俺はヒナにどの実がいいか聞いたところ、あっさり”オリオリの実”を選んだ事に内心やっぱりなどと考えながら家に帰ったところにいきなり凶報を叩きつけられた。
それはチャルロスの奴が俺のいない隙にハンコック達に悪魔の実を食べさせたという事だった。
第十話
sideチャルロス
やったえ~!大成功だえ!
いっつも一緒にいるお気に入りの奴隷達を化け物にしてやったえ!!
久しぶりにあの昔の夢を見て朝からムカついてたらちょうど兄上が出掛けて行くのを見たえ。
絶対に仕返ししてやろうと思っていたら何時もは連れている奴隷を今日ちょうど置いていったえ。
これは絶対にチャンスだえ、仕返ししろとご先祖様が言ってるに違いないえ。
兄上は未だにあんな古い奴隷をつれてて絶対に頭悪いえ、でもやっと飽きたみたいだえ、これであいつらに何しても怒られる事はないえ。
あちしはあの奴隷達も大嫌いだえ、このあちしとすれ違っても頭一つ下げんえ、それに兄上と一緒とはいえまるで自分の家のように歩いとるえ。
まえに文句言おうとしたら
「チャルロス、この子達は俺のだ、お前がとやかく言う必要はない。」
とか言って相手にもしなかったえ、しかもあの奴隷達後ろでヘラヘラ笑っとったえ。
奴隷があちしの事を笑うなんて死刑だえ。
兄上に捨てられてもう奴隷達を守る物はなくなったえ、どう仕返しをしようか考えてると急に前兄上が集めていた物を思い出したえ。
「おい!お前!!」
「はっ、何か御用ですか、チャルロス様?」
「お前、最近兄上が集めている物知ってるかえ?」
「はっ、確かシュバルツ様は悪魔の実をコレクションされていたかと。」
「そうだえ!それは確か食べると化け物になるヤツだえ?」
「はい、食べたものは悪魔の力が身につきます、化け物の一種と見ても間違いありませんが。」
「そうだえ、それを持ってくるえ、あの奴隷達に食べさせてやるえ!」
「そ、それはシュバルツ様がお怒りになられますのでおやめになられたほうが……」
「大丈夫だえ、見てみるえ、あいつらとうとう兄上に捨てられたえ、要らないものをどうしても怒るわけないえ。」
「しかし、万が一お怒りになられたら……」
「お前煩いえ!!つべこべ言わずに持ってくるえ!!でないとお父上様に言いつけるえ!!」
「は、はい!!只今お持ちします!!」
ふう、やっと行ったえ、あいつホントにノロマだえ。
「チャルロス様!お持ちしました!!」
あいつが果物みたいなのを3個持ってきたのを確認してから、あちしは意気揚々と兄上の部屋に向かったえ。
sideハンコック
今日はシュバルツが一人で出掛け珍しく私達だけが部屋に居る。
流石に海軍本部に行く事は止めておいた、一応私達は海賊だしな。
そんな事を考えていると突然部屋の扉が勢いよく開いた。
何事かと思いそちらに目を向けるとそこには愚弟とそのお供がいた。
「どうした?いきなり騒々しい。」
「そうよ、無礼よ。」
「ノック位しなさい。」
私だけでなくソファーに座っていた、ソニアやマリーも口々に注意をしだした。
「お前達あちしに向かって無礼だえ!!」
「そうだぞ、お前達チャルロス様に向かってなんとご無礼な!!」
「無礼は貴方達でしょう?勝手に人の部屋に入ってきて。」
「此処はシュバルツ様の部屋でお前達の部屋でも無かろう、第一そこのお前、何故シュバルツ様のベットに乗っている?」
「何故も何も……何を喚いているんだコイツは?」
私に向かって話す男の質問がわからずに思わず二人に訪ねてしまう。
「何故って言われてもねぇ……私達大抵はこの部屋にいるものね?」
「そうねベットに乗るのもいつもの事だしね……そうしなきゃ寝れないじゃない。」
「っ!!?お前達シュバルツ様と同じベットで寝ているのか?何と無礼な!!」
何やら男が驚き無礼だ等と行ってくる煩いが、もう二年もこうして暮らしているのに……今更なにを言っているのだろう?
ベットも大きく4人で寝てもまだ余っているし何も問題は無いと思う、二人も訳がわからないと首をかしげている。
「そんな事はどうでもいいえ!!あちしを無視するなえ!!」
「申し訳ありません!チャルロス様。」
愚弟が何やら怒って割り込んできたがさっきから訳がわからん。
「お前はさっきから何がしたいんだ?」
「お前奴隷の分際であちしに対してなんて口のきき方するえ!!やっぱりこいつ等ろくでもないえ。おい!!早くこいつ等にあれを食べさせるえ!!」
「はっ!!」
何だ?こいつ等何を食べさせる気だ?
すると男が妙な模様のついた果物を私達に渡した。
「なんだこれは?本当に食べ物か?」
「それは兄上がお前達に用意した果物だで食べてみろ!!」
「馬鹿かお前は……そんな嘘に騙されえるか、それならシュバルツが直接渡すだろう、毒でも入っているんじゃないか?」
「お前無礼だえ!いいから食べるえ!!」
「馬鹿じゃないの貴方?」
「食べる訳ないでしょ。」
「お前達!いくらなんでも無礼がすぎるぞ!!」
「そうだえ!いくら兄上でももう庇いきれんえ!!お父上様に言いつけてやるえ!!いくら兄上でもここまで奴隷に好き勝手をさせてたら怒られるで!!」
!!?シュバルツに迷惑がかかる……
「ま、待て!!」
「何だえ?食べる気になったかえ?」
「わかった、食べる!食べるから父親には報告しないでくれ!!」
「そうだえ!最初からそうすればいいえ。」
「すまない、ソニア、マリー…」
「いいわよ姉様、気にしないで。」
「そうよ、別に食べても死にはしないでしょう。」
元々自分達が奴隷であることには変わりがない、この二年間楽しい事が沢山あって忘れかけていた、シュバルツには本当によくしてもらっているし私達にとってとても大切な人だ。
間違えても迷惑はかけたくない、これも立場を忘れ調子に乗りすぎた私達が悪い、すまない二人とも……もう一度心の中で二人に詫び私は手に持っている実を食べた。
二人も私に続きそれぞれの実を食べた……が、不味い…凄まじく不味い。
表情を見るに二人も実も不味いようだ。
しかし助かった、ただ不味いだけですむなら安いものだ。
しかしその時私達を絶望へ導く言葉がかけられた……
sideマリーゴールド
不味いわねこの果物……しかしそんな大切な弟に迷惑をかける事に比べればなんでもなかった。
「やった~!やったえ!これでこいつ等は化け物になったえ~!!」
!!?化け物?
「どういう事!?」
「それは食べると化け物になる実なんだえ~!!」
「嘘を言うな!!そんなものあるわけない!!」
姉様が吠えるように叫んだ、そうだそんなわけない!!
「本当だ、それは悪魔の実と言って食べると悪魔の能力を手に入れる、お前達はもう普通の人間ではない。」
「そうだえ~、お前達はもう化け物なんだえ~、兄上ももうお前達なんかいらないんだえ~。」
「ふざけるな!!シュバルツは私達を捨てたりしない!!」
「そんな事ないえ~、兄上は買えばお前達の換えなんかいくらでもいるえ~。」
そんな訳ない……でも化け物になった私達をシュバルツがどう思うのか…そう思うだけで恐ろしくて仕方がない。
それに、私達でもこれ程恐ろしいんだ、姉様はもっと恐ろしいだろう、姉様は気づいていないけど私達は気付いている、私達の大切と姉様の大切は違う事に。
私達はシュバルツを弟のように思っているもちろん大切だ捨てられたくない…でも姉様はおそらく捨てられると生きていけない位に思っているハズ……
馬鹿弟と付き人が部屋から出て行った後も姉様は顔を青くして一言も話さなかった……
そして数時間後シュバルツが帰ってきた。
sideシュバルツ
あまり期待はしていなかったが、思わぬ収穫をうけてご機嫌で帰宅したが……なんだこの重い空気は?
部屋に居るのに明かりも点けずにいる三人、三人が三人ともこちらを向こうともしない、むしろ俺を怖がっているように見える。
一体何があったのか?考えててもらちが明かないので聞いてみる事にした。
「どうしたんだ?三人とも暗い顔をして…何かあったのか?」
「「「…………」」」
三人そろって答えてくれない…こんな事初めてあった日以来だ。
「どうしたんだよ?話してくれないとわからないよ。」
「シュバルツ……あのね、もし、もしよ……私達が「ソニア!!」」
サンダーソニアが何か言おうとしたが、ハンコックが飛びかかって止めてしまった。
「おい!どうしたんだよ、喧嘩するなよ!!」
理由も分からず喧嘩を始めた二人を何とか引き離して事情を聴いた俺はその瞬間二度目の人生の中で一番の怒りに襲われた。
今すぐにあの愚弟を殴り飛ばしたかったが今は錯乱しかけているハンコックをどうにかしなければならない。
俺はハンコックに力いっぱい抱きついて言った
「大丈夫だよ、俺はお前達がどうなっても嫌いになんかなったりはしない、それにただ能力者になっただけだろ?大丈夫だからそんな事、一々気にするなよ」
「本当か?」
恐る恐るハンコックが聞いてきたので俺は自信満々に答えてやった。
「ああ、本当だ。俺はハンコック達を嫌いになったりはしない、絶対だ、誓うよ。」
「くっ……う…、うわぁぁぁぁ~~!!」
安心したのかハンコックは俺に抱きつき思いきり泣いた……
泣き疲れたのか寝てしまったハンコックを二人に任せて俺はアイツを探して部屋を出た。
探す必要も無かったアイツは食堂で夕食を食べ終わった所のようだ。
しかし今の俺には関係ない、自分でもどんな顔をしているのかわからなかった。
「ひっ!!!!」
馬鹿が見てこんな表情をするくらいだからよっぽどなんだろう、しかし今の俺には気にしている余裕はない。
口調もいつもの取り繕ったものを使う気もない。
「おい!チャルロス!俺の居ねぇ間に好き勝手やってくれたみたいだな!!」
「ひぃぃぃぃ、兄上、ま、待ってく「歯ぁ食いしばれやぁーーーーーーー!!!!」」
俺は自分でも驚くほどのパンチを放っていた。
顔面に俺の拳がめり込んだ馬鹿は、ゴスッ!!と鈍い音と共に料理を巻き込みながらテーブルの上を5メートル程滑って行った。
一瞬の沈黙の後使用人達が騒ぎ出したが俺は気にすることなくそのまま食堂を後にし部屋に帰って4人で寝た。
次回 ようやく届いた旅の荷物、しかしその中には予想にもしなかった物まで入っていた、ちょっと待てよ……これは何処かで見た様な?
あとがき
どうもみなさんお久しぶりです。
この一週間思ったよりも忙しく前回の投稿から一週間もたってしまいました。
来週も忙しい事が決定していますがまた投稿させてもらうつもりです。
こんな作者ですがどうぞこれからもよろしくお願いします。