「ハーイ、ルシア♪ 楽しそうね。私達も混ぜてもらえるかしら?」
ここが戦場であることを忘れてしまうようないつも通りの調子でレイナは手を振りながらルシアに向かって話しかける。その傍にはレイナだけではなく三人の男の姿がある。ユリウス、ジェガン、ディープスノー。三人もまた巨大な黒龍、ジュリアの背中に乗りながらルシアの元へと近づいてくる。だがそんな四人とは対照的にルシアは嫌な汗をかき、顔を引きつらせたまま。先程BGに見つかってしまったことすら既に忘れてしまいかねない程ルシアは混乱していた。何故なら
「お、お前ら……どうしてここに……?」
『六祈将軍』
ある意味一番この場にやってきてほしくない集団がさも当然のようにこの場に現れてしまったのだから。それを避けるためにわざわざ単身、極秘扱いでここまでやってきたのにも関わらずそれがすべて水の泡。
「あら、ひどいわね。せっかく助けに来てあげたのに」
「そういうこと言ってんじゃねえよ!? 大体何でここが分かったんだ!? 俺は誰にも言わずにここへ来たんだぞ!」
「そうなの? 変ね。私達はレディからの連絡で招集されて来たのよ。ねえ、ユリウス?」
「そうだよ。かなり焦っている様子だったから急いで僕たちはやってきたのさ」
「レディが……そ、そうか……」
レイナたちの話にルシアは溜息を吐きながらも頭を抱えるしかない。あれほど口外するなと念を押したにもかかわらずそれを無視するとは思っていなかった。六祈将軍たちとは違い、自分の命令に関しては忠実に従ってくれる数少ない部下であったためルシアは完全に油断してしまっていた。万全を期すなら今回はBGを見逃すという命令をした上で動くべきだったのだと後悔するも既に後の祭り。ことごとく自分の目論見が外れる現状にもはや悟りにも似た境地を開きかねない。
「ふふっ、でもレディを怒っちゃだめよ。レディはあなたを心配して命令違反をしてまで私達を招集したんだから」
「言われなくても分かってるっつーの……」
レイナがクスクスと笑いながらルシアをからかい続ける。まるで弟をからかう姉のような雰囲気。どうやら最高司令官とその部下になっても根本的なところは変わらないらしい。ようするにルシアは実力はさておきレイナには敵わないということ。
「それに一番の理由はそこにいるディープスノーなんだけどね」
「……? どういうことだ?」
「私達は初めはここに来るつもりはなかったの。あなたの強さは知ってるし、私達に声をかけずに行ったってことは何か理由があると思ってね」
「僕達は君の美しい強さを知っているからね、当然だよ」
困惑しているルシアを見ながらもレイナ達は言葉を続ける。レイナ達は当初はこの場にやってくることも招集に応じる気もなかった。以前の一件でルシアの強さを知っていること。何よりもルシアが自分たちに声をかけずに動いたからにはそれ相応の理由があるだと悟ったから。ある意味それはルシアを最高司令官として、王として認めている証。だがそれを覆してレイナ達はこの場にやってきた。それは
「でもそこのディープスノーがどうしてもあなたの援護に行くって聞かなかったの。それで仕方なく私達も同行したってわけ」
自分たちと同行している男、ディープスノーの行動、進言によるもの。レイナたちはその存在も知らなかったのだが単身でもルシアの元に行きかねないディープスノーに続く形でここまでやってきていた。帝国のスパイという特殊な任務を負っているとはいえ幹部でもない者が戦おうとしているにも関わらず最高幹部である自分たちがそれを放っておくわけにもいかないという考え。もっとも六祈将軍たちは半分以上それを名目にして久しぶりに戦闘をしたいという狙いもあったのだがそれは割愛。
「申し訳ありません、ルシア様。どうしてもいてもたってもいられず……どんな処罰でも受け入れる覚悟です」
頭を下げながらディープスノーは自らの主に向かい合う。そこには静かながらも確かな熱さ、忠誠という名の力があった。
「あ、ああ……気にするな。おかげで助かったしな……」
「……ありがとうございます。帝国についてはご心配なく。私がここにいることも悟られてはいません。情報操作も既に」
ディープスノーは深く頭を下げながら自分が許されたことに感謝の言葉を述べながらも自らの任務も滞りなく行っていることを告げる。そんなある意味完璧な忠義の騎士の姿にルシアは圧倒されっぱなしだった。冷静な姿をいつもは見せるもののその内に子供故の純粋な感情を持っていることを改めてルシアは感じ取る。どうやら先のジンの塔での接触で思った以上にディープスノーは自分に忠誠を誓っているのだと。
「ああ、これも美しい忠誠が為せる技! でも僕達の間にある友情も引けを取らないものだよ、そうだろう、ルシア?」
「よかったわねルシア、部下に恵まれて。ジェガン、あんたも何か言いなさいよ。さっきから何もしゃべってないじゃない」
「…………」
「……そ、まあいいけどね。あんたの根暗は今に始まったことじゃないし」
(こ、こいつら……)
ルシアはいつもと変わらない様子で好き勝手に騒いでいる六祈将軍たちに呆気にとられるしかない。それぞれが恐ろしい程の個性を持った集団。今なら自分をそこに引き込もうとしたレイナの気持ちが分かる。レイナも既に十分その仲間入りを果たしていると思うのだがそれを口に出すことはできない。同時に改めてキングの偉大さに尊敬の念を抱くしかない。これだけのメンバーを完璧に掌握していたのだから。残念ながら自分にはキングと同じようにできるほどの手腕もカリスマもない。あったとしてもやりたくない仕事だった。そんなことを考えながらもようやくルシアは気づく。本当ならすぐに気づかなければならない大きな違和感に。それは
「そういえば……ハジャとべリアルはどうしたんだ? 一緒に来てねえのか?」
今この場にいない二人の六祈将軍。無限のハジャと悪魔候伯べリアル。何故二人がこの場にいないのかという当然の疑問だった。
「ああ、それ? べリアルは連絡を入れたんだけど間に合いそうになかったから置いてきたの。空の上じゃあいつのDBも役に立たないしちょうどよかったかもしれないわね」
「だけどきっと今頃悔しがってるだろうね。僕達の中で一番戦いたかったのはべリアルだろうし……」
「そ、そうか……」
レイナがどこか楽しげに、ユリウスが大げさにリアクションを取りながらの報告にルシアは乾いた笑みを浮かべるしかない。どうやらべリアルは距離的な問題で間に合わなかったらしい。もっともべリアルの持つ六星DBジ・アースはその名の通り大地を操るDB。空が戦場となっている今回の戦いでは力は発揮できないだろう。その身体能力だけでも十分戦力にはなるものの流石に六つの盾相手にDBなしで戦うのは危険すぎる。自分がもし招集するにしてもべリアルは人選から外していただろう。一番血の気が多い、戦闘狂とでもいうべきべリアルには悪いが今回は留守番をしてもらうことになった形。
「ハジャにはDCの留守を預けてきたわ。流石に誰も残らないのはまずいだろうって……何かあったらワープロードで呼び出してくれって言ってたわ。どうする、不安なら呼び出しちゃえば?」
「い、いや……これだけいれば十分だ。必要ねえ……」
顔を引きつらせながらも丁重にレイナの提案をルシアはお断りすることにする。確かにハジャは六祈将軍のリーダーであり最強の存在。その力は今この場にいる六祈将軍全員を集めたものよりも上回る。間違いなく六つの盾全員を相手にしても後れをとらないだろう。だがある意味ルシアにとってはそれ以上に自分の命を狙っている厄介な相手。いつ、どんな行動をとるか分からない存在。そんなハジャがこの戦場にいれば不測の事態も起きかねない。この場にいないことはルシアにとって好都合と言ってもいい。それをわざわざ呼び出す必要などこれっぽちもなかった。もしいたのなら送り返してやってもいいほど。
「あらそう。あなた、昔からハジャを苦手にしてたものね。最高司令官なんだからしっかりしてよね」
「確かに六祈将軍全員が揃わないのは美しくないけど仕方ないね。だけど問題ないよ。ここには僕という騎士がいるんだから! そうだろう、ルシア?」
「あ、ああ……そうだな……」
自分に酔い、テンションが上がりまくっているユリウスを冷たくあしらいながらもルシアは他の三人にも目を向ける。レイナは楽しげに、ジェガンはいつもと変わらぬ無表情で、ディープスノーは決意に満ちた目を見せながらルシアに対面する。お疲れ様、もう帰っていいという冗談すら言えないような空気がそこにはある。もはやルシアには選択肢は残されてはいなかった。
『くくく……どうした、もっと喜んだらどうだ? せっかく援軍が来てくれたというのに……やはり持つべきものはよい部下だな、我が主様よ?』
『て、てめえ……』
楽しげな笑いを漏らしながら自分を挑発してくるマザーにルシアは辟易するもののどうすることもできない。マザーにしてみれば次から次に起こる予想外の事態に翻弄されるルシアの姿を見ることが楽しくて仕方ない。最高司令官になったもののやはりこうでなくては面白くないといわんばかりの怪しい光を放ちながらもマザーもまた興奮していた。予定外のこともあったが役者も舞台も揃ったのだから。
『そう荒れるでない……よかったではないか。これで六つの盾を相手にしなくて済むのだぞ?』
『そ……それはそうだが……』
『何だ、あの騎士が宿している人工DBのことが気になるのか? なら心配無用だ。ジンの塔で会った時に既に我の庇護下に置いておるぞ』
『そうか……ってなんじゃそりゃ!? お前いつの間にそんなことしてんだよ!? 一言俺にも言えっつーの!』
『いや、あの時にはまだ言えんかったからの……』
『っ!? お、お前……やっぱわざとDBの破壊のこと俺に教えなかったんだな!? そうなんだろ、あ!?』
『くく……さて、何のことやら。我は聞かれなかったから答えなかっただけ。勘違いしていたお主が軽率なだけだ』
『お、お前……!』
最初に出会った時と同じような言い訳、もとい暴露にルシアは怒り狂うしかない。最初からマザーが六つの盾のDBの破壊ができないことをルシアに教える気がなかったこと。そして六星DBを壊さずに止めることができたこと。自分が想定外の事態に陥る半分以上の理由が間違いなく胸元にいる石のせいであることを改めて悟りルシアは頭を抱えるだけ。ある意味敵よりも厄介な味方だった。
『何が不満なのだ? これでBG全員を相手にする必要が無くなったというのに……まあ我としてはその方が楽しかったのだが……』
『うるせえよ! 相手は六つの盾だぞ!? 六祈将軍でも勝てるかどうか分かんねえだろうが!』
『ふむ……まだそんなこと気にしておったのか。相変わらずヘタレ……いや過保護な奴だ』
やれやれと言わんばかりの声を漏らしながらもマザーは改めてルシアに視線を向ける。そこには先程までのふざけた空気は微塵もない。そしてマザーは誰よりもルシアのことを理解している。事あるごとにルシアに向かって告げられる言葉の一つ。
それは『ヘタレ』という言葉。
情けない、戦うことを恐れる主を現すもの。だがその意味はこの半年で大きく変わっていた。確かにルシアは戦うことを恐れている。しかしそれはかつてとは大きくその理由が違う。ハードナーと六つの盾たちを同時に相手したくないのも自分が死ぬかもしれないからではない。その本当の理由をマザーだけは知っている。
『侮るなよ、主よ。我が子である六星DBはアナスタシスのDBにも引けを取るものではない』
自らの主の戸惑いと恐れ。その全てを知った上でマザーは告げる。何も恐れる必要は無いと。さながら子をあやす母のように。さながら男に囁く女のように。
『それとも我がアナスタシスに劣ると本気で思っておるわけではあるまい? 魔石使いよ』
『…………うるせえよ。そんなこと言われるまでもねえ』
自分がいる限り決して負けることはない。絶対の確信を以てマザーとは宣言する。微塵の恐れも迷いもそこにはない。あるのはただ自らの、自らの主に対する自信だけ。そんなマザーの言葉に頭をかきながらぶっきらぼうにルシアは対応するしかない。何故ならそれをルシアは誰よりも知っていたから。マザーの力を、そしてそれを極めるとはどういうことかを。
だがそんなルシアの思考を断ち切るように再びサイレンと共にアルバトロスから無数の戦闘機がルシア達に向かって発進してくる。どうやら先程のレイナたちの攻撃によって様子を見ていたようだが戦闘再開の命令が下されたらしい。その数はそれまでの比ではない。間違いなくBGの全航空戦力がルシアたちに狙いを定めている。ルシアはそのまま手に持つデカログスに力を込め戦闘態勢に入りながらもふと気づく。
「……? お前ら、何やってんだ?」
それは自分の隣を飛んでいるジュリアに乗っているレイナたちが何かを待つかのようにルシアを見つめ続けている光景。今にも攻撃に晒されかねないにもかかわらずそんなことなど些事だといわんばかりの空気。
「はあ………決まってるじゃない。あなたの命令を待ってるのよ。こんなことわざわざ言わせないでよね、恥ずかしい」
「そうだよ。さあ、王として騎士である僕達に命じておくれ、ルシア」
「ルシア様……どうかご命令を」
「…………」
レイナたちはそれぞれの言葉で、態度でそれを待ち続けている。この半年間ずっと待ちわびていた瞬間。新生DC。その復活を告げるのに相応しい決戦の狼煙。その号令が放たれる時が訪れたのだと。
「………ああ。命令だ。『六つの盾を倒せ』」
新たなる王、ルシア・レアグローブの口から告げられる。新たな戦いの始まりの宣言が。
静かな、それでも確かな言葉。
「了解♪ じゃあ久しぶりに暴れるとしましょうか♪」
「美しく……ね」
「お任せ下さい、ルシア様」
「……行くぞ、ジュリア」
その命令によって六祈将軍たちは動き出す。今まで一言も発しなかったジェガンの言葉によって凄まじい咆哮を上げながら黒龍、ジュリアがその巨大な翼をはばたかせながら動き出す。一直線にアルバトロスに向かって。まるで自分を遮るものなど何もないと告げるように。
いきなり特攻を仕掛けてくる六祈将軍に驚きながらも戦闘機が、アルバトロスの防衛網による容赦ない弾幕が降り注ぐ。鳥一匹も通さないような弾雨。それを躱すことなど巨大なジュリアには不可能。だが六祈将軍たちの表情には恐れは全くない。むしろ楽しげですらある。そして六祈将軍たちは最初から攻撃を躱す気など毛頭なかった。
悲鳴にも似た無線がアルバトロス中に響き渡る。戸惑いと恐れが入り混じった、混乱した兵士たちの阿鼻叫喚。BGの全航空戦力の攻撃を受けながらも全く傷一つ付けられないというあり得ない事態。その攻撃が見えない風によって、銀の光によって、氷の凍結によって無力化されていく。打ち落とすどころか進路を変えることすらできないというあり得ない光景。
それが六祈将軍の力。かつてキングに選ばれた六人の戦士。そしてルシアに受け継がれた力。マザーより生まれし六星DBの真の力だった。
「やれ、ジュリア」
ジェガンの命令によってついにアルバトロスに辿り着いたジュリアの口から巨大な炎が放たれる。その威力によって何者にも破られることがなかった要塞の壁は壊され、そして侵入者を許してしまう。BG結成以来あり得なかった事態。しかも奇襲ではなく正面突破による侵入という信じられない状況。だがそんな混乱状態にあってもなおBGの兵士達は迅速に侵入者を排除せんと迫ってくる。ある者はその手に銃器を、ある者はDBを持ちながら。百万を超えるBGの兵士。その中でもアルバトロスに乗ることが許された精鋭たち。自分たちを取り囲んでいる数えきれないほどの兵士たちを前にしても四人の姿はまったく変わらない。まるで買い物にでも来たのではないかと思ってしまうほどの自然体。だがそれは当たり前。今までの半年の彼らの姿は本来の物ではない。
戦う戦士として顔。それを見せながら四人の戦士は動き出す。
「じゃあ私はあっちに行くわ。危なくなったら無理はしないようにね、ディープスノー?」
「ありがとうございます。ですがご心配なく。ルシア様の命に従うだけです」
「その通りだね。僕は向こうに行くとしよう。じゃあみんな後で。美しい戦いを」
「…………」
互いに軽口を言い合いながら四人はそれぞれ別の方向に向かって歩き出す。目の前にいる兵士たちを片手間で排除しながら。さながら道端の邪魔な石を蹴りだすように。自らの役目、六つの盾の殲滅を果たすために。そして何よりも最も重要な役目である陽動となるために。
『どうやら本当に六祈将軍らしいな……だが何も問題は無い。邪魔者は排除する。それだけだ。いいな?』
既に戦闘態勢に入りながらも六つの盾のリーダーであるルカンが地に響くような声で告げる。それは目の前にいる部下たちに向けたもの。
『分かってるさ。ようするに早い者勝ちってことだろ?』
『いっぱい倒せば褒めてくれる? ジラフ?』
『ああ、何せ相手はあの六祈将軍だからな』
『待ってろよボインちゃーん! オラの女にしてやるぜー!』
『ま、待ってよみんな! まだ探知機を渡してないよ、ウン!』
『構わん……放っておけ。やっと待ちわびた日が来たのだからな……』
それぞれが好き勝手に動き始めていることにコアラが慌てながら探知機を渡そうとするもジラフ、レオパール、リエーヴルはあっという間にその姿を消してしまう。BGの敵、侵入者を排除するために。だがそれだけではない。いつも以上に六つの盾は血をたぎらせていた。それはリーダーであるルカンとて例外ではない。その纏っている空気の凄まじさは思わずコアラが身震いしてしまうほど。それだけの理由が彼らにはある。
『六祈将軍』
それを倒すことが彼らの存在意義の一つ。半年前に失われてしまった機会が何の因果か自分たちの目の前に訪れている。それを前にして平静でいられる者など存在しない。
『いくぞ……全員、皆殺しだ……』
その手に巨大な鎌を持ちながらルカンは動き出す。悠然と、一歩一歩確実に。それを追うように慌てながらコアラは走り出す。
六祈将軍と六つの盾。
どちらが最強の戦闘集団であるかを決めるに相応しい決戦の火蓋が切って落とされる。
そして同時に、もう一つの戦いの幕もまた上がる。いや、それは再開。一度は幕が上がったもののそのままになってしまっていた舞台。
ルシアはその前で動きを止める。辺りには自分以外誰もいない。六祈将軍の陽動によって今、全ての敵はそちらに目が行っている。その隙を狙うことがルシアの狙い。派手な正面突破を行ったのもその布石。その間に王を打ち取るための策。だがそれは通用しなかった。
「そこまでだ……ここから先には行かせん」
目の前にいる少女。まるでいきなり現れたかのように彼女は現れた。閃光のような速さを以て。いつかと同じように。だが違う所があるとするならば。
それはお互いに身を隠すローブを纏っていなかったこと。そして少年の名が変わっていること。
『金髪の悪魔 ルシア・レアグローブ』と『閃光のルナール』
今、半年前の続き。二人の再戦の時が始まろうとしていた―――――