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No.43568の一覧
[0] 俺ら素人がホロウと戦うのは間違っている(俺ガイル×BLEACH?)[シウス](2020/05/26 21:36)
[1] 1話:意外とホロウにも重い過去がある[シウス](2020/06/01 23:45)
[2] 2話:人が悪霊になる理由[シウス](2020/06/14 16:38)
[3] 3話:初めての惨劇[シウス](2020/06/24 23:29)
[4] 4話:忘れていた過去との対面[シウス](2020/07/11 00:07)
[5] 5話:駅に潜む悪霊[シウス](2020/07/28 22:00)
[6] 6話:夏休みが始まる  [シウス](2020/08/16 11:20)
[7] 7話:肝試しにありがちなこと[シウス](2020/08/19 22:55)
[8] 8話:異常事態発生(前編)[シウス](2020/08/31 22:58)
[9] 9話:異常事態発生(後編)[シウス](2020/09/22 23:19)
[10] 10話:人里離れた地のホロウ[シウス](2020/10/19 22:24)
[11] 11話:幽体離脱させる道具を持つ者[シウス](2020/11/18 23:27)
[12] 11.5話:ろくな番組やってねぇ……[シウス](2021/01/25 21:54)
[13] 12話:夏祭りにありがちな[シウス](2021/01/24 22:55)
[14] 13話:リアル脱出ゲーム 前編[シウス](2021/03/07 23:23)
[15] 14話:リアル脱出ゲーム 中編[シウス](2021/03/28 15:47)
[16] 15話:リアル脱出ゲーム 中編2[シウス](2021/04/21 22:52)
[17] 16話:リアル脱出ゲーム 後編[シウス](2021/05/11 23:21)
[18] 17話:日常に混じる異変[シウス](2021/06/28 22:18)
[19] 18話:音を立てて崩れる『日常』[シウス](2021/07/25 19:47)
[20] 19話:戦争[シウス](2021/09/12 23:06)
[21] 20話:最終決戦[シウス](2021/11/28 21:28)
[22] エピローグ:こんな未来も悪くない (完)[シウス](2021/12/05 15:51)
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[43568] 俺ら素人がホロウと戦うのは間違っている(俺ガイル×BLEACH?)
Name: シウス◆60293ed9 ID:ae6c1002 次を表示する
Date: 2020/05/26 21:36
 
 俺ら素人がホロウと戦うのは間違っている(俺ガイル×BLEACH?)
 
 
 2018年の末だったか、それとも2019年の初めだったか忘れましたが、パソコンが壊れたので買い換えました。なのでIDが変わっております。
 
 
 
 
 
 
 
 プロローグ
 
 
 ―――『重霊地』と呼ばれる土地がある。
 
 
 千年に1度現れるという、怪奇現象やホロウ、霊感保有者や超能力者の発生率が異様に高い、地球上に1つしか無い土地である。
 他にもその土地に住む人間の魂魄を使って王鍵が作れる等の特徴があるが、ここで挙げたい話とは異なるので割愛しよう。
 
 
 今しがた挙げた重霊地のように、地球上には『○○地』と名の付く、特殊な土地が約10万箇所はある。
 ……というと多いようにも思えるかもしれないが、地球上の面積は相当な広さであり、また上記の○○地に関しても広いところでも東京都くらいであり、小さければ直径10mくらいしかない。他にも人の住む住まないに関わらず現れるものもある。また人間が住めない火山口や山岳・樹海・砂漠地帯、南極や北極、そして大半は大海原に現れやすいことを考えれば、○○地の1つ1つに、霊感のある人間やホロウ、死神などからすれば、種類にもよるが一度は見物しに行く価値はあるだろう。ある意味、霊感ある者にしか見えない、大自然が生み出した絶景のような光景が広がっていたりする。
 ……そして今から約20年前、1つの○○地が、ここ千葉県に現れた。
 
 
 名は―――『結界地』。
 
 
 約30年ほどで場所が変動する土地だ。しかもこの結界地は、地球上に1000箇所以上も現れる、○○地の中で最もポピュラーな存在でもある。形が町そのものをすっぽりとドーム状に霊子の壁が覆う様子から、あたかも結界に包まれてるように見えるので、その名前が付けられた。数ある〇〇地の中でもダントツに地味で、あまり見物したくなるような代物ではない。
 その結界地の特徴としては、まず幽霊が負の感情によって悪霊と化した怪物―――『小型』ホロウの発生率の増加である。
 
 ここで少しだけ解説するが、ホロウにも大雑把なランク分けがある。
 弱い順に、小型(2~3m級)、中型(5~6m級)、大型(10~20m級。別名、ヒュージホロウとも呼ぶ)、メノス級のギリアン、メノス級のアジューカス、メノス級のヴァストローデといったところだ。
 無論、中には小柄な人間と同程度の体格をした弱小ホロウや、小型と中型の間くらいといった半端なサイズも存在するが、あくまで大雑把なランク分けと思えば良い。そしてギリアン未満であれば、身体が大きいほど保有霊力が高い。
 
 
 
 
 ―――話を戻そう。
 
 
 
 
 結界地でのホロウ発生率の増加というのは、この場合で言うところの『小型ホロウだけ』が現れやすくなるということである。
 彼らが結界地の外部からやって来るのか、それとも自然発生しやすいメカニズムでもあるのか、未だに判明していない。そもそも現世の住人にとっては、地球規模でみると、ホロウとの遭遇率とは恐ろしく低いものである。
 他にも結界地には怪奇現象が起きやすくなるというのもあるが、これも大抵がホロウ絡みであって、しかも小型程度のホロウが悪さするくらいだから、建物の倒壊などといった惨事は滅多になく、せいぜいが『あの廃校舎にはお化けが出る』という噂が出る程度である。
 ―――無論、彼らホロウも無闇に悪さをしているのではない。彼らにとっての食事……ホロウ同士による共食いによって力を得られることを知らない彼らは、霊力のある人間(ホロウが見える程度の)や普通の幽霊などを喰らう。普通の幽霊ならば、そんな怪奇現象の起こってる土地に近づく馬鹿はほとんどいないが、霊感のある人間の場合だと稀に居る。それが肝試しであれ、お祓い目的であれ、哀れな彼ら彼女らがその小型ホロウに喰われるという悲劇も少なくはない。
 ……もっとも、重霊地と異なり、結界地には霊感ある人間が増えたりなどしないが。
 
 
 そしてここからが結界地の『最も厄介な点』であるが、本来はホロウを討伐すべく、一定量の人口が住む町に1人という割合で、死神が配置される。
 ところが結界地の場合、その土地がドーム状に結界のようなもので常に覆われているため、死神達が持つレーダーにホロウや幽霊の姿が一切映らないのである。無論、結界地の中から発するホロウの霊圧等も察知する事は出来ない。気配だけを完全に遮断する結界なのである。ただし、結界の中に入ってしまえばレーダーも、死神が持つ気配察知の能力も、結界地内部だけなら使えるようになる。
 そのことは死神達の住まうソウル・ソサエティでも知られており、もし担当する土地に結界地が見つかった場合、その結界地の中だけは別の死神が派遣されることとなる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――比企谷八幡サイド――
 
 
 ―――どうしてこうなった……。
 
 
「ゆ…ゆきのん……どうしよぉ……」
「ゆ、由比ヶ浜さん。この期に及んで『希望を捨てるな』とは言わないわ。でも―――でもなるようにしかならないのだし、今は『あれ』から逃げることだけを考えないと」
 震える由比ヶ浜を、雪ノ下が抱きしめながら諭すが、彼女自身もまたやや震えていた。
「ちょ……べーって!? マジやべーって!!? なに『あの化け物』!? それに―――」
「戸部! ―――下手に騒ぐな……。あいつの注意を引くんじゃない……」
 葉山が冷や汗を流しつつも、冷静に前を見据えたまま答える。
 俺も葉山と同じく、眼前にある、完全に倒壊したグランドの体育用具倉庫と、その倒壊時に発生した土煙の中に立つ『10m級の怪物』に目を向けた。
 一言で言えば、それは親父たちが若い頃に流行った映画―――超巨大ゴリラのキングコングと似た姿をしていた。
 大きく異なる点があるとすれば、そのキングコングは仮面を付けていたくらいだろう。あと本物のキングコングはあれの倍以上は大きかったと思う。
 
 
 
 ―――これは後になって知った事だが、ここが結界地と呼ばれる、『小型ホロウ』との発生率が異様に高くなる土地だということと、それとは全く関係なく、こいつは本当に偶然やってきただけの『大型ホロウ』だということだった。
 
 
 ……もう1度思う。どうしてこうなった?
 俺は数分前までの記憶を遡った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 俺と材木座のクラスで体育の授業が行われ、適当にチームを分けて野球をしたところ、俺と材木座、戸塚、葉山、戸部、大岡、大和のチームは珍しく敗れ(俺と大岡以外が野球が苦手で、不覚なことに俺も戸塚と材木座以外から声援を送られた)、敗北したチームが後片付けを命じられた。
 そしてサッカーの試合に参加していた女子の三浦、海老名さん、由比ヶ浜、川崎、相模もまた試合に敗れ、同じく後片付けに参加していた。
 しかも何の偶然か、更に別のクラスの体育に参加していた雪ノ下も、同じ理由で数人のクラスメートと共に片付けに加わってきた。
 体育で使ったものを体育用具倉庫運び込み、先に雪ノ下のクラスメートだけが倉庫を出てから数分。轟音と共にそこで記憶が途切れ―――
 
 
 
 ―――そして今に至る。
 
 
 
 
 
 
 ―――ってか最悪の予感が、すでに頭の中にある。
 俺達はいつの間にか倉庫の外に出ていた。そして目の前には、完全に倒壊している体育用具倉庫があり、その上に立つキングコングのような怪物。……これだけでも不自然なことだが、それ以上に無視できないことがある。
 1つは、授業が終わって先生に礼をするために整列している生徒や教師。
 彼らが突然倒壊した倉庫に驚き、駆けつけたまでは良い。
 だが葉山や雪ノ下がいくら呼びかけても、こいつらは俺らどころか怪物までも無視して建物を指差し、そして叫ぶ。
『先生! 中にまだ雪ノ下さんが!!』
『葉山君がっ! 葉山君が中に!!』
『憧れの由比ヶ浜さんもだ!!』
『川崎さんは!? 俺、まだあの孤高の女王に告ってないんだけど!?』
『海老名さん!! 腐ってるけど、そんなあんたを諦められないんだよ俺はよぉッ!!』
『王子! あたし達の戸塚王子も生き埋めに!?』
『俺達の優美子女王もいないぞ!!』
『南ちゃん! 返事して―――ッ!!』
『戸部っちも大和もだよ!?』
『あのデブの材木座もだ!』
 ―――何だろう、やっぱり俺は忘れられてる。……ん? あ、そーいや大岡もナチュラルに忘れられてるわ。
 まるで、俺らの姿どころか、あんなに巨大な怪物すら見えてないかのようなリアクションだ。
 そしてもう1つ。
 
 ―――俺らの胸から生えている、このブランコと同じ太さをした、錆の無い鎖は何だ?
 
 それらは何mもあり、倒壊した体育倉庫のガレキの下へと続いていて―――。
 
 
 
 
「なぁ―――俺ら、もしかして死んでんの? でもって幽霊になって、この胸の鎖は死体まで続いてる……とか……?」
 
 
 
 
「うああああああぁぁぁぁぁんっ!!」
 茫然とした大岡の放った言葉に、由比ヶ浜が泣き出し、三浦が膝から崩れた。
 他の奴らも俯いたり、握りしめた拳を震わせたりと、今しがたの大岡の言葉を否定できずにいる。
 視線を上げれば、怪物は左右を見渡し、何かを探しているように見える。
 だが怪物が一歩だけ踏み出したとたん、地面に奴の片足が数センチほどめり込み、それを見ていた教師や生徒達が一斉に逃げ出した。怪物が見えない彼らも、何も無い地面に巨大な足跡が刻まれるのが見えれば、そりゃ逃げもするだろう。
 
 
 
「―――なぁ、あの怪物、こっち見てなくね?」
 
 
 
 震えながら戸部が呟いた言葉に、全員が肩を震わせる。あながち間違いではなかったようで、怪物はゆっくりと俺達の方へと歩き出した。ある者はひたすらに震え、またある者は歯をカチカチと鳴らしている。どう見ても心が折れかけていた。
「みんな逃げろ!」
 と大和が叫び、誰もが言われるまでも無いとばかりに走り出すが、胸から生える鎖が伸びるわけでもなく、俺達は一定範囲―――約15mから抜け出せずにいた。
 さすがにヤバイと感じ、俺は動いた。
 
「おい葉山! 今から言う通りにしろ!!」
 
 と言って作戦を伝える。
「……分かった! 死ぬなよ!!」
「お前もな!!」
 そして俺と葉山の鎖を絡ませ、ちょうど由比ヶ浜を追いかけようとしていた怪物の足に引っ掛けた。
 ……ちなみに鎖を絡ませたのは、鎖の強度を高めるためだ。もし俺1人の鎖だけで怪物の足を引っ掛けた場合、千切れる可能性があった。そして今の状況で鎖が切れることにより、俺の身に何が起こるか全く分からない。よって鎖を絡ませた。
 ―――だから海老名さん、ここで鼻血を吹きながら『はやはちの絡み……』とか言わずに擬態しててくれ!
 怪物が盛大に転ぶ。
 続けて葉山が叫んだ。
「全員、壊れた倉庫の鉄骨か何かで、この化け物を滅多刺しにしてくれッ!! この化け物を倒す、最初で最後のチャンスだ!!」
 誰もがやや放心気味だ。
 しかし葉山の言う通り、この怪物を殺すチャンスは、今以外にはないだろう。俺達が手に入れた絶好のチャンスだ。……たぶん次は無い。
 
 
「「おお…ぅおおおぉぉぉ――――ッ!!!!」」
 
 
 材木座と大和が雄叫びを上げながら、鋭く尖った、割と大きな鉄骨の先端を叩きつける。片や中二病、片や体当たりを至高とするラグビー部員。こんな超常現象めいた命の危機と、それを打開する局面にて、最も闘争心の強い2人が真っ先に動いたのだ。
 大柄な奴が助走をつけた刺突をしたからか、怪物の肋骨の辺りに30センチ近くも刺さるが、それ以降は抜いては刺すの繰り返しだからか、勢いが足りないせいで大して刺さらない。
 俺がステルスヒッキーを発動させながら、さも『どっかの第三者が言った』かのように叫んだ。
「デブとデクの坊に負けてたまるか! 俺達も行くぞぉっ!!」
 叫ぶと同時、俺自身も鉄パイプを拾い、助走して怪物の仮面の目の辺りに突き刺した。……ここだけ仮面に穴が開いてるから、防御力が低いと思ったからだ。
 
 
『ル……ルオオオォォォォッ!!!?』
 
 
 怪物の絶叫が響き渡る。
「比企谷に続けェ―――ッ!!!」
 葉山の叫びに、他の連中も雄叫びを上げて突進する。
 ……ってか、俺が叫んで動いたのって、由比ヶ浜と雪ノ下、戸塚だけじゃん。
 しばらくは俺らによる一方的な攻撃が続いた。怪物の方も、途中で何度も立ち上がろうとしたものの、腕をついて立とうとすれば手首を袋叩きし、膝に力を入れようとすれば横膝に全員で打撃を与える。
 もしどこかで攻撃するポイントを間違えれば、怪物は立ち上がり、俺らに勝ち目は無くなってしまうことだろう。下手に二手に分かれて攻撃する余裕なども無い。誰かが転べば攻撃が手薄になり、奴は起き上がる―――そのくらいギリギリな戦いだった。マジで怖い。命がけの綱渡りどころかピアノ線の上を歩く気分だ……。
「どわっ!?」
 と思ったそばから大和が足をもつれさせた。
「しっかりせいっ!」
「ちゃんと走って!」
 しかし転ぶより先に、左右から材木座と雪ノ下が抱きつくようにして支え、何とか持ちこたえる。普段であれば足を引っ張った事に罵倒したり、男なら雪ノ下に抱きつかれてる大和を嫉妬すべきところだが、今だけはナイスだと言いたい。
 大和も手短に礼を言い、攻撃に加わる。
 だが敵も身体の大きさのせいか、なかなか敵も事切れない。
 逆に俺らの方が息が上がってきた。
 そしてとうとう―――
「しまった! あいつが立ち上がるぞ!?」
 全身から紫色の血を流しつつ、怪物がヨロヨロと、しかし完全に立ち上がってしまった。
 とっさに俺と葉山が鎖で転ばせようとしたが、怪物は地面を片手で殴って揺らし、俺ら全員を簡単に転ばせてしまった。
 ―――いくら腕力があっても出来ることではないが、奴が地面を殴ったとたん、妙な力が、怪物の拳から地面へと流れ、ありえない事に地面が波打ったような気がした。
「万事……休す、か……」
 材木座が呟いた。
 普段なら中二病の戯言と取れる言葉だが、皮肉にも今だけは寸分違わず的を射ていた。
 
 ……ちく…しょう……。
 
 しかし、誰もが諦めかけた次の瞬間。
 
 
 
「―――うらああああああぁぁぁぁッ!!!」
 
 
 
 オレンジ色の炎と、人が絡み合った何かが、物凄い速度で文字通り飛んで・・・きた。
 そいつはそのまま怪物の両目に、炎で包まれた『何か』を二刀流で根元まで突き刺した。しかも刺した刀身が爆発したのか、爆炎と血煙、そして肉片が辺りに飛び散り、俺達の元へと落ちてきた。
 怪物が絶叫し、両目を押さえる。―――その寸前で人影は怪物の目から得物を抜き、数mの距離を取り、空中に浮かんだまま静止した。
 
 
「ちょ―――なんであいつ宙に浮いてんの?」
 三浦が茫然としながら呟く。
 今しがた乱入してきたのは、パッと見ただけの姿を言えば20歳前後の女だった。服装もジーンズにジャケットという、お洒落よりは動きやすさを重視した格好だ。
 無論、不審なところもある。
 まず浮いているということ。次に胸に穴が空き、そこから10センチほどの鎖が垂れていること。
 そして何より、彼女が『刀身が炎に包まれた剣』を、しかも二刀流でぶら下げていることだ。
 彼女は人なのだろうか? それとも人に似た『何か』か? ……少なくとも敵ではないと思いたい。
 その彼女は宙に浮いたまま剣を構え、少しだけ後ろに下がる。逃げる……というよりは、弓を引くための動作に近い気がした。
 
 しかし今度は怪物が予想外の行動に出た。
 
 怪物が雄叫びを上げながら、地面に拳を突き立てる。すると拳は地面を砕くわけでもなく、地面が液化しながら・・・・・・拳を包み込んだ。そして拳の位置周辺の地面から、グランドの砂と同じ色をした人型(ドラクエの泥人形に少し似ているな、眼球無いし)が100体近く、まるで草が生えるようにした現れた。
 嫌な予感がすると同時、泥人形(仮名)どもが、歩くくらいの速度で、フラフラと押し寄せてきた。
「く、来るよ!? こっち来るよ!?」
 相模が騒ぐ。泥人形どもの見てくれだけを言えば、小柄な雪ノ下を少し太くしたような奴であるが、やっぱり敵意のようなものを感じる。きっと危険だろう。すると上空から、さっき乱入してきた女が、腰から皮袋(ドラクエの道具袋っぽいな……)に手を入れ、何かをばら撒いた。
 何だろうと思っていると、目の前の地面に『ザシュッ!!』と音を立て、抜き身の剣が突き刺さった。しかも刀身が炎に包まれてる奴だ。
 辺りを見渡すと、他の連中の眼前にも同じ物が刺さっていた。……ってかあの女、よくもまぁ正確に狙って落とせたな。下手すりゃ俺が串団子みたいになってたじゃねぇか。あとその道具袋、剣が13本も入るとか、四次元ポケットかよ?
 女が上空から叫んでくる。
 
 
「あんたら霊体のわりに動きが良いだろ! その剣で泥人形どもの相手を頼む! あたしはこいつを倒すから!!」
 
 
 そう叫んで、再び巨大な怪物とぶつかりだした。
 目の前に刺さった剣を眺めつつ、どうしたもんかと悩んでると、俺の―――否、俺達の一歩前に踏み出す奴が現れた。そして皆に良く通る声で言った。
「―――早くそれを抜きなさい。あの浮いている人が助けてくれようとしてるのは分かるけど、泥人形みたいなのを相手にする余裕は無いってことくらい分かるでしょ? ……ならせめて自分の身は自分で守るべきだわ。そうでなくでも武器まで貸してくれているんだもの……あとは自分の力で切り開いてみせなさい」
 
 ―――雪ノ下だった。
 
 彼女はそれだけを言うと、俺の前に立って迫り来る泥人形達を見据え、長い髪をたなびかせながら駆け出した。
 炎の剣を構え、長い黒髪を火の粉と共にたなびかせる後姿はどこか幻想的で、俺だけでなく周囲の男女全員が見惚れるほどのものだった。
 一瞬だけ横を向くと、葉山と目が合った。
 だが葉山はすぐさま前を向き、地面に刺さった剣を抜いて叫んだ。
「雪ノ下さんだけを危険に晒すわけにはいかない! みんなも力を貸してくれ!!」
 と言って駆け出した。他の連中も、葉山の後に続く。
 1人残された俺は溜め息をつき、
 
 
「ったく、今さらかよ。……こんな展開、俺が中二病の時にきてほしかったぜ」
 仕方なく地面から炎の剣を引き抜き、走り出した。……ほんの少しだけ、この状況に興奮してたりするのは内緒だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「て…てえーい!!」
 やや間の抜けた掛け声と共に、由比ヶ浜が振り下ろした炎剣は、泥人形の右肘から先を切り飛ばしたものの、泥人形は動じることなく左腕で彼女の胸倉を掴んだ。
「ひっ……や…わあああぁああぁぁッ!?」
 由比ヶ浜が絶叫を上げる。しかしすぐに雪ノ下が、その泥人形の上半身と下半身を一瞬でぶった切った。
 切られた泥人形は、全身の形を留められなくなり、崩れて土くれになったかと思いきや、数秒で跡形も無く消滅する。
「あ、ありがと、ゆきのん……」
「立って! 泣いたり立ち尽くす時間なんて無いわ!」
 由比ヶ浜に対して、普段ならありえないくらい、きつい物言いである。しかし雪ノ下の表情を見る限り、それは戦いへの高揚や、焦りなどからくる苛立ちではなく、純粋に由比ヶ浜を思っての叱責なのだろう。
 由比ヶ浜の方もそれに気付いているらしく、震えながらも立ち上がり、引き攣りながらも笑って答えた。
「う……うん! こっちは任せて!! 最低でも1体は仕留めるんだから!!」
 ……せめてもう少し仕留めろよ。俺だってビビりながらも5体は倒してるぞ。
 と、その時。少し離れた所から材木座の叫びが聞こえた。
「ぬおおっ!? 八幡! この剣、持ったままイメージを加えれば形が変わるぞ!!」
 誰もが一瞬だけ手を止め、材木座を凝視する。
 奴の手には、FF7の主人公が持っているような巨大なバスターソードに姿を変えた炎剣が握られていた。
 続けて今度は相模から叫び声が上がる。
「確かに形が変わるけど、飛び道具は無理みたい!! 銃や弓の形にならなるけど、弾丸が出なければ弓も鉄みたいに硬くて曲がらない! 接近戦の武器しか無理みたい!! あとチェーンソーみたいな動く武器も無理!!」
 ……あの女、とっさによく思いついたな。もしかして普段から、こんな非日常の戦いでも想定してるのだろうか? 中二病じゃあるまいし……。それに相模が手にしている炎に包まれたチェーンソー、あれってゾンビパウダーって漫画の主人公が持ってたのと似てるような……。
 
 ……おっと、今は考え込んでる場合じゃねぇ。
 
「おい由比ヶ浜! 剣より槍の方が強いし、扱いが簡単だ! 出来れば先端が両刃のナイフみたいな奴!!」
「う…うん分かった!」
 瞬間、由比ヶ浜が持つ炎剣の刀身が縮むと同時に柄が長く伸び、本当に槍の姿に変えた。
「てええい!!」
 相変わらず掛け声が間抜けだし、振り方も素人臭いが、それでも泥人形の胸に大きな切傷を刻み込んだ。
「せやあぁっ!!」
 続けてもう1度。切傷では一撃で仕留められないと知ってか、今度は胸の中央を狙って突いた。
 炎に包まれたランスの先端は、泥人形の胸を何とか貫き(←けっこう硬かった)、泥人形は全身が崩れて土塊へと帰った。……雪ノ下の奴、よくこんな硬てぇもんを斬れたな。
「勝てる! あたしでも勝てるよ!!」
 歓声を上げる由比ヶ浜。ここにいるメンバーの中で、一番弱そうなの海老名さんとお前だけもんな。文系(?)の部活なだけあって運動も苦手そうだし。あと川崎や三浦、相模と違って闘争心も少なそうだし。
 人数では俺らより泥人形の方が圧倒的に多いが、幸いな事にこいつらは動きが遅い。歩くのも遅ければ、拳を振り上げるのも遅い。ひょっとしたら攻撃力ならあるかもしれないが、これなら囲まれたって逃げたり反撃したりできる。総合的に言えば弱い。弱すぎる。
 割とへっぴり腰だった女子の大半も、由比ヶ浜の戦いを見て自信がついたのか、威勢良く声を挙げて得物を振り回している。
 
 
 
 
 
 やがて泥人形が残り数体となった時、上空からさっき乱入した女の声がした。
「やばい! また泥人形を増やす気だ!!」
 言われて怪物を見ると、奴はさっき以上に紫の血を流しながらも再び拳を振り上げ、それを地面に叩きつけようとしていた。
 俺は考えるより先に走り出し、同時に叫ぶ。
「あの怪物の足を斬れ!! 前のめりになってるから転ばせるぞ!!」
 瞬間、全員が―――普段は俺と会話すらしない奴らさえ、残った泥人形を無視し、怪物の足元に向けて殺到した。
 
 
 
 長年ぼっちを貫いてきたが、この瞬間だけは複数人と心が1つになった気がした。幼少期以来、久しく感じてなかった高揚感―――否、今なら何だって出来るという全能感すらあった。仲間とのチームワークを現在進行形で体感できる痛快さ。
 
 
 
 最初に怪物の足元に達したのは、一番に駆け出した俺だった。
 俺は炎剣を大太刀に変え、素人ながらも一番効率的な角度を考えながら、怪物の右足首の横を擦れ違いざまに斬りつけ、走る勢いを殺さずに左足も斬り付けた。
 続けて仲間達が追いつくと同時に、怪物の両足を滅多刺し、あるいは滅多斬りにし、怪物が仲間を召喚する前に転ばせた。その拍子に何体かの泥人形も巻き添えにしながら。
 後は乱入してきた女と協力し、怪物の首の頸動脈を集中して全員で攻撃した。
 
 
 
 ―――怪物が事切れるまで3分もかからなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ―――それから数十分後。やや西日が差してきた頃。
 
 
 あのデカい怪物を倒した余韻―――勝利の美酒とでも言うのだろうか。確かにそれはあった。しかもそれを自分1人でなく、大勢の『仲間』と同じ感情を共有しているという一体感の痛快さときたら!
 俺は小学校の頃に親父に連れられて釣りに行った際に、偶然ながら1度だけ大物を釣った事があった。……もちろん小学生の腕力で釣り上げるのは無理だったので、途中から親父が釣り上げてくれた。あれも中々の『勝利』を感じさせてくれたが、さっき倒したのは10m以上の怪物だ。密猟者が巨大な象を射殺したとしても、これほどの痛快さは無かっただろう。ましてや普段から会話する事のない葉山グループの連中や相模などと、言葉を交わさなくても通じるような連携を成功させた直後だ。幼少期以来ずっと忘れていた懐かしい『友情』や『チームワーク』という言葉の意味を身をもって味わう事ができた。
 
 ―――でも思い出してほしい。
 
 戦っている間は高揚して忘れていたことがある。
 証明するものは何も無いが、今の俺達は霊体だということだ。ってか、この乱入してきた女もそう言ってたな。
 
 
 なら―――今の俺達の肉体はどこにあるか?
 
 
 
 
『『『…………』』』
 
 
 
 
 全員の視線が、倒壊した体育館倉庫に向けられた。
 今は教師や生徒達が必死になってガレキを撤去しているし、遠くから救急車のサイレンも聞こえてくるが、たぶん全て無駄な努力になる。
 ガレキの下がどうなっているか、少なくとも俺は見たいとは思わないし、たぶん他の奴らも同じだろう。
 あの怪物が何者か、乱入してまで俺達を助けてくれた女が何者か、今はそんな疑問など心底どうでも良かった。……本来はあの女に礼を言わなければならないのに、それどころじゃない今の俺は、やはりまだ現世に未練があったんだな……。
 
 
 ―――今の俺達は、この現状を受け入れなければいけない。
 
 
「あたし……今夜はパパの誕生日だから、早めに帰ってきなさいって、ママに言われてたんだ。レストランも予約したって、今朝ママが言ってた……」
 聞いてるだけで鬱になるほど重い話だ。
 そしてそれはこの場に居る誰にとっても、他人事ではなかった。
「―――大志…けーちゃん……ごめん。お姉ちゃん…もう、『そっち』に帰れそうにないよ……」
「お姉ちゃん……」
 川崎と戸塚が悲しげに呟く。
 ってか戸塚って姉が居たのか……。
 雪ノ下も、俯いたまま思いつめた顔をしているし、俺だって小町を残して死んだら成仏できる気がしねぇ。
 
 
 
「―――暗い話はそのくらいにしてくんない? とりあえず、あんた達の身体の怪我は治してきたから」
 
 
 
 さっきの乱入女が、いきなり妙なことを言った。
「治してきた? それってどういうことです?」
 葉山が女に質問する。
「ま、説明するより見てもらった方が早いか。ちょっとそこの小柄な奴、こっち来て」
 と言って大岡を手招きする。
「あ、あの…俺が何か?」
 大岡の質問をスルーし、女は声を張り上げる。
「はーい注目! こいつの顔、ここに擦り傷がありまーす。さっき泥人形との戦闘中に1発殴られたでしょ? そん時の傷。……で、あたしはこーいう能力も持ってる」
 大岡の顔の傷に、右手をかざす。
 すると彼女の手から光が漏れ、数秒後に手をどけた時に、大岡の顔から傷が消えていた。
 誰もが唖然とする中、女は腕を組んで自慢気に話し出した。
「あたしの名前は斉藤安子(さいとうやすこ)。何十年も前に死んで幽霊になり、あるドラクエかぶれの大型ホロウに拾われ、そいつに力を分けてもらって、あたし自身も中型のホロウになってたの」
 すると雪ノ下が手を挙げた。
「あの、すみません。ホロウ、というのは何ですか?」
「え? そこから?」
 
 
 ―――中略。
 
 
「というわけで、自分が持つイメージによって初代ドラクエのラスボスの姿になった大型ホロウに拾われたあたしは、部下のスターキメラのイラスト通りの怪物になってたの。……それだけならまだしも、あたしが怪物の姿になったとたん、あたしの自我まで消えて別人格に身体を乗っ取られてたんだけどね。ま、それも数ヶ月前に終わったんだ」
「終わったって―――いったい何があったんです?」
 葉山が問うと、斉藤は気軽に答えた。
「簡単だよ。スターキメラの姿になったあたしと敵対した高校生達が、あたしの首を縄で出発寸前の貨物列車にくくりつけて、そのまま引きずりまわされたの。そしたらスターキメラの巨体が地面に削られていって、元の人間大の肉塊になったところで運良く列車が緊急停止。その間に肉塊から素っ裸のあたしが出てきたってわけ。以前の自我も取り戻したし、スターキメラになっている間の能力も使えるようになったし、霊力も当時のままで良い事ずくめって感じかな?」
 話を聞き終え、俺達は驚きの余り、何も言えなくなっていた。
 この世の裏で、そんなホロウだの死神だの、果てはクインシーだの超能力者だのが跋扈していたことに、心底驚かされた。
 女―――斉藤さんは続けた。
 
「……で、あんた達が一番知りたい情報だけど、いま言った通り、あたしはスターキメラになっている間の能力が使えるようになっている。ゲーム中のスターキメラみたいに火の息や回復魔法、それから『ゲームに登場するアイテムを作る』という能力―――今回はその中の回復魔法を使って、あのガレキの下にいるあんた達の身体を直してやったの。だからあんた達の幽体離脱体験は、ここでおしまいって訳」
 
 『『『………っ!!!!』』』
 
 ―――そもそも幽体離脱だとは思ってなかったが、俺達は死んでなかったようだ。
 何人か嬉しさのあまり泣き出した奴もいるし、正直なところ俺だって涙が出るほど嬉しい限りだが、そんな雰囲気をブチ壊すかのように、斉藤さんは朗らかに笑いながら言った。
「いやー、怪我を治しに行った時はヒヤヒヤしたな。即死さえしてなけりゃ、内臓が爆砕したり、手足が千切れたりした奴でも治せるんだけど、胸の鎖が千切れてたら、生き返れなかったからね。はっはっは」
 ……おいおい、泣いてる奴らが泣き止んじまったじゃねーか……。
 構わず斉藤さんは続ける。
「ま、幽体離脱の場合、肉体の方が霊体を迎え入れる準備が整う―――つまり病院なんかで治療が済んだりしたら、あとは自動的に元の肉体に戻るよ。一応はあたしが掠り傷すら全部治したし、呼吸も脈もあったけど、まだ少しだけ時間が掛かると思ったから立ち話していただけ。他に誰か質問はある?」
 意外にも戸部が手を挙げた。
「あー、えっと……一応は俺も初代ドラクエってやったことあるんすけど、さっきの話からすると、斉藤さんが貸してくれたこの剣って『炎の剣』っすよね? よくよく考えればゲームに登場する『ロトの剣』が一番強い武器だったんじゃないかなって思ったんすけど、ゲームに出てくるアイテムが作れんなら、なんで炎の剣なんすか?」
 よく知ってたな戸部。
 確かに戸部の言う通りだ。俺もそれを疑問に思ってた。
 斉藤さんが腰につけた四次元ポケットもどき―――たぶん道具袋だと思うが、あそこから13本も炎剣を取り出し、俺達に貸してくれた。
 そして斉藤さんは、ゲームに登場する道具を作り出す能力を持っている。
 俺が斉藤さんと同じ能力を持っていたなら、装備品であれば間違い無く一番強いものを使うはずだ。
 斉藤さんは笑って問い掛けてきた。
「うーん……じゃあ君、あたしがゲーム中で『攻撃力10』の剣と『攻撃力1万』の剣を作り出したとするね? 仮にどっちも鉄製で寸分違わず同じ形と重さだとして、どっちが強い武器になると思う?」
 ゲームの中であれば、攻撃力の高い方が強いだろう。
 なぜならプログラムとして、より数値の高い方が強いに決まっているからだ。
 しかし現実世界の観点からすれば―――。
 
「―――違いが出るなんて、それこそありえないわ。そもそも『剣の攻撃力』という概念そのものがおかしいもの」
 
 雪ノ下がきっぱりと言った。
 実際、その通りだ。同じ鉄製で、形状どころか重量まで同じなら違いなど無い。内部にひび割れでも無い限りは。
 それに攻撃力という概念にも、俺は前々から疑問を抱いていた。
 物理や数学が苦手な俺でも、これが銃ならば分かる。
 
 飛んでくる弾丸―――いや飛んでくる物体が持つ運動エネルギーの計算式は、『0.5』×『質量』×『速度の二乗』だ。銃弾が2倍重くなれば威力は2倍だし、速度が2倍になれば威力は4倍だ。その運動エネルギーでさえ……例えば鉄板が飛んでくると仮定するが、平たい面にぶつかるか、それとも尖った角にぶつかるかで、同じ運動エネルギーでも結果は変わる。
 だから剣の強さを言えば、上記の計算式は部分的にしか当てはまらない。
 またドラクエには下位の武器として『銅の剣』が存在するが、鉄に比べて銅は柔らかくはあるが同時にかなり重いので、下手をすると銅の剣のほうが圧倒的に強い。一方で重いゆえに振り回す人間も疲れやすく、また硬い鉄剣なら今まで貫けなかった敵の防御も貫けるが、銅の方が重いゆえに貫ける場合もある。
 斉藤さんの結論はこうだ。
「だから強い武器として、材質不明かつ『炎』という特殊効果のある剣の方が都合が良かったの。それにあたしはゲームに登場する武器の形も重さも知らない。だからイメージを注ぐことによって形や重さを操作できる方が良かった。……そして硬さには自信があるの。ひょんな事から薄いタングステンの板を触る機会があったから、それを参考にしたわ。そこまでやった末、どんな武器が一番強いか想像したところ、ただ攻撃力だけが高い『ロトの剣』より『炎の剣』の方が強いと考えたの。だって火が出るし」
 至極、納得のいく説明だった。
 すると今度は戸塚が手を上げた。
「……斉藤さんは成仏しようとは思わないんですか?」
 言われて初めて疑問に思った。
「あたしは今が気に入っているの。霊体となって、生きてた頃には行った事の無い場所を旅してみたいって思ってね。旅を始めてから修治や美香―――まぁ似たようなことをやってる奴にも出会ったくらいだし、そういう人生もありじゃないかなって思ってるよ」
 
 
 ピーポーピーポー……。
 
 
 あ、いつの間にか到着していた救急車の群れが、一斉に去っていった。
 ってことは、意識の無い俺達の身体を回収し終えたのか。
 それに気づくと同時に、いつの間にか俺達の身体が『透き通り始めている』のに気付いた。
「ちょ!? これ何だし!?」
 三浦が騒ぐ。俺も驚いたが、何となく分かる。これはきっと―――
「ああ。そろそろ幽体離脱の終わりだね。これであんた達は日常に帰れるってわけだ」
 との事だった。
 が、何を思い出したのか、斉藤さんは急に慌てた様子になり、
「ちょっ……いけない! みんな! 今すぐその剣を放り出して―――」
 
 
 しかし彼女が最後まで言うより先に、俺の意識は闇に落ちた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――斉藤安子サイド――
 
 
 やっちまった……。
 やっちまったよおおぉぉぉッ!?
 
 あたしは初代ドラクエに登場する道具を作ることができる。
 もちろん制限は多い。
 さっきのロトの剣にしてもそうだけど、仮に材質不明の剣の攻撃力を何十万にまで引き上げたとしても、実際には攻撃力の上昇にはならない。それにパラメータを上昇させる『力の種』などのアイテムも効果は無かった。せいぜい『炎の剣』や『キメラの翼』のように、特殊な能力を備えたものを作るのが関の山だ。
 でも意外な活用法がある。
 さっき高校生達に貸した炎剣だ。
 あれを1本作るのに、あたしが作れる最大量の霊力―――つまりあたし1人分の霊力の1/5ほどが詰まっていると言って良い。
 今のあたしは、かつて中型ホロウになっていただけあり、当時と同量の霊力を保有している。
 この霊力というのは寝れば回復するが、アイテムを作ったり特殊能力を使うほど消耗する。そして人間とは運の悪い事に、そうやって消耗して弱ってるところで厄介な事が起こりやすい。
 だから普段から寝る前に少しずつ霊力を炎剣を作るのに費やし、2~3日かけて1本の炎剣を作り出す。
 そして消耗している時に炎剣を霊力へと還元し、自身の霊力を回復するのに使うのだ。
 それを13本。―――いや自分が武器として使う2本も合わせれば15本だけど、それでも長い日時を費やして作った予備の炎剣を貸したまま、彼らは幽体離脱の時間を終え、肉体へと戻っていった。
 
 
 
 そう。彼ら全員の霊体は、炎剣を持ったまま肉体に戻った・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・のである。
 
 
 
 その炎剣が持つ霊力や性質は、もうあたしではなく、彼ら個人の霊力として同化してしまうのだろう。
 二重の意味で『やっちまった』。
 1つは長い時間を掛けて作った炎剣という名の霊力貯金を失った悲しみ。
 そしてもう1つは、本来であれば霊すら見えない彼らに霊力を与えてしまうという罪悪に対して。
 ……ここが小型ホロウが多い結界地であると知っていたはずなのに。
 
 
 
 
 
 
 
 後日、あたしの元に、常人には見ることのできない『炎の剣を出せる超能力に目覚めた』と称する少年少女達が集まることになった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――材木座義輝サイド――
 
 
 総武高校に近い河川敷にて。
 ここは広々としていて見晴らしが良く、老人などが散歩のルートとして通る道だ。
 逆に総武高校の運動部の連中は、あまりここを通らない。あいつらにはすでに確立したランニングコースがあるからだ。
 そんな河川敷にて、我らは集まり、1人の女幽霊―――斉藤さんを囲んでいた。
 『囲む』と言うと悪い意味に取れるかもしれいから説明するが、これは彼女の手によって我が―――いや、我らが超能力と霊感に目覚めてしまった故、その説明を求めて集まったのだ。
 斉藤さんが説明する。
「つまりあの時、あんた達に貸した炎剣は武器であると同時に霊力のタンクみたいな物だったの。あれ1本につき、あたし1人分の1/5の霊力が込められている。……で、それをあんた達が持ったまま幽体離脱が終わって肉体に戻ったもんだから、あんた達1人1人が、あたしの1/5くらいの霊力の持ち主になっちゃったわけ。数字に直せば―――」
 斉藤さんの説明によると、大体がこうだ。
 
 ―――霊感を持たない民間人の霊力は1くらい。元の我らもこのくらいだという。細かく言えば小数点以下の数値があるみたいだが、大雑把に言えば1前後だそうだ。
 
 ―――霊が見え、話し、さわることのできる者で5くらい。……これより低いと、『霊が見えないが会話ができる』とか、逆に『霊が見えるが声が聞こえない』という半端者になるそうだ。
 
 ―――ホロウや死神が見えるくらいで10くらい。
 
 ―――かなりバラツキがあるが、予知能力や軽度の念動力など、超能力者になる最低限の霊力が50くらい。ただし、能力を物体化するに至るには、1000くらい必要になる。また地球上には僅かしか居ないらしいが、零番隊の死神とやら並みの霊力を持つ超能力者も存在するそうだ。
 
 ―――小型ホロウが持つ霊力で、おおよそ200くらい。
 
 ―――中型ホロウは2500くらい。斉藤さんもこのくらいだ。対する我らは、1人1人が500の霊力を持つ炎剣と融合している。
 
 ―――死神の平隊士で、5000くらい。……もっとも、彼らは力を無駄なく凝縮、あるいは膨張させるなどして効率的に使い、また統率された動きをする分、霊力だけで個人の強さを測るのは難しい。それでいて身体の防御力はホロウ未満だというのだから、気の毒な話である。
 
 ―――大型ホロウで約30000くらい。まぁメノス級以下に関して言えば、身体が大きいほど霊力が強いと思えば良い。
 
 
 斉藤さんは続ける。
「でもあんた達は、その炎剣が持つ霊力を完全に自分の持つ霊力として吸収できたわけじゃない。あくまで500近い霊力を持った武器を振り回せるようになっただけ。……まぁ微かに吸収できてる分もあるから、ここにいる全員、幽霊であるあたしを、こうして『見る』ことができるんだけどね。今のあんた達だと、1人当たりの霊力は10くらいね。それと―――」
 彼女は我らを見渡し、真剣な顔をして続けた。
「イメージで剣の形が変わったように、ああいったイメージを反復することで、その炎剣の霊力を完全に吸収し、自分に合った超能力として変化させることもできる。あとイメージを反復することは、炎剣の霊力とは別に、個人の霊力を上げる筋トレみたいな効果もあるの」
 更に言えば500近い霊力が凝縮されているからといって、この剣の攻撃力が上がっているわけではないようだ。剣の強さとは別に、霊力が圧縮されて込められているだけらしい。炎剣をスタンガンに例えるなら、握る部分に予備の大容量バッテリーがガムテープで巻きつけられてるようなものだそうだ。
 すると雪ノ下嬢が口を開いた。
「……斉藤さんにはとんでもない物を押し付けられましたけど、少なくとも助けていただいたという事実はあります。この先を生きていくのに霊力があってはホロウに襲われやすくなる反面、撃退できるくらいの力を与えて頂けたんですから、私個人の恨みはありません。ただ……さっきの話だと、ここは『結界地』と呼ばれる、ホロウの発生しやすい土地なのですよね?」
 続けて川崎嬢が、
「少なくとも、ここを死神に見つけてもらい、担当者を派遣してもらわないと困るね。ここにいる全員、ホロウから身を守る術が手に入ったのはありがたいけど、町の治安が悪くなってるってのは嬉しくないし」
 すると斉藤さんは目を泳がせながら、
「あ、うん、まぁ……。でも一応は結界地の外に、霊子で構成されたカラースプレーで『この先、結界地。死神の派遣を要請する』って書置きしてきたの。スプレー自体にも霊力をそれなりに込めておいたから、何ヶ月かすれば死神に見つけてもらえると思う。ただ―――」
「ただ―――なに?」
 眼鏡の海老女が続きを促す。
「ただあたし、幽霊なものだから、いま死神に見つかると強制的に成仏させられるの。だからもうこの町を出ようかと思ってて……」
 なるほど。
 要は責任逃れという奴か。
 無論、本気で斉藤さんが責任逃れをしようと考えてるわけじゃないことくらい、我にだって分かる。もし責任逃れする性格なら、我らをあの大型ホロウから救ってはくれなかっただろう。
 だが今の彼女には『世界中を旅したい』という目標があり、それを遂行するには死神に見つかるわけにはいかなくなる。
 だからこそ、彼女はこの町を逃げ出さねばならない。
 誰もが困ったような表情をしている。
 斉藤さんは申し訳無さそうに言った。
「正直、この町でこんな問題が起こるとは思わなかったよ。でも前みたいな大型ホロウ―――ううん、中型ホロウ以上が来ること自体、本当に稀なんだから安心してほしいの。それにほら! これ、この町の地図なんだけど、町のあちこちに小型ホロウが根城にしていた場所があるの。中でも強そうなのは大方潰しておいたから、あとは潰しきれなかった弱い奴……赤ペンで印してるとこを通らなきゃ、襲われることも無いよ。それに襲われても、今のあんた達じゃ小型ホロウとタイマンでは勝てなくても、2~3人くらいで挑めば仕留められるし」
 すると今度は葉山が挙手する。
「えっと……じゃあ俺達がホロウに近づかなくても、他の人間が近づいた場合はどうなるんです? ……具体的には、霊感すら持たない人間とか」
 斉藤さんは即答する。
「基本的には霊力―――霊感の無い人間は襲われないよ。まぁ大半のホロウからすれば、霊感の有無は分からないみたいだから、『自分が見えてるかどうか様子で判断する』みたいだけどね。ただ小型ホロウの縄張りって、霊が見えない人からすれば怪奇現象とかが起きやすくなってる分、肝試しとかで近づく人間が多いの。そういう人間を襲ってしまうケースも少なくないんだ」
 
 
 『『『……………………』』』
 
 
 これは考えさせられる内容だ。
 要は『自分から心霊現象に首を突っ込まなければ安全だ』ということ。一方で『他人が危険に巻き込まれやすい状況が整っている中で、それを助けることができるのは我らだけだ』ということ。
 ……後者に関しては、我もそれなりにときめくものを感じるが、現実がそんなに甘くないことくらいは分かる。
 自分から他人を苦しめる人間は悪だ。
 でも自分から他人を苦しめずとも、他人の不幸を見てみぬ振りするのは武士の恥―――いや、ただの意気地無しだ。
 世間にはこの手の意気地無しが多い。
 それを強いて咎めはしないし、かくいう我も、その手の意気地無しだというのは認めよう。
 しかし今、我には力があり、また本当に命の危機に晒される人間が現れつつあるのも事実だ。意気地無しでも、力があれば話は変わる。
 一方、彼らを助けに向かおうとすれば大けがどころか、下手すれば手足を失ったり、死んだりといったリスクを負う事になる。無論、それに見合う報酬や補償などあろうはずがない。
 さぁ、どうする?
 ここが分かれ道だ。
 我は迷わずに言った。
 
 
「我は決めた。ホロウを狩り、陰ながら町を守ろうと」
 
 
 次に反応したのは、意外にも雪ノ下嬢だった。
「他に例を見ないくらいの奉仕活動ね。奉仕部でもない人に負けてたまるものですか。私も戦うわ」
 ……あの、雪ノ下さん? 他人に奉仕することに喜びを感じるわけでもないのに、そこまで『奉仕』関連で負けることに意欲を燃やすのは、単に平塚先生の口車に乗せられてるだけだと思いますよ? ってかあなた、勝ち負けという単語に敏感すぎる分、扱いやす過ぎですよ?
 しかし学校一の美少女ともあろう雪ノ下嬢の言葉に、他の男子(主に葉山の取り巻き三人)と由比ヶ浜嬢が黙ってなかった。
 後から知った話だが葉山は雪ノ下嬢の幼馴染みらしく、その関係でか奴も手伝うとのたまいだした。それに三浦嬢と、更に続くようにして海老女。
 戸塚氏と川崎嬢は元から正義感が強いせいか、やる気は満々だそうだ。八幡はどうせ皆に引きづられて協力するだろう。相模嬢に至っては、口では正義のためと言っていたが、どうも我と同じく超能力を得たことによる興奮から協力しているように見える。
 
 
 かくして我ら総武高校の『円卓の13騎士(密かにそう呼ぶ事にした)』が結成された。
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――――ん?
 良く見れば、この地図のマーカーが付いてるところ…………、
「これ、総武高校じゃね? しかも7つも」
 我が呟いた瞬間、場の空気が凍りつき、皆が一斉に斉藤さんを見ようと顔を向けた。
 
 
 
『『『………え?』』』
 
 
 
 すでに斉藤さんの姿は無かった。
 まさかもう旅立ってしまったのだろうか?
「………ひっ」
 続けて雪ノ下嬢の短い悲鳴と共に、騒がしい声が響き渡る。
「あ――――ッ!! ここ! ここゆきのんのマンションだぁ!?」
「小町の! 小町の中学にもマーカーが!?」
「は、隼人君! ここ! いつものショッピングモールだべ!?」
 
 
 
 …………前途多難な予感しかしない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――――あとがき――――
 
 
 さて、今回はクロスオーバーを書いてみました。……とはいえ初挑戦ではなく、2回目ですけどね。
 しかもタイトルでさえ『俺ガイル×BLEACH?』というように疑問形となってます。何故ならばBLEACHのキャラが全然登場しないからです。他の俺ガイルとBLEACHのクロス小説を読んでいると、八幡が何らかの形で死神となって活躍するか、あるいはBLEACHの1巻のストーリーを俺ガイルのキャラに当てはめたストーリーが多いのに対し、今作では完全にオリジナルのストーリーとなっております。
 よって「俺ガイルは知ってるけどBLEACHは知らない」とか、逆に「BLEACHは知ってるけど俺ガイルは知らない」といった方にもわかりやすい内容になるよう、善処したつもりです。
 個人的には何年か前に投稿したBLEACHの『浅野啓吾VS普通のホロウ』のように、何の力も持たない凡人が、小型とはいえ下手な猛獣より強いホロウを相手に、知恵とひらめきだけで強敵を倒すという、浜面仕上やゴブリンスレイヤーのような戦い方の小説を書こうかなと思ったのですが、そうなってくると「どうやって強敵を倒すんだよ?」って話になります。もちろん、それが描かれているから浜面仕上やゴブリンスレイヤーには面白みがあるのですが、残念なことに私自身にそこまで戦術を構築する知恵はございません。
 ……一応、努力はしたんですよ? でも絶体絶命の窮地―――それこそ強いモンスターが1匹という状況から、ゴブリンみたいな悪知恵が働く弱モンスターの群れに囲まれた状況まで、自分がそれらの主人公ならどう立ち回るかを考えてはみたんですが、あっさりとデッドエンドだと思い知らされました。そう考えると浜面仕上やゴブリンスレイヤーって凄ぇと思えます。特にゴブリンスレイヤーは、浜面仕上と異なり、学園都市の化学工場のような設備が整った場所もなければ、チンピラながらも最低限度の科学知識を持ってるようなキャラでもないのに、あれほど頭の回る戦闘キャラを私は知りません。ましてや趣味で書いてるとはいえ、私ごときにあのようなキャラを扱えそうな気がしないですね。
 
 
 
 
 話は変わりますが、よくネット小説でクロスオーバーと題される作品を読んでいると、クロス元とクロス先というものが存在してるように思えます。
 この『クロス元』と『クロス先』というのは、まぁ私なりの造語なんですが、手っ取り早くいえば『俺ガイル×このすば』ってありますよね? あれで例えるなら、俺ガイルがクロス元で、このすばがクロス先―――つまり俺ガイルのキャラが主人公のまま、このすばの世界に行ってしまうというストーリーです。
 
 
 
 
 さて、この『クロス先』という言葉だけでいうなら、上から目線な言い方で原作者様達には大変申し訳ないのですが、このすば、ダンまち、SAOなどは非常に優れたクロス先なんだと思います。なぜならそれだけ面白味のある世界観だからです。そういった意味では、BLEACHというのもアンチの方からは設定がガタガタという声が上がってはいるものの、好きな人にとっては中々に設定がしっかりしている、クロス先として優れた作品なのではないでしょうか?
 BLEACH原作では、次から次へと強いキャラばかり現れ、これもアンチの方々からは「パワー・インフレが起こり過ぎだ」と言われ、最初に主人公の黒崎一護が戦ってた環境が忘れられやすいです。強くならないと物語が進まないほど主人公が追いつめられるからですね。まぁ、ああいった作品も好きではあります。
 ……でも人によっては、死神代行編―――つまりルキアを助けにソウル・ソサエティに乗り込む寸前までが一番面白かったという声も聞いたことがあります。『地獄先生ぬ~べ~』のように、主人公が定住したまま、それでいて大きなパワーアップする機会も無いまま様々な妖怪退治をこなすような展開(最終巻近くになって劇的に強くなりましたがww)というのも、時として読みたくなります。
 これも私の造語ではありますが、『小型ホロウ』や『中型ホロウ』なんかに遅れを取ったり苦戦したりする姿というのも、中々に面白いと思いますし、戦闘以外で言えば『なぜこの人はホロウになってしまったのか?』という点を突き詰めれば、テラフォーマーズ並に重い話にもなります(第1話の後半から結構重くなるのでご注意を。なぜならこの小説を書き始めたのがテラフォーマーズ2期放送開始の頃だったので、それに感化されております)。
 
 
 
 
 
 それと作中にて、幽体離脱した状態で、胸から垂れる鎖の長さに限度があるような描写をしてましたが、これは鎖がガレキに挟まれて動かせなかっただけで、本来なら無限に伸びるという設定です。後の展開にてそのように描写する予定でしたので注釈しておきます。
 
 
 
 
 
 最後にBLEACHについて気付いた設定を書いてみます。
 原作者の久保帯人先生は、何かと複線を張られるのがお好きな方で、中でもこれは2~3人に1人は気付くことを想定された複線だとは思うのですが、ホロウの大きさについて考察を書いてみます。
 
 
 メノス級以下のホロウは、身体が大きければ大きいほど霊圧が高いのかと思います。それが共食いや、あるいは生まれつき霊力が高ければホロウになった時点で大型ホロウ(ヒュージホロウ)になり、やがてはギリアン級になります。(ゆえに私は小型・中型ホロウという造語を作りました)
 すると今度はギリアン→アジューカス→ヴァストローデとなるに従って身体が小さくなりますが、これは霊圧が段々と圧縮され、ヴァストローデになる頃には霊圧は肉体に纏うのではなく、肉体や血液に高濃縮されて納まってると推測しております。だから公式設定でエスパーダの放つグラン・レイ・セロには、術者の血液が混ぜられている設定なのだと思います。
 また原作にて、アジューカス止まりの者と、ヴァストローデにまで昇り詰める者が存在するのも、人間としての霊体そのものに圧縮したホロウの力が定着できる資質があるか否か、あるいは性格や精神面によってヴァストローデになれるかどうかが決まるのかと、私は推測しております。
 
 
 …………ま、証拠もクソも無い考察ですがね。
 
 
 ではまたっ!


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