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No.37503の一覧
[0] インフィニット・ストラトス ~弱きものの足掻き~【転生オリ主】[友](2013/05/05 20:35)
[1] 第一話 IS学園入学初日[友](2013/05/05 20:36)
[2] 第二話 IS特訓[友](2013/05/05 20:39)
[3] 第三話 クラス代表決定戦[友](2013/05/05 20:40)
[4] 第四話 まさかの共同生活の始まり[友](2013/05/05 20:42)
[5] 第五話 天才なんて嫌いだぁぁぁ![友](2013/06/23 22:14)
[6] 第六話 首突っ込むつもりは無かったのに………[友](2013/08/13 00:29)
[7] 第七話 2人の転校生…………ま、俺には関係ないが[友](2013/08/15 11:34)
[8] 第八話 俺が活躍すると? ブーイングの嵐です。[友](2013/08/15 11:35)
[9] 第九話  海の楽しみは海水浴だけではない![友](2013/08/25 11:52)
[10] 第十話  名は体を表すを地で行ってます。[友](2013/08/25 11:54)
[11] 第十一話 まさかのデート!?  そして…………[友](2013/09/15 22:47)
[12] 第十二話 楯無の心[友](2013/11/09 23:38)
[13] 第十三話 楯無の答え[友](2013/11/10 06:36)
[14] 第十四話 信頼の二次移行[友](2013/11/30 21:02)
[15] 第十五話 今日は自宅でゆっくり…………のはずが![友](2013/12/23 01:47)
[16] 第十六話 プールでデート。 あれ? プールで原作イベントってあったっけ?[友](2014/02/20 22:15)
[17] 第十七話 夏祭り………相変わらず一夏は唐変木だ[友](2014/03/30 18:01)
[18] 第十八話 彼女の家に行くのは初めてだ………不安です[友](2014/04/13 20:07)
[19] 第十九話 沖縄旅行 1~2日目[友](2014/05/26 00:03)
[20] 第二十話 沖縄旅行4日目~6日目[友](2014/07/26 22:24)
[21] 第二十一話 努力の成果[友](2014/08/16 17:32)
[22] 第二十二話 特訓風景と一夏ラヴァーズ急襲………まあ、予想通りだが[友](2014/11/02 13:22)
[23] 第二十三話 一夏の特訓風景と学園祭[友](2014/12/09 01:06)
[24] 第二十四話 妹達の邂逅とシンデレラ[友](2015/02/22 18:04)
[25] 第二十五話 白式を寄越せ? 人違いです![友](2015/03/29 19:26)
[26] 第二十六話 偶には自分から原作ブレイクしてみよう[友](2015/05/17 11:13)
[27] 第二十七話 男には やらねばならぬ 時がある    今がその時だ!![友](2015/08/12 07:36)
[28] 第二十八話 ワールド・パージ。 俺は別任務だけど[友](2015/12/06 21:11)
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[37503] 第十九話 沖縄旅行 1~2日目
Name: 友◆ed8417f2 ID:8beccc12 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/05/26 00:03


第十九話 





俺は窓を見る。

その窓から見えるのは景色は真っ白。

やがて、真っ白な景色が薄れていき、次の瞬間に視界が開ける。

俺の目に飛び込んできたのは、青い空!

青い海!

そして、その海のあちこちに点々とする島々!

とまあ、こんなふうに表現してみたけど、簡単に言えば、俺は今飛行機に乗っている。

正確には、俺“達”は、だけどな。

当然俺の隣には刀奈がいる。

「あは! やっと着くね♪」

機嫌良さげな声で、俺の前にのしかかる様な体勢で窓の外を眺める刀奈。

俺達は、ウォーターワールドのイベントで優勝した景品の沖縄旅行へ来ている。

俺にとって夏休み最後の週での、夏休み最大のイベントだ。

刀奈は婚前旅行と言い張っている。

まあ、その通りだし悪い気はしない。

むしろ嬉しかったりする。

とまあ、飛行機で2時間ほどして、俺達は沖縄の空港に到着した。

ちゃんとホテルの場所も事前に調べておいたお陰で迷うことはなかった。

ホテルの部屋は当然ながら2人部屋。

ベランダからは、沖縄の海が一望出来る。

「う~ん! いい景色!」

刀奈はベランダの窓を開け放ち、大きく伸びをしながらそう述べる。

流石沖縄と言うべきか、太陽の日差しが強く、青い海がキラキラと輝いている。

「じゃあ、早速泳ぎに行こっ!」

刀奈は待ちきれないと言わんばかりに俺を促した。





俺は水着に着替えて、目の前のビーチを眺めた。

ありきたりだがこう言おう。

青い海!

白い砂浜!

そして、その砂浜を埋め尽くす人! 人! 人!

流石にシーズンだけあって人の数が凄まじい。

『ねえ、お兄ちゃん。 お姉ちゃん遅くない?』

空が俺に話しかけてくる。

「確かに少し遅いかな…………?」

俺は、待ち合わせ場所で刀奈を待っているが、少し遅いなと感じる。

「空、ミステリアス・レイディの反応はどこにある?」

『んと、ちょと待ってね………………………あれ? お兄ちゃんから見て2時の方向。 距離は大体30mぐらいだけど…………さっきから動いてないよ』

空が不思議そうに言う。

俺が空に言われた方に向くと、

「ん?」

数人の男に囲まれた刀奈を見つけた。

あ~、所謂ナンパってやつね。

確かに刀奈ほどの美人ならナンパされてもしょうがないか。

俺にとっては面白くないがな!

俺は刀奈の方へ歩き出した。






【Side 楯無】




私は水着に着替えて盾との待ち合わせの場所へ向かってたんだけど………

「ねえねえ彼女~」

いきなり声を掛けられた。

「え? 私?」

そちらを見ると、3人の男達。

顔は俗にうイケメンって奴かな?

私は興味無いけど。

「君、今一人?」

「よかったら、俺達と遊ばない?」

男達はそう言ってくる。

これは紛れもなくナンパって奴ね。

「悪いけど、彼氏が待ってるの。 他を当たってくれる?」

私はそう言って断ろうとする。

けど、

「彼氏なんかほっといてさぁ~、俺達と遊ぼうよ」

「そうそう、俺達と遊んだほうがずっと面白いって」

男達は懲りずにそう言ってくる。

だけど、盾の事を何も知らずに馬鹿にするような物言いにムカっときた。

「私、あなた達なんかに興味無いの! どっか行ってくれる!?」

ついつい声を荒らげてそう言ってしまった。

私の言葉に頭に来たのか、男達の表情が険しくなる。

まずったなぁ。

穏便に済ませるつもりだったのに。

「この女! 優しくしてりゃつけあがりやがって!」

今の世は女尊男卑の世の中なので、普通の男が女に手を出せば唯では済まない。

けど、目の前にいるようなイケメンと言われる一部の男達なら話は別だ。

容姿が優れている男は、女達から優遇される傾向にある。

ある意味、女尊男卑の世の中になる以前よりも、容姿の優れた男の位は高いと言える。

男の手が私の腕を掴もうと伸びてくる。

私は、余り騒ぎは起こしたくなかったんだけどなあと思いながら、それに対処しようとした時、横から伸びてきた手に、男の手首が掴まれた。

「俺の彼女に、何か用ですか?」





【Side Out】




「俺の彼女に、何か用ですか?」

刀奈を掴もうとした男の腕を、咄嗟に掴んでそう言った。

なんか、他の男が刀奈に触ると考えただけでムカついて、体が勝手に動いた行動だった。

「なんだお前?」

男の1人が俺に睨みをきかせながらそう言ってくる。

以前の俺ならこれだけでもビビってたと思うが、刀奈の前でカッコ悪いところは見せられない。

「今言っただろ? 俺の彼女だってな!」

そう言い張る俺。

そう言った瞬間、

「「「ぎゃはははははははっ!!」」」

男達は一斉に笑い出す。

「おいおい、冗談も程々にしろよ!」

「そうそう。 何でお前みたいなパッとしない奴が、こんなカワイコちゃんの彼氏なんだよ!」

まあ、そう言いたい気持ちはわからんでもない。

「嘘じゃないわよ」

俺の後ろで刀奈が言う。

「彼は、私の彼氏よ」

真顔でそう言う刀奈。

「彼女~、こんなパッとしないやつより、俺達といた方が、絶対に楽しいって!」

男の1人が刀奈にそう言う。

「私が誰と付き合おうと、私の勝手でしょ?」

刀奈はそう言って、プイと横を向く。

「そういうわけだ。 大人しく諦めろ」

俺はそう言うと、掴んでいた男の腕を放す。

俺は刀奈の方に振り向こうとしたが、

「馬鹿にするな!!」

いきなりキレて殴りかかってきた。

何でキレるの?

意味わからん。

男は全力で殴りかかってきているが、その攻撃はISを纏ってなくても簡単に見切れる。

ぶっちゃけ、刀奈の模擬戦の攻撃の方が、体感的には遥かに速い。

殴りかかってきた右腕を体を右に逸らすことで避け、更に左腕で相手の右手首を掴むと相手のパンチの勢いを殺さずに後ろに引く。

つんのめった相手の右脇に、自分の右腕を差し込み、肘の内側に相手の脇が乗るようにすると、体を一気に捻り、相手を背中に担ぐ。

相手の足は地を離れ、勢いよく宙を舞う。

そのまま相手は一回転し、砂浜に叩きつけられた。

「がはっ!?」

相手は叩きつけられた衝撃で息を吐き出す。

「ゲホッ!? ゲホッ!?」

呼吸困難に陥ったのか、何度も咳いている。

すると、パチパチと拍手が鳴り、

「見事な一本背負いだったね」

刀奈が拍手をして扇子を開く。

そこには『見事!』の文字が。

「お前の特訓を受けてるんだ。 このぐらい出来ないと情けないだろ?」

俺はそういうが、

「そうだね。 でも、一本背負いなんて何処で覚えたの? 私は教えたこと無いんだけど…………我流にしては綺麗すぎるし…………」

刀奈の言葉に俺はギクリとする。

実はこの一本背負い、前世で柔道をかじったことがあるために出来た事だ。

つか、自分でもあれだけ綺麗に決まったことが不思議でしょうがない。

「ま、まあ、その話は後でな」

俺は話を中断し、男達に向き直る。

俺が男達の方を向くと、男達はビクリと体を震わせ後ずさる。

「で? お前らはどうする?」

俺がそう問うと、

「い、いや………なあ」

「あ、ああ………わ、悪かった。 謝るから許してくれ」

冷や汗を流しながら謝ってきた。

ま、いいけど。

「じゃあ、早くどっかに行ってくれ。 折角の旅行が台無しになる」

俺がそう言うと、男達はスタコラさっさと逃げるように立ち去った。

「やれやれ、のっけからとんだハプニングだな」

俺がそうつぶやくと、

「私はそうでもないかな?」

「ん?」

刀奈の言葉に俺は怪訝な声を漏らす。

「盾のカッコいいところが見れたし♪」

刀奈は笑みを浮かべてそう言った。

「あ~……まあ………うん………」

答えに困る俺だった。

ふと刀奈を見直すと、その水着は前のプールと同じく大胆なビキニ。

「そう言うお前も、そんな大胆な格好してるから変な男に声を掛けられるんだぞ。 元は最上級に良いんだから、少しは自重したらどうだ?」

「大丈夫よ。 前も言ったでしょ? 私は君のだって」

その言葉に、俺は顔を熱くしてしまう。

「フフフ………照れた?」

笑みを浮かべつつ俺の顔を覗きこんでくる刀奈。

このまま攻められっぱなしってのもシャクだ。

「………………ッ! だったら、俺のらしく俺の傍から離れるんじゃないぞ!」

俺は半ばヤケクソ気味に言うと、刀奈の肩を抱き寄せる。

「きゃっ!?」

互いに水着の為に、いつもよりも素肌の触れ合いが多く、俺は顔がどんどん赤くなっていることを自覚する。

刀奈の顔はよく見えないが、俯いていて、

「……………うん」

小さくそう頷いたのがわかった。

刀奈の素肌から感じる熱さは、刀奈の体温か夏の日差しの所為か。

それは本人にしか分からなかった。





あのあと、何とか再起動を果たした俺達は、気を取り直して沖縄の海を楽しむ。

やはり沖縄の海は綺麗で、潜って見渡すだけでもいろいろな景色が目に飛び込んでくる。

そんな中、水中を自由に泳ぎ回る刀奈を見て、まるで人魚のようだと思った俺は間違いではないだろう。

そのまま夕暮れ近くまで遊んだ俺たちは、ホテルへ戻り夕食を取る。

夕食はバイキング形式だったので、そこまでマナーに気を付けなくてもいいのは助かった。

一応元社会人として、最低限のマナーは学んでいるが、面倒だからな。




食事が終わって部屋へ戻り、風呂から出ると、刀奈はとんでもないものをカバンから取り出した。

それは、

「何でワインなんか持ってるんだよ!?」

俺は思わず突っ込んだ。

「え? 勿論飲むため?」

何で疑問形なんだよ!

「俺ら未成年だろうが!」

俺はそういうが、

「そんな硬いこと言わないの。 バレなきゃいいのよ」

刀奈は何時ものノリでそう言ってくる。

因みに、俺は前世では酒類は嫌いだった。

今世では、飲んだことがないからわからんが。

「お前なぁ~………」

俺は思わず呆れてしまう。

そう言っている間に、刀奈はグラスを取り出しワインを注ぐ。

「それに………ちょっとぐらい雰囲気出してもいいでしょ?」

少し頬を染めながらそう言ってくる刀奈。

俺はそれを聞くと一度ため息を吐き、

「……………今回だけだぞ?」

俺はそう言ってグラスを受け取る。

「ありがと………」

互いにグラスを差し出し、

「何に乾杯?」

俺がそう聞くと、

「私達が………出会えたことに…………」

刀奈はそう言ってグラスを当てる。

「「乾杯」」

カツンと音が響き、互いにグラスを口へ運ぶ。

そして、ワインを一口飲んだ瞬間、俺の意識はそこで途切れた。




















俺が次に気付いたとき、

「ん?」

窓の外は既に明るく、朝だということがわかる。

俺はいつの間にやらベッドに入っており、横になっている。

俺が体を起こそうとしたところで、右腕に何かが絡みついており、動かせない。

俺は、ボーっとする頭を動かし、右手方面を見ると、

「はい?」

思わず声を漏らした。

そこには、一糸纏わぬ姿の刀奈が俺の腕に抱きつきながら眠っていた。

………………………………………

何が起こった!?






その後、目が覚めた刀奈に、何故かジト目で見られつつも、今日の予定を決めることにする。

そこで刀奈が提案してきたのが、

「盾、これに出てみない?」

そう言って刀奈がチラシを見せる。

そこには、

「え~っと…………『熱血! 夏の沖縄スポーツビーチバレー大会!!』…………本日開催、飛び入り参加自由…………優勝賞金10万円………って、スゲェなおい」

更に読み進めていき、ルールに目を通すと、

「基本的なルールは通常のビーチバレーと同じく2VS2のラリー制。 ただし、各スポーツで使われる道具の使用は自由…………って、なんだこりゃ?」

ルールの意味がイマイチよくわからないが、刀奈はやる気なので参加することにした。





そして、ビーチに設置された会場にて、

『さあ! 熱血! 夏の沖縄スポーツビーチバレー大会!!の始まりだぁ~~~~!!!』

司会のお姉さんがマイクを持って叫ぶ。

「「「「「「「「「「ワァアアアアアアアアアアアアアッ!!!」」」」」」」」」」

一気に盛り上がる会場。

因みに、司会のお姉さんは、いつぞやのプールの司会のお姉さんと同じく大胆な水着を着ている。

『今回の大会には、飛び入り参加も含めて16組の選手達が戦うぞ!! 存分に盛り上がっていこ~~~~~!!!』

「「「「「「「「「「ワァアアアアアアアアアアアアアッ!!!」」」」」」」」」」

『さあ! 時間も押しているので早速1回戦を開始しましょう! 第1回戦は…………』

いきなり1回戦から呼ばれたので、俺と刀奈はコートに入る。

続いて、相手チームがコートに入るが、その格好に俺は固まった。

何故なら、ビーチバレーなのに、相手の格好は、面、胴、小手を付け、更には竹刀を手に持った完全に剣道をやる格好だったからだ。

どういう事?

『さて、ここでルールの再確認です。 簡単に言えば、ボールを相手のコートに落とせば得点になります。 タッチは通常のバレーと同じく3回まで。 準決勝までは、5ポイント先取のラリー制となります。 ただし、デュースは無し。 そして、ここからがこの大会特別ルール! 他のスポーツで使われている道具なら、どんな物でも使ってOK! ただし、相手に直接怪我をさせる様な行為は厳禁とします』

なんじゃそのルール?

『では、早速第1回戦………始め!』

よくわからん内に始まってしまった。

とりあえず俺達の先行で、サーブは俺から。

俺は無難に相手のコートに確実に入れるサーブを打つ。

ボールは普通に飛んで行き、相手の1人の真正面へ。

俺は、相手が普通にレシーブすると思っていたのだが、

「突きぃっ!!」

何と相手はボールに突きを放った。

何でだよ!?

そして何故かボールは上手い具合に真上に上がる。

もう一人が何故かすり足でボールの落下地点に入り、

「めぇぇぇぇん!!」

その場で面打ちを放った。

ジャンプはしなくても竹刀の長さでネットの高さを超えるため、普通にスパイク並みの威力のボールが飛んできた。

「なんのっ!」

だが、刀奈が瞬時に反応し、ボールを拾う。

「ナイス!」

俺はそう言ってボールの下に回り込み、トスを上げる。

そこに刀奈が走り込み、

「てやっ!」

見事なジャンプとスパイクを見せた。

そのボールは、相手の左側に決まりそうな勢いだった。

だが、

「胴ォォォッ!!」

胴打ちを放った相手の竹刀がボールにぶつかる。

そこで、俺はふと思った。

バレーボールのスパイクは、実際はかなりの重さになる。

対して、竹刀とは相手に怪我をさせないように作られたもので、強度もさほど高くない。

その2つがぶつかり合ったとしたら、

――バキッ

そんな音を立てて竹刀が真っ二つに折れてしまった。

ま、そらとーぜんだわ。

そこで、俺はようやくまともなバレーになるかと思いきや、相手は項垂れたまま動かない。

俺がどうしたのかと思ったとき、

「……………我らの負けだ………武士の魂が折れてしまった……………」

何か相手が降参の意を示した。

っていうか、竹刀でバレーボールしようとするな!

せめて木刀にしとけ!

俺は心の中で突っ込んでおく。

何だかんだで相手の棄権で1回戦を勝ち進んだ俺達。

2回戦目はバットを持ち、野球帽とユニフォームを着た、見るからに野球選手の格好をした2人。

だから、そんな格好でできるのか!?

まあ、さっきの剣道の2人よりかはマシだと思うが…………

俺は気を取り直してサーブを打つ。

すると、

「フッ…………コースが甘い! 絶好球だ!!」

相手がそう叫び、バットを野球打ちでフルスイング。

ボールはバットの芯にジャストミート。

おい、そんな事したら………

ボールは物の見事に弾き返され、俺達の頭上を超えて観客席の中へ消える。

「フッ…………ホームランだ」

相手はカッコよく決めているのだろうが、

「いや、アウトだろ?」

俺は思わず突っ込む。

審判も、当然ながらアウトの判定をしていた。

そのまま試合の続きを行うも、俺の打ったサーブを全て観客席にホームランにするため、5点先取となって俺達の勝利だった。

3回戦準決勝の相手はサッカー選手だったのだが、今までの中ではまともな試合だったのだが、相手は決して手を使わず、足と頭だけでバレーをしていた。

結局、相手はスパイクを打てないために俺達の勝ちとなった。

早くも決勝の4回戦となる。

『さあ! 白熱してまいりましたこの大会もいよいよ決勝戦です! ここで選手の紹介をしておきましょう。 まずは観客からの飛び入り参加! 破竹の勢いで勝ち上がってきた男女のカップル! 何でこんなパッとしない男にこんな美女が!? まさに美女と草食獣! 凸平でこひらチーム!!』

美女と野獣にも凸凹にもならないつまらん男とあの司会者は言いたいのか?

というか、破竹の勢いというが、ある意味向こうの自爆だからな。

『一方の対戦相手は今大会の最有力候補! 2人の女軍人! ミリタリーチーム!!』

おいこら!

今までの相手とは全然違うじゃねえかよ!

俺は、ネット越しに相手チームを見る。

体はしっかりと鍛えられており、所謂マッチョウーマンってやつだ。

あれ?

何か既視感?

相手チームが俺を見た。

「はっ! 貧相な男!」

「男のクセに調子乗ってるんじゃないわよ! 大体勝ち進めたのだって、運が良かっただけでしょう!」

うわー。

諸に女尊男卑思考の女だった。

とりあえず、試合開始の合図が鳴ったので俺は構える。

因みに決勝は、10点先取だそうだ。

相手のサーブ。

「はっ!」

相手がサーブを打つ。

狙いは俺。

しかも、結構速い!

「ぐおっ!」

何とかレシーブで受け止める。

「盾!」

上がったボールを刀奈がトスする。

俺は走り込んでスパイクを打った。

「でやっ!」

俺の打ったボールは、相手のコート隅に決まる。

普通なら喜ぶべきところなのだが、

「何で動かない?」

俺はそう言う。

そう、相手はサーブを打ってから一歩も動いていなかった。

すると、

「あら? 結果は分かりきってるのだから、ハンデをあげようと思っただけよ?」

「そうそう。 大サービスで5点までは何もしないであげるわ。 本当なら、9点まであげてもいいのだけど、パートナーが心配性だからね」

思いっきり舐められてました。

「どうする?」

俺は刀奈に尋ねる。

「向こうは何か策があるようね。 そうでなきゃ、いくら女尊男卑思考でも、あそこまでの余裕は持たないわ」

刀奈はそう言う。

「とりあえず、取らせてくれるって言ってるんだから、ここは貰っときましょ」

「ん」

俺は頷いてサーブを打つ。

俺の軽く打ったヒョロヒョロのボールでも、相手は拾わずにサービスエースになる。

本当に5点までは、相手は何もせずにいた。

そして、5点目を取った時、相手2人の口元が釣り上がる。

「さあ、サービス期間は終わりよ。 男なんて女には絶対に敵わないことを教えてあげるわ!」

そう叫ぶ相手。

俺は、今度は強めにサーブを打った。

その瞬間、相手選手が光に包まれ…………

「はっ!」

軽々とボールを空高く打ち上げた。

更に、もう一人が空高く飛び上がり、思い切り打ち下ろす。

俺に向かって。

「うぉおおおおおおおっ!?」

俺は咄嗟に横っ飛びして…………………そのボールを避けた。

――ズドォォォォォォォォン!!

ボールが地面に着弾した瞬間、周りの砂を大きく巻き上げる。

ボールの着弾地点は、直径2mほどのクレーターのような形になっていた。

俺は思わず相手選手を見る。

IS『ラファール・リヴァイブ』を纏った相手達を。

「待てコラ!  そんなのありかよ!? 司会者!! あれはルール違反じゃないのかよ!?」

俺は思わず叫ぶ。

『ルールでは、他のスポーツで使われている道具なら、どんな物でも使ってOK! ただし、相手に直接怪我をさせる様な行為は厳禁とします。となっているので、現在はISもスポーツの一環です。 ルール的には問題ありません』

司会者は飄々と言ってのける。

なんちゅう屁理屈。

「それにお前ら! 特定の場所以外でのISの展開はアラスカ条約で禁止のはずだろ! 軍人が規律破っていいのかよ!?」

今度は相手選手にそういうが、

『それも問題ありません。 今大会中に限り特例でISの展開も許可されております』

そう言いながら許可証を見せる司会者。

どういうコネだ!?

ふと、先程から何も言わない刀奈が気になり後ろを向くと、先程着弾したボールをまじまじと観察していた。

「どうした?」

俺が尋ねると、

「うん。 ISのスパイクを受けても割れないボールに都合が良すぎるISの使用許可証…………多分、運営と相手チームはグルね」

刀奈からそう聞いて、俺は妙に納得した。

「なるほど、賞金を渡したくないわけね…………で? どうする?」

俺が聞くと、刀奈は笑みを浮かべ、

「当然、勝ちに行くわよ!」

強気な刀奈に俺は苦笑する。

「ははは………りょーかい」

そして、俺は空に呼びかけた。

(空、ボールの着弾の瞬間に着弾部分に一瞬だけシールドバリアを展開してくれ。 あと、ハイパーセンサーも)

(わかったよ、お兄ちゃん!)

それからコートを慣らし、試合が再開する。

相手がサーブの為に上へボールを放り投げ、

「さあ、泣き喚きなさい!」

生身では絶対に打てないような豪速サーブが放たれた。

それは一直線に俺に向かってくる。

俺はそれを……………

「ぶっ!?」

顔面で受けた。

まあ、シールドバリアのお陰で痛くはないんだが。

そのまま俺は後ろに倒れ、ボールは真上に上がる。

そうなるように調整したんだがな。

「アハハハハハハハハッ!? 最っ高! 顔面レシーブよ!」

「男のクセに調子に乗るからそういうことになるのよ!」

相手は大笑いしている。

が、

「あら? 何をバカ笑いしてるのかしら?」

刀奈が静かに言った。

「何?」

相手は怪訝な声を漏らす。

「まだ、ボールは生きてるわよ」

刀奈は空高く上がったボールを指さしながら言う。

「はっ! だからなんだってんだ!?」

「そうそう! 一回ぐらい上がったからって、アタシ達に勝てるわけないじゃない!」

相手は未だに調子に乗っているが、

「あら? それはどうかしら?」

刀奈は不適な笑みを漏らし、

「ミステリアス・レイディ!!」

ISの名を叫びながら空高く舞い上がった。

「「『なっ!?』」」

相手選手と司会のお姉さんが驚愕の声を漏らす。

そんな間にも、ミステリアス・レイディを纏った刀奈はボールに追いつき、

「必殺! 分裂魔球!!」

スパイクを打つと同時に、水でボールのダミーを作った。

合計5つのボールが、猛スピードで急降下してくる。

「なっ!? どれが本物!?」

相手は本物を見極めようとするが、普段でも騙される水のコピーが、こんな短時間で見極められるわけがない。

結局は立ち往生して5個全てコート内に落ちた。

「ISを使えるのが、自分達だけと思ったのは、失敗だったわね」

刀奈がゆっくりと空から降りてくる。

「せっ、専用機!?」

ミステリアス・レイディを纏う刀奈を見て、相手が驚愕する。

「そ、そういえばあの顔どこかで………」

「も、もしかして、あの人って、ISのロシア国家代表の更識 楯無じゃない!?」

観客がざわめき出す。

流石刀奈。

知名度も高いらしい。

「じゃあ、あの男の子って、もしかして男でISを使えるっていう織斑 一夏!?」

違うぞ。

俺は心の中で突っ込む。

「それは違うわよ。 雑誌で見たけど、織斑 一夏はすっごいイケメンで、あんなパッとしない男の子じゃなかったわよ」

フツメンで悪かったな。

まあいい。

「こ、国家代表が相手!?」

相手が焦りだす。

「お、落ち着きなさい! いくら国家代表でも、1人じゃバレーはできないわ! さっきの男は顔面レシーブで気絶した…………」

そこまで言いかけたところで、俺は体を起こした。

いい加減砂浜に倒れてるのも熱かったしな。

「う、嘘………」

「何で立ち上がれるのよ………」

そりゃ、シールド張ってましたから。

「さ、試合を再開しましょ」

刀奈がニヤリと笑いながら、死刑宣告と言わんばかりの言葉を投げかけた。





その後は当然ながら俺達の勝利。

見事賞金ゲットとなった。

とは言っても、俺は体を張った(様に見せた)レシーブをして、刀奈が全て決めただけだがな。

まあ、思わぬ軍資金も手に入れたことだし、それなりに土産を奮発出来るようになったわけだ。

ホテルに戻ると、丁度夕食の時間であり、レストランで食事をとる事に。

今日のディナーはフランス料理。

つまりはテーブルマナーを守らなければならない。

面倒だと思いつつも、前世で学んだテーブルマナーを思い出しながら食事を取る。

因みに椅子に座るときは、ちゃんとレディファーストで椅子を引いてやった。

刀奈はいい所のお嬢様なので、テーブルマナーは完璧だった。

すると、食事の最中に刀奈が話しかけてくる。

「盾ってさ、何げに大人っぽいよね?」

「は?」

刀奈の言葉に、俺は首を傾げる。

「今だって、テーブルマナーはキチンと守れてるし、テーブルに着く時も、ちゃんとレディファーストを理解してたし。 普通の高校1年生は、そんな事気にしないと思うんだけどな?」

まあ、これでも元社会人ですから。

「ま、自称精神年齢45歳だからな」

俺はそう言っておく。

「前にもそんな事言ってたけど、精神年齢45歳ってどういう意味?」

何か突っ込まれた。

「ん? 別に言ってもいいんだけど、絶対に頭おかしいとしか思われないからなぁ………」

前世の記憶があると言っても、精神異常を疑われるだけだろう。

「思わないよ!」

そんな考えを否定するように、刀奈が強く言った。

「どんな馬鹿なことでも、私は盾を信じる!」

刀奈の目は真剣だ。

「だから教えて、盾の事……………私は盾の事を、もっと良く知りたいの」

そう言ってくる刀奈に俺は1回息を吐く。

「刀奈はさ…………輪廻転生って知ってるか?」

俺は初めにそう聞く。

「それって、生き物は死んだら、また別の生き物になって生まれ変わるって奴だよね?」

「そ。 で、俺はその考えの生き証人ってわけだ」

「え? 生き証人?」

俺の言葉の意味が分からなかったのか、刀奈が首を傾げる。

「簡単に言えば、俺は前世の記憶を持ってる。 前世で29歳中ぐらいで死んで、今の俺に生まれ変わって15年ちょい。 合わせて45歳だ」

「………………………」

刀奈は呆然としている。

「流石に信じられないだろ?」

こればっかりは信じてもらおうとも思わない。

俺がそう言うと、

「…………………信じるよ」

刀奈はそう言った。

俺は驚いて刀奈を見る。

「今の盾、軽い感じがするけど、嘘を言ってるようには見えないもん」

そう言って刀奈は笑う。

「そうか…………」

俺も釣られて笑った。

「で、ちょっと気になることがあるんだけど………」

「何だ?」

刀奈はちょっと言いにくそうにしていたが、

「盾は前世で………その…………結婚とか………してたの?」

不安そうにしながらもそう聞いてきた。

俺は思わず微笑ましくなり、

「残念。 彼女いない歴=年齢だったよ。 前世も………今世も…………というより、お前が本当の初恋相手さ」

そう言ってやった。

「そ、そうなんだ…………嬉しい」

刀奈ははにかんだ笑みを見せる。

それを見て、俺も嬉しくなる。

俺は初めてこの世界で自分の秘密を他人にバラした。

とは言っても、原作云々は墓の中まで持っていくつもりだ。

未来の情報なんて、知らないほうがいい。

とは言っても、残り数ヶ月しか無いがな。

こうして、刀奈との絆をまた一つ深めた夜は過ぎていった。








あとがき


第十九話の完成。

沖縄旅行1、2日目をお送りいたしました。

オリジナルの割にはそこそこ書けたんじゃないかと思います。

1日目の夜には何があったのか?

知りたい人は十三話の暗号の先へ。

さて、次はどんな話を書こうかな。

では、次も頑張ります。




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