<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

その他SS投稿掲示板


[広告]


No.6301の一覧
[0] 東方~触手録・紅~ (現実→東方project)[ねこだま](2010/02/12 00:34)
[1] 東方~触手録・紅~ [1][ねこだま](2009/02/10 00:21)
[2] 東方~触手録・紅~ [2] [ねこだま](2009/02/19 04:05)
[3] 東方~触手録・紅~ [3] [ねこだま](2009/02/25 04:38)
[4] 東方~触手録・紅~ [4] [ねこだま](2009/03/05 01:57)
[5] 東方~触手録・紅~ [5] [ねこだま](2009/03/16 03:45)
[6] 東方~触手録・紅~ [6] [ねこだま](2009/04/02 14:04)
[7] 東方~触手録・紅~ [7] [ねこだま](2009/04/14 03:04)
[8] 東方~触手録・紅~ [8]  [ねこだま](2009/05/03 00:16)
[9] 東方~触手録・紅~ [⑨]  上[ねこだま](2009/05/25 01:10)
[10] 東方~触手録・紅~ [⑨] 下 [ねこだま](2009/06/24 02:39)
[11] 東方~触手録・紅~ [10] [ねこだま](2009/06/01 02:09)
[12] 東方~触手録・紅~ [11] [ねこだま](2009/06/24 02:38)
[13] 東方~触手録・紅~ [12] [ねこだま](2009/07/11 22:19)
[14] 東方~触手録・紅~ [13]  [ねこだま](2009/07/11 22:19)
[15] 東方~触手録・紅~ [14]  [ねこだま](2009/08/07 12:47)
[16] 東方~触手録・紅~ [15]  [ねこだま](2009/09/04 12:40)
[17] 東方~触手録・紅~ [16] [ねこだまorz](2009/10/06 17:10)
[18] 東方~触手録・紅~ [17] [ねこだま](2010/01/18 22:41)
[19] 東方~触手録・紅~ [18][ねこだま](2010/01/18 22:41)
[20] 東方~触手録・紅~ [19][ねこだま](2010/02/11 01:11)
[21] 東方~触手録・紅~ [20] [ねこだま](2011/08/05 23:43)
[22] 東方~触手録・紅~ [21][ねこだま](2011/12/25 02:06)
[23] 東方~触手録・紅~ [22][ねこだま](2012/04/11 15:19)
[24] 東方~触手録・紅~ [23][ねこだま](2012/05/02 02:20)
[25] 東方~触手録・紅~ [24] [ねこだま](2012/08/31 22:42)
[26] 東方~触手録・紅~[25] にゅー[ねこだま](2012/08/31 22:42)
[27] 東方~触手録・設定~ [ねこだま](2009/06/15 00:01)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[6301] 東方~触手録・紅~ [20] 
Name: ねこだま◆160a3209 ID:e7d19998 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/08/05 23:43


「・・・ろ。」



ん・・・・・・。



「ねぇ・・・・・クロちゃ・・・ちょっ・・・き・・・てば」




遠くから自分を呼ぶ声が聞こえる。

思考が無意識にがその声の主を記憶の中から探索しようとするが、

どうも頭の中がぼーっとしてはっきりと彼女の声を認識することができない。

何でこうも思考がうまく働かないのだろうか。

あぁ、めんどくさい。

肌に当たる空気を感じる限り音頭はまだ上がっていない。

光度もまだ太陽は上がってないはずだ。

もうちょっと・・・このままでも・・・いいだろう?

誰に言うでもなく頭の奥でそうつぶやいた後、俺は体を小さく縮こませた。



「むぅ、ク・・・ゃん全・・・きやしないや。」



「諏訪子、アンタ昼間になんか無理させたんじゃないの?」



「むかっs、しっつれいだね。そんな変なことしてな・・・なー・・・あー・・・」



「心辺りあるのかい」



「えぇっと、いや!その、ちょっと永遠亭からずっと乗せてもらって途中から山道3人乗り・・・」



「・・・雨の中をかい?」



「うー・・・でもクロちゃんここにきて全然疲れたとか一言も言ってなかったよ」



「・・・喋れたんだったかしらソイツ?」



「あ…うぅ、」



・・・ん、諏訪子と・・・神奈子・・・様?



脳裏にその名前と顔が浮かんだ瞬間、

とろりと思考にまとわりついていた何かがスッと落ちて行った。

再び沈みかけた意識がおもりが無くなった途端突然急浮上する。

そして視界に入ったのは



「あ!神奈子~!クロちゃん起きたみたいだよ。」



と元気な声をあげて隣を見上げる諏訪子の笑みだった。

まだ少し奥に謎の麻痺が残る思考で俺はキョトンと呆けた。

あれ?なんで諏訪子の顔が目の前にあるんだろう?

いや、それ以前に『起きた』ってどういうことだ。

睡眠は俺には必要ないはず。

だって博麗神社で寝た事なんて一回もない。

気を失って運ばれた事は数度あったが自分から睡眠をとった事はない。

あれ?じゃあ今まで気を失っていた?

・・・いやはたして守矢神社で気を失う要因があっただろうか?

早苗と話した後、俺は諏訪子に呼ばれた。

何事かと徳利と盆上に戻して向かうと

顔を真っ赤にして酔いつぶれ、撃沈した木端天狗がなんと神様の膝の上でグースカと寝ていた。

一匹の白い犬を布団に投げるだけの簡単なお仕事でしたっと。

いや、まて別にそんなことはどうでもいい。

その後宴会は椛が落ちたのをきっかけに眠くなったニトリを抜いた俺、諏訪子、神奈子様で呑み直したはずだが、

たしか外の話題とこっちにきての苦労話で盛り上がってた気がするが・・・その後の記憶がない。

酔った感覚はあんまりなかったが・・・飲みすぎたのだろうか?

うわ、神様相手に変なこと考えたりしなかっただろうな?

ふとにっこりとほほ笑む諏訪子の顔が目に入る。



「大丈夫だったよー。変なテンションになったりはしなかったから。」



そうか、それはあんしn



「すんごく冷静に変なこと言ってたけど。」



・・・・・・・・・たとえば?



「うーん、魔○沙のキノコ酒の評価とか霊○の風呂上がり後についての愚痴とか?」



えぇ、ぜひご内密におねがいします。



俺は即座に彼女の膝から降りて土下座のまねごとをした。

宴会の席で何を言ったか曖昧にしか覚えていないが、

本能があの二人の耳に入るとヤバイという警鐘を鳴らした故に俺は頭を下げた。

いや、霊夢の陰陽玉とか魔理沙のマスパとかがこわいわけではありますいませんこわいです。

自分より5歳以上年下の女の子に等身大のゴムボールと熱いシャワーを浴びせられ続けるのは精神的にくるぜ?


「んっふふ~どうしようかな~?あ、クロちゃん、後ろ気をつけてね?」



ふとニヤついた笑みを浮かべていた諏訪子が指先を俺の後方にむかってクルクルまわしながら向けた。

後ろ?

ぐるりと視界を彼女の人差し指から後ろに反転させる。


眼を後方235度ほど回転させてから俺は思わず身を凍らせた。

視界に映るは断崖絶壁垂直落下。



んなっ!?



思わず全身を使ってのけぞった俺の隣からケロケロと笑い声が響く。



「クロちゃんもう少しで『池ポチャ』するとこだったね!」



あぁ、それもちょっとおもしろかったかもな~などと呟く彼女に

俺は口に出せない分の感情を視線に籠めて睨みつけた。

くそぅ、目玉もないから気付いてくれない。

心の奥で消化不良のモヤモヤを練りこめながらそっと直角に落ちる崖下を見下ろしてみる。

するとはるか下にうす暗い闇の中きらきらと揺れる光が見えた。

水だ。

水面に何か金色の光が反射している。

その光を見て俺はようやく自分が屋外にいることに気付いた。

見えあげればいつの間にかちぎれた黒雲の切れ間から月が顔を出し、

世界を満たしていた闇がスッとその身をひそめた。

一昼夜ぶりの月明かりのおかげでやっと俺は自分のいる場所を理解し始める。

ここは湖の上だ。

諏訪子が池ポチャと言っていたからもっと小さな水場の上かとおもったがとんでもない。

視線のはるか向うに対岸があり、波が立っていない水面に綺麗に月が写りこんでいる。

ここはどこだ?

そういえば守矢神社のそばには湖があるって昨日誰かが言ってたような気がする。

もしかしてそこだろうか?

いやしかし、

なんで自分がそんなところにいるのだろうか?



フツフツと湧き上がる疑問と仮説が脳内で空回りする中、視線を諏訪子に戻した時。

あぁ、と俺は思わず感嘆符をこぼしながら理解した。

いまだ綺麗な可愛い笑みを浮かべる諏訪子の後ろ。

そこに幾つもの奇妙な人工物がこの視界を埋め尽くすように乱立していた。

壮大にそそり立つそれは何も知らなかったら何かの遺跡後じゃないかと思っていたかもしれない。

だが目の前に諏訪の神がいるのだ。

とうことはこの柱の群れは全部はアレなのだろう。


たしか御柱・・・だったかな。


それは小さい頃、母の実家、祖父の家の近くで行われていたお祭のときに見た事があった。

長野県無形民俗文化財、諏訪大社式年造営御柱大祭

・・・だったかな?

寅と申の年、七年に一度宝殿を新築し、社殿の四隅にあるモミの大木を建て替える祭りだ。

その主役が御柱、全長17メートル、直径1メートル以上、4つの大社に各4本、

合計16本の大木を山から切り出して社殿の四隅に建てる。

その歴史は最古の資料で平安、実際の歴史はそれをさらにさかのぼるという。

初めて説明されたのはハッピを着てその祭りに参加する祖父に手をひかれながらだった気がする。

それから秋の小社の御柱祭りでもおんなじ説明を受け、

猿年の時の御柱祭とその秋のお祭りでもまたおんなじ説明。

うん、いやでも覚えるもんだ。



話を戻そう。


視界に映る御柱は大きさも長さも不ぞろいだが、諏訪大社の祭りで用いられたものよりもはるかに大きく太い、

それは俺と諏訪子がその上に立ってもまだ十分スペースがあるぐらいだ。

そう、俺たちは今湖にそそり立つ御柱の中の一つの上にいるのだ。

・・・それもなぜか乱立する御柱の中で陸地から一番遠くにあるものの上だ。

俺の後ろには湖が広がるだけ。



なるほどそういう状況か。



俺はある結論に至っておもわず脳内でそうつぶやいた。



「あぁ、『そういう状況』さ。」



ふと上の方から聞き覚えのある声が聞こえた。

おそらく彼女だろう。

何となく諏訪子がいるのだからどこかにいるとは思っていた。

俺は気持ち姿勢をただし、その声が聞こえたほうこうに視線を向ける。



「おはようクロ。酔いはさめたかい?」



ひときわ長く太く大きい一本の御柱の上に彼女は在った。

月の明かりを浴びた背中の注連縄が大きな影を落とし、

その存在をより大きなものに見せていた。



・・・おはようございます。神奈子様



そこにいたのは背中に巨大な円を描いた注連縄を装着し、胡坐で座る八坂神奈子、

胸元の鏡がきらりと光り、うっすらと開かれた口元には小さな笑みらしきものが見える。

あぁ、この状況では八坂刀売神といった方がいいのかもしれない。

記憶の中の、ともに酒を飲んだ時の彼女とは雰囲気がまるで違う。

逆ベクトルといってもいいぐらいの威圧力が俺の体の表面に痺れとして感じられた。

一瞬遅れて心の奥の方にそれが伝導すると体の芯が震える。

体の芯から来るその震えを必死に抑え絞り出された俺の心の声。

俺の声から何かを感じたのか彼女は一拍の間をおいて再び問うた。



「・・・その様子だと自分が置かれている状況をもう理解してるようだね」



全く大きくない声が静かな湖面の上で鈴の音のようによく響く。

その神の問いに俺は答えようと頭の中で言葉を紡ごうとした。

しかし一瞬、脳裏よぎったある考えが脳内思考を停止させた。

はたしてここは素直に喋るべきだろうか?

いや、まて、相手は神だ。

今俺の思考は相手に読まれっぱなしだ。

嘘なんて付いたらそれこそ滅されてしまっても文句は言えない。

別に隠しだてする事もないけど隠しだてできないというのも不安で胸がいっぱいになる。

・・・あるわけないけど、心臓いてぇ。

感覚的に胸に相当する部分がいてぇ。




「・・・・・・?」



ふと神奈子の眉が顰められた。

・・・ってもしかして今まで考えていたこと全部ばればれだったりしないだろうな。

もしそうなら滅フラグでもふんじまったか。

そんなふうに頭の中でひとり戦々恐々としていると隣から



「ん?どしたのクロちゃん?」


いや、頭の中全部読まれるの怖いな~とおも・・・



「へ?」



・・・あ。



気付いた時にはキョトンとした表情で諏訪子が俺をのぞいていた。

・・・そういえばお隣さんにも神がいた。


「もしかしてクロちゃん、今までずっと私たちがクロちゃんのあたまんなか覗いてると思ってる?」


・・・え?ちがうの?


いきなり死亡フラグふんだかと息をのんだ俺に対し、

諏訪子はあきれたような表情をうかべた。



「ちがうのって・・・当たり前でしょ!

 神様が人の頭ん中を奥底まで勝手に覗くなんてまね非人道的な事するわけないじゃん。」



しっつれいだねっ!っと諏訪子は頬を膨らませた。

神様も人道を重んじるのか。

ありがたいことではあるがしかし、

いや、でもそれではどうして俺の言いたい事とかは諏訪子たちに伝わっているのだろうか?



「私たちが感じることができるのは人の心の浅い部分だけだよ。

 人の祈りを聞き届けるぐらいにね。」



俺の疑問に答えたのは諏訪子ではなく神奈子だった。

その口調は先ほどの底しれない何かを含んだものではなく、

いつもの、俺にとって彼女らしい口調だ。

まぁ彼女も少し呆れた口調ではあるがな。



「まったく、人がせっかくシリアスに話を進めようって思っていたのに・・・。

 お前たちはあれか?社会科見学に来た子供か?」



「ちょ、お前達って私も一緒!?」



「当り前さ!てか、いっち番子供っぽいのはお前さんだろ?

 こっから見てるとあんたが一人で怒ったり笑ったりしてるんだもの」



・・・ぁー。



「あうーっ!?なんかクロちゃんいま納得しなかった!?」



“・・・・・・つまり俺の考えていることは俺が伝えたいと思っている部分しか聞こえないってことですか?”



「そう。まぁ確かに少し強引に奥の方も覗こうと思えば覗けるよ。

 でもそんなことするのは野心に満ちた神か悟りの妖怪だけさ。

 うん、いい理解力だ。雑念が混じってない分なかなか聞き取りやすくなったよ。

 頑張れば念でもおくれるんじゃない?」



“ありがとうございます”



「無視ですか。放置プレイですか。あーうーそうですか…。」



そう言って御柱の上から半身を乗り出してブラブラと腕を揺らす諏訪子をみて神奈子は苦笑いを浮かべた。



「ふふ、クロ、このままでは昨日の続きなりそうだぞ」



“えぇ、こちらも真剣な話をするつもりだったんですけどね。”



「うわ、なんか私が悪者扱いされてるし!?

 さ、早苗―、クロちゃんがお腹の中も黒かったぞー気をつけろー!」



俺と神奈子の顔を交互に見て自分が狙われている事に気付いた諏訪子は御柱の上から陸地に向けて大声で叫んだ

諏訪子がうわーんと叫ぶ方向に視線を向けると暗闇の中うっすらと何か建造物の白い影が見えた。

ジッと視線で射殺すつもりで視覚に力を注ぐ。すると視界がじんわりと明るくなりその建物の輪郭がはっきりと映る。

まだしっとりと濡れた屋根と鳥居。

あそこが守矢神社か。



「別にあそこで話してもよかったんだけどね。」



ふと言葉を漏らしたのは神奈子だった。

片膝を立て、それに頬杖をついた彼女は頬に小さな笑窪を作った。



“・・・気を使わせてもらったみたいですね。”



「話の内容が内容だからね。」



俺の声にこたえて口を開いたのは俺に背を向けていた諏訪子だ。

彼女は振り返ると満面の笑みを浮かべてこう告げた。





「殺り合う事になったら3人が危ないからね」






途端、ギュッと体の芯が鷲掴みにされたような感覚が俺を襲う。

先ほどまで優しく包んでくれていた空気が途端に鋭く冷たく感じた

突然の空気の変わりように一瞬思考が真っ白に染まって止まったように感じる。

しかし、ここでビビってしまったら相手の流れに巻き込まれて何も言えなくなってしまうような気がして、

ごまかしきれない体の震えを感じながら俺は自分の体を叱咤した。



“できればそんな事態にならない事が一番ですけど。”



そういうのが精いっぱいだった。

圧倒的な力、それも人知をはるかに超えた神の力が目の前にあるのだ。

しかも場所も場所だ、気が付いたらあの世なんてこともありえる。

ひとり死の予感にガクガクブルブルしていると、

次の瞬間予想外の内容が俺の頭に届いた。



「そりゃあもちろん、クロちゃんと戦って無事で済む気がしないもん。」



・・・ん??今彼女はなんていった?

俺は一瞬自分の聴覚を疑った。



“それは・・・どういうことで・・・?”



「ん?だから、クロちゃんと本気で殺しあったらこっちがやられちゃうかもしれないからって意味だよ?

 クロちゃんも分かっているでしょ?でなきゃわざわざこんなとこにクロちゃんを拉致る必要ないじゃん」



彼女は両手の平を上にして両手をひろげた。

それは御柱の並び立つ湖の上それを指しているものと見ていいだろう。

つまり・・・。




“つまり地理的なアドヴァンテージを得るためにここにつれて来た・・・と?”



「そうだけど・・・あれ?ねぇ!?神奈子!さっき神奈子言ってなかったっけ?

 クロちゃんが状況を理解してるとかなんとか!」



「あぁ、言ったけど・・・。ん?」



あれ?と神の2柱が首をかしげた。



「・・・あぁっと、クロ。ちょっと聞いていい?

 クロは何でここに私たちが連れてきたと思ってるんだい?

 いや、その前にお前はどれぐらい今の状況を理解してるか、教えてもらっていいかい」



神奈子は頬杖ついていたその手で頬をかきながらそうたずねた。

しかしいきなり「どのことをどれぐらいわかっているか」と聞かれると五個から答えて良いのかわからなくなる。



「なんでもいいよ?クロちゃんが気付いたことからでさ」



俺の動揺を感じてか諏訪子はそう促した後、

御柱の縁にひょいと座って足をぶらぶらさせた。

座ってるからいくらでも喋っていいということだろうか?

俺は先ほどの諏訪子の神気に中てられ、いまだにまだ縮む思いのする体の芯をなんとか落ち着かせようとする。

まだ震えが若干止まらないが話を進めよう。



“えっと、とりあえず、今回俺を守矢神社に連れくるっていう予定は前々からあったんじゃないですか?”



「・・・」



「・・・ほう、なぜそう思ったのかな?」



背中を向けて縁に座る諏訪子からの声はなく、

神奈子だけが姿勢を少し正して聞き直した。



“突然の訪問にしては今いる場所の準備がよすぎるから、ですかね。

 ちょうど神奈子様が座っている御柱と守矢神社を基点にされた結界が見えますし。”



それは今いる湖の半分をぐるりと囲むほど大きな結界だった。

まぁ大きいがそれほど強いものではない。

見た目の厚さ的に軽い弾幕を防ぎきる程度のものだ。

実際に触れてもせいぜいしびれるぐらいで終わるだろう。

・・・博麗神社に住み始めた初日にこれ以上分厚い結界張られた事があるぜ。



「へぇ、お前さん結界を見れるのかい。」



“この体にとって結界は半分喰い物でできた壁みたいなもんですから。

 ・・・見えない喰い物なんて満腹になりそうにないですね。

 いや、まぁそれは置いておいてこれほどデカイ結界を作るんなら

 事前に基点を作っておかないといけないんじゃないですか?”



「あぁ、その通りだ。・・・うんなるほど確かにこの結界はお前さんがここに来る前に仕込んでいたものだ。

 だがお前さん用に対して作られたとどうして思ったのかしら?

 もしかしたら別の妖怪に使う物かもしれないよ?」



“もしそうならもっと対弾性がたかいものを張るんじゃないでしょうか?

 それにこの結界はどちらかというと中の物を外に出さないように、

 外のものを中に入れないようにするのが目的の物っぽいですし…。

 あと山の妖怪が今一番警戒しているのは俺だと烏天狗の知り合いから聞いてましたので”



「・・・ふむ、確かに天狗の情報ではお前さん以外の妖怪について危機感を煽る記事はあまりなかったな。

 で?他に気付いたことは?」



・・・あれ?つまり俺について危機感を煽る記事は出てるってこと?



“あとそうですね・・・今回俺を神社に連れてきたのは諏訪子の独断で、

 神奈子様はしらなかったんじゃないですか?”



その時、ヒクリと彼女の口元が動いた。



「・・・その心は?」



“もちろんパジャマ姿”



「ぷふッ!」



 パコーン!




「 うぎゃ!? 」



次の瞬間俺の頭上数センチ上を太さ30センチぐらいのミニ御柱が通過し、

パジャマという単語に吹き出した誰かの悲鳴とともに軽快な音を夜空に響かせた。



「ふぉぉおおっ!?いっつぁ・・・くぅっ!

 ・・・っきなりなにすんのさ!もう少しで落っこちるとこだったじhぼが!?」」



涙目で痛みを堪える奇声を発しながら講義の声を上げた。

しかしその講義の声も言い切る前に俺の頭上を2発目の御柱が通過。

あれって痛いですむものなんだろうか?



「うるさい!この間『まだいいんじゃない?』って言ったのはお前だろ!

 なのにいきなり連れてきて!準備も支度もなにもできなかったじゃないか!」



「いや、だって!クロちゃんが電子辞書ないと大変だって言うし、

 無理矢理拉致ったら後々めんどくさそうだったじゃん!」



“電子辞書があるから・・・って理由だけでも

 結構無理があったと思うんですけど”



俺のつぶやきにじみたその一言に、

強打した鼻の頭を押さえたまま彼女はゆっくりと俺に振り返った。



「…え?マジで?」



まさかぁ、という表情を見せる諏訪子に対し、俺は頭を起こしてコクリと頷いた。



“実際、初対面で見ず知らずの相手を家にあげる理由にしてはちょっと怪しかったですよ。

 あと今思えば道中で椛とニトリの二人に会った時だって、ただ二人が俺を警戒したからというより

 俺があの二人に何もしないように、の牽制が目的だったんじゃないですか?”



「うぅ…。」



「・・・諏訪子アンタの謀り事って毎回どこかポカしてるわよね」



「・・・うっさい」



すっかりしょぼくれた祟り神のトップの後ろ姿を見て神奈子は大きくため息をついた。


「・・・はぁ。本題にもどらないとね。

 さて、クロ。お前さんは何でここに連れてこられたと思う?」



苦笑気味にこめかみをすこし押さえた後神奈子はまじめな顔に戻って俺に視線を向けた。

今のやり取りで気持ちが落ちついた俺はしっかりとその眼を見ながら頭の中を整理することができた。



“俺になにかしらの警告をするため、じゃないんですか?

 もう二度と山には近づくなー・・・とか?”



さもなくば殺す、とか言われたら逃げ場ないぜこれ。

ここは陸地から離れた湖の上の御柱の上、完全に相手のテリトリー内だ。

水の中じゃ動きも遅くなるし、なにしろ相手が諏訪の神だ

一部の伝承では水神としても崇められてる相手に水中で逃げ切れるわけがない。



「クロちゃん・・・」



ふといじけて御柱に指先で「の」の字を書いていた諏訪子がすくっと立ち上がり、

そして



「60点!」



“・・・は?”


「おしい!もう少しで完全正解に近かったのにね!」



「ちょっと酷評すぎないかい?ほぼ正解だと思うんだけど?」



「いんや!あの宴会の雰囲気からいきなり山にくんな!っての流れの説明が不十分なのと、

 何より早苗のくだりだがないから40点減点!いや、むしろ50点減点でもよかったね!」



彼女はなぜか勝ち誇ったような笑みを見せて胸を張った。

なぜか楽しげに笑う諏訪子と再び苦笑の笑みをこぼす神奈子の顔をみて俺は戸惑った



“あー、お二方、できれば俺にも説明してくれるとありがたいんですけど”

 

「あぁ、本当のところ、お前さんが言ったとおりさ。

 本当は妖怪何匹もくらったお前さんに対して忠告するつもりだったんだよ。

 妖怪の山の神として、幻想郷の住人として、ね。

 しってるかもしれないけど私たちは幻想郷にきてまだ1年もたってない。

 なのに新しい住処をいきなり壊されるのも癪だったからね。」



“つもりだった・・・ということは?”



その時、突然俺の視点が一段高くなった。

浮遊感とともに感じる2点で支えられている感触。

視線を上に回すと目の前ににっこりと笑みをこぼす諏訪子がいた。

・・・最近よくされるが二十歳すぎて小さい子にコレされると非常に心が痛いんだが。



「いやー実際クロちゃんに会ってみるとすっごいいい子なんだもん

 優しいし、賢いし、面白いし、柔らかいし!

 だからさ、もっと友好的にやっていけるかなっておもってさ!」



“嬉しいですけど・・・最後の柔らかさは重要なんですか?”



「『餅』ろん!・・・イタっ!?」



一瞬コツンと新品の鉛筆のような物体が彼女の額に命中したように見えたが気のせいだろう。



“・・・そうですか。

 でも、それだけで余所者を信用するにはちょっと理由が薄い気がするんですけど。“



俺自身が言うのもおかしいがそれぐらいだったら俺が猫を被っている可能性もあるのではないか?

そういう意をこめて伝えた俺の言葉に神奈子はふと姿勢を崩して口を開いた。

その口元は小さく笑みを称えている。



「侮らないでほしいわね。私たちは何千年も神様やってるんだ。

 数えきれない神、妖、人の心に触れてきたこの目は一片たりとも曇っちゃいないさ

 とくに心の暗い部分は見抜く程度造作もないね。」



つまり何か企んでも見抜ける自信があるということか、

あとこの二人ならそのたくらみを看破するほどの実力もあるだろうし。



「まぁね!それにクロちゃんを信用するきっかけといえば早苗と話してた時かな?」



“早苗と?”



「うん。宴会を抜けた時早苗と喋ってたでしょ?

 実を言うとね。クロちゃんと早苗を合わせたくて昨日はあんな誘い方しちゃったんだよね。」



“それは・・・またどういうことですか?”



「いやぁ、早苗がね。」



よいしょ、と諏訪子は俺を抱えたまま御柱の上に座り込んだ。



「ここ数カ月慣れない幻想郷生活でちょっとストレスたまってるみたいだったんだ。

 ここは文化レベルが元の明治初期に近いからね。現代っ子にはちょっと慣れない部分もあるわけよ。

 おまけに外の話題だれーにも通じないしね。

 だからクロちゃんを呼んだわけ。

 最近の外来人でしかも電子辞書っていう格好の口実もあったし、もともと呼ぶ予定だったし。」



「あぁ、だから予定を巻くってクロを連れてきたのかい。」



「そういうことー!」



満面の笑みを浮かべて親指を立てる諏訪子に呆れたように神奈子は溜息をついた。

てか神奈子さん。早苗についての説明で妙に納得されてますけど、

貴方はパジャマ姿を見られても早苗のためなら仕方ないで済むんでしょうか?

いや、とりあえず…。



“ではなんで俺をここに?”



会話の流れ的に物騒な方向は無くなったとは思うが、

ではなんで俺はこんな結界に囲まれた湖上の上に連れ込まれているんだろうか?



「だって、用意したもの使わないともったいないじゃん」



“・・・えぇぇぇぇぇ。”



「ふふふ、冗談冗談!

 あのね、クロちゃんをここに連れてきた理由はね。

 クロちゃんの体についてちょっと聞きたい事があったからなんだよ」



“えぇぇぇ・・・・え?”



俺の体について?

視線を諏訪子から神奈子に移すと彼女の表情も少し真剣なものになっていた。



「すこしばかりまじめな話をするけどいいかい?

 クロ、お前さん幻想郷に流れ着いて今までどれくらい妖怪を喰った?

 そして何人の人の血を飲んだ?」



“どれくらい・・・ですか”



いきなりのマジ話にちょっと頭がついてこれない。

必死に混乱しかけた頭であまり思い出したくない記憶を引き出した。



“妖怪は・・・5、6体ですかね。

 人の血はまだ・・・2、3人ぐらいだと思います。”



その時、ふと彼女たちの表情が曇った。



「そうか、6体…。」



「ねぇ、クロちゃんそれホント?本当に5、6匹しかやってないの?」



“え、えぇ。ですけど完全に喰い殺したのはせいぜい4体です。

 あとは殺してしまう前に怖くなって逃げてしまいました。”



なにか気にかかることがあるのだろうか。

二人は顔を見合わせて一度首を傾げた後、小さく横に降った。

さっきまでの柔らかい空気はどこかに消え少しシンとした空気が不安にさせる。



「クロ。」



不意に神奈子が俺の呼び名を呼んだ。

その声はすこし低く、俺の聴覚にとても強く響いた



「クロ、お前さんの体からいろんな妖怪の気配を感じるんだ。」



“いろんな妖怪?それはもしかして俺がの食い潰した妖怪・・・ですか・”



「いや、それだと多くて6体の妖怪の気配しか感じないだろう。」



ザワリと体の芯が疼いた。



「お前さんの体から感じるのは何十、いやもしかしたら百弱の妖怪と魅魍の気配がするんだよ」



百・・・!?



“それは・・・え?・・・つまりどういう・・・事ですか?”



百体なんて妖怪、俺はまだそんな数の妖怪にあったことがない。

もしかしたら自分が無意識のうちに・・・いやそれならあの二人が止めてくれるはずだ。

なにも言わないのはおかしい。



「ねぇ、クロちゃん。」



そっと諏訪子の手が優しく俺の頭を撫でた。

それはまるで小さい子を落ち着かせるようなゆっくりとした優しい手つきだった。



「妖怪にはね、3種類の発生方法があるの。

 自然の化身として、人の心の化身として自然発生する方法と人が何らかの形で妖怪になる方法。

 そして・・・



 人工的に生み出される方法」



“人工的に?”



「うん、クロちゃんは外から来たからゴーレムとかゾンビとかわかるよね?

 よくゲームにもモンスターとして出てくるヤツ。

 そいつらは人や魔法使いが術式で命がないものに命を吹き込むことでモンスター、妖怪になるの。

 そして他にも複数の妖怪を合わせて新しい妖怪を生み出す方法もあるの」



“つまり俺の体は、その・・・複数の妖怪を?”



「うん・・・ごめんね。私たちも詳しく分析なんてできないからほぼ勘でいってるだけど・・・。

 その可能性が高い・・・かな?」



「・・・長い間生きてきたけど、正直お前さんみたいな妖怪は初めてさ。

 こんな数の妖怪を合わせたものを見たのも初めてだし、ましてやそれに人の魂が憑依するなんて」



“そう・・・ですか・・・”



「あぁ、力になれなくて本当にすまないね・・・。」



トーンが大分落ちた神奈子の声に俺は思わず頭を横に振って答えた。



“いえ、そんな。十分です。正直この身体について全然わからなかったので

 ここで情報が聞けるのとは、とてもありがたいです。”



「・・・へへ、クロちゃんちょっと日本語おかしい」



“すいません、いきなりでしたのでちょっと・・・パニくってます。”



「えへへ、クロちゃんってさ冷静っぽそうにみえて意外と混乱しやすいよね?」



“早苗にも言われました。顔に出やすいって”



「あぁ、ってお前さんの顔ってどこだい?」



“ここら辺です”



腕を一本出して自分の視界辺りを指したら二人して微妙な顔をされた。



「「そこ体じゃん」」



“・・・そうですか”



諏訪子の上でがっくりと落ち込むと今度は二人して笑われました。



「ふふふ、まぁいいじゃないか。

 どっかのカエルなんか顔が二つも重なってるからたまにどっちかわからなくなるんだよ」



「む!?ちょっと神奈子!それもしかして私の帽子のこと!?」



「いんや、お前の本体の話さ。」



“え?そっちが本体だったんですか!?”



「ちょ!?クロちゃん!へんなとこで乗るな!」



「あぁ、実はそうなんだよ。たまにあの舌から長いベロが出てるのを見かけるから

 とりあえずソレが生き物なのは間違いないよ。」



“・・・・・・へぇ”



「あ、ちょっとクロちゃん!?なんでそんな引いてんのさ!

 くぉらガンキャノン!妙な事吹き込むな!」



「ハッハッハ!誰が中距離支援モビルスーツだこのロリババァが!」



「なにをぅ!?やるか今ナウここで!!」



“アー諏訪子さん、俺をホールドしたまま臨戦態勢はやめてください

 神気で体の中がすんごく飽和状態になりそうです”



「うぅぅ!・・・そういえばクロちゃん」



“はい?”



「昨日までは呼び捨てにため口だったのに何で今は敬語使ってんのさ?」



“いや、自分から意思を伝えるんなら敬語の方がいいかな、と”



「みずくさい!そんな昨日はあんなに一緒に騒いで呑んだのに酔いがさめたら他人行儀なんてそりゃないよ!」



俺を抱えたままヨヨヨと泣き崩れる真似をする諏訪子。

だがその右手は俺の体をしっかりと揉みつかんでいた。

こんにゃろう泣き真似するか俺の体をもむかどっちかにしろ。

またオンバシラがとんでこないかと神奈子のほうを覗き見ると、

なぜか彼女もその自らの細い輪郭を指でなぞりながら何か考えている。



「うん、諏訪子の言うことにも一理ある。そういえば私に対してはずっと敬語に様付けだね。

 一晩対等に杯を交わした仲なのにそんな態度をとられると逆に悲しくなるよ。」



“はぁ・・・いいんでしょうか。自分のようなものが神様と対等であって”



「あぁ、お前さんになら構わないよ。幻想郷じゃ互いに認め、ともに酒を飲んだらそれだけで『友』になれるものさ

 だから博麗の巫女もお前さんの知る霧雨魔理沙も私にたいしてため口だし呼び捨てだし、

 それを私は咎めるつもりもない。

 幻想郷はそんな場所さ。力を抜いて最低限の礼儀の元楽しく過ごせればそれが一番なんだよ。」



“え・・・ぁあ・・・わかり・・・わかった。八坂神奈子、

 うん、酒飲み友達としてこれからもよろしく頼む”



「あぁ、心得た。昨日の語らいはなかなかに楽しいものだった。

 次に飲める機会があればお前さんを喜んで呼ぶとするよ?」



ニッと何か悪だくみをともに考えた子供のように神奈子笑みをこぼした。

無論俺も心の中でしか笑えないが彼女はわかってくれるだろう。

ふとその時、ポンと頭上で手のなる音が聞こえた。



「あ、じゃあさっ!じゃあさ!!」



諏訪子は満面の笑みを浮かべて本た・・・帽子の中を探りだした。

いや、まさか・・・。



「今飲もうよ!新しい友の証に!!」



そう言ってとりだしたのはひとつの徳利に3つのお猪口。



「・・・諏訪子、まさかお前」



“ずっとそれを中に仕込んでたのか?”



「えっへっへっへ~、クロちゃんだからなんかこんな雰囲気になるかな~って予感はしてたんだよね~!」



「ハァ、ったくお前は…。

 ホラ、そこじゃ3人も座れないだろ?」



呆れた表情で笑う神奈子だがまんざらでもないようだ。

俺たちに向かって手招きを始めた。

諏訪子は片手で俺を抱え直すとひょいと神奈子の座る御柱に向かって、

自分の数倍ある高度差をなんなく飛び越えた。

さすがはカエルといったところか。



「別に二人分座る場所があれば十分だけどね!クロちゃんは私の膝の上に置けばいいし。」



そう言いながら彼女は神奈子にお猪口をひとつ渡し、とっく、とっくとお酒を注いだ。



「はぁ、これじゃ結局昨日の宴会の続きじゃないか」



「それは違うよ!昨日は外の世界を懐かしむ宴会で、これは新しくできた友達を祝うお酒!」



“結局飲むことには変わらないだろ”



そう言うと諏訪子はカエルというより河豚のようにプクッと頬を膨らませて抗議した。



「あーうー!でもさ!せっかく雨の後にこんな綺麗な月が出てるんだから飲みたくなるもんでしょ!?」



“まぁ、それは・・・”



「確かに・・・。あぁ、言われてみれば絶好のシチュエーションじゃないか。

 クロ、今更だが月が出て風がない日の此処は最高だよ?」



“それはうん、なるほど確かに綺麗だ”



気付けば風がなく波もたっていない湖面には雲間から顔を出した月が綺麗に移りこんでいる。

さっきまで少し殺気立っていたから全然気づくことができなかったが。

深い群青の空にそびえたつ山々、そしてキラキラと光る湖面と月と星々がみな筆舌しがたい美しさを湛えており、

湖上の御柱も長く細い影を伸ばしてその風景に一つの華を添えている。



“・・・風景を肴にするにはもってこいだな”



「でしょ!でしょ!!それじゃ!ほら!新しい友に乾杯しよ!乾杯!」



「ヤレヤレ、数日気揉めした出来事がこんなもんで終わってしまうなんてね。」



「何言ってんの!最高の形で終わったんだから文句ないっしょ!ね?クロちゃん」



“あぁ、得るものはあったが失うものはなかった。

 美味い酒も飲めるし、綺麗な風景と女性を見れたんだから俺は満足さ”



「・・・お前さんも口がうまいこと。」



「なはは、んじゃ!二人ともいいかな?さ、乾杯!!!」



“「乾杯!!」”







最高の酒とは一晩に一回だけとは限らないもんだ。




























“ところで・・・”



「ん?」



「なんだい?クロ?」



“ここに連れてきた理由と早苗の事で各20点減点?”



「「早苗で35点」」



連れてきた理由5点配点・・・?























>あとがき


            こ
            う
            し
       わ    ん
       す    は
       れ
       た
  や    こ
  っ     ろ
  て    に
  く
  る
           ねこだま心の川柳


期末が終わり、今回こそ守矢神社編を終わらしてやる!と意気込んだら文字数が通常の2倍になりました。

長っ!

最後らへん疲れて会話文だけになっちゃっいました(泣

















前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.023276090621948