旅禍侵入五日目・早朝
朝、悪夢にうなされた目が覚めた、大虚に踏み潰される夢だ。
いやいや、普通に尸魂界でごたごたが起きてるときにこんな夢を見ると不安になるんだが、何かの前触れじゃなかろうな。
目が覚めたら玄海嬢ちゃんが具現化していた、準備OKとか訳判らん。
なんかシャドーボクシングしてるんだが、何かあるんだろうか?
しかも、かぶってた毛布が外れてるし、何か体の節々が痛い、寝違えたのだろうか?
夜一さんがニヤニヤしていた、オレンジ君は起きましたかと聞いたらまだらしい。
相変わらずニヤニヤしながら夜一さんは、つくづく規格外な奴じゃな、普通の斬魄刀はそこまで自分を主張したりはせんのじゃがとか。
そんなこと言われても、俺は玄海嬢ちゃんしか知らんしな、俺にとってはこれが普通だしなぁ。
何時までも首捻っててもしょうがない、とりあえずそろそろ西流魂街に向かおう、大体の場所聞いたし、迎えに出ないとどやされそうだ。
横目で見てみると玄海嬢ちゃんが妙に気合入ってる。
あぁ、なるほど、青春の嬢ちゃんが来るからか、納得した。
何だかんだ言いながらライバルなんだよなぁ、あの二人(?)。
青嬢ちゃんと黒嬢ちゃん、二人はプリキュアみたいな。
若干、色のコントラストがかみ合ってないところがこの二人らしい。
とりあえず、玄海嬢ちゃんは移動中も消えずにふよふよと右斜め上後方に浮かんで飛んで付いてきていた。
別に具現化してるのは良いんだが、見つかったりしたら困るので外套の中に手招きした。
一緒に外套かぶって瀞霊廷を抜けたんだが、人気が無くなっても今度は逆に外套から出てきてくれなくなった。
何か見せ付けてやるとか、私のとかぶつぶつ言ってたのが印象的だったなぁ。
うん、まぁ、好かれてるのは判ってるんだがなぁ……
死神としては喜ぶべきなんだろうな、うん。
旅禍侵入五日目・朝
遅いんじゃボケェとか言いながらひよりちゃんに蹴られた。
どうやら昨日の夜の時点で着いてたらしい、そんな事言われても知らんがな、その頃はオレンジ君の治療中だったんじゃねぇかな。
他の連中は思い思いにくつろいでた、カオス過ぎる、どうやって持ち込んだんだよジャンプとか。
呆れて周囲を見回してると出迎えご苦労、とか言いながら青春嬢ちゃんが突貫してきた。
多分だが駆け寄ってきてジャンプして抱きつきたかったらしい。
が、そうは問屋がおろさないという感じに青春嬢ちゃんの目の前に玄海嬢ちゃんの黒玉が跳んできたのは俺のせいじゃないから。
涙目で睨まないでほしい、玄海嬢ちゃんも勝ち誇った顔で外套から顔を出さない、青春嬢ちゃんが青筋浮かべてるだろうが。
平子さんが相変わらず仲がええなとか、まぁ、正直めんどい。
とりあえず隠れ家に案内するか、浦原さんから霊圧隠しの外套とか預かってないかと聞いたら義骸があるから大丈夫とか言われた。
以前、青春嬢ちゃんが言ってた霊圧隠せる義骸という奴だろうか?
玄海嬢ちゃんと右と左で睨み合ってる青春嬢ちゃんに聞いてみた。
浦原えもん謹製の霊圧を完全に遮断するモノらしい、弱った霊体を入れると回復できずに死神でも一般の人間と同じ魂魄になるんだとか。
弱った霊体の回復用である義骸としてはどう考えても失敗作だが、その代わり中に入った霊体の霊圧が探知できず潜伏用には最適ってわけか追放受けた上に逃走して潜伏できてたわけだ。
別の使い道も有ったけどねとか意味深に笑ってるんだが、思い浮かんだのはルキア嬢ちゃんの事。
もしかしてこの一連の事件は計画通りって奴なのだろうか?
ルキア嬢ちゃんはおとりかぁ、ホンキで双極かけられたらどうするつもりだ?
そんな事したら白哉君今度こそ感情なくなるぞ、ただでさえ最近仏頂面が偉いことになってるというのに。
少し怒ってそう言ったら、玄之丞なら止めてくれると信じてるよと言ってにっこり笑われた。
昔から、ホント、腹立つ女だな、こいつは。
その顔でそう言われたら俺がちょっとだけ許しても良いかなぁ的な事を考えるのがわかっててこういう事するんだからな。
後で白哉君に顔出して謝っとけよ、ルキア嬢ちゃんにもな。
そう言って明後日の方向を向いたら、はいはいツンデレツンデレとかアホな事言い出した。
誰がツンデレだ、このチビ死ねばいいのに。
玄海嬢ちゃんも信じるな、つねるな、手元で黒玉を包丁に変えない、青春嬢ちゃんを刺そうとしない。
全く、やっとれんわ、てかリサちゃん、興味心身にこちらを見ない!
てか、みんなも見てるのかよ、こっち見んな!
旅禍侵入五日目・昼
とりあえず大過無く隠れ家まで到達できた。
確かに、他の連中もこの人等の霊圧に全然気付かない、青春嬢ちゃんが真上に居てもこっち見なかったら気付かれないよとか言ってる。
本気で浦原さんってのは凄い人なんだな、嬢ちゃんは割とマッドだけどねとか言ってるが、涅と比べたらマシだろう。
ハッチさんと平子さんはちょっと仕込みしてくるわとか言って隠れ家の入り口まで案内してからフラッと何処かに行ってしまった。
なんでも、鬼道使っても発見できない特殊な結界を双極近辺に作ってくるとか。
それって、俺も気付けないよな、青春嬢ちゃんは私がずっと一緒に居るから大丈夫だと言ってる。
いや、俺、どうも涅にちくられて無いみたいだから隊に戻って仕事しようかと思ってたんだが。
そういったら、大丈夫、大丈夫、とか言いながら義骸から抜けて久しぶりに見る黒い着物、死覇装姿になった。
ついて来る気満々ですね、判ります。
まだ嬢ちゃんの事とか知ってる隊員とかも居るんだがなぁ。
なんか髪の毛染める道具を借りてきたらしい、気付いたら一瞬で青い髪が黒髪になった、もう何でもありだな浦原えもん。
後は義骸を隠れ家に置いてくれば良いねらしい。
隠れ家に入ったら辺り中に剣が刺さっててびびった。
固有結界に入ったのか俺、何処にエミヤが居るんだろうか?
あー、この世界にもそれあるんだー、とか嬢ちゃんが呆れ顔。
中では変なおっさんとオレンジ君が戦闘中、誰だあのおっさん。
しかし、この秘密基地も人口密度増えたなぁ、ついてきた人等は早くも思い思いにくつろぎ始めた。
オレンジ君がうお、なんだこいつ等とか叫んで、隙を見せるなとか変なおっさんに言われて剣を砕かれていた。
今砕けたのはどうでも良い事に対してオーバーに驚きすぎると言う心の欠片の剣だとかなんとか。
卍解訓練中かぁ、他の人の訓練ってこんなんなのか、そこまで細かい心の欠片とかが剣になるんだな。
玄海嬢ちゃんは嫉妬心と独占欲をさらけ出して来てたし斬魄刀って、割に変なのばっかだよ。
青春嬢ちゃんは青春嬢ちゃんで私のは充電だったなぁと懐かしそうに言っていた。
なんでも、雷を制してこそ我を従わせる資格があるとか言いながら延々と電撃を喰らって斬魄刀に蓄積続けたらしい。
ふむ、俺ってもしかして割と苦労してないのか、玄海嬢ちゃんを見たらニコニコ笑みを浮かべていた。
流石に隊舎に戻って玄海嬢ちゃんが出てたら問題なのでしばらく戻っておいて貰おう。
一瞬だけ青春嬢ちゃんを睨んでから消えた。
じゃあ、行こうかと言って、嬢ちゃんに手を引かれて俺は秘密基地を出て行った。
旅禍侵入五日目・夜
隊の仕事を済ませ、情報収集に励んでみる。
青春嬢ちゃんは久しぶりの隊舎に懐かしいなぁとかこういうの出来てるんだとかちょこまかと動き回ってる。
とりあえず、旅禍は四番隊の地下牢に入ってるらしい、後で織姫ちゃんに教えておこう。
こういう地道な所で好感度アップを狙っていかないとな。
ちなみに目標は織姫ちゃん他、巨乳隊の皆で泳ぎに行くぞオフをおっぱいの会主催で開催する事だ。
乱菊ちゃんに卯ノ花隊長とかの隠れてない巨乳&隠れ巨乳コンビにも来て貰いたい、出来ればカモフラージュに他のささやか組みも呼んでおくべきか。
織姫ちゃん呼ぶならやっぱ、下界か?
だとしたら義骸がいるから予算はこれくらいで、浦原商店タイアップ企画で何か催し物を開催してスポンサーになって貰えば多少は……
待てよ、ルキア嬢ちゃんを餌にすれば白哉君が釣れる、となると朽木家の財力が美味い、旅館と料理はとりあえず数ランク上げれるな。
ふ、夢が広がるな、完璧じゃないか我が軍は、待ってろよ修兵君、君を鼻血の海で溺死させてやるからな。
ふと気付けば青春嬢ちゃんが、真面目に仕事してるねとか言いながらこっちを見てた。
ソウデスネ、俺今超頑張ッテマス。
茶々も入ったし大体やる事やったのでそろそろ秘密基地に行くかね。
終わった書類をかたずけて、隊舎を出る。
色々と慌しい瀞霊廷内を嬢ちゃんを二人で歩いた。
なんか凄く久しぶりな気がするね、実際、一緒に瀞霊廷を歩くとか100年ぶりくらいになるわけだが。
思えば遠くに来たもんだ、生きてた頃は自分の意識が150年以上も続くとか考えた事も無かったわ。
自称、漫画世界にやってきた現実の少女Aとか言ってる愉快な生き物にも会ったし波乱万丈だ。
死神なんていう存在にもなったし、うん、実に感慨深いな、そんな事を思って秘密基地までやってきた。
こう言う感傷が俺には似合わないのは良く判る、良く判るが、この状況が似合うとは思いたくないなぁ。
何故か俺の腕に自分の腕を絡ませてくる青春嬢ちゃんと丁度秘密基地にやってきた砕蜂が睨み合っている。
なんなんだろうこの状況は、なんか妙に胃が痛いなぁ、あはははは……はぁ。
旅禍侵入五日目・深夜
地下空間の中で何故か砕蜂と具象化した玄海嬢ちゃんと青春嬢ちゃんで酒を飲んでいる。
位置関係は砕蜂が正面、青春嬢ちゃんが左、玄海嬢ちゃんが右。
平子さん等は俺らを遠巻きにして近寄って来ないし、夜一さんとオレンジ君は温泉に行ってるらしい。
なんだか滅茶苦茶ぎすぎすしてねーかい?
『生きていたのか、朽木青春。』『えーっと、会った事あったっけかな二番隊の隊長さん?』『夜一様の付き添いで何度か会合でな。』『ふーん、多分、小さいから目に入ってなかったんだね。』『貴様の話は玄之丞から聞いていた、随分迷惑をかけられたと愚痴を聞いたりな。』『へぇ、玄之丞が私の事話題に出してくれてたんだ、貴方の事は聞いた事無いけどね。』『そうだろうな、私と玄之丞は私的な付き合いしかした事は無いから、ただの仕事仲間同士じゃ話題に出なかったのも頷ける。』『そうね、ただの私的な友人じゃ大切な秘密を聞かされたりはしないでしょうね、私が生きてたみたいな。』・・・とかまぁ。
あー、玄海嬢ちゃん、酒はまだ早いぞ見た目的に、え、そんなに飲みたいって? 仕方ないなぁ、一口だけだぞ。そんなに焦るなって、ホラ。
あぁ、平和だな、うん、酒が美味いぜ、味なんか感じないけど。
とりあえず平子さんと目が合ったのでこっち来て一緒に酒のもうZEとかアイコンタクト送ってみた。
だが断ると返されたような気がする、薄情モノめ。
くっ、夜一さんは何処行ったんだ、あのおっぱいがあれば俺はまだ戦えるというのに。
この胃が痛い飲み会は深夜を回るまで続けられた、酔いも回らないし、全然飲んだ気がしねぇ。
これでは藍染隊長とかを何とかする前に俺が何とかなってしまう。
俺は何でこんな状況になってるんだろうか、マジで誰か教えてくれ。
俺は巨乳を見ているだけで幸せなんだがなぁ。
金崎玄之丞 トライアングルアタックを喰らった日の日記より一部抜粋。
【玄海の憂鬱】
私のご主人様、玄之丞は正直もてる。
特に子供とか子供っぽい人とかが沢山寄ってくる。
流魂街の実家に戻ると沢山の子供たちが玄之丞に寄って来てお菓子を受け取ったり一緒に遊んでもらったりしてる。
そういう時、何時も額に浮かんでる眉間の皺が薄くなってとてもいい笑顔。
そう言うのを見てると何処かに玄之丞を閉じ込めて私だけにその笑顔を見せてくれるようにしたくなる。
玄之丞が子供に好かれるのは多分、玄之丞のお婆ちゃんのおかげ。
自分より小さい子は大事にしてあげなさい、そういって育てられたからだって言ってた。
だから玄之丞は子供に優しくするし、子供だなと思う人に悪意を持てない人間なんだろう、そう思う。
別に私なら何時でも良いのに、それも出来ないんだね、ちょっと残念。
私はずっと玄之丞の中にいたけど、私がちゃんと玄之丞の事を良く判るようになったのは玄之丞が死んでから。
玄之丞を育てたお婆ちゃんはとても良い人だったんだろうな。
でも、みんなに優しい玄之丞より、私だけに優しい玄之丞にしてくれてればよかったのに。
私は玄之丞のモノで、玄之丞も私のモノ。
これだけは何があっても変わらないけど、余計なものがついてきて困る。
青いのとか凄く邪魔なので今度死んだら良いなと思う。
きっと玄之丞は悲しむので思いっきり優しくしてあげようかな。
時々、一緒にお酒飲んでる小さい人とはあまり仲良くないみたい。
いっつも喧嘩してるし、いっつも斬魄刀で攻撃されてる。
戦ったら絶対私の方が強いので玄之丞はきちんと守ってあげよう。
ただ、青いのと仲が悪いみたいだから相打ちになれば良いと思う。
胸が大きい人が好きみたいだけど、玄之丞は胸が大きい人にはもてないから別に良い。
とりあえず今度成長してみようと思う。
胸とか大きくなるかな、どうやって成長できるのか判らないので浦原えもんって人に聞いてみよう。
玄之丞が困った時は浦原えもんだと言ってたし。
毒とかもくれないかな、証拠が残らない奴だといいな。
「嬢ちゃん、酒は美味いか?」
うん、美味しい、えっと、何考えてたんだっけ?
そう、玄之丞がもてる話だった。
私のご主人様、玄之丞は正直もてる。
了(以下エンドレス)
後書き
どうも修羅場がご希望らしいので修羅場ってみた。
更新遅れてすみません、春先はどうしても花粉が酷いのでやる気無くって遊んでました、超申し訳ないです。
ちゃんと完結はさせるので見捨てないで頂けると助かります。
花粉とかあっても良いけど出来れば一生関わりたくない。