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No.6296の一覧
[0] クソゲーオンライン(銀英設定パロ)[あ](2020/02/21 23:53)
[1] クソゲーオンライン2[あ](2009/02/06 20:54)
[2] クソゲーオンライン3[あ](2009/02/15 16:18)
[3] クソゲーオンライン4[あ](2009/02/24 21:54)
[4] クソゲーオンライン5[あ](2009/03/01 15:46)
[5] クソゲーオンライン6[あ](2009/03/06 22:32)
[6] クソゲーオンライン7[あ](2009/03/08 20:06)
[7] クソゲーオンライン8[あ](2009/03/14 18:30)
[8] クソゲーオンライン9[あ](2009/03/15 16:48)
[9] クソゲーオンライン10[あ](2009/03/29 16:34)
[10] クソゲーオンライン11[あ](2009/04/13 21:12)
[11] クソゲーオンライン12[あ](2009/04/26 23:20)
[12] クソゲーオンライン13[あ](2009/05/24 17:54)
[13] クソゲーオンライン14[あ](2009/05/31 15:30)
[14] クソゲーオンライン15[あ](2009/06/20 18:00)
[15] クソゲーオンライン16[あ](2009/06/29 23:02)
[16] クソゲーオンライン17[あ](2009/07/04 21:08)
[17] クソゲーオンライン18[あ](2009/07/06 22:26)
[18] クソゲーオンライン19[あ](2009/07/11 16:54)
[19] クソゲーオンライン20[あ](2009/07/19 22:44)
[20] クソゲーオンライン21[あ](2009/07/27 22:30)
[21] クソゲーオンライン22[あ](2009/08/10 21:04)
[22] クソゲーオンライン23[あ](2009/08/12 19:50)
[23] クソゲーオンライン24[あ](2009/08/16 18:43)
[24] クソゲーオンライン25[あ](2009/08/16 19:21)
[25] クソゲーオンライン26[あ](2009/09/05 20:39)
[26] クソゲーオフライン27[あ](2009/09/12 18:46)
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[6296] クソゲーオンライン16
Name: あ◆2cc3b8c7 ID:e0b0b385 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/29 23:02
大魔王レンネンカンプへと続く道に立ちはだかる二つの壁は
嫌な後味を残しはしたものの、予想以上にあっさりと崩された

所詮はヒトの造りし欠陥品、生に固執するヒトのチカラには
最初から敵うはずがなかったのかもしれない




■玉石混合■


二人の中ボスが倒された報せが『レンネンカンプ』の世界を走る中
肝心の大魔王レンネンカンプへの道は一向に明かされる様子は無く

ゲーム内ネットでのレンネンコミュのメイン掲示板などでは
乱暴なコメントが書き込まれたり、それを窘める者と更に煽る者が現われたりと
大荒れ状態で、もはやプレイヤー同士の親睦を深めるといった
本来の役割を全く果たしていなかった

もっとも、その無秩序な傾向はレンネン攻略掲示板といった
ある程度の目的や方向性が定められたコミュニティでも変わることはなく
利用者の理性と知性が著しく減退しているという事実をよく現していた


■■


なんかカチカチとよく飽きもせずにロクでもない掲示板何かみてられるな
どうせ大したことない奴等が、ご大層な御託を並べて悦に浸ってるだけなんだろ?



「閣下の言は概ね正しいと私も思います。ですが、有益な情報が紛れている事も
 稀には有ります。勿論、石の中から『玉』を見つけるのは容易ではありませんが」


そう言うもんか?まぁ、情報量の多さだけは確かだからな

それで、なにか有益な情報でも見付かったか?
もうそろそろ、フェルナーと食詰めも買物から帰ってくる頃だぞ



「そうですね、何点かモンスターの弱点やドロップするアイテムについて信憑性の高い
書込みを見つけました。今日の狩場はそのモンスターが出現する場所にしてみては?」
 

『それで行きましょう。折角、お嬢が見つけてくれた情報ですからね
そうそう、閣下に頂いた資金で必要な物はすべて調達出来ましたので』

『二人とも中々、いい御身分じゃないか?我々が消耗品の調達に勤しむ中
 仲良くネットカフェで優雅に談笑をしているとは実に羨ましい限りだな』



まぁ、帰ってきた早々にそう怒るなって!ちゃんと有益な情報を見つけたじゃん
別にだらだらとダベってジュース何倍もお替りして訳じゃ無いから
ほんとほんと、俺を信じろ!!

『ほぅ、卿ではなくパウラが全て見つけたように思ったのだが
どうやら私の勘違いだったようだ。これは謝らなければならないな』


「閣下、もうここに居る必要はありません。直ぐに会計を済まして出発しましょう」






ギャーギャー言い合い始めたヘインと食詰めの二人を止めたのは
有無を言わさずに伝票をヘインに突きつけた義眼だった

無駄な時間を過ごす気は全くないという彼女らしい意思表示であったが
その行動の動機には彼女も気付いていない別の要素が若干含まれていた

まぁ、とにもかくも事態が大きく動かない以上
彼等に出来る事は黙々とレベルあげの作業を
より安全で確実に進めることだけであった



■レンネンは裏切らない■


二人の中ボスが倒されてから五日ほど過ぎた頃
遂に大魔王レンネンカンプはプレイヤー達の前にその姿を現した
ただ、再び姿を見せた彼の眼には既に光は無く


大魔王レンネンカンプとしてこの世界に捕らわれた人々に
恐怖を与える王として君臨する滑稽な姿しか無かった


■■



『 狂気と悲しみに彩られた素晴らしき世界に捕らわれた諸君!!
  この世界を統べる王として、先ずは君たちに賛辞を贈りたいと思う
  予も斯様な早さで我が両腕を永遠に失う事になろうとは思わなかった
  素直に認めよう。君たちはこの大魔王の予測を超えた強者であると  』



巨大な立体映像として映し出された大魔王レンネンカンプは
自らが生み出した作品でもある二人の中ボスの消失を全く惜しむ素振りを見せず
逆に、それを成し遂げたプレイヤー達を賞賛する事によって
大魔王としての度量の大きさを示す

そして、続けて大仰に重々しく紡ぐ言葉によって
『レンネンカンプ』がクソゲー中のクソゲーである事を
鈍器のようなもので叩きつけるかのような衝撃を持って
全てのプレイヤー達の頭に容赦なく叩き込む!!



  『 大魔王レンネンカンプとして諸君等との約束を履行しよう
    勇気と知恵に満ちた君たちを我が居城『レンネンカンプ城』に
    招待しよう!!勿論、そこには今まで以上に大きな困難と障害が
    壁となって君達の行く手を阻む事になるが、それを乗越えて
    『我々』の下に辿り着いてくれることを心から望んでいるよ  』



空中に浮かび上がる巨大なマップによって
遂に明らかにされる魔王の居城『レンネンカンプ城』
そして、満足気に語る大魔王の後ろから二人の男が姿を現す


『 そうそう、レンネン四天王の残りの二人を紹介していなかったな
  これも良い機会だ私の忠実な腹心である二人を諸君等に紹介しよう
  先ずは、生真面目で清廉を絵に描いたようなクナップシュタイン大将
  その力はメアやジャッキーの100倍を優に超えるほどのものだ
  続いて紹介するのはグリルパルツァー大将、彼はその力だけでなく
  その知性の高さも折り紙付だ。前の二人とは比べ物にならない実力者だ 』



後出しの四天王設定によって聴衆を絶句させることに成功した大魔王に続いて
二人の新たなラスボスの前座二人が前面に立ち
『レンネンカンプ』におけるゲームシステムを変更したと唐突に宣言する


■■



『今回、皆さんには私ではなく、グリルパルツァー大将から
大きく変わったルールについて説明をしたいと思います・・』


生真面目そうなクナップシュタイン大将がそう言って後ろに下がると
漲る何かを迸らせながら、勢い良くグリルパルツァー大将が前面に飛び出す!?


『おい!おいおい!!お前らもっと盛り上がれよ!!お前らならやれるだろ
 出来る!出来る!出来る!!!自分を信じろ!俺を信じろ!!もっと楽しめ!
 クソ?今クソって言った?聞こえないよ!!声が小さいよ!もっと大きい声で
 何?全然気持ち伝わってこないよ!!ダメだよ!もっと主張しろよ!!
 クソとか言ってないでもっと熱くなれ!熱くなって楽しめよ!!出来るだろ!
 クソクソ言ってないで、お前等が楽しくしろ!そう熱く楽しめよ!!やれる!!
 俺はやれる!お前らもやれる!今を楽しめ!!そう来てる!今来てるんだよ!!
ルールは変わったんだよ!!前の?前のなんかもう古いんだよ!!遅れるな!!』



もう、いい加減にしてくれ、何がしたいの?そんなの人々の想いを余所に
まったく説明になってない『知性の高さ』が折り紙つきの男の説明は
以後、30分に渡って繰り広げられことになるのだが
誰一人、変更されたルールを彼の説明から理解することが出来なかった



人々が新しいルールを知るのは二日ほど経って
運営側から送られた告知メールを開いた後であった





■欲望に素直になれよ!!■


非常にアンニュイな『ルールが変わった宣言』以後に告知メールで知らされた
ルールの変更はヴァーチャルゲーム界の常識に挑戦するようなトンでもない物であった



1.平等な戦争イベント
戦争イベントでのレベル差による優越を完全に廃止し
より緊張感を持った戦争イベントを実現します!

2.戦争イベントに三竦み制を導入
戦争イベントに三竦みの法則を導入し、より戦略性をアップしました!
  魔法使いタイプは剣士タイプに強く、弓兵タイプに弱い
  剣士タイプは弓兵タイプに強く、魔法使いタイプに弱い
  弓兵は魔法使いタイプに強く、剣士タイプに弱いって感じみたいなぁ~?


3.よりリアルな戦争を皆さまに
  なんと!戦争イベント実施中は敵兵に関してのみ社会的死のデスペナを全面解除!?
  セクハラするもよし、連れ帰って奴隷にしてウキウキプレイも可能♪何でもありんす

4.ストップ・ザ・メア!!
  悲劇の美少女メア・リースの不幸を我々は繰り返さない!!
  戦争イベントで連れ帰ったお好みの異性を奴隷として所有できるシステムを追加
  生殺与奪の権利を含めて全ての権利を貴方に!!勝手に幼女に男の娘とハァハァしてろ!

5.その他、色々・・・
  その他にも色々弄ってあります!みなさん、ゆっくり検証してしね♪



■■


『こいつは酷いな・・・、もう奴さんは正気じゃないと見たほうが良さそうですね』


メールの内容を確認して余りの内容に押し黙る中
最初に口を開いたのはフェルナーであった

他の三人はそれぞれ頷き、彼の発言に対する肯定の意を静かに示す


『だが、ある程度のシステムが未だに狂人のコントロール下にあることが
 今回の件で分かった。つまり、奴の言うクリア後に解放するという妄言も・・』

「多少の信憑性があるってことか?」


ヘインの問い掛けに推測を述べた食詰めは微笑みながら頷き
続けて、自説を展開しようとするが、義眼がそれに待ったをかける


『しかし、それは閣下の言うように可能性に過ぎません
 可能性に過度の期待と楽観を持って行動することになれば
 そう遠く無い未来に私達は深刻な窮地にたつかもしれません』

『ふん、では座して緩慢な死を卿は待つというのか?
 悲観が過ぎて最終目標である『帰還』から後退しては
 これまで払ってきた努力を水泡に帰すも同然ではないか』



自説を否定されたこと以上に、盛り上がりかけたヘインとの会話に
水を差されたことに憤慨した食詰めは水色の瞳に雷光を走らせながら
義眼が自身より年長者であることも忘れて真っ向から噛み付く



『私は無謀な前進をする必要はないと考えでいるだけです
 可能な限り情報を収集し、それを分析した上で行動する
失敗が許されない以上、より慎重にことにあたるべきです』


食詰めの苛烈な視線などどこ吹く風で、視線をヘインにだけ向け
義眼はいつもの様に、淡々と相手を追い詰めるような正論を紡いでいく
横で更に激昂しかける食詰めの姿など全く意に介さず


『パウラ!!卿の言はいつも正しい!だが、卿もバッテリーが切れたら
 大好きな正論を垂流せぬ木偶になる事を努々忘れないようにするんだな!』

「レン言いすぎだ。・・・パウラに謝れ」


『あぁ、そうか・・、ヘイン。すっかり忘れていた!卿も同じ臆病ものだという事を!
 実に申し訳ない、それを忘れて大層失礼を致しました。これで満足して貰えたか?』



義眼に対する度を超し掛けた食詰めの暴言に
堪りかねたヘインは止めに入ったのだが、タイミングが既に遅すぎた
この期に及んでは彼の仲裁は決裂を早めるだけで逆効果にしか為らず


案の定、反発した食詰めは、今度は見境なしとばかりにヘインにも暴言を吐き
カッとなったヘインにぺチンと可愛らしい平手打ちをお見舞いされ
涙目でその場から脱兎の如く逃走というお約束の展開をしでかすことになる






Vオンラインゲームではよくある人間関係の拗れによるパーティ崩壊
ヘイン達四人がいま直面することになった危機も
ある意味、ありがちな事でそれほど珍しい光景ではなかったのかもしれない


ただ、異常な条件下に長く置かれ、更に追い討ちをかけるような
無茶な後付設定に暴挙とも言えるルール変更といった外的環境の悪化が無ければ
ここまで険悪な事態までは発展しなかったであろう



ただ、残念なことに、ここは史上最悪のクソゲー『レンネンカンプ』の世界・・・



いつ怒るとも分からぬ電プチとバッテリー切れによる死の恐怖
悠久の時をただ動かずに待ち続ける木偶になるデスペナの恐怖

幾人もの人々を戦争イベントで生き地獄とも言えるデスペナを喰らわせ
必死に仮初の生に縋り付こうとした、哀れな作られた少女を手折った罪悪感


最悪の環境下で増幅されたストレスはいつ爆発してもおかしくないモノであった
その証拠に、後に解析されたログで分かった事ではあるが
この時期に多くのパーティやフレンドに恋人、結婚登録の解消が確認されている



それだけの影響力を持つ程『ルールが変わった宣言』の内容は酷かったのかもしれない
最初の『挑戦状』で中途半端な期待を持たせた後に、このクソみたいな『宣言』・・・


誰よりもデスペナの恐怖に曝され続けていた
トップ『求道者』達の受けた心的ダメージが
自然と大きいものになるのも致し方が無かろう



少なくとも、命がけで得た高レベルという戦争イベントで
自身の安全を保障するものが一瞬にして奪われたのだから




■ドライ愛すの剣■


『閣下、彼女を追わなくて良かったんですか?』


フェルナーは食詰めが走り去った方向を見遣りながら
少しばかり非難の色を含ませつつ、彼にしては率直な言葉をヘインに投げ掛けたが


「必要ないだろ。追い付ける速さでわざと走って行った位だからな
 まぁ、少し走って頭でも冷やしたほうが良いだろ。別に心配ないさ」


ヘインはしっかり食詰めの『狙い』に気付いていた為
彼女を追うような真似をする気は更々なかった

もっとも、分かっていても追ってやるのが人情という事が理解できるほど
彼も大人でなかった事との現われでもあったが


無論、フェルナーもその事まで理解していたが
『そこ』まで指摘するのは出過ぎであると考え、
それ以上は何も言わず、残った二人に別れを告げると帰路につく


残ったもう一方の『そこ』まで分かっている義眼も沈黙を保ち
いつも通り必要のないこと、不必要なことをしようとはせずに必要な事だけを行う


■■


けっ、なんで俺が其処まで面倒見なきゃいけねーんだよ
たまには保護者としてビシっと叱ってやらないとダメなんだよ
フェルナーだって分かってるだろそれくらい

『閣下・・』

クソっ、イライラするな。どうせ男がぜんぶ悪いってお約束のパターンなんだろ?
食詰めの野郎、絶対そういうこと分かって行動してやがる
周りを固めていっきに落とす、エゲツなかろうとあいつはやると言ったらやる奴だ


『・・・、閣下!!』


「おう、悪い悪い・・、ちょっとボーとしてたわ。まぁ、どっかのアホのせいで
 場も白けちまったし、今日は帰るか?フェルナーもさっさと帰っていったしな」

『はい。それと閣下、今日は庇って頂きありがとう御座いました』

「いや、別に大したことじゃない。食詰めの野郎言い過ぎだったからさ・・」



『いえ、嬉しかったです。今日はありがとう御座いました。失礼します』





食詰めとは違った形でその場を走り去る義眼の後姿を見つめながら
少し前まで、一人もやもやしていたヘインは固まっていた


いつもの義眼では有り得ない位に柔らかな謝辞と少し朱が入った笑顔は
青天の霹靂といってよいほどの衝撃をヘインに与える事に成功したのだ

それほど、どこか無機質でシビア過ぎる面を色濃く持つ少女が
一瞬だけ、ヘインに垣間見せた人間臭さい表情は
彼女が今までに見せたどの表情よりも愛らしさに満ちたもので
無防備な男の心を握り潰すのに充分すぎる威力を持っていた


遂に、義眼の少女はドライアイスの剣を抜き放ち
生まれながらの食詰めガールにそれを突きつける





この時期、多くの別れが確かに生まれていたのは紛れも無い事実
だが、それと同じように新たな出会いと絆も生まれていた

限界を遥かに超えるストレス要因によって弱った人々は
誰かと傷つけあうだけでなく、それを舐め合う相手も同時に求めていく


ただ、それは同時に新たな別れの可能性の誕生でもあった
やがて、多くの舐めあった傷は化膿し、より酷い形で開く事にもなるのだが




  それでも、多くの人々は新たな相手を求めずにはいられない


   その理由は短銃明快である。一人で耐えられるほど



   この『レンネンカンプ』の世界はやさしくないのだから





   ・・・ヘイン・フォン・ブジン侯爵・・・電子の小物はレベル800・・・・・

              ~END~


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