生憎俺はカメラに詳しくない。
しかも見たところ結構古そうなカメラだ、最近のデジカメならともかくこんなもの使えない。
とか思ってたんだけど、手に持ったらなんか反射的に手が動いて海を一枚パシャリ。
更に即効でカメラから写真が出てくる始末、あれ?現像とかそういうの必要なんじゃなかったっけ?
いやでもこれ…よし考えるのやめよう。
詳しくないもんについて考えても意味ないしね、困ったときは常識にとらわれてはいけないと考える。
便利だね、でもこの世界だと仕方ないよね。
で?このカメラなんで落ちてきたん?
やっぱり神様の悪戯かね、暇をもてあました神々の遊びかね。
それとももっと別のもんの遊びかね。
まぁどうでもいいね、せっかくこのカメラが落ちてきたんだ。
しかも自由に…というか反射的に使えるときた、有効活用しない手はないだろう。
どんとこい超常現象!すべてシャッターに収めてくれるわ!
…これ夢でよくね?
こう…世界一すごくて格好良くて超☆エキサイティングな写真を撮る!みたいな。
いいね格好良くて!
なんかこのカメラ持つとテンション上がってくるな!
さっきまで考え込んでいたのが馬鹿みたいだよあははは!
興奮してきたぜ!いやっほおおおおい!国崎最高ぉぉぉお!
じゃあさっそく今夜…じゃなかった明日の朝試し撮りと行きますかね!
あ、ちょうどゾロとナミさん来た。
Be cool.Be cool.
よし、俺はKOOLだぜ。
「おや、どうしましたか?」
「うちの船長が話があるんだとよ」
「あややや、私何か問題事でも起こしましたかね?全く記憶にありませんが」
「どの口が言うんだその台詞は…」
「あはは…」
心外だねゾロ君、私は人畜無害なとっても優しいただの乙女だというのに。
心は男だけど、まあそこは問題ないとして。
ていうかなんでナミさんまで苦笑してるん?わけがわからないよ。
うわー一味の皆が虐めてくるよーぅ。
あーあ、乙女の心がまたしても傷ついたわー。
こりゃもうやるしかないよね?レッツマインドクラッシュするしかないよね?
いやマインドは流石にやばいからプライドクラッシュくらいで許してやろう。
もうこれでもかって位に慰めてもらおうかうん。
「とにかく、こっちとは反対側の海岸線だ」
「了解ですー」
はぁ…まぁどうせクラさんとウソップの事だろうな~。
いっちょ飛んで行くとしますかね。
そろそろ夜だな…寒い、ていうか眠い。
鴉は海に夢を馳せる
第十一話 活躍が欲しい…俺今メインキャラなのに表舞台に立てないって…
もちろん向こうの海岸線に着いたときに行われていたのは明日来る海賊どうしよう会議だ。
いやどうしようもくそも追い返すしか選択しないけどさ、うん。
でも今回の戦闘じゃたいした写真取れないよねー。
どうせならロギアが絡んでくる戦闘が見たいなー。
パラミシアとかゾオンって地味になりがちなんだよね、覇気が絡むと別だけど。
覇気とかこのあややの体で使ったらどうなるんだろ?更に速くなったりするのかな。
やばい超チートじゃん、でもそれって素敵やん?
てかこの体だとロギア相手にするの結構きついな、殴れないし。
海楼石でも仕込もうかね?あ、でもそうしたら能力者じゃないってばれそう。
ばれるのはかまわないけど…でもなんか、隠しておきたい。
隠し玉は最後まで取っておきたいって言うのが男のロマンよ。
どっかのすぐに必殺技を撃つ外道な水色のヒーローとは違うのだよ。
デラックスーボンバー。
おっといかん、今はまじめな話をしているんだった。
「――だから!俺はこの一件を嘘にして俺の筋を通す!!」
座っていた岩から立ち上がり、右手を突き上げウソップが叫ぶ。
おお、かっこいいね。
ウソップ、お前は今世界一格好いい嘘つきだぜ。
村を海賊に襲われないために海賊と戦うなんてな、漢だね。
「よし、おれ達も加勢する」
「まぁ、そういうと思ってましたがね…」
「ふん…強ェ奴はいるんだろうな」
「言っとくけど、宝は全部私の物よ!」
まぁ全員一致ですよねー。
この海賊団は大体心意気で動くんで、後は自分の利益。
いいねなんか海賊っぽくて、海賊ってこういう自分勝手さだよね。
そう考えると麦わら一味って自分勝手ではあるね、善寄りだけど。
「お前ら…一緒に戦ってくれるのか…!?な…何で…」
「だって敵は大勢いるんだろ?」
「怖ェって顔に書いてあるぜ」
でもそれって根本的な答えになってませんよね?
ウソップが勇敢な奴で相手が少数だったらどうなってたんだ。
いやまぁいいけどさ、どうせ助けたんだろこのツンデレ共め。
男のツンデレとか誰得だよ、サイヤ人の王子かなんかか。
ていうか眠いんだけど、なんで夜明けに攻めてくるんだよ夜中に来いよ!
乙女の肌にダメージを与える作戦か、汚いなさすが海賊きたない!
ああなんだかもうどうでもいいよ眠いし、眠いし、寝たいし。
ていうか俺寝てていい?
どうせ俺が相手すんの雑魚じゃん、くそう出番がほしい。
でもその前に睡眠時間がほしい、あとはシャッターチャンスがほしい。
カメラ手に入れて初戦闘が地味ってどうよ、新武器が出て次雑魚戦って。
もうどうでもいいね、眠いね。
「後はこの坂を死守できれば村は襲われることはねェ!」
「シンプルですね、楽勝です」
「口で言うのはな…後は戦力しだいだ」
それこそ楽勝というものだよウソップ君。
ボーっとしてればうちの魔獣と船長が何とかしてくれるしね。
「念のために聞いとくが、おまえら何ができる?」
「切る」
「のびる」
「飛ぶ」
「盗む」
「…隠れる!」
『いやおまえは戦えよ!』
おおツッコミが重なった、いいね一味の絆だね。
こういうの重なると楽しいね。
んで今小細工用意中なう、いや黒猫海賊団…でよかったっけ?が攻めてくるの向こうの海岸線だから意味ないけどね。
というわけで意味のない作業を進んでやるわけがないので、ウソップとルフィが作業するのを黙々と見てる。
おいおいゾロ君、仲間が必死に作業をしてるんだからフォローしてあげろよ。
ナミさんや俺は乙女だからいいとしてお前は体力くそ野郎じゃないか。
てか油をまくってさ…壁でもつかんでこられたら終わりじゃね?
もっとこう…敵がたくさん上に来たらファイヤーして消毒するとかさ。
いやそんなことしたら少年漫画じゃ【見せられないよ!】で【見せられないよ!】な図の完成だけど。
いかんやっぱ俺眠いのかな、それとも疲れてるのかな。
そんなグロ注意な事少年漫画じゃ悪役のする事なのにさ。
いや普通海賊って悪役だけどね。
という訳で完成しました油坂。
もうそろそろ日も明けようという時間でちょうどよく完成しました。
いや無駄なんですけどねー。
でも仕方ないよね、海賊来るの向こうの海岸だからここに仕掛けても意味ないよとか言ったら変に思われるし。
「これで奴らはこの坂を登れない!!」
「逆に自分たちが滑り落ちないといいけどね…」
そうだね、この坂は登ってこれないねウソップ君。
後ナミさんそれフラグや…しかも落ちたの確か君だぜ。
フラグ回収乙。
さてと、そろそろ行きますかね。
「あーゾロさん、ちょっと私船の様子見に行ってきます」
みんなにばれると弁明するのが面倒くさいのでとりあえずゾロだけにそう伝える。
うん案の定怪訝な顔されたね、いや仕方ないことだけどさ。
「…コレ終わってからじゃ駄目なのか」
「いや~なんか急に気になりましてね、野生の勘とでも言いましょうか」
いかんこれはちょっと苦しいな、どうするか。
なんて考えてたら案外簡単に後ろを親指で指差して「行け」って言ってくれた。
マジカッケーっスよゾロさん、グレートだぜ。
「…お聞きしますが、そんな簡単に許してしまっていいのですか?」
「てめェがなんか隠してるって事くらいは知ってんだよ」
うへぇばれてたか、まぁゾロこういう直感だけは鋭いしね。
まぁ概要まではばれてないっぽいけど、いやばれてたら確実にさとり妖怪の仕業だけどさ。
「…一応は信用しといてやる」
畜生、なにこの漢前超かっこいいじゃん。
惚れるわー、いや精神的には掘れる♂になってしまうけどね。
いかん冗談言ってる場合じゃねえ。
「じゃあ、その信用に応えられるようにはしますかね」
「…フン」
んじゃいってくるか。
私の戦場はここじゃない。
向こう岸に着きましたー。
坂の一番上で見る朝日の美しさよ、早起きはってこういうこと言うのかね。
寝てないんだけどね。
まだ黒猫海賊団の船は見えてはいるけど陸についてはいない様子。
っていっても後二分位だと思うけどね。
うし、さぁ今の俺は超スーパーガーディアンだぜ。
鉄壁などと…そんな生ぬるい表現じゃ味わえないほどの堅さよ。
「海岸に着いたぞォ―――!!!!上陸だ野郎共ォ!!!」
『うおおおお―――っ!!!!』
うっせェ!!でもいいよなーああいうノリのやり取り。
うちの海賊団だと人数少ないからこう…迫力無いよね。
ウォーターセブン編とか大人数のときにやってみたいな~。
さて、確か最初に来るのはウソップだっけ?
それまでに足止め兼少し足を竦ませてやるとしますかね。
「ぎゃ――っはっはっはっはァ!!!暴れてやるぜ!!!」
「おい女がいるぜ!どうする!?」
「かまわねぇぶっ殺せ!村を襲うのを優先しろ!!!」
おやおや物騒な事を言ってくれますね、おおこわいこわい。
という訳で懐から団扇を取り出し、一扇ぎ。
ずずずぁっ!とかいうよくわからない擬音で海岸の砂とか小石がひっくりかえり、前を走っていた十数人が坂の中腹から下までノンストップでどさどさと落ちていく。
すげぇ、大の大人が空を舞う風景とかめったに見られな…いやこの世界だとそうでもないな。
でも気に入ったので記念にパシャリ。
やばい楽しい。
「なんだァ!!!?なにがあった!!」
「わ、わかりません!!あの女が何かしたとしか!!」
「船長ォ!!あいつ能力者です!!!」
おお、あの催眠術師の登場か。
名前は…ジャンゴだよね?確か歌もあったはずだしね。
さて、もう数十秒たったがそろそろ駆けつけてくる頃か?
「どうします船長!このままだと…」
「…あの男に、殺されちまう」
ああクラさん?余裕で雑魚ですが何か?
はやく俺…ていうかこのあややの体と釣り合う敵が来てくれないかな。
まだまだ先になりそうだね、はぁ…憂鬱。
「くそッ!!かまわねぇ突破しろ!!!」
『うおおおおおお――――っ!!』
うわなりふり構わずきやがった!
五十人強くらいかー、んー。
余裕杉ワロタ。
団扇で一扇ぎすればそんな数余裕で吹き飛ばせるっちゅうに。
おおさっきよりすげぇ、パシャリ。
しかもさっきより高い所から落ちたやつもいたようで、もう大体満身創痍だ。
「さて、ここから先は一方通行となっていまーす」
通行は『禁止』ってなァ!!無様に海に引き返しやがれェ!!
いやーやってみたかったんだよねこれ。
…アクセラレータ?んーなんか今すごい発想がぴんと来たんだけど。
いやこいつらで試すのは流石に気が引けるからやらないけど。
あーあ、さっさとウソップこないかな。