睦月の頃(晴れ)
休みが出来たので久しぶりに尸魂界の実家に里帰りしてみる事にする。
それと言うのも、十番隊の隊長が同じ所出身だったからそういえば最近帰ってないなぁとか思ったからだ。
数年ぶりなので大きくなってる奴は結構でかくなってたな。
帰ってない間も仕送りと手紙のやりとりはしてたから意外と言うわけではなかったけど。
とりあえず一晩泊まって大人連中と酒飲んで騒いで子供の相手をしてから瀞霊廷に帰還した。
最近、慌しかったからかなりリフレッシュになったなぁ。
帰還途中で例の白髪の新人隊長と五の副官章をつけた黒髪のお嬢ちゃんが一緒に歩いてるのを見かけた。
向こうもこちらに気付いたのか、近寄ってきたので軽く挨拶、いやいやちみっこいね、この年でで卍解覚えてるんだから凄いやね。
聞いた話に寄れば尸魂界に来てまだ20年経ってないとか、いやもうホント若いわ。
俺がこっち来て20年つったら、始解覚えて青春の嬢ちゃんとコンビ組んでた頃かぁ、俺も年を取ったもんだなぁ。
休みの日にデートかと聞いてみたらどうも幼馴染らしい、普通にクールに返されてつまらん。
このお子様隊長、他がギャグやってるとき一人でクールやってたりして空気読まないキャラだ、絶対な。
もう片方は焦って、違いますよぉ、とか言ってて面白かったのに。
しかし、そっか、五番隊も副隊長変わったんだな、名前を聞いたら雛森桃と言うらしい。
少し話してみたら恋次君の同期生らしい、不思議な縁だなぁ。
それ以外にもどっかで聞いた覚えがするなぁ、仕事以外で。
今日は乱菊ちゃんと一緒じゃないのかと聞いたら、私用だから連れてきてないんだと。
つまらんなぁ、爆裂おっぱいは今日は無しかぁ。
とりあえず、乱菊ちゃんのおっぱいに顔埋めるのも程ほどにしないと修平君に刺されるぞとか忠告しておいた。
うん、実に親切だ、俺って、射場さんは大人だけど修平君はまだまだ青いからなぁ。
後ろの方でちょ、おまっ、まて、ちょっと、訂正して行けとか聞こえた気がする。
多分気のせいだろう、あ、そうだ、雛森っていったらおっぱいの会で少数ながらファンが付いてる子じゃないか。
確かに、もう少し育ってくれた方がいいなぁ、俺がおっぱいおっぱいするには3カップほど足りない。
睦月の頃2(晴れ)
今日の男性死神登山愛好友の会。
みんなでおっぱいおっぱいやってたら白髪少年隊長と目が合った。
目を逸らしたら寄って来たのでとりあえずこんばんはと挨拶をしておいた。
はい、滅茶苦茶文句言われました、あの後、雛森ちゃんの誤解を解くのが大変だったらしい。
はっはっは、ラッキースケベは地獄に落ちるといいよ、俺とか触ったらおっぱいが無くなる呪いがかかっているというのに。
折角なので一緒におっぱいおっぱいやって行きますかと聞いたら滅茶苦茶怪訝な顔してた。
まだまだ子供だなぁ、白髪少年隊長は、素直に雛森ちゃんでおっぱいおっぱいしていけばいいのに。
同じ雛森ちゃんでおっぱいおっぱいやってる仲間も居ますヨーと言ったらほぅとか言って頬をひく付かせてた。
あぁ、これはルキア嬢ちゃんに悪い虫がついた(当然勘違い)時の白哉君の目だ。
おk、把握。
とりあえず、常備してる会員名簿(趣味趣向別)の分類「雛森桃」をブラックリストに追加っと。
要りますと聞いたら貰ってくとか言ってました。
翌日、雛森くんを育てたいよ派の中心メンバーが謎の突発的局地的な吹雪で凍死寸前まで行ったらしい。
何故だろうか、まぁ、俺には関係ないから良いか。
葉月の頃(くもり)
地上勤務、実は俺が生まれました、すげぇよ、俺爆誕みたいな。
ゴメン、実は結構へこんだ、そっかぁ、後20年程度で曾祖母ちゃん死んで、俺もタイムスリップするかもしれんのか。
なんか生まれたばかりの俺見てスゲー嬉しそうな両親と祖父母と曾祖母とか見てると来るものあるなぁ。
なんとか自己満足でも良いからタイムスリップしないように出来ねぇかな?
なんかさ、最近ちょっとだけ、この人達は良く似てるだけで俺の本当の両親じゃないんじゃないかって思えてきたんだよな。
別に血が繋がってないとかそんな意味じゃない、そうじゃなくて、俺は平行世界って奴から来たんじゃないかって思うんだ。
だってよ、死神って霊力ある人間なら見る事が出来るんだよ、虚も、霊も。
だとしたらさ、ある程度、霊ってものに規則性が出ると思うんだよな、俺は。
だけど、俺が生きていた頃、噂のレベルでも黒い着物に刀を持った霊とか、仮面を被った化物とかの噂は一度として聞いた事がないんだ。
今でこそ、俺は一度死んで霊になって死神になって虚と戦ってる。
この考えは実は感傷って奴なのかもしれない。
だからあんま難しい事考えるのはやめようかと思う。
今更、今の生活捨てるのやだし、だからといって昔の俺が馬鹿な事やるのを見るのも、俺が居なくなって悲しむ家族の顔を見るのも嫌だ。
だからちょっとばかし、自己満足ってのをやってみようかね。
よしっ、困った時の浦原えもんだ、ちょっと相談に乗ってもらおうかね。
葉月の頃2(くもり)
結論から言うと、時空の歪みで過去に行く場合はあるらしい。
相談しておいてなんだが驚きだよ、おい。
穿界門を地獄蝶無しで通ると時々事故で尸魂界と現世で数日ほど時差が出来る場合があるらしい。
基本的に時間が同調してるはずなのに数日前の尸魂界に現れるとかそんな感じだ。
だから俺が過去に飛んだという可能性もゼロじゃありませんねと笑っていた。
その証明は、最近生まれた俺と今の俺の霊力を調べて確認したとか何とか。
正直、目がマッドサイエンティストの目になってないか、こえぇよ。
で、タイムスリップを止める為の研究はしても構いませんけどあなたが消えた時の覚悟は出来てるんでしょうねと言って来た。
浦原えもん、曰く、誰も証明できてないがフィクション的な説だと、平行世界が生まれるかタイムパラドックスが起きるのどちらかになるんじゃないかと。
平行世界が出来るならいい、タイムパラドックスが起きた場合、最悪、俺が消えて俺が居なかった歴史が再構築されるかもとか、結局どうしようもないかもとか、まぁ、判断できないらしい。
ま、四方山話ですけどねーとか浦原さんは言っていた。
どう頑張っても阻止できないなら諦めるしかないし、止めた結果俺が消える、つまり歴史が変わるって言うなら、それ以前に『今の俺』の『記憶には無い』が『記憶に残らないはずが無い出来事』を『現代の俺』に経験させる事ができれば、逆説的に歴史が変わらないって事になるんじゃないだろうか?
その努力をする事を決めておいて、実際その為の行動を起こす。
タイムスリップする時までに現代の俺と今の俺の経験と記憶に齟齬があるなら阻止して、齟齬が無いなら諦める。
そうすれば、まぁ、大丈夫じゃないかなぁと思うわけだ。
無い頭使って考えた割には良い考えだと思うんだよな。
流石に自己満足で今の自分と今の自分がやってきた事を台無しには出来ねぇしなぁ。
矛盾が出るように行動して行動させて、タイムスリップする前に矛盾が無ければ諦める。
とりあえずそう言う事にして思考停止する、俺馬鹿だしな。
葉月の頃3(晴れ)
青春の嬢ちゃんが尋ねて来た。
どうやら浦原さんに俺の事を聞いてきたらしい。
結界とか無しで俺と一緒に居て尸魂界にばれないのかと聞いたら、特別製の義骸だから大丈夫なんだと。
俺の素性を聞いて、何か話したい事があるらしい。
実は予想ついてたりする、嬢ちゃんも未来から来たんだろ?
そう聞いたら、奇妙な顔をした、外れたのか?
多分、尸魂界の未来から過去に来たんじゃねぇのかなと思ったんだが、外れか?
例の蛸みてーな虚とかの話聞いててそう思ってたんだが……
なんか微妙に見当違いだったらしい、いやぁ、結構シリアスに出来たと思ってたんだがきまらねぇなぁ。
で、ぽつりぽつりと話してくれた所によるとだ。
この世界の事が尸魂界を中心に物語になってる世界から来たんだと、なるほどフィクションねぇ。
ジャンプはあるけど、結構ラインナップが変わってるとか、ドン観音寺が居ないとか、つか微妙にコアな線付くな、ドン観音寺って確かにいたわ、居たけど俺、今の今まで忘れてたよ、一瞬誰だそれとか思ったっつーの。
じゃあ、あれかね、俺とかもやっぱ登場キャラとして色々活躍してたのか、個人的には脇を張る燻銀な活躍とかしてると思うんだが。
え、出て来ない、ゴメン、ちょっとへこんだ。
普通は、フィクションのキャラって言われて怒ったり信じられないとか言ったりするもんじゃないのかと言われたがな。
昔のえらい人が言いました、我思う故に我ありとかなんとか、俺は馬鹿だからなぁ、今俺が居るからそれで良いじゃんよ。
それに嬢ちゃんが言う事が本当なら平行世界はあるって事になる、じゃあ、俺が何したって今居る俺が消える事がない。
安心して俺がタイムスリップしないように頑張れるから、逆に教えてくれて助かった、そう言ったら少しだけほっとしてたっけな。
どうも嬢ちゃんは、フィクションに居たキャラに囲まれて、フィクション通りに話が進んで、ホント言うと怖かったんだとよ。
自分が都合のいい夢を見てる気がしてとか、繊細だなぁ、俺とは大違いだわ。
で、全然物語に出てこなかった俺と出会って、俺がどんどん力付けてって、俺が居ることで物語の筋が変わってんだと。
だから、俺と出会ったからこの世界が現実だって信じられたそうな。
全く、これだから子供だって言うんだよ、子供は大人に甘えてりゃいいんだ。
そう言うのをな、厨二病つってな、思春期が掛かる麻疹みてーなもんなんだよ、厨ニ病卒業乙。
思いっきり蹴られた、蹴られた後、なんか腕にくっつかれた。
ま、たまには好きにさせといてやるか、全然楽しくないけどな、胸無いし。
具象化した玄海嬢ちゃんが現れた、俺を中心に幼女が二人睨み合っている。
玄海嬢ちゃんは、今日だけですからといって右手にくっついてる。
青春の嬢ちゃんは、別に許可とか要らないけどねとか言ってたよ。
あぁ、酒のみてぇ、尸魂界に帰ったら砕蜂の所にでも飲みに行くか。
え? 他の女の事を考えるな? 貧乳は女じゃありません子供です。
いてーよ、抓るなよ、全く、やってらんね、シリアスとかだいきれーだ。
金崎玄之丞 なんか色々ぶっちゃけた頃の日記より一部抜粋。
浦原喜助の憂鬱。
タイムスリップなんて事象がこの世にあるとは、いやはや世界は不思議に満ちてまスね。
何の四方山とか思いましたが、力強さは別として同じ波長の霊力と霊圧を見せられたら信じざるをえません。
しかし、タイムスリップだけなら兎も角、飛んだ先が戦場で、しかも流れ弾に当たってご臨終とは、麻雀で天和九蓮宝燈で上がるようなもんですね。
本当に、面白い人だ。
面白いと言えばもう一人、朽木青春サンも面白い。
失礼だと思いましたが、以前の玄之丞サンへのお願い事も聞かせてもらいました。
未だ現れてない虚の存在を、能力を、出現場所を指定しての討伐依頼。
それこそ、何か重要な計画を知ってるのかと邪推してしまいましたからね。
それが、自分はフィクションの世界に居るですか。
「何もかも物語で見たキャラが動いて、物語通りに話が進んで、ただの夢じゃないのかってずっと疑ってた。何時まで経っても醒めない悪夢の類かって思ってた。だから、物語に居なかった玄之丞の横にいると落ち着いたし、この世界がフィクションに良く似た現実だって信じられたの」
なるほど、青春サンが玄之丞サンに拘ったのはそういう理由もあったんでスね。
どうです、平子サン、真実の判った感想は?
「別に、藍染のスパイやなかったらええねん。そない、小器用な奴と違うんはわかっとったしな。99%が100%信じられるようになったくらいのもんや」
では、青春サンの計画は、ちゃんと進めてもかまいませんね?
「あぁ、ついでにもうちょっと詳しく聞いて細部煮詰めといたほうがええかも知れんな」
しかし、フィクションですか、どうです感想は?
「別に、玄之丞が言っとった通りや、青春にとってフィクションやろうがなんやろうが、俺にとっては違う、そんだけやな。青春にしたって玄之丞がおる限り、大丈夫やろ、ちゃんと現実を見つめとると思うで」
そうですね、では、計画通りに、あ、そうそう、デバガメはほどほどに。
「お前が言うなや」
ごもっともで。
やれやれ、忙しくなりますね。
藍染さんの言ってた見えない裏切者ですか、まさに、あの二人のような人を言うのかもしれませんね。
きっと、あの二人が切っ掛けになって藍染惣右介は失敗する、そう思うんですが……
アタシの願望が入ってるんですかね、これは。
了
後書き
小難しい事を考えてますが簡単に言えば、適当にやってやばそうならやめるってだけの話です。
あと、青春フラグがひとつONになったようです。
一応、念の為、穿界門の設定はブリーチ公式です、後先考えずにつけた設定っぽいですよね、あれって。