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No.8260の一覧
[0] 【完結】真・恋姫†無双SS~馬超伝~[ムタ](2011/02/03 22:35)
[1] 2話[ムタ](2009/04/28 23:53)
[2] 3話[ムタ](2009/05/10 06:38)
[3] 4話[ムタ](2009/05/10 06:41)
[4] 5話[ムタ](2009/05/11 23:41)
[5] 6話[ムタ](2009/05/17 13:05)
[6] 7話[ムタ](2009/05/25 00:27)
[7] 8話[ムタ](2009/06/07 22:30)
[8] 9話[ムタ](2009/05/28 23:24)
[9] 10話[ムタ](2009/06/07 22:32)
[10] 11話[ムタ](2009/06/07 22:45)
[11] 12話[ムタ](2009/06/21 13:36)
[12] 13話[ムタ](2009/06/21 13:53)
[13] 14話[ムタ](2009/07/05 17:19)
[14] 15話[ムタ](2009/07/12 05:21)
[15] 16話[ムタ](2009/09/17 02:06)
[16] 17話[ムタ](2009/09/21 22:04)
[17] 18話[ムタ](2009/09/21 22:16)
[18] 19話[ムタ](2009/11/01 23:47)
[19] 20話~袁紹伝その1~[ムタ](2009/10/25 02:34)
[20] 21話~袁紹伝その2~[ムタ](2009/11/02 02:07)
[21] 22話~袁紹伝その3~[ムタ](2009/11/12 19:04)
[22] 22.5話~袁紹伝その3.5~[ムタ](2009/11/29 23:29)
[23] 23話~袁紹伝その4~[ムタ](2009/11/29 23:34)
[24] 24話[ムタ](2009/12/07 03:00)
[25] 25話前編[ムタ](2009/12/27 04:04)
[26] 25話後編[ムタ](2009/12/29 23:39)
[27] 26話前編[ムタ](2010/01/05 22:05)
[28] 27話前編[ムタ](2010/01/24 10:55)
[29] 26話後編[ムタ](2010/01/28 00:14)
[30] 27話後編と28話[ムタ](2010/02/21 02:28)
[31] 29話前編[ムタ](2010/02/23 23:50)
[32] 29話後編[ムタ](2010/02/28 02:15)
[33] 30話[ムタ](2010/03/16 02:55)
[34] 31話[ムタ](2010/04/15 18:19)
[35] 32話[ムタ](2010/04/18 23:32)
[36] 33話[ムタ](2010/04/19 00:03)
[37] 34話[ムタ](2010/04/27 23:16)
[38] 35話[ムタ](2010/05/06 00:53)
[39] 36話[ムタ](2010/05/13 23:17)
[40] 37話[ムタ](2010/06/01 17:55)
[41] 38話[ムタ](2010/09/21 23:43)
[42] 39話[ムタ](2010/09/22 00:19)
[43] 40話[ムタ](2010/10/16 14:21)
[44] 41話[ムタ](2010/10/24 18:15)
[45] 42話[ムタ](2010/10/30 16:08)
[46] 43話(最終話)[ムタ](2010/11/21 02:31)
[47] おまけ1[ムタ](2011/02/03 22:28)
[48] おまけ2[ムタ](2011/02/03 22:29)
[49] あとがき[ムタ](2011/02/03 22:35)
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[8260] 27話後編と28話
Name: ムタ◆f13acd4e ID:b19915a3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/21 02:28





新野城炎上、夏侯惇隊の被害不明。


許昌より荊州へ向けて出陣した曹操軍第2陣、司馬懿隊に届けられた第一報である。

博望坡の戦い直後に軍師程昱の使いにより許昌へ呼び戻され、第2陣の総大将となっていた

司馬懿仲達こと北郷一刀は一切の休憩をなくし、進軍速度をあげる事によって報告を受けた

翌日の昼には既に焼け落ちた新野城を目撃する事になった。


夏侯惇隊全滅。


第1陣の総大将、夏侯惇将軍の報告により、軍を再編し、隊に復帰できる兵はおよそ6、7割

程度。つまり残りの死者、負傷者合わせて3~4割。これは全滅と言ってよい数字であった。

夏侯惇こと春蘭は司馬懿一刀の前でただ目を閉じていた。

決して油断していたわけではなかった。程昱によって『この戦いでお兄さんを鍛えなくてはいけな

いのですよ。皆さんビシビシお兄さんを虐め……もとい鍛えてあげて下さいとお願いするのです。

つまり軍師として一皮剥けるとゆー、おお! さっきの包茎2号は伏線だったのですよ!!』後半

いらない気がしたがそんな依頼を受けていたが為に博望坡炎上事件で司馬懿一刀を叱責はした

が、結果としては火傷を負った兵が若干名いたがあくまでも損害は軽微であり、劉備軍による包囲

作戦に気付かなければそれこそ全滅の恐れすらあった事は春蘭含め李典、于禁も理解していた。

よって『新野城が無人だった場合城毎燃やす火攻めの可能性が高い、あと川の上流をせき止めて

水攻めをしかけてくるかもしれないから気をつけて』という自爆軍師の異名を得た司馬懿一刀の

忠告を意識してもいた。

結果新野城上流の川を調べさせて何も無い事を確認し、新野城には先に斥候に道路や民家の

床等に乾燥した柴や蘆、茅等が積まれている様子がないか念入りに調べさせた上での入城であった。


結果が全てである。軍師の忠告を受けていてみすみすその罠にかかった。

「すまん北……「ごめん春蘭!」」

春蘭の言葉を司馬懿一刀は遮り、頭を下げた。側にいた程昱と郭嘉がホッと息を吐いた。

「なんだとぅ? なぜ北ご……軍師が謝るのだ?」

「お兄さんが謝るのは軍師として当然なのですよ。実は風も春蘭さま達へ残した助言をお兄さんから

聞いていてお説教していたのです。気をつけろなんてあやふやな助言無いほうがマシなのですよ」

「いや、しかし司馬懿の助言は半分は当たっていたのだ」

「半分しか当たっていない、とも言えます。水に火、そうですね、後は伏兵に気をつけなさい。と言えば

罠の8割は補えるでしょう。いつ、どのように? どう対処すべきか。そこまで助言できてこその軍師、

このままではエセ占い師と言われてもしかたないでしょう」

春蘭の問に程昱こと風、そして郭嘉こと稟がピシャリと答え、司馬懿一刀は自爆軍師からエセ占い師

にレベルアップしていた。

「例えば火計ですが、これは夜間に行われたのではないですか?」

「うむ、その通りだ」

「夜間の行軍で気付いたのですが、この荊州の地は夜に強い風が吹くようです。であれば火計がしか

けられる確率は夜が高く、風の吹く方角に伏兵の可能性があり、また吹き荒れる風を利用して枯藁を

街中へ撒く為に高台に枯藁が積まれている等が考えられます。そこまでの助言があればいかようにも

避ける手立てがあったのではありませんか?」

「そこまでわかるのか!?」

まるで見ていたかのような稟の発言に目を丸くしながらそれ以外の言葉がだせない春蘭。

「……凄いな稟、流石孔明や鳳統に匹敵する知だ」

「むむ! 風だって気付いていたのですよ。しかし枯藁程度でここまで燃えるとは思えないのですよ、爆発

音とかどういう事なのです?」

「あっ!」

風の一言にまさかと思いつつも小火の残る新野の城に入る。焦げた匂いの他に鉄の、そう火薬の匂いを

感じて地面を見、粒上の黒い粉末を摘む。

「……火薬、もうかよ」

三国志における孔明の必殺技といえば地雷。火薬を使い、南蛮や司馬懿仲達……俺かよ!? をあと

一歩で焼き殺すシーンは有名であるが今の例え通り孔明が火薬を使ったのは蜀建国後だった筈。

「やっぱり未来知識なんて参考程度にしかならないな。このままだと近い将来本当に焼き殺されそうだ」

未来知識を持っていてさえ今回孔明に負けた。司馬懿一刀は三国志演義にてライバルとなる孔明を

意識するが、その諸葛亮孔明こと朱里がよもやもう一人の自分となんかイチャイチャしているとはいかに

未来を知る司馬懿一刀でも知る由がなかった。



「司馬懿殿は何をブツブツ言っているのですか風?」

「さあ? また女の子のことでも考えてるんじゃないですかね?」

風の予想は間違っていなかったがニュアンス的に大分違うのである意味気の毒ではあった。

「しかしさっきは危なかったのですよ」

「そうですね、余計な疑念を抱かれかねませんから」

二人が言っているのは春蘭が司馬懿一刀に頭をさげそうになった事である。序列的に曹操の次が

夏侯惇将軍であり、筆頭軍師とはいえ司馬懿一刀に頭を下げては余計な疑念をまわりにもたれかね

ないという事を二人は思っていた。

真実を知らない者から見ればある日突然名門、司馬家の者が軍師として曹操軍に現れ、見事な

指揮で呂布を追い払い、官渡にて大軍を擁する袁紹を打ち倒すというとんでもない活躍をしていた。

あげくまだ小火にすらなってはいないが曹操が公の場に姿を現さなくなってからかなりの月日がたち、

疑念に思う者もチラホラ出てきていた。口さがない者の中ではクーデターで司馬懿が曹操を追い落とした

等と言う噂すらあったのである。

実際は勝手に司馬懿仲達を名乗り、策は風に丸投げして運よく呂布が撤退し、袁紹戦に至っては稟

の戦況を判断する見事な戦術、戦略眼によって援軍到達までの時間稼ぎを行い、風の十面埋伏の計

によっての勝利である。筆頭軍師の称号も荀彧が失踪し、新参の郭嘉と程昱では些か問題が

あったせいである。

「全く問題が山積みなのですよ……劉備も余計な事をしてくれたものなのです」

「ええ、性急に過ぎますね。補正する為にも呉制圧までに司馬懿殿を本当の軍師にしなければ……」


反曹操連合。

無論証拠は無い。しかし大宴にて曹操陣営に書簡すら寄越さなかった時点で劉備の狙いはほぼ

割れていたと程昱は思っている。南東より呉、南より劉表、西南より劉障、西より馬。これに

公孫賛が幽州へ、劉備が徐州へ檄文を出し、反乱が起これば北と東からも攻められ曹操軍は

壊滅したであろう。荀彧のおかげで北の平定が10年早まったとはいえ民に徳を心酔させるには

やはり時間が必要であった。結局の所『やられる前にやるのですよ』という方法しか曹操陣営には

残されていなかったのだ。無論他にも理由はある。

結局の所、最大勢力となった曹操陣営も決して余裕があるわけではなかったのである。








――― 一方、新野と襄陽を結ぶ道



「ああ、俺の名は北……「はあ? なんでたいちょ……「あの時の詐欺師なの~!!」」」

一刀の発言は真桜の言葉に遮られ、また真桜の言葉は沙和の叫びに上書きされた。

結果一刀は詐欺師となった……おいおいおいおい!!

「ちょっと、いきなり詐欺師呼ばわりは……」

「黙っとき!! 沙和どーゆうこっちゃ? ウチには隊長にしか見えへんけど?」

「コレ隊長じゃないの!! 隊長のフリして沙和の大切な物を奪った酷い詐欺師なの~!」

「うん? どういうこっちゃ?」

普段よく言えば適当、悪く言えば何も考えていない沙和らしからぬ剣幕と不穏な単語に一刀

そっくりな男が目の前にいるにも関わらず冷静に言葉を促す真桜。

「ホントに酷いの! 隊長のフリして何でも買ってあげるなんて言葉で純粋な沙和を騙して……」

「……いやそれに引っかかんのもどうやの?」

「隊長の顔してるから信じたの! それで沙和の大切な物(袁紹の首)を奪ったの~!!」

「うん?」 「お?」

思わず反応する。なんだろう? 女の子が言うとなんだか物凄く深刻な物的に聞こえた。

「そのまま黙って逃げていったの! もう最低なの~!!」


知人のフリをして甘い言葉で女の子を騙し、大切な物を奪ったあげく黙って逃げ去った。


うん、最低である。


最低であるがその『大切な物』とやらが何かで鬼畜か外道か決まる(あんま変わらん)。

話を聞いていたもう一人の関西弁の真桜と呼ばれていた子が深刻な顔をしてゴクリと唾を飲んだ。

「沙和あんたまさか……その大切な物って……アレなんか!!」

『そうなの! 一つしかない大切な物(大手柄)だったの!! 初めて(の大手柄)だけど隊長だから

あげたのにあんまりなの~」

場がシン……と静まり返る。とんでもないカミングアウトだった。

「なんてことや……ウチ親友やのに、気付いてあげられへんかったんやな」

身に覚えの無い既成事実が積みあがっていた。誰? 俺の偽者って誰!?

「真桜ちゃん、いいの、こんな事くやしくって人に言えないの~」

「ええんよ、沙和は汚されてへん、野良犬に噛み付かれただけや、その野良犬も体中に穴空けて

死ぬしな」

「真桜ちゃん……あれ? 汚されるって?」

「もうええ! 何も言わんでええんや、今この野良犬を殺せばそれでええんや!!」

憤怒の表情を浮かべた真桜と呼ばれた少女が野良犬(=一刀)に螺旋槍を向ける。

ギュィイイイイイン……と唸る回転音がそら恐ろしかった。

「待ってくれ誤解だ、俺じゃない!」

「ふざけんなや! おんなじ顔が2人も3人もいて溜まるかいな!! 声まで同じて

どーゆうことやねん!!」

それを俺に言われても困る。

「安心せい、皮を剥いで隊長君2号としてカラクリ人形にして一生可愛がったる。鬼畜外道にはお似合いや」

「誤解で殺されて溜まるかッ!!」

とはいえ達人である李典の槍(?)から一般人の一刀が逃れられるわけもない。

しかし、その生に対する執着は時に奇跡を呼ぶこともあるのだ。


ギャギャン!! という金属音の後、倒れていた一刀の股の間に螺旋槍が突き刺さり、地面を掘っていた。


「誰や!!」


螺旋槍の狙いを弾いたのは銀に輝く十字槍、その持ち主はただ一人!!


「華蝶仮面5号参上!!」


……翠じゃなかった…………いやどーみても翠なんだけど。






新野から襄陽へ続く行路、李典、于禁隊に捕まった一刀の元に現れたのは華蝶仮面、そして……

「私もおりますぞ翠の主殿」

白馬に跨る常山の昇り龍、趙子龍こと星はそう言うと自身の槍、龍牙の双刀の間に一刀が背負った

リュックの紐を器用に引っ掛けるとヒョイっと一刀毎持ち上げて翠もとい華蝶仮面の馬の背に乗せた。

「ありがとう、あとコレ」

趙雲にそのリュックを渡す。袋の中身は趙雲の壷。

「こ、これはメンマの壷!! 趙家の秘宝ではありませんか! まさか翠の主殿はこれの為に……」

「うん、まさかメンマの為に死にかけるとは思わなかった」

「いえ、翠の主殿もメンマの為に命をかける事の出来る偉人でござったか。以後この趙雲の事を星

と及びください。今は他に報いる言葉がこざいませぬ」

いや別にメンマの為ってわけでも……とは思ったが話が終わらないので『そっか、ありがとう』と言う

に留めた。ずっと黙っている華蝶仮面こと翠が気になったから。

「翠も助けに来てくれてありがとうな」

「……あとであの子の大切な物を奪ったとかゆー話はたっぷり聞かせてもらうからな」

聞かれていた!? 人違いなのに。



「って華蝶仮面が大きくなってるの~!?」

今まで翠や星達をポカンと見つめていた于禁と李典はそう叫んだ。

ああ、ちょっと前の蒲公英と同じ仮面だな。二人は似てるし姉妹って言って疑う人もいないし従姉妹だけど。

「なんや? 成長期か、それにしたって限度があるやろ」

寧ろ同一人物と思う前提がおかしい。

「? ご主人様、コイツら何を言ってるんだ?」

「先日の蒲公英と勘違いしてるんだろ」

「はあ? 蒲公英は4号を名乗ったって言ってたぞ?」

……番号なんて気にする奴いるかよ。

ちなみに蜀ルートでないこの外史では恋が3号では無い(念のため)。

「う~ん……なんだかちょっと違う気がするの~」

「いや、胸の大きさはあんま変わっとらんから同じやろ?」

「言われてみればそうなの~」

兵達からも嘲笑が広がった。

後に一刀は語る『なんて命知らずな奴らだろうと』



その時、ビキリ……と翠の中の何かが千切れた音が一刀には聞こえた。



「……1万人位か、いいよなご主人様」

何をする気ですか翠さん!?

「ふむ、私と翠で5千ずつか、少々時間はかかるが不可能ではないな」

ちょっとそこの星さんも!! なにこの勝気コンビ? 原作(演義)と違いすぎる。

「そんなのハッタリ(虚勢)なの! 沙和と真桜ちゃんで十分なの~」

片刃の双剣”二天”を構え不敵な笑みを浮かべる于禁。

「せや、ウチらが相手や」

地に埋まった螺旋槍を引っこ抜き、その腕力を見せ付ける李典。

「ほほぅ? さてどうする華蝶仮面?」

「あたしはそっちの無駄に胸がでかい方をやる」

さっきの発言を根に持っていたらしい。おっぱいに罪はないのだからそんな事で喧嘩をしないで

欲しいと一刀は心から思った。

「無駄とはなんや! 後ろの詐欺師の兄ちゃんもウチの乳ばっか見とったで!」

「ちょっ! なんて事を!!」

喧嘩に巻き込まれた!? これ以上の冤罪は勘弁して頂きたい。

「曹操軍夏侯惇隊副将李典! 隊長の愛人や!!」

「ああっ、真桜ちゃんズルイの~、じゃあ同じく于禁、隊長の恋人なの~」

「そっちのがズルイやろ?」

緊張感がないのか自信の表れか? 二人はどちらともつかない名乗りを上げる。

「劉玄徳が家臣にて常山の昇り龍、趙子龍。対抗させてもらうならそちらの主殿はメンマの友!」

「あたしは西りょ……ムガムガッ!!」

一刀はノリに任せてとんでもない事を口走りそうになった翠の口を押さえた。

「なにすんだよご主人様!!」

「何のために変装してるんだよ!」

「あ、そっか、あたしは華蝶仮面5号! このご主人様は……」

「……ご主人様は?」

そこで黙らないで欲しい。多少の期待を込めて翠を促す。

「う、うっせえやい! 兎に角勝負だッ!!」

「言われんでもいくでぇッ!!」 「先手必勝なの!!」

翠目掛けて突き出されるは凄まじい金属の回転音と共に迫る螺旋槍! その回転する切先は

敵の得物毎粉砕する絶対破壊の攻撃力。それを操る李典の武将としての技量、そして先手。

もはや負けの要素が見当たらないその天を衝く螺旋の一撃は……

「なんやて!?」

馬超の胴体に穴を空けるより早く李典の眼前に迫った十文字の切先により方向転換を余儀なくされ、

ズボボボボボボッ!! という物凄い音で土を撒き散らしながら地に埋まっていった。

「なんちゅう槍捌なん……ってうちの螺旋槍がああああッ!! 埋まる、土に埋まってゆく!!」

「へえ、やるじゃんか」

神速の突きをかわされた馬超こと華蝶仮面5号が李典に賞賛を送る。

李典は眼前に迫った銀閃をかわす為、螺旋槍を手放して後方に飛んだのだ。主の手から離れた

螺旋槍は地に突き刺さり、大地に埋まっていった。

「言うとくけど、武人の誇りとか罵られても知らんで。もともと華琳さまに拾われるまではただの

市民やし、うちの隊長はそんなんにかまけて怪我でもしたらもっと怒るさかいにな」

「右に同じなの~」

于禁が李典の側に立つ。武器を落とした自分を守る為に来てくれたのかと思った李典は……

「ってなんで沙和も手ぶらやねん!!」

「だってアイツめちゃくちゃ強いの!!」

そういって趙雲を指差す于禁。その足元に一本、後方にもう一本二天が地に落ちていた。

趙雲の一撃にて右手に持った片刃の剣を弾き飛ばされた于禁は武力の格の違いを理解し、

トドメの二撃目がくるより早く残された左手の剣を趙雲に投げつけて李典と同じく双牙の射程外

である後方へ飛びずさったのである。

「于禁とやらもなかなかのもの。初撃は剣ではなく首を狙ったのですからな」

「あ、危ないところだったの~」

一騎討ちの勝敗はついた。しかし、于禁と李典が引き連れた兵は1万人。大将の2人が無力化

されたとはいえ、どちらが優勢かなど考えるまでもなかった。


……二人の武神を除いては。


「あと5千ずつ、いいよなご主人様」

「いやよくないだろ!?」

「承知! よろしいな主殿」

「嘘だろ!?」

翠の愛馬紫燕が、星の愛馬、白馬が曹操軍1万へ飛び込んだ。

「しゃっおらぁぁぁぁ!」

翠の雄叫びと共に白銀に輝く銀閃が縦横無尽に振り回され、曹軍の首を次々と飛ばす。

「はいはいはいはいはいッ!!」

星の掛け声の数だけ双牙が打ち込まれ、曹軍の兵の胸に穴が開く。

「うわあああああッ」

最後に一刀が悲鳴をあげた。

「うっさいぞご主人様! 静かにしてろよ」

「この状況で静かに出来るかッ!!」

軽口を叩きながらも翠の銀閃は休まずに敵兵の首を次々と刎ねる、その反動で後ろで捕まる

一刀は馬から落ちそうになり翠に何度も捕まりなおす。その手がたまたまムニュリと、胸に

いってしまってもそれは仕方の無い事であった。

「ちょッ! どこ触ってんだご主人様!? ……んぁッ」

「違う、ワザとじゃない、不可抗力だ……あれ?」

言い訳しようと思ったが何か懐かしい感触だなと思い、思わずムニュムニュと翠の胸を揉みしだいた。

「☆□※@▽○∀っ!?」

「なんだろう? すごく、すごく懐かしい……」

言葉だけ聞けばなんだか記憶をなくした少女が大切な友人と再会し、例え記憶をなくしても、心が、

体が覚えていた。そんな感動的な物語が連想されそうなセリフである。

……まあおっぱいを揉んでいるだけだが。

「い、いい加減にしろッこのエロエロご主人様がッ!!」

グシャリ……と、一刀の顔面に思い切り肘打ちを食らわせ……

「あ!? やばッ、ご主人様!?」 「……あぶなッ!!」

一瞬気を失い馬から落ちかけた一刀は手を伸ばし翠の服の襟首に捕まろうとしたが過去のトラウマ

(霞全裸事件)を思い出し、とっさに掴み先を変更し、翠のミニスカートをむんずと掴んだ。

「なっ……★□△○×っ!?」

一刀は学んでいた。一応紳士である、だからこそ服を破くことは無かった。その代わりに何故スカート

を掴んだのかは解らないが、ミニスカートがひっぱられ、おしり側の可愛らしい緑の下着が露になった。

「構わん、下がれ」

星が気を利かせて翠に一声かけ、硬直しかけた翠は手綱を引いて馬毎後方に飛びんで戦線から

後ろに下がった。

「……ご~しゅ~じ~ん~さ~ま~!!!!!」

怖ッ!! 怒りのオーラがひしひしと感じられた。

「大丈夫だ! 俺しか見ていない!」

「それぜんぜん大丈夫じゃないだろ!!」

一刀の意味の解らないフォローは火に油を注いでいた。

一旦下がった星も翠の隣に馬を並べる。

「ふむ、やはり主殿を後ろに乗せて戦うのはちと難しいようですな」

もっと早く気付いて欲しかった。

「宜しい、翠は主殿を連れて鈴々と合流なされい」

「ん? 星はどうするんだ?」

「殿を務めましょう、まあこの程度なら私一人で問題ありませぬ」

「……一万人いるんですけど?」

「それがなにか?」

強がりでもなんでもない。キョトンとした表情で答える星。

「……解った、星頼むぞ。じゃあいくぞご主人様」 「え? ちょっと翠?」

翠は騎首を襄陽側へ向け走り出した。

「いやだって1対1万だぞ? 翠と星なら馬で逃げ切れるだろ?」

「バカだなご主人様、勝てるんだから逃げる必要ないだろ」

「……勝てるんだ。恋も一人で4万の兵倒したらしいケド」

「それに新野城は星達の城だろ? あたしだって五胡に武威が奪われたら五胡のやつ等全員

ぶった斬ってやりたいと思うしな」

翠なりに気を使ったらしい。

「……無双のゲームかよ」

一刀は五虎将軍の……この姫達の無双なるスケールの違いにただ呆れるしかなかった。






「……」

紫燕に跨り、襄陽へ向かう道程において、星に対する心配を話した以降翠は終始無言であった。

ちなみに華蝶仮面は既に外している。

「翠まだ怒ってるのか?」

「あたりまえだろ!」

「いやほら、李典の言った事なんて気にするなよ、どんなおっぱいにも罪は無いぞ?」

「そっちかよ!? じゃなくて、あたしが怒ってるのはご主人様の事だ!!」

「ああ、ほら初めて会った時わけが解らなかったんだけどあれ翠のおっぱいだったんだな。触り

ごこちで思い出したんだよ」

「ご主人様の頭はおっぱいから離れろっ!! じゃなくて、弱いクセに今度はたんぽぽに黙って

新野城に引き返しやがって! たんぽぽも朱里なんて泣いて心配してたんだぞ!」

「あ、そうか朱里無事だったんだな。あれ? そういえば桃香達はどうなったんだ?」

「……桃香様と雛里は襄陽に残って荊州の連中に兵を出すように説得してるよ。足の速い

あたしと星、白蓮が新野城に急いで戻ったんだ……って桃香様の話かよ」

「ん? なんで?」

「あたしも心配したんだよ……もうあんなの嫌だからな」

翠が言っているのは虎牢関で捕虜になった時の話だろう。『また心配させておきながら別の女の子

の話ってどういうことだよ!』無論口にだしてはいないがそのふくれっ面がそう語っているも同然だった。

悪戯心がムクムクと湧き上がる。先ほど胸を揉んでしまった事が一刀のブレーキを壊していた。

「そうか、ごめんな翠」

「べ、別に……解ればって、おいコラ! どこ舐めてるんだご主人様!」

「うん、翠分補給中」

翠の耳の裏に舌を這わせる。

「ば、バカ! こんな時に……うぅ~なんでご主人様はすぐエロエロ魔人にって……んんッ!」

カプリと耳たぶを甘噛みする。うん自覚してる。

何故かこのルートは家庭用向けブロックが発動するから他のルートと違って色々と溜まると

ゆーか翠にだけ何故かS心が発動するというか……仕方なかったのだ。

 1.我慢する。

⇒2.悪戯する。

ピコン……とそんな天の選択肢音が聞こえた。

(大神君の『体が勝手に……』現象と理解して頂きたい)

『……(ほほう)』

一刀は学んでいた。この状態(片手に手綱、片手に槍)だと抵抗出来ないという事を(霞の際)。

やりすぎると馬から突き落とされるのでジワジワと行く! 耳の中に舌を突っ込む。

「☆□※@▽○∀っ!?」

翠の声にならない悲鳴。これは堪らない!

『……(なんと!)』

「や、やめろ、ご主人様……ひゃうッ!」

反対側の耳に小指を突っ込みグリグリして抵抗力を奪う。

『……ゴクリ』と一刀と翠の耳に唾を飲み込む音が聞こえた。

「え?」 「ああッ!?」 『おや? 気付かれてしまいましたな』

星がいつの間にやら並走していたらしい、しれっとした顔で会釈した。

「星! いつから?」

「耳たぶを齧った辺りですな。いやはや流石馬の国、馬上プレイ(行為)とは高度な技ですな。

ささ、続けなされい。この趙雲邪魔は致しませぬ」

「そんな行為あるわけないだろ! これはエロエロご主人様が無理矢理……」

「星、曹操軍は?」

「おおそうでしたな。十分の一程度倒した所10万規模の援軍が来ましたので流石に逃げて

きた所存、その後はわかりませぬな」

10分の1でも1千!? 相手は歩兵で道幅は狭いから同時に来るのは数名であろう。かつ相手は

同士討ちを避ける為に剣のみの弓無しで足場は死体で悪くなる一方。それを考慮してもやはり

趙子龍の槍はこの外史でも無双だった……って10万の援軍!?

聞き逃せぬ単語がサラリと星の口から放たれた。

「……って聞けよ!!」

恥ずかしい姿を見られた事を必死に誤魔化そうとしているのに無視されて怒りだす翠。

いやいやいや! もうそれどころじゃないから!!







――― 司馬懿隊


「……沙和、真桜!!」

楽進こと凪は元は新野と襄陽を結ぶ道だった筈の場所、もはや死骸が埋め尽くす地獄としか言い

ようの無いその場所で親友の名を叫んだ。

被害の少なかった兵1万を編成し、李典、于禁を大将とした追撃部隊を編成。先行させたという

夏侯惇将軍の話を聞き、司馬懿一刀は2陣の兵を連れて続いた所、夕方に合流した。

いや合流というのは正確ではないかもしれないが。

「た、隊長、凪……」 「負けたの~」

「真桜、沙和! 無事だったか」

フラフラとした足取りで近づく李典と于禁の姿を見、一刀と凪はホッと安堵の息を吐いた。

「沙和ちゃんと真桜ちゃん率いる部隊をここまで倒すとは……これは伏兵にやられたのですか?」

一刀の馬に同乗している風が神妙な顔で二人に尋ねる。

「ち、違うの~……」

「兵やない、相手は2人や」

「2人? たった2人で1万の兵が負けたというのですか!」

ありえないと郭嘉が声を荒げた。

「正確に言えばほとんど一人にやられたの~」

「いったい誰なのです?」

「劉備の将や、たしか名前は……趙雲」


趙雲子龍。


劉備に仕える大陸五指に数えられるであろう武神の一人。この外史において活躍の場がなく埋もれていた

彼女の名は、この日曹操軍の心に恐怖とともに刻み付けられる事になる。








(あとがき)


唐突なセクハラシーンはこの物語における二人の関係の変化を認識してもらう為の苦肉の策

であり、物語のテーマを明確にする為の必要な処置でした(大嘘です)。



「凄く、凄く懐かしい」……はGS美神よりおキヌちゃんの話。

37話後編は実際4まで。ガリガリカットしてったら短すぎたので次の38話くっつけました。

荊州編が終わったら整理します。


カットのシーン一部:

「うちのドリルは天を衝くドリルなんや~ッ!!」李典の放った魂の螺旋は新野城の城壁を

突き破り、多くの兵の命を救ったのである。

理由:そんな兵器あったら攻城戦無敵じゃねーか(汗)


全滅=3割の損耗率としてます。

うん色々思ったのですがこれは真・恋姫無双の二次SSなんだから

正史はどーだとか実際趙雲強いのか?とか1万とかwは許容範囲だなと。

(素振り100回で結構疲れるのに1振り1殺でも1万回槍振るうなんてそら無理だし)

数に違和感あったら減らして読んで下さい。

五指は恋、翠、愛紗、星、鈴々の5人です。人外(漢女とか医者王)は論外。






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