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No.43453の一覧
[0] わからねぇよ、先生!![一本絞り](2020/01/19 14:28)
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[43453] わからねぇよ、先生!!
Name: 一本絞り◆e9bd7a34 ID:84954ba9
Date: 2020/01/19 14:28
わからねぇよ、先生!!

「またまた‥‥‥何がそんなにわからないの?」

「先生ぇ! 俺にはどうしてもこの「数学」ってやつが理解できねぇ!!「数学」 こいつぁまるで‥‥‥ハリガネだ! 他の国語や社会なんてのが水のようにスッと脳のスポンジに染み込んでくるとするなら、こいつは俺の大脳皮質をブスブスと突き刺さすハリガネみてーなもんだ!! しかも、ハリガネの長さに決まりはねぇときてる!! 他の科目が、水みてぇにスッ入ってくるとすれば、こいつはわかんねぇうちからどんどん長さを増していきやがるから、俺はそれをぐるぐる巻きこんで、無理やり脳に積めておくしかねぇってことよ!! わかるか、俺の痛みが、苦しみが‥‥‥はやく、このハリガネを抜いてくれ!! 先生、抜いてくれや!!」

「あらあら、これは公式を覚えれば解けるわよ」

「それがわかんねぇ、つってんだよ!!!!!!!!!」

俺の名前は竹ノ内周藤。

今日も先生と二人きりで、課外授業を受けている。

窓の外で燦然と輝く茜空が、俺たち二人を温く見守ってくれているようだぜ!!

「なぁ、先生、わかんねぇんだよ」

「ふん、こんどはなに?」

「俺ぁ今‥‥‥「恋」をしている! だけど俺、好きな人が言ってることが、全然理解できねぇのよ!!」

「そうなの?」

「うん! そうなんだよ! その人には、俺の世界の理がまるで通用しねぇんだ。まるで違う世界の住人みてぇによぉ!! それこそ、この「数学」みてぇによォ~!!!」

「えーと、ここはね、これを使えば解けるわよ」

「違うぜ先生!! そこは俺の男心を察して顔を赤めるなり胸をときめかせるなり何なりしてくれや」

「え、なにが? 」

「もういい!!」

「‥‥‥」

「‥‥‥あ、帰って来た」

「いや、少し‥‥‥忘れ物を思い出してな。‥‥‥でさぁ、先生。話の続きなんだけどよ、数学を理解するには、どうすりゃあいいかなぁ?」

「‥‥‥あのね、しゅうと君。しゅうと君は、思い違いをしているわ」

「‥‥‥なんだ、そりゃあ?」

「「数学」っていうのはね‥‥‥「これをこうしたら、もっと簡単に解ける」、だとか「こうしたほうが早い」っていう「ルール」を学ぶためのものなのよ? 」

先生は、その白く細くいいにおいのする指で俺のあごを掴み、俺の体を黒板に押し付けた。

「つまり、「数学」なんてものは‥‥‥問題を前に頭を抱えている暇があるなら、公式を覚える努力をすればどうにでもなるものなのよ」

「だけど、先生!!」

「そう、「恋」のようにね」

「‥‥‥‥「恋」!?」

「そうよ、「恋」も、「数学」も、全ては人の理の下の駆け引きの上で成り立つ絵空事‥‥‥でも、相手と同じ土俵に立つには、まずはルールを覚える必要があるというのが同じことだわ」

「そんな‥‥‥先生!!」

「‥‥‥そして、あなたに言っておくことが、もうひとつだけあるわ‥‥‥しゅうと君あなた、「数学」のことをハリガネだって言ってるけど、公式を覚えることはそんなに難しいものではないということよ」

「‥‥‥そんな‥‥‥そんなことがあるはずがっっ!?」

「いいえ、しゅうと君。あなたは、「「公式を覚えるのが難しいこと」である」という公式を頭の中に作り上げて、それを信じこんでしまっているだけなの。二つの首を持ち、お互いの体を貪り尽くす大蛇、ウロボロスのようにね」

「そんな‥‥‥俺がウロボロス!?」

「ええそうよ。あなたは自分で首を閉めているの。いい? 「1+1」を解けるあなたは、「A君が10分後にB君に遅れて出発した」としても、後れをとることがないの。じゃあなぜ解けないかって? それはね、「数学」が難しいという感情が思考にブレーキをかけてしまっているだけなのよ」

「か、感情が‥‥‥!?」

「ええ、感情よ。あなた、この16年常日頃「感情」と「理屈」を履き違えて生活しているのよ。いい?「感情」は、おバカなしゅうと君が人の叡智を自分の脳に無理やり納得させるための翻訳機なの。あなたはそれを使うのが嫌ってんで、人の叡智たる「理屈」だけ得ようとしてダダダ駄々をこねている子供なのよ」

「そんな‥‥‥そこまで言わなくてもいいじゃないかっ‥‥‥!」

俺は、眼の奥底から井戸水を引いてきたかのような涙を流した。

「‥‥‥いい?「我慢」が大事なの。何事も、我慢が‥‥‥」

先生は、泣いている俺の膝の頭に手を起き、ふわっと開いた。

すると、とてもぞわぞわした。

「‥‥‥じゃあ、先生!!」

「‥‥‥なに?」

「俺と‥‥‥付き合ってくれよ!! 俺と付き合って‥‥‥あなたの理を教えて下さい!!」

「いや、きょうび先生と生徒がそういうことしたら問題になるから無理よ」

「そんな‥‥先生!!」

「しかもしゅうと君、さっきから私の胸をじろじろ見てるから、それも踏まえて、ちょっと無理だね」

「そんな‥‥先生!!」

「‥‥‥あのね、しゅうと君‥‥‥これもルールのひとつとして、覚えておくといいわ。‥‥‥「体目当ての男にまともな女は心までは明け渡さない」ってね」

「‥‥‥そんな、俺は、たしかにあなたのことが好きなのに‥‥‥!!」

「いいえ、しゅうと君。あなたは「女の先生と二人きりで教室にいる」という特殊な精神状態からくる性衝動と、私のおっぱいに母性を感じたことによる性衝動による性衝動同士の相乗効果で性欲と恋愛感情とを履き違えているだけだわ。つまり、今のあなたの頭のなかには私のおっぱいしかないの。おっぱいだけなの。ほら、おっぱいおっぱいおっぱいぱい」

「それは嘘だぜ、センセ」

「‥‥‥なんですって?」

「‥‥‥だってセンセ、俺ーーー今、ちっとも興奮してないもん」

「‥‥‥どうかしら、口ではなんとでも平静を装えるわ」

「‥‥‥なぁ、先生、今日が何の日か、知ってるか」

「待ちなさい、それがいったい、さっきの話とどういう関係があるのかしら」

「‥‥‥今日は、先生の誕生日だ」

「‥‥‥えっ」

「‥‥‥ほら、これ。誕生日プレゼントだ」

「‥‥わ、なにこれ! ぬいぐるみじゃない!! かわいい!」

「‥‥‥なぁ、先生、俺、いつだったか‥‥‥先生が俺にしてくれた、好きなものの話‥‥‥ずっと、覚えてたぜ」

「‥‥‥しゅうと君」

「な、先生ーーー俺、先生のことが好きだ。心から」

「‥‥‥しゅうと君」

「先生」

「いいの? 私、今日で88になるけど」

「かまわん!!」


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