新進気鋭の紐人間 『ウィー・ニック』
職業:海賊
能力:ヒモヒモの実(パラミシア系)
住んでいる所:海賊船オーバークルーズ号(現在は海軍に差し押さえられ中)
三日前に海賊になったばかりの新米海賊である、髪は茶髪のショートで背はそこそこ高いがムキムキという訳でもない。
言ってしまえば標準体型である、本人はそこそこ筋肉はついているほうで引き締まっていると言っているが定かではない。
昔から父親に憧れて潜水漁師を目指すようになったが、たまたま行商人が(悪魔の実と知らないで)売っていた悪魔の実を食べカナヅチになり仕方なく断念。
代わりに自分の能力の応用性を知り、戦いに憧れ海賊になった模様。
航海術や医術は潜水漁師になる為に地元の漁師に習ったとか。
性格は単純で嘘をつくのが苦手、顔に出るタイプで人付き合いはいいが商売だと失敗するタイプ。
世界を知らないが故に海軍に船を差し押さえられたりと、いろいろと間抜けな一面がある(いや一面も何も彼にはその面しかないが)。
船のオーバークルーズの由来は『自分の知らない世界に行ってみたい』という彼の願望から付けられた。
なおオーバークルーズ号は地元の漁師が作ってくれたらしい。
それを作ってもらうために一生懸命雑用をしたりと根は真面目なのだろう(二度目だが単純ともいう)。
今年で二十一歳、まだまだ夢を追い続ける若さがある(本人談)。
あと年齢と外見の割にもてないのを気にしてるらしい、おそらくそういう星の下に生まれたのであろう。
<能力>
彼の能力は『自分の体を紐に変える』ではなく『体から紐を作り出す』という物だ。
紐とは糸の集合体である、男が女性にたかり生活する事をヒモというがそれとは関係ない。
あと超ひも理論とも多分関係ない(そもそも超ひも理論がよく分からない)。
ゴムゴムの実を食べた者をゴム人間と呼ぶならばヒモヒモの実を食べた彼はヒモ人間だ。
決してヒモ男などと呼んではいけない、間抜けなりにも彼は海賊であるので怒りを買うと恐ろしい目にあうかもしれない。
糸は紐を作るための材料になるわけだが、糸にも沢山の種類がある。
毛糸・鋼糸・綿糸と、様々な糸から彼は紐を作り出せる(糸自体は長く持たせられないらしい、紐にしてからでないと操ったとき消滅してしまうとか)。
毛糸や綿糸の色も自由自在なので、自分で服を作ったり周りの色に自分と糸を溶け込ませて奇襲したりもできる。
鋼糸で糸を作って鋼の鎧、剣や盾なども作り出すことができる。
かなり応用性に秀でており、かなりの状況に対応でき更に生活でも役に立つ優れもの。
<アヤのメモ>
特に危険というわけでもなく、特筆すべき点はなし。
ただ私を年下としてナメてみている傾向があるため一度立場をその身に分からせてやる必要があるかもしれない。
そういえばメモを取ってみることにしたがこれを書く時に私口調が一番しっくり来る。
これもあややの影響なのか、この点より今後メモを取る時は私口調で書くものとする。
自分のメモを読み返す際に違和感を覚えるのはどうも嫌だからだ。
「…これでよしっと」
「何書いてるんだい?」
「いやちょっとメモ書きを」
さっき歩いてたら雑貨店が店頭売出しセールでメモ帳売ってたからつい買っちゃったぜ、しかも冒険日記用とメモ書き用で二つ。
だって俺のソウルが俺にもっと宝を使いまくれと囁くんだもの、仕方ない仕方ない。
なんか俺金結構使うの渋るんだけど一定量溜まってたら満足するもんでオーバーした分使っちゃうんだよね。
しかもメモ帳だぜ?大きめサイズで写真まで貼り付けられる優れものだぜ?こりゃ買うしかないっしょ。
大冒険を綴った物語がメモ帳を埋めていく……胸が熱くなるな。
しかし買って一番最初のメモがこの隣のおっさんの事だとはね、そんなことよりおにゃのこの事書きたいわ。
まぁでも我が海賊団の人間の仲間第一号だからね、大目に見るとしますか。
船もゲットできるし、あーやっと安眠場所が手に入る…。
『アヤ様、一体何故このような男を仲間に?』
「ん?なんとなく面白そうだから」
寂しかったなんて口が裂けても言えるわけないだろ常識的に考えて…。
なんて言うの? ほら人肌恋しいって感じ? あ、もちろん男とアッーなんて事はノーセンキューで。
いやでもしかししばらくはこいつと二人きりか……、いや刃九郎もいるけど人数としては数えないでさ。
うら若く(実年齢不詳)か弱い(ゴジラ基準)乙女と男が船の上で二人きり…こりゃあやばいな。
まぁ刃九郎というファイナルウェポンがいる限りありえないね、飛び掛かってから着地するまでに刃九郎なら八回は殺せるしね。
さて冗談はさておいて、問題はどうやって船を奪還するかって事なんだけど…。
力ずくで言っちゃっても俺的には全然OKだし、ニックにも俺の強さを誇示できるチャンスでもあるし。
問題点は……えーと……。
まるで俺が力尽くでしか物事を解決できないようなド低脳みたいに見えるって事くらいかな?まぁそんなことはありえないけどね。
この灰色の脳細胞を持ち更にカリスマあふれるパーフェクトでさいきょーな俺が妖精並みの知能とかバギーが黄猿倒すくらいありえないね。
「そういえばお嬢ちゃ……じゃなかった船長、船を取り返すのにいい名案とかってあるのか?」
「作戦は何もない作戦とノープラン作戦と臨機応変作戦がありますがどれがいいですか?」
「…行き当たりばったり、と」
「正直ここら辺の雑魚海兵を相手に考えてやる作戦なんて欠片も持ち合わせていませんし」
なんなら『闇夜に紛れて皆殺し作戦』でもいいんじゃよ?
いや流石にそれはしないけど、イメージ悪くなったら町でブラブラ買い物とかもできなくなるかもしれんし。
あ、買い物といったら睡眠薬買うの忘れてたな、後で買いに行かないと。
これ完全に睡眠薬中毒者だな、妖怪だしそのままぽっくりなんて事はないだろうけど。
ていうかこの世界の睡眠薬妖怪にも効くのか……それとも妖怪には薬物への耐性ってないのかな。
んじゃ万が一あの監獄長と戦う時は注意しなきゃならんかね、まぁないと思うけどね。
そう思うとやっぱり妖怪の力でもこの世界じゃ油断できないか、無双って訳にもいかないのね。
まぁそれも後半に限るけどさ、前半じゃクロコダイルすら敵にならんし。
とと、そんな事考えてたらもうついちゃったし、まぁ百数メートルしかなかったけどさ。
「…ついたね、ていうか船長まさか本当に行き当たりばったり?」
「私は嘘や捏造が大嫌いですので」
「そうか……いや確かに俺は戦いに憧れて海賊になったけどまさかいきなり海軍支部が相手とはね」
「そこらの野良犬でレベルでも上げる気だったんですか?なんなら寝ててもらっても全然構いませんけど」
「男が女の子一人戦いに出してのうのうと寝てるわけにもいかないさ!」
「まぁ死んでもらったらそれはそれで船は私だけの物になりますし、一向に構いませんけどね」
さて、では今回のミッションの概要を確認しよう。
今回のミッションの目的は一般港の横の海軍専用港に収容されている海賊船オーバークルーズ号の奪還だ。
海軍専用港は支部と同じく三メートルくらいの有刺鉄線付きの塀に囲まれていて、更に見回り兵とサーチライトが巡回している。
そこを闇に溶け込み潜り抜けてオーバークルーズ号に巻かれた差し押さえようのロープを切りそのまま海に出る事。
ラッキーな事に船を阻む鉄の門とかがあるわけでもない、一般的な港の作りだ。
ミッション失敗を挙げるなら『俺かニックが捕縛or殺される事』、まぁ俺は有り得ないのでいかにニックを捕まらせず殺されないようにするかがポイントだ。
後は『オーバークルーズ号が何らかの形で破壊される事』も失敗になる、大事な睡眠場所に沈んでもらう訳にも行かない。
とりあえずロープを切るのは俺と刃九郎だけで十分事足りる、船にたどり着くのも問題ない。
ただ問題は船の出港だ、帆を広げ碇を上げて出港するのを海軍がのんきに見守ってくれるはずがない。
即座に行動し、更には出港を妨害する海軍の足止めも必要になる。
まぁ足止めなんかは刃九郎の独壇場になるだろうし、帆を広げりゃ風は俺が作り出せる。
初っ端から全速全身ができるからそんなに鬼畜ミッションって訳でもない。
うっしゃじゃあまずはこの塀を越える所からだ! さっそく難関だな! よし飛ぼう。
ニック? 勝手に何とかするでしょ、乗せてあげるなんて甘い真似をすると思ったら大間違いだぜ。
なんて思ってたらニック紐を有刺鉄線に括り付けてあっさり梯子を作ってるし、結構能力の使い方うまいじゃん。
「そういや船長も悪魔の実の能力者だよね、船長の悪魔の実ってなんなんだい?」
「あー……"幻獣種トリトリの実モデル烏天狗"です」
「幻獣種!? そんなの絵空事かと思ってたのに……!」
不意打ちはあぶねーあぶねー……適当に考えたけどまぁいいか、この先何かやっても幻獣種なら仕方ないってなるだろ多分。
ていうか烏天狗って今の俺以外にこの世界に存在するのか? ていうかそもそも烏天狗の存在がこの世にあるのか?
んーまぁなかったらそんときゃなんとか誤魔化すしかないよね、まぁなんとかなるなんとかなる。
鴉は海に夢を馳せる
第二十二話 念願の船奪還大作戦!
さーて俺の物になる予定の船はどこかなっと……あったあったあの船か。
大きさはメリー号よりは二周りくらいでかい、全体的に黒が多いな……さすが俺の(物になる予定の)船。
いやニックが死ぬなんて欠片も思ってませんのことよ? まぁ死んでも死ななくてもどの道俺が船長だから俺の物だし。
しかし一人で海に出るのにあんなでっけー船に乗るなんて贅沢な奴め、俺なんて二人三人四人で小船に乗ってたっていうのに。
んーこっからだと結構見にくいけどそんなに雁字搦めにロープが張ってあるって訳でもなさそうだな。
って事は刃九郎一人で十分事足りるか、っていうか俺の出番あんまりなさそうだな。
「刃九郎、先に行ってロープ切ってて……できる?」
『造作もありません、お任せください』
流石刃九郎、頼りになるぜ。
あっという間に暗闇に溶け込んで行ってしまった、黒いからなお分かりにくいね。
刃九郎が捕まる心配も無いし、俺は捕まっても何とかなるから問題はやっぱりニックだね。
ニックの服装は白いシャツに茶色のベスト&青のジーパン、うんこりゃ目立つわ。
どうすんだよこれ、いまさら着替えてこいなんていう訳にもいかないし……。
「……貴方その格好何とかならないの?隠れる以前の問題ですよ」
「ん?ああ一応"何とか"はできるよ」
いうがいなや大量の"黒の紐"を自分の体に巻きつけ始めるニック、なんか見た目的にこっちは触手に飲まれていく人を見てる気分なんだけど。
黒の毛玉が小さくなったと思ったそこにはまさしくジャパニーズ忍者がいました、いやでもさっきの服の上から紐巻いてるからだろうけどさっきより太って見えるね。
たぶんそれものすっごい暑いと思うのは俺だけ?
「まぁこれで何とかはなったけど……意外とこれ暑いから手早く終わらせたいね」
あ、やっぱり暑いんだそれ。
まぁ分かりきったことだけどさ。
「それじゃ行きましょうか」
「ちょっと待った、船長のその格好も結構目立つと思うんだけど……」
あーあややの格好って白色が多いもんね、まぁ大丈夫でしょ多分。
見つかったら実力行使で押し通るし、もしくは逃げ切るし。
「私は大丈夫です、海兵くらい叩き潰す実力はありますので」
「……確かに幻獣種の実なら余裕で突破できそうだけど、もしよかったら俺の」
「全力でお断りします」
誰が野郎の体からできた紐なんか身にまとうか、綺麗なお姉さんだったら喜んで着るけど。
いやいやそんなに落ち込むなよ、常識的に考えたら分かるだろその位。
ていうかそう考えると本当に悪魔の実って不思議だな、こいつの紐しかりルフィのゴムしかり。
前にも言ったけどロギアなんかもうね、生物学者に中指立てちゃってるレベルだからね。
まぁそれは置いといて、ていうか船まで二百メートル位だからあややのなら海兵に見つからないスピード出して余裕で辿り着けるし。
んー倉庫なんかが意外と多いから回り道とかして海兵に見つからないようにしてもいいけど、突っ切っちゃえばすぐそこだし。
というかいざとなったら飛べばいいし、なんかワンピースで飛行能力って結構珍しいんじゃなかったっけ?
……だったらこいつ引っ張って船まで飛んでもいいかな? あーでもサーチライトがうざいな。
一瞬なら鳥と勘違いして見逃してくれたりしないかな? そこまで甘くないか、影がでかいし。
今考えると隣の港のほうからぐるっと海の上通って飛んできてもよかったな……今からでも遅くないか?
あーでも隣のニック君が完全にやる気モード入っちゃってるわ、こりゃもう行くしかないか。
「じゃあ改めて行きましょう」
「了解!」
あ、馬鹿何デカイ声出して――
「何者だ!!」
ばれたじゃねーかアホ!どうすんだこれ!
くそっこうなったらプランBしかない! プランB『なるようになれ作戦』始動!
(どどどうしよう船長! やっちゃったよ俺!)
(まずは落ち着きなさい、こうなったら誤魔化す必要はありません)
(え?そりゃどういう――)
位置についてー……よーいドン!
ニックを引っ張り全速力……を出すとニックが灰になりそうなのでかなりスピードを抑えて飛行する。
数秒で船に乗ったと同時に海軍港に警報が鳴り響く、もちろん侵入者を捕まえる類のものだ。
だが残念、君たちが探す所に俺たちはいない! まさか数秒で船に乗ってるとは思うまい!
よし後は早くここから脱出するだけだ! ハーリー! ハーリー!
「ニック!碇を上げなさい!」
「ちょっと待って船長なんか体が浮遊感で気持ち悪くて吐き気が」
「吐きながらでも何でもいいからとっとと動く!」
あ、ちょっと素が出ちゃった。
まぁいいか、俺は帆を広げないと……まぁ飛んで巻きつけてあるロープ取りゃいいだけだし。
幸い帆がいっぱいなんていう面倒くさい造りじゃなくてメリー号みたいな感じだし。
フライアンド……暗くてロープがどこにあるのか分からんね、知らない船だし。
えーと……あ、あったあったこれだっていうかなんで片結びなんだ! 絶対海兵がやったんじゃねーよこれあのアホ! 面倒くさいことしやがって!
もしかして他の奴も――全部片結びじゃねーか! あのアホ後で絶対殴る! んで正座させる!
もういい切断する! 正直面倒くさい!
うしおk! おお広がった広がった! 下のあのアホも……おkサイン出してるなってサーチライト当てられてるじゃねーか!
後は風を吹かせて出港! 猶予が欠片もない! 全速前進DA!
げっ、もう海兵集まりだしてるし! 仕事が速くて感心だけどこういう時だけはなんかむかつく!
急げ急げ――! おお動いた! もっと早く動いてくれマイシップ!
あーもう海兵パンパンうっさいわ! 発砲しないでくださいお願いします!
うわあの運ばれてるのまさか大砲!? 船長ー! ルフィ船長助けてー!
あややの力でも大砲は――結構何とかなりそうだけど今の俺には無理! 後で対策考えよう!
うわ大砲撃ってきやがった! もう無理無理早く早く射程範囲外に!
「……助かった」
まさかこんな所でルフィ見たいなことする羽目になるとは……もう嫌だ薬も買い忘れたし。
あー疲れた、もう絶対こんな事は御免だわ。
絶対あの馬鹿殴る、というか説教以前に立場を分からせないといかんわ。
後書きコーナーですよ後書きコーナー
アヤ「はい毎度清くも正しくも無いアヤです、今回小説の書き方についてご指摘をその辺直しました」
アヤ「あと毎回誤字のご指摘もありがとうございます! おじょうちゃんで変換したのにこのポンコツ変換機め……」
アヤ「いや気づけなかった自分も悪いですけどね」
アヤ「あと前の話とか結構書き直したりしてます、自分で書いた小説見るのって恥ずかしいですねー」
アヤ「あーそういえば以前にあややの能力をつけるならヒトヒトの実モデル烏天狗といっていた方申し訳ありません」
アヤ「今回そうしようと思ったんですけど烏天狗って人なの? でも天狗って山伏がなんたらだから人? みたいに作者が考えた結果」
アヤ「ワンピースの世界で烏天狗の存在の有無が分からない以上烏天狗を『鳥の化け物』として扱うことにしました」
アヤ「普通にトリトリの実モデルカラスでもよかったのですが……原作などと被ったらもう見れた物じゃなくなりますしね」
アヤ「まぁそんな感じです、あとこのコーナー独り言マンセーですがオリキャラとか交えて話しても面白そうですね」
アヤ「というか紐の能力既出らしいですね……まじですか、被ってないことを祈ります」
アヤ「いやいやもう出しちゃった以上どうにでもなーれです! マジでごめんなさい先行者様!」
アヤ「あ、今回初めに入れたニックの説明に関しましては別に私が書いたものじゃありませんよ?」
アヤ「念の為いっただけです、それではまた次回」
アヤ「まだ小説で何かアレな部分がありましたらご指導お願いします」