白い波とーワイキキビーチー、浮かぶうーかぶーディナークルーズー。
わーすーれられないーおーもーい、でー?いきなり一味を抜けてたことかな?
なんで俺一味抜けてるんだアアアアアア!!!!!??
誰かこの状況を説明できる奴来い!そして俺に説明してくれ!
確かゾロいじって、船の裏行って…あー頭痛UZEEEEEEEEE!!!
どういうことだよおい!冷静?いまそれどころじゃねぇよ!
ここどこ!?後ろを見ればジャングルっぽい樹海で目の前には海!?なんかデジャブ!!
ふざけンじゃねェぞ!!ナメやがってよォォォォオ!!!!
『ア、アヤ様大丈夫ですか?』
「全然…」
ごめん刃九郎、お前から見たら砂浜転げまわって地面叩いてる変な人だよね…。
おいでおいで、そんな木の上止まってないでこっちおいで。
畜生なにやってんだよ俺…あの一味でおもひでのアルバムつくろーとか薄々夢を抱いていたのに…。
オールブルーとかラフテルとか写真撮ってみたいとか思ってたのに…。
よりにもよって最後の写真がゾロの落書きマヌケ顔かよ!!うわああああん!!
なんなんだよ!しかも別れの記憶も無いって!帰るに帰れないじゃん!
これは罠だ!ニアが俺を陥れるために仕組んだ罠だ!
うう…メリー号…この際小舟二号でいいからぬくもりが欲しい…。
刃九郎はいるけどさ、フカフカだけどさ、かわいいけどさ。
どうしよう、目的も何もかも全て白紙に帰っちゃったよ。
ストーリー抜けたら鬱イベントどうこう言ってる以前の問題ジャンよ。
目的、目的を作ろう。
そうしないと精神がぶっ壊れる、なんかもう世界の重みに耐えられなくなる。
まずエースは助けよう、お約束お約束。
グランドラインは制覇しよう、どうせならやってみたいよね。
空島は行こう、一味とか関係なく行きたい。
あとはあとは…。
むなしい…なんか開放的だけど虚しい。
仲間…仲間が欲しい、どんちゃん騒ぎできる仲間が欲しい。
かといってもうあそこに戻ることはできない、船長…いやルフィ以外の下につくのは気に入らない。
となると一から海賊船を作るしかないよね…。
くそっ、改めてどうしてこうなった!魔が差したってレベルじゃねーぞ!
あーもう!楽しく自分のやりたいように生きたかっただけなのに!
あーもう頭痛で頭が痛い!ついでに手足も痛い!
なんなんだよ!俺がなにしたって言うんだよ!
もうやだ…心折れそう、誰かに側にいてほしい。
…いないこともないけどね、癒しが。
『…アヤ様?どうなさいましたか?』
「いや、なんでもないわ…うう」
やばいこの子が今の俺の精神の要石だわ、この子を俺から抜き取った瞬間すべてが崩れるってくらい支えになってるわ。
さて、ぐちぐち言ってても始まらないしやれることからやろうかね。
空元気でも虚勢でもはってないと本当にやってられねーよチクショー。
鴉は海に夢を馳せる
第十七話 一匹鴉
まずここどこ?無人島ってのは分かるけど…グランドラインどっち?
まぁ適当に島探してみようかな、ついでにそこら辺に海賊船あったら襲って金ぶん捕ろう。
強盗でも背に腹は変えられない、良心じゃ飯は食えないし戦もできないんだ。
この先生きのこるには良心を捨て悪の道に走るしかない、自由と幸福を手に入れるためなら俺は悪にだってなってやる!
よし気合入ってきた!もう何も怖くない!
「刃九郎、おいで」
『分かりました、アヤ様』
そういやこの子の部下も作ってあげないとね、んでカラス軍作ったらグランドラインを無双してやる。
俺TUEEEEしてやる!もういい常識などとその気になっていた俺の姿はお笑いだったぜ!
手配書がどこまで上がるのかためしてみるのもいいな!自由気ままに海賊も海軍も襲いまくって金を奪ってやるか!
ははははははは!
うん、空しい…。
船長ー、ゾロー、ナミさーん、ウソップー、サンジー…。
仲間がいないと……寂しい…。
なんで…こんな事になったんだよ…。
飛行時間約十数分程度、そこそこゆっくりめに飛んだからまぁそんなもんか。
島の名前は…コーカス島?聞いたことないな。
原作には出てない島か、少しだけワクワクしないこともないな。
島全体の大きさは大体あのバギーんとこの島と同じくらい。
街と森の割合が6:4くらいで、結構さかんな港町って感じかな。
イメージとしてはあの空島前の…ジョヤ?だっけ、そこに近いかもしれない。
んーまずはグランドラインの情報とここら辺の海賊の情報を手に入れようか。
ていうか財宝持ってくればよかったかも、すっかり存在忘れてた。
ていうか出た記憶もないんだからそんなのいちいち覚えてないか。
森の方からグルッと回って島に上陸、まぁ情報収集は酒場というお約束。
時間としてはすっかり夜だから問題ないよね?ああでも姿は少女なんだよな。
まぁ気にしない気にしない、めんどくさいし。
酒場は結構でっかいね、ていうかこの西部劇みたいな扉初めてみたわ。
酒場の中は大賑わいっていうかそこらで飲み比べやら喧嘩やらやってる。
羨ましいね、その雰囲気ぶち壊したくなってくる。
もしかして海賊…いや剣とか持ってるからもしかしなくても海賊だね。
とりあえず開いてる隅っこのカウンターに腰かける、ああもう酒臭いなぁ。
さっさと情報集めたら出ていこうかな、こんなカビ臭いところ。
「マスター、コーヒー」
「おいおいお嬢ちゃん、ここはガキの食事屋じゃないぜ?」
「いいから持ってきなさい、モタモタしないで」
ああもう鬱陶しい、へらへら笑うな胸糞悪い。
その無駄にでかい図体とヘラヘラ笑う首をお別れさせてやろうか。
ああもう気分が悪い、どいつもこいつも幸せそうにしやがって。
『アヤ様、気をお沈めください…』
「私は落ち着いてるわ、機嫌は悪いけどね」
ああ刃九郎のその声は今は止めてほしい、頭が痛くなるから。
コーヒーはまだか、くそっこんなにイライラするんなら紅茶でも頼んでおくんだった。
「コーヒーお待ち」
おせぇよまったく、あーカフェインじゃイライラは収まらないのかなぁ。
なんでこんなに気分があれるんだろう、刃九郎も怯えちゃってるのに、落ち着かないと。
「マスター、グランドラインについての情報はある?」
「は?おいおいお嬢ちゃん、一人でグランドラインに行くつもりかい?」
「それが何?あなたに関係あるの?」
一人じゃ悪いのか?一人でいることがそんなに悪いのか?
『―!!アヤ様!』
「何?そんなに叫ばなくてもきこえてるわよ」
『…一般人に殺気を向けるのはどうかと』
殺気?ああ、知らず知らずのうちにだしてたのか?
ああ、確かにカウンターの向こうのマスターも泡吹いて倒れたわ。
酒瓶の割れる音がいちいちうるさい、いっそのこと全部壊してしまおうか。
あーあ、グランドラインのことについて聞こうと思ったのに台無しじゃん。
貧弱なくせに、よくも海賊集う酒場なんて開こうと思ったもんだ。
それとも俺が強すぎるのか?原作壊してしまうくらいに?はははっ。
そうか、これは原作を壊さないように神様かなんかが一味から俺を追い出したのか!
そんなことのために俺は一人になったのか!
――そんなことのために、俺をこんなところに閉じ込めるのか!!
そんな神様何ていうもののために俺は一人きりか!!
――大衆のため何ていうもののために俺がこんな苦しい思いをするのか!!
くそっ!なんで俺ばっかがこんな目に!
俺はただ自由に楽しく生きたかっただけなのに!
自分で選ぶ権利すら与えてもらえないのか俺は!
『アヤ様!!落ち着いてください!!』
ふと気づくと、周りの喧騒はピタリと止んでいた。
酒場の中はまるで嵐でも通りすぎたみたいに滅茶苦茶で、そこらに人が倒れていた。
これが…俺の力か。
「刃九郎、グランドラインに向かうわ」
『…アヤ様?』
「さっさといきましょう…やれやれ、面倒くさい」
グランドラインは…あっち、だと思うけど。
さっさと向かっちゃいましょうか、私の目的もあるしね。