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No.36258の一覧
[0] 【恋姫†無双】恋姫†演義【更新停止】[おまる](2013/01/09 22:07)
[1] 第一回 「亂世之英雄訪れ一刀立つ」-1[おまる](2013/01/09 05:12)
[2] 第一回 「亂世之英雄訪れ一刀立つ」-2[おまる](2012/12/24 22:28)
[3] 第一回 「亂世之英雄訪れ一刀立つ」-3[おまる](2012/12/25 07:58)
[4] 第二回 「王佐の才と黄巾の乱」-1[おまる](2012/12/26 23:40)
[5] 第二回 「王佐の才と黄巾の乱」-2[おまる](2012/12/27 10:24)
[6] 第二回 「王佐の才と黄巾の乱」-3[おまる](2013/01/09 05:10)
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[36258] 第一回 「亂世之英雄訪れ一刀立つ」-3
Name: おまる◆ad66ea75 ID:56f339a7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/12/25 07:58
そもそも華琳が一刀のことを知ったのは、司馬防からであった。
華琳と司馬防との付き合いは長い。
いや、単に付き合いというには済まない程の恩が、司馬防に対してはあったのだった。

幼い頃からその才を磨いてきた華琳であったが、世に出る事はかなりの困難を極めていた。
無論、ここで言う"世に出る"とは官職に就く、官僚になるということである。
当時、官職に就く為の道は大きくわけて三通りあった。
『辟召』『徴召』『選挙』である。
徴召は皇帝自らが行う登用制度であったから、実質閉ざされた道と言って良い。
そのため当時、重臣へと上り詰める道は『選挙』の一種である孝廉——郡の太守による推薦制度——で任官し、辟召によって昇進する、というものが主流であった。
当然、華琳もそれを目指していたが、ここに高く聳え立つ関門があった。
孝廉への推薦状を書いてくれる者がいなかったのである。
宦官の異姓養子の子、という二重の禁忌は、世の名声を第一とする名士の社会においては頑として受け入れ難いものだったのだ。

当時はまだ幼かったこともあり、流石の華琳も途方にくれていた。
そこに手を差し伸べたのが、司馬防、その人である。
当時、尚書右丞の任に在った司馬防は、世間の悪評をものともせず、華琳を洛陽北都尉として推挙したのである。

曹操孟徳という人物の栄光はここから始まったと言って良い。
洛陽北都尉に任ぜられた彼女は、四門の完全修築を成し、禁門の取り締まりを徹底的に強化した。
禁令に違反する者 は、誰といえども、容赦無く五彩棒で打ち据えた。
死亡者が出る事も珍しくなかった事からその苛烈さが知れる。
しかし、若輩の身である彼女のその所業を、周囲が生意気に思わぬ筈がなかった。
それを思い知らせようと、故意に禁令を破った者がいた。
霊帝の寵愛を受けていた宦官、蹇碩の叔父である。
部下を含め誰もが、こんな大物を罰せられる筈がないと見ていたが、華琳は躊躇わなかった。
この男を、即刻撲殺したのである。

無論この行動が宦官達の怒りを買わぬ筈がなかったが、法の観点から見れば理が彼女にあるのは明白。
普段の行動から隙を見せなかったこともあり、宦官達は彼女を排斥することが出来なかった。
その為、宦官達は華琳を都から追い払う為に、逆に昇進させるという手を打った。
頓丘県の県令の地位を与えたのである。
宦官を敵に回しながら、逆に宦官の推挙によって栄転を果たした華琳の名は、世に響き渡る事になった。

華琳が司馬家を訪れたのは、県令に任じられ頓丘県へと向かおうとする、そんな時であった。
かねてから、世間の評判や司馬防から聞いていた司馬懿仲達と友誼を結びたいと思っていた。
今回の訪問も、召し抱える事ができれば至上であるが、もし失敗しても面通りさえ叶えばとりあえずは良い、そう思っていた。
だが、一目見てその考えを改めた。
そして、会話を続けて確信した。
なんとしてもこの男を手に入れなければならぬ、と。

結果として、それは叶えられた。
類稀な才を自分以外の人間に渡す事にならなかった安堵と共に、重圧も感じる。
最高の臣を手に入れたのだから、自分も彼にとって最高の主であり続けなければならない、と。
しかし彼女も並の人間ではない。


「——面白い。彼一人扱えなくて何が天下か、覇道か」


そう言って、あえて笑った。





























「お初にお目にかかります。司馬懿仲達と申します。非才の身ながら、身を粉にして働く所存です。宜しくお願い致します」

「おぉ、話は聞いているぞ。司馬の鬼才が加わるとは、心強い。我が名は夏侯惇元譲。そしてこっちが……」

「夏侯淵妙才だ。姉者共々、宜しく頼む」


一刀は目の前の二人を見ながら思考する。
話には聞いていたが、やはりこの二人も女性か、と。
両夏侯は、曹操の絶大な信頼を得ていた腹心として"歴史"では知られている。
それはこの世界では変わらぬようである。
彼女達の信頼を得なくば、上手くいく者も立ち行かないだろう。
友好的な笑みを浮かべ一刀は挨拶をしていた。
そんな一刀に、夏侯惇が続けて声をかける。


「仲達殿。噂によると知だけでなく、武のほうもいけるらしいじゃないか」

「はい。ですが元譲殿に及ぶようなものではございません」


謙遜ではなく、事実である。
気が扱えぬ一刀では、歴史に名を残す英傑の相手をすることは難しいだろう。


「やってみなければわからないじゃないか。華琳様!仲達殿を借りてもよろしいですか?」

「春蘭、貴方は相変わらずね。一刀はまだ頓丘に来たばかりよ?」

「はい。ですがその人物を見る為に、私にとっては剣を合わせるのが一番なのです!」

「仕方ないわね……一刀、この子に付き合ってくれる?」

「承知致しました、華琳様」


頭を下げた一刀。
その彼の言葉に大きな反応があった。
正確に言えば、彼が呼んだ華琳という名に。


「華琳様、仲達殿とは既に真名の交換を!?」

「えぇ、済ませたわ。私は一刀を認めている。無論、私がそうだからといって貴方達に強制はしないわ。己の目で、彼を見極めなさい」

「華琳様が許されているなら私も思うところはないが……そう言われると軽々しく行う事も出来ぬな。——そうだ、仲達殿!私に一太刀入れる事ができたら真名を許すぞ!」


そう言ってはりきる夏侯惇と、それを微笑ましく見る華琳と夏侯淵。
この三者の普段の有り様が垣間見えるものである。
だが、一太刀入れられれば、とは。
気は扱えぬものの、剣術には一過言ある一刀である。
そうも言われて引き下がっては面白くない。


「はい、それでは宜しくお願い致します」

「よし、それならすぐに練兵場へ行くぞ!」







その後、予想以上に強かった夏侯惇に何度も破れながらも、どうにか一太刀を浴びせて真名を交換し。
姉者が認めるならば私も、と言った夏侯淵とも交換を終え。
暫くは頓丘の様子を見て回るように華琳に言い渡された一刀は、自室へと戻っていた。

——夏侯惇に夏侯淵。
何れも、"歴史"に名を残す英傑達である。
そんな彼女達と実際に会い、言葉を交わしたことに、一刀は不思議な感情を覚えていた。
感動するでもなく、幻滅するでもなく。
彼女達を偶像ではなく、生きた人間として感じることができた。
勿論それは当然の事なのだが——

一刀の脳裏には先日の華琳との邂逅が頭に浮かんでいた。
衝撃が貫いたその瞬間は、一刀の心に強く刻まれている。
やはりそれは、"英雄"と会ったが故の事ではなく、"華琳"と会った故の事であり、他の人間とは全く違う事なのだ。

彼女の道を共に歩みたい。
彼女の作る世を見てみたい。


「我ながららしくない」


頭をふって思考を落ち着かせる。
先日の邂逅から、どうも肉体年齢相応の人間になっているように感じる。
浮ついた思考のままではいけない。
落ち着いた状態で物を見て、聞いて、感じて、思考しなければ。
戦乱の世なのだ。
僅かな失敗で命を落とす、そんな世なのだ。
後悔ならばあの世でいくらでもできる。
生きている間は後悔などする必要がないように、熟慮しなければならない。

しかし当面は大きな動きはない筈だ。
今は内政に力を入れて、自分の力を示さなければならない。
華琳には既に認められているが、それ以上のものを見せたい。
お前が手に入れた男は、ここまでの力を持つ男である、と。
幸い、未来の知識を持つ自分にとって、内政はその知を存分に働かせる事ができるものである。
今この地に何が必要で、何がこの手で実行できるか。
見極めて、動いていこう。

そしてそれが、彼女の道となっていくのだから。
















第一回 「亂世之英雄訪れ一刀立つ」 終

第二回 「王佐の才と黄巾の乱」へ  続








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あとがき

第一回終了です。
一刀と華琳様をだいたい同じ年齢にする為、二人の生ま
れた歳を始めとしてかなり時系列をいじっています。
そちらについてはご容赦を。

この第一回はプロローグ的なものに当たります。
第二回以降からが本番。原作の時間に入っていきますので、
描写も細かくなっていき、文章量も増加していきます。
だいたい5000〜10000文字の間で投稿していきますが、
ペースは最初に書いた通り週に1〜2回になると思います。
それでは、次回も宜しくお願いします。
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