<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

その他SS投稿掲示板


[広告]


No.37185の一覧
[0] 【完結】一夏がついてくる【IS】[コモド](2014/01/23 06:57)
[1] 一夏がついてきた[コモド](2013/04/10 22:03)
[2] 一夏がついて……?[コモド](2014/01/23 06:56)
[3] 一夏がついてこない[コモド](2013/04/11 22:03)
[4] 一夏がついてない[コモド](2013/04/16 22:58)
[5] 一夏がやってきた[コモド](2013/10/06 00:38)
[6] 一夏がやってこない[コモド](2013/04/15 23:38)
[7] 一夏がやって……?[コモド](2013/04/16 23:20)
[8] 一夏がやった[コモド](2013/04/19 23:48)
[9] 一夏とやった[コモド](2013/04/29 23:08)
[10] 一夏がついてくるの?[コモド](2013/04/29 23:10)
[11] 一夏がついてきてもいいのか!?[コモド](2013/04/29 22:58)
[12] 一夏がついてきたのか[コモド](2013/05/03 20:05)
[13] 一夏がついてこなくてもいいや[コモド](2013/05/11 01:09)
[14] 一夏がついてたらいやだ[コモド](2013/05/19 19:17)
[15] 一夏とした[コモド](2013/12/13 02:38)
[16] 一夏と真夏の夜の悪夢[コモド](2013/06/06 19:33)
[17] 一夏と真夏の夜の白昼夢[コモド](2013/06/06 19:13)
[18] 一夏と真夏の夜の 夢[コモド](2013/12/13 02:44)
[19] 一夏と真夏の夜の淫夢[コモド](2013/09/08 16:09)
[20] 一夏と一夏のアバンチュール[コモド](2013/09/16 13:43)
[21] 一夏と一夏のあいだに[コモド](2013/09/16 13:35)
[22] 一夏と一夏の終わりに[コモド](2013/09/25 00:28)
[23] 一夏がついてきてほしい[コモド](2013/09/25 00:28)
[24] 一夏がついてこないから一夏になる[コモド](2014/01/23 07:24)
[25] 一夏がついてこないからいけないんだよ[コモド](2013/10/06 00:54)
[26] 一夏がついてこないから……[コモド](2014/01/10 01:03)
[27] 一夏がついてくるっつってんだろ![コモド](2013/12/13 02:58)
[28] 一夏がついてこい[コモド](2013/12/22 17:24)
[29] 一夏と[コモド](2014/01/10 02:47)
[30] みんながついてくる[コモド](2014/01/25 05:54)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[37185] 一夏がついてきてほしい
Name: コモド◆82fdf01d ID:e59c9e81 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/25 00:28
 屋上で風に吹かれていた。黄昏れていた。足元が不確かで地震が起きているような眩暈がする。
 おれは、先ほどの出来事を振り返った。会長が婚約者になった。将来的に結婚して、会長の家におれが入婿としてマスオさんになるらしい。
 幹事長が去り、会長と二人きりになった際の会話が蘇る。

『会長、何で……』
『……臨海学校の時に話したこと憶えてる? 見合いの話が来たってこと。あれ、本当だったの』

 訥々と俯きがちに語りだす会長に、薄れていた記憶が掘り返された。
 会長の妹に見合いの打診をされて会長が身代わりになった。そういう『冗談』だった筈だ。

『榛名くんが知らない女の子と急にお見合いしろ、なんて言われたらどうする? 私は断ったの。どこの馬の骨とも知らない男と結婚なんてできるか、させるかってね。
 でも、学年別トーナメントで君を見て、護衛の依頼をされた時は断らなかった。興味があったの。妹を倒して決勝まで進んだ男の子のことを』

 会長との初対面を思い出す。渋々と納得して部屋に戻ったら裸エプロンもどきの格好で出迎えてきたから、ハニートラップだと確信した。
 実際はシャルロットと同じ耳年増で、お姉さんぶって艶やかな振る舞いをしてただけで中身は純な人だった。
 おれを気遣って、空気の読めない人を演じてくれていた。でも、今回は――

『冴えない子だって思った。でも、友達の為に命を投げ捨てたり、辛くても強がって笑ったり、弱いところを見てたら、だんだん放っておけなくなって……
 いつも、君のことを考えるようになってた』

 格好いいところなんて見せた覚えなんてない。情けなくて、逃げてばかりで、頼りない男だった。
 終いには女性に連れ去られて襲われかけ、挙句の果てにその人に過去に調教されていたことまで発覚した奴だ。惨めにも程がある。

『……篠ノ之博士に言われた時、気づいたの。本心を見せないで接して、伝わるものなんてないって。だから、包み隠さずに言うね』

 重篤にも程がある。会長はおれを正面から見据えて、

『私の本当の名前は、更識刀奈。刀奈は、榛名くんのことが好きです。好きになってました』

 愚直にも程がある。バカ正直にそんなこと言われても、困るだけだ。おれの器の小ささくらい知ってるだろうに。

『断った見合いの話を正式に受けて、実家の権力を使って榛名くんの婚約者にしてもらったの。これが、私が榛名くんを守るためにできる、私なりの精一杯。
 卑怯って誹られても、榛名くんの意志を無視したことを罵られても仕方ないと思う。でも、これが私の力でできた最善の方法だったの』

 会長の言いたいことも理解できる。自分の現状が把握できてないほど愚昧ではない。
 ただ、心の準備とか、格好つけたことの惨めさとか、これからとか、思考が複雑に絡み合って納得できなかった。したくなかった。

『悪ふざけだって思ってる? 仕方ないよね。今までの私は、冗談めかして逃げてた。でも、もうしない。榛名くんと向き合う。好きだから』

 ただ、涙を湛えて告白する顔は、否定する余地もない程に可愛くて、おれは押し黙るしかなかった。





「はぁぁあああぁぁぁああああああ……!」

 フェンスに手をかけたまま、床に長い溜息をつく。沈鬱な気分に地面に沈み込みそうだ。
 自分の立場を考慮すると、おれは断ることができない。
 おれの身柄は日本政府が預かっていることになっている。既に親が他人として放逐されいる現状では、名目上の保護者は現・総理大臣だ。
 つまり、政府にとって都合の良いコマとして飼われている、と言い換えてもいい。
 政府としては有力者の縁者としておれを取り込み、IS男性操縦者の遺伝子を確保したかった筈だ。
 その候補の一つとして会長の家があって、会長の家は権力もあって多少の融通が効いた。
 会長の狙いはおそらく、おれを匿って、政府のオモチャにされるのを防ぐこと。。
 どこの誰とも知らない有力者の娘の入婿になって、政争の要としてたらい回しにされていた可能性もある。
 冷静に考えれば、これが最善の、IS操縦者になってしまった金剛榛名が平穏に暮らせる人生なのだろう。
 おれを想い、様々な手段を弄してくれた会長への念も芽生えている。
 でも……

「よりによって今かぁ――」

 まだ十五歳だ。結婚できる年齢でさえない。早いほうが都合の良かったのも、裏で行われた駆け引きの壮絶さを想像するに理解できる。
 理解はできるが、納得したくなかった。
 誰かに相談したくて、おれは何故か一番遠い友人の弾に電話をかけていた。

『もしもし? どうしたん、榛名』
「あのさ、相談に乗って欲しいんだけど」
『おう、いいぜ。大船に乗ったつもりで話せよ』

 鷹揚に了承してくれた弾に感謝し、現状を簡潔に話した。

「相部屋の一つ年上の美人で巨乳の生徒会長と婚約者にされて困ってるんだ。おれはどうすればいい?」
『リア充は死ねッ!!!!!』

 怨嗟の怒号とともに通話が途切れた。そうだよな、おれも弾の立場だったら、こんなこと抜かす奴は殺してた。
 胃に冷ややかなものが流れ、さらに鬱屈として蟠る。吐きそうだ。
 不安は将来だけではない。おれが結婚相手が決まったなんて知れたら、暴動を起こしそうな人物に二人心あたりがある。
 一人は静かに泣いて受け入れそうな気もするが、世界で一番恐ろしい兎さんに至っては、弾みで全世界を恐慌状態に陥れそうな予感がある。
 自惚れでもなく、杞憂で終わる気がしないのだ。今にもおれを拉致して、人の近寄らない土地で死ぬまで暮らそうとかいいそうじゃないか。
 つーか、今にも攫いに来そうじゃないか? あの人の情報網を考えたら。
 そう暗澹とした感情に悩まされていると、不意に屋上の扉が開いた。

「うわああああああああああああああっ!」
「っ!? な、ななな、なに……?」

 恐怖のあまり絶叫してISで逃げようとしたが、束さんではなかった。空色の髪に眼鏡をかけた華奢な少女だった。
 どこかで見たような……

「あ、会長の……」

 臨海学校での早朝の出来事が蘇り、思わず口を突いた単語に、少女は驚愕の表情を憤怒の色に染めた。
 睥睨され、腰が引ける。おれが何かしたか、と関係を詮索すると、学年別トーナメントで負かした相手で、日本の代表候補生である彼女のIS開発機会を奪った当人だという、憎まれても致し方ない事実を思い出す。
 そんなにおれが憎かったのか。冷や汗を掻いていると、少女が口を開いた。

「あ、あなたは……姉さんと、結婚……するの……?」

 吃り、タジタジとした語調で尋ねられる。人見知りなのだろうか。おれも今しがた知らされた婚約の報について既知なことに目を瞬かせたが、会長の妹だから、もう耳に入っていてもおかしくない。

「……あー、どうだろう……」

 彼女の問いに答えようとするが、曖昧に濁すことしかできない。斜め下に目を移し、答え倦ねるおれに少女のきつい声が降り注ぐ。

「わ、私は、姉さんが誰と付きあおうがどうだっていい。あなたが、身内になることも……興味ない。干渉しないで。それだけ……」

 踵を返す。もしかして、それだけを言いに屋上までおれを追って来たのだろうか。相当に嫌われているんだな。

「そう言われても、なあ……」

 精神的に参って、フェンスにもたれた。小姑になるかもしれない人の辛辣な言葉は堪えた。
 空に薄墨が流れて、斜陽の朱色も山稜の奥に消えてゆくのを眺める。
 部屋に帰りたくなかった。



 寮の廊下をトボトボと歩いていると、部屋着ののほほんさんと谷本さんに遭遇した。

「やっほ~こんこん」
「今日はいつにも増して暗いね。どうしたの?」
「夏休みが終わっちゃうからだよ~。私も泣きたい~」

 重い足取りと辛気くさい顔で、また心配されてしまう。そうか、もう夏休みも終わりか。
 一ヶ月もあったのに、あっという間に過ぎてしまった。きっと、中学の三年間と一緒で、学園での三年間も、瞬きのように終わって、人生の岐路に立たされてしまうんだろう。
 そしておれは――

「ウップ……吐きそう……」
「は!? ちょ、ちょっとちょっと! 大丈夫っ?」
「こ、ここで吐いちゃダメぇ~!」





「すいません、迷惑かけて……」
「いいよいいよ、私たちとこんこんの仲じゃない~」
「二泊もさせたことあるし、今更いまさら」

 おれの豆腐メンタルがおれの頭にぶち当たって崩壊したのを、二人の自室で介護してもらった。
 一夏より精神が強いとか大言壮語をはいた少し前のおれを殴りたい。自販機で買ったミネラルウォーターのペットボトルを煽る。
 一夏なんて何人もの女の子に言い寄られても平然としているのに、おれは板挟みになっただけでご覧の有様だ。
 おまけにこれから兎さんも乱入してくるとなると、またカウンセリングに通うことになるかもしれない。

「それで、なにかあったの?」

 谷本さんの、普段の野次馬精神に拠るものではない、慈しむような声音に気が少し楽になる。
 彼女のこうした気遣いは、本当にありがたい。

「えーと……」

 しかし、話していいものか。弾はIS学園の部外者であったから話せた。が、内情を知る谷本さんに話して、噂が広まると……
 想像もしたくない未来が浮かぶ。言い淀むおれにのほほんさんが言った。

「もしかしてー、たっちゃん会長との婚約のことで悩んでるの~?」
「何で知って――」
「えっ、なにそれ! ど、どういうことよ本音!」

 おれに先立って狼狽した谷本さんがのほほんさんに掴みかかる勢いで問い質す。
 頭をグワングワンと揺らされながら、間延びした声が答える。

「わ、私は会長の家に代々仕えてて~。お姉ちゃんが会長についてるの~。だからそれ経由で聞いて~」
「だからって何で生徒会長!?」
「谷本さん、落ち着いて……」
「きゅー」

 振り回され過ぎて目を回すのほほんさんを見かねて、谷本さんを引き剥がして事情を説明した。
 知られた以上は黙る必要もない。谷本さんとのほほんさんは、クラスでも特に仲の良い友人だから、隠し事をするのも抵抗があった。
 おれの事情と会長の考え……おれへの告白だけは心に秘めて、それ以外を包み隠さず話した。
 ……会長が自ら見合い話を進めたことは、悪印象を与えかねないのでボカしたが。
 話し終えると、谷本さんは感嘆とも、呆れともとれる長い息を吐いた。

「なんていうか、金剛くんの人生って振り回されてばかりなんだね」
「ひとことで言い表されると泣きたくなるよ」

 入学前は束さんに振り回されて、入学してからは一夏に振り回されて、今は同居した女の子に振り回されている。情けない人生だ。
 谷本さんは腕を組んで、むむむと頭を悩ませる素振りをした。

「でも、生徒会長の思惑も理解できるのよ。釈然としないけど」
「それは我々が女だからですぞ、谷本殿~」

 谷本さんを真似て腕を組んで、気が抜ける声を出すのほほんさん。谷本さんはのほほんさんを向いて、ちょっと不機嫌そうに唾を飛ばした。

「だって、立場を利用して金剛くんを掠め取ったようなものじゃない、これ! 漫画だったら金剛くんは好きでもない相手と親の都合で無理やり政略結婚させられるヒロインよ!?
 こんなの男の子だって嫌だよ!」
「漫画だと、最終的にヒロインは平凡な主人公と結婚するけどー。それが本当に幸せかわからないよね~?
 漫画は結ばれるところまでしか描写しないもん。お金持ちなヒロインが生活水準を下げられて耐えられなくなったり、主人公が他のヒロインからの誘惑に負けて浮気するかもしれないのに~。漫画だと、その方が面白いから結ばれるけど、本当にそれがヒロインにとって幸せで正しいかなんて、誰にもわからないんだよ~」
「それは、そうだけど……」

 女の子扱いされていることに疑問があったが、のほほんさんの口から語られた正論に谷本さんも感情で喚き散らすことをやめた。
 そう、誰だってわかっている。幸せの形はひとつじゃないとか綺麗事があるけど、世界が相手と自分だけで成り立ってない以上、最高の結末なんてないんだ。
 はじめは誰でも初恋の人と結ばれたいはずだ。けれど、それが叶うことなんて稀で、付き合いを重ねて、年を重ねて、自分の背丈に見合った人に妥協してするのが世間的な結婚に至る過程だ。
 結婚に踏み込む度胸も今の御時世では、相当の勇気がいる。子供ができたとか、そういう機会がなければダラダラと恋愛を続けるケースも珍しくないと聞く。
 おれもそういう世界で生きてきた人間で、まさか会長のような名家の女性と許嫁のような関係になるなんて、想像もしなかった。

「そもそも、おれじゃ会長と釣り合わないよね」
「釣り合うとか、女の子は気にしないよ」
「男はするんだよ」

 でなければ格差婚なんて言葉は生まれない。男は面子を大事にするから、女に比べて不甲斐ない自分に耐えられなくなる時が必ずくる。
 愛は冷める。束さんが言っていたが、恋愛は火と同じだ。勢いが強いとどんな障害も薪に変えて燃やしてしまうが、鎮火して残る燃え滓も膨大だ。
 漫画でヒロインの美少女は、愛を優先して凡庸な主人公と結ばれるが、金持ちで美形の男と結婚した方が幸せな人生を歩めたのではないか。
 ネガティブの極みに至ったおれは、そんなどうでもいいことまで考えてしまう。

「おれが一夏なら、こんなことで悩まなくていいのに……」
「織斑くんは、そんなこと考えもしない、が正解じゃないかな」
「いや、まずおれと一夏じゃ、男としての器が違うから」

 おれは手にするペットボトルの蓋を取った。

「いい? これがおれの器だとすると……」
「ちっさ!」
「お猪口より小さいんだー」

 おれはバスルームに向かって、浴槽を指さした。

「一夏の器はこれくらいだ! デッカイだろ!」
「そうだね~」
「ペットボトルの蓋と比べたらね……」

 白けた眼差しを見つめられて、居た堪れなくなる。ペットボトルの蓋は5mlしか入らないんだから、もう規格外に違うだろ。
 谷本さんは可哀想なものを見る眼差しを、不意に悲しげなものに変えて、伏し目がちに言った。

「金剛くんは、婚約に納得してないんでしょう?」
「……まあ」
「なら、考えようよ。不本意な相手と強引に結婚させられる未来を変える方法を。こんなの誰も幸せにならないよ」

 訴えかけるような目で言われたが、返事はできない。現実的でないし、学生の身分、おまけに国の子飼いの身でできることなんて敵を闇雲に増やす方法しかない。
 何も言わない、言えないおれに代わって、のほほんさんが、相も変わらず緊張感のない声で口を開いた。

「私は~反対かな~。こんこんが政治の道具にされなくなるし、それに私は会長の味方だから~、会長の気持ちを応援してあげたいし~」
「は? どういうこと? 政府が持ってきた話に渋々生徒会長が了承したんじゃなくて、生徒会長が主導して婚約を決めたの?」
「うん。会長もらしくなく悩んでたけどー」
「~~~っ! じゃあ尚更許せないわよ! やり口が汚い! 好きなら正々堂々とみんなと同じ土俵で勝負すればいいじゃん!」

 激高する谷本さんに対し、おれが黙っていたことを悉く口を滑らせるのほほんさんは、対照的に落ち着いていた。
なだめるように気の抜ける笑顔で、

「そりゃ~こんこんを好きなゆこちーには我慢ならないだろうけど~」
「えっ?」
「うわ! ばっ! なに言ってんのよこのおばか!」

 思いもよらない言葉に愕然とし、谷本さんを見つめる。その谷本さんは、先程から口の緩いのほほんさんの首を絞めて、半ば錯乱しながら叫んだ。

「ち、ちがうから! 金剛くんが好きってわけじゃなくて、ガールズトークで織斑くんと金剛くんならどっちが良い? って話になったときに金剛くんの方がいいな、って思っただけで!
 別に恋人になりたいとかお付き合いしたいとか妄想したりとかするわけじゃないから!」
「あ……うん。わかったから、のほほんさんを解放してあげたら? 顔が土気色に……」
「きゃああああ! だ、だいじょうぶ本音ぇ!?」

 ……そういえば、IS学園では、同性愛に走るとかがない限り、女の子にはおれと一夏しか選択肢がないんだよな。
 中には、一夏の競争率の激しさにおれを選ぶ人もいるのかもしれない。安定志向の強い堅実な人だろう。
 騒がしい。でも、その騒がしさに鬱屈とした胸中の蟠りが、少し解消された。こういう時に友人のありがたみを知る。
 復活したのほほんさんが言った。

「でも、会長が立候補しなきゃ、遅かれ早かれ、他の誰かに決まってたんだよ。身内にIS男性操縦者がいるって凄いアピールになるし~。おりむーと違ってこんこんには織斑先生みたいな後ろ盾がないからー」
「本音の言いたいことはわかるけどねー。どうしてもねー」

 谷本さんの言いたいことも、のほほんさんの言い分もわかる。
 色々な思惑が錯綜して複雑になった中で、何もしなかったおれのもとにこうしてお鉢が巡ってきただけだ。
 ただ、おれが此処にいる原因をつくった人は、どうするつもりなのか。天才を称する兎さんの顔が浮かんで、

「……シャルロットは、これ聞いたらどう思うんだろ」

 先日、らしくなく格好つけた少女の笑顔が浮かんで、なかなか消えてくれなかった。




あとがき
モッピー「モッピー知ってるよ。ホモなんて必要ないってこと」
モッピー「モッピー知ってるよ。箒が一番母性に溢れてるってこと」
モッピー「モッピー知ってるよ。不人気なのはメインヒロインの証だってこと」


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.023025035858154