「おにいちゃ～ん」

妹ができました。

とはいっても親が頑張った訳でもなく。
居候先の女の子、名前は璃々ちゃん。
この体になってから年下の子にあうのは初めてな気がする。

気分的には鈴々も年下なんだけども。




真・変姫†無双　～ドキッ☆腐女子だらけの三国志演義～
第２８話　昨日の敵は心の友よ、のこと




旅路の果てに、やってきました蜀の都『成都』です。
……まちがえた、濁の都。

いくら俺の知っている歴史と違うとはいえ、これはどうよ？


この世界にやってきてはや数ヶ月。さすがの俺もなれたもの。
旅先の市をのぞくのは旅行の醍醐味。
意気揚々とくりだして……キャプチャーされました。

もみくちゃにされながらもお城の兵に助けられ、再会した恩人の方々。
彼女たちの新しい仲間もやっぱり女性だったわけで。

そんな新人さんの中の一人、黄忠さんの娘さんがさっきの璃々ちゃん。
なんか、いいよね。
非常に和む。かわいいなぁ。


「ハァハァ」


ただこのお城、いたるところで荒い鼻息が聞こえてきます。





「おにいちゃん、あそぼう？」

「いいよ、何して遊ぼうか」

「だるまさんがころんだ！」

妹分には優しくしないとね。
けれども二人だとつまらないよね。どうしようか？

そんな風に相談していると、物陰から颯爽と人影が飛び出してきた。


「あら一刀君、璃々と遊んでくれているのね、ありがとう。
　よかったらわたくしも混ざってもいいかしら？」


抜け駆けだ、ずるいー。
物陰から声が聞こえる。


どの道３人でも足りなかったところだ。
もう少し人を集めるとしよう。
さりげなく声をかけてみる。


「三人でも少ないよねー、もう少し人を探してこようかー」


わらわら
わらわら


「あー、かずとくん遊んでるの？私もいれてー！」
「桃香様、私も一緒に……」

わらわら
わらわら

「あたし、あたしもやるぞ！」
「わ、私も参加しましゅ！」
「あたいもやるぞー！」

わらわら
わらわら

「はーっはっはっは！！」
「フオオオオオオオ！！」
「あら、それじゃ私も参加しようかしらん♪」

………
何か想像以上にたくさん出てきた！


さすがに一般兵の方々には遠慮してもらった。
それでもざっと１０人ほどはいるだろうか。しかも将軍格ばかり。
一部変なのもいるが。


ここで参加者を見てみよう。

俺
璃々ちゃん
黄忠さん
桃香
愛紗
猪々子
趙雲（お面付き）
はわわ
ポニーテール
変態
本屋

一部名称がおかしいのがいるが、気にしない。


じゃんけんの結果、俺が鬼になった。
壁に手をついて目を瞑り、カウントスタート！

「だ・る・ま・さ・ん・が……」

ハァハァ
ハァハァ

「転んだ！」

ピタッ

……
これは、指摘するべきなのだろうか？

ぷるん、ぷるん。


「あの、黄忠さん？」

「あら、私動いてました？」


自分で動かしておいてよくもまぁ。でも、


「いえ、何でも……」


揺れ動くファンタスティックを指摘できるほど肝が据わってないのさ。
笑いたくば笑うがいい。

カウントスタートとともに背後で巻き起こる口論の嵐。
それは結局璃々ちゃんのお叱りの言葉をいただくまで続いたのだった。










みんなが遊んでいるそのとき。
執務室は地獄の様相を呈していた。
地獄の住人は二人。
繰り広げられるのは堆く積み上げられた書簡との戦い。


「雛里、この案件はどうすればよい？」

「あ、それは桃香様の裁可がいるのでこちらに。
　次はこれをお願いします、秋蘭さん」


ともに往くは、かつて刃を交えた怨敵なれど。


「いまさらだが、私が手伝ってもよいのか？」

「ごめんなさい、人手が足りないんです。ごめんなさい…」

「こんな国に負けたのか、私は……」

「あわわ……言わないでくださいぃ……」