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No.8260の一覧
[0] 【完結】真・恋姫†無双SS~馬超伝~[ムタ](2011/02/03 22:35)
[1] 2話[ムタ](2009/04/28 23:53)
[2] 3話[ムタ](2009/05/10 06:38)
[3] 4話[ムタ](2009/05/10 06:41)
[4] 5話[ムタ](2009/05/11 23:41)
[5] 6話[ムタ](2009/05/17 13:05)
[6] 7話[ムタ](2009/05/25 00:27)
[7] 8話[ムタ](2009/06/07 22:30)
[8] 9話[ムタ](2009/05/28 23:24)
[9] 10話[ムタ](2009/06/07 22:32)
[10] 11話[ムタ](2009/06/07 22:45)
[11] 12話[ムタ](2009/06/21 13:36)
[12] 13話[ムタ](2009/06/21 13:53)
[13] 14話[ムタ](2009/07/05 17:19)
[14] 15話[ムタ](2009/07/12 05:21)
[15] 16話[ムタ](2009/09/17 02:06)
[16] 17話[ムタ](2009/09/21 22:04)
[17] 18話[ムタ](2009/09/21 22:16)
[18] 19話[ムタ](2009/11/01 23:47)
[19] 20話~袁紹伝その1~[ムタ](2009/10/25 02:34)
[20] 21話~袁紹伝その2~[ムタ](2009/11/02 02:07)
[21] 22話~袁紹伝その3~[ムタ](2009/11/12 19:04)
[22] 22.5話~袁紹伝その3.5~[ムタ](2009/11/29 23:29)
[23] 23話~袁紹伝その4~[ムタ](2009/11/29 23:34)
[24] 24話[ムタ](2009/12/07 03:00)
[25] 25話前編[ムタ](2009/12/27 04:04)
[26] 25話後編[ムタ](2009/12/29 23:39)
[27] 26話前編[ムタ](2010/01/05 22:05)
[28] 27話前編[ムタ](2010/01/24 10:55)
[29] 26話後編[ムタ](2010/01/28 00:14)
[30] 27話後編と28話[ムタ](2010/02/21 02:28)
[31] 29話前編[ムタ](2010/02/23 23:50)
[32] 29話後編[ムタ](2010/02/28 02:15)
[33] 30話[ムタ](2010/03/16 02:55)
[34] 31話[ムタ](2010/04/15 18:19)
[35] 32話[ムタ](2010/04/18 23:32)
[36] 33話[ムタ](2010/04/19 00:03)
[37] 34話[ムタ](2010/04/27 23:16)
[38] 35話[ムタ](2010/05/06 00:53)
[39] 36話[ムタ](2010/05/13 23:17)
[40] 37話[ムタ](2010/06/01 17:55)
[41] 38話[ムタ](2010/09/21 23:43)
[42] 39話[ムタ](2010/09/22 00:19)
[43] 40話[ムタ](2010/10/16 14:21)
[44] 41話[ムタ](2010/10/24 18:15)
[45] 42話[ムタ](2010/10/30 16:08)
[46] 43話(最終話)[ムタ](2010/11/21 02:31)
[47] おまけ1[ムタ](2011/02/03 22:28)
[48] おまけ2[ムタ](2011/02/03 22:29)
[49] あとがき[ムタ](2011/02/03 22:35)
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[8260] 35話
Name: ムタ◆f13acd4e ID:b19915a3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/05/06 00:53






――― 武威  特設広場



『ほああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』


観客席を掘り下げている為、相対的に高台となったステージ上の美少女3姉妹に向けて

とっても痛々しい歓声が武威の町に響き渡る。

ステージを見ていた馬休こと月はその声にビックリし、思わず『へぅ』と小さく声をあげた。

「みんなー、盛り上がってる~?」

「おーーーーーっ!」

3人が並ぶ中央、ピンクの長い髪に童顔な顔、それに不釣合いな桃香に勝るとも劣らない

巨乳美少女の声に客席が盛り上がる。

「まだまだ盛り上がって行くからねー!」

「おーーーーーっ!」

空色の髪をし、ステージ上で狙ったポーズで客席を興奮させ、甘い声で魅了しているペッタンコ

な美少女の掛け声が続く。

「みんな大好きーー!」

「てんほーちゃーーーーん!」

「みんなの妹ぉーっ?」

「ちーほーちゃーーーーん!」

「とっても可愛い」

「れんほーちゃーーーーん!」

おっぱいの子が天和ちゃん、ペッタンコの子が地和ちゃん、最後に髪の短いクール系の

眼鏡っ子美少女は人和ちゃんらしい。

それぞれ別々の個性を持った美少女3人が先程から見事なマイクパフォーマンスで観客と

一体化し、素晴らしい相乗効果で最高の舞台を作り上げていた。

「凄いな……」

ヘソを出すきわどい衣装が……ではなく、天和ちゃんの巨乳が……でもない。

いやどちらも素晴らしいが感嘆の理由は一刀の目からみても、現代でもトップアイドルとして

通用するであろう見事な舞台に対してであった。


「ほあーーーーー!! あはは、面白いね♪」

一刀と共に舞台を見に来ていたシャオもこの楽しいノリに引き込まれ歓声を送った。

その時、この会場で唯一歓声を送らず、苦々しい表情で舞台を見ていた少女が一人いた。

一刀をこの場につれてきた馬鉄こと詠である。


「もう解ったでしょ? そろそろ行くわよ」

「え~、シャオ最後まで見たい! いいでしょ一刀?」

「ああ、俺も最後まで見た…… 『ビシッ!!』

 いたッ! 『ビシッ!!』

 ちょッ、デコピンは…… 『ビシッ!!』

 逆らってすみま…… 『ビシッ!!』

 うおお!! まだ許…… 『ビシッ!!』

 詠いい加減頭が割……『ビシッ!!』

 …… 『ビシッ!!』」


結局舞台から離れ『哀れなちん●ごときが逆らって申し訳ありませんでした』と土下座するまで

デコピン地獄は続いた。

「大丈夫ですかご主人様?」

そう言って赤く腫れた額に濡れた手拭いをあててくれる月は相変わらず天使だった。相対的に

悪魔となった詠の口からいつもの罵声が続く。

「全く、アンタが楽しんでどうするのよ」

「いやコンサート見に来て楽しむ以外の選択肢はないんじゃ?」

「こんさあと? まあいいわ、じゃあ西涼の残念軍師なんだから気付いた事を言ってみなさいよ」

”残念軍師”!! 酷い称号だ。たった一ヶ月位国のトップとトップ2を行方不明にしただけなのに……

残念ながら反論は不可能だった。

ここで『最高の舞台だった』等と当たり前の事を言ってはいけない。何気に優しい詠はヒントとしてワザと

『軍師なら』と付けてくれているのだ。ここで別の着眼点を披露して名誉挽回が必要だった。

例えば最初に思った事は……

「天和ちゃんのおっぱいが凄かった」 (衣装が西涼らしくなかった)


シン……と場が静まり返る。


『へうっ、ご主人様やっぱり胸の大きい方が……』と月が自分の胸をみつつ呟き、隣に座っていた

シャオがムギュっと俺の頬を抓りながら『シャオだってすぐ雪蓮姉様みたいになるんだから』と頬を

膨らませた。


しまった!! セリフと想像が逆というベタをッ!? と思った時には既に遅かった。

「この腐ったち●こがッ!!」

詠の叫びと共に世界がブラックアウトしたのだった。






「今日は訓練日だったのよ」

結局西涼一の頭脳を持つ詠が答えを告げた。

「ああそういえば今日は紫苑さんが対弓兵戦のいろはを教えてくれる大切な訓練日だった筈だな」

「そう、にもかかわらず客席には大勢の西涼の兵がいた。どういう事かアンタでももう解るでしょ」

「サボりか。でもまあ涼州にはああいった娯楽が少なかったし皆が夢中になるのも解るしなあ……

一回くらいのサボりは許してあげないか?」

「一、二回どころじゃないのよ。アンタ達がいなくなって暫くしてからあの3人が現れたんだけど、兎に角

こっちが訓練日とかの日に必ずああやって舞台を行うのよ」

「偶然じゃないか?」

「今の所はそう思うしかないわ。でももし他国の諜報だったら?」

「!!」

他国、とはいえもはや大陸には西涼を含め3国しかなく、蜀は同盟国でそんな事をする理由が無い。

つまり詠は彼女達を魏の諜報員でこちらの訓練を妨害しているのではと疑っているのだ。

「……偶然じゃないかなあ? 普通は国の悪い噂を流したり城に火を放ったりとかじゃないか?」

他国にアイドルを送り込んで国力低下させるって斬新過ぎる。

「解ってるわよ! でも彼女達が来てから明らかに錬度の上昇率が下がっている、手を打つ必要

があるわ」

「じゃあ直接会って、訓練の日は舞台に上がらないように言えばいいんじゃない?」

そらそうだ。と満場一致し、シャオの発言を実行すべく、一刀一向はコンサート終了後、楽屋(?)

へ向かった。  






「……どうぞ」

この声はとっても可愛い人和ちゃんであろう。盟主の妹である馬休と馬鉄が数え役萬☆姉妹に

会いたいという旨を相手側に伝え、本来なら城に呼びつける等する所だが急ぎの用である為

こちら側から会いに行く事となった。先程の返事は楽屋をノックした際の応答である。



扉を開く。もっとも扉の近くにいて、返事をしたのは予想通り、人和であった。

「一刀さん!?」

「は?」

人和が目を丸くしてそう呟く。

「一刀じゃない! も~、ちぃ達に会いたくて我慢できなかったのね♪」

地和がそう言って腕に抱きつく。

「ええっ!?」

「えっ? ホントだ~一刀寂しくなって来ちゃったんだ♪」

ムギュリ! と頭を捕まれ、そのまま天和の胸に頭毎抱きしめられた。

「……いやちが…………へぅ」

「『へぅ』じゃないわよ!!」

詠の蹴りがわき腹に突き刺ささった後、シャオが数え役萬☆姉妹から一刀を引き剥がした。

「愛人くらい許してあげるけど、正妻のシャオをないがしろにするなんて駄目なんだから!」

「ちょっと! アンタ達こそ一刀に……」 「まってちー姉さん!!」

数え役萬☆姉妹を睨みつけるシャオに地和が反論しかかったのを人和が止めた。

「どうしたの人和ちゃん?」

「二人ともこっちに」

一刀一向から離れ、3人で何かヒソヒソと話し出した。唯一漏れ聞こえたのは

『アレ私達の一刀さんじゃ無いわ』という言葉だった。どういう意味だろう?


結局人違いだったらしく、本題に入った。

「それは出来ないわ」

詠が『こちらの訓練日には舞台に上がらないで欲しい』という提案にたいする数え役萬☆姉妹の

回答である。

「ちょっとどうしてよ! 本当なら強制的に止め……」 「詠ちゃん」

激高した詠を月が嗜める。

「私達は自由に舞台に上がっているだけ。訓練の邪魔なんて最初からしていないからただの

言いがかりね。どうしてもというならこれから先の訓練計画書でも渡して下さい」

『その日は極力興行を行わないようにするから』と締めくくられた。軍事機密でありそのような物

渡せるわけがない。だからと言って出て行け等という真似は国の評判を著しく落としかねなかった。

結局話し合いは平行線をたどり『次の舞台の打ち合わせがあるから』と一刀一向は部屋から

追い出された。





「……詠」

「何よ!」

城に帰る途中、問題が何一つ解決されずに怒り心頭であった詠に今まで黙っていた一刀が声をかけた。

「全部の問題を解決する策を思いついたんだけど」

「……嘘つきはち●この始まりよ」

どういう意味!? まあ信頼度0だという事は伝わった。

「いや俺の言う通りにしてくれれば絶対大丈夫な策だ」

「……ホントでしょうね?」

「ああ、でもこれには翠と蒲公英、あと月と詠の協力が絶対に必要なんだ」

「へぅ、私もですか?」

「うん、月と詠の協力が絶対必要」

「は、はい頑張ります」

「ちょっと月!?」

「詠ちゃん、これはご主人様だけじゃなくて、私達を受け入れてくれた西涼の恩返しにもなると思う」

「月……解ったわよ! その代わり失敗は許さないわ」


「任せてくれ。作戦名は『馬っ子☆姉妹(シスターズ)』だ!!」


詠は後に語る。この時一刀を抹殺していればあんな目に会わなかったのに……と。



ここに西涼の威信をかけた、パクリ120%のアイドルプロジェクトが始まったのである。







―――数日後  数え役萬☆姉妹楽屋



「今日はお客さんあんまり来なかったね~」

「ええ、今日の舞台は赤字だわ。多分あの馬鉄って人が無理矢理訓練に参加させたんだと思う。でもそんな

やり方じゃ兵の士気も落ちるし、一刀……じゃなかった司馬懿の本来の計画通りだから仕方ないわ」


そう、詠が最初から睨んだ通り、数え役萬☆姉妹の目的は馬国に対する妨害であった。


「天和姉さん、人和大変! 城壁で舞台が始まってる!!」

「? ちぃ姉さん落ち着いて、舞台って誰の?」

「あいつ等よ! この国の王様の馬家4姉妹の」

「「……は?」」




―――武威城壁


『ほああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』


訓練の為集まっていた数万の西涼兵が城の外で大歓声を上げる


『ほああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』


城の中から数十万の民が同じく大歓声を上げる。



「みんなー、今日はたんぽぽ達のこんさーとに来てくれてあっりがと~♪」

「おーーーーーっ!」

白のゴスロリ衣装(衣装デザイン北郷一刀)に身を包んだ蒲公英が元気いっぱいのマイクパフォーマンスを

見せる。

「ま、まだまだ盛り上がって行くからなーッ!」

「おーーーーーっ!」

蒲公英と対になる黒のゴスロリ衣装(衣装デザイン北郷一刀)を着た翠が羞恥に顔を赤くしつつも勢いで

乗り切ろうと声を張り上げ、その翠の姿に嗜虐心をくすぐられた男達が声援を送る。


「じゃいっくよ~小悪魔妹ーっ?」

「馬岱ちゃーーーーん!」

「じゅ、純粋えむッ子ーっ?」

「馬超ちゃーーーーん!」

「と、とっても癒し系?」

「馬休ちゃーーーーん!」

「くっ……つ、つんでれ眼鏡っ子?」

「馬鉄ちゃーーーーん!」


エプロンタイプのメイド服(衣装デザイン北郷一刀)に身を包んだ月と詠が続く。


「く~~~ッ!! (ご主人様覚えてろ!!) じゃああたし達”馬っ子☆姉妹”の新曲、聞いてくれ!!」


「おーーーーーっ!」


言うまでもないが全部新曲である。




「え~っ? 何あれ~!」

「城壁で歌うなんてズルイ! ちぃ達だってあそこで歌えれば……」

「……やられたわ。私達の一刀さんと違うと言ってもやはり一刀さん。舞台演出も完璧だわ」


舞台を見る数え役萬☆姉妹。冷静に見れば歌も踊りも自分達より遥かに劣る。だがその素人っぽさ

が逆に新鮮で売りになるという事を一刀は熟知していた。まして西涼にて絶大な人気を誇る馬家4姉妹

が可愛い衣装に身を包み歌って踊るのである。西涼の民が、そして兵が興奮するのは当たり前であった。


図らずも魏と馬の前哨戦は馬の勝利で幕を落としたのである。







――― 魏 許都  王座の間


ここに魏の重臣達が集まり、次の戦いに向けた軍議が執り行われていた。


「ええい! 北郷の奴はいつ帰ってくるのだ!!」

ドン! と机を叩く夏侯惇こと秋蘭。叩いた机がギシギシと軋んだ。

「落ち着け姉者。心配なのは解るが、凪も付いているから大丈夫だ」

夏侯淵こと秋蘭が姉である春蘭に声をかけた。

「秋蘭! 私は別に北郷を心配しているのではなくてだな」

秋蘭の言葉が終わるより早く、入口の扉が季衣により勢いよく開かれた。

「兄ちゃんと凪帰ってきたよ……じゃない、きました!!」

「おお、帰ってきたかほんご……」 「うむ、無事によく戻っ……」 春蘭と秋蘭が口ごもる。

「凪、隊長まっとっ……」 「おかえりなさいな……の……?」 真桜と沙和も

「おかえりかず……」 「兄さまおかえ……」 霞と流琉までもが口ごもる。


「只今戻りました」 「ただいま。ちゃんと同盟は結んできたよ」 「わざわざ来てやったのにゃ」

「「「にゃーにゃーにゃー」」」

女学生のような服の凪と、司馬懿仲達の格好ではなく、学園の制服を着た本来の北郷一刀の姿

に皆驚いた……わけではなく、その一刀の両手両足にしがみ付いた4人の幼女の姿に迎えた

全員が絶句し、言葉を続けられなかった。

「なんだか広い所だにゃ?」

一刀の腕にしがみ付いていた幼女の一人がパッと手を話し、王座の間をキョロキョロと見回しながら

歩き回ったのを契機に、他の3人も一刀から離れて室内をウロウロと走り回った。

『その子達は誰だ?』という疑問の声はあがらず、全員が絶句したままであった為、司馬懿一刀は

自分から言わなきゃ駄目かと溜息をついた。その間がいけなかった。

「……あんたとうとう幼女にまで手を出したのね。あげく人攫いなんて最低だわ」

冷たい、何処までも冷たい声。荀彧こと桂花が生ゴミを見る目で一刀を見つめそう吐き捨てた。

「北郷、お前……」 「まさかそんな人間だったとは……」 春蘭と秋蘭が真に受けた。

いやいやいや!!

「違うぞ、これは!」 「みぃのことかにゃ?」

一刀が言い訳すると同時に、王座の間を飛び跳ねていた少女が自分が話題になっていると

気付いたのか声を発した。

「みぃは兄(一刀)に赤ちゃんの素を貰う予定にゃ!」

「「「「「「「!!!!!!」」」」」」」

最悪の回答であった。

「隊長、ウチの胸に手ェ付けんと思ったら……」 「沙和のおへそやお尻見てるのはごまかしだったの」

「ボクのこと妹みたいに思っててくれてると思ったのに……ただ兄ちゃんの趣味範囲外だったんだね」

「ショックです兄さま」 「ウチを裸にひん剥いておいて興味無しやて!!」

違うから! しかも最後のは俺じゃないし!!

場の空気から命の危険すら感じ、事実を知っている凪に目を向けた。

「凪、全部誤解だって説明してくれ」

「……私の口からは、とても言えません」

凪は悔しそうに唇を噛み、プイッと首を横に向けた。

「なんで!? やましいことはなんにもないじゃないか」

「しかし隊長! 幼い子供を言葉巧みに騙すのはあまりにも!!」

「言い方悪すぎる!! 頼むから俺の話を聞いてくれ!」



自らをみぃと言う幼女の名は南蛮王孟獲、真名を美以。他3人はシャム、トラ、ミケ。

司馬懿一刀は残る馬と蜀との戦いの為、南蛮と同盟を結ぶ必要性を訴え、凪を護衛に

司馬懿仲達ではなく、聖フランチェスカ学園の制服を着た北郷一刀として蜀から南蛮へ進入した。

『同盟して欲しいなら力を見せるにゃー!』という孟獲に対し、言葉巧みに頭脳勝負を持ちかけ、

足し算を知らない子供に算数勝負を挑むような真似をして勝利し『一刀は天才にゃ!』と尊敬

を受け『みぃの力と一刀の頭があれば最強の子孫ができるにゃー』という理屈により見事

南蛮との同盟締結を得たのであった。


「でも隊長も凪も蜀を通ってよう捕まらんかったなあ」

「いや、一度蜀の関所で止められたんだが隊長を馬の天の御使いと勘違いして通してくれた」

「おおー作戦成功なの~」

「……まあその際『新しい女の子ですか? 相変わらずお盛んですね』と隊長が言われていたが」

「どっちの隊長もおんなじやな」 「お盛ん過ぎるの~」

失礼な!

ちなみに美以達を連れて帰る時には何かヒソヒソと『鬼畜……』『見境が無いにも程が……』等と

言われたのは気のせいに違いない。

まあどこぞの外史にて『ははっ……手強い猫たちだったな』と笑いながら4人いっぺんに喰っていたが

それは別の外史なのでこの一刀は無実である。

「あ、それじゃああっちの兄さまが劉備と一緒に益州に入ったのはホントだったんですね」

流琉がようやく役になる事を言ってくれた。そう、それだけ詳しいという事は蜀と馬の同盟は相当な

物だと推測できるからだ。

「しかしその子が本物の南蛮王か……ううむ? どう見る姉者?」

秋蘭がこれは役に立つのか? と思い春蘭に声をかけた。

「ああ、可愛いなあ……はッ!?」

ニヘラ……と、グンニャリした顔で孟獲を見ていた春蘭が声をかけられ目を覚ました。

「そうだぞ北郷、いくらなんでもこの子達では劉備には勝てまい?」

「なんにゃ? みぃの力が信じられないならみせてやるにゃ!!」

南蛮王の誇りが汚されたのか? 孟獲は小さな背に背負った 肉球型巨大独杵”虎王独鈷” を

振り上げ……

「にゃにゃにゃーーーーーーーっ!」

という気合の掛け声と共に春蘭の机を叩き潰した。

「おお!」

「どうにゃ!」

驚嘆する春蘭に満面の笑みで返す孟獲。

「力もそうだけど美以達南蛮軍のしつこさも凄いと保障するよ」

司馬懿一刀に頭を撫でられ『うにゅー』と満足そうに喉を鳴らす美以。

そう、あの孔明に対して7回負けても諦めなかったしつこさは蜀を引き付けるのに必要だった。


南蛮王国が蜀を引き付けている間に馬を制圧し、そのまま漢中より南下し、蜀を滅ぼす。

司馬懿一刀が描くシナリオは完成した。



ちなみに孟獲が潰した机は、春蘭が事前に痛め付けていたので壊れやすかった事を明記しておく。

これを含めた誤算が大陸の趨勢を決める事になるとはこの時、誰も気付いてはいなかった。







おまけ


―――舞台裏


「へー、やる、たんぽぽがんばっちゃう♪ ね、お姉様」

「いーやーだ! 人前で歌って踊るなんて出来るか!」

「でも宿題やらなかったお仕置きの兵法書の写本なんてしてたら死んじゃうよ? 歌って踊れば免除だし」

「くッ! 卑怯な!! 解ったやるよ、やればいいんだろ」

「やったあ♪ じゃあ、はいお姉様」

「ん? なんだ? !! こんなヒラヒラした服着れるかあッ!!」




「『純粋えむッ子ーっ?』 おいご主人様、えむっ子て何だ?」

「ああ、苛められれば苛められるだけ可愛くなる女の子の事だ」(ちょと違います)

「おねーさまにぴったりだね♪」

「あたしゃ変態かッ!!」


「ちょっと、ボクの『つんでれ』ってのも何よ?」

「普段はツンツンしてるけど二人きりになったりふとした時デレデレイチャイチャして

くれる子の事だ」(かなり違います)

「わー詠ちゃんにぴったり」

「ボクがいつデレたのよ!!」




おまけ2


―――南蛮行 前日


「おお! 俺の制服凪が持っててくれてたのか!」

「はい、いつか隊長がまたその服を着る日が来ると思いまして」

「そっか、洗濯までして……でもやけに皺くちゃだな?」

「そ、それは!?」

「えへへ~、隊長知りたい?」

「沙和!!」

「あんな、実は凪のやつ……」

「真桜!!」

「夜寝る時、その服を抱いて匂いを嗅いだ……ハグッ!!」


ゴキュ!!……という鈍い音の後、ドシャリ!! と真桜は床に崩れ落ちた。


「お、おい真桜どうしたんだ」

「真桜の持病です」

「首がありえない方角に曲がってて泡吹いてる持病なんてあったっけ?」

「……持病です。なあ沙和?」

「(ガクガク)……み、見てないの、沙和は何にも見てないの……」






(あとがき)


拠点イベントな話。前話で三国志の幕が……と書いておいてアイドルプロジェクトとか(汗)

ネタ回は恐らく今回で最後。次から連続で戦闘イベントになります。

これにてリストラキャラ+漢女を除く真・恋姫キャラ全員登場!!(個人的目標その①達成)

名前だけじゃなくて最低限の見せ場的な意味でです。なんで手段と目的が入れ替わってしまったなあ

と反省もあるですが数え役萬☆姉妹出せてよかった。


おまけ2について:6話、華琳によって一刀が司馬懿仲達になる為服を剥ぎ取られた際、凪が一刀の

制服を預かっていて、いつか返そうと思いつつ、つい匂いを嗅いだり抱いて寝たりして返しそびれて

いたというお話。








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