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No.4217の一覧
[0] 勇者育成計画(SWトリップ)[Z](2010/06/19 22:14)
[1] 勇者育成計画2[Z](2010/06/20 00:24)
[2] 勇者育成計画3[Z](2010/06/20 01:48)
[3] 勇者育成計画4[Z](2008/09/27 03:06)
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[4217] 勇者育成計画(SWトリップ)
Name: Z◆fb9d4b16 ID:49cdf12a 次を表示する
Date: 2010/06/19 22:14
 人間は慣れる動物である。
 それがどんな異常でも、いつかは日常になるのだ。それが異界であろうが異性であろうが戦場であろうが。
 ただし、慣れるまでには時間がかかる。
 自分の体には不本意ながら三日で慣れた。人間、食わずとも出るものは出るし三日と飲まなければ渇いて死ねる。そして、渇きは魔法で自分の体内を通過した水分の再利用を試みさせるには十分であった。
 結果は成功であったものの、情けなさをメインとした色々で涙が出たが。
 野外での生存技術など、文明の利器に囲まれて暮らす都市生活者が身につけているはずも無い。はずも無いが、身につけていればと心の底から後悔しているのは人間にすれば十代も半ばの少女に見える髪の長いエルフの娘にして、現在はただの遭難者。
 つまりは、三日前までは地球と呼ばれる惑星の日本と呼ばれる国家の住民が何の因果か別の世界の別の住民の体に潜り込んでいた。
 いや、正確には変わり果てていたというべきか。
 他人の体を乗っ取ったわけでも、取り憑いているわけでもないのだから。ただ、設定に準じた肉体と能力を得ているだけなのだから。
「やっとか、やっと街が見えたか……」
 足を引きずるような疲れ果てた歩みが、呟きとともに止まる。
 そして、しばしの時が流れ――


 ミレルがその騒ぎに気づいたのは、ホームグランドともいえるいささか治安のよろしくない通りをジーニ達とともに歩いていた時だった。
 盗賊ギルドで顔を見かけたことがある連中が、誰かを囲んで凄んでいる。連中の体越しに見えるのは、旅人なのかどこかくたびれた様子の銀の髪の少女。
「あれは……エルフか?」
 隣のジーニの呟きに少女の耳に目をやる。人とは違う長く尖った耳。実物を見るのは初めてだが、伝え聞くエルフの特徴だ。彼女はエルフらしい。
「なんでまた、エルフがこんなところに」
 呆れたように疑問の声を漏らす。ミレルにとっては、エルフとはお伽話の中の住人。あるいは、森の中に引きこもっている関係の無い連中。ひとつ間違えれば、捕まって売り飛ばされかねないこんな所で見かけるとは思っても見ないイキモノだ。
 物珍しくはあるが、厄介事に自分から首を突っ込む気にならず、絡まれているエルフの娘には悪いが見過ごすつもりだった。
 無防備に、こんな所をうろつくのが悪いのだ。
「まずいな、殺気立ってる。殺しかねないぞ」
 ジーニがそう、小さく囁くまでは。
 意識を振り向けてみれば、確かにエルフの少女に浮かぶ表情は怯えはない。あるのは、警戒を交えた不快感と怒り。そして、追い詰められた者が持つような余裕の無さ。確かに、下手につつけば暴発しそうだ。それも、歯止め無く。
「でも、あんな華奢でちっこいのが?」
 多少暴れた所で、せいぜいが返り討ちだろうと言葉を返す。身のこなしも素人よりはマシという程度で、絡んでいる連中に勝てるとは思えない。
「そういえば、エルフは皆精霊使いだと聞いたことがあります」
 メリッサが思い出したように口にする。なるほど、怯えがないのは、魔法でどうとでもなるからかも知れない。
「ほう、それは都合がいい。助ければ恩が売れるし、仲間にも誘いやすい」
「それは、いい考えかもしれませんね」
 ジーニが有言実行とばかりに、好戦的な笑みを浮かべ。メリッサが、あくまでもたおやかに頷く。
 戦士であるジーニに、神官戦士のメリッサ。そして、盗賊のミレル。彼女たちは時には遺跡に潜り、時には荒野を征き、時には妖魔どもと戦う冒険者のパーティだ。そして、女性だけのこのパーティに欠けている魔法戦力を求めて、やはり女性の魔法使いか精霊使いを求めていた。
「そだね。まあ、助けて損は無いか」
 森の住人のエルフが、街中で魔法で使うのがご法度であるとの、人間の決まりごとを知っているのかどうか。知らずに魔法で暴れられたら、余計な騒ぎになる。事が起きる前に止めるべくミレルは足を踏み出した。

 セレン――魂の名はまた別だが、このキャラクターの名前はそうなっている――が街に足を踏み入れてから、そう時間がたつまでも無く道に迷っていた。
 初めて訪れた街で、地理を知っているわけでもないのだから当然といえば当然の結果ではある。だが、周囲の景色が明らかにスラム街じみているのはいただけない。きちんとした屋根の下で眠るべく、まともな宿に泊まりたいと道を歩いていたのだが、どこでどう間違えたのかと嘆きながらも一刻も早くここを抜け出すべく足早に歩く。
 だが、その歩みは脇の路地から抜け出してきて目の前に立ちふさがった男達によって止められた。
 数は三人。浮かべる表情は不快感を誘う、どこか下卑た笑み。そこまで見て取った所で、背後にも足音。振り向けば、退路を塞ぐようにまたひとり姿を現していた。
「お嬢ちゃん、そんなに急いでどこへ行くのかな?」
「道案内なら、俺たちがしてやるよ」
 親切めかした台詞を口にしながら、下心を隠すこともないにやけた表情で囲むようにしながら男達が距離をつめてくる。
 お呼びじゃねーんだよ、お前たちなんか。
 セレンは、内心で毒づきながらどうせ無駄だろうと思いつつも言葉を選んで口にする。
「すみませんが、急ぐので道を開けてくださいませんか?」
「だから、行き先を教えてくれたら俺たちが案内してやるって」
「無論、もらうもんはもらうがな」
 どんだけ案内料をとるつもりなんだか。どうせ、身包み剥ぐつもりだろーが。
 つけこまれないように、表面上には冷静にしながら毒づく。出すもの出して、見逃してもらうという手をちらりと考えなくも無かった。無かったが、森で襲われた狼の群れとは違い生命の危機は感じないが、貞操の危険が感じられてしかたがない。
 潰すなら、組み付かれる前か。
 組み付かれてしまえば、動作を必要とする魔法は使えない。
 犯られる前に殺るか。
 生まれて初めて感じる女性的恐怖に、自覚の無いままに冷静なつもりで危険な結論に至る。正解は、一撃食わせて混乱させてその隙に逃げるべきだろう。
 既に森でのサバイバル生活などで、魔法の使い方には慣れている。躊躇うことなく、殺しても構わないつもりで呪文を口に仕掛けたときに第三者の声が割って入った。
「はいはい。そこまでにしておいて」
「なんだ……ってミレルか」
 割って入ったのは年若い女性の三人組。男たちのリーダー格とは知り合いのようだ。
 もしかして、敵の増援かと舌打ちしたい気分で警戒のまなざしを向ける。三人組のほうも、こちらに観察するような視線を向けている。

 ……ミレル?

 視線が交わったのはそう長くは無い。視線をはずして、ミレルと呼ばれた少女が男達と交わす会話を耳にしながら、どこか覚えのある名前だとセレンは記憶を探った。
 確か、ハーレムパーティの面子だ。改めて、三人組を見る。戦士と神官――装備を見ればそれはわかる――に、男たちとの会話からみて盗賊。条件にはあてはまる。
 すると、ここはオーファンか。
「というわけで、一緒にお話しない」
 記憶を検索しているうちに、なにやら男たちとは話がついたらしい。かけられた声に、気づけば男たちは背を向け立ち去っている。





 リウイは、目の前の四人の娘を油断無く見つめていた。
 場所は、人気の無い路地の広まった場所。彼女たちも、品定めするような目つきでじろじろとリウイに視線を投げかけていた。
 四人のうち、三人。大柄な女戦士に、金髪の神官戦士。そして、足運びから見て恐らくは盗賊であろう小柄な少女。彼女たちには見覚えがあった。昨夜、酒場で騎士見習いふたりと騒ぎを起こしていた三人組だ。
 三人とも、魅力的な美女であり美少女であるといえる。野性味溢れる赤毛に、優雅な金髪、猫のような美少女。確かに、酒の席で絡まれるのも納得である。問題は、明らかに騒ぎが刃傷沙汰になりかけてた事だが。
 覚えの無い最後の一人は、華奢な体の銀髪の娘。人とは異なるその耳がエルフであることを無言で主張している。彼女もまた、他の三人に負けることのない幻想的な美しさの美少女だった。
 騒ぎを収めるために、女戦士は殴り飛ばしたし他のふたりも仲間を殴られたら恨みもあるだろう。ついでに、エルフの少女以外の三人とも完全武装している。お礼参りという事かと考えて、恐怖するよりも高揚する自分に気づいて、ちらりと己の正気を疑う。
 人間の町では珍しいエルフの娘に、職も育ちも違いそうな三人。普通に考えたら、四人には接点がなさそうだがリウイには四人を結びつける言葉に心当たりがあった。

 ――冒険者。

 そう呼ばれる者達。
 彼女達は、おそらくはそれなりに経験を積んだ冒険者だろう。滅びた古代王国の遺跡に潜ったり、妖魔や怪物たちと戦う事もある冒険者ともなれば実戦の洗礼を受けている。
 戦いといえば、喧嘩しか経験の無い自分。しかも、1対4では勝ち目は無いだろう。
 だが、愛想笑いを浮かべる気も慈悲を乞う気もリウイには無かった。なるようになれという、ある意味やけになってたともいう。
 互いに伺うように見詰め合っていた時間を動かしたのは、エルフの少女だった。
 すっと、一歩前に出てリウイを見つめたまま言葉を投げかける。
「あなたがリウイですか?」
 その言葉に、無言で頷く。盗賊が仲間にいるのならば、ギルドで人の素性を調べるぐらいは簡単だろう。
「オーファン魔術師ギルド所属で、最高導師カーウェス様の養子」
 淡々と紡がれる言葉は、質問ではなくて確認だった。
 綺麗な声だな、とどうでもいい事を思いながらリウイは言葉を返す。
「俺だって、それほど暇じゃないんだ。用があるから誘ったんだろう?」
 最悪、殺されるかもしれないと思いながら身構える。不機嫌、あるいは不愉快。そんな顔でこちらを眺めていた後ろの三人がそれに反応する。
 盗賊の少女は身構え、神官戦士は嘆くように首を振り、女戦士は吐き捨てるように呟く。
「昨日の続きと行きたいのは山々だがな……」
「私が、別の意見ですので」
 呟きを引き継ぐように、エルフの少女が言葉を口にする。
「私達は、いわゆる冒険者です。そして、私達の仲間になりませんか?」
「………………は?」
 前後のつながりが意味不明。
 思わず、ぽかんと口を開けてエルフの娘を見つめる。
「ひとつは、不意を突いたとはいえジーニを殴り飛ばしたその身体能力。ひとつは、カーウェス様を始めとする要人とのコネへの期待。ひとつは、魔術の知識。誘う理由は、主にこのみっつです」
 指をひとつひとつ立てながら、理由を挙げていく彼女の背後で女戦士が吐き捨てるように言う。
「不意を突かれたぐらいで殴られていては、わたしはとっくに戦場で死んでいる」
 という事は、彼女がジーニか。
「セレンが、前で壁を務められるようなヤツがもうひとりは欲しいって言うから」
 盗賊の少女が、ミレルだと名乗りながら言う。
「わたしは、仲間を癒したりもしなければいけませんし」
「ミレルだと、囮にはなれても壁は難しいですから」
 神官戦士とエルフの娘が、それぞれメリッサとセレンだと名乗りながら言葉を続ける。
 つまり――これは、
「冒険者へのお誘いって事か……」
 予想外の展開に混乱しながらも、その提案は魅力的に思えた。
 冒険者になるという考えを今までに抱かなかったかといえば、否だ。むしろ真剣に考えた事すらある。魔術師ギルドの同期生が聞いたら呆れるだろうが、例えば古代遺跡に眠る宝物などよりも、そこに潜む危険――恐るべき罠や、魔法仕掛けの番人――をかいくぐる命がけの冒険そのものを非常に魅力的に感じていたのだ。
 リウイが冒険者になることを諦めていたには、いくつか理由があるがその最大の理由は仲間がいないことだった。
 その仲間が、向こうからやってきたのだ。
「あぁ…………どうしようかな?」
 またとない機会だった。すぐにでも、と頷きかけて悩むように言葉を濁す。
「俺は魔術師だ。ご期待に沿えることができるかどうか」
 同じ売るなら、より高く自分を売りつけたい。セレンと名乗ったエルフの少女はともかく、他の三人は明らかに自分を歓迎していない。このまま素直に頷いても、自分の立場がかなり低くなりそうな予感もした。
「剣ならば、ジーニが鍛えてくれるでしょう。それに、ジーニを殴れるだけの素質はあるわけですから、期待できると思いますよ」
 セレンの言葉に、ジーニが不承不承という感じで頷く。
「そうだな、最低限の腕がないと足手まといだろうしな」


 リアルで見ると、デカブツだ。
 単なる長身ではなくて、筋肉もしっかりついているから存在感もある。以前よりも小さくなってしまったこの身では、余計に身長差が際立つ。
 見上げなければならないのが、奇妙に腹立たしい。
 だが、そんな事は顔には出さない。
 なんとしてでも、彼をパーティに引き込まねばならないのだから。
 一月ほど前に、街に足を踏み入れて1時間と立たないうちにチンピラたちに絡まれてたのをミレルたちに助けられた恩がある。
 魔法使いか精霊使いの女の仲間を求めていたそうだから、エルフ=精霊使いという目算での下心があったのかもしれない。だが、純粋な好意であろうとなかろうと恩は恩である。それから今までの付き合いで彼女達に好意を抱いている事もある。
 そして、目の前の男がこの世界のキーパーソンであることをセレンは知っていた。
 なぜなら、なぜならこの世界を題材としたゲームで遊んでいたのだから。この世界での最初の記憶の直前は、まさに遊んでいた最中であったのだから。正直、今現在に至るまでもこれが夢なのではないかという疑いがいまだに消えてない。
 なんにせよ、持てる知識でもって有利に立ち回って損はない。
 個人的に目の前の男の好悪を述べるのならば、嫌いである。だが、それを言っては始まらない。唯一でないにしても、世界を滅びから救う可能性の高い人間の一人なのだから。
 それにメリッサが予想通りに勇者の啓示を受けた以上、仲間に引き込む必要がある。
 そのおかげで、昨夜はかなり荒れたのだ。男たちに絡まれて不愉快極まりなくて、見知らぬ男に仲間を殴り飛ばされて不機嫌極まりなく、とどめにその男が仕えねばならない勇者という啓示。
 ミレルとジーニは、不本意ではあるが仕えると言い出したメリッサに揃って反対。
 リウイについて情報を集めたのも、その流れだ。集まった情報は、客観的に言えば乱暴者で女好きの落ちこぼれ魔術師。反対するのも無理ないよな、と人事のようにその騒ぎの輪の外から眺めていた。
 どうせ、信仰の問題であることだし不本意であるが仲間にしてしまおうという結論に至るのだろうと、他人事のように。
「で、セレンは?」
 ミレルが、そう問いかけてくるまでは。
 表情は、「もちろん反対よね!」と雄弁に語っていた。ジーニに視線を走らせば同じ様な顔。リウイに対する敵意と怒りに、メリッサに対する心配がくっきりと見て取れた。
 面倒だな、と小さく溜息をつく。
「メリッサがリウイに従者として仕えるというのは、既に結論。信仰の問題だし、私はそこに口を挟む気はありません」
「ちょっと! あんな男にメリッサを預けて心配じゃないの。絶対にヤバイって」
「それはわたしも同じ意見だ」
 口にした台詞に、即座に反応してまくし立てるミレルに少しばかり身を引きながら言葉を続ける。
「だから、妥協案があります」
「……どんな?」
 単純に、メリッサをリウイに預けるような意見ではないと感じてくれたのかミレルが先を促す。その背後のふたりも無言でこちらを見つめてるあたり、興味津々といったところか。
「ひとつは、彼の下にメリッサが行くのではなくて、彼を私達の仲間にしてしまえばいい。私たちの監視下に置けますから」
「それは、いい考えかもしれんな」
「ひとつは、って事は他にも何かあるんでしょ?」
 ジーニが頷き、ミレルが訊ねる。さすがに盗賊稼業なだけあって、言葉の端々に敏感だなと感心しつつ頷き続ける。
「まずは仲間にすること。勇者と告げるのは、その後にしませんか?」
「な……どういうことです。わたしに、勇者を偽れと!」
「彼、勇者に思えます?」
「それは……」
 そう、この場がこうまで荒れたのは一言で言えばそれが原因だった。
 人格的に信頼が置ける相手であるとか、勇者の名声が既にあるとかならば寂しさなどを覚えながらでも、安心して送り出せただろう。だが、リウイについて集めた情報からは、不安を掻き立てる結論しか導けなかった。
 例えば、従者であるのをいいことに体を弄ばれるとか。
 そんな相手の下に、メリッサを預けるわけにはいかない。それが、ミレルとジーニの反対の理由だった。
 メリッサが、ここで言葉に詰まるのも無理は無い。そこを畳み掛ける。
「ならば、これから勇者になるのでしょう。ならば、勇者にふさわしいように彼を導くのもまた従者の務めでは? 勇者であると、そう思えた時に改めて従者になりますと告げるといいでしょう。その時までは、仲間として彼を導くのもいいのでは?」
 勇者を導く自分でも、想像したのかメリッサが沈黙する。どんな想像が頭の中で展開されたのかは知らないが、先ほどまでとは違い口元が緩んでる当たり、当人にとっては幸せな未来図だろう。
 残る二人を納得させるべく、仲間に引き込むことの利点をさらに並べる。
「それに、彼の養父は宮廷魔術師のカーウェス様です。人脈を広げるという点では、少しは期待できるはずです。それにあの体格ですから――」
 そこから先は、予定調和のようにリウイを仲間に引き込むことで結論は落ち着いた。記憶との違いは、リウイにその場で勇者の啓示について教えないこと。予定外だったのは、仲間に引き込む役が自分になった事。
 そして、無事に話がついたと言ってもいいだろう。
 思案げな顔で迷ってるふりをしてはいるが、リウイはまず間違いなく仲間に加わる気になっている。だが、背後のメリッサはそう思ってないのか背中に痛いほどに視線を感じていた。
 ここで、万が一にも断られたら自分の責任になるんだろうな。
 内心で溜息をつきつつも、承諾の返事をどうやって口にさせるべきか考える。記憶どおりならエルフに好意的なはずであるし、今の自分は自慢できるほどの美少女。ちょっと泣いて頼んでみたら、即座に頷いてくれるんじゃないかななどと思いつつ口を開く。
「この、へたれ」
 場の空気が凍った一瞬だった。


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