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No.37503の一覧
[0] インフィニット・ストラトス ~弱きものの足掻き~【転生オリ主】[友](2013/05/05 20:35)
[1] 第一話 IS学園入学初日[友](2013/05/05 20:36)
[2] 第二話 IS特訓[友](2013/05/05 20:39)
[3] 第三話 クラス代表決定戦[友](2013/05/05 20:40)
[4] 第四話 まさかの共同生活の始まり[友](2013/05/05 20:42)
[5] 第五話 天才なんて嫌いだぁぁぁ![友](2013/06/23 22:14)
[6] 第六話 首突っ込むつもりは無かったのに………[友](2013/08/13 00:29)
[7] 第七話 2人の転校生…………ま、俺には関係ないが[友](2013/08/15 11:34)
[8] 第八話 俺が活躍すると? ブーイングの嵐です。[友](2013/08/15 11:35)
[9] 第九話  海の楽しみは海水浴だけではない![友](2013/08/25 11:52)
[10] 第十話  名は体を表すを地で行ってます。[友](2013/08/25 11:54)
[11] 第十一話 まさかのデート!?  そして…………[友](2013/09/15 22:47)
[12] 第十二話 楯無の心[友](2013/11/09 23:38)
[13] 第十三話 楯無の答え[友](2013/11/10 06:36)
[14] 第十四話 信頼の二次移行[友](2013/11/30 21:02)
[15] 第十五話 今日は自宅でゆっくり…………のはずが![友](2013/12/23 01:47)
[16] 第十六話 プールでデート。 あれ? プールで原作イベントってあったっけ?[友](2014/02/20 22:15)
[17] 第十七話 夏祭り………相変わらず一夏は唐変木だ[友](2014/03/30 18:01)
[18] 第十八話 彼女の家に行くのは初めてだ………不安です[友](2014/04/13 20:07)
[19] 第十九話 沖縄旅行 1~2日目[友](2014/05/26 00:03)
[20] 第二十話 沖縄旅行4日目~6日目[友](2014/07/26 22:24)
[21] 第二十一話 努力の成果[友](2014/08/16 17:32)
[22] 第二十二話 特訓風景と一夏ラヴァーズ急襲………まあ、予想通りだが[友](2014/11/02 13:22)
[23] 第二十三話 一夏の特訓風景と学園祭[友](2014/12/09 01:06)
[24] 第二十四話 妹達の邂逅とシンデレラ[友](2015/02/22 18:04)
[25] 第二十五話 白式を寄越せ? 人違いです![友](2015/03/29 19:26)
[26] 第二十六話 偶には自分から原作ブレイクしてみよう[友](2015/05/17 11:13)
[27] 第二十七話 男には やらねばならぬ 時がある    今がその時だ!![友](2015/08/12 07:36)
[28] 第二十八話 ワールド・パージ。 俺は別任務だけど[友](2015/12/06 21:11)
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[37503] 第二十八話 ワールド・パージ。 俺は別任務だけど
Name: 友◆ed8417f2 ID:5337aa3d 前を表示する
Date: 2015/12/06 21:11


第二十八話




ゴーレムⅢの襲撃から数日。

俺の打鉄・不殺はバスターソードの電子回路系統に異常があったのと、半壊したシールドの装甲の交換だけで、割と簡単に修理が完了した。

他の専用機持ちは、戦闘に参加していない刀奈と、俺と一緒に戦っていた簪以外は深刻なダメージを受けており、しばらくISが使えない。

一夏の白式に至っては、開発元の倉持技研でオールメンテナンスをするらしい。

そういえば、ワールド・パージ編がそろそろなんだよな。

刀奈がその時に撃たれてたから、そっちも何とかしないと…………

ISが無傷だから大丈夫かもしれないが。

それからこの数日で特に変わったことと言えば…………

「あ、お義兄ちゃん!」

簪がそう言いながら駆け寄ってくる。

「簪………」

何故か、簪にお義兄ちゃん呼ばわりされるようになってしまったのだ。

簪曰く、

「お姉ちゃんのお婿さんになるんだから、お義兄ちゃんでいいよね?」

とのことだ。

特に否定はしないし、悪い気もしないのだが、周りの唖然とする視線がちょっと痛い。

「どうしたの? お義兄ちゃん?」

「いや、何でもない………」

そのまま簪と話していると、突然廊下の照明が一斉に消えた。

「「ッ!?」」

続けて防御シャッターが閉じ、校舎の中は真っ暗になった。

「空、ハイパーセンサー頼む」

「結、お願い」

俺と簪は、ISのハイパーセンサーを起動させ、視界を確保する。

「二秒以上経ったけど………非常灯も点かないのはおかしい」

「また何かの事件か?」

俺はそう言いつつも、内心では原因の予想はついていた。

ワールド・パージ編が始まったのだ。

すると、通信が入った。

相手は織斑先生だ。

『無剣を含めた専用機持ち達は、全員地下のオペレーションルームへ集合。 今からマップを転送する。 防壁に遮られた場合、破壊を許可する』

何故か俺まで呼ばれたため、指示に従いオペレーションルームへと向かった。





とりあえず、何とか地下のオペレーションルームに着いた。

ここに来るまでに隔壁を2,3枚ぶっ壊す羽目になったが。

俺達がたどり着いた時には、既に刀奈、箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラが揃っていた。

「では、状況を説明する!」

織斑先生が、説明を始める。

現在、ハッキングによって、IS学園の全てのシステムがダウンしているらしい。

そういえばこのハッキングって、束さんとこにいるクロエなんちゃらって子の仕業だったんだよな。

で、この後一年の専用機持ち達が電脳ダイブをすると。

「それでは、これから篠ノ之さん、オルコットさん、凰さん、デュノアさん、ボーデヴィッヒさん、更識 楯無さんは、アクセスルームへ移動。 そこでISコア・ネットワーク経由で電脳ダイブをしていただきます。 更識 簪さんは皆さんのバックアップをお願いします」

「え?」

山田先生の挙げた名前に、俺は思わず声を漏らした。

何でこの場で刀奈の名前が呼ばれるんだ?

刀奈は、この混乱に乗じて襲撃してくる勢力の防衛に当てられるはずだ。

他の専用機持ち達が電脳ダイブについて意見を述べているが、そんなことは聞いていなかった。

結局は、織斑先生の鶴の一声でその場は収まり、激を受けて、みんながアクセスルームに移動する。

そんな中、

「盾…………」

刀奈が少し心配そうな表情を浮かべて、俺に歩み寄ってきた。

「楯無………」

刀奈は俺の右手を取り、そっと握る。

「これ…………お守りだから…………」

そう言うと、刀奈は俺の右手にミステリアスレイディのアクアクリスタルを握らせた。

「これは………?」

俺の問いに刀奈は答えず、

「………気をつけてね」

そう呟き、少し無理のある笑みを浮かべると、すぐに踵を返して部屋を出て行った。

「…………どういう事だ?」

訳が分からず俺は首を傾げる。

すると、

「さて、無剣」

突然織斑先生に名指しされた。

「は、はい」

吃りながらも何とか返事をする。

「お前には別の任務を与える」

「任務………ですか?」

嫌な予感がした。

「おそらく、このシステムダウンとは別の勢力が学園にやってくるだろう」

「………………」

俺の背中に冷たい汗が流れる。

「この混乱に乗じて、介入を試みる国は必ずあると私は睨んでいる」

「つまり………俺がその勢力に対する迎撃を行うと………?」

俺はほぼ確実となった予感を口にする。

「そうだ。 今のあいつらは戦えない。 悪いが、頼らせてもらうぞ」

「……………一つ、よろしいですか?」

「何だ?」

「何故俺なのですか? 彼氏として情けない話ですが、このような状況の場合、楯無の方が適任と思うのですが?」

俺は気になったことを質問する。

「その更識姉からの推薦だ」

「えっ?」

刀奈からの推薦?

「お前はこれから更識と生きていく上で、このような状況に何度も遭遇するだろう。 故に、お前にも実戦経験を積ませたほうが良いとの更識姉の判断だ。 心配せずとも、今回の襲撃者は歩兵部隊が主力だろう。 ISは精々1機。 多くても2機だと予想している。 ISは我々が受け持つ。 お前には歩兵部隊を叩いて欲しい。 ISを纏っていれば危険は限りなく低いだろうし、お前のISの単一仕様能力は、歩兵部隊の鎮圧に向いている。 故にお前を選んだ」

「そういうことですか…………」

刀奈が俺を信じて推薦したというのなら、全力で応えるだけだ。

俺は気を引き締め、

「分かりました。 学園防衛の任、引き受けます!」

「すまんな………」

俺は指示された場所に向かって移動を開始した。







指定の位置に到着した俺は、ISを纏い、前を向いている。

長く続く廊下は照明が落ち、真っ暗だが、ハイパーセンサーのお陰で視界は良好だ。

『お兄ちゃん! 侵入者見つけたよ!』

空から報告が来ると同時にモニターが開き、枯葉のような特殊スーツを着た6人が映し出されていた。

因みにこの映像を映し出しているカメラは楯無が無断設置したカメラであり、先程アクアクリスタルを受け取った時に、霧子を経由して、空にカメラの受信周波数が送られてきていたのだ。

そして、

「来たか」

目の前には、何もないように見える。

ハイパーセンサーを使っても同じだが、確かにそこにいる。

何故なら、

「アクアナノマシンを散布して、レーダー替わりか………便利だな」

受信周波数と一緒にナノマシンの制御データまで送られてきていたりする。

流石に『清き情熱』や武器にできるほどの制御はできないが、レーダー替わりにする程度は可能だ。

そして、侵入者の動きを見るに、ISを纏っている俺は相手にせずに、先に進もうとしているようだ。

が、そうは問屋が卸さん!

「20秒チャージ完了。 ハイパーブラスター!!」

俺はバスターを前方に突き出し、容赦なく巨大なエネルギー弾をぶっ放した。

一固まりになっていたグループに纏めて直撃した。

『お兄ちゃん、やりすぎじゃない?』

ぶっちゃけオーバーキルと言わんばかりの惨状に空がボヤいた。

確かに生身相手なら、ノーマルショットとチャージショットの違いは全く無い。

むしろ無駄にエネルギーを消費するだけだ。

それでもチャージショットをぶちかました理由は、原作で刀奈の腹に風穴開けてくれた連中だからだ。

そんな奴らに容赦など必要ない。

「さて、まだまだ来るぞ」

他の班も合流してきたらしく、俺はバスターを構え直した。






【Side 刀奈】




侵入者の迎撃を盾に任せた私は、他のみんなと一緒に電脳ダイブを行っていた。

ダイブしたら、何故か服装が不思議の国のアリスのようなドレス。

それで二足歩行の兎を追いかけたら6つのドア。

「何これ?」

「入れってこと?」

『多分………』

簪ちゃんは自信なさげに呟く。

でも、確かにこれは多分としか言い様がない。

もちろん罠の可能性がある。

むしろ罠の可能性の方が高い。

だけど、先に進むには罠に飛び込むしかない。

『この先は………多分、通信が途絶えるから………各自の判断でシステム中枢へ………』

「「「「「「了解!」」」」」」

ノイズ混じりのウインドウでそう言う簪ちゃんに返事を返し、私達はそれぞれの扉を潜った。




一瞬視界が光で溢れ、すぐに収まったかと思うと、

「え………?」

私は人々が行きかう駅前の通りにいた。

「ここは…………?」

私は辺りを見渡す。

この場所はとてもよく見覚えのある場所だった。

「ここって…………盾とのデートの待ち合わせによく使ってる場所…………」

私は何故と思う。

いつの間にか私の服装も私服姿に変わっており、まるで今からデートするかのような格好だ。

「………………罠に決まってるわね」

考えるまでもなくそう判断する。

「そうと分かれば早く脱出しないと…………」

私は辺りを見回して、どこかにこの空間を脱出するための切っ掛けがないかを探す。

すると、

「ちょっとそこのオネーチャン。 今ヒマー?」

まるで漫画に出てくるような風貌のチンピラが5人話しかけてきた。

…………これも罠の一環かしら?

「良ければ俺達に付き合ってくれねーかなー? 答えは聞いてないけど」

「なら聞くんじゃねーよ!」

ギャハハと下品な笑い声を上げるチンピラにイラッと来る。

早く脱出しなきゃいけないのに。

「悪いけど私忙しいの。 他を当たってくれる?」

私は素っ気なく返事をして、この場を立ち去ろうと思った。

けど、

「ちょっと待てやネーチャン。 答えは聞いてないって言ったやろ?」

腕を掴まれて止められる。

現実じゃないんだし、遠慮しなくてもいいよね?

そう思って腕を振りほどこうと、

「おい! 人の彼女に何してるんだ!?」

突然私を掴んでいた男の手首が横から伸びてきた手に掴まれ、捻りあげられる。

「あででででで!!??」

情けない悲鳴を上げるチンピラ。

そこには、

「じゅ、盾!?」

学園の防衛任務に就いているはずの盾の姿があった。

「待たせたな刀奈。 遅れてすまなかった」

盾はそう言うと、捻りあげた男を投げ飛ばす。

「ぎゃあっ!?」

悲鳴を上げている間に、盾は私とチンピラたちとの間に体を滑り込ませると、

「ここで退くなら何もしない。 けど、向かってくるなら容赦はしない!」

いつもの盾とはまるで違う、自信に満ちた堂々とした声と態度。

「この野郎! お前ら! やっちまえ!」

「「「「うぉおおおおおおっ!!」」」」

チンピラたちが一斉に殴りかかってくる。

「仕方ないな………」

盾は落ち着いてそういうと、

「ふっ!」

1人目のパンチを右手で受け止めると、後ろに引っ張りながら相手の腹部に膝蹴りを叩き込む。

「ぐふっ!」

相手は腹を抱えて悶絶する。

続けて後ろから殴りかかってきた攻撃を、盾は振り向かずにしゃがむ事で避け、

「はっ!」

しゃがんだ状態から後ろ向きに蹴り上げを行い、チンピラの顎を捉えて吹き飛ばす。

「ごはっ!?」

更に間髪入れず、

「せいっ!」

水面蹴りで、3人目の足を払い転倒させ、すぐに起き上がると、

「そりゃっ!」

「がふっ!!」

体重を乗せたエルボーを鳩尾に叩き込んだ。

「このヤロ!」

どこからともなく出したチンピラの釘バットが振るわれる。

しかし、

「甘い!」

「うぎゃっ!?」

盾の繰り出した蹴りがチンピラの手を捉え、バットは明後日の方向へ飛んで行った。

「おらっ!」

そのまま動揺しているチンピラの頬に右ストレートを喰らわせた。

「ぐはっ!?」

あっという間に盾は4人を鎮圧してしまった。

「どうする? まだやるか?」

最後に残ったチンピラに向かって余裕の表情でそう言うと、

「ち、畜生! 覚えてろ!」

テンプレな捨て台詞を残して、チンピラ達は逃げていった。

それを見届けると、盾は私に向き直る。

「大丈夫だったか? 刀奈」

「う、うん…………でも、盾は何でここに? 学園の防衛任務はどうしたの?」

私は気になった事を聞く。

「防衛任務? 何ってるんだ刀奈。 今日はデートの約束だったろ?」

「えっ? デート?」

その瞬間、思考にノイズが奔る。

そ、そうだったかしら?

徐々に思考が鈍くなる感覚がする。

「ああ。 最近は予定が合わなくてご無沙汰だったろ? 早く行こうぜ」

盾が私の手を取って歩き出す。

なんだろう?

頭がボーっとする。

何か大事かことを忘れているような…………

「どうしたんだ? 刀奈?」

「ううん………なんでもない」

まあいいや。

思い出せないなら大した事じゃない。

今は久しぶりのデートを楽しもう。




――――――ワールド・パージ、完了――――――



そんな声が、頭の中で聞こえた気がした。





【Side Out】







「さて、粗方終わったかな?」

俺はそう呟くと、倒れている特殊部隊の隊員達を縛り始める。

念のために装備は剥ぎ取ってだ。

しばらくして、全員を縛り終えると、最初に気絶していた班のメンバーが目を覚まし始めた。

「目が覚めたのなら、無駄な抵抗は止めておけ。 ISの力は十分に分かっているはずだ」

俺はバスターを隊長らしき人物に突き付けながらそう言う。

「うぐぐ…………貴様………更識の手の者か?」

そんな事を言い出した。

「ん~~~? 見習い未満だけど、そんなようなもんか?」

そう返すと、

「フン。 IS欲しさに祖国を捨てた尻軽の当主に仕えるとは、聞いて呆れる」

その言葉に思わずカチンと来た。

反射的にその隊長の頭を踏みつける。

「うごっ!?」

「人の彼女を尻軽たぁ、言ってくれるじゃないの?」

自分でも信じられないぐらい低い声が出た。

隊長の頭を床にグリグリと押し付ける。

「うぐぐ………じ、事実ではないか! 自由国籍権で日本国籍を捨て、ロシアに尻尾を振ったではないか!」

その言葉に怒りを通り越して呆れた。

「お前、バカだろ?」

「なっ!? 黄色い猿如きが我々を愚弄するか!?」

「バカにバカと言って何が悪い。 楯無がやった事の表面しか見てないお前が、あいつをどうこう言う資格は無い」

「な、なんだと!?」

「俺は裏の世界の事は全く知らない。 けどな、そんな俺でもある程度の予想はつく」

俺は隊長を踏み続けながら言葉を続ける。

「まず一つ目に、お前はIS欲しさに祖国を捨てたと言ったな?」

「ぐ、ぐぅ………それがどうした!?」

「ISが欲しいだけなら、日本で代表候補性なれば良いだけだろ? 楯無は、ロシア代表になるほどの実力の持ち主だ。 無理して国籍を変えなくても、専用機が貰えるレベルの代表候補性には確実になれたはずだ」

「……………………」

「そして第二に、日本以外の国籍になれば、何か国際関係の問題を起こしたとしても、ロシア国籍の楯無なら、日本に飛び火する可能性は少なくなる」

「な………………」

「そして第三に、ロシア国籍と言えど、専用機を持つのは楯無だ。 実質、ロシアという大国からISを一機減らし、日本に一機増やす事に等しい」

「………………」

「裏の世界に疎い俺が考えただけでもこれだけメリットが出てくるんだ。 実際はもっと考えがあるんだろうさ」

「…………………」

すでに隊長はぐうの音も出ないようだ。

「で、最後に言いたいことは………………」

俺は最大までチャージしていたバスターを隊長一人に向け、

「日本の為に日本人であることを捨てた楯無の覚悟を、尻軽の一言で済ましてんじゃねえよ!!」

容赦なくフルチャージショットをぶちかました。

隊長一人を狙ったつもりだが、他のメンバーも巻き添えを喰らったらしく、全員気絶していた。

「さてと、こっちは何とかなったぜ。 お前もしっかりな、刀奈」

誰に言うでもなく、そう呟いた。





【Side 刀奈】





なんでだろう?

「刀奈!」

いつも通りのデートのはずなのに………

「刀奈、次はあそこに行こうぜ!」

どこかつまんない………

「どうしたんだ? 刀奈?」

今の盾は、私を守れるほど強くて、自信に満ちてて、それでも優しさを無くしていない理想の盾なのに…………

「…………理想?」

その言葉に、何か引っかかりを覚えた。

その引っかかりを探ろうとした瞬間、

「ぐっ!?」

頭が割れそうと思えるほどの痛みが奔った。

「刀奈、何も考えなくていい。 俺だけを見るんだ」

盾が優しい言葉をかけてくれる。

でも、今の私にはそれ以上にこの引っ掛かりを探る事の方が重要に思えた。

「ぐうう…………」

必死に痛みを堪え、引っかかりの大元を探る。

「刀奈。 俺を見てればいい。 刀奈。 刀奈」

私の名前を呼ぶ盾。

目の前にいるのは、理想の盾。

私が好きになった…………盾?

「ち、違う!!」

私は口に出して叫んだ。

私の理想通りの盾なんて、私が好きになった盾じゃない!

「刀奈。 刀奈。 刀奈。刀奈」

盾は…………盾の姿をした“何か”は私の名前を何度も呼ぶ。

「あなたがその名前で…………私を呼ばないで!!!」

私は頭の痛みを吹き飛ばすように叫び、右の回し蹴りを盾の姿をした“何か”の側頭部に叩き込んだ。

その“何か”は吹き飛ばされると空中でレンガが崩れるようにバラバラになり、消え去る。

「その名前で呼んでいいのは、家族以外じゃ一人だけよ!!」

私がそう宣言した瞬間、周りの景色が崩れ去り、まるで宇宙空間のような場所になる。

するとそこには、

「あら、やっと起きたの? 思ったより遅かったわね」

「霧子………」

私のミステリアスレイディのコア人格である霧子がいた。

自分の服装も、IS学園の制服になっている。

私は気を取り直し、

「酷いわね。 危うく寝坊するところだったじゃない。 起こしてくれても良かったんじゃないの?」

「ふふっ! 信頼の裏返しと思って欲しいわね。 私のマスターが、この程度の幻想、自力で目覚められないわけが無いじゃない」

霧子は楽しそうに笑いながらそう言う。

「言ってくれるじゃない」

私も不敵に笑って見せる。

「じゃあ、先を急いでるんでしょ? ここからは、私もついて行くわ」

「そう。 じゃあ、行くわよ!」

私達は、システム中枢へと向かった。




【Side Out】




【Side クロエ】




私は束様の言いつけ通り、システム中枢へ向かっていた。

専用機持ち達は、私の能力で足止めしている。

束様の目的を果たすまでの時間は、十分にあるはず。

しばらく進むと、無数の水晶のようなエリアとして視覚化されたシステム中枢を見つける。

「ここが………システム中枢…………」

その中を進むと、一際大きい水晶の中で眠る、目的の存在を発見した。

私は手前の水晶に降り立つ。

その存在は、長い白髪を持った女性として視覚化されている。

「これが………束様の言っていた、織斑 千冬専用機…………暮桜のコア…………」

私は確認すると、目的を果たすために近づこうと、

「へぇ~。 これが織斑先生の暮桜のコアなんだ」

「ッ!?」

後ろから突然聞こえた声に振り返る。

そこにいたのは…………

「更識…………楯無…………」

IS学園の生徒会長であり、日本の対暗部用暗部更識家の17代目当主である更識 楯無。

「私をご存じとは光栄ね」

顔は笑っているが、その目は私の隙を常に伺っている。

「……………ワールド・パージをこれほど早く抜けてくるとは…………どうやったのですか?」

私がそう問いかけると、

「私のマスターを舐めてもらっては困るわね」

彼女ではない誰かの声が響いた。

すると、彼女の後ろに、長い水色の髪を持った女性が現れる。

「霧子」

更識 楯無に霧子と呼ばれたソレは、

「ISの………コア人格………!」

私は呟く。

「ご名答」

ソレは即答した。

「まさか、コア人格と普通に対話できる方がいるとは…………それならばワールド・パージを短時間で抜けてこられたのも納得できます」

コア人格に干渉してもらえば、単純なシステムトラップであるワールド・パージを抜けるのは容易い。

「あら? 勘違いしないでほしいわ。 私は何もしてないわ。 あの変なトラップから目覚めたのは純粋に刀奈の力よ」

そのコア人格は驚くべきことを口にする。

「私は別に理想に恋してたわけじゃないからね。 もしも彼が初めから理想通りの彼だったら、決して好きにはならなかったって事が分かったから。 その事を再認識させてくれたあなたには、感謝しているわ」

「…………………」

さらっと惚気ないで欲しいですね。

「まあ、ともかく。 何でこんなところに暮桜のコアがあるかは後で織斑先生に聞くことにして、あなたの目的を聞かせてもらおうかしら?」

「ッ!」

彼女の纏う空気が変わったのを感じた私は、強硬策に出た。

すぐさま暮桜のコアに近付き、束様から渡されたプログラムをインストールする。

「何をしているのっ!?」

更識 楯無が私に届く寸前、インストールが終わり、私は離脱する。

「くっ!」

「主からの使いは果たしましたので、此度はこれにて失礼いたします」

「待ちなさい!」

私は、電脳ダイブを終了させ、その場から消え去った。






【Side Out】







最終的にどうなったのかと言えば、、襲撃者達を拘束した後、すっ飛んできた一夏と合流。

地下のオペレーションルームへ向かい、襲撃者達を受け渡した後、アクセスルームで専用機持ち達を救い出すというミッションを受け持った。

俺達がアクセスルームへ向かうと、驚くことに刀奈はもう目覚めていたため、他の専用機持ち達を一夏が救い出すことになった。

流石主人公なだけあって、一夏は大した時間もかけずに次々と罠にかかった専用機持ち達を開放していく。

やがて最後の箒が開放されたが、今度は一夏が目覚めない。

キスが云々の話になったが、簪がキス争奪戦に参加しなかった所為か、鈴死亡イベントは起こらなかった。

一夏が目覚めるまで待機していたとき、唐突に刀奈が切り出した。

「そういえば、皆はどんな夢を見たの?」

その瞬間、専用機持ち達の顔が真っ赤に染まる。

「ななな!? 何を言い出すのよ!?」

「そそそ! そうですわ! 人のプライバシーに踏み込むのは失礼ですわよ!?」

鈴とセシリアが大慌てして取り乱す。

「そう? 因みに私は理想の盾が出てきたわよ。 強くて、自信を持ってて、それでいて優しい、まさに理想の盾だったわ」

「うぐ………!」

刀奈の言葉に、俺は胸が抉られる気持ちになった。

「ふ、ふーん…………残念だったわね。 現実の彼氏はそんなんで」

「ぐふっ!」

鈴が追い打ちをかける。

「残念? まさか! もし現実の盾が初めから理想通りだったら、私は絶対に好きにならなかったって断言できるよ。 ムカついたから、偽物は蹴っ飛ばしちゃったわ」

「「「「「「え?」」」」」」

刀奈の言葉に全員が声を漏らす。

「前も似たような事言ったと思うけど、私は理想に恋してるわけじゃない。 私は今の無剣 盾っていう男性が好きなの。 確かに理想通りになってほしいって思いはあるわ。 でも、ただ理想通りじゃ好きにはならない。 私は、届かないと分かっている理想に向かって、もがき、足掻いて、倒れたとしても、這い蹲ってでも前に進もうとする盾の姿が好きなの。 ま、それは私が好きな盾の一部分だけどね」

刀奈の言葉に、俺は一気に顔が熱くなるのを感じた。

「じゃ。じゃあ、もし無剣君が理想に追い着いちゃったら如何するんですか!?」

シャルロットが叫ぶように問いかける。

「私は言ったわよね? 初めから理想通りだったら好きにはならないって。 もがき足掻いて、その姿を見続けて理想にたどり着いた暁には…………」

「「「「「暁には?」」」」」

「好感度が限界突破しちゃうわね」

頬を染めながら笑顔でそう言った。

すると、刀奈が俺に歩み寄ってきて、

「もちろん、今のままでも私は盾の事これ以上ないぐらいに愛してるわよ♪」

俺の右腕に抱き着くように腕を絡めた。

「お前言ってて恥ずかしくないのかよ?」

俺は先ほどから顔の熱が引かない。

「ふふん。 彼氏がいると、自慢したくなるのが女の性よ」

顔を赤らめながら俺の肩に頭を乗せる刀奈。

「お姉ちゃんとお義兄ちゃん。 見てる方が恥ずかしくなるほどラブラブだよ…………」

傍観者に徹していた簪の言葉がポツリと漏れた。







あとがき


これまたお久しぶりです。

第二十八話の完成。

今回はワールド・パージ編です。

色々オリジナルを突っ込んどきました。

こんな感じでどうでしょう?

この小説の刀奈は理想に恋してるわけではないので割と余裕でワールド・パージ脱出です。

盾君も襲撃者相手に頑張りました。

むしろやり過ぎ?

生身の一人相手にフルチャージぶちかますとか…………

ダメージは変わらないんですけどね。

一巻分が1話で終わるってどうなんだろう?


あとアンケートですが、一途ルートで行きます。

姉妹ルートを選ぶ人が思ったより少なかったなぁ。

ともかく次も頑張ります。




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