5ちゃんで面白い記事を見つけたよ。
なんでも親が厨二病だったんだって。気の毒だね。
この人、髪が銀色でオッドアイなんだって。しかも手の甲に紋章があるらしいよ。
すごいね。人生のはじめから絶望しちゃうね。コーディネートされた側も厨二病だったらまだましだったかもしれないけど、多分5ちゃんとか見てるうちに気づいちゃったんだね。
プラントにいればコーディネーター全体がやや厨二病だから気にならないかもしれないけど、この人地球在住みたいだよ。
このブルーコスモスが増えてきているご時世で可哀そう。いろいろと申し訳ないよ。
でも想像したら笑えるね。
見た目のせいで今まで苦労してるみたい。半分引きこもりだって。
ハンドルネームは”電車”。電車の中で酔っ払いに絡まれた女の人を助けたって書いてある。
それでその助けた女の人からペアのマグカップをもらったんだって。
どこかで聞いたような話だね。
女の人に電話して今度食事に行く約束をしたらしいよ。
頑張ってほしいから真面目にレスしとくよ。
ガンダムSEED 超宇宙シンデレラ ラクスちゃん! 第十三話
ギターの練習をずっとしてる。
ひたすらコードを押さえる練習ばかり。時々歌いながらギターを弾き続けるよ。
先生に時々教えてもらいながら曲を考える。最近ね、自分で曲を作りたくなったんだ。
まだ自分の考えを言葉にできないけど、いつか歌にして伝えたい。
この前クジラ石の前で歌ったら親父に怒られた。
「何であんなことをしたんだ、ラクス!」
「ついカッとなってやった。今は後悔している」
「ラクス!」
そんな感じでのらりくらりと親父をスルーしたんだ。親父は善人だけど根本的に頭がおかしいからね。
ナチュラルを下に見てるんだよね。同じ人だとしても。
穏健派といってもコーディネーターがナチュラルに戻っていった方がいいと考えているだけ。
コーディネーターとナチュラルが平等なんて一言も言ってないんだよね、実は。
あの時確かにクジラの声が聞こえた気がした。
あの声は忘れることなんてできないね。
そして帰るときに見た淡い緑色の光。
また歌いに行こうと思う。またあの声と一緒に歌いたいから。
そう言えばあの日の事がニュースで流れてたよ。
『今日の午後2時ごろ、最高評議会場でストリートライブが行われました。そしてなんとライブを行っていたのは最近、人気急上昇中のラクス・クラインです。ラクス様はエヴィデンス01の前で十分ほどサードシングルであるANGEL VOICEを歌われたとのことです』
『一部では売名行為ではないかとの声も上がっていますが、ラクス様は「ついカッとなってやった。今は後悔している」と棒読みでコメントを残されました。』
『その後、「クジラに向かい歌いたくなったんだ。化石だけど歌を聞いてほしかった」とも仰られ、晴れやかな表情をなされていました。実際に後悔しているご様子ではないとのことです』
『彼女はまだ10歳ですからねぇ、スターといっても人格まで大人という訳ではないでしょう。微笑ましいじゃないですか』
『そうですね。伸び伸びと育ってほしいものですね』
そんな感じだったよ。なぜか好意的に受け止められているんだ。まぁ、アニメじゃフリーダム盗んでも好意的にとらえられていたからね。
カリスマ性なんてあるのかな。あることに超したことはないけどさ。
でもカリスマ性とかじゃなくて歌で注目してほしいね。いつか”ラクスだから”じゃなく”歌”でニュースに出てみせる。
5ちゃんでもラクスたん、萌えっていう書き込みが多くなってきたよ。
複雑な気分だよね。何も知らない状態だったら素直にファンが増えて嬉しいとか思えるんだろうけどさ、5ちゃん住人が私で賢者タイムに至っているのかと思うと気持ち悪いからね。
でもそれは気にしてもしょうがないね。自分で5ちゃん作ったんだから我慢しないと。
今度、メディアで言ってみようかな。
「5ちゃんねるって知ってる?うん、いいとこついてるよね。ん?よくチェックするのかって?偶に書き込んだりはするよ」
ってなこと言ってみたらどうなるんだろう。面白いあだ名つけてくれないかな。
ラクス様って呼ばれたくないんだよね。親しみを込めた様なのがいいな。
黄道同盟のシンパが増え、あちこちで新しい工場が作られているらしい。
多分ニュートロンジャマーだね。もしくはモビルスーツの研究施設か。両方かもしれない。
今思えばさ、まだZAFTって軍じゃないよね。じゃああの仮面今何やってるのかな。
歴戦の軍人扱いされてたけど、そこらへんどうなんだろ。
ZAFTはまだ政治結社だよ。警察と一緒になってないからね。
あの仮面に私の歌は伝わるのかな。どんな人にも届いてほしい。
そう言えば仮面で思い出したけど、ギルバート・デュランダルとかいう人もいたね。最後暴走した人。
途中まではあれだけ上手く人を操ってたのに、政策があれだからね。
ナチュラルも気付こうよって話だよね。殆どコーディネーターが上司になっちゃうのに。
まぁコーディネーターは専門職に就職して、管理はナチュラルっていう関係になるかも知れないけど。
何百年もかけてコーディネーターが自然回帰したら遺伝子的な優越は無くなるだろうけどさ。
それに遺伝子で全てを決めるなんて馬鹿らしい。
歌は遺伝子で歌う物じゃない、ハートで歌うんだよね。
今いいこと言ったね。事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてんだ!的な。
クライン邸にパトリックおじさんと仮面が来たよ。タイムリーだね。
仮面はアニメだから許されるんだよ。現実じゃありえないよね。
「初めまして、ラクス様。ご機嫌麗しゅう。ラウ・ル・クルーゼと申します」
「ヤックデカルチャー」
仮面が怖いよね。
「あの、これは・・・・どういう意味でしょうか」
「ああ、気にしないでくれ。たまに言うんだ」
親父もこのあたりの対応が手慣れてきた。仮面はパトリックおじさんの側近らしい。側近ってあたりが曖昧だね。
多分、政治結社の方が本職だけど、警察にも所属してるのかな?
プラントは12の市からなっている。つまり12人の代表によって政治が行われているわけなんだ。
つまりこの二人が協力したところで、プラントの政治のカジ取りができるわけではない。
クルーゼをほかの議員のところに工作員として送っているんだろうね、多分。
でも仮面じゃ目立つことこの上ないから向いてないと思うよ。
三人の会話を盗み聞きするのは危険だから今回は止めておく。
クルーゼってニュータイプっぽいよね。
ピチューン!とか聞こえてるんだよ。
今回盗み聞きしたらクルーゼにばれそうな気がする。現実でピチュったらそれでお終い。
ばれたらきっとアスランと婚約させられて、プロパガンダにされて子供産まされるんだ。
それだけは嫌だ。だから今回は慎重になろうと思う。
そうだ。家の中に盗聴器仕掛けようかな。主に親父の書斎。発見されたら危ないけど。
やってみる価値はありそうだね。エリカさんに今度頼んでみよう。
クルーゼにはラクス・クラインという少女が不思議な少女に見えた。
まぁ、彼女を見て普通と思う人間はいないだろうが、とにかく不思議に思えた。
大抵の人間は自分を見れば驚き、不気味に思い、表情に出す。しかしこの少女は眠そうな顔で一言目に意味不明なことを言い出した。
そして特に怖がった様子もなく接してくるのだから、ますます不思議に思った。
この少女は最近ニュースで騒がれていた。なんでもエヴィデンス01の前で歌っていたらしい。
何をしたいのだろうか。
歌など下らないものだ。人の欲望を歌いあげ、時には綺麗事を並べただけのもの。
心にもないことをもっともらしく歌い、時には嘘泣きもする歌手という人種。クルーゼにとって歌手というのはそんな嫌悪に値する人種だった。
いまはこのパトリック・ザラに従ってはいるが、どんな綺麗事を言っても所詮は人間。自分を生み出した憎くて仕方がないナチュラルと同じ。
そして今は弟のような存在のレイを生み出したのはナチュラルではなく、コーディネーターなのだ。
どれだけお互いに言い合おうが、所詮ヒト。欲望には果てがないのだろう。
それはこの少女でも同じだ。
クルーゼはそう決めつけていた。
帰り際にふと思いつき、あの少女になぜエヴィデンス01の前で歌ったのか聞いてみることにした。
普段では考えられないが、何故か興味が湧いてしまたのだ。
「それはクジラに向かって歌いたかったからです」
「クジラに向かって?」
少女はリビングのソファに腰掛けながら言った。その姿は小さいのに不思議と大人びて見えた。
「そう、歌いたいから歌うんです。私は歌手ですから」
「・・・・歌いたいから・・・・歌う?」
てっきり綺麗事を並べるのかと思っていた。思ったりも素直な性格のようだ。
「そう、歌が大好きなんです。声はコーディネートすることができますけど、その人の歌はコーディネートできません。歌は感情で歌うものなんです」
少女はそう言ってむん!と胸を張った。どうやら良いこと言ったと思っているらしい。
そしてさらに続けた。
「感情はその人だけのものです。むしろ親から頂く遺伝子に手を加えている時代ですから、感情以外に個人を表すものなんて無いのかもしれません」
―――ッ!?この少女は私の身の上を知っているのだろうか!?
いや、それはあり得ないだろう。メンデルにいた人間ぐらいしか知ってはいないはずだ。
「ですから同じ曲を歌っても人によって全然違う歌になるんですよ」
「―――そうですか、それは知りませんでした。・・・・・・・・今日はこれで失礼します」
「ええ、ではまた」
「はい、では」
所詮は綺麗事だ。同じような言葉ならいくらでもある。
そう自分に言い聞かせてもなぜか少女の言葉が頭から離れなかった。
私には歌など歌えるわけがないのに・・・・・・・・・。
『今日のシモンズさん』
エリカ・シモンズは開発とは違う事で悩んでいた。
最近地球連合からの圧力がひどい。スパイも多くなっていると聞くし、何よりもあからさまな引き抜きにかかっていた。
引き抜きは自分たちが以前同じことをしたのだから自業自得ともいえるが、研究に集中できないのは嫌だった。
モルゲンレーテにはラクスのファンが多いのでまだ研究を進められる状態だ。
しかし戦時下で守秘義務なんて守られるわけがない。研究員を引き抜かれた揚句に、技術の流出があることは明白だった。
ラクス専用機の開発には信用のおけて、ラクスファンという者だけで行う事にした。
技術の流出はしょうがないが、この機体の事だけは漏らすわけにはいかない。
動力も軽量化したこと何とかなる。ラクスの目的は戦闘ではないのだから長くて1時間稼働できればよいのだ。フェイズシフト装甲も初めは使わないだろう。
燃料電池と補助に太陽電池を付ければ良い。ラクスにニュートロンジャマーの事を聞かされてから太陽電池の研究を急ピッチで進めている。
正直研究員達の目が危ないことになっているが、それは自分も同じだ。正直言って不気味すぎる。
太陽電池の進歩はこの半年で凄まじいものがある。いままで注目されてはいたが、開発はあまり勧められていなかった。
だから改良するべきところはいくらでもあったのだ。
しかしこの技術たちは地球連合に盗まれてしまうのだろう。よくあることとはいえ、自分たちの苦労した技術が盗まれるというのは腹立たしいものがあった。
「胃腸薬もう切れてたかしら?・・・・・はぁ、胃が痛い。・・・・・後、寝たい」
ラクス専用機ができるまでエリカの胃腸が持つかどうか、それは誰にも分からない。
To be Continued・・・