<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

その他SS投稿掲示板


[広告]


No.3855の一覧
[0] 銀凡伝2[あ](2009/09/20 20:08)
[1] 銀凡伝2(気絶篇)[あ](2010/02/17 20:56)
[2] 銀凡伝2(追跡篇)[あ](2010/02/17 22:02)
[3] 銀凡伝2(引退篇)[あ](2010/02/17 22:53)
[4] 銀凡伝2(邪気篇)[あ](2010/02/20 17:43)
[5] 銀凡伝2(友情篇)[あ](2010/02/20 18:27)
[6] 銀凡伝2(招待篇)[あ](2008/09/13 23:03)
[7] 銀凡伝2(先輩篇)[あ](2008/09/28 01:31)
[8] 銀凡伝2(孤独篇)[あ](2008/09/30 23:03)
[9] 銀凡伝2(両雄篇)[あ](2008/10/04 17:19)
[10] 銀凡伝2(天空篇)[あ](2011/01/01 18:18)
[11] 銀凡伝2(選挙篇)[あ](2008/10/19 17:32)
[12] 銀凡伝2(逆転篇)[あ](2010/05/03 20:41)
[13] 銀凡伝2(乖離篇)[あ](2008/11/22 18:42)
[14] 銀凡伝2(地獄篇)[あ](2008/12/28 20:29)
[15] 銀凡伝2(逆襲篇)[あ](2008/12/30 23:53)
[16] 銀凡伝2(逃走篇)[あ](2009/01/02 22:08)
[17] 銀凡伝2(抱擁篇)[あ](2009/01/03 17:24)
[18] 銀凡伝2(手紙篇)[あ](2009/01/03 17:25)
[19] 銀凡伝2(日記篇)[あ](2009/01/03 22:28)
[20] 銀凡伝2(新年篇)[あ](2009/01/11 16:43)
[21] 銀凡伝2(辞職篇)[あ](2009/01/12 21:16)
[22] 銀凡伝2(交換篇)[あ](2009/01/17 23:54)
[23] 銀凡伝2(推理篇)[あ](2009/01/18 21:27)
[24] 銀凡伝2(暗殺篇)[あ](2009/01/25 19:14)
[25] 銀凡伝2(開幕篇)[あ](2009/01/29 23:07)
[26] 銀凡伝2(起動篇)[あ](2009/09/21 17:51)
[27] 銀凡伝2(無頼篇)[あ](2009/11/15 11:52)
[28] 銀凡伝2(辺境篇)[あ](2010/02/28 18:03)
[29] 銀凡伝2(出撃篇)[あ](2010/04/03 20:59)
[30] 銀凡伝2(悔恨篇)[あ](2010/04/18 19:30)
[31] 銀凡伝2(帝王篇)[あ](2010/05/01 20:16)
[32] 銀凡伝2(原始篇)[あ](2010/05/30 19:38)
[33] 銀凡伝2(凋落篇)[あ](2011/02/21 20:49)
[34] 銀凡伝2(烈将篇)[あ](2011/05/04 17:45)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[3855] 銀凡伝2(引退篇)
Name: あ◆2cc3b8c7 ID:93292518 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/17 22:53
平凡な人生に見えてもそこには様々なドラマがある。
長き歩みを必死にあるき終えた男の背は輝いていてみえた。

その去る姿を見て、残された者は更に歩みを進める決意をしていくことになる・・・



■連戦連戦連■


宇宙暦794年、この年同盟軍は何度か帝国軍と衝突し、
その度にヘインは様々な艦隊で参謀として分室勤務からかり出された。

ヴァンフリート星域会戦では、ボロディン中将の下で参謀の一員として前線に立つが、
特に目立った功績を立てることもなく、失敗を犯すこともなかったが、
ハイネセン帰還後の5月20日に、留め置かれていた大佐への昇進を果たす。


そして、続く第6次イゼルローン作戦が実行されると、
ヘインは頼んでもいないのにイゼルローンの英雄再びと言ううたい文句で、参戦させられることになる。

総司令官のロボス元帥に率いられた同盟軍の36900隻は、
やる気の無いヘインを加えて、再び難攻不落の要塞に無謀な戦を挑む。


■■


今回こそ総司令部の作戦参謀に相応しい安全地帯で戦闘をやり過ごすぜ!
絶対勝てないイゼルローン攻略作戦に誰が本気になるかってんだ!


『我等が同期の誇りブジン大佐殿は、いつもと変わらず弱気でありますな?』
『こらこらアッテンボロー、あんまりヘインをからかうんじゃない』

先輩、アッテンボロー!お互いたまらん作戦に参加するはめになりましたね。
俺としてはさっさと分室にもどって、中尉と仲良く昼ねをしたいんですが、


『そりゃいい、あそこで読書しながら息を抜くのは最高だからね』





駆逐艦エルム3号艦長であるアッテンボローと違って、
数多くいる参謀の一人であるに過ぎないヤンとヘインはお気楽な立場であった。
なにせ、何事も無ければ一番安全な総司令部に居られる身分だからだ。

その上、参謀長のグリーンヒル大将やロボスお気に入りのフォーク中佐と違って、
ぽっと出の若造大佐にはほとんど出番など与えられないのだから・・・



■第6次イゼルローン攻略戦α■


同盟軍は新進気鋭の俊英ホーランド中将が提案した要塞攻略作戦を採用する。
その内容は、先のシトレ元帥考案の作戦をべースにしたもので、
要塞主砲の射程ぎりぎりのラインに艦隊主力を囮として置きつつ、
敵艦隊をそのラインに誘い出している間に、回廊危険宙域ギリギリを迂回した
本命の別働隊によって要塞を直接攻撃するという作戦であった。

この作戦は、作戦参謀でない分艦隊司令官の提案であったため、
それほど司令部首脳には積極的に受け止められていなかったが、
ロボス秘蔵のフォーク中佐が似たような案を出したため、採用されることが決定された。



■士官学校カルテット■


『どうやら、ホーランド少将の作戦案が採用されたみたいですね』
『そうらしいなアッテンボロー、だが、その作戦の採用を決定付けたのは
 ロボス元帥お気に入りのフォーク中佐が似たような案を出したかららしい』

『へぇ~、あの一個下で主席だった奴がですか、陰気なやつだったが
 そうか、早くも中佐殿か・・ヘインお前もうかうかしていると抜かれるぞ』

うるせー、別に抜かれたってかまわねぇーよ・・・と言いたい所だが、
あいつの机に山ほどエロ本ぶち込んだのバレてないような?
陰湿な仕返しとかされたらヤバイな・・・


そうだ!いいことおもいついた!アッテンボローのした事にしよう!
『ちょっとまて!俺はあくまでも従犯で主犯はお前だろヘイン!』


『もうよさないか!まったく、お前さんら二人ともろくでもない学生だったようだな』

「いやいや、キャゼルヌ先輩!俺はほとんど無実です
アッテンボローに無理やり引き込まれただけですよ!」

『へっ、良く言うぜ!発禁図書の保有数・販売数ともにNO1の大悪党が』


『分かった分かった、お前さんたちの仲が良いことは充分過ぎる位にな
 所で二人とも自分の仕事はどうなっているんだ?油を売っていていいのか?』


「いや、作戦参謀って言っても俺はどうやらシトレ派認定されちゃったみたいで
 作戦参謀本部でヤン先輩となかよく冷や飯ぐらいもとい、お昼寝三昧ですよ♪」

『俺も、うちの艦の乗組員は勤勉でして、お飾りの艦長は暇なんですよ
 そこで、やはり暇そうな先輩の顔を見にコイツと一緒によった訳です』


『俺は暇なんかじゃないぞ。ヘインも知っているだろうがセレブレッゼ中将が
 行方不明になったせいで補給関係の仕事が一切合財回ってきたんだがらな』


「いやいや、先輩分かってますよ!俺等が三食食いっぱぐれることなく
 過ごせるのはキャゼルヌ大先輩様のお陰だって事はちゃんと分かってますよ」

『俺も俺も、ありがたくも食事にありつけるのはキャゼルヌ准将のお陰と
 毎度、三度の食事の前には感謝の気持ちを込めて手を合わさせております』

『やめてくれ、お前等二人そろって気持ち悪くなるような事を言うな』


■■


『俺が言っている暇そうな先輩はそちらに座っている
 ヘインと同じ非常勤参謀殿のほうなんですがね・・・』

『だ、そうだ。ヤン、それでどう思うD線上のワルツ作戦は?』
 
「ヤン先輩ネーミングセンスの方じゃないですよ」

『ヘイン先読みするなよ。まぁ、いい・・・悪くない、と思いますよ
 それより君は今回の作戦をどう思っているんだい?聞かせてくれないか』


えっ、俺の???なんかお三方とも凄く値踏みしてるような目で見てるが、
とりあえず、ぼかし目に正解っぽいのを原作からパクって言っておくかな?





急に話を振られたヘインはヤンの考えとほぼ同じよう答えを原作から抜き出して、
いらぬ評価を三者から期せずして得る事になる。

その上、そのまま戦略談議に移ってど壷に嵌りそうに為るが、
アッテンボローが艦に戻るために中座する事になり、
それに乗じてヘインも雲行きが少し怪しくなった席を離れる事に成功する。


後のヤンによるイゼルローン要塞攻略メンバーの構想に、
ヘインが加えられたのはこの時の会話が少なからず影響したかもしれない。
もっとも、その作戦が実行されるのは、もう少しばかり先の話ではあるが・・・



■ワルツの前に・・・■


宇宙暦794年10月から11月にかけて
イゼルローン回廊同盟側入り口において、同盟、帝国軍の双方が制宙権を手に入れるため、
小規模な陣取り合戦を繰り返していた。

これはあくまで前哨戦ではあったが、少しでも戦略・戦術の優位を得るため
双方の首脳部は並々ならぬ労力を無駄に割いていた。


ただ、そんな物質的・人的資源を無駄にする戦いの中でも輝くモノはいるもので、
その中で、一際多くの武勲を立てることになったのが、
少将に階位を進めたラインハルト・フォン・ミューゼル本人と彼に率いられた艦隊であった。

もっとも、その武勲に対する評価は帝国より、
敵対する同盟において正統な評価を下されることになったのは、皮肉な結果であると言う他は無い。


なかでもワーツ少将、キャボット少将率いる艦隊を立て続けに壊滅せしめたことは、
同盟軍首脳陣に看過できぬ事態と認識させることになり、

帝国の小癪な小艦隊への対策を立てるようにロボス元帥は総参謀長グリーンヒル大将に命令を下す。



■初めての共同作業■


『緒戦から現在に至るまで、わが軍に対して少なからぬ被害を与え続ける
 小艦隊が帝国軍に存在していることを諸君等も耳にしていると思う
 今回、総司令部としてその艦隊への対策を立てることが決定された
 必要な資料等を渡すので、近日中に二人で対策を協議し報告して欲しい』

『はぁ、了解しました』「了解しました」





さて、了解とかいったけど正直面倒でやるきなしだぜ。
まぁ、ヤン先輩に全部任せとけばオールOKだ!


『ヘイン、君も少しは考えるフリぐらいしてくれないか?』


「あ、すんませんねぇ~でも、ヤン先輩にはもう考えがあるんでしょう?
 だったら俺が今更なんか考えてもしょうがないし、労力の無駄ですよ」


『なんだか、私に腹を立てる人たちの気持ちが凄く分かった気がしてきたよ
 ヘイン、私の考えている現在の作戦をあてることが出来たら怠ける事を認めよう』


流石先輩!そうこなくっちゃ!!カンニングの達人ヘインは楽々解等だぜ。


■■


ふぅ、わが後輩ながら怖ろしい男だよ・・・
まるで鏡を見ているように私の考えを言い当てて見せるとは、

あのアッテンボローが、一目も二目も置くのも頷けるという物だ。


ここで鼻水を垂らして寝ている姿に騙されている他の同僚達は、
近い将来にその認識を大きく変える事になるだろう。

もしかしたら、私はリン・パオ、ユースフ・トパロウルや、
ブルース・アッシュビーに続く英雄の卵を後輩に持ったのかもしれない。





横で暢気に眠りこける後輩への評価を盛大に誤ったヤンであったが、
帝国の『小癪な艦隊』への対応策は丸一日で完璧に仕上げていた。

翌日、ヤンとヘインはグリーンヒル大将に作戦案を提出し、
その作戦案は採用が決定されるが、総司令官に提出する際、
作戦の発案者をグリンーヒル大将にしてほしいとヤンは総参謀長に述べ、自らの功を捨てるような発言で大将を困惑させる。

グリーンヒル大将はヤンとヘインの名を作戦の立案者として扱うのが、信賞必罰に則った軍としての筋ではないか?と問うも、
ヤンは自分より総参謀長の名前で出したほうが作戦を効果的に遂行できると主張し、
ヘインも自分は横で寝てただけで何もしていないから問題ないと主張したので、

結局、司令部総参謀長発案の作戦として実行されることとなる。

もっとも、ヤンの『兵力の出し惜しみをしないで』という部分だけ、残念ながら守られなったため、
彼らの立てた作戦はラインハルトを苦戦させるだけで仕留めるには至らなかった。

ヘインの方は数少ないラインハルトを打倒する機会だと途中で思い出したため、
作戦中、『撃って!!!撃って撃ちまくれぇええ!!』等々、
突然狂ったように怒号をあげはじめて『居眠りヘイン覚醒す!?』と
一部の諸将に誤解を与えた程度で、歴史を大きく違える道に動かすことは無かった。



■ワルツの終わりに■


結論から言えば、同盟軍の作戦は半ばまで成功していた。
危険宙域を乗越え要塞主砲と帝国軍艦隊の死角を突いたホーランド中将のミサイル砲艦部隊によって、
要塞の一壁を引き剥がす事には成功する。
だが、その意図を正確に読んでいたラインハルトによって粉砕されたのである。


最初、功に逸り出戦していた僚友を尻目に、要塞に篭っていたラインハルトと傘下の艦隊は
ホーランドの攻撃が始まるや否やというタイミングで出陣し、伏兵としてその側面をしたたかに叩き突破したのだ。

だが、その後の展開はすべてラインハルトの思い通りと言う訳には行かなかった。
ホーランドを突破して同盟主力に横撃を加えるに止まらず、
要塞主砲の射線を巧みに利用して戦線を限定し、同盟軍に異常に縦長な紡錘陣を強いて
自身の15倍の敵と互角異常の戦いをする事に成功するも、

ラインハルト一人に武勲を独占されてなるものかと、他の帝国軍将兵が敵の縦長に伸びた紡錘陣を分断せんと、雪崩をうって前進したため、
帝国軍は要塞主砲によって同盟軍を撃滅するという当初の作戦構想を自ら捨去ることになってしまったのだ。

また、同盟軍の方もお粗末なモノで、伏兵によるミサイル攻撃による要塞奇襲作戦が頓挫した時点で撤兵するべきであったのに、
殺到する帝国軍に予備兵力を叩きつけ、本隊の分断を防ぎつつ、
要塞主砲が封じられた状態での乱戦に活路を見出そうとしていた。


こうして、当初の構想を捨てた両軍首脳部の迷走によって、戦線は無秩序な混戦状態に陥ってしまう。


この一連の動きの中、ヤンは全予備兵力の投入をグリーンヒル大将に進言し、
ヘインは「頃合を見て逃げましょうよ」と甚だ不謹慎な進言をするのみで、

戦局を大きく決定付けるほどの行動を示すことは出来なかった。
新進気鋭とはいえ、二人はまだまだ『ただの大佐』に過ぎず、
作戦全体の成否を握る決定を下せる地位に、二人はまだ立つことが出来ていない。


二人が有効な手段を取り得ないまま過ごすうちに、戦闘は確実に終末へと向かっていく。


■■


『補給物資が無いだと!ああ、費えばそりゃなくなるだろうさ!
 ヘインだって分かることだ!それで、おれにどうしろっていうんだ?』


うひゃ~先輩荒れてるねぇ。でもそこの引用に俺の名前出すのは酷くない?


『なにが酷いだ!人が忙しい中、横で永延と昼寝なんかされた日には
 俺だって嫌味の一つでも言いたくなるさ。それでどうだい
 作戦参謀殿、俺たちを帝国軍殿は気前良く勝たせくれそうなのか?』


いや、無理だと思いますよ?できるならとっと逃げ出したい位ですから。

『私も同意見ですよ。敵に一人気の利いた指揮官がいたら
 みんな仲良く揃って、あの世で再会するしかありませんね』





深刻な状況にも関わらず、それについて話す三人は全く深刻そうではなかった。
一人は年長者らしく達観し、もう一人は歴史の傍観者のようであり、
最後の一人は、自分の死ぬ危険性が低い事を知っていたため平然としていた。


だが、彼等と違い最前線で殺し合いをする陸戦隊や空戦隊の面々は、
血生臭い戦いの日々暢気に過ごすわけには行かなかった。

彼等の傍には常に死と武勲が纏わりついているのだから・・・



■混戦は混迷を極める■


激しい砲火を帝国軍と交えながら、同盟軍は何とか混戦状態から抜け出して回廊の外縁部に艦隊を再集結させ、
帝国軍に対する迎撃態勢を整えることに成功する。

この作戦の成功はヤンの提案によるものであったが、
これはヤンとヘインに対し、好意的なグリンーヒル大将が作戦を採用したからである。
総司令官のロボス元帥が直接その提案を聞いていたら、その場で却下されていただろう。


こうして、配置の幸運にも助けられて整えられた迎撃態勢から、
再攻勢に移った同盟軍は、帝国軍を要塞主砲の前方に押し込む事に成功する。

また、その攻勢の中でもホーランド率いる小艦隊の戦果は目覚しく、
彼の戦術的才幹が非凡な物であると周囲の提督陣に印象付けていく。


一方、その攻勢によって大いに損害を被った帝国軍であったが、
効果的な防御迎撃に成功するものもいた。後に帝国の双璧と呼ばれる二人の准将や
黒猪に元撃墜王などの若手指揮官達である。


■リアル追いかけっこ■


「同盟軍の奴等とて、未来永劫この宙域で戦っている訳にはいかんのだ
 一軍を持って敵の退路を絶つか、そう見せかけるだけで充分であるのに
 なぜ、総司令部はそう動かぬのか、総司令部には無能者しかいないのか!」


なんら有効な対策を出すことが出来ず、多勢の同盟軍に押され続ける
自軍のだらしない有様に憤懣やるかたないラインハルとは上層部に自案を上申した。


その上申書を見たミュッケンペルガー元帥は、小賢しい奴だと激怒するも、
その提案の妥当性を認めない訳にもいかず、
自分でやるなら実行を許可すると、半ばなげやりかつ失敗するならしろといった悪意のある返答を返した。


こうして、ラインハルトと同盟軍との壮大な追いかけっこが始まる。
逃げ遅れた者や捕まった者に与えられるのが死という無情な鬼ごっこが・・




■■


良く考えたら、いまの状況ってちょっとやばいかも?
要塞主砲だったら後方の総旗艦とか関係なく消し飛ばされちゃうもんな。

ヤン先輩の案だけじゃ、ロボスの髭爺は中々首を横に振らないからな。
俺も一緒に原作案を丸パクリの撤退案をグリンーヒルに出しておこう。

ラインハルトが後方に回る前にはやく出さないとマズイ。
ヤン先輩にも一応声かけてグリーンヒルの旦那とこに一緒にいくかな?

そっちの方が効果的だよな。総参謀長はク-デタ-起こしちゃうけど、
先輩のことを珍しく買っている原作キャラだった筈だし、

しかし、使えるものはなんでも使う!使わんのは勿体無い!って、
なんかこっちの世界に来て俺って貧乏性になちゃったのかな?





結局、ヤンとヘインの撤退案はラインハルトの後方遮断霍乱作戦の実行前に採用されることは無かったが、
ラインハルトの策を予見したことで、両者の先見性について一定の評価が加えられると共に、
ロボスが計算する打算の方程式の解を、撤退に導くxの値を書き込む事には成功する。


もっとも、原作通りに事態は推移する事になり、
囮のラインハルトに同盟軍はまんまとかかり、我先にと追撃したため帝国本隊との距離を空けすぎてしまう。
そして、要塞主砲の餌食になって、全面壊走一歩手前の状態で撤退していくことになる。

それまでの間、ヤンとヘインは彼等らしからぬ熱意を持って、
小規模の囮部隊の追撃に固執するのでなく、帝国本隊を引連れつつ
要塞主砲射程外に離脱するべきと再三ロボスに上申していたのだが無駄に終わっている。


もっとも、熱意の根源は両者によって多きく異なっていたが、
一方は少しでも戦死者を減らしたいという思いで、
もう一方は、もしかしたら要塞主砲が原作と違ってあたるかもという
恐怖をもとにした保身第一からでた熱意であった。

結局、採用されなかったという点では、どちらも同じであったが・・・


■■


やれやれ、とりあえず生きてまた無駄飯ぐらいの生活に戻れるぜ!


『二人ともコーヒを飲まんのか?冷めてしまうだろう』

先輩ゴチです!

『ヘイン、私の分もあげるよ。ユリアンがおいしいお茶を煎れてくれるので
 軍隊のコーヒーがますます不味く感じられて、こまりますよ・・・』


うらやましいですね~ユリアン君はいい子だし、家事まで完璧!
ヤン先輩にははっきりいって勿体無いくらいですよ!


『お前もなかなか言うね。まぁ、否定はしないが・・』
『おいおい、否定しないじゃなくて、否定できないだろヤン?』

『そうですね』

あれ、何か元気ないですね?やっぱもう少し地位と権限があれば
戦死者が減らせたのにとかうじうじ悩んでるんですか?
しょうがないですよ。人間出来ないことは諦めて出来ることをやりゃいんですよ

さしあたり無事の帰還を祝って酒盛りといきましょう!
アッテンボローの奴が結構酒を隠し持って来てるみたいですから行きましょう


『なんだ、偶にはヘインも良い事を言うじゃないか、ヤン、済んだことは
 どうしようもないんだ。だったら生きのこった者の責任として、次に
 どうしていくかの方が重要だろう?お前さんだってそれは分かってるはずだ』

『そうですね・・すみません私の悪い癖が出たようです。それでは人類の友と
 一緒に待っていてくれる、かわいい後輩のところへ向かうとしましょうか』


そうそう、酒は人生の友!大いに飲んで愉しんでやりましょう!




6度目のイゼルローン攻略作戦はその目的を達成することなく終わりを迎えた。
同盟軍は帝国に倍する被害を被ったものの、要塞主砲の発射までは互角以上に戦ったことで、
戦術的な自尊心を多少なりとも満足させることには成功していた。

だが、その結果は所詮ただの慰めに過ぎぬもので、戦略上の変化を何らもたらす事は無かった。


■定年退職■

宇宙暦795年2月26日
宇宙艦隊司令部参謀本部第三作戦室第8分室長の唯一の部下である
分室次長の老中尉は70才の高齢を理由に退官することとなった。

なお、退役後は大尉格の年金と恩給が支給されることが決定される。
これは一兵卒から長きに渡って職務を果たした男に対する当然の措置であろう。


■■


『いや、ブジン大佐とはわずか1年と少々のお付き合いでしたが
 非常に楽しく過ごさせてもらいました。最後に良い思い出になりました』

こちらこそお世話になりましたサンダース中尉、退官後は思う存分昼寝を愉しんでください。
私もここで負けずに昼寝に励まさせてもらいますよ!あと鶏肉の食いすぎには注意してくださいよ。


『はっはっはっ・・中佐は大人物ですな!暇があれば他の悪たれどもをつれて
 我が家に遊びに来てください。自慢のチキン料理をタップリご馳走しますぞ』


カネール・サンダース中尉、長い間お疲れ様でした!!


■新人さんいらっしゃい~■


しかし、赴任からわずか1年ちょいで人員が半減かつ在籍者一名ってのは
ちょっと酷くないですかねキャゼルヌ先輩?


『何を言っているんだお前さんは?そういうのは一人前にデスクワークを
 こなしてから言う言葉だ。第一、働くどころかヤンやアッテンボローを
 部屋に連れ込んで怠け放題にやってたらしいな。減給されないだけマシだぞ』


アハハ・・いや未来の英雄同士、帝国打倒の策を日夜練っているだけですよ。
先輩ならお分かりでしょう?俺達の帝国打倒にかけるこの熱い思いを!!


『分かった分かった・・・一応、中尉の後任はこちらで手配してある
 794年度、士官学校次席卒業お前さんよりよほど優秀だ
 現在は、統合作戦本部情報分析課勤務だ。何か文句はあるか?』


文句なんてとんでもない!そんな優秀な人材なら全部仕事丸投げできるじゃないですか♪
ほんと、持つべきものは心優しき先輩ですね?

ブジン大佐!感激の極みであります!!!


『あぁ、分かった分かったから、とっとと出て行ってくれ
 お前さんがいると、今日終わる仕事も終わらなくなる』


いや、お仕事中すみませんでした~、では失礼いたします!

『やれやれ、騒がしい奴だ。まぁ、ヘインなら彼女を
 持て余すこと無く使いこなせるだろうし、よしとするか』





居眠り分室にあらたな仲間を迎える事になり、意気揚々のヘインであったが、
残念ながら、歴史は彼に休むという甘えを許してはくれない。

年が変わっても帝国と同盟の戦いは変わらず続いていくのだから・・・


 ・・・ヘイン・フォン・ブジン大佐・・・銀河の小物がさらに一粒・・・・・

             ~END~


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.026244878768921