「食料、ゲットだぜ!」
「うっしじゃあ次の島行くか!」
そこはピッピカチューでしょうが、まぁ絶対ありえないしそんな反応されたら絶対言葉返せないしね。
まぁこのアル……フォンスだっけ? の船中々食料積んでらっしゃった、まぁ数十人の男手とあのデブの食料だしね、大量大量。
まぁ大体はこの船長の胃袋に消えるんだけどね、まぁ俺自身そんなに食べる方じゃないけど自重はさせないとね。
あと船捜さないと、ご臨終なされた小船に変わる再び壊れるであろう犠牲になる小船はどこかねー。
「あ、あの!」
船捜索中にアル……なんとかの船に乗ってたであろうメガネの少年に話しかけられた、なんぞ? 敵討ち?
流石にあれの敵討ちは無いか、だってアレだしね。
てかこの丸メガネ少年……どっかで見たような。
「ん? なんだお前」
「ぼ、僕コビーっていいます」
ああ! コビーか! コビーは覚えてるわーってかここそうかコビーのとこか!
物事って一つ思い出すとなし崩しに思い出していくね、アル……何とかのことも完全に思い出したわうん。
原作でもルフィにワンパンKOだった気がするわ、おお哀れ哀れ。
まぁそんなどーでもいいキャラのことは置いといて、コビー助けないと原作変わっちゃうんだよなー。
あの成長コビーの変わりっぷりは誰お前レベルだったよね、六式まで覚えちゃってたし。
「ぼ、僕を一緒に乗せてってもらえませんか!?」
「?いいぞ」
早い早いよ!ルフィさん!速さが足りすぎているぜ!幻想卿最速の体を持つ俺がスローリィ!?
いやいやもっと常識的に考えようよ、転生者の魂と鴉天狗の体を持つ俺が言うのもなんだけど、本当になんだけどだな。
「え、い、いいんですか!?」
コビー君も戸惑ってるよ、その善意自覚無いんだろうけど逆に警戒されちゃってるよ。
どこぞの弓兵じゃないんだから無償の善意は危険だぜ、というわけで。
「もちろんお礼はいただきますよ?」
料金有りの船旅なら大丈夫だろ、善意なしアピール。
三途の川の渡し賃と海賊船での運搬はお高くつくぜ。
で、なぜに首をかしげるんだ船長さんよ。
「こいつ仲間になりたいんじゃねぇのか?」
「……多分違いますね、おそらく次の島までだけの案内でしょう」
あーはいはいついて行きたいってそういう意味で捉えたのね。
まぁ自分も出会って即仲間になったけどさ、そんな簡単に強そうだから海賊の手下にしてーなんて奴らは早々…。
あれ? もしかしてこの世界そんな奴らばっかなのか、麦わら一味がおかしいのか?
そうだな多分麦わら一味がおかしいのな、相手取る奴らに比べて仲間が少ないし。
いやむしろ三千人とか一体どうやって仲間にするんだろうな、名前が売れたらホイホイついてくるのかね。
ルフィが首傾げてるけどめんどくさい説明はカットカットカットォ! 原作知っている俺としてはさっさとこんなやり取りはとばしたい。
なによりコビー君もルフィに恩義を感じてるって訳じゃなくなったしね、残念だね。
……俺が樽に入らなかったからだけどね、気にしない気にしない一休み一休み。
あれ慌てないだっけ?というかこれの元ネタ忘れちゃったし。
あー眠い、なんか船に乗ってから生活リズムが崩れちゃった所為か一日中眠い。
まぁ奪えるもん奪ったし、さっさととんずらするとしますか。
んで船の上で一眠りしようかね、あーでもルフィとコビーの掛け合い見たいな。
鴉は海に夢を馳せる
第三話 二人の夢、一人の生き様
海の上なう。
結局掛け合い見ることにしちゃった、というわけで小船の真ん中で向かい合ってる二人を俺は縁っこの樽二つに寝転びながらのんびり見てます。
あーやばい樽のジャストフィット感がやばい、掛け合い見たいのにあわよくば参加したいのにこのまま寝ちゃいそうだ。
「海賊王になる……ですか」
「おう、だからつえー仲間が必要なんだ」
「今のところ強い仲間よりコックが欲しいですね、後普通の船」
てな感じで寝ないように二人の掛け合いに合いの手を入れる感じになっております。
コックかー……原作知っている俺はコックが出てくるのはまだまだ先だと知ってるんだけどね。
ていうかまずキッチンが欲しい、肉オンリーの生活からいい加減にグッバイしたい。
今朝なんか喉が燻製肉が! 燻製肉がこっちに迫ってくるよぅ! ってなってたよ、こちとら女子の体だっちゅーのに。
まぁ妖怪で鴉天狗だけどね、でもか弱くて可憐な女の子です異論は認めません。
「後音楽家が欲しいな!」
「欲しいだけで必要ではないですがね」
音楽家は気が遠くなるくらい先ですぜ船長、それまで俺が生きているのかどうかも不明だし。
ていうかさっさと常識的な仲間が欲しい、もどってこい俺の常識。
この世界に来たときに別れを告げたお前が恋しいぜ。
「んでさコビー、お前なんかつえー奴のことしらねぇか?」
「え、えと、次の町にある海軍基地、僕の目的地なんですけど、そこに"海賊狩り"と言われるロロノア・ゾロと言う人がいるらしいです」
お、来た来た性格は準常識人(?)で戦闘能力は常識にとらわれない仲間が。
まぁ生活能力は俺たちと肩を並べて皆無なんだけどね、あれなんだか目から汗が。
何とか二人には見られていないもののまだまだ続く生活に心の中では涙を浮かべる。
ああ……常識とは何ぞや。
「ロロノア?そいつつえーのか?」
「噂では魔獣と呼ばれ、海賊たちを次々に襲った恐ろしい奴だとか」
海賊襲ったら恐ろしい奴認定されるなら俺たちもそうなんじゃね?
ぷるぷるぼくわるいかいぞくじゃないよ。
海賊に悪いもくそも無いけどね。
「よし、そいつ仲間にしよう!」
はいはいですよねー。
まぁそうなってくれないと原作進まないしね。
どんとこい海賊狩り、カラスを狩るのには知恵がいるぜ?
「ええ!? む、無茶ですよ! 相手は海軍に捕まるほどの極悪人ですよ」
「まぁ適当にあってみて決めましょう」
つかまってても関係ないです、問答無用でお邪魔します。
いかん自分も常識的じゃなくなってきた、あれ元々だっけ?
「……そういえば、アヤさんでしたっけ?」
「へ? はいはいなんでしょうか」
そういや中心に入っては全然話してなかったな、心の中では自分中心にしゃべってるおしゃべりなんですがね。
どこぞやの獅子心じゃないけど考え出すととたんに口が動かなくなるのは生前の癖だ、生前あんまり覚えてないけど。
というか生前? いやいやまだ死んだとは限らないけど……まぁ今俺はここで生きてるし死んじゃったのかね。
まぁ今となってはどうでもいいね。
「あなたはどうして、ルフィさんについていこうと思ったんですか?」
「……どうして、ですか? なかなか難しい質問を」
正直大体が勢いですよ、いやいやもちろんルフィはカリスマ的なもんでいえば最高クラスだよ是非ともついていきたい魅力を持ってるよ。
んーでもそれだけじゃないんだよな、考えると結構いっぱいあるな……ワンピースの世界を楽しみたい、原作キャラに会いたい、あそういえば死にたく無かったってのもあるな。
それらをまとめていうなら……まー大体はこれに尽きるな。
「自由に生きたかったから、ですかね」
自由とは即ちやりたい事をやるという訳だ、まぁなりたくてなった反省はしていない後悔もしていないってこと。
別に船長の下についたからって束縛される訳じゃないし、むしろやれることはぐーっと多くなるでしょ。
それにあんなに魅力的な仲間たちがいるし、一人じゃつまらないことでも皆なら面白そう。
というかこの世界あまりにもかってが分からな過ぎて一人じゃ不安ってのもあるね。
うんまぁやりたいことがたくさんあるからそれを実行するために船長の下につくが縛られはしない!
まとめると我ながら最低の理論だね! だが俺の心理はそこにあるんだよ!
「自由、ですか……?」
「そ、生きるなら自由にね。飛べるならどこまでも飛んでいきたいし誰にも邪魔されたくない、やりたいようにやるのが生き物の性分」
ん?なんか今ごく自然に言葉が出たな、丁寧な言葉で話そうとしてたのに普通なしゃべり方になってた。
……まぁいいか、そんなことは、重要なことじゃない。
自分のやりたいようにやる、まぁ三次元だとそれが人の迷惑になって犯罪になるんだけどね。
ここでいう海賊がそんな感じか、迷惑になるから海軍が海賊を捕まえる……大体は迷惑ってレベルじゃないけど。
そう考えるとあややもそんな感じだね、人の迷惑考えずに強制取材&押し売り号外だしね、捕まえる人がいない分もっと迷惑だけどね。
その理論で行くと俺生前犯罪者……? いやいやそれはないってか有り得て欲しくない!
流石に人の迷惑は考えるよ俺! ルフィ船長は縛らないから俺も自分を縛らないって感じだし!
うん大丈夫俺は普通俺は普通……。
「……僕も、そんな風に生きられますかね」
「できるできないはやるやらないの選択肢を過ぎたときにやっと表示されるものです、やる以前にその選択肢を考えるのは阿呆のすること」
こんな体だから言える事、多分生前の自分なら言えなかっただろうなー。
自分に残っている人格的にそんな度胸のある人間じゃなかったっぽいし。
第一三次元ほど生きるのに必死な世界もないよ……いやあるか北斗の拳とか。
「……そうですね、そうですよね!」
おお?なんかいきなりやる気になったな、そんなにかっこいい言葉だったかな?
確かあややって人を煽るのがうまかったよな……やる気もあおる事ができたって事はそういうスキルもこの体に秘められているのか?
さっきの言葉とかも自然と出てきたから、そのうち東方のキャラがするような会話とかもできたりして。
……たぶんそれはないな。
「ありがとうございます、アヤさん。……あなたに言われるまで、勇気が出せませんでしたが、今ならきっとできるって思います!
僕、海軍将校になります!なってみせます!!」
おお、熱血熱血。
よきかなよきかな少年よ、青春パワーは燃やすためにあるんだぜ。
青いうちに燃やしとかないと灰は肥料になってくれるが、腐った草は抜くのも燃やすのも大変で肥料になるのも時間がかかるしね。
まぁ風で散っちゃうと灰が害になっちゃうこともあるけどね。
「ま、その道を選んだのもやるやらないの選択をしたのも君の勇気です、後は頑張り次第です」
笑顔でそう返してやると、コビーの顔が真っ赤になっていく。
そういやあややの姿だったな、こやつめHAHAHA。
というか将校になるって言ってもルフィ笑ってるけど、敵になるって事分かってるのかね?
まぁ分かってても余り変わらないね、こう語り合った仲なのは。
「さて……そろそろ次の町ですね、心の準備はオッケ~ですか?」
「おうっ!」
「はい!」
うっし準備万端! んじゃ島に乗り込むぜ!
さて鬼が出るか蛇が出るか……いや出てくるのは魔獣だけどね。