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No.6301の一覧
[0] 東方~触手録・紅~ (現実→東方project)[ねこだま](2010/02/12 00:34)
[1] 東方~触手録・紅~ [1][ねこだま](2009/02/10 00:21)
[2] 東方~触手録・紅~ [2] [ねこだま](2009/02/19 04:05)
[3] 東方~触手録・紅~ [3] [ねこだま](2009/02/25 04:38)
[4] 東方~触手録・紅~ [4] [ねこだま](2009/03/05 01:57)
[5] 東方~触手録・紅~ [5] [ねこだま](2009/03/16 03:45)
[6] 東方~触手録・紅~ [6] [ねこだま](2009/04/02 14:04)
[7] 東方~触手録・紅~ [7] [ねこだま](2009/04/14 03:04)
[8] 東方~触手録・紅~ [8]  [ねこだま](2009/05/03 00:16)
[9] 東方~触手録・紅~ [⑨]  上[ねこだま](2009/05/25 01:10)
[10] 東方~触手録・紅~ [⑨] 下 [ねこだま](2009/06/24 02:39)
[11] 東方~触手録・紅~ [10] [ねこだま](2009/06/01 02:09)
[12] 東方~触手録・紅~ [11] [ねこだま](2009/06/24 02:38)
[13] 東方~触手録・紅~ [12] [ねこだま](2009/07/11 22:19)
[14] 東方~触手録・紅~ [13]  [ねこだま](2009/07/11 22:19)
[15] 東方~触手録・紅~ [14]  [ねこだま](2009/08/07 12:47)
[16] 東方~触手録・紅~ [15]  [ねこだま](2009/09/04 12:40)
[17] 東方~触手録・紅~ [16] [ねこだまorz](2009/10/06 17:10)
[18] 東方~触手録・紅~ [17] [ねこだま](2010/01/18 22:41)
[19] 東方~触手録・紅~ [18][ねこだま](2010/01/18 22:41)
[20] 東方~触手録・紅~ [19][ねこだま](2010/02/11 01:11)
[21] 東方~触手録・紅~ [20] [ねこだま](2011/08/05 23:43)
[22] 東方~触手録・紅~ [21][ねこだま](2011/12/25 02:06)
[23] 東方~触手録・紅~ [22][ねこだま](2012/04/11 15:19)
[24] 東方~触手録・紅~ [23][ねこだま](2012/05/02 02:20)
[25] 東方~触手録・紅~ [24] [ねこだま](2012/08/31 22:42)
[26] 東方~触手録・紅~[25] にゅー[ねこだま](2012/08/31 22:42)
[27] 東方~触手録・設定~ [ねこだま](2009/06/15 00:01)
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[6301] 東方~触手録・紅~ [24]
Name: ねこだま◆160a3209 ID:947fcd6f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/08/31 22:42
「こんばんわ、元人間さん?」


そういって彼女、八雲紫はうっすらと笑みを浮かべた。

電気の無い幻想郷の夜の台所は暗く、頼りとなる光は小さくとも強い光をともした行灯の火のみ
ゆらゆらと微細な空気の動きにその身をゆだねる燈りは妖しく怪しく彼女の笑みを照らしていた。

その姿を視界に納めた俺は気付けば何もできずにただ彼女に向かい合っていた。
まるで金縛りにあったかのように体の動かし方を忘れ、頭の中は白い霧があふれていく。

八雲紫、名前は前から聞いていた。
最初に聞いたのは、、たしかそう香霖堂だったか。
あそこで霊夢手渡された一枚の手紙、あれの送り主が彼女だったはずだ。
俺についての何かが書かれていた手紙。
と言うことは彼女は俺について何か知っているのだろうか。
いや、「俺」について知らなくても何かしら「俺の体」について知っているのでは?
しかし待て、彼女は今、俺に向けて「元人間さん」といったつまり俺のことを、
少なくとも俺が人間からこの姿になったことは知っている。
いやいや、俺が元人間であることは文の新聞に載っていたから知っているだけかもしれない。


最強の妖怪、
幻想郷最古参の妖怪、
妖怪の賢者、


霊夢や文から八雲紫とはどんな人物なのかと尋ねたときがあった。
その時の彼女らはあからさまに顔をしかめてその二つ名をまずに上げ、その後どちらも「胡散臭い」と称した。
正直俺もあまり彼女に会うまであまりかかわりたくは無い類と想っていた。
常に難しく訳のわからない言葉を話しながらいきなり説教してくる変な妖怪、とも霊夢はいっていたのだし。

別に俺は頭が言い訳ではないから直感的に、聞いた限りの八雲紫という人物には会いたくなかった。


そして、今はじめて彼女を目の前にして俺はその直感が正しかった物であると知った。
まるでそこの見えない深みから湧き上がってくるような妖気。
こちらの頭のおくまで見透かすように、目を細めて送られる蛇のような視線。
それでいて口元には先ほどとまったく変わらない笑みが貼り付けられているかのように
弧を描いていた。

何を考えているのか、何を観ているのか、何が視えているのか、
彼女の表情からではまったく何も読み取ることができず、
溢れる妖気からまったく身動きすることが着なかった。


彼女が最初に発した言葉の後、互いに口を開かず、静寂と妖気のみが台所を満たしていった。
その音が殺されたかのような空間に嫌気がさしたのか、ふと彼女は眉を顰めて口を尖らせた。


「いやねぇ?人をそんなに見つめる物ではないですわよ?」


クスクスと鈴を転がしたような笑い声をこぼしながら、彼女はこちらの言葉を促すように首を傾げた。

ぼうっとしかけ、答えの出ない問いを繰り返していた脳内に優しく、
それでいて強制的に差し込まれるようにその声が耳に届き、
俺は少し慌てて電子辞書を広げようとした。

しかしその動きはすっと伸ばされた彼女に腕にさえぎられた。


「その計算機は使わなくて結構よ、貴方の妖力もだいぶ高まってるみたいだから多分念話でも十分貴方の声が聞こえると想うわ」


俺の妖力が高まってる、か。
これは喜ぶ物か悲しむ物か、どっちだろうな。
彼女の言葉に思わずそんな考えが浮かび、なぜか妙に俺の心を落ち着かせた。
頭の中で大きく波打っていた思考が衝撃を受けて逆にその波を治めたのかもしれない。


『・・・失礼イたシました。貴女のようナ女性に会うのハ初めてだったのデつい言葉を無くしてしまいまシタ』


「あら、お上手ね?でも私を口説くには、そうね、あと数年早くてよ」


妖怪の賢者さんはにっこりと微笑んだ
そいつは、どうも、・・・さて

普通に声が相手に伝わっていることを確認し脳内の整理が少し落ちついたところで、
頭の中で軽く震える警鐘をおさえつける。そして戦に挑むように覚悟を決め、


『・・・霊ムに御用ナラ今お呼びしますが?』


そう申し出ながらチラリとこの空間の四隅を確認した。
そして再び彼女を視界に納め冷静に、しっかりと相手の目を見すえる。
彼女は霊夢に用があるのか、それとも・・・、


「いえ、霊夢に今日のところは話すことは無いわ。
 今夜は、貴方に会いに来たのです」


今日のところは、ね。
できれば霊夢に用があったといってくれれば嬉しかったのだが、この厄介ごとは俺が処理しなくてはならないようだ。


「・・・ところで、分かっていることを相手に遠回りに確認することは時として有効であり、
 だがそして相手には失礼にあたいするわよ?」


『・・・ばれテましたか』


「えぇ、もちろん。此処に張った結界の基点を確認しておいてよく言うわ。」


彼女の笑窪が先ほどより深く刻まれそれを隠すように彼女はどこからとも無く取り出した扇子を開いた。


先ほど俺が声を出しながら見渡した限り、この台所を完全に覆いつくすように強い結界が張られココを完全に閉鎖していた。

この結界が強力な物だと判断したのは単に霊夢が此処に来ないからだ。

目の前の妖怪から溢れる妖気はそれはそれは尋常な物ではない。
こんなものが台所から流れてくれば霊夢がすっ飛んでくるだろう。
しかしいくら耳を澄ませど霊夢がこちらに来る気配はない。

この妖気を完全に遮断するほどの結界。
ならばおそらくこの結界の中には入ることもそして出ることもままならないだろう。


ところで八雲紫は今日のところは霊夢に用がない、といった。
つまり今日以外、次の夜かそれとも昨日の夜か、用ができる予定なのか用を済ませたあとなのか。


どちらにしろ今宵は一切霊夢を抜きにして俺と話がしたいということか、
もちろんそちらの用の中身も気になるところではあるが、




『・・・あと、なンにちだ?』



俺の一言に八雲紫の反応は機敏な物だった。
ペロリと自らの唇を舐め、先ほどとはまったく雰囲気の違う笑みをその口元に浮かべた。
その笑みはまるで獲物を静かに狙う獣のようだ。雌豹とでも称そうか、


「いいの?もう化けの皮を脱いでしまって」

『用がアルのはおレなんだろ?』


霊夢にも「博麗神社の居候」でもなく、
そういうと何が面白いのか紫は満足そうにうなづいた。

霊夢や神社の客人であれば俺はもっと彼女を鄭重にもてなすつもりだった、
俺はあくまで居候の身、できるかぎり神社に不利益は出したくない。
俺個人に用があるというならわざわざ相手の下手に出る必要も無い。

そして考えうるに彼女は俺に警告や挨拶のために会いにきたとはおもえない。


「その様子だとわかってるのね?
 私がここに、貴方に会いに来た理由が。」

『・・・あァ、おおよそナ』



それは単に、八雲紫が、どうして『今』、俺に会いにきたのかを思案した結果だった。


俺がこの幻想郷に来て数週間がたとうとしている。
しかし彼女は今まで俺に会いにきたことはない。

幻想郷のいろんな場所で俺を、俺の体を危険視する輩は今まで多くいたしいろんな警告も受け入れてきた。
おそらく彼女も俺をそのように見ていたであろうと思う。


しかし彼女は今まで俺に会いにきたことはなかった。


彼女の動きと言えば香霖堂の店主を通じて手紙を霊夢に渡したのみ。
その手紙の内容を俺は見ていないが霊夢は軽く目を通しただけだったのでそれほど長い内容でもなかったのだろうと想われる。

だがそれは逆に考えればそれぐらいの内容をわざわざ手紙と言う手段で霊夢に伝えたのだ。
あえて俺に直接会わないようにした、そう疑ってもおかしくはないだろう。
そんな彼女が今まさに俺の目の前に居る。

それが今までの彼女の動きからして妙である事は明確だ。
静観していたとも考えられる彼女が『動いた』のだ。
何かしら手紙や伝言などではいえない用事があるのだろう。
それについては一つ想うところがあった。



俺の力が強くなっていること、そして俺がこの体に馴染みだしていること、だ。



そう思った理由は最近だんだん変化にかかる時間が短くなっているような気がしたからだ。
慣れ、と言うのもあるかもしれないが、今では初めて変化する物にも今ではさして時間をかけることも無いし、それに此処のところ体から出すことができる触手の本数も増え、その触手の末端まで感覚をはっきり感じることができるのだ。

考えすぎかもしれないとも思う、しかし先ほどの紫の言葉、そして一部の相手のみだが念話で会話することもできるようになった現状から俺の力の増加とそれが今回紫が動いた事について関わりがあるのは間違いないだろう。



では彼女は何をしにきたのか、



さっきも言ったが彼女が今更俺の力について警告なんてしないだろうし、
おそらく彼女は「俺が、自分の体に何かが起こり始めていることに気付いている」という事に気付いている。
そう思ったことに根拠はない、
だけど彼女はすべてを知ったうえで俺を試している、そんな気がする。


絶対強者の余裕、それは恐らく今の彼女の表情のことをさすのだろう。
そんな顔で俺を見下ろし、気味の悪い微笑をうかべている。

あぁ、誤解を招かないよう言っておこう。八雲紫は美しい妖怪だ。
艶やかな金糸の髪はしっとりと濡れ、肌は白磁の陶器のように白く滑らかで美しい。
しかし、気味が悪い、白い肌と異様に暗闇に映える髪の色からなのかその姿には生気を感じない。まるで本当に白磁の人形のように、

いや、あぁ、そうか。

この妖怪が人形のようだと感じた理由が今分かった。

八雲紫は俺を見ていない。

俺のほうを見ているがその焦点は俺を写していない、俺の奥にある何かを見ている。

ゆえに俺には彼女が生きているようには見えないのだろう。

その眼はただ、俺のほうに向けられているだけで、
その瞳は俺が何に成るのかを、その向こう側を見ているのだ。


俺は、



「オレは、なニになるんだ・・・?」



あと何日で、俺は何に成るんだ、俺は何に成ろうとしているんだ、


何かが、俺の根本が変わってしまうような何かが起こる、そんな漠然とした予感。
八雲紫がその姿を現してその予感は悪寒を帯びた確信へと変わった。
そして、その何か、は八雲紫、幻想郷最強の妖怪が事前に止めようと動かねばならないほどの何かだ。


八雲紫は突如パタリとその手に納めていた扇子を閉じた。


「貴方は、」


その次の瞬間ゾクリと、今まで感じたことがないほどの、背中をえぐられるほどの強い悪寒が背中で蠢いた。


「貴方はあと、、そうね、あと3日で、完全な妖怪となるわ」


完全な、妖怪?


『ドウいう、コとだ?』


完全な妖怪ってなんだ?
俺の今の姿はもうすでに妖怪だろう?
今更完全もくそもあるのか?
いや、まて、それよりも、あと3日?
たった3日?
あと3日ってことは明々後日ってことだろ?
あと3日で、俺、はどうなる、
3日後の俺は、何に、なる、んだ、



「大丈夫?」


『・・・あぁ、まだ、ヘイきだ』



こちらを心配するような雰囲気を載せた紫の声を聞き、
意味を成さない言葉と問いでグシャグシャになりかけた頭を振って落ち着かせる。
俺だって成長してるし覚悟もしている。
これぐらいでまた自分を見失うわけにはいかない。

彼女の言葉が事実なら、確かにもう3日しかないだろう。
だが頭の中を整理するのは数分で十分だ。
俺はゆっくりと激しく波打った脳内を再び落ち着かせる。
頭の中に水面を描き、その水面に起こった波をゆっくりと収めていく。



『教えてくレ、八雲ユかり』


俺が成ろうとしている妖怪はなんなんだ、

いや、そんなことより、

なぜ、

お前はそれを阻止しようとしているんだ。


結果の先のことなんてもはやどうでもいい。
お前が食い止めようとするほどのものが俺の中に居るのか、



「いったでしょう、あなたは完璧な妖怪になる、と、
 貴方はいずれ、この世で、この世界でもっとも力の強い妖怪になる
 ・・・いえ、違うわね。
 もっとも力の強い存在に『成ることができる』妖怪になるわ。
 それこそ、」


神の力に等しいほどの


『  』


彼女が発した最後の言葉に俺は言葉を失った。

強い存在に成れる妖怪?
神?


『・・・なにヲ、いってるんだ、』


絶句のあまりそれを言うのが精一杯だった。
ぶっちゃけ分けがわからん。
いきなり妖怪を飛んで神がでてきたぞ、
話が月面着陸用のロケット並みにぶっ飛んでいる。


だって、ありえないだろう?

数ヶ月前までただの、平々凡々の人間だったんだぞ?


それが妖怪になって、そして神?
なにを馬鹿な、と俺はかぶりを振って否定する。
その行動は相対する紫に対してではなく、自分に言い聞かせるように、


『ありえない』


群疑満腹となった俺は漠然とそう言葉を零すのが精一杯だった。
その言葉を肯定する言葉が欲するように俺は八雲紫の顔を見上げる。
しかし、


「ありえない、と言う言葉は存在しなくてよ?」


そういって八雲紫は俺の言葉を否定した。



『・・・そんな力が、本当に、俺の体にある、のか?』



まるで悪い夢の中の話のように、現実味をまったく帯びてないそれを俺は呟く。
誰かが突然パッと出てきてそれをあっさりと否定してくれないだろうか。
あぁ、本当に夢であれ、そう願う。
だが次の彼女の言葉に俺は再び声を失うことになった。



「いえ、貴方のその体、元の妖怪の体にはそんな力はないはず、・・・と思うわ」



は?



『いや、まテ、さっキからなにを言っている?
 俺ハ、この妖怪の体ガあるからこんなことニなってるんダロ?
 オレが人間ニ戻レればそンな力・・・』


「貴方は勘違いしているわ」


数瞬の間をおいて慣れない念話で捲くし立てるように叫んだ俺の声は紫の発した決して大きくない低い声であっさりと遮られた。

勘違い・・・?


「貴方の能力はその体が元々持っていた能力ではない、
 人間であった貴方自身が持っている能力よ、」


『俺ノ、能力・・・?
 あリえない、そんなわけガない、俺ハ、人間だぞ、
 外ノ人間だゾ!?』


「外の人間だからよ!!」


ッ!?


突然、紫は激昂したように声を荒げた。
ビシリと空気が張り詰め、濃い力の波が叩きつけられる。
先ほどまでの、余裕を感じさせ、嘲笑に似た笑みを浮かべていた彼女の雰囲気は一変し、
その気迫、あふれる妖力に俺は体を縛り付けられ、寸分の身動きすら許されなかった。

そしてどれほどの時間が流れたのか、


「貴方は外の人間よ、」


その言葉と共に、ふと、彼女はその身にまとっていた妖気を胡散させ、少し疲れたようにそう続けた。


「・・・外の人間は皆おんなじ、他人を見て瞻望咨嗟の念を抱く。
 勝手に人の目を気にして、勝手に誰かを妬んで、勝手に誰かを羨んで、勝手に誰かを真似て、
 そうして勝手に『完璧な理想の姿』を妄想し、勝手にそれに成ろうとする」


「例えそれが成れるはずのない物にさえ、人は妬み、羨み、自分の物にしようとする」


『・・・そんナもの、』


「えぇ、そんなもの人間誰しも持っているものだわ、貴方が能力とするものは」


「でも貴方は、その力が強すぎる。
 人間に戻りたい、外界に戻りたいという気持ちが強すぎるのよ」


「その為にあなたの体は、その妖怪の体は外の人間を体現した。
 欲望の腕、定まらない姿、他者の力を飲み込み自分の物にする体。
 ・・・そして、」


「相手の姿と力、その存在を映し、真似て、奪い取る、その能力を体現した」


『ハ?』


欲望?飲み込む?奪い取る?
待て、待て待て待て、

『俺ニ、俺にソンナ力はない、
 俺ガ映セる物ハ目の前にあるモのか、頭ノ中のだけダ!』


馬鹿馬鹿しい、相手の姿を映すことができると言うことはまだ理解できる。
だが能力まで映すなんてできるわけがない。
能力が目に見えるわけでもないものをどうやって真似ろというんだ。


「貴方は見たままに変化するのではない、
 貴方はそこにある存在、どこかに居る存在をその身に映し、
 偽者の本人へと変化するのよ」


『そんナ訳、』


「ではお聞きしますわ、
 ・・・貴方、犬を上手に描けて?」


・・・っ!?


「お分かりいただけたかしら?」



『ぁ、あぁ・・、確かニ、そうダ』


すっ、と紫の細められて視線に俺は思わずくたりと姿勢を崩した。
彼女の少し勝ち誇った視線に少しばかり悔しさを覚えたが、
理解してしまった。その言葉の意味を、


「人の記憶はあいまいな物ですわ」


『あァ、覚えてイてもそれハ完全じゃナイ、』


俺はしばしば犬の姿に変化する。
しかし俺は犬と言う物を完全に知っているわけではない。
骨格、筋肉の付き方、目の位置、肉球、耳の構造、顔にできる皺の寄り方
それらを俺はもちろん、完全に理解していない。
なのに俺は犬の姿に化けることができる。

仮に俺が、俺の記憶を頼りに犬に化けていたとしたら、
それはどこかしら、何かしらデフォルメされた犬になるか、
どこか歪な犬の姿になるはずだ。
だが俺の犬の姿に誰も違和感を口に出した物はいなかった。
里の中でも変な視線を浴びることはなかった。

人間であったはずの俺が完璧に犬に化けることができる。

その事実は紫の言葉を確証するものではないが、
彼女の意見の方が正しく聞こえるにする物として十分だった。

だが、しかし、でも・・・、



『俺ノ能力はそんなニ危険なノカ?』


たとえ彼女の方が俺より真実を射抜いていたとして、
そこまで俺の能力はヤバい物なのか。


「貴方の能力は徐々に強くなっているわ。
 最初はただ形をまねるだけでも、今では完璧にその姿を模すことができている」


その問いに、紫は視線を俺から外し、遠くに聞こえる喧騒、今だ酒に溺れているであろう少女たちがいる方角を望みながら口を開いた。


「貴方の能力は異常なの、知らないはずの物さえ貴方はそれを体現できる、
 それはとても危ない事よ、
 理解できないものまでも体現できるのだから」


『だから神様、か、』


「えぇ、まぁ、それはあくまで例えに過ぎませんわ。
 でももし貴方が人間では理解できない物に変化し、
 仮にその力さえも体現してしまった場合、
 貴方の人間の魂はその力に耐え切れる物ではないでしょう」


その力を抑えきれずただ自分の魂が潰されるならそれでいい、
しかしもしその力に溺れ、暴走してしまった場合、


『それガ俺に会いに来タ、いや、アンタが動いた理由カ』


言葉にした途端、どっと強い疲労感を覚えた。

今まで俺は自分の体を危ない物だと重々承知していたつもりだった。
しかしそれはあくまで俺の食事、妖力や霊力を食いつぶすこの体の飽食に対しての危機感であった。
そして今、更に俺は危ないヤツになっていた。

俺の体、俺の能力、どれをとっても幻想郷に百害有って一理無し、
ならば、八雲紫が俺に会いに来た理由、それは、


『殺スのカ?俺ヲ、』


短く、ただ脳裏をよぎったそれを淡々と彼女へと送る
身構える必要はない、必要がない。
結界に囲まれ、あれほどの力を見せつけられ、
更に彼女には能力、『境界を操る程度の能力』と言うわけが分からん能力がある(らしい)
そんな相手に今の俺程度が身構えたところで何ができるというのだ。



「あら、随分達観してるのね?」


先ほどまでの見下すような視線が嘘のように掻き消える。
小首をかしげ、重力にしたがって流れる金糸の髪の合間から再び胡散臭い微笑みが帰ってきた。

達観しているというより諦めているだけかもしれない。
こうも力の差があると最早どうしようとも思えない。


そんな俺をあざ笑っているのか、クスクスと笑い声が聞こえてきた。


「安心なさい、今、貴方をどうこうするつもりはありませんことよ?
 それに私はまだ貴方を殺せませんわ」


『・・・ナに?』

今は俺を殺せない?
俺が言うのもあれだが、むしろ、今が殺し時ではないのか?
いずれ俺が最悪の危険物となるなら、まだその力を持たないうちに処理すべきではないのだろうか。



「今の貴方は幻想郷に愛されているのですもの、」

 面倒なことにね、と呟く彼女の言葉に俺は再び首を傾げた。


『愛さレてル??』


またコイツは分けが分からんことをいう。
幻想郷が俺を愛している?
どういう意味だかさっぱり分からん。

八雲紫の言葉の意味を掴みかねてると紫は前髪を払いながら俺を見下ろした。


「貴方はとても危ない存在、それは誰しもが理解していること、
 ですのに誰も貴方を駆逐しよう、退治しようと思う輩はいない、
 むしろ貴方と言う存在を受け入れている。

 山の神、妖怪、人里の人間すら貴方と言う存在を認識している。
 認識していてそして皆、貴方を受け入れている」


「できればもちろん、私としては貴方を迅速に処理したい物ですわ。
 ひょっと出の外の人間が力を持って私の幻想郷を犯す様など想像もしたくない。
 ・・・しかし不愉快なことに今の貴方を討てば私が悪者扱い」


微笑みは口元に貼り付けたまま、しかし、目元は鋭く俺を憎むかのように貫いていた。
それも一瞬、すぐに彼女はふっと息をつき、


「それに今ココで貴方を殺したらあの子に怨まれてしまいそうですしね、」


と再び視線を遠くへとむける。
その方角にあるのはもちろん、


『・・・霊夢に、カ?』


霊夢が怨む?
俺が殺されるぐらいのことで彼女がそんな感情を露わにするだろうか?

・・・ねぇな。
むしろ俺が死んで厄介ごとが減ったとしかおもわないんじゃないか?
俺がコイツに殺されたところで・・・、


『・・・』


俺が、八雲紫に、殺される、か。

・・・。



突然、ガタン、と俺の座っていた椅子が倒れて音を立てた。
音は今まで静寂に包まれ、時が静止したような錯覚さえ覚えるこの空気を打ち砕く。

その音に気付かぬはずもなく、ゆっくりと紫が振り返り、
そして俺の姿を捉えるとピクリと彼女の細く形の整った眉が反応した。


「・・・なんのつもりか?」


彼女の口から低い音色が流れ、ほの暗い台所で深く響いた。


『あァ、ちょっとナ』


俺は片腕を地面について体のバランスを何とかとりながら、
握って開いてを繰り返し右手の指の感触を確かめる。
そして問題なく動くこと、
前にこの姿に変化したときよりもさらに体の感覚がはっきりしている事を確認し、
こちらもゆっくりと視線を彼女へと向けた。

彼女の瞳には白く巨大な猿のようなゴリラのような妖怪が映っている。


『ちょっト、命ガ惜しクなっただけサ』


「いまさら?」


今度は彼女の顔に理解しがたいといった表情が浮かぶ。
その表情を見てすっと胸がすくのを感じ、
俺は頬の筋肉の収縮を抑えきれなかった。


『ソ、今更ダ。
 俺ハアンタに殺さレルつもりハ無い
 イヤ、少シ違うナ、
 俺ノ命ヲ、アンタに渡スつもりハ無い。』


「・・・貴方、まさか」


紫のこぼした様に放たれた言葉を聞き、
ニヤリと彼女に向かって見せ付けるように口角を上げる。


『俺ハアイツに何度も救わレた』

あいつが異形と化した俺を一番に、「人」と分かってくれた。
あいつがいたから俺は人間を失わずにすんだ。
あいつが守ってくれたから、
あいつが信頼してくれたから、俺とあいつはこの猿の化け物を討つことができた。

俺のこの命はあいつがいなければ・・・。

ならば、


『俺ノ命は、アイツのモノだ』


あいつが俺の命を奪ってくれるまで俺は、俺を守る。


醜悪な猿の姿でドヤ顔を披露し、
そう宣言したときの紫の顔を俺は死んでも忘れられないだろうな。
ぽかんと呆気にとられた彼女の表情、
と言う物はおそらく天然記念物よりも貴重な物かもしれない。

ドヤァ・・・と彼女を見下してどれほど経っただろうか、
ふと彼女の肩が震えだした。
そして遂に、


「ックプ・・くッ・・・!!」


爆発した。
口元を手に押さえ、必死に声を殺そうとするのは淑女としての嗜みなのだろうか。
しかし抑えきれない声が口の隙間から時折クッ、ククッと声が漏れている。


「あ、あな、た。し、正気?」


『あァ、モチロン、オレハ至って大真面目ダ』


なにを笑うかと真面目な顔で返したが、
なぜが彼女が声を出せるまで再び少し時間をとるはめになってしまった。

彼女が落ち着くまでどうしようもなく、俺はおとなしく倒れた椅子を戻してそれに座った。
椅子がみしみし音を立てるがなんとかもってくれるようだ。
そして漸く彼女の肩の震えが少しばかり収まってきた時、
ふとこんな言葉が聞こえてきた。

「剛毅木訥仁に近し、巧言令色仁 が鮮し・・・」


『ハ?』


「いえ、フフ、ならば剛毅巧言にして令色鮮し、それは石それとも玉どちらになるのかしら?」


『・・・すまナイ、言ってる意味ガ良く分からないノだガ?』


よくわからんが、まぁ、しいて言えば玉だろうな、丸いし、
そう考えたらなんかため息つきで呆れられた。


「えぇ、別に分からなくても結構よ。
 あぁ、そうそう、できればその姿、やめてくださらない?
 その姿でその顔は見るに耐えませんの、
 収めていただけないかしら」


なんとも酷い言われようである。
まぁこの雰囲気的にこれから殺しあうことも無いだろう。
顔がするりと胸の中へと溶けていき、
猿の腕と足がそれぞれ一瞬で何本もの触手にばらけ、体へと収まっていく。
3秒もあれば変化には十分だ。


「まったく、人が先ほど殺す気がないと言ったのに、勝手に殺気だつものではないわよ」


『あぁ、確かニそんな感じノことヲいってた気がするナ』


「貴方ねぇ・・・、」


『悪かっタ、悪かっタ。話を戻ソウ』


「話の腰を折ったのは貴方じゃない、」


『そうだったカ?』


「・・・、」


『イヤ、分かったカラそう睨むナ。
 あー、デ、教えてくれナイか?なぜ俺ニ会いに?』


彼女が俺を殺しに来たのではないとしたら、一体なんのために来たのか、


「はぁ・・・、まぁいいわ。
 私は貴方に取引に来たのよ」


『取引?俺ヲ人間にデモしてくれるのカ?』


俺は半ば冗談でそう口にした。
しかし彼女から帰ってきたのは否定の言葉でも肯定の言葉でもなく、
ただニヤリと上げられた口角だった。


『・・・マじカ?』


「・・・どうかしら?
 私が出せる物は貴方が人間に戻れる『可能性』の情報、それだけよ」


可能性の情報、か。


『戻れルか、戻れないかハ別、と言うことカ、』


「えぇ、例え人間に戻れたとして、貴方に能力が残ってしまえば貴方は外には返れない」


『外に能力ガ在ってハいけないノか?』


「別にかまわないけど、貴方は人の中にあって人でないものになるわよ、」


それに耐えられて?
と続けられた言葉に一瞬言葉をためらった。

この力は幻想郷だから受け入れられているが、外の世界ではどうだ?
他の存在に変化できる能力、
他の存在を羨み妬み、それを自らの物にできる能力。
果たしてこの力を外の世界で使わずにいられるだろうか?
俺は外の世界で普通の人間として生きていけるだろうか?

それに、俺は、俺でいられるのだろうか、
俺だって人の子だ、簡単に人を羨むし、妬ましいと思ってしまう。
その度に変化してしまった場合、俺は元の俺に戻れるだろうか?
一度変化してしまったら、元の俺を羨まない限り俺は元の俺に戻ることはできなくなるのではないか。


・・・。


『俺ハ・・・何ヲ出せばイイ?』


いや、悩める状況ではない、
このままではいずれ、俺は人間の俺で居られなくなるのだ。
妖怪となってしまえば更に人間に戻るのが難しくなるだろう。
目の前の存在に殺されてそれでお終い。

ならばほんの少しの可能性でもそれに託すしか俺に残された道はないのだ。


紫はいつの間にか消え、いつの間にかその手に戻されていた扇子を閉じた状態で、
トントンと自らの細い顎を軽く叩きながら数秒口を閉ざした。
そして


「そうね、仮に貴方が人間に、能力を持たない全うな人間に戻れたとしたら」


「貴方の記憶を戴くわ」


・・・っ、


『この幻想郷ノ記憶、か?』


「そう、この幻想郷、そして此処ですごした日々、そのすべてを、」


『・・・、仮ニ戻れなかっタラ?』


「そのときは諦めなさい、」


塵芥一つ残らず、貴方を殺す、


『去ルか、死ぬカ・・・か』


これは取引と呼べるのだろうか?
半ば脅しに近い、


「貴方が無力な存在として在るのであれば、
 私だって貴方を殺す手間など取りたくない、
 でも貴方がその能力を持ち、脅威となりえる限り、
 私は貴方から幻想郷を守るつもりよ」


紫の強い視線が俺を射抜く、
彼女は幻想郷を守るために俺を殺すか、


『・・・』


辛い、辛い、ツライ

どうあがいても俺に残された道は酷道のみ。
数々の出会い、恩を忘れ、人間に戻るか、
幻想郷を破壊する妖怪として駆逐されるか、


しかし



『情報ヲ、教えてクレ・・・。』



この道をえらんだ。
かすかな希望しかないこの道しか選べなかった。

幻想郷を壊したくない、あいつ等の幻想郷を俺は壊したくない。

ならこの道を選ぶしかないだろう?

















「あー、遅いぜ黒!」


あぁすまな・・・、


すまないと言いかけて、俺は彼女たちに念話が通じないことを思い出し、
忘れかけていた電子辞書と言う存在を取り出した。


=ごめん 皿 みつかんなかった=


「皿なんてなんでもよかったでしょ?」


変なところでこだわるんだから、とぼやきながら霊夢が俺の触手から皿を掻っ攫っていく。
その頬はアルコールが回っているのか綺麗な桜色に染まっていた。


思わず彼女の前をささっと通り過ぎ、今にも酔いつぶれそうな早苗と今から良いつぶそうとする魔理沙、萃香に皿を回していく。

てかリアルで早苗大丈夫か?


「ら、らいじょうぶれす・・・。」


・・・客人用の布団ってどこにあったかな。
ていうか二人とも飲ませすぎだ。
「いやぁ、だってコイツを酔わせると面白くってつい」と魔理沙がいえば
「でかいし柔らかいから揉みがいがあるんだよねー」と萃香が続く
悪びれた様子も無く二人してニヤニヤと酔いつぶれた早苗を視姦する二人に沢庵とそしてついでに軽く拳骨を落とす。

まったく、確かに早苗のアレはさわり心地も質量もなかなかに絶品なものであることは賛同するが、それでも酔いつぶれている間にどうこうするのは解せない。
もちろん、口にださないが、


=しめ は いるか?=


「あー私はまだいい、もうちょっとイケる。
 酒かもん!」

「わたしもー!魔理沙飲み比べ!飲み比べ!」

「私はもうお酒いいわ、持ってきて、
 てかあんたらもうちょっと遠慮しなさいよ、
 明らかに持ってきた分より飲んでるでしょ!」

「・・・うっ」


あー酒とご飯一膳と、・・・水な。

と、あぁ、そうだ、


俺は再び台所に戻る前に魔理沙の肩を叩く。


「ん?どうした黒?飲み比べに参加か?」


お猪口を片手に耳まで赤くなっている魔理沙がご機嫌そうに振り返った。
魔理沙は西洋の血が入っているのか髪は金色で肌は白い。
見た目霊夢よりずいぶんと朱色に染まっているが良く飲めるものだ、

参加したいのは山々だが参加したらうちの家主の視線が怖いからパスだんなもん。
俺も酒飲みたいが、飲みたい気持ちをどうにか押さえ、丸いからだの頭頂部を横に振る。
そしてそっと彼女に電子辞書を差し出した。


=まりさ こうまかん しってる ?=


「ん?紅魔館?あぁしってるぜー?」


=こうまかん の 図書館=


「にいきたいのか?」


今度は頭を縦に振る。
すると魔理沙は俺のその頭をガシガシとなでてニッと微笑んだ。


「オーケィ!何で行きたいのかわかんないけど、
 丁度私も明日行く予定だったからなっ」


ま、霊夢の説得は黒がやれよと釘を刺された。
さすがに魔理沙も霊夢に叱られるのは勘弁らしい。
もし俺を勝手に連れ出したなんて知れたら・・・、

ちらりと魔理沙の視線が霊夢に泳いだのを見て、
俺はささりと魔理沙のもとから離れて台所へと向かう。

廊下の角を曲がる直前、一度振り返ってみると魔理沙がこちらに向かって悪戯っぽくウィンクしつつ両手の人差し指同士でセーフの合図をだしていた。


鬼巫女被害者の会の会員同士、ここら辺のアイコンタクトはばっちりだ。
この話は明日霊夢に話すことにしよう、
酒の入った状態の霊夢はあまり話が通じないから外出許可を求めるなら明日の朝がいいだろうな。







台所に入りながら、ふと先ほどまで八雲紫がいた場所に視線を送る。


人里の北、妖怪の山の麓に位置する霧の湖、その湖畔にある紅い吸血鬼の家城、
そこに大図書館に貴方が求める情報がある。


それが彼女が出した情報だった。
なぜそこにあるのか、と聞くと、
紅魔館の地下にある大図書館は西洋魔術を中心に取り扱っているとの前提を置いた後、彼女はこう口を開いた。


「西洋の魔術はとても怠惰で傲慢な物が多いものよ。
 西洋の人間は彼らが勝手に信じる唯一神の下に自分たちしか居ないと考えている。
 だから西洋魔術は、人の魂や精神を扱う物が多い。
 貴方の現状の打開策として魂と体についての記述を探すのが一番だと思うわ」


とのことをずいぶん嘲りたっぷりに語っていた。
そこまで分かってるならついでに俺のことを調べてくれればいいものを、
と考えたのみで口には出さなかった。
出さなかったのだが悟られてしまったようで


「自分の運命ぐらい自分の手でなんとかなさい!」


と怒られてしまった。
ごもっともなお言葉でしたので俺は素直に頭を下げたさ。

まったく、それにしてもずいぶんと彼女の第一印象と現在の印象が変わってしまった物だ。
最後のあたりはずいぶんと言葉を崩して話してたしな。

そんなことを考えながら俺は体の中から一枚の小さな円盤を取り出す。
せいぜい手のひらサイズにも満たないだろう小さな鏡。

紫曰く俺の妖怪の部分を押さえるマジックアイテムみたいな物、らしい。

なぜ彼女がこれを渡したのか俺には分からない。
俺が妖怪になろうが、人に戻ろうが、
結局彼女にとっては結果なんてどうでもいいはずではないのだろうか?


いつもの自問自答をしようとして、やめた。


まぁいい、使える物は使うしかない、
俺には時間も余裕もなくなってしまったのだがら、



その鏡を再び体の中にしまい、彼女たちのリクエストの品を用意しながら、
今度はふと明日向かう紅魔館に思いをはせた。

たしか俺が妖怪の山に迷い込む前にでかい湖があってそこに紅い建物を見た。
おそらくアレが紅魔館なのだろう。

そういえば、あそこの近くで休んだとき、その館の住人と思しき少女と目が合ったことを思い出す。

魔理沙と比べて少し色の薄い金髪に紅い瞳、
背中には骨のような枝のような何かからパレードの飾りのようなモノをぶら下げていた。


あの子に再び会えるだろうか、


そう思いつつ俺は酒とご飯と水を手に手にもって台所を後にした。















♪~♪~

どこの場所でもない場所でいつの時間でもない時間、
世界と世界の隙間の中で、一つの旋律がその空間を満たし響いていた。






    か ご め   か ご め 



  か ご の な か の と り は



    い つ い つ で や る



    よ あ け の ば ん に



  つ る と か め が す べ っ た



う し ろ の し ょ う め ん だ ー れ

























あとがき===================
急展開、厨二設定あばばばばb


キェェェェェェアァァァァァァクロガシャァベッタァァァァァァァ!!!

念話だけどね

キェェェェェェアァァァァァァクロガシャァベッタァァァァァァァ!!!

まともに話せるの、ゆかりとだけだけどね、

・・・ゆかりがまともに話すだろうか?


なげぇ、前回そちんだったのに、
なんだこのでっかい♂モノ(ファイル容量的な意味で)


ゆっかりんゆっかりんりん、しゃべり方がめんどくさいよゆっかりんりん。
一応自分の言葉を理解している相手には敬語、わからんやつにはタメ口偉そうな口調、







黒×霊夢のエロ妄想が悲愛かヤンデレにしかならない件。
本当に作者の中でこの二人はくっつけにくいなっ!!


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