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No.4768の一覧
[0] ロードス島電鉄 (現実→ロードス島伝説)[ひのまる](2009/07/11 17:28)
[1] 序章 進め!未来の超英雄[ひのまる](2009/07/11 17:26)
[2] 01 ロードス島へようこそ[ひのまる](2009/01/10 22:15)
[3] 02 食卓にエールを[ひのまる](2009/01/10 22:15)
[4] 03 どらドラ[ひのまる](2009/01/10 22:17)
[5] 04 僕たちには勇気が足りない[ひのまる](2009/01/10 22:17)
[6] 05 戦場のヴァルキュリア[ひのまる](2009/03/01 16:09)
[7] 06 これが私の生きる道[ひのまる](2009/01/10 22:18)
[8] 07 Bの悲劇[ひのまる](2009/01/10 22:18)
[9] 08 バカの壁[ひのまる](2009/01/10 22:19)
[10] 09 僕の小規模な失敗[ひのまる](2009/01/10 22:19)
[11] 10 隠し砦の4悪人[ひのまる](2009/01/10 22:20)
[12] 11 死に至る病[ひのまる](2009/01/10 22:20)
[13] 12 夜空ノムコウ[ひのまる](2009/01/10 22:20)
[14] 13 ベイビー・ステップ[ひのまる](2009/02/19 20:04)
[15] 14 はじめの一歩[ひのまる](2009/01/10 22:21)
[16] 15 僕たちの失敗[ひのまる](2009/01/10 22:21)
[17] 16 傷だらけの栄光?[ひのまる](2009/01/10 22:22)
[18] EXTRA ミッション・インポッシブル[ひのまる](2009/01/10 22:22)
[19] RE-BIRTH ハクション魔神王[ひのまる](2009/01/10 22:23)
[20] 17 命短し、恋せよ乙女[ひのまる](2009/03/18 15:29)
[21] 18 気分はもう戦争[ひのまる](2009/01/19 17:26)
[22] 19 どなどな[ひのまる](2009/01/19 17:27)
[23] 20 屍鬼[ひのまる](2009/01/25 20:11)
[24] 21 残酷な神が支配する[ひのまる](2009/01/25 20:12)
[25] 22 ベルセルク[ひのまる](2009/02/19 20:05)
[26] 23 ライオンキング[ひのまる](2009/02/06 17:10)
[27] 24 激突─DUEL─[ひのまる](2009/02/06 17:11)
[28] 25 ブレイブストーリー[ひのまる](2009/02/13 17:12)
[29] 26 ビューティフルネーム[ひのまる](2009/02/19 20:06)
[30] 27 うたわれるもの[ひのまる](2009/03/07 16:27)
[31] REACT 我が青春のアルカディア[ひのまる](2009/03/14 15:31)
[32] RF 新牧場物語[ひのまる](2009/04/18 18:53)
[33] 28 少年期の終わり[ひのまる](2009/03/18 15:29)
[34] 29 ああ、勇者さま[ひのまる](2009/03/28 13:11)
[35] 30 陽あたり良好[ひのまる](2009/04/12 21:01)
[36] 31 呪縛の島の魔法戦士[ひのまる](2009/04/12 21:02)
[37] 32 ドキドキ魔女審判[ひのまる](2009/04/12 21:02)
[38] 33 Q.E.D.─証明終了─[ひのまる](2009/05/13 16:16)
[39] 34 GO WEST![ひのまる](2009/05/17 10:11)
[40] SUPPLEMENT オリジナル登場人物データ、他[ひのまる](2009/06/06 17:06)
[41] 35 山賊たちの狂詩曲[ひのまる](2009/05/23 19:44)
[42] 36 尋問遊戯[ひのまる](2009/06/06 17:07)
[43] 37 ドリーム・クラブ[ひのまる](2009/06/06 17:07)
[44] 38 笑っていいとも[ひのまる](2009/06/20 18:26)
[45] 39 電鉄の勇者の伝説[ひのまる](2009/06/27 17:57)
[46] DICTIONARY 幻想用語の基礎知識 第一版[ひのまる](2009/07/11 17:27)
[47] RE-BIRTH02 今日からマの付く自由業[ひのまる](2009/07/18 17:58)
[48] RE-BIRTH03 なまえのないかいぶつ[ひのまる](2009/07/18 17:59)
[49] 40 絶望[ひのまる](2009/08/18 19:06)
[50] 41 神々の山嶺[ひのまる](2009/09/01 17:06)
[51] 42 マイ・フェア・レディ[ひのまる](2009/09/01 17:07)
[52] FINAL THE SPIRITS M@STER SASSICAIA[ひのまる](2010/09/18 21:08)
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[4768] 08 バカの壁
Name: ひのまる◆8c32c418 ID:ab74ed03 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/01/10 22:19
「すごい、本物のニース様だ。握手お願いして良いですか?」
「…………乙女だ」
「すげ可愛いっ! マジ可愛いっ! 思ってたよりちんまいっ。すげえ、頭ちっさっ、目おっきい、肌きれい、お人形みたい。お持ち帰りしてぇ!」
 まるで人気アイドルを目の前にしたファンのようにはしゃぐ3人に、あきれたように、そして恥ずかしげに顔を赤らめて、サシカイアが言った。
「お前ら、空気を読め。もう少し落ち着いて、恥ずかしくない対応をだな──」
 だが、3人は全然耳を貸さず。
 迫られていた娘──マーファの愛娘ニースは、困ったような笑みを浮かべた。


 マーファの愛娘ニースは、思ってた以上に小柄で華奢で若くて。
 そしてものすごく綺麗な娘さんだった。


 ロードス島電鉄
  08 バカの壁


 3人は食事を終えてまったりくつろいでいた。昨夜の緊張からの反動か、どこかふぬけたような状態。自発的に何かをしようと言う気になれず、のほほんと、やってきたマーファ神殿ご一行の働きを遠目に眺めていた。
 やっぱりシチューは多すぎたので、サシカイアは半分以上をシュリヒテに押しつけた。自分のシチューの量が少ない、とか文句を言っていたブラドノックだが、実のところサシカイアと変わらない程度に食が細く、その量で十分だった模様。
 シュリヒテは自分の分を片づけた後だったのに平気でぺろりと平らげて更におかわりまでしている。さすがは肉体労働の戦士である。こちら頭脳労働、これでギャラも一緒──ではなく、胃袋の大きさが違う。そしてウェイトレスさんは、その間、かいがいしくシュリヒテの世話をしていた。
「けっ」
 てなもんでサシカイア、ブラドノックは舌打ちするが、シュリヒテは勝者の余裕で鷹揚に応じる。余裕の態度を崩さない。斯様に持つモノと持たないモノの格差は大きい。
 舌打ちは露骨だったから聞こえたはずだが、ウェイトレスさんはなんだかムキになっているみたいにますますシュリヒテに寄り添う。豊満な胸を押しつけるみたいにしてくっつき、シュリヒテが脂下がる脂下がる。口元をハンカチでぬぐったり、べたべたとスキンシップを繰り返す。世話女房にしてもやりすぎに感じもする。そして合間合間にちらちらと、サシカイアの方に視線を送っている。
 なんだかこちらを気にしてるなあ、とサシカイアはさすがに気が付き、自分がシュリヒテを狙うライバル視されているんじゃ無いかと思い至り──そこで頭から煙を噴いて力尽きた。そんな誤解を受けたまま嫉妬星人をする強さを、サシカイアは持ち合わせていないし、持ちたいとも思わない。
「……ああ、俺はそいつのこと何とも思ってないから、気にしないで好きにしちゃって」
 うんざりとウェイトレスに告げてやると、今度はブラドノックから裏切り者を見る視線を向けられたり。


 ──ニースが自分たちに会いたがっている、なんて話を村人が持ってきたのは、そんな時である。


 とにかく、ニースが会いたがっているのなら会おうと、3人は腰を上げる。
 この世界の有名人。後の6英雄の一人。
 ミーハー的な部分では、是非に会ってみたい。確か、原作ですごい美女とか表現されていたし。
 そして、現実的な部分では、なんだかめんどくさい事になりそうだなあ、なんて恐れもある。
 ゴブリン退治で地味な生活。それがサシカイアらの基本的な未来設計図であるのは変わっていない。
 自分たちのスペックが予想以上に高いみたいなので、もうちょっと敵のレベルを上げても良いのではないかとも思う。それでも魔神はノーサンキューである。繰り返すが、あいつら強いし面倒臭いのだ。
 目指すは一攫千金ではなく、小さな事からこつこつと。やっぱり人間堅実が一番である。既に冒険者という時点でやくざな生活だったりするが、それはそれ。
 なのだがニースに──原作の登場人物に関わると、素敵な未来設計図の変更を余儀なくされるような嫌な予感がするのだ。ただでさえ、なんだか勇ましげな二つ名までゲットして、やばいルートに足を踏み入れた気もするし。
 とは言え乞われて会わないという選択肢も選びがたく、仲間はずれも可哀想だとギネスを叩き起こし、4人で連れ立って向かったのは村長宅。
 そこは村の中で一番堅牢に作られていた。村の中のちょっとした丘の上、周囲は石塀で囲まれ。いざって時の避難場所、最悪最後はここで籠城することも考えて建てられていたんだろう。その甲斐は一応あったようで、焼け落ちることなく健在である。今は焼け出されたり避難してきた村人が転がり込んでおり、ちょっとした人口密集地帯である。屋敷に入れず天幕を張って庭に暮らす準備をしている人までいる。
 その一角、負傷者を集めた場所で、噂のニースはかいがいしく働いていた。
 昨夜の戦闘終了後、ある程度はサシカイアらが魔法で治療したが、途中でギネス共々魔力切れになってやばい重傷者以外は後回しで放置。そのまますっかり忘れていた。そう言った人たちを、マーファ神殿からやってきた神官と一緒になって直して回っていたらしい。
 既に必要な処置はすませて細々とした世話をしているところだったらしく、案内してくれた村人が囁いてこちらに気が付くと、患者を他の神官に任せてやってきた。
「初めまして、私はマーファに使える神官のニースです」
 と、黒髪清楚な美少女が挨拶をして──冒頭に繋がるのであった。


 乗り遅れて宥め役に回らざる得なかったサシカイアの尽力が実り、3人が落ち着きを取り戻すと、ようやく自己紹介。
 それを受けるニースの頬は、ちょっぴり引きつっていた。ああした反応を受けるのは、たぶん初めてなのだろう。
 それでもすぐに気を取り直した模様。居住まいを正すと、ニースはアダモの村を守ったことに対してのお礼と、自分たちが間に合わなかったことを謝ってきた。自分の村でも何でも無かろうに、本気で感謝し、本気で謝罪している。何というか、人間としての出来が違う、違いすぎる。たぶん、それくらいじゃないとほとんど人外なレベル11プリーストにはなれないんだろう。こっちのレベルキャップが解除されないわけだ。
「ちょい、サシカイア、ニース様と並んでみて」
「?」
 等と感心していると、突然シュリヒテに要求されて、首をかしげながら素直に並ぶ。
「すげえええ。超絶美少女二人そろい踏み。俺は今、この光景を心のメモリーに焼き付けるっ!」
「……可憐だ」
「サシカイアも見た目だけなら最高だからねえ」
 そう、人間としての出来が違いすぎる。天と地くらいに。
「お前らなあ…」
 とあきれてため息が零れる。今度もやっぱり乗り遅れてしまったサシカイアはホント、ため息しか零れない。
 それにしても馬鹿すぎる。なんだか隣のニースの視線が冷たいような気がする。たぶん評価は鰻下がり。
 特に良いのかシュリヒテ。何となく付いてきたらしいウェイトレスさんが、私早まったかしら、なんて視線を木影から向けている。もちろん、気が付いてないシュリヒテにわざわざ教えてなんてやらない。一人だけ女にもてるような裏切り行為は、絶対に許さないのだ。
 脱線ばかりでは仕方がないと、いささか強引にニースが軌道修正。
 そしてようやく情報交換。
 こちらが提供するのは、昨日出会った魔神の種類や特殊能力。
 昨夜戦った魔神は下位魔神のグルネルくらい。あとは魔界の獣であるヘルハウンドやアザービースト。そんなところ。これらは、村人にとっては十分に脅威であったが、魔神やその眷属として見れば最下級のレベルだ。それなりの実力を持った冒険者連中であれば、対処することも可能なレベル。
 なのだが、その数が異常だった。
 基本的に魔神の出現頻度はごくまれ。魔神召喚の壺(デーモン・ジャー)のたぐいの例外を除けば、出現するのは遺跡や地下迷宮などの人里離れた場所が基本。出現数もほとんどの場合が単独で、多くても数体程度。昨夜の敵は正確に数えていないが、少なくとも20を余裕で超える魔神やその眷属が揃って攻め寄せてくる、なんて事はこれまで前例がないらしい。
 この魔神の跳梁はもちろん、モスで解放された魔神王に繋がる。ブルーク王だったか、全く余計なことをしてくれるモノである。
「放棄された砦跡に見たという異形の影、そちらも放置してはおけませんね」
 難しい顔をしてニースが呟く。
 なるほどそんなモノがあって、それでこのタイミングでニースらが来たのかと納得。
 ──それはともかく。
「がんばってください、応援してます」
 間髪入れず、サシカイアは言った。
 その反応は予想していなかったんだろう。
「え?」
 となったニース。まじめでりりしい表情がちょっと崩れると年相応、非情に可愛らしい。萌える。
「……あの、手伝ってはいただけないのですか?」
 たぶん、戦乙女とか光の剣とか、威勢の良い二つ名が耳に入っているんだろうなあ、とサシカイアは思いつつ、その評判に従って行動するつもりはもちろんない。
「がんばってください。応援してます」
「……報酬は十分お出しします」
「がんばってください。応援してます」
 困惑したニースの表情は心に痛い。何しろすごい美少女である。出来れば協力してあげたい。それは嘘じゃないが、これは出来ないことである。……だって怖いし。
 ニースは視線をサシカイアからブラドノックに移した。
 ブラドノックはばつが悪そうに視線をそらす。
 ギネスに向き直る。 
 ギネスはばつが悪そうに目を伏せる。
 シュリヒテにすがるような瞳を向ける。
 そんなことをしても無駄である。能力はともかく、中身はへたれな一般人。身の程を知っている。身の丈に合わぬ英雄的行為に走るような馬鹿はいない。
「なあみんな、これは最早この村だけの問題じゃない。ロードス全体の危機だ。ここは是非ともニース様に協力して、ロードスの平和のために俺たちの力を尽くそうじゃないか」
 ところがぎっちょん馬鹿がいた。
 明らかにニースの視線を意識しつつ、芝居がかった口調仕草でシュリヒテ。ニースに、とびきりの美少女に良いとこ見せようと思っている事が露骨に分かる。
「はぁぁぁ?」
 こいつ何言ってやがる、とサシカイアが睨み付けるもどこ吹く風。
 どうやら、ちやほやされて調子に乗って、乗りまくっているらしい。ただの凡人が身の丈に合わない力を苦労や努力もなしに身につけた。そして、その力で苦労なくことを成し遂げ、これまで経験のない、おおいなる賞賛を受けた。おまけに女の子にはもてもて。自分はすごいんだと、壮絶に勘違いしている。しかも今、自分の発言にも酔ってやがる。
「思うに、自分だけが安全であればいい。そんな考え方はきっと間違っている。ここは皆の心と力を一つにして、ロードスに迫る脅威を打ち払うことこそ、俺たちが今ここにいる理由、俺たちの使命じゃないかと思うんだ。そう、俺たちがここにいるのには、ちゃんと意味があるはずなんだ!」
 ぱ~、と、花が咲くようにニースの表情がほころぶ。
 やばいすごく可愛い、萌える。サシカイアもくらりと来かけて踏みとどまる。さすがはマーファの愛娘。ニース、恐ろしい娘っ。
 ニースに感動と感謝と尊敬と、なんだか色々混じった好意的な視線を向けられたシュリヒテは、顔を真っ赤にして脂下がっている。
 見れば向こうからシュリヒテを伺うウェイトレスの目もハート形になっている。
 それで転ぶ馬鹿が二人。
「……もちろんだよ、シュー。僕たちはロードスの平和のためにこの力を生かすべきなんだ」
「……そう、邪悪と戦うことこそ我が使命。民の安寧のために戦う。それこそが我らが使命、我らの生き様」
 シュリヒテに張り合う様にそれぞれが口にする。
「──て、おい、お前ら」
 正気に戻れとのサシカイアの苦情は無視された。ダメだ、程度の差こそあれ、この二人も調子に乗っている。自分の分際を忘れている。下手に苦労なく勝利してしまったが故に、己の実力を勘違いしているとしか思えない。
 特にブラドノックなど、今度はシュリヒテだけにいい目を見させてたまるモノかと意地になっている感もある。
 また、ニースにそれだけの魅力があると言う事も確か。たぶん、付いてるモノが付いてないから、サシカイアは比較的冷静にいられるのかも。
 それはともかく、これはやばい状況だ。
 くそう、こちらも涙目上目使いの可愛らしいポーズでお願いしてみようか、なんてサシカイアは考えたが、やっぱり辞めておく。効果は期待できそうだが、それをやってしまうと、己の中の何か大事なモノが壊れてしまう気がするのだ。いやしかし──
 サシカイアの葛藤、その間にニースがだめ押し。
「あなた方に感謝を。マーファの祝福が、あなた方の元にありますように」
 なんて、とびきりの愛らしくて素敵な笑顔とともに、感謝と祈りを向けている。
 3人は顔を赤らめて、任せておいてくださいとか、威勢の良い事を言っている。
 返すニースの、文句の付けようのない心からの感謝、そして感動の表情。
 ──なはずなんだけど。
 サシカイアはニースの顔に、ちょろい、なんて表情がほんの一瞬だけ、過ぎったような気がした。


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