(ア)
先生は、口をモゴモゴさせて何かを訴えている不良に耳を傾けた。
「ヴーッ‥‥‥ヴーッ‥‥‥」
「‥‥‥えっ? 人権? そんなもの、ないよ。
人権なんて、偉い人たちが言ってるだけで、今、ここにはないんだよ。
‥‥‥え? ‥‥‥じゃあさ、君たちの人権を、誰が保証してくれるのかな?
親かな? 神様かな?
あっははーーーっっ!! 死ね」
先生は、不良の口についたガムテープを剥がした。
「‥‥‥やだ、やだ!!! あああああああああ!!!!」
先生は、不良たちの額に、そっと手のひらを当てた。
すると、不良は白目を剥き、アスファルトにうなだれた。
「ぶざまなもんだねーーー。君も、こうなりたい?」
一人残った不良は、涙を流しながら、首を横に振った。
「じゃあ、私の弟子になってくれるかい?」
不良は、首を縦に振った。
「本当かい!? じゃあ、助けてあげるよ」
先生は、その不良の口についたガムテープを剥がした。
「‥‥‥すいません、すいませんでした!! なんでもします!! 弟子にでもなんでもなります!!」
「‥‥‥でも、そういえば、私の弟子は君らにやられたんだったよね。死ね」
「‥‥‥え?」
先生は、その不良の頭の上に手を乗せた。
そして、思い切り、アスファルトに頭を叩き付けた。
不良の頭は、地面に埋まって、静かになった。
「‥‥‥君たち、ケガは大丈夫かい?」
先生が、僕たちに振り向いた。
(イ)
「‥‥‥せ、先生‥‥‥」
「ごめんね、待たせちゃって」
「‥‥‥い、いえ、‥‥‥」
「‥‥‥気は晴れたかい?」
「‥‥‥」
「‥‥‥そっか、それでこそ、君は私の弟子さ」
先生は、僕の手を取った。
「‥‥‥帰ろう」
「‥‥‥はい」
(ウ)
(問1)
この小説に、「先生は全裸だった」という文章を差し込むには、どの位置が適切か。
全て答えなさい。