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No.3934の一覧
[0] 水色の星(灼眼のシャナ再構成)【完結】[水虫](2008/11/09 07:25)
[1] 水色の星 一章『白の狩人』 一話[水虫](2008/10/10 23:34)
[2] 水色の星 一章 二話[水虫](2008/10/10 23:34)
[3] 水色の星 一章 三話[水虫](2008/10/10 23:35)
[4] 水色の星 一章 四話[水虫](2008/10/10 23:36)
[5] 水色の星 一章 五話[水虫](2008/10/11 04:43)
[6] 水色の星 一章 六話[水虫](2011/01/27 20:49)
[7] 水色の星 一章 七話[水虫](2008/10/11 04:44)
[8] 水色の星 一章 八話[水虫](2008/10/11 04:45)
[9] 水色の星 一章 九話[水虫](2008/10/11 04:46)
[10] 水色の星 一章 十話[水虫](2008/10/11 10:59)
[11] 水色の星 一章 十一話[水虫](2008/10/11 11:00)
[12] 水色の星 一章 十二話[水虫](2008/10/11 11:01)
[13] 水色の星 一章 エピローグ[水虫](2008/10/11 11:01)
[14] 水色の星 二章『欲望の揺りかご』 一話[水虫](2008/10/11 11:02)
[15] 水色の星 二章 二話[水虫](2008/10/11 11:03)
[16] 水色の星 二章 三話[水虫](2008/10/11 11:04)
[17] 水色の星 二章 四話[水虫](2008/10/11 11:04)
[18] 水色の星 二章 五話[水虫](2008/10/11 14:41)
[19] 水色の星 二章 六話[水虫](2008/10/11 11:05)
[20] 水色の星 二章 七話[水虫](2008/10/11 14:42)
[21] 水色の星 二章 八話[水虫](2008/10/11 14:43)
[22] 水色の星 二章 九話[水虫](2008/10/11 14:44)
[23] 水色の星 二章 十話[水虫](2008/10/11 14:44)
[24] 水色の星 二章 十一話[水虫](2008/10/11 19:22)
[25] 水色の星 二章 十二話[水虫](2008/10/11 19:23)
[26] 水色の星 二章 エピローグ[水虫](2008/10/11 19:24)
[27] 水色の星 三章『桜舞う妖狐』 一話[水虫](2008/10/11 19:35)
[28] 水色の星 三章 二話[水虫](2008/10/11 19:36)
[29] 水色の星 三章 三話[水虫](2008/10/11 19:37)
[30] 水色の星 三章 四話[水虫](2008/10/11 19:38)
[31] 水色の星 三章 五話[水虫](2008/10/11 19:39)
[32] 水色の星 三章 六話[水虫](2008/10/11 19:40)
[33] 水色の星 三章 七話[水虫](2008/10/11 19:41)
[34] 水色の星 三章 八話[水虫](2008/10/11 19:42)
[35] 水色の星 三章 九話[水虫](2008/10/11 19:43)
[36] 水色の星 三章 十話[水虫](2008/10/11 19:44)
[37] 水色の星 三章 十一話[水虫](2008/10/11 19:45)
[38] 水色の星 三章 十二話[水虫](2008/10/11 19:46)
[39] 水色の星 三章 エピローグ[水虫](2008/10/11 19:47)
[40] 水色の星 四章『群青の狂狼』 一話[水虫](2008/10/11 19:48)
[41] 水色の星 四章 二話[水虫](2008/10/11 19:49)
[42] 水色の星 四章 三話[水虫](2008/10/11 19:51)
[43] 水色の星 四章 四話[水虫](2008/10/11 19:52)
[44] 水色の星 四章 五話[水虫](2008/10/11 19:53)
[45] 水色の星 四章 六話[水虫](2008/10/10 18:27)
[46] 水色の星 四章 七話[水虫](2008/10/11 14:27)
[47] 水色の星 四章 八話[水虫](2008/10/12 15:28)
[48] 水色の星 四章 九話[水虫](2008/10/15 00:57)
[49] 水色の星 四章 十話[水虫](2008/10/16 06:16)
[50] 水色の星 四章 十一話[水虫](2008/10/17 01:30)
[51] 水色の星 四章 十二話[水虫](2008/10/18 03:31)
[52] 水色の星 四章 十三話[水虫](2008/10/19 07:11)
[53] 水色の星 四章 十四話[水虫](2008/10/20 22:56)
[54] 水色の星 四章 十五話[水虫](2008/10/21 22:11)
[55] 水色の星 四章 エピローグ[水虫](2008/10/22 22:06)
[56] 水色の星 五章『名も無き紅蓮』 一話[水虫](2008/10/24 20:49)
[57] 水色の星 五章 二話[水虫](2008/10/26 00:51)
[58] 水色の星 五章 三話[水虫](2008/10/27 22:23)
[59] 水色の星 五章 四話[水虫](2008/10/28 22:37)
[60] 水色の星 五章 五話[水虫](2008/10/30 00:11)
[61] 水色の星 五章 六話[水虫](2008/10/31 04:23)
[62] 水色の星 五章 七話[水虫](2008/11/02 03:10)
[63] 水色の星 五章 八話[水虫](2008/11/02 22:13)
[64] 水色の星 五章 九話[水虫](2008/11/03 20:55)
[65] 水色の星 五章 十話[水虫](2008/11/04 22:40)
[66] 水色の星 五章 十一話[水虫](2008/11/05 15:31)
[67] 水色の星 五章 十二話[水虫](2008/11/06 22:00)
[68] 水色の星 五章 十三話[水虫](2008/11/07 22:10)
[69] 水色の星 五章 十四話[水虫](2008/11/09 04:11)
[70] 水色の星 最終回『シャナ』[水虫](2008/11/11 06:28)
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[3934] 水色の星 四章 十五話
Name: 水虫◆70917372 ID:036a65b4 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/10/21 22:11
「っおおおおおお!!」
 
 溢れる銀炎が、大蛇となって今まで圧されてきた極大の炎弾にぶつかる。
 
 少しずつ、いや、もっと急速に炎弾を押し返していく。
 
 そして、ついに炎弾が砕け、群青の炎を撒き散らす。
 
 溢れる群青の炎の海から、銀の蛇が躍り出る。
 
 そして、
 
 群青の獣に喰らいついた。
 
「がああああああっ!」
 
 銀蛇はその牙を、群青の獣に食い込ませ、そのまま"獲物"を振り回す。
 
 そのまま、牙に獲物を捕らえたまま、眼下のアトリウム・アーチに神速で突っ込んだ。
 
 
 
 
(はてさて、元に戻ったはいいけど‥‥)
 
 所は依田デパート、そこに立つのは体も中身も平井ゆかり。
 
(ヘカテーはさっさと飛んで行っちゃうし‥‥)
 
 その手には、今まで自分達の意志総体を入れ替えていた黒い筒。
 
(まあ、もし戦いだったら役に立てるわけないんだけどね)
 
 蚊帳の外というのも気に入らない。
 
 手元には、存在の力の込められた、他の力の干渉を阻害する白い羽根。
 
 そして、宝具・『玻璃壇』。 
 
「『出ろ!』」
 
 一枚の羽根を、『玻璃壇』に変じさせる。
 
 とにもかくにも、まずは知る事ができる範囲の情報全てを集める事にする平井。
 
 閉鎖された建物の中だという油断が招いたのか、平井ゆかりは気付かなかった。
 
 その階層にやってきた、二人の少年に。
 
 
 
 
『はじめから、大切なものなど何もなかった』
 
 銀炎の牙が、炎の衣を突き破り、自身の体に食い込む。
 
『全てを奪われて生きていた』
 
 傷口が、体が、文字通り、灼ける。
 
『だから、私も全てを壊そうと思った』
 
 その蛇の顎の、体の無茶苦茶な力に抗えず、蛇と、それに食らいつかれたマージョリーはアトリウム・アーチを破壊しながら、直下の大地に迫る。
 
『壊して、殺して、奪って、嘲笑って‥‥』
 
 全力でぶつけた憎悪、薄れゆく意識を、『それ』がつなぎ止める。
 
『それを‥‥それも‥‥それさえも"奴"が奪った』
 
 他でもない、目の前の銀の炎が、
 
『私に見せつけるように、』
 
 まだだ、まだ終われない。
 
『私には‥‥もう、壊すものさえ残っていない』
 
 まだ、空っぽのままだ。
 
『せめて‥‥あいつだけでも‥‥"これ"だけでも‥‥』
 
『ッ、ブチ壊させてよおおお!!』
 
「オオオオオオオ!!」
 
 
 
 
「な、んだ?」
 
 狂気のフレイムヘイズに喰らいつかせていた銀炎の大蛇、それが急に‥‥砕かれた?
 
「オオオオオオオ!!」
 
 獣の慟哭、それから一拍おいて、
 
「なっ!?」
 
 アトリウム・アーチ全体から、溢れ出さんばかりの異常な程、膨大な群青の炎が湧き出る。
 
 これじゃあ‥‥
 
「師匠!カルメルさん!」
 
「何でありますか?」
 
「静粛要求」
 
 叫ぶ悠二の背後から、無愛想な声二つ。
 
 それに振り返れば、リボンに老紳士を絡める仮面の討ち手。
 
「あ‥‥無事だっ‥‥」
 
「ひとまず離れるのであります。"あれ"では余波だけでも危険」
 
「"あれ"?」
 
 その言葉に前に向き直れば、そこに‥‥
 
「何だ‥‥あれ‥‥」
 
 アトリウム・アーチの破壊された屋上から、窮屈そうに上半身を出す、群青色の巨大な獣。
 
 炎の狼。
 
 
「グゥオオオオオ!!」
 
 
 その狼が、天に向け咆哮する。
 
 炎が猛り、かなり大規模なアトリウム・アーチの全体が崩れ落ちる。
 
「"蹂躙の爪牙"マルコシアスの顕現であります」
 
「本性現出」
 
 顕現、って事は‥‥
 
「契約者が‥‥実体化したって事か?」
 
「いや、契約者が顕現すればフレイムヘイズの器は砕ける。『弔詞の詠み手』の全力の暴走で、一時的に炎が本性の姿をとっているだけだろう」
 
 悠二の疑問に、ラミーが応える。
 
「要するに、さっきの着ぐるみの‥‥」
 
「最大形態」
 
 ティアマトーが引き継いで、ようやく現状を理解する悠二。
 
「坂井悠二、拾っておいたぞ」
 
 言って、ラミーが手渡すのは先ほど失くした『アズュール』。
 
「さて、どうするつもりでありますか?これほど大規模な顕現、おそらく封絶の外にも影響が出ているはず」
 
「被害甚大」
 
 ヴィルヘルミナの言いたい事はわかる。
 
 今や、悠二もヴィルヘルミナもボロボロだ。
 
 今の二人だけであの暴走を止める事は出来ないであろう事から、「どうするのか?」などと訊いているのである。
 
 しかし、悠二には打開策、というより文字通りの、希望の星が見えている。
 
「"三人"なら、止められるよ」
 
 それは、水色の流星。
 
 
 
 
 OH、ピンチ。
 
 『玻璃壇』の箱庭に立つ平井ゆかり。
 
 そして、
 
「平井‥‥ちゃん?」
 
「今の‥‥どうやったんだ?」
 
 平井の友人であり、たった今、平井の行った不思議を見てしまった、佐藤啓作と田中栄太。
 
「あっ、はは‥‥あれだよ。マジック?」
 
「いや、俺達に訊かれても‥‥」
 
 平井と田中が、間抜けなやり取りをするうちに、佐藤が核心を突く。
 
「平井ちゃんが‥‥マージョリーさんが言ってた気配‥‥なのか?」
 
 今見たものは、彼らの親分が彼らに見せた不思議と似通った部分が多い。
 
 そこから、即座にその回答に結びつける。
 
 そしてこれに、平井も反応する。
 
「‥‥マージョリー‥‥さん?‥‥気配?」
 
 それは、つい昨日聞いたフレイムヘイズの名前。
 
 そして、日常であまり使わないであろう、気配という単語。
 
 今の言動、そして自身の経験から、平井も即座に一つの回答を出す。
 
「"弔詞の詠み手"の‥‥案内人?」
 
 二人の少年と一人の少女は、互いに導きだした回答を、自身信じられぬまま口にする。
 
 それは‥‥ほどなく現実として認識される。
 
 
 
 
「大丈夫、前に比べたら大した事ないから‥‥」
 
 ヘカテーは、到着し、悠二の肩から血を流し、所々焼かれた姿を目にしてから、一言も喋らずに悠二の胸に顔を埋めて、ピクリとも動かない。
 
「心配をかけるものではないのであります」
 
「二回目」
 
 前回の原因がいけしゃあしゃあと言う。
 
 というか、今回も爆撃されたのだが、そこのところどうなんだろうか。
 
「とりあえず、これ以上時間をかけるわけにもいくまい。
 あの調子では人を喰らう恐れすらある」
 
 そう、今、群青の狂狼はただがむしゃらに殺意と破壊を振りまいている。
 
 今、銀の炎が出ていない事で標的を認識できないのだろう。
 
 それほどの錯乱状態にある。
 
 確かに、これ以上放っておくわけにもいかない。
 
「ヘカテー、もういい?」
 
 胸元の少女の肩に手を掛け、顔が見える程度に離す。
 
 コクッ。
 
 頷くヘカテー。
 
 今回は泣いてはいないようだ。目が少し赤いが。
 
 何か埋め合わせした方がいいかもしれない。
 
「よしっ、じゃあ三人で、何とかしよう」
 
 今の自分は、さっきまでの興奮状態にはない。
 
 だが、気持ちはしっかりと残っている。
 
 守りたい。
 
 受けとめたい。
 
 そのための力が欲しい。
 
 
 胸に残った強い気持ちを抱いて、狼の方へ向きあう。
 
 
「『火除け』で突っ込む」
 
 狼の炎で焼ける建物を見て、悠二が作戦を決め、伝える。
 
 どうやら、通常の『トーガ』とやらとも少々異なるらしい。
 
 さっきまでの『トーガ』は物質としての炎だった。
 
 それを聞いて頷くヴィルヘルミナ。
 
 そして、
 
「私‥‥が‥」
 
 自分が代わりにやると言いたいヘカテー。
 
 その頭をポンと悠二が撫でて、説明する。
 
「ヘカテーには、『星(アステル)』であの狼の動きを止めて欲しいんだ。いい?」
 
 ヘカテーは、その、撫でられるという行為と、今の悠二の纏う常にない頼れる雰囲気に、顔を赤くし、つい頷いてしまう。
 
 そして、ヘカテーの思考がまとまる前に、ヴィルヘルミナが動く。
 
 万条をビルとビルの間に張り巡らせ、全力でビンと伸ばし、パチンコの要領で巨大なカタパルトを作りだす。
 
「行くのであります」
 
「投射体制」
 
 そう言う間にも、悠二の体に『防御』の自在式を込めたリボンを巻き付ける。
 
 そして、カタパルトに飛ぶ悠二。
 
「っ!〜〜〜!」
 
 もう、この状態で交代などとは言えない。
 
 全力の援護で少年を守るしかない。
 
「はあっ!」
 
 大杖『トライゴン』を一閃させ、飛ぶ悠二の背中に、一陣の突風を向け、さらに加速させる。
 
 ギリギリギリギリッ!
 
 突風の加速により猛スピードでリボンの壁に着地した悠二が、
 
 バンッ!
 
 反動でさらなる加速で炎の狼に突っ込む。
 
 その、銀炎を発した少年を視界に認めた狼が、今までの狂態とはうってかわって、冷徹な殺意で見据える。
 
「バォオオオオッ!」
 
 無数の瓦礫が、群青の炎を噴射させて悠二に向かってくる。
 
 しかし、
 
「『星(アステル)』よ!」
 
 その瓦礫の弾丸は、悠二の周りを守護するように飛ぶ無数の光弾に砕かれる。
 
 ズバッ!!
 
 『アズュール』の結界を纏った悠二が、炎の狼の中に潜り込む。
 
 
 悠二がその炎の中で見たのは、大きな本を抱き、一糸纏わぬ姿で眠るマージョリー・ドー。
 
 溢れる炎の中、何故かその瞳から涙が流れていたように見えたのは、ただの錯覚だったのか‥‥実際の所は、悠二にも、マージョリー本人にもわからない。
 
 
 この熾烈を極めた戦いの幕を引く。
 
 
 眠るフレイムヘイズに、
 
 悠二はただ、
 
 右の拳を振り抜いた。
 
 
 
 
(あとがき)
 長かった四章も次のエピローグで終わりです。
 五章、構想が不十分なので少し時間喰うかもです。


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