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No.39855の一覧
[0] 艦隊これくしょん×Fate/staynight[くま](2022/02/07 19:29)
[1] プロローグ――1[くま](2014/04/21 23:18)
[2] プロローグ――2[くま](2014/04/21 23:18)
[3] 1-1[くま](2014/05/18 00:37)
[4] 1-2[くま](2018/05/07 00:58)
[5] 1-3[くま](2018/06/13 22:10)
[6] 1-4[くま](2015/01/24 16:35)
[7] 1-5[くま](2015/08/30 03:13)
[8] 1-6[くま](2015/02/15 20:39)
[9] 1-7[くま](2015/03/15 03:37)
[10] 1-8[くま](2015/05/04 11:43)
[11] 1-9[くま](2015/11/16 00:07)
[12] 1-10[くま](2016/02/15 23:54)
[13] 1-11[くま](2016/08/16 00:30)
[14] 1-12[くま](2016/08/19 04:22)
[15] 1-13[くま](2017/08/18 08:08)
[16] 1-14[くま](2018/05/07 00:48)
[17] 1-15[くま](2018/06/03 16:39)
[18] 1-EX[くま](2018/06/13 22:16)
[19] 2-1[くま](2018/08/03 00:13)
[20] 2-2[くま](2018/08/03 00:14)
[21] 2-3[くま](2018/08/03 00:00)
[22] 2-4[くま](2019/04/16 00:42)
[23] 2-5[くま](2020/05/09 22:36)
[24] 2-6[くま](2020/07/19 22:22)
[25] 2-7[くま](2021/01/31 12:00)
[26] 2-8[くま](2021/01/31 11:59)
[29] 2-9[くま](2022/02/07 19:27)
[30] 2-10[くま](2022/06/26 20:22)
[31] 2-11[くま](2022/07/16 11:49)
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[39855] 1-1
Name: くま◆130f149e ID:52acee26 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/05/18 00:37
 闇夜を切り裂く閃光。海上に立つ火柱。怒号と悲鳴。
 雨霰のように、昼夜を問わず空からは弾が降っていた。それは砲弾であり、銃弾であり、爆弾であり。種類を問う事無く、眼下に棲まう驚異の排除の為だけに惜しむことなく費やされる。
 オーバーキル。費やされたあらゆる物量は、過去の大戦をも遥かに凌駕していた。例え相手が彼の大国であったとしても、壊滅させるには充分な量が投じられている。

 ――――だが、足りない。

 放った筈の銃弾が弾かれた。着弾した筈の砲弾が消し飛ばされた。落とした筈の爆弾が返ってきた。
 華麗に空を舞っていた筈の戦闘機が突如制御機能を失う。闇夜では見えぬが機体には貪られたような痕が幾つも残っていた。子どもの作る、ブサイクな紙飛行機のような有様だった。
 海上に落ちて、また一つ火柱が上がる。そしてその明かりに照らされるように、一瞬だが人型の何かが浮かび上がった。

「キャハッ」

 ソレは実に独特なフォルムをしていた。姿形こそ人型ではある。が、人間の枠組みに組み込むには異常と言えた。
 取りつけられた武装。身に纏う鉄塊。合成獣のような異形の出で立ち。
 そしてその身からは隠しきれない悪意と敵意が滲み出ていた。この世の全てを呪うような、果てなき想いが其処にはあった。

 ソレらこそが深海棲艦。
 突如として現れ、瞬く間に世界の制海権を握った脅威。

 ソレらの一振りで船が沈む。
 ソレらの一撃で艦隊が沈む。
 莫大な金額と物資を投じて作られた最新鋭の武装も、ソレらの前では意味を為さない。
 沈め。沈め。みーんな、海底に。
 紙屑のように機体が破壊され、ゴミ屑のように人命が潰される。
 分け隔てなく平等に。
 意味の無いオワリを、全てに。

「キャハハッ」

 怒号も。悲鳴も。怨嗟も。懇願も。
 その全てを飲み込んで響き渡る笑い声。
 これこそを地獄と言わずして何とするか。
 これ以上の地獄がこの世に有ると言えるのか。

「キャハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!」

 故郷に恋人を残している青年がいたのかもしれない。
 部下に慕われる面倒見の良い上官がいたのかもしれない。
 死ぬ事を恐れている臆病な兵士がいたのかもしれない。
 祖国の為に身を捧げた操縦士がいたのかもしれない。
 希望にあふれた新米の軍医がいたのかもしれない。
 あらゆる戦場を経験した老将がいたのかもしれない。
 愛する者を奪われた提督がいたのかもしれない。



 ――――そんなバックグラウンドなど、知った事か。



 人間は敵だ。兵器は敵だ。目の前に立つなら敵だ。邪魔をするなら敵だ。
 穿ち、放ち、裂き、潰し。抉り、弾き、燃やし、沈める。
 平等に送ろう、プレゼント。
 綺麗に咲かせよう、呪いの花。
 さぁこっちにおいで、一緒になろう。



 楽しいパーティーの始まり、始まり。










■ 艦これ×Fate ■










「……」
「……助けに行こうなんて、考えるだけ無駄だよ」
「……分かっているさ」

 遠くの空が赤く染まる。空気を震わす破壊音。また誰かが散った。そして響く笑い声。
 あの場所では、今も戦闘行為が行われているのだろう。勝敗の行方など……考える必要も無かった。
 暫しその場にて足を止めていた木曾だが、望月に促される形で歩みを再開した。闇夜に紛れ、波に移動音をかき消させながら、本国への帰路を行く。計器が全滅した今、頼れるのは出発前に叩きこんだ記憶の中の海図だけである。
 自分たちの戦闘した場所と漂着した場所。ざっくりと計算し、海図に当てはめて、結果を算出。計算方法としては異端だが、彼女たちならばそれは可能である。
 事実二人は、やや迂回しつつも正規の航路を辿る事が出来ていた。本国への経路を掴んでいた。
 心配する事があるとすれば、

「……激戦区突入。いつ捕捉されるかも分からないね」
「見つかった時は全力で撤退だ。出来れば友軍と合流したいが……」
「無理だろうね。皆いっぱいいっぱいだよ」

 既に二人は激戦区内に足を踏み入れている。何時深海棲艦に捕捉され、襲撃を受けるかは分からない。
 そして今の自分たちの装備と状況で補足されれば、取れる手段は逃げの一手のみ。それも、敵の攻撃範囲内に入る前に、だ。
 自らの五感でしか察知する術の無い二人にとって、見つかる事はイコール全滅につながる。

「油田の一つにでも寄りたいけどなー」
「まず無理だな。残存燃料で進むしかない」
「帰る為には一滴も無駄にできない、ってね。詰んだわ」
「軽口を言える余裕があれば大丈夫さ」
「気休めにもならないよ……」

 よよよ、と。やや大袈裟な振る舞いをする望月。だがその最中にも警戒は怠らない。
 四方八方に己の知覚できる限りの意識を飛ばす。波の音。闇夜の光源。敵が潜む場所は幾らでもある。
 ふと。望月の耳が異音を捉えた。

「……木曾さん、ヤバイ」
「方向は?」
「向こうだね。何かが漂っている音だ」

 望月に僅かに遅れるかたちで、木曾も音を察知した。木曾に比べると望月は軽傷。故に、察知も望月の方が一足早い。
 音の発生源は、自分たちが向かおうとしている方向からである。内心で舌打ちをし、二人は顔を見合わせた。
 敵か、あるいはただの漂流物か。
 何れにせよ好ましくは無い。

「迂回するには近すぎるね」
「……望月」
「分かっているよ。あたしが先に行く」

 交わしたのは最低限の意志疎通。問答をする時間すら、今は惜しい。
 息を吸って、吐く。覚悟をきめるのに大がかりな動作は必要ない。体勢を低くし、ダッシュで発生源へと望月は疾った。
 木曾は木曾で、その場に留まる。何も無ければ望月が合図を送り、敵だったならば引きつけている間に突破を図る。今更確認するまでもない両者の役柄。
 眼を眇め、闇夜の暗さの中でも一挙手一投足を見逃さぬように集中する。
 そして、先で手が挙がった。

「……無事、か」

 敵では無い。その事実に一先ずは安堵の息が漏れた。
 望月と同様に、体勢を低くしたまま木曾も疾った。自分たちのように、漂流物を感知して敵が来る可能性はあるからだ。
 ならば、留まっている理由は無い。

「……木曾さん」

 だが出迎えた望月の声は震えていた。
 顔色も、心なしか良くない。

「それは……」

 だがその理由はすぐに分かった。
 望月が何かを指し示している。視線を向かわせれば、黒ずんだナニカが浮かんでいた。
 ■■。
 二人は眼を伏せた。形だけの黙祷。

「……行こう」

 そんなものだ、戦争なんて。
 酷く冷めた心境のまま、二人は歩みを再開する。
 撃って撃たれて。繰り返される引き金の音。
 ちっぽけな存在意義。ゴミ屑のような消失。減らない勢力と増えない成果。
 命は平等?
 ならば本当に意味のある死は、何処に。



 ズシリ、と。
 背負った衛宮士郎の身体が、やけに重く感じた。











 夢を見ている。



 衛宮士郎は校内にいた。夕日差し込む穂群原学園の廊下。今日の夕食は何を作ろうかなんて、呑気なコトを考えながら。

 場面が換わる。

 士郎は掃除をしていた。此処は弓道場。誰もいない場内を、一人で掃除している。
 大方の掃除を終えたところで立ち上がった。その拍子に骨が鳴る。心地よい疲労感があった。

 場面が換わる。

 奇妙な出で立ちの男たちが争っていた。赤い外陰の男と、青い洋装の男。赤の方は双剣を、青の方は真紅の槍を振るっている。
 現代日本では考えられない異常な光景。にも拘らず、その光景から眼を離せなかった。

 場面が換わる。

 士郎は校舎内を走っていた。既に外は闇に沈んだ夜の世界。非常灯が照らす校舎内を、必死に駆けて行く。
 急がなければ。奴が来る。青い死神が。命を刈りに来る。

 場面が換わる。

 心臓を、一突き。

 場面が換わる。

 血だまり。

 場面が換わる。

 赤い宝石。

 場面が換わる。

 場面が換わる。

 場面が換わる。

 場面が換わる。
 場面が換わる。
 場面が換わる。
 場面が換わる。
 場面が換わる。
 場面が換わる。
 場面が換わる。
 場面が換わる。
 場面が換わる。
 場面が換わる――――



『問おう』



 曇りの無い音。
 凛とした響き。
 耳に届いた少女の声。



『貴方が、私のマスターか』



 月明かりに照らしだされたのは一人の少女。
 結われた金色の髪。
 宝石のような翡翠色の瞳。
 きめ細やかな肌。
 凛然とした面持ち。
 息を呑み、眼を奪われ、見惚れてしまうほどに――――現れた少女は、気高く、神々しく、そして美しかった。











 酷く身体が痛む。
 音がやけに遠く聞こえる。
 開いた瞼は暗闇しか映さない。
 ここはどこだ。重い頭を無理矢理に動かし記憶を掘り返す。だが錆びついたかのように、動きが遅かった。

「……っ!」
「……、………!」

 誰かが何かを叫んでいる。内容は全く聞こえない。けれど必死だと言う事は分かった。
 何が起きているのか。痛みを押し込め、頭を上げた。

「ぁ……」

 だが首に力が入らない。重力に引かれるように頭が下を向いた。
 身を起こすどころか頭すら上げる事が出来ない様相。身体に信号を送れど反応は無し。意識以外の全てが自分のモノでは無いように感じる始末だった。
 何が起きているのか。
 錆びついていた頭が、少しずつ動きだす。

「…やく………って!」
「い………き……っ!」

 知っている。この声を知っている。
 望月と木曾。
 島で出会った、不思議な二人。

「……あぁ」



 思い、出した。



「……こ、こは?」
「おにーさん!?」

 慌てたような望月の声。起きているとは思わなかったのだろう。そして認識と同時に、急速に士郎の身体に意識が戻る。
 響く砲撃音。
 耳障りな鳴き声。
 怖気すら感じる金属音。
 争いの音が、聞こえた。

「捉まった、のか?」
「最悪な事に、ねっ!」

 急速な回転。生じるG。全身に痛みが突き刺さる。
 士郎の目の前を何かが波飛沫を上げて通過した。夜よりも黒い何か。それは後方へと通過し、すぐに見えなくなった。

「ごめん、お兄さん! 歯ぁ食いしばって!」

 声と共に、再び身体が振り回される。掴まれた腕が一層の悲鳴を上げた。
 右、左、右、上へ。重力を無視した急激なストップ&ゴー。痛みが気絶する事を許さない。無理矢理に意識が覚醒させられ、霞んでいた意識が明瞭さを取り戻した。

「危ないって!!」

 停止。そしてバックステップ。
 望月の声に士郎の視線も前を向いた。

「アレ……は?」
「深海棲艦。潜水カ級、だね」

 其処には何かがいた。海から一部分だけを海上に出した何かが。
 残存魔力をかき集め、視力を強化する。より明瞭になった視界がソレを捉えた。
 濡れた黒い長髪。
 生気を失った青白い肌。
 そして眼が。青く光っている眼が此方を捉えていた。

「マジかよっ!」

 声と共にGがかかる。真横に望月が跳んだためだった。
 唸り声を上げて、またも何かが士郎たちのいた場所を通過する。何であるかは見当がつかない。が、喰らえばひとたまりもない事は瞭然だ。
 一発、二発、三発、四発。
 安堵する暇も無く襲いかかってくる。

「木曾さんっ!!」
「おうっ!!」

 その間隙を縫って、カ級に何かが襲いかかった。
 木曾。
 想定外の出現に、敵も思わず行動を止めた。

「なっちゃいねぇなぁ!」

 動きを自ら止める等、自殺行為でしかない。
 踵落とし。そしてローキック。
 サッカーボールを扱うが如く、躊躇い無く頭部を蹴り飛ばした。
 跳ね上がる頭。露出する喉。
 狙わないわけが無い。

「急げ、抜けるぞ!」

 もう一発蹴りを入れ、ついでに海面に叩きつける。力無く上がった手を掴むと、逆方向へ極めた。
 一連の動作の合間に望月と士郎はラインを駆け抜ける。振り返ると、木曾が敵の頭部にもう一発かましたところだった。

「……倒せるのか?」
「今の私たちじゃ厳しいね。相応の武装が必要だよ」

 幾ら人型を模しているからと言って、何もかもが人と同じではここまでの脅威とは成りえない。
 深海棲艦。概要こそ不明だが、その名称からも察せる様に存在は艦隊と同義である。素手で相対出来る相手では無い。
 つまるところ、木曾の行為は徒労に終わる可能性が高い。にも拘らずあの場に留まり続けているのは、士郎たちを逃がす為の時間稼ぎだった。
 少しでも敵の目を向け、逃げる為の距離を稼ぐ。
 一発でも喰らえばアウト。
 捨て身同然の殿。

「はぁぁあああああああああああああっ!!!」

 補足時の敵艦隊は三体編成。内、二体は同仕打ちを誘発させて仕留めた。
 残るは相対する一体のみ。
 生き残り、二人と合流する。
 難しい条件では無い。

「はっははっ!」

 照りつくような熱さがうなじを焦がす。
 紙一重で行ったり来たりする恐怖と快楽。
 シナプスが焼き切れそうな程の緊張感。
 打って、避けて、蹴って、避けて。
 くるくると回る立ち位置。入れ替わる攻防。覚悟は最初から決まっている。

「ぶっ飛べっ!!」

 相手の砲撃に合わせるようにして、後ろ飛び回し蹴り。砲撃口がぶれ、あらぬ方向に弾が飛んでいく。
 そしてその隙間に滑りこむと顎をカチ上げた。
 衝撃で、僅かに距離が開く。



 ――――同時に、爆発。



「……は?」

 カ級が沈む。暗い海の底へ。
 黒煙を噴き、断末魔の声を上げながら。
 力無く。墜ちて行く。

「深海棲艦に対して肉弾戦って……馬鹿じゃないの?」

 冷静な第三者の声。望月では無い。ましてや士郎のでも無い。
 呆気ない終わり方に一瞬とはいえ呆けていた三人だったが、反射的に声の方へと向いた。黄土色の髪。木曾たちと同じくボロボロの服。小柄な体躯。そして眼。
 意志の強そうな眼が印象的な少女が其処にはいた。

「全く……まぁいいわ」



「駆逐艦、満潮よ。……どうやらアンタ達も捨て艦みたいね」




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