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No.37503の一覧
[0] インフィニット・ストラトス ~弱きものの足掻き~【転生オリ主】[友](2013/05/05 20:35)
[1] 第一話 IS学園入学初日[友](2013/05/05 20:36)
[2] 第二話 IS特訓[友](2013/05/05 20:39)
[3] 第三話 クラス代表決定戦[友](2013/05/05 20:40)
[4] 第四話 まさかの共同生活の始まり[友](2013/05/05 20:42)
[5] 第五話 天才なんて嫌いだぁぁぁ![友](2013/06/23 22:14)
[6] 第六話 首突っ込むつもりは無かったのに………[友](2013/08/13 00:29)
[7] 第七話 2人の転校生…………ま、俺には関係ないが[友](2013/08/15 11:34)
[8] 第八話 俺が活躍すると? ブーイングの嵐です。[友](2013/08/15 11:35)
[9] 第九話  海の楽しみは海水浴だけではない![友](2013/08/25 11:52)
[10] 第十話  名は体を表すを地で行ってます。[友](2013/08/25 11:54)
[11] 第十一話 まさかのデート!?  そして…………[友](2013/09/15 22:47)
[12] 第十二話 楯無の心[友](2013/11/09 23:38)
[13] 第十三話 楯無の答え[友](2013/11/10 06:36)
[14] 第十四話 信頼の二次移行[友](2013/11/30 21:02)
[15] 第十五話 今日は自宅でゆっくり…………のはずが![友](2013/12/23 01:47)
[16] 第十六話 プールでデート。 あれ? プールで原作イベントってあったっけ?[友](2014/02/20 22:15)
[17] 第十七話 夏祭り………相変わらず一夏は唐変木だ[友](2014/03/30 18:01)
[18] 第十八話 彼女の家に行くのは初めてだ………不安です[友](2014/04/13 20:07)
[19] 第十九話 沖縄旅行 1~2日目[友](2014/05/26 00:03)
[20] 第二十話 沖縄旅行4日目~6日目[友](2014/07/26 22:24)
[21] 第二十一話 努力の成果[友](2014/08/16 17:32)
[22] 第二十二話 特訓風景と一夏ラヴァーズ急襲………まあ、予想通りだが[友](2014/11/02 13:22)
[23] 第二十三話 一夏の特訓風景と学園祭[友](2014/12/09 01:06)
[24] 第二十四話 妹達の邂逅とシンデレラ[友](2015/02/22 18:04)
[25] 第二十五話 白式を寄越せ? 人違いです![友](2015/03/29 19:26)
[26] 第二十六話 偶には自分から原作ブレイクしてみよう[友](2015/05/17 11:13)
[27] 第二十七話 男には やらねばならぬ 時がある    今がその時だ!![友](2015/08/12 07:36)
[28] 第二十八話 ワールド・パージ。 俺は別任務だけど[友](2015/12/06 21:11)
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[37503] 第二十二話 特訓風景と一夏ラヴァーズ急襲………まあ、予想通りだが
Name: 友◆ed8417f2 ID:8beccc12 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/11/02 13:22

第二十二話




俺は、白式が強制解除された一夏に近寄る。

「大丈夫か? 一夏」

俺はそう言いながら倒れた一夏に手を差し伸べる。

「あ………ああ…………痛みは全然無いから大丈夫だ」

一夏は若干呆気に取られた表情で俺の手を取る。

俺はその手を引っ張って一夏を立たせる。

「それにしても盾…………お前無茶苦茶強いじゃねえか!?」

いきなりそう叫ぶ一夏。

「いきなり叫ぶな、ビックリするだろ?」

俺は一夏の言葉を受け流しつつそう返す。

「それに俺は強くなんかない」

「何言ってんだ!? 俺をほぼ完封で倒したクセに!」

「それは今はお前よりも弱くなかったってだけの話だ。 少なくとも、俺は楯無に勝てるまでは、自分が強いと言うつもりはない。 ま、楯無に勝てる日が来る可能性は低いがな」

「………………楯無さんって、どんだけすごいんだ?」

「少なくとも、織斑先生を除けば学園最強だぞ。 生徒会長は最強の証でもあるし」

「……………………」

俺の言ったことに、言葉を失う一夏。

「まあ、楯無の訓練はキツイが、教えるのは旨いしコーチしてもらうことは損にはならないぞ。 まあ、俺に負けたから、どちらにせよコーチを受ける事になるんだがな」

「うぐっ………」

俺の言葉に思わず声を漏らす一夏。

「まあ、とりあえず戻ろうぜ、みんな待ってるだろうし」

「あ、ああ………」

そう言って、俺達はピットへ戻っていった。



俺達がピットへ戻ると、

「おかえり~」

笑顔の刀奈と、

「「「「「むぐぐ……………」」」」」

なにやら悔しそうな一夏ラヴァーズの5人。

「やれやれ…………」

呆れ顔の織斑先生に、

「すごいです! 無剣君! 先生驚いちゃいました!」

素直に俺を賞賛してくれる山田先生だった。

すると、刀奈は一夏の前に立ち、

「これで文句ないわよね。 一夏君♪」

イタズラが成功したような笑みを浮かべて刀奈が言った。

すると、

「はい………文句はありません………いえ、むしろこちらからお願いします! 楯無さん!」

一夏はいきなり頭を下げながらそう言った。

「うんうん。 一夏君が素直になってくれて、おねーさん嬉しいな」

楯無はそう言ってひと呼吸置くと、

「とりあえず今日は思うところがあるだろうからしっかり反省すること、明日から特訓を始めるから、覚悟しててね」

「分かりました」

一夏が頷く。

「盾はこれからいつものメニューね」

「ああ」

多分そう言われるだろうと予想していた俺は、特に驚きもせずに頷いた。

「あの、楯無さん………」

すると、一夏が声をかけてくる。

「何かな? 一夏君」

「盾の特訓を見学していってもいいですか?」

そんな事を言う一夏。

「別に構わないわよ。 特に特別な事をやっているわけでもないし」

刀奈はそう言って許可する。

すると、

「ならば、私達も見せてもらおうか。 お前がどのようにして無剣にあそこまでの実力をつけさせたのか、興味がある」

「そうですね。 私も気になります」

織斑先生と山田先生までもがそう言ってきた。

俺は、刀奈が直ぐにOKを出すかと思っていたが、少し考える仕草をした。

そして、

「構いませんが、条件があります」

「条件?」

「はい。 私達の特訓に口を出さないでください。 これはほぼ毎日行っていることなので、心配いりません」

「ふむ………まあいいだろう」

織斑先生は少し思案するが、直ぐに頷いた。

「あなた達はどうする?」

刀奈はこの際とばかりに一夏ラヴァーズに尋ねる。

「もちろん見せてもらいます」

「わたくしも気になりますわ」

「見てやろうじゃないの」

「僕も興味あります」

「どれほどのものか、見せてもらおう」

結局全員が見ていくことになった。

ギャラリーが多いとちょっと緊張するな。

俺はそう思いつつアリーナに出る。

一夏達も観客席から見学している。

刀奈も今回は観客席から指示するようだ。

「それじゃあいつもの通り………」

一夏達は、どのような特訓が始まるのかと緊張した面持ちでこちらを見ている。

「ISの展開収納100回からね♪」

「おう」

そう言った瞬間、一夏達がズッコケているのが見えた。

「そこからですか!?」

セシリアが思わず刀奈にそう叫んでいた。

「俺はバカだから、毎日繰り返しやらないと、やり方忘れちまうんだよ」

俺はそう言って展開収納を繰り返す。

最初はこれだけで30分ぐらいかかっていたのだが、今では5分以内で完了出来る。

しかし、

「盾、いつもより無駄が多いよ。 ペナルティはアリーナ5周ね。 もしかして緊張してる?」

「まあ、多少は」

少なからず見られていることを意識してしまうため、いつもよりもペナルティを多くもらってしまった。

俺はISのPICをOFFにしてアリーナの壁際を走る。

このぐらいはいつものことなので、この程度で息が上がったりはしない。

「はい、次はシールドとアンカーの量子変換100回!」

「おう」

俺はそう言って、左腕のジガンとガンドロを交互に量子変換する。

二次移行前は、武器の展開収納だったのだが、二次移行後は搭載武器が無くなったため、このようになっている。

「次は飛行訓練だよ!」

俺は何時も通り、刀奈の指示に従いメニューをこなしていった。




【Side 楯無】




私はいつものメニューを盾に指示していく。

すると、

「なんていうか……妙に基礎的だな」

最初に一夏君がそう言う。

「基礎的って言うより、完全に基礎だよ」

次にシャルロットちゃん。

「応用は行わないんですの?」

セシリアちゃんがそう訪ねてくる。

それに対し私は、

「言ったでしょ? 盾に才能なんか無いって。 盾は応用を教えても、覚えることはできないのよ。 自分で編み出さない限りね」

「そんなの嘘よ! だって、さっきの模擬戦でも、瞬時加速や瞬時回転なんて高等技術を使ってたじゃない!」

「自分で編み出さない限りは、ね。 瞬時加速は偶々教えたイメージが彼に合っていただけだし、瞬時回転は彼自身が編み出したものよ。 気付かなかった? さっきの模擬戦でも、瞬時加速と瞬時回転以外は、これといって特別な応用技は何一つ使ってないのよ? あと、後ろ向きの瞬時加速は打鉄・不殺の特性よ」

「た、確かに言われてみれば……」

「単純な動きばかりだったな」

箒ちゃんとラウラちゃんが納得したように頷く。

「才能のない彼が勝つには、基礎能力で圧倒するしかないのよ。 知ってる? 今の彼の基礎能力は、代表候補生にも匹敵するのよ」

その言葉に驚愕する一夏君達。

「所で更識さん?」

山田先生が話しかけてきた。

「何でしょう?」

「先程から無剣君全く休んでいなんですけど、休憩時間は無いのですか?」

「はい、ありません」

「えええっ!!??」

私の言葉に山田先生は驚愕する。

「そんな! さっきから本格的に体力を使っているのに、休憩も無いなんて何考えてるんですか!?」

一夏君が叫んでくる。

「怠け者の亀を勝たせるには、蹴っ飛ばすしかないの。 才能のある君にはわからないかもしれないけど、彼にはいくら時間があっても足らないわ。 君達みたいな才能に恵まれた人は1を聞いて10を学ぶ。 凡人は10を聞いて10を学ぶ。 だけど、彼みたいな才能の無い人は、10を聞いてようやく1を学べるの。 だから、限られたアリーナの使用時間の中では、休憩してる暇なんてないの」

「でも! だからって…………こんなの盾らしくないぜ」

その言葉は、許せなかった。

「盾らしくない? あなたは彼の何を知っているの?」

私は思い出す。

クラス代表決定戦の日。

彼の心の奥底に秘めた本心を。

「彼の演じていた外面だけしか知らないあなたが、彼の全てを知ったような気にならないで!!」

私の迫力に押されたのか、一夏君は押し黙ってしまう。

「あなた達には分からないでしょうね。 エリート集団の中に放り込まれた落ちこぼれの気持ちなんて」

私は言葉を続ける。

すると、

「待ってください! わたくしたちのような代表候補生はともかく、一般生徒はエリートではありませんわ!」

セシリアちゃんが私の言葉に反論する。

でも、

「その認識は間違ってるわセシリアちゃん。 普通、IS学園に入れる人の中には、エリートじゃない人なんていないわ」

「「「「「「えっ!?」」」」」」

私の言葉に、皆が声を漏らす。

「何の為の入学試験なの? IS適性や才能、実力がある人を見極めるためでしょう? 毎年入学枠を何倍も超える人達が試験を受けに来て、その中の限られた人だけが本来入学できる。 だからIS学園の生徒はみんな凡才以上の才能を持った人か、もしくは昔から英才教育を受けてきた実力のある人よ。 そんな集団の中に『男だから』という理由だけで放り込まれた盾の気持ちが、あなた達に分かる?」

「そ、それは俺だって…………」

一夏君が、反論しようとするが、

「君には偶々才能があった。 それだけよ」

「お、俺に才能なんて…………」

その言葉には私も呆れかえる。

「一夏君、なんでISの起動時間が30分にも満たない人が、数百時間を超える代表候補生に勝つ事ができるの? それが才能と言わずに何て言うの? 盾は、1週間練習を続けた上で、一方的にやられたんだけど?」

「そ、それは…………」

「まあ、才能がある割には詰めが甘いみたいだけど…………君が今まで勝ち続けられたのだって、盾のお陰と言えなくはないし」

今までの一夏君の戦いのデータを見せてもらったけど、一夏君が勝っている戦いは、盾が何かしら関係している。

「な、なんでそこであいつの名前が出てくるのよ?」

鈴ちゃんが不満げにそう漏らす。

まあ、気付かないのも無理ないかな?

「言葉の通りよ。 盾が居なかったら、一夏君は何一つ勝利を得ることは出来なかった」

「そんな事ありませんわ! 現に一夏さんはクラス代表決定戦において、わたくしに勝っています!」

私の言葉に一番に反論したのはセシリアちゃん。

だけど、

「それは盾が先に戦ったからよ。 私も後で気付いたことだけど、あの時の盾の戦い方は勝とうとする戦い方じゃなかった。 少しでも戦う時間を引き伸ばし、セシリアちゃんの手の内を少しでも多く暴こうとした。 次に戦う一夏君の為にね。 初見殺しのミサイルビットに反応できたのも、盾のおかげよ。 つまり盾は、一夏君のために、自ら捨石になることを選択したの」

「な…………」

「待ちなさい! 私の時は無剣はいなかったわよ!」

次に鈴ちゃんがそう主張する。

「ん、確かにあの時、敵を倒したのは一夏君と鈴ちゃんの力よ」

私がそう言うと、鈴ちゃんはフフンと自慢げな顔をする。

「けど、あの時盾が居なかったら、箒ちゃん死んでたよ」

「「「なっ!?」」」

一夏君、箒ちゃん、鈴ちゃんの3人が驚愕の声をもらす。

「ど、どういうことですか!?」

一夏君が焦った表情で問いかけてくる。

「逆に聞くけど、何であの時箒ちゃんに向かって撃たれたアリーナのシールドを貫通するほどの攻撃が中継室の窓を割るだけで済んだと思ってるの?」

「そ、それは一夏の攻撃が、シールドを完全に貫通するより早く相手の腕を断ち切ったからで………」

「はずれ。 本当は盾が身体を張って箒ちゃんを庇ったからよ。 あなた達は、箒ちゃんに気を取られすぎて、爆煙の中から落下した盾に気付かなかったみたいだけどね」

「そ、そんな…………」

私はそのままシャルロットちゃんとラウラちゃんに視線を向ける。

「シャルロットちゃんとラウラちゃんの時は言うに及ばず。 試合中では終始ラウラちゃんと盾のチームに押されてたし、あのまま試合が中断しなければ、十中八九ラウラちゃんと盾のチームが勝ってたわよ。 その後の出来事も、盾が身体を張ってなければ、どうなってたかわからないわよ。 夏の臨海学校の時も同じね」

「「「「「「……………」」」」」」

気付いていなかった真実に、みんなは言葉が出ないみたい。

「話がズレちゃったけど、彼の本心は強くなりたいと願っていた。 だけど、彼は自分の為に努力ができない人間だった。 だから私が無理矢理にでも努力させることにしたの。 実際、彼は私の特訓に文句は言っても、決して逃げ出すことはしなかったわ。 まあ、今は私の為に強くなろうと自分から努力してくれてるけど」

「おい更識」

と、そこで今まで話を静観していた織斑先生が口を開いた。

「まさかとは思うが、お前が無剣と恋人同士というのは、あいつを努力させるための方便…………」

織斑先生が言わんとしていたことに気付いた私は、反射的に扇子を開いて織斑先生の首元に突き付けていた。

でも、完全に突き付ける前に、織斑先生の片手の人差し指と親指で挟んで止められていた。

「「「「「「「ッ!?」」」」」」」

突然の出来事に、一夏君達が息を呑むのが分かった。

「織斑先生…………それは私に対する侮辱ですか?」

私は織斑先生の目を殺気混じりに見つめながらそう言った。

織斑先生は、やれやれと一度ため息を吐くと、

「失言だったことは謝るが、教師を威嚇するな、馬鹿者」

織斑先生は、あっさりと私の殺気を受け流す。

ちょっと悔しい。

「まあいい。 どうやらお前の無剣に対する気持ちは本当のようだな」

「もちろんです」

織斑先生の言葉に、即答する私。

「やれやれ…………その素直な所をどこぞの5人に見習わせたいぐらいだ」

織斑先生がそう言うと、『どこぞの5人』がビクリと震える。

「?」

やっぱり一夏君は分かってないようだけど。

「それから、不純異性交遊はするなよ」

「それも問題ありません。 私達の関係は不純ではないので」

織斑先生の言いたいことはわかったけど、そう言っておく。

って言っても、もう手遅れなんだけどね。

「やれやれ………」

織斑先生は、大きく溜息を吐いた。




【Side Out】





アリーナの使用限界時間が終わりに近づいていたとき、俺はアリーナの地面にぶっ倒れていた。

刀奈との模擬戦で、今日も惨敗したのだ。

相変わらず、向こうのシールドエネルギーを3分の1減らすだけが精々だ。

「はい、今日の特訓終了!」

刀奈がそう言うと、俺はISを解除し立ち上がる。

2人一緒にピットに戻ると、一夏達が驚愕の表情で詰め寄ってきた。

「お前、こんな特訓を毎日続けてるのか!?」

「シャレにならない密度と練習量じゃない! よく体が持つわね!」

「国家代表相手にあれだけ戦えるなんて信じられませんわ!」

一夏、鈴、セシリアの順番だ。

因みに刀奈相手にあれだけ戦えるのは、毎日戦っているおかげで、ある程度刀奈の次の行動が予測できるからだ。

ゲームで何回もコンテニューして、ボスのパターンを記憶してその内勝てるようになるのと同じようなものだ。

多分一夏ラヴァーズと戦えば、ボロ負けするぞ。

2、30回戦えば、ある程度戦えるようになるとは思うが。

因みに一夏は動きが単純過ぎたので読みも楽だった。

「まあ、安心しなさい。 一夏君にはあそこまでやらないから…………と言うより、やったら確実に身体を壊すから。 あれは盾だから出来る練習量だからね」

まあ、それがある意味俺の才能だな。

「は、はい………」

俺の特訓内容を見て、明日からの生活に不安が出てきたのか、一夏の表情は優れない。

「安心しろ、一夏」

「じゅ、盾………?」

そんな一夏に俺は、

「死にはしない」

追い打ちをかけた。

「果てしなく不安になるんですけど!?」

そんな一夏の反応をスルーしつつ、俺達は自分たちの部屋へと歩き出した。





部屋へと戻る道すがら、俺は刀奈から俺達が恋人同士だということをバラした事を聞いた。

この後の展開が読めた俺は溜息を吐く。

部屋に戻ってしばらくすると、

――コンコン

この部屋に珍しく………というより、初めての来客を告げるノックが鳴った。

俺は、やっぱきたかと思いつつドアを開ける。

「は~い」

ドアの向こうにいたのは、やはりというか一夏ラヴァーズの5人。

「夜分遅くに申し訳ありません。 ちょっとご相談したいことがありまして………」

セシリアが代表してそう言う。

「まあ、なんとなく予想はつくが…………とりあえず入れよ。 狭い部屋だが」

俺は5人を部屋の中に招き入れる。

「いらっしゃ~い」

刀奈も楽しそうに笑い、扇子を広げた。

そこには『計算通り』の文字が。

どっかの新世界の神か?

俺と刀奈はベッドに座り、5人は床に正座している。

因みに刀奈は俺の腕に抱きついている。

「で? 相談とは?」

俺はわかっていながらもそう聞く。

「そ、その前に一つ確認しておきたいのだが…………その、2人がここ、恋人同士というのは、本当なのか?」
箒が若干顔を赤らめつつそう訪ねてきた。

「ああ」

「本当よ」

俺と刀奈は即答する。

「で、今の質問で確信したから言うが、相談というのは一夏のことか?」

「「「「「うっ………」」」」」

その反応で図星だということが分かる。

俺はやれやれと思いつつ口を開く。

「そんなもん、ストレートに告白しろよ」

俺は思ったことを口にする。

「そ、そんな簡単に言わないでよ! それならあんたは一体どうしたのよ!?」

恥ずかしさからか、顔を赤くして叫ぶ鈴。

「あら? 盾はストレートに告白してきたわよ。 『あなたが好きです』ってね」

「「「「「ッ!?」」」」」

5人は驚いた顔で俺を見る。

俺がストレートに告白して悪いか!?

「俺と楯無の話を聞いても、一夏に関しての参考にはならんと思うぞ」

「そ、それでも! 何かヒントになるかもしれませんわ!」

セシリアが声を上げる。

「まあ、話すのは構わないんだが…………どこから話すんだ?」

「出来れば、2人の出会いから付き合うまでを詳細に!」

シャルロットが詰め寄る。

必死だな。

「いいけど………俺達の出会いというか、関係が始まったのは、オルコットさんとのクラス代表決定戦が決まった時「ちょっと待ってください」ん?」

話し出そうとしたら、いきなりセシリアに止められた。

「わたくしのことは、セシリアで構いませんわ」

「そうか? ならそうさせてもらうけど」

セシリアが名前で呼んでいいと言ってきた。

すると、

「私も箒で構わん」

「『凰さん』何て同年代に呼ばれると、背中がムズムズするのよ。 私も鈴でいいわ」

「僕も名前でいいよ」

「私も特別に名前で呼ぶことを許可しよう」

他の4人も名前で呼ぶことを許可してきた。

「ん。 じゃあこれからは名前で呼ばせてもらうぞ」

俺は気を取り直し、話を始める。

「楯無と関係が始まったのはセシリアとのクラス代表決定戦をやることが決まった次の日………入学早々の話だな。 俺が放課後にISの飛行訓練をしてたんだけど、全然うまくいかなくて墜落ばかりしてたんだよ。 で、そんな時にプライベートチャネルでアドバイスをくれたのが楯無だったんだよ。 まあ、その時は相手が楯無だってことは知らなかったんだが」

「私が盾に、興味を持った理由は、やっぱり名前かな?」

「名前………ですか?」

セシリアが不思議そうに呟く。

「なるほど、“楯無”と“無剣 盾”。 確かに対照的な名前ですね」

流石日本人の箒。

聞いて直ぐに意味が分かったらしい。

「まあ、元々“楯無”って名前は当主が受け継ぐ名前で、本来は鎧の名前だけどね。 でも、私の本名も盾とは対になってるから、やっぱり気になったんだよ」

「そ、そうなんだ………」

シャルロットが示し合わせたような名前に声を漏らす。

「で、話を続けるが、楯無と直接会ったのは、クラス代表決定戦の当日。 セシリアにボロ負けした後に休憩室で休んでたら、楯無が声をかけてきたんだよ」

「そこでちょっと強引に盾の本心を聞いてね、強くしてあげようと思ったのよ」

「で、そこからほぼ毎日特訓してたんだよ。 今思えば、その時から俺は楯無に惹かれ始めてたのかもな………」

俺達がそう言うと、5人は食い入るように俺達の話を聞いている。

「で、そこから数ヶ月は特訓ばかりで特に進展はなかったんだけど、臨海学校が終わった後だったね。 盾にやる気を出させるために、模擬戦で私に一撃与えたらご褒美をあげるって話になって…………」

「その時の俺は楯無に一撃入れるなんて不可能と思ってたから、適当にデートしてくださいって言ったんだよ」

“デート”という言葉に過敏に反応する5人。

「な、なるほど、特訓での賭け事か………」

「上手くすれば、一夏とも………」

なにやら呟いているが、話を続ける。

「で、その結果、今は十八番の瞬時回転が偶々うまくいって、偶然にも一撃与えられたんだ」

「それでその次の日曜日にデートしたんだよね」

「内容は省くが、そのデートの終わりに俺は初めて自覚したんだ。 俺は楯無が好きだって」

「そ、それでどうしたんですの!?」

セシリアを筆頭に期待に満ちた目で先を促す。

「ん、まあ、知っての通り、俺は自分に自信を持てない人間だから、どうせ俺を好きになってくれるわけないと初めから諦めてたよ………だけど、このまま何もせずズルズルと想いを引きずるのも女々しいと思ったからさ、振られる事前提でその場で告白したよ。 『あなたが好きです』ってね」

その言葉に、楯無ははにかんだ笑みを浮かべつつ頬を染めていた。

5人は目をキラキラさせている。

「それで想いが通じて、2人は晴れて恋人同士になったんですね?」

シャルロットが期待と確信を持ってそう聞いてきた。

ところがどっこい。

「それがね、盾は告白のすぐ後に、『答えはいいです。 分かりきってることですから』って言って、返事も聞かずに直ぐに逃げちゃったんだよね。 酷いよね~」

刀奈のその言葉で、5人のキラキラした目は一変、俺を非難するジト目に変わる。

「し、仕方ないだろ! 俺はダメ人間だから、こんな自分を好きになってくれる奴なんていないと思い込んでたんだから!」

俺は慌ててそう言う。

「まあ、私もいきなりの告白で混乱してたし、まともな返事が返せる状態じゃなかったんだけどね」

その言葉で幾分が非難の目は幾分か和らぐが、それでもまだ睨まれている。

「で、部屋に戻ったら、盾は何時もどおりだったんだけど、それまで以上に私と距離を置くようになってて、私は胸が痛くなった」

俯きながら悲しそうな雰囲気を出しつつ刀奈はそう呟く。

俺への非難の目が再び強くなった。

「自分でも、何でそんなに落ち込んでたのかわからなかったんだけど、数日後に薫子ちゃんに相談してもらってね、自分の気持ちと向き合うことにしたんだよ」

「それで、半ば強引にまたデートに誘われて、まるで一回目のデートの繰り返しみたいな事をしたんだ」

「それで、その最後にまた告白してもらって、それから私も答えを返したんだ。 『私も君が好き』って」

それを聞いた5人は、頬を染めながらまるで尊敬する人物を見つめるように刀奈を見ていた。

「それで晴れて恋人同士になったわけだ」

「「「「「…………………」」」」」

5人は黙りこくっていた。

「で? 話を聞いても、一夏の参考にはならんだろ?」

「た、確かにそうかもしれないけど…………そうだわ! アンタは同じ男として、どうすれば一夏を振り向かせることができるか考えなさい!」

鈴が叫ぶ。

そうきたか。

「ん~、まあ、俺の勝手な考えだからあまり当てにはするなよ。 まず全員に言えることだが………」

「「「「「全員に言えることだが?」」」」」

「嫉妬したからといって、軽々しく暴力を振るうのをやめろ」

俺がそう言うと、全員が衝撃を受けたようにガガ~ンとなる。

「そ、それは一夏がふしだらな事を………」

「そ、そうですわ! 一夏さんが悪いんですわ!」

「全部アイツが悪いのよ!」

「え、え~っと………」

「私の嫁ともあろうものが、他の女に目移りするからだ!」

シャルロットは自覚があるのか反省しているようだが、他は反論してくる。

「まあ、お前達の気持ちもわからんでもない。 一夏のラッキースケベも無自覚に口説く所も、超鈍感な所も男の俺から見てもムカつく」

俺の言葉に全員が頷く。

「でも、だからと言って一夏自身が納得するわけじゃない」

その言葉で再びショックを受ける5人。

「一夏から見れば、事故や当然の事をしただけで理不尽に暴力を振るわれていると思うわけだ。 ラッキースケベをかました場合はまだ自分に非があると思っているから、ある程度は割り切れると思うが、一夏にとって、当たり前の事をしただけで不機嫌になったり暴力を振るわれると、『自分は嫌われているのか?』と思うわけだ」

その言葉で、今までで一番のショックな表情をしている5人。

「例で言えばまず箒」

「な、何だ……?」

「お前のダメな所は一夏の弁明も聞かずに一方的に一夏が悪いと決めつけ暴力を振るうところ」

「うぐっ!?」

「次にセシリア」

「な、なんですの?」

「嫉妬でにレーザー撃つな」

「くぅっ!?」

「鈴」

「な、何よ?」

「お前はISを展開してない相手に衝撃砲撃つな」

「ぐふっ!?」

「シャルロット」

「な、何かな?」

「先生に言われたからといって、鬱憤晴しに撃つな」

「はうっ!?」

「ラウラ」

「何だ?」

「自分の考えを押し通すだけじゃなく、一夏の事も考えろ」

「なるほど………」

俺はそれだけ言うとひと呼吸おいて、

「まあ全員に言いたいことは、一夏のことは、哺乳類霊長目ヒト科ヒト属と考えるな」

「「「「「え?」」」」」

「最早一夏は、哺乳類霊長目オリムライチ科オリムライチカ属のオリムライチカと考えておけ。 それで、あいつのラッキースケベ、無自覚な口説き、超鈍感はあいつの性格ではなく生態と考えろ。 それでそれを受け入れろ。 受け入れられなければ諦めろ。 俺が言いたいのはそれだけだ」

「哺乳類………」

「霊長目………」

「オリムライチ科………」

「オリムライチカ属の………」

「オリムライチカ………」

俺の言葉にそれぞれが呟く。

「そう! そうなのよ!!」

鈴がいきなり立ち上がって叫ぶ。

「あいつの超鈍感は、もう病気とかそういうレベルじゃないわ。 盾の言う通り、これはもう、あいつの生態なのよ!!」

なんかいつの間にか名前で呼び捨てにされとる。

「そうだったのか!!」

「そうだったのですわ!」

「うん! その通りだよ!」

「ようやく分かったぞ!!」

なんか皆が燃えとる。

まあ、焚きつけたのは俺だが。

「感謝するぞ! 盾!」

「感謝致しますわ!」

「感謝するわ!」

「ありがとう! 盾!」

「礼を言うぞ!」

それぞれがお礼を言うと、まるで嵐のように部屋から出ていく。

「………………まさかあそこまで効果があるとは……」

「あはは。 みんなやる気だね」

「とりあえず、明日からの一夏にご愁傷様」

こうして、嵐のような1日は終りを迎えた。





あとがき


皆様お久しぶりです。

インフィニット・テイマーズを更新しようと頑張ってましたが、スランプに突っ込んだらしく先が全く書けません。

なので、諦めて先にこっちを更新です。

今回盾君の特訓風景と一夏ラヴァーズの焚付でした。

盾君にとって、もはや一夏はヒト科ヒト属ではなくオリムライチ科オリムライチカ属のオリムライチカです。

新人類ですな。

さて、次回は一夏君の特訓が始まります。

もしかしたら、文化祭まで行くかも?

とりあえずお楽しみに。

では、次も頑張ります。






















PS.暗号ってまだ解けてない人います?
どうしても知りたい人が居るなら次回あたり答えを教えますが………





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