だ、騙された!!
今の俺の心境はコレ一つだった。
「あらウル?あまり嬉しくなさそうね」
となりに立つマリアンヌが声をかけてくる。
ほっといてくれ…自分のアホさ加減に呆れてるだけなんだよ。
今日はこの間マリアンヌが話してくれたKMFを見学しに行く日。
一緒に行きたいとか抜かしたルルーシュやナナリーをほっぽって、うきうき気分で出かけたんだが…。
完全に忘れてた。
なんて間抜けだ。
今はブリタニアの士官学校に来ていて、
俺が今居るのはNMFがある倉庫。
そして目の前には確かにそれなりの数のKMFが佇んでいる。
いるんだが…
「ガニメデかよ…」
そう、俺の目の前にあるのは第三世代のKMF―ガニメデ―だった。
そうだったー!
まだこの時はそんなにKMFが発展してなかったんだったよ!
確か日本との戦争の時に出たのが第四世代のグラスゴーだったから、
まだガニメデが使われていて当たり前か…。
ランスロットまではいかなくてもサザーランドやグロースターは見れるかな?とか思ってたのによー…。
完全に忘れてた…。
「あら?ガニメデをバカにしちゃいけないわよ?」
「わぁってるよ、閃光のマリアンヌ様」
「やだ照れるじゃない」
「嘘付け」
まぁ、確かにちょっと拍子抜けはしたがKMFはKMFだ。
す…すごく乗ってみたいです。
ちなみに俺がマリアンヌに様をつけてるのは、此処に連れてくるためのマリアンヌからの条件だった。
流石にこんな人数がいる場所でマリアンヌを呼び捨てにすると洒落にならんらしい。
「うん、でもやっぱりすげぇや。
サンキューな、マリアンヌ」
あ、様つけんの忘れた。
まぁいいや。近くに人はいない―
「コラ!マリアンヌ様には様をつけろ」
と、思ったら後ろからダールトンが現れた。
そういやコイツも居るんだっけか。
「ごきげんよう。ダールトン卿」
「いえ、今日は良くお越し下さいました。マリアンヌ様」
「よっ、おっさん」
「私はおっさんではない!!!」
いい加減認めろよな、ダールトンも。
目指せ!全力ご都合主義
序章9:士官学校にて~その1~
「それでどうだウル?KMFは?」
「どうも余りお気に召さなかったようよ?」
「む、そうなのか?」
「んなことねーよ!勝手なこと言うなよマリアンヌ……様!」
普段から様なんてつけてねぇから言いにくいなマジで。
でも恩は仇で返さない。俺のルールを破るわけにはいかねぇしな。
それにこれは俺の溜めを思ってやったことだろう。
なおさら仇で返すわけにはいかねぇ。
「やっぱりロボットは漢のロマンだからな。
テンション上がるよ」
「ふっ、その気持ちなら俺も分かる。
俺も漢だからな」
ニヤリとダールトンと笑い合う。
うん、ほとんど男ならこの気持ちを分かってくれるだろう。
「マリアンヌ…様は知ってるけど、おっさんも乗るんだよな?」
本編の時は凄腕だったが今はどうなんだろうな。
「うむ。マリアンヌ様まではいかないが、俺も軍人だからな。
それなりに扱えるぞ」
「へー、さすがおっさん」
「まぁ…な。それとおっさんではない」
にしてもやっぱり乗ってみてぇなぁ、ガニメデ。
連れてきてもらって流石に無理か。
普段ならんな遠慮しねぇんだが、今日は控えとくか。
でも…
「なぁマリアンヌ…様。まだ時間はあるんだよな?」
「ええ、確か…あと一時間程からかしら」
「はい。若輩者たちのためにありがとうございます」
「いいのよ。最近は暇だったしね」
お茶目に笑うマリアンヌは置いといて、とりあえず今日士官学校に来たのには訳がある。
今日は士官学校の連中が『閃光』のマリアンヌとKMFで模擬戦をする日なのだ。
アニメ情報通りマリアンヌはブリタニア連中に物凄い人気がある。
まぁ皇族内には嫌ってる奴らもそれなりにいるが…。
で、士官学校の連中は揃いも揃ってマリアンヌのファンらしく
来てくれないかと話がマリアンヌに来て現在に至るわけだ。
実際俺の楽しみの中に『閃光』のマリアンヌの戦闘が含まれている。
まぁ今はその話は置いといて…
「じゃあちょっとそこらへん見てきていいか?」
「ん~そうね…どうかしらダールトン卿?」
「そうですね…。勝手にそこらの物に触らないと約束できるか?」
「ああ、触らなきゃいいんだろ?」
心配すんなって。
恩は仇で返さないって。
「後は他の奴らの邪魔はするなよ」
「わかってるって、じゃいいよな?な?」
「ああ、ちゃんと時間には戻ってくるんだぞ?」
「あいよー」
そう言って俺は二人から離れて走り出す。
よっしゃ探検だ!
………それはそうと最近の俺、なんか本当に子供みたくないか?
「随分甘いのね、ウルには」
「自分でも自覚しているのですがね…、どうもウルには甘いようで…」
「フフ、貴方の子供達が見たらウルに嫉妬しちゃうかもしれないわね」
「…そんあことはありませんよ」
「僕は結構です、姉上」
「そう言うなクロヴィス。またと無い機会なんだぞ?」
ここはクロヴィスが住んでいる屋敷。
そこにコーネリアが来ていた。
「姉上はそうかもしれませんが、僕は結構です。
あの子供がくるんですよね?なおさら嫌ですよ」
「随分ウルを嫌ってるようだな…まぁそれも仕方ないか。
フフ、ユフィから聞いたぞ?顔を蹴られたらしいな」
「笑い事じゃないですよ。ルルーシュにナナリー、ユーフェミア…
それからマリアンヌ様からの頼みでなければ処刑物だ」
明らかに不機嫌な顔でクロヴィスが話す。
そう、先日の一件。
本気で怒ったクロヴィスは本当にウルを皇族に暴力を振るったとして
処刑するまでも、罰するつもりだった。
見れば日本人の子供。
加えてたかが使用人に自分の顔を思いっきり蹴られたのだ。
幸い鼻は折れずにすみ無事だったが、
だからといってクロヴィスの怒りが収まったわけが無い。
その上…
『いや~スマンスマン。変態と勘違いしたんだよ』
この上ない程の悪気があるとは思えない程のウルの軽い謝罪の言葉に、
クロヴィスは完全に切れた。
慌ててルルーシュ達が止めに入らなければ本当に罰せられていた。
「なんなんですか、あの子供は?皇族を皇族とも思わない言動。
何よりそれをルルーシュ達、ましてやマリアンヌ様までもが許している。
僕には理解できませんね」
言葉には出さずに視線で『姉上もです』と語るクロヴィスにコーネリアは苦笑する。
「そうだな、私自身不思議に思う。
お前の言うとおり許してはいけないことなんだがな…」
それから少しだけコーネリアは考え口を開いた。
「要するに気に入ってしまったんだろうな。
私はウルを」
「あの子供のどこに姉上が気に入れる場所があるか不思議ですよ」
「フフ、そうだな。一つ面白い話をしよう。
私は一度ウルに話方について注意したことがあるんだが…」
『ウル、此処ではお前の行動や言動を許してくれるだろう。
だが外ですれば確実にお前は罰せられるぞ?下手すれば殺される』
『あ?今更なんだよ。そんなこと言っても俺は変える気なんてねぇぞ』
『言っておくがこれは脅しではないぞ?
起こりうる事実の話だ』
『んなこと言われなくても分かってるよ』
『では…』
『それでも俺は変えねぇけどな』
『お前な…』
『コーネリアの言うとおりそうなるかもしれねぇ。
でも、それがどうした?
人なんて死ぬときは死ぬ。死なない時は何をやっても死なない。そんなもんだ。
だったら俺は色々考えて回り気にするより好きにやってやるよ。
それで死ぬんだったらそれが俺の死ぬ時だったってことだ。
まぁこんなことぐらいで俺が死ぬなんてあり得ないけどな。
一応、俺にも目的があるからな』
「なんて事を言われてしまってな。
思わず私のほうがなるほどなんて思ってしまったよ」
その時を思い出したのか楽しそうに笑うコーネリアを
クロヴィスは呆けて見る。
「どうだ?面白いだろう」
「…というより僕にはバカだとしか思えばせんが」
「ハハ、そうかもしれないな。
うん、アイツはきっとバカなんだろうな」
それからコーネリアは改めてクロヴィスを正面から見る。
「どうだ?だから一緒に行かないか?」
「……~。」
「それにマリアンヌ様がガニメデを操縦される姿を見れるんだぞ?
行かないと勿体ないだろう」
「姉上はそっちが本命でしょうに」
「否定はしないさ。それでどうする?」
クロヴィスはその質問に少し考え、
諦めたように溜息をついた。
「少しだけですよ。
僕もマリアンヌ様の操縦なさるお姿は見ておきたいですからね」
その答えにコーネリアは満足そうに頷いた。
続く…のか?
あとがき
ダメだ。クロヴィスの話し方が完全に分からない。
まったく別人やん!とか思ってもそこは温かく見逃してくれると助かります。