛えてない奴が指銃とかやっても突き指か骨折するだけだ。
逆にこれが出来たら、後は動物系の実を食べるだけで戦闘力が上がるだろう、その上鍛えればまだまだ上がる、そんな奴らを倒したとか……改めてあの三人(ルフィ、ゾロ、サンジ)の強さが伺える。
それはさておき、俺はまずは『剃』を習得したいと思う。
その為にはまずは下半身の力を強化しなくてはならない、それにどこぞの漫画でも足腰は武術で最も重要な場所だと言っていたな。
とりあえずは最近は重りを付けて暮らしていたがそれをもっと重くして今まで以上にトレーニングして筋肉の持久力と瞬発力を上げる事と、四人ともっと本格的な組み手をやることだった。
そうやって訓練する事一ヶ月半少しずつ重りを重くしている、謹慎中は5キロの重りをしていたが訓練に入って10キロにして、今現在は15キロだ大体訓練に入ってからは週に1キロ増やすペースだこのままいけば一年で約60キロの重りを付けての訓練になる、明らかに俺の体重以上になるだろう。
今現在ではこの15キロで毎日精一杯だ。
それもそうだろうなんたって俺は七歳だ既に体重の半分以上ある、こんな訓練して壊れない俺の体に少し驚いている。
「離せ!!ソニア!マリー!」
「ダメよ姉様。」
「そうよ、毎日会うたびに喧嘩してたらキリがないじゃない。」
二人に取り押さえられ、離せと叫ぶハンコックと抑えつけながらなだめるサンダーソニアとマリーゴールド。
そしてそれを眺めるヒナ、毎回相手をさせられているが別に迷惑といった感じには見えない。
むしろからかっているようにさえ見える、いや実際にからかっているんだが。
どうも口ではハンコックよりヒナの方が一枚も二枚も上だ。
「ヒナさん、筋トレ終わりましたよ。」
「あらそう、じゃあ組み手の方に移りましょうか。」
訓練はこんな感じで過ぎていく……
俺の重りが重くなったり。
四人と訓練したり。
皆と出掛けたり。
そんな感じで俺の一年は過ぎて行った。
そしてこの日、俺の目指す夢の旅に最も重要な物の一つが届いた。
そう、船である。
「この船で旅をするの?」
サンダーソニアが尋ねてきたので俺は嬉しくて興奮したまま答えた。
「おお、どうだ速そうだろ。無風でも進めるように注文したんだ。」
「変なのが付いておるな。」
「でもこの船、少し小さくない?」
「そんな事ないよ、これは1人から5人まではいけるよ。」
ハンコックが言う変なのとは俺の居た時代では別に変でも何でもないただのスクリューだ。
ただこの時代ではまだ使われていないけどね。
俺は別に大した事を行ったつもりじゃなかったけど設計者に言った時は凄く驚かれた。
最も動かす動力としてやっぱり人力になるから大きい船には適していないので実用はしないだろうけどね。
協力してくれたのは政府の船を造っている所だ。
本当はウォーターセブンのトムさんに頼みたかったが、海列車の制作に時間を裂くために断られてしまった。
仕方がなく政府御用達しの造船所に頼んだ訳だが、流石に民間船から軍艦、政府の高官の船まで造るだけあってかなりの技術の船ばかりだったので安心して任せた。
「しかしどうするんだ?どうせ人力なら漕ぐのと変わらないだろ?」
「まあ、基本は帆船で急いでる時しか使う気はないよ。そんなに急いで旅する訳でもないしさ。一応動力としては足で漕ぐ事と、ラジャに走ってもらう事の二つがあるけど。」
「ラジャを走らせるの?可哀そうじゃない。」
「別に無理にさせるつもりはないよ只の運動不足を解消させる道具みたいなもんさ。それよりも試乗してみようよ。」
そう言って俺達は船に乗り島から離れない位置で船に乗った。
以外にもラジャは回し車が気に入ったようでずっと走っていた。
その様子は虎としての威厳などは欠片もなくどちらかと言うと黄色いハムスターに見えてしまった。
一時間ほど乗った後異常は無くこれで旅をするのに問題はなさそうだ。
「これで最低限の旅の準備は整ったね。」
「いつ頃旅立つんだ?」
「慌てないでよ、今の俺の強さじゃ何処かでそれなりの強さの奴に会ったらそこで終わりでしょ。だからもっと大きくなって、強くなってからだよ。」
「強くか…なら覇気を覚えるといいかもしれんな。」
「(忘れてた、そう言えばあったな覇気とか言うの。)覇気…それで俺は強くなれるの?」
「ああ、使えるのと使えないのでは大きな差があると思うぞ。」
「どうすればいいの?教えて。」
俺は期待に溢れて尋ねたが答えは予想外な答えだった。
「覇気を使うにはな…こう、グッ!と力を込める感じでな。」
「いや……抽象的すぎて判んないんだけど。もっと具体的に教えてくれない?」
「そう言われても…そんな感じだしな。なあ、ソニア、マリー。」
「そうね、こう、スッと研ぎ澄ますようにするのよ。」
「そう、フン!とお腹に力を入れるのよ。」
「いやいや、全員違うじゃないか。そうじゃなくて訓練法とかないの?」
「いや、私は気が付けば使えていたしな。」
「私も普通に使えるようになったから。」
「私もよ、何と無く使えるようになってたわ。」
「結局小さいころからの訓練していればいつの間にか使えるようになるってこと?」
「おそらく、そうだと思うがな…正直いって小さいころから周りの人間が使っていたから無意識に感覚で覚えたんだと思う。」
「そうか…それなら仕方がないね、気長に覚えるとするよ。」
「すまんな、私達も手伝えるように努力する。」
「ありがとう、でも今日はもう遅いから帰ろうか、明日も早いしヒナさんを待たすと悪いしね。」
そう言うとハンコックの機嫌が悪くなり出した。
「別にあんな奴、待たせておけばいい。」
「そう言う事は言うなよな。」
「しかし…別にアイツが居なくても訓練は出来るだろう?」
「何言ってんだよヒナさんが居ないと訓練になら「シュバルツ!!もう黙れ!!」!?ちょ…何を、痛い痛い!!」
俺はいきなりハンコックに顔面を前からヘッドロックをかけられ浮かされた。
「ハンコック離してくれよ!!足が床から離れてるし!!つーか胸に顔が突っ込んでるし!!……まあこれはこれでいいかもしれないけど。」
「何か言った?」
最後にぼそぼそと言った本音が聞こえたのかサンダーソニアが聞いてきた。
「言ってないよ!全然言ってない!!それより助けて!!」
疑問に思ったようだがそれよりも俺を助ける事にしてくれたようだ。
「姉様!そんなに怒らないで!!」
「そうよ!可哀そうじゃない!!」
「こいつがあんな奴の事を庇うから悪い!ここで矯正せなばならん!!」
「何で怒ってんの!!?いい加減に離せよ!!」
何とか二人で引き離してくれたので助かったが、酷い目にあった。
全く最近は時々こんな感じで我儘を行ってくる将来の蛇姫としてのハンコックに近づいてきたのかな?
「いい加減にしてよねハンコック、俺も怒るよ。」
「ふん!お前が悪い!!」
「そんな事言うなら俺はもう知らないからな、謝るまで口きかないよ。」
精神年齢からすればとてつもなく幼稚な言い方だがハンコックの反応が面白くてついついこんな言い方をしてしまう。
「そ…それは…か、構わん!私も知らん!!」
今日は何時もと違い謝らなった。
前にもこんな事になった時、サンダーソニアとマリーゴールドが俺に協力してくれて3対1になり3人で楽しくしているのをハンコックがちらちら見てる感じになった事があった。
それ以来俺とこんな風な喧嘩をした時はすぐ謝ってくるようになったが今日は違ったらしい。
それから家に帰る道ハンコックは話しかけてこなかった。
(今日は頑張るな…。)
そんな事を考えていたら後ろから声をかけられた。
「シュバルツ。」
「(やっぱり謝るんだ…。)何?謝る気になった?」
そう言って振りむいた俺の目にはハンコックの顔のどアップだった。
ハンコックは満面の笑みでが目の前にあることで不覚にもドキドキした時だった。
「メロメロ甘風(メロウ)!!!」
此処で俺の意識は途絶えた。
(…………此処は?)
覚醒しきらない頭でボーっと室内を見回す、見覚えのある室内、俺の部屋だった。
(何で俺は寝てんだ?……そうだ、船が届いて、それに乗って……いつ帰ってきたっけ?あれからどうなったんだ?)
疑問を自分で解くよりも誰かに聞いた方が早いと早速俺を例の如く抱き枕にしている人を起こす事にした。
「ハンコック、起きてくれ、聞きたい事があるんだけど。」
「う…ん…」
「おはようハンコック、俺昨日自分でベットに入った記憶が無いんだけど何があったかわかる?」
「あ…ああ、それならお前が突然倒れてな私が此処に運んで看病してやったんだ、おそらく疲れていたんだろうな。」
「そうなの?ありがとう」
「そ、そうだとも、それに私とお前の仲で礼など不要だ。」
ちょっと焦った感じだが教えてくれたハンコックに礼を言って二人で食堂に行き朝食を食べることにした。
その時サンダーソニアとマリーゴールドにも同じことを聞いたが焦った感じではぐらかされてしまった。
昨日はあれから何かあったのだろうか?
俺の疑問は解ける事はなかった。
あとがき
今回出てきた船ですが元ネタはト○コのスター○ュンが登場したときに竜みたいなのに乗ってるときこれカッコいいな、とか思ってやっちゃいました。
まああんな乗り方はしませんけどね。
あと今回はもう一話出しますんでそちらもよろしく。