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No.3547の一覧
[0] パストーレ中将一代記-ある俗人の生涯-(現実→銀河英雄伝説)[パエッタ](2009/02/13 06:38)
[1] 第2話 逃げろや、逃げろ [パエッタ](2008/07/25 19:54)
[2] 第3話 大逆転??アスターテ星域会戦の巻(上)[パエッタ](2008/07/25 19:51)
[3] 第4話 大逆転??アスターテ星域会戦の巻(中)[パエッタ](2008/07/25 19:53)
[4] 第5話 大逆転??アスターテ星域会戦の巻(下)[パエッタ](2008/07/25 19:50)
[5] 第6話 ハイネセン、痴情のもつれ経由(上)[パエッタ](2009/01/03 04:03)
[6] 第7話 ハイネセン、痴情のもつれ経由(下)[パエッタ](2009/01/06 01:38)
[7] 第8話 パストーレ、大地に立つ!(上)[パエッタ](2009/01/26 08:44)
[8] 第9話 パストーレ、大地に立つ!(下)[パエッタ](2009/02/13 05:48)
[9] 第10話 ヤン・ウェンリーとパストーレの迷惑な一日(上)[パエッタ](2009/02/13 05:51)
[10] 第11回 ヤン・ウェンリーとパストーレの迷惑な一日(下)[パエッタ](2009/02/19 14:37)
[11] 第12話 出撃準備!(CVは中尾彬)[パエッタ](2009/09/08 23:09)
[12] 第13話 大逆転??第七次イゼルローン攻防戦の巻(上)[パエッタ](2011/07/06 18:50)
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[3547] 第4話 大逆転??アスターテ星域会戦の巻(中)
Name: パエッタ◆262bb6b8 ID:2fbba695 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/07/25 19:53
「敵の指揮官はフィッシャーという名前だったな。実に良いポイントに攻撃を集中させてくる。
 こう艦列を維持する部分を狙い打ちされては、攻勢に出る機会をつかめん。」
 メルカッツ提督は副官のシュナイダー少佐にそうこぼした。
                     ユリアン・ミンツ「銀河英雄伝説 第2巻」ハイネセン出版より


1.ザ・トレンチ
 砲撃戦は第四艦隊による長距離砲の射撃から始まった。
 敵を迎え撃つのは、右翼部隊(敵左翼の正面)にグエン・バン・ヒューの3000隻、左翼部隊にビューフォートの2000隻、
 中央にはビューフォートの部隊から増強したフィッシャー率いる4000隻である。残り3000は予備兵力として俗人が指揮していた。
 俗人のアィディア(というより御存知のようにヤン提督のパクリ)による一点集中射撃は、
 訓練不足から4、5本に拡散しながらも右翼のシュターデン分艦隊をしたたかに叩いた。
「後退!後退だ!だからこのような理屈に合わぬ攻勢などすべきではなかったのだ!」
 シュターデンは300程の損害を出し、乱れた艦列を立て直す為に一旦後退した。

「続いて、敵中央!メルカッツ提督に得意の接近戦に持ち込ませるな!」
 俗人は続いて中央のメルカッツ艦隊に砲撃を集中させた。
 しかし、メルカッツは老練な手腕で艦隊を巧みに分散集結させると、
 集中させたエネルギーフィールドで、これまた4、5本に拡散した集中射撃を損害らしい損害もなく防いだ。
「仕方ありません。防御陣地によるアドバンテージに期待して、長距離砲は左翼の敵主攻部隊の「囮攻撃」に専念させましょう。」
 ラップ少佐は、たじろぐパストーレ(田中)に、ヤンの大佐時代のようにこっそり耳打ちした。
 それは、パストーレ(田中)からエルファシルの英雄の盟友の手腕を見せてほしい、忌憚なく私を助けてほしい、と煽てられても、
(こういう煽ては一応、小さな経営者だったので田中は上手かった)
 パストーレの元々の幕僚を憚らなければならない立場故だった。

 今度はエルラッハとフォーゲルが、同盟軍の砲撃によってそれぞれ100程度の損害を出した。
 それは、彼らの突撃を誘う為に意図的に弱められた攻撃だった。
 しかし、考えすぎの慎重居士であるシュターデンと違って、相対的に被害が少なく、戦功に逸る彼らは突撃を選択した。
「順送り人事が何だ!俺たちだって叛乱討伐、辺境警備、宇宙海賊退治に追われる事がなければ、
 戦功を立てて堂々と出世できたんだ!金髪の孺子との違いはチャンスの差だけだ!」
 そういう宇宙世紀の英雄、ジーン伍長と同レベルの考えの彼らは、仲良く最大戦速で相互に連携しながら進んでいった。
 それに、シュターデンより損害が少なかったことが彼らの気を大きくしていた。

 しかし、三段からなる防御線の第一段を突破した段階で進撃はとまってしまった
 残骸やら産業廃棄物やら隕石の隙間から狙い打つ、グエン・バン・ヒューの部隊3000隻に一方的に損害を加えられたからだ。
 おまけにスパルタニアンが後方の艦船の機関部を遮蔽物からの奇襲によって、航行不能に追い込み撤退を不可能にさせた。
 加えて、いたる方向から機雷やミサイルが自分に向かってくるか、誘爆するのである。
(俗人のこれまたチュン大将のマルアデッタ会戦の剽窃だった。)
 お陰で、彼らは引く事も出来ず、無謀な突撃を繰り返させられる羽目になった。
 

 同時期、メルカッツは流石にエルラッハとフォーゲルのような醜態を見せなかったが、その接近戦術の得意さを持ってしても
 攻め倦んでいた。むしろ、4000隻のフィッシャーが巧みな艦隊運用で5000隻のメルカッツをやや押していた。
 当初、フィッシャーは自分には正面からの殴り合いには自信がない、と正直に俗人達に愚痴をこぼしていたが、
 ラップ少佐が遠慮がちに、艦隊運用の名手でいらっしゃるならば、敵の艦列を維持するポイントといった敵の弱点も見えやすいのでは?
 とアドバイスされ驚いたのだった。
 これまで、彼は自分の艦隊運用の能力を上昇することに集中していたので、そういう視点がなかったのだ。
 結果、フィッシャーは正面からの戦闘に限って言えば、能力と自信を上げていた。
 というよりも能力の使い道を新しく発見したのだった。
 それが野戦陣地によるアドバンテージがあるとはいえ、メルカッツをやや苦戦させていた。 

 このようにナガシノ会戦の序盤において、パストーレ(田中)が言い間違えのお陰で、実に絶妙なタイミングで先手を取り、
 野戦陣地戦術が功を奏したこともあって、同盟軍にとって比較的優位な状況が現れた。
 即ち、同盟軍右翼ではグエン・バン・ヒュー(3000隻)が、エルラッハとフォーゲル(4800隻)を圧倒し、
 中央ではフィッシャー(4000隻)がメルカッツ(5000隻)をやや押しつつあり、
 同盟軍左翼では、ラインハルトの「姉ちゃんと義理の兄貴にいいつけるぞ!」という脅しで、前線にかえってきたシュターデン(3000)
 をビューフォート(2000隻)が戯れるように翻弄していた。


「上手くいったな」
 ラインハルト、パストーレ(田中)は、そうした状況を見て、ほぼ同時に独語した。
 天才と俗物、天俗相打ったのは、彼らの認識と目的の違いからだった。

 俗人達はラップの台詞にあったように、敵左翼の不明の部隊(エルラッハ・フォーゲル)を数の多さから主攻部隊と判断、
 中央のメルカッツは助攻、敵右翼のシュターデンは最低限の押さえ部隊であると判断していた。
 すなわち、野戦陣地に敵を引きずり込み、敵を減殺し、攻勢限界点に達したところでシュターデンに直面している左翼部隊から
 引き抜いた部隊と予備兵力を敵左翼に叩きつけ、そこから一気に突破し第2・6艦隊と合流するつもりだった。

 一方、ラインハルトはそんなことはお見通しだった。
 彼の目的は可能な限り短期間かつ少ない損害での撃破だった。
 故に、迂回させているファーレンハイト及びブラウヒッチ・カルナップ艦隊5000隻の存在に気がつかせてはならないし、
 対応できる予備兵力を敵に残させてもいけない。
 彼の認識では自軍左翼は俗人の理解とは違って主攻にみせかけた助攻だった。
 そこに敵兵力を集中させ、中央のメルカッツに残りの予備兵力と可能ならシュターデンも投入し、
 約一万隻の兵力を叩きつけ、敵の予備兵力を失わせ、上手くいけば中央突破による敵の壊滅を図るつもりだった。
 迂回させた兵力の有効性を高めつつ、場合によっては、それすら必要とせず素早い勝利を得る。
 ラインハルトらしいダイナミックな戦略だった。
 ただ、予備兵力3000の内、グリューネマンとアルトリンゲンの2000隻を敵の連絡艇潰しに裂いていたので、
 全面攻勢はいま少し後の予定だった。

 勿論、俗人もラインハルトの意図を完全に誤解しながらも迂回戦術の可能性には思い至っていた。
 実際、ラオ少佐から「司令官閣下は、敵が数の優位を生かして迂回させてきた場合は、どうされるのですか?」と問われていた。
 だが、俗人は「我に秘策あり、だよ少佐。」というのみだった。
 本当は策なんて何もなかった。兵力差が半分では、迂回する部隊と正面の部隊に回す予備兵力なんてなかったからだ。
 詐欺のような手段なら一つあったが、それは現時点では言えない。
 立場的に部下を不安がらせるようなことは言えないし、何より心の底から信用できなかったからだ。
 セル画で、一部の方は極めて特殊な方法でPCの画面から、場合によっては自国言語の字幕を付けて普段眺めている架空の人間達に
 信頼を置け、という方が無茶な注文だろう。
 俗人は孤独だった。
 しかし、パストーレは俗物らしく浮かれ始めていた。
 第2、第6艦隊に放った20隻!(原作では4隻)の連絡艇から応答がなかったものの、
(グリューネマンとアルトリンゲンの2000隻にほとんど撃沈されていた。僅かに2隻が第6艦隊が辿り着いた。
 このことが、アスターテ・二次会戦、三次会戦に大きく影響する。)
 この時点では明らかに、第四艦隊は戦術的に有利な立場であったからだ。
 だけれども、そうした慢心は5時間後に崩壊した。
 そう、ファーレンハイト艦隊が野戦陣地の左方向からの迂回に成功したのだ。


2.ファーレンハイト来る

「て、敵艦隊が左後背より出現!数5000隻以上!」
 それはグエン・バン・ヒューに対して、ビューフォートから更に引き抜いた部隊も含めて4000隻の全ての予備兵力を与え、
 数が6割程度になったエルラッハとフォーゲルの敵左翼から突破しようとしていたときだった。

「ほう、ファーレンハイトめ予想より3時間以上も早く迂回するとはな。なかなかやるじゃないか。」
 ラインハルトはファーレンハイトの有能さを尊んだ。
 お陰で、本来、ファーレンハイトの迂回に対応させないための中央からの攻撃と同調できそうだったからだ。
「ラインハルト様、これで・・・」
「うん、完璧な勝利だ」
 ラインハルトは赤毛の親友に頷いた。
 今度も完璧な勝利を彼の友人と分け合うことが出来そうだったからだ。

「行け!誰の手柄になるとしても、まずは勝つことだ。」
 ファーレンハイトは指揮下のホフマイスターとブクスフーデに命じると、グエン・バン・ヒューへの増援の為に移動中だった
 同盟軍の予備兵力に突進した。
 同時期、ラインハルトは連絡艇狩りから帰還したグリューネマンとアルトリンゲンとともにメルカッツの増援に自ら前進を開始した。
「押し潰せ!もはや敵軍に残された手段は存在しない!」


3.俗人還らず?

「もはや戦線を維持できません!」
「我が直属艦隊は壊滅しつつあり!」
「戦艦レムノス大破!戦艦ネストル撃沈!ブルーノ提督戦死!」
 壊滅的、悲観的な報告で第四艦隊旗艦は埋め尽くされていた。
 事実、パストーレ(田中)の艦艇は次々と爆沈・撃沈・轟沈していった。
「あ、慌てるな!司令官閣下には必勝の策がある!そうですね、閣下」
 ラオ少佐が慌てて言い放った。
 おいおい、そんな縋る目で見るなよ…
 俗人は死にたくなった。
 パストーレ(田中)はビューフォート准将に反転によってファーレンハイトに喰いつくこと、
 先ほど、機雷に衝突して損傷したので、更に後方に待機させていた無人艦艇30隻に、ある信号を送るように命じた。


「無理いいやがって。」
 ビューフォートはごちた。目の前の敵が、やる気の無いとは言え、僅か1000隻で3000隻の敵を食い止めているのである。
 その状況から反転し、ファーレンハイト5000を牽制しろというのだ。土台から無茶な要求だった。
 しかし、
「……だが、誰からも必要とされないよりはましか。面白い。パストーレの旦那の秘策とやらに賭けて見るか」
 ビューフォートは、彼の気難しさを知りながらも、彼を初めて正面から評価し頼ってくれたパストーレ(田中)
 に本当は感謝していたのだ。口が裂けても、そんなことは本人には言わないだろうけど。
 彼は、残った機雷、旧式ミサイル、廃棄艦艇を爆破させ、シュターデンの進撃を止めるとファーレンハイトの側面から噛み付いた。
 そして、カルナップ艦隊を突破すると、ゲリラ戦の権威の名に恥じぬ攪乱攻撃をファーレンハイト直属艦隊に加え始めた。

「参ったな。なんという嫌がらせだ。」
 ファーレンハイトはビューフォートの攻撃に辟易していた
 数は少ないので、たいした損害は受けていないが、一撃離脱と擬似突出を繰り返すので、
 照準を乱されて、今一歩、正面の第4艦隊主力に集中できないでいた。
「まぁいい、所詮は時間の問題だ。ザンデルス、コーヒーを用意してくれ。」
 その瞬間だった。突如、彼らの左方向、第四艦隊後方に3000隻の同盟軍の反応が現れた。


4.ロボス元帥の幻影

「僅か3000隻?どういうことだ。」
 ラインハルトは思わず考え込んだ。
 確認している数から見て、第4艦隊の所属ではないだろう。
 しかし、他の艦隊が増援に来たにしては数が少なすぎる。
「戦術的には極めて小さいが、戦略的にはきわめて大きいですね」
 キルヒアイスが助け舟を出した。
「そうか!ロボス元帥とやらが出てきたのか」
 なるほど、とラインハルトは思った。
 どうやら敵も今回の戦いぶりから見るに流石に馬鹿ではない。
 指揮系統の問題を悟り、慌てて宇宙艦隊司令部が前線に出てきたのだな。
 だが、遅かったようだな。
「ファーレンハイトに、ロボスを叩かせろ!第4艦隊は我々のみで叩く」
 それは恐怖の裏返しでもあった。
 もし、第四艦隊を見捨てて、ロボス元帥が一目散に逃亡し、ラインハルトの後方で第2、6艦隊と合流したとしよう。
 その場合、ラインハルトは自軍の後方で待ち構える数で勝る統一された敵軍と正面から殴りあわなければなる。
 ラインハルトは、絶対にそんな事態は避けなければならなかった。
 敵軍に対して大きな勝利を得なければ元帥に昇進し、一軍の指揮権を得ることが適わないばかりか、
 敗北すれば、逃げながらえても、それを理由に降格の上で予備役編入されかなない。
 ラインハルトとキルヒアイスは、そうした事態によって、二度とアンネローゼを救い出せなくなる事態を恐れたのだった。
 後世の歴史家は言う。こうした特異な状況でなければパストーレの詭計に嵌まることは無かっただろうと。


「よし、反応装置による囮艦隊にひっかかったな!野戦陣地の可燃物を全て爆破の後、全艦散れ!
 いいか、絶対に集団で逃げるなよ。50隻単位以下で逃げれば、時間を惜しむ敵は追ってこないからな」
 パストーレ(田中)は詐欺のような詭計が当たったことを喜ぶと、そう命令した。
 実際には各艦にA5回路を開くように命じただけだったけれども。
「司令官、流石です!既にこの事態を予想していたのですね」
「これが秘策ですか!まさに秘策ですね」
『なるほど、艦隊再編に時間がかかるほど部隊を散り散りにしてしまうことで、敵の追撃を防ぐ。
 いわば、敵に対して自分達は無害な存在だから、それより危険な後方の二個艦隊に対応しなさい、
 と示してやる。そういうことですな。』
『むぅ・・・確かにファーレンハイト艦隊は進路を変え、架空の宇宙艦隊司令部に向かったようですな。』
 ラップ、ラオ、フィッシャー、グエンが口々に俗人を褒めた。
「うん、いや、まぁね。ははは・・・」
『しかし、既に大損害を蒙り全面崩壊寸前ですがな。余り褒められた状況とはいえませんな。
 タイミングを間違えると終わりですよ』
 調子に乗りつつある俗人に、ビューフォートが冷や水をかけた。
「ああ!わかってるよ!お前さんにまかせるよ!さっさとやってくれ!」
 俗人はそういうと指揮卓に突っ伏した。

 
 ビューフォートの指揮によって同盟軍右翼、中央の残った機雷・旧式ミサイル・
 不法投棄された廃船とプロペラントタンクが時間差を付けて爆破されていった。
 それによって全面攻勢を開始したことで、なまじ入り込んでいた正面の帝国軍は一時的に混乱を来たし、前進をやめた。
 その瞬間、フィッシャーは命令を下し、全艦全部隊を上下左右後方のあらゆる方向に
 飛ばしていった。勿論、後方の幾つかのポイントでの何日か後の再集結を約してである。
 帝国軍は、これに対応できなかった。ファーレンハイト達はロボス元帥という大きな幻の戦果
 に向かって突撃していたし、前述のように帝国軍前方部隊は一時的に行動不能に陥っていたからだ。
 第四艦隊は大きな損害を出し、艦隊としての姿すら失ったが6000隻ほどが脱出に成功した。
  

「……敵の宇宙艦隊司令部は無人艦艇が放った「反応装置」による囮艦隊だったようです。
 ファーレンハイト提督から報告が来ました。」
 厳しい顔で全面の野戦陣地の残骸を見つめるラインハルトにキルヒアイスが報告した。
「正に奇才だな。短期間でこれほどの陣地を構築するとはな。そして、よく戦い。よく逃げる
 最後には詭計を使った上で、自らの戦略的意義を消し去り、俺に追撃を断念させた。」 
 ラインハルトは、そう「後出しじゃんけん」の俗人を過大評価した。
「ヤン・ウェンリー以外にもやる奴はいるものだ。敵の指揮官は何と言った?キルヒアイス」
「ウィリアム・パストーレ中将です、閣下。」
「ウィリアム・パストーレ……次は逃がさん。それとキルヒアイス」
 俺と二人っきりの時は閣下はよせ、とさっきも言っただろう。しょうがない奴だ。そうラインハルトは付け加えた。
 この時、キルヒアイスは、わざと「閣下」と言ったのだった。
 ラインハルトは、ようやく笑った。

「逃げ散った敵を如何しますか?これより掃討に」
 その時、メルカッツ提督からの報告が入った。
「無用だ」
 ラインハルトは途中で、それを遮ったのだった。
「は?」
「最早、敵は短期間での艦隊陣形再編と再攻勢は不可能だ。痛手も負っている。
 それより、こちらは速やかに艦隊を再編し、残った敵を各個撃破する。
 未だに敵は指揮系統も物理的にも分断されているのだからな」
「分かりました司令官閣下!」
 おとなしくなったものだな、ラインハルトはやや満足そうにいった。
 変わらざるを得ないでしょう、そうキルヒアイスは応じた。
 新戦術である巧緻を極めた野戦陣地を構築した敵を、砲火を交えてから僅か6時間で撃破したのだ
 この戦闘の結果、同盟軍は艦艇5900隻を永遠に失った。また戦闘に耐えられない損傷艦艇1200隻だった。
 対する帝国軍は、撃沈艦艇2800隻、戦闘に耐えられない損傷艦艇900隻だった。
 アスターテ会戦、それはようやく第一段階を終えたところだった。



 

 
 


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