「……ちんきゅ、あんなの見たことない。どう思う?」「うむぅ。あんなヘンテコな陣形。見たことがないのです」 三国最強の武将が、虎牢関の外壁の上で風に吹かれていた。 呂布は、遙か眼下の風景を見ていた。 彼女は、ろくに補修もされていない古びた石の壁に、背中を預けている。この建物は、守るべき立場からすれば、これほど頼もしいものもなかった。毅然として、そこに立っていた。なにせ、この虎牢関と、すでに落ちた汜水関は、前漢や春秋戦国を通り越して、800年前の、殷の時代から存在している。 そのため、ずいぶんと、あちこちガタがきている。 かなり補修が入って、何度か立て直されてはいるが、手つかずの場所も多い。しかし、その防衛力は異常だった。虎牢関は要塞ではなく、狭い道を塞ぐ分厚い一枚の壁であり、突破するには三つある鋼鉄の扉の、どれかを破らなければならない。 ──そして、その眼下。 見えるのは、反董卓連合だった。 そこから見える大将旗は、みっつ。 『袁』、『曹』『孫』であり、それぞれが左翼、中央、右翼を担当している。総兵力は八万近くになるだろう。 だが。 頭上から睥睨して見れば、その陣形の異質さがよくわかる。 ──袁紹軍の左翼が四万。 ──曹操軍の中央が二万。 ──孫策軍の右翼が二万。 左翼に人数が随分と偏っていた。 まるで素人が組んだような陣形だった。 なにかを誘っているようにも見えない。ただその左翼は正面に進むことだけを考えているようで、異常にバランスが悪い。意識も規律も文化もまったく異なる三つの混成軍をまとめ上げるなど、孫子でさえできないだろうから、当然だと陳宮は考えていた。「馬鹿にされたものなのです。人数があれだけ違って、同じように攻めかけられるはずがない。恋どのが、あれだけ叩いたというのに、まだこりてないのですか」「──あれが、正真正銘、最後の攻撃だと思う」「当然なのです。あれを打ち破れば、あちらに次の札はない。ねねたちの勝ちなのです」 呂布と陳宮は、そう結論づけた。 そして、それはまったくもって正鵠を突いている。 だからこそ、あの三軍は窮鼠となって、全力で立ち向かってくるだろう。「隊長。軍師どの。出撃の準備、完了しました」「……うん。高順。ごくろうさま」「いえ、当然のことです///」 ──高順。 呂布が率いるこの虎牢関防衛軍、総司令官補佐、兼、呂布隊の副隊長だった。 着込んだ鎧がよく似合う、手足がすらりと長い、長身の女性だった。一度戦場に立てばいささかの揺らぐことのない氷のような美貌。 それが、呂布を前にして、とろ火で炙られたように溶けて、てれてれとしていた。「それであの、洛陽から派遣されてきた軍監さまが、挨拶したいらしいです。追い返しますか♭」 高順が、びしっと右手の親指を立てていた。「……会う。呼んできて」「その必要はないわよ。もう来ちゃったから」「──なんの用?」「呂布ちゃんてば、睨まないでよこわいこわい。こちらもお仕事として、董卓さまからの命令を伝えにきたのよ」 呂布は、目の前のこの女を、まったく信用していなかった。 この女がきてから、自分の主は変わってしまった。この女や得体の知れない怪しいものたちを傍において、昔からの家臣は、誰一人近づけなくなった。 陳寿。 天の御遣いと呼ばれているらしい。 乱世に現れて、仕えるべき主を見定め、この乱れた世界を正しい方向に導く存在だと言い伝えにはある。しかし──呂布としては、むしろ、彼女が自分の前に現れてから、すべてが狂い始めたような気がしていた。「……月は、なんて?」「洛陽がごたごたしてるから、一週間以内に蹴りをつけてきなさい──だ、そうよ。洛陽の本隊が、馬超と韓遂の西涼軍と、小競り合いをはじめたわ。本格的な激突も、近いでしょうね」「……本気なのですか? たやすく勝てる相手ではないのですよ」「私に言われても知らないわ。一度勝てたんだから、二度目も勝てるでしょう?」「……本当に、それ、月の命令?」「疑り深いわねえ呂布ちゃんは。それなら、はやく下にいる連中を片づけてきたらどう? 恐れ多くも董卓さまに反抗する愚かな連中を追い払って、洛陽に凱旋すればいいわ。そうしたら、董卓さま直々に、お褒めの言葉をかけてくれるそうよ。よかったわねー」「………………」 呂布は、陳寿に背を向けた。 もう話すことはなにもないということだろう。 あとは、彼女のほかには、外壁で見張りをしている数人の兵士達だけが残される。「……嫌われたものね。まあ、しょうがないけど」 陳寿は肩をすくめた。「ねえ、干吉ちゃん。中間管理職は辛いところよねぇ」 陳寿はふりかえると、いつの間にか傍に寄り添っていた白の方衣姿の男に同意を求めた。「……それは、意見を差し控えさせていただきます」「あら、正直ね。まあいいわ。それにしても──」 陳寿は、虎牢関の外壁の上から、布陣している反董卓連合の三軍を見渡した。 いびつな陣形。 およそ戦理に沿っているとは考えられない。 普通の軍ならあれでも通用するだろうが、相手は呂布である。かすかな緩みすら致命傷となりかねない相手なのに、あのような陣形でまともに戦えるはずもない。あのままだと、袁紹軍のほとんどが遊軍と化すだろう。まあ、まともな軍師ならそう考えるわね、と陳寿は心の中でほくそ笑んだ。「──斜線陣。えげつない陣形をつかうものねぇ。古代ローマで発明された、最強の陣形だけど、思わぬところに遣い手がいるものだわ」「あのふぞろいな陣形は、斜線陣というのですか。どのような陣形なのです?」「一言で言うのなら、極限まで無駄をそぎ落とした、お手本のような包囲陣形、かしらね。──強いわよ。古代の戦争における、それからの戦闘を劇的に変えたとされる三大発明ってのがあるんだけど。 ひとつは、鐙(あぶみ)。馬に乗ったときに騎手の身体を支えるためのものね。馬上でふんばれることによって、騎兵の戦闘力は格段に上がったとされているわ。ふたつめは、長弓。射程距離が数百メートルと言われているみたいね。相手の届かないところから一方的に攻撃できることの利点は言うまでもないでしょう。織田信長の鉄砲隊ぐらい無双ができたんじゃないかしら。 ──そして、三つ目があの、斜線陣よ。メインで攻撃する部隊が、ああやって倍の兵力で押し包む陣形なんだけど、まあ見ていればわかるわ」 くすくすくす、と陳寿は上機嫌に笑った。 これから始まる地獄絵図に、幼子のように胸をときめかせている。「──そこまでわかっているのなら、教えて差し上げればよかったのでは? 知らぬままぶつかったら、いくら呂布といえど、負けるかもしれませんよ?」 干吉は、喉に手をあてて、考えていた。「美学がないわね。干吉ちゃんは。私たちは歴史の傍観者。あまり介入すべきではないわ。こういうのは、こっそりとドミノ倒しのように、最小の介入で最大の効果を出すから面白いんじゃない。それに、せっかくいろいろ仕掛けを用意したんだもの。──せめて、一刀くんと曹操さまご一行には、最終ステージの洛陽までたどり着いて貰わないと、お話が盛り上がらないでしょう?」 彼女は、にたぁ──と笑った。 げらげらげら、と陳寿の顔が粘土でこねたように歪に崩れている。彼女の笑う様は、人間の顔面の可動域の、限界に挑戦するかのようだった。「くすくすくすくす、あはははははははははは。いけない。楽しくなってきたわ。そういうわけで、すごくすごく残念だけれど、呂布ちゃんには──ここで死んでもらいましょう。ああ──楽しみだわ。いったい、呂布を討ち取るのに、どれだけの血が流れるかしら。土に還りゆく英雄達の返り血と悲鳴を肴にして、我々はここで見物といきましょうか」 虎牢関の門から出て、布陣した呂布の騎兵隊が、推行陣を敷いている。 後退も小細工もなく、ただ敵をまっすぐ、『貫く』ためだけの陣形である。思わず、喉が鳴ってしまう。生半可な陣営を組んだが最後、そんなもの紙細工のように突破されるだろう。 呂布の突撃を、真っ向から受け止める自信は、どこにもないし、どれだけの死線を越えても得ることはできなさそうだった。 けれど──できるできないは別にして、やらなければならない。 突撃を受け止めるのも、先鋒としての、北郷隊の仕事のうちだった。それは、先鋒を承ったときから決まっている。相手が呂布だからとはいえ、今さら、できませんなどと言えるわけがない。 決死隊のメンバーは、すでに所定の場所に、潜んでいる。 決死隊というと使い捨てのように聞こえるが、ほぼこの反董卓連合のベストメンバーが集まっていた。決死隊のメンバーだが、200名ほどで、その中で名のある武将だけをピックアップすると、こんな感じになる。 まず、公孫賛軍から、劉備と張飛と関羽。孔融のところから、太史慈と黄忠、あと武安国。袁術軍から、華雄、趙雲、紀霊。あと八大神将。 蜀の五虎将(関羽、張飛、馬超、趙雲、黄忠)が四人まで揃っているのだから、おそらくはこれでなんとかなるだろう。袁紹軍と曹操軍と孫策軍の将がひとりも割けない状況で、これだけの将をかき集めたのだ。これで満足するしかない。 今現在、真桜の隊が全力で陣地を作成している。 どんな強力な突撃でも、抜かれたら最後だ。こちらは必ず、受け止めなければならない。突っ込んでくるのは、孫策のところか、俺のところか、春蘭のところか、まあ三分の一だろう。いや、裏をかいて厚みのある袁紹軍に突撃していく可能性もある。すると、確率は四分の一。 ──いや、必ずこちらに来る、そう考えるぐらいで丁度いい。 前回は、睨み合いだけで、直接戦闘まではいかなかった。 事実、これが、北郷軍の初陣になる。 田豊の作戦に従うなら、ただ耐えるだけでいい。 あとは、呂布の突撃を受け止めることがどれだけ困難か、その難問に挑戦することだけだ。 呂布の騎兵隊は目減りしている。前回のように、敵陣営の情報が流れているわけでもないこの状況で、騎兵隊が突っ込んでくることはない。 まずは歩兵と歩兵の激突になる。 そして──田豊の策が噛み合えば、その小競り合いだけで勝負は決するはずだった。半分以上、呂布の騎馬隊が出てくるまえに勝敗が決せられる。 双方の大将が檄を飛ばしている。 陣太鼓の音が、前進を告げていた。 ひとつ、こちらもそれに倣うとしよう。俺は沙和に伝言を頼む。これより行われるのは、北郷隊最強である沙和鬼軍曹による、最終突撃命令だった。「これよりきさまらは貴様らは一人前の戦士になるのー。泣き言を漏らすな、クソをもらせっ!! きさまらは、北郷隊を愛しているかーっ!!」「給料分ッ!! 給料分ッ!! 給料分ッ!!」「よしっ。ブタどもいい返事だっ!! 命を賭け、誇りを賭けろっ!! 貴様らはクソなのっ。けど、仲間を見捨てるやつはクソ以下の固形物なのー!! 勇気をもって敵にあたれっ!! 総員奮闘せよっ。がんばれば、きまぐれな女神が、ケツに奇蹟をつっこんでくれるのーっ!! 私はむずかしいことは一切言わないのっ。ただ、自分の場所を死守しろっ。ほんの一刻だけ、この場所を動かなければ、私たちの勝ちなのー!! 総員、戦闘準備ッ!!」「おおおおおおおおおおおっっっ!!」 砂煙をあげて、双方が激突する。 歩兵と歩兵が噛み合う。 ──リミットは、三〇分。 それだけでいい。それだけ耐えきれば、こちらの勝ちだ。 田豊の策は、しごく明快だった。 ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ 味方を白、虎牢関の防衛軍を黒とする。 左の白が袁紹軍、 真ん中の白が曹操軍。 右の白が孫策軍と考えていい。 左翼だけを厚くし、中央と右翼は同数の兵力を拘束する。 \ガガガガガッ/ ○●●● ●●● ●●● ○●●● ●●● ●●● ○○○○ ○○○ ○○○ ○○○○ ○○○ ○○○ ○○ そうしたら、相手を同数の兵力で足止め。 左翼は、余った兵力で左から回り込む。 ○○ ○○●●●●●● ●●● ○○●●●●●● ●●● ○○○○○○○○○○ ○○○○○ ○○○ 相手を拘束したまま、左から回り込んだ兵力で、相手をひたすら圧力をかけて押し込む。こうなったら、もう黒に生きる目はない。この状況に持ち込めば、すでに相手の軍は崩壊しているはずだ。 理想的な、包囲陣形である。 遣い手の田豊の話によると、 ──これを、斜線陣というらしい。 そして──もう負けはない。 左から高速で、文醜将軍と顔良将軍の騎兵隊が、横から敵に突っ込んでいった。すでに、八割以上、包囲は完成している。俺は、悲鳴を上げて、臓物をまき散らし、なぎ倒されるように命を狩られていく敵の兵士たちを見ていた。多方向から攻撃を受けて、すでに敵はもう戦意を維持できないようだった。一方的な蹂躙がはじまり、すでに一部では追撃戦に移行しているところもある。 呂布の騎兵隊は、すでに包囲網のなかに閉じこめられている。 こちらの恐れていたことは、呂布に戦場を自在に駆け回られることだった。だから、いまはもう、騎兵の長所を、これで完全に封じたかたちになる。おそらくは、この包囲網から、槍を突くように研ぎ澄まし、一部分を裂くようにして、呂布の突撃がある。しかし、それも、こちらがコントロールしている状況の範囲内だった。 俺の隊の損害は、きわめて軽微。 ──死人、怪我人をゼロとまではいかなかったが、予想よりはずっと少ない。けれどいくら少ないといえど、自分の部下を死なせることの痛みに、人数の多寡など関係あるはずがないのだ。「袁紹軍だが、今まで未知数だと思っていたが、すさまじく強いな」 ほぼ、予知に近いほどの袁紹の豪運と、俺の詠に匹敵する田豊の神算鬼謀が揃っているのだ。弱いはずがない。まるで無駄のない動きをしている、大陸でも屈指の軍隊であるはずの、曹操軍と孫策軍が霞むほどだった。 華琳のどうしようもない指揮(華琳の指揮11 曹操は87)を見ているので、その姉のも、あまり大差がないのだと思いこんでいたが、呂布軍を片手でひねるように叩き潰したことで、その認識を大幅にあらためる必要があるようだ。 少なくとも、敵にまわして、勝てる気がしない。 さらに、戦略はおそらくすべて袁紹の運で構成されているために、俺の詠の知略が通じるとも思えない。あれ、もしかして、無敵じゃね。「おにーさん。呂布の騎馬隊が、動き始めたそうなのですよ」「ついに、か」 表向きの軍師である程昱に、そう報告をうけた。 全身が、緊張でひきつるようだった。あれだけは別格だ。 すでに虎牢関防衛軍の負けは動かないが、呂布の働きによっては、無理やり引き分けぐらいにはもちこまれる可能性もある。 どこか、包囲を破れる場所を探しているのだろう。 黒備えの、大陸最強の騎兵隊。 どこに──くる? 「退屈ですわね。まるで、手応えがないですわよ。これ、わざわざ私が出てくるまでもなかったのではなくて?」 袁紹は馬上で頬杖をついていた。 愛用の華琳さま人形を抱きしめながら、刻々と変化する戦場を俯瞰している。「……まさか。麗羽さまがいるからこそ、兵士たちは皆、命の続く限り戦おうとするのです。常勝将軍などというのは、いないとそれだけで兵士たちの士気が落ちるのですから」「おーっほっほっほっ。当然ですわ。それで田豊。呂布さんの首を、わざわざ他の者たちに取らせるつもりですの?」「はぁ、麗羽さまには、なにかほかに策でもあると?」「ええ──アレを使いますわ。冀州から延々と運んできたのは、このためではなくて? 我が軍の秘密兵器ですわ。いますぐ麹義さんに伝えなさい。ようやく、私らしい戦ができますわ。心が躍りますわよ」 袁紹の発言に、田豊がげんなりしていた。「秘密兵器というと、ああ、あの移動にやたら手間がかかる上、一発撃つごとに分解整備が必要で、方向を変えることもできず、斜面ではまったく役に立たないあの欠陥兵器ですか?」「あの威力とかっこよさと派手さに較べれば、そんな欠点、些些なことですわ。名家に生まれた私に、あれほどふさわしい兵器もありませんわ。麹義さんも出番がないと拗ねるでしょうし」「いや、たしか使ったあとの分解整備が大変すぎるから、絶対に使わせないでくれという下からの悲鳴が」「なにか言いまして?」「いえ、すぐに手配します。それで、どこに移動させましょうか。一度決めたら動かせないうえ、配置する場所を間違えたら、なんの役にも立ちませんが」「ここ──ですわね」 袁紹は、自らの霊感に導かれるままに、地図のただ一点を指した。 それだけで、なんの疑問もなくすべてが動き始める。彼女の勘が外れることは絶対にない。絶対的な大将への信頼のみを拠り所にして、袁紹軍は最強を誇っている。一度決まったことに、田豊はもう言葉を重ねなかった。 袁紹が指さした場所は、包囲網のもっとも厚い場所。 すなわち呂布は、ただ愚直にこちらの本陣のみを狙ってくるという読みだった。本人に聞いても、ここが一番見晴らしがよさそうだからですわ、という意見しか還ってこないだろう。聞けば聞くほど、判断が陳腐になるということだけはわかっている。彼女の思考など問題としない。 ただ──呂布がこのポイントを通ってくるという事実のみがあればいい。 伝令から、麹義隊の配置が完了したと、連絡があった。 麹義(きくぎ)の弩隊。 史実にて、公孫賛の白馬騎兵を全滅させた実績をもつ、袁紹軍最強部隊だった。ちなみに、三国志における知名度は絶無に等しい。官渡の戦いという最大の見せ場前に粛正されているからだった。「──撃て」 ヒュンッ──ッ!! 動き出した呂布の騎兵隊、包囲網を紙のように喰い千切ったその突進力は、その出始めに、完全に封殺された。 すでにその場所は、袁紹の指示によって呼び込まれたクロスファイア・ポイントだった。埋伏した強弩兵たちが、荷車に乗せた五人がかりで動かす強弩に張りついている。石火矢の合図とともに、一斉に放たれた矢は、常識では考えられないほどの推進力を与えられ、呂布の騎兵隊を殺戮していく。 あまりに一方的だった。 悪魔的な勘の冴えが、あらゆる不利を覆している。 呂布の騎兵隊は、この一撃のみで全滅し、 ──呂布の命は、ここで尽きた。 次回→『呂布、陳寿と契約し、春蘭、片目を失う、とのこと』